JP2014159225A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】修理効率の低下、燃費の悪化を生じることなく、製造が容易で確実に空洞共鳴音の低減を図ることができる空気入りタイヤ及び該空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維10が固着されており、タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層6からなるベルト5を備え、タイヤ内周面のベルト相当部分であるトレッド領域Tと、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部1のタイヤ半径方向内側端部1Aまでを占めるタイヤ側部領域SWとを有し、前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きい、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【選択図】図1
【解決手段】タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維10が固着されており、タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層6からなるベルト5を備え、タイヤ内周面のベルト相当部分であるトレッド領域Tと、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部1のタイヤ半径方向内側端部1Aまでを占めるタイヤ側部領域SWとを有し、前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きい、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りタイヤ及び該空気入りタイヤの製造方法に関する。
空気入りタイヤは、その構造上、タイヤ内部の円管長さに起因する空洞共鳴現象を有することが知られている。そして、いずれの空気入りタイヤにおいても、その周長から空洞共鳴周波数は200〜270Hzの範囲となり、不快な車室内騒音の一因となっている。
上記の通り、車室内騒音の発生要因がタイヤ内部の空気の共鳴であることから、従来の改良手法としては、タイヤ内部で吸音させる方法が有効であり、例えば、特許文献1に記載されているように、タイヤ内周面に短繊維を接着する手法等が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているように、タイヤ内周面の全領域に短繊維を接着すると、タイヤがパンクした場合、パンクシール剤を用いて修理しようとすると、タイヤ内周面の短繊維がパンクシール剤を吸収してパンクシール剤を吸収して、パンクシール剤の流動性が低下するため、修理効率が低下してしまう、という、問題があった。また、タイヤの重量が増加して、転がり抵抗が大きくなり、かかるタイヤを装着した車両の燃費を悪化させてしまうという問題もあった。
そこで、本発明は、上記事実を考慮し、修理効率の低下、燃費の悪化を生じることなく、製造が容易で効率よく空洞共鳴音の低減を図ることができる空気入りタイヤ及び該空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維が固着されており、タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層からなるベルトを備え、タイヤ内周面のベルト相当部分であるトレッド領域と、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までを占めるタイヤ側部領域とを有し、前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きい、ことを特徴とする。
なお、上記の「固着面積率」とは、領域の単位面積当たりの、短繊維の固着面積の割合を示すものとする。
本発明の空気入りタイヤにより、タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維が固着されることにより、走行時の空洞共鳴音を低減できる上に、トレッド領域の短繊維の一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ、固着面積率の少なくとも一つの値を小さくすることで、空洞共鳴音の低減効果を奏しながら、パンクシール剤の吸収を抑制することが可能となる。
なお、上記の「固着面積率」とは、領域の単位面積当たりの、短繊維の固着面積の割合を示すものとする。
本発明の空気入りタイヤにより、タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維が固着されることにより、走行時の空洞共鳴音を低減できる上に、トレッド領域の短繊維の一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ、固着面積率の少なくとも一つの値を小さくすることで、空洞共鳴音の低減効果を奏しながら、パンクシール剤の吸収を抑制することが可能となる。
前記タイヤ側部領域に固着した短繊維の固着面積率は50〜100%であり、前記トレッド領域に固着した短繊維の固着面積率は0〜100%であることが好ましい。両領域における短繊維の固着面積率を上記の範囲とすることで、空洞共鳴の低減効果を確実に得ることができる。
前記タイヤ側部領域に固着した短繊維の本数は一平方センチメートル当たり1000〜20000本であり、前記トレッド領域に固着した短繊維の本数は一平方センチメートル当たり100〜10000本であることが好ましい。両領域における一平方センチメートル当たりの本数を上記の本数とすることで、過度な重量増加を生じることなく、空洞共鳴の低減効果を確実に得ることができる。
前記タイヤ側部領域に固着した短繊維の平均長さは2〜10mmであり、前記トレッド領域に固着した短繊維の平均長さは0.5〜4mmであることが好ましい。両領域における短繊維の平均長さを上記の範囲とすることで、空洞共鳴音を低減する効果が十分に得られ、また、短繊維同士の絡み合いによるダマの発生を防止して、吸音効果を十分に発現させることができる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層からなるベルトを配し、タイヤ内周面に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を塗布した部位に短繊維を接着させる工程とを備え、前記タイヤ内周面を、前記ベルト相当部分であるトレッド領域と、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までを占めるタイヤ側部領域とに分け、前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド側部領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きくなるよう固着させる、ことを特徴とする。
本発明のタイヤの製造方法によれば、短繊維を固着させた加工部分のロスを抑制しつつ、優れた吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。
本発明のタイヤの製造方法によれば、短繊維を固着させた加工部分のロスを抑制しつつ、優れた吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法の一態様においては、静電植毛加工により、前記短繊維をタイヤ内周面に設ける。この場合、短繊維を簡単にタイヤ内周面に立設させた状態で固着させることができ、吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。
本発明によれば、修理効率の低下、燃費の悪化を生じることなく、製造が容易で効率よく空洞共鳴音の低減を図ることができる空気入りタイヤ及び該空気入りタイヤの製造方法を提供することができる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、パンクシール剤の吸収が、主にトレッド領域において生じることを見出した。そこで、修理効率の低下、燃費の悪化を生じることなく、製造が容易で確実に空洞共鳴音の低減を図ることができる空気入りタイヤ及び該空気入りタイヤの製造方法を提供する、という目的を達成するために、タイヤ内周面に短繊維を固着して設けるに際して、トレッド領域と、前記トレッド領域のタイヤ幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までを占めるタイヤ側部領域とで、固着させる短繊維の一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ、固着面積率のうちの少なくとも一つを異なるものとすることで、具体的には、前記タイヤ側部領域に固着する短繊維を、前記トレッド領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ、固着面積率のうちの少なくとも一つの値を大きくすることで、製造が容易で確実に空洞共鳴音を低減できる上、修理に際してパンクシール剤を用いても、短繊維がパンクシール剤を吸収するのを抑制でき、かつ、タイヤの転がり抵抗の上昇及び乗り心地の悪化を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明者らは、タイヤ側部領域への短繊維の固着が空洞共鳴を低減する効果が高く、タイヤ内周面全域への短繊維の固着と効果が殆ど変わらないことを見出した。従って、本発明の空気入りタイヤにおいては、前記タイヤ内周面のうち、前記タイヤ側部領域のみに前記短繊維が固着されていることが好ましい。この場合、タイヤの転がり抵抗の上昇、乗り心地の悪化を確実に抑制でき、また、修理に際して、短繊維によるパンクシール剤の吸収を確実に抑制できる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施態様の幅方向の断面図である。図1に示す空気入りタイヤは、一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、上記一対のビード部1間にトロイド状に延在してこれら各部1,2,3を補強する一枚のカーカスプライからなるカーカス4と、前記トレッド部3の前記カーカス4のタイヤ半径方向外側に配置された二枚のベルト層からなるベルト5と、該ベルト5のタイヤ半径方向外側に配置された一層のベルト補強層6と、前記ビード部1内に夫々埋設したビードコア7のタイヤ半径方向外側に配置されたビードフィラー8と、上記カーカス4のタイヤ内周面側に配置したインナーライナー9とを備える。
図示例のカーカス4は、一枚のカーカスプライから構成され、また、一対のビードコア7間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア7の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカス4のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。また、図示例の空気入りタイヤにおいては、カーカス本体部とカーカス折り返し部との間にビードフィラー8が配置されている。
また、図示例の空気入りタイヤのトレッド部3においては、上記カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚のベルト層からなるベルト5が配置されており、該ベルト層は、通常、タイヤ赤道面Eに対して傾斜して延びるスチールコードのゴム引き層からなり、二枚のベルト層は、該ベルト層を構成するスチールコードが互いにタイヤ赤道面Eを挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。なお、図中のベルト5は、タイヤ赤道面Eを挟んで左右対称であり、ベルト5のタイヤ幅方向の最大幅をBWとする。ここで、本発明において、ベルト5のタイヤ幅方向の最大幅BWは、タイヤの最大幅の60〜90%の範囲であることが好ましい。また、図中のベルト5は、二枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト5を構成するベルト層の枚数は、三枚以上であってもよい。また、図示例の空気入りタイヤにおいては、一層のベルト補強層6が、ベルト5のタイヤ半径方向外側に配置されているが、本発明の空気入りタイヤは、ベルト補強層6を備えていなくてもよく、また、ベルト補強層6の枚数は、二枚以上であってもよい。
ここで、図1に示す空気入りタイヤにおいては、タイヤ内周面、即ち、インナーライナー9のタイヤ内周面側の少なくとも一部に短繊維10が固着されている。そして、タイヤ幅方向断面における、ベルト5に相当する部分をトレッド領域Tとし、トレッド領域Tの幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までをタイヤ側部領域SWとした場合、前記トレッド領域Tに固着する短繊維は、前記タイヤ側部領域SWに固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ、平均直径及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きいことを要する。本発明の空気入りタイヤにおいては、タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維10が固着されて設けられているので、タイヤをリムに装着したときに形成される空気室内面に対してこれらの短繊維10が設けられることになる。そして、タイヤ内周面に固着された短繊維10は、空洞共鳴音を吸音するので、該短繊維10により空洞共鳴現象に起因する騒音を低減することができる。
タイヤ内周面において、トレッド領域Tの短繊維の固着面積率の割合がタイヤ側部領域SWの短繊維の固着面積の割合よりも低い場合、トレッド領域Tの剛性の上昇も比較的抑制されており、その結果として、タイヤを装着した車両の乗り心地の悪化を抑制できる。
また、タイヤ内周面において、トレッド領域Tの短繊維の固着面積の割合がタイヤ側部領域SWの短繊維の固着面積の割合よりも低いため、タイヤがパンクした場合において、パンクシール剤を用いて修理を試みても、トレッド領域Tの内周面の短繊維がパンクシール剤を吸収することが抑制されており、その結果として、パンクシール剤の流動性の低下を抑制して、修理効率の低下を抑制することもできる。
ここで、上記短繊維10としては、有機合成繊維、無機繊維、再生繊維、天然繊維等の短繊維を用いることができる。また、有機合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、ナイロン等の脂肪族ポリアミド、ケブラー等の芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリメチルメタクリレート等のポリエステル、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、及びこれらの共重合体等からなる繊維が挙げられる。また、無機繊維としては、例えば、カーボン繊維、グラスファイバー等が挙げられる。また、再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ等が挙げられる。また、天然繊維としては、例えば、綿、絹、羊毛等が挙げられる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記タイヤ内周面のうち、前記タイヤ側部領域SWのみに前記短繊維10が固着されていることが好ましい。タイヤ側部領域SWの内周面のみに短繊維10が固着されている場合、転がり抵抗の上昇や乗り心地の悪化への寄与が大きいトレッド領域Tの内周面には短繊維10が設けられていないため、転がり抵抗の上昇及び乗り心地の悪化を確実に抑制できる。また、トレッド領域Tの内周面には短繊維10が設けられていないため、修理に際して、短繊維10によるパンクシール剤の吸収を確実に抑制できる。
前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の一平方センチメートル当たりの本数は、前記トレッド領域Tに固着した短繊維よりも多いことが好ましい。また、前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の本数は一平方センチメートル当たり1000〜20000本、特に1000〜10000本であることが好ましく、前記トレッド領域Tに固着した短繊維の本数は一平方センチメートル当たり100〜10000本、特に100〜2000本であることが好ましい。
単位面積当たりの短繊維の本数が少ないと、空洞共鳴の低減効果が不足するため、空洞共鳴の低減効果を確実に得るには、前記トレッド領域Tにおいても、短繊維を1平方センチメートル当たりに100本(平均値)以上設けることが好ましい。一方で、前記トレッド領域Tにおける1平方センチメートル当たりの短繊維の本数は10000本以下とすることが好ましい。上記パンクシール剤の吸収が生じにくい前記タイヤ側部領域SWにおいては、より高い空洞共鳴の低減効果を得るために一平方センチメートル当たりの短繊維の数を1000本以上とすることが好ましい。一方で、短繊維の数を必要以上に増加させるとタイヤ重量が増加するため、前記タイヤ側部領域SWにおける一平方センチメートル当たりの短繊維の数は20000本以下とすることが好ましい。
単位面積当たりの短繊維の本数が少ないと、空洞共鳴の低減効果が不足するため、空洞共鳴の低減効果を確実に得るには、前記トレッド領域Tにおいても、短繊維を1平方センチメートル当たりに100本(平均値)以上設けることが好ましい。一方で、前記トレッド領域Tにおける1平方センチメートル当たりの短繊維の本数は10000本以下とすることが好ましい。上記パンクシール剤の吸収が生じにくい前記タイヤ側部領域SWにおいては、より高い空洞共鳴の低減効果を得るために一平方センチメートル当たりの短繊維の数を1000本以上とすることが好ましい。一方で、短繊維の数を必要以上に増加させるとタイヤ重量が増加するため、前記タイヤ側部領域SWにおける一平方センチメートル当たりの短繊維の数は20000本以下とすることが好ましい。
前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の平均長さは、前記トレッド領域Tに固着した短繊維よりも長いことが好ましい。また、前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の平均長さは2〜10mm、特に2〜6mmであることが好ましく、前記トレッド領域Tに固着した短繊維の平均長さは0.5〜4mm、特に0.5〜2mmであることが好ましい。
前記トレッド領域Tにおける短繊維の平均長さが0.5mm未満では、空洞共鳴音を低減する効果が小さくなる。一方、前記トレッド領域Tにおける短繊維の平均長さが4mm超であると、パンクシール剤の吸収が生じやすくなってしまう。前記タイヤ側部SWにおける短繊維の平均長さを2mm以上とすることで、空洞共鳴音の低減効果をより確実とすることができる。一方で、短繊維の平均長さを10mm以下とすることで、短繊維同士の絡み合いによるダマが発生し、吸音効果が十分に発現できなくなる問題を回避することができる。
前記トレッド領域Tにおける短繊維の平均長さが0.5mm未満では、空洞共鳴音を低減する効果が小さくなる。一方、前記トレッド領域Tにおける短繊維の平均長さが4mm超であると、パンクシール剤の吸収が生じやすくなってしまう。前記タイヤ側部SWにおける短繊維の平均長さを2mm以上とすることで、空洞共鳴音の低減効果をより確実とすることができる。一方で、短繊維の平均長さを10mm以下とすることで、短繊維同士の絡み合いによるダマが発生し、吸音効果が十分に発現できなくなる問題を回避することができる。
前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の固着面積率は、前記トレッド領域Tに固着した短繊維よりも大きいことが好ましい。また、前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の固着面積率は50〜100%、特に70〜100%であることが好ましく、前記トレッド領域Tに固着した短繊維の固着面積率は0〜100%、特に0〜70%であることが好ましい。
特に前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の固着面積率を50%以上とすることで、空洞共鳴を確実に低減することができる。
特に前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の固着面積率を50%以上とすることで、空洞共鳴を確実に低減することができる。
前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の平均直径は、前記トレッド領域Tに固着した短繊維よりも大きいことが好ましい。また、前記タイヤ側部領域SWに固着した短繊維の平均直径は10〜500μm、特に20〜200μmであることが好ましく、前記トレッド領域Tに固着した短繊維の平均直径は1〜100μmであることが好ましい。
通常は、短繊維の平均直径を大きくすることで、短繊維の平均長さも長くなることから、トレッド領域Tの短繊維の平均直径を大きくすることが好ましい。ここで、短繊維の平均直径が1μm未満になると、短繊維の製造工程において糸切れが多発し、短繊維の生産性が低下する。一方、短繊維の平均直径が500μmを超えると、タイヤとしての重量増が転がり抵抗に影響するレベルとなり、本発明の空気入りタイヤを装着した車両の燃費の悪化をまねくおそれがある。
通常は、短繊維の平均直径を大きくすることで、短繊維の平均長さも長くなることから、トレッド領域Tの短繊維の平均直径を大きくすることが好ましい。ここで、短繊維の平均直径が1μm未満になると、短繊維の製造工程において糸切れが多発し、短繊維の生産性が低下する。一方、短繊維の平均直径が500μmを超えると、タイヤとしての重量増が転がり抵抗に影響するレベルとなり、本発明の空気入りタイヤを装着した車両の燃費の悪化をまねくおそれがある。
また、本発明の空気入りタイヤにおいては、前記短繊維の長さ(L)と直径(D)との比(L/D)が5≦L/D≦2000の範囲にあることが好ましい。短繊維の長さと直径の比(L/D)が5未満では、空洞共鳴音を低減する効果が小さくなる。一方、短繊維の長さと直径の比(L/D)が2000を超えると、短繊維同士の絡み合いによるダマが発生し、吸音効果が十分に発現できなくなるおそれがある。
また、本発明の空気入りタイヤにおいては、前記短繊維の固着されている領域が複数の短繊維群からなり、該複数の短繊維群が互いに独立して固着されていることが好ましい。短繊維の固着されている領域を、連続せずに設けることにより、仮に接着層がはがれることがあったとしても、はがれる範囲が極僅かで止まり、空洞共鳴抑制効果を維持することができる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層からなるベルトを配し、タイヤ内周面に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を塗布した部位に短繊維を接着させる工程とを備える。前記タイヤ内周面を、前記ベルト相当部分であるトレッド領域と、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までを占めるタイヤ側部領域とに分け、前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド側部領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きくなるよう固着させる、ことを特徴とする。
本発明のタイヤの製造方法によれば、本発明のタイヤの製造方法によれば、多量のパンクシール剤の吸収や燃費の悪化を生じることなく、優れた吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。
本発明のタイヤの製造方法によれば、本発明のタイヤの製造方法によれば、多量のパンクシール剤の吸収や燃費の悪化を生じることなく、優れた吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法では、まずタイヤ側部領域SWの内周面の短繊維接着部位に接着剤を塗布し、次に、接着剤を塗布した部位に短繊維10を接着させることにより、上述したような優れた吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。ここで、使用する接着剤は特に限定されず、任意の接着剤を使用することができる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法においては、静電植毛加工により前記短繊維10をタイヤ内周面に設けることが好ましい。短繊維10は、種々の方法でタイヤ内周面に接着させることができるが、静電植毛加工を用いることにより、短繊維10を簡単にタイヤ内周面に立設させた状態で固着させることができ、吸音効果を得ることのできる空気入りタイヤを効率的に製造することができる。
静電植毛加工は、短繊維を帯電させ、静電気力により、予め接着剤を塗布した物体に短繊維を垂直に植毛する加工技術であるため、複雑な形状の物体表面にも均一に短繊維を植毛することができ、3次元的に曲率をもったタイヤ内周面に短繊維10を植毛するのに適している。
上述した本発明の空気入りタイヤは、通常、リムに組み付けられ、タイヤとリムとの組立体として、目的の車両に取り付けられて使用される。ここで、空洞共鳴低減効果を更に高めるために、リムの一部又は全面に上述した短繊維を固着してもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1及び比較例1〜2>
同一仕様のタイヤを用い、タイヤ内周面の各領域に表1に示すようにナイロン製短繊維の植毛加工を施したタイヤ(実施例1)と、タイヤ内周面に短繊維を設けないタイヤ(比較例1)と、タイヤ内周面の全面に同一のナイロン製短繊維を均等に静電植毛加工したタイヤ(比較例2)とを準備し、各タイヤに対して、以下のようにして、実車車内音を測定した。
同一仕様のタイヤを用い、タイヤ内周面の各領域に表1に示すようにナイロン製短繊維の植毛加工を施したタイヤ(実施例1)と、タイヤ内周面に短繊維を設けないタイヤ(比較例1)と、タイヤ内周面の全面に同一のナイロン製短繊維を均等に静電植毛加工したタイヤ(比較例2)とを準備し、各タイヤに対して、以下のようにして、実車車内音を測定した。
使用したタイヤは、図1に示す構造を有するサイズ205/55R16の一般的な市販品であり、使用リムは6.5JJ−16である。なお、ベルト層のタイヤ幅方向の最大幅BWは、タイヤの最大幅の78%である。
上記タイヤを2000ccクラスの乗用車に装着し、1名乗車で、速度50km/hの条件で、荒れたアスファルト路を走行し、ドライバーの耳元に設置したマイクロホンにて、騒音を測定した。周波数スペクトルを図2に示す。
上記の供試タイヤに対し、パンクシール剤の必要量を下記の方法で評価した。トレッドに穴を空け、供試タイヤ内に外部からパンクシール剤(補修液)を注入し、内圧を充填した後、一定速度にて距離約5kmを走行させて行った。走行を終了したタイヤは倒さないように取り外し、そのままの状態で保持台に固定し、サイドウォール部をカットし、タイヤ内に残ったパンクシール剤を回収し、トレッド部のタイヤ内面のパンクシール剤の拡がり具合を確認した。
図2において、225Hz、235Hz付近に見られるピークが空洞共鳴によるものであるが、実施例1のタイヤでは、約2〜5dBと大きな低減効果が得られていることが分かる。また、タイヤ側部領域のタイヤ内周面だけに短繊維を設けた実施例1のタイヤは、タイヤ内周面の全面に短繊維を設けた比較例2のタイヤと同等の騒音低減効果を示していることが分かる。一方、表1に示す結果から、比較例2と比して、実施例1のタイヤは、必要とされるパンク修理液量の増加が極めて低く抑えられていることが分かる。
1…ビード部、1A…ビード部のタイヤ半径方向内側端部、2…サイドウォール部、3…トレッド部、4…カーカス、5…ベルト、6…ベルト補強層、7…ビードコア、8…ビードフィラー、9…インナーライナー、10…短繊維、BW…ベルト層のタイヤ幅方向の最大幅、E…タイヤ赤道面、T…トレッド領域、SW…タイヤ側部領域。
Claims (6)
- タイヤ内周面の少なくとも一部に短繊維が固着されており、タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層からなるベルトを備え、
タイヤ内周面のベルト相当部分であるトレッド領域と、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までを占めるタイヤ側部領域とを有し、
前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きい、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記タイヤ側部領域に固着した短繊維の固着面積率は50〜100%であり、前記トレッド領域に固着した短繊維の固着面積率は0〜100%である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ側部領域に固着した短繊維の本数は一平方センチメートル当たり1000〜20000本であり、前記トレッド領域に固着した短繊維の本数は一平方センチメートル当たり100〜10000本である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ側部領域に固着した短繊維の平均長さは2〜10mmであり、前記トレッド領域に固着した短繊維の平均長さは0.5〜4mmである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ幅方向の最大幅がBWである一枚以上のベルト層からなるベルトを配し、タイヤ内周面に接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を塗布した部位に短繊維を接着させる工程とを備え、
前記タイヤ内周面を、前記ベルト相当部分であるトレッド領域と、前記トレッド領域の幅方向外側端部からビード部のタイヤ半径方向内側端部までを占めるタイヤ側部領域とに分け、
前記タイヤ側部領域に固着する短繊維において、前記トレッド側部領域に固着する短繊維と比較して、一平方センチメートル当たりの本数、平均長さ及び固着面積率のうちの少なくとも一つの値が大きくなるよう固着させる、ことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。 - 静電植毛加工により、前記短繊維をタイヤ内周面に設ける、請求項5に記載の空気入りタイヤの製造方法。
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