JP2014159000A - 有機性廃水処理方法及び装置 - Google Patents

有機性廃水処理方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【解決課題】脱水処理と生物処理とを組み合わせた有機性廃水の処理において、発生する脱水汚泥の低含水率化及び減容化を達成しながら、維持管理費を低額に抑えることができる処理方法を提供する。
【解決手段】屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理する有機性廃水処理方法であって、混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程と、混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理する工程と、を交互に行うことを特徴とする有機性廃水処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機性廃水処理方法及び装置に関する。特に、屎尿と浄化槽汚泥などの有機性汚泥を含有する有機性廃水の処理に関する。
屎尿及び家庭用浄化槽で発生する有機性汚泥を含む有機性廃水の生物処理が行われている。屎尿及び家庭用浄化槽由来の有機性廃水には、夾雑物が多量に含まれるため、夾雑物を除去して脱水処理を行い、分離液を生物処理に供する。脱水処理により多量の有機性汚泥の脱水ケーキが発生するため、脱水ケーキの減容化が種々検討されている。また、脱水ケーキを助燃剤や堆肥として再利用するために、含水率の低減化が必要とされている。このため、有機性廃水に凝集剤を添加して、凝集フロックとして凝集させた後に脱水処理が行われている。
また、生物処理に先立つ脱水処理において、屎尿及び有機性汚泥を含む有機性廃水は全量が凝集剤添加後に脱水されるため、有機性排水中に含まれている有機物も除去されてしまう。有機性排水中に含まれている有機物は、後続の生物処理において微生物の栄養素となる水素供与体である。有機性廃水の全量脱水処理により、有機物が不足すると、生物処理が不十分となるため、通常はメタノールなどの水素供与体を多量に添加することが必要となる。
したがって、現状の屎尿及び有機性汚泥を含む有機性廃水の処理では、脱水処理に必要な凝集剤及び生物処理に必要な栄養源を多量に添加しなければならず、維持管理費が高額になっている。
特開昭63-7900号公報 特開平6-226290号公報 特開平11-33591号公報
本発明は、脱水処理と生物処理とを組み合わせた有機性廃水の処理において、発生する脱水ケーキの低含水率化及び減容化を達成しながら、維持管理費を低額に抑えることができる処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥との混合汚泥を脱水処理した後に生物処理する有機性廃水処理方法において、脱水処理に供する混合汚泥の一部に凝集剤を添加しないことにより、脱水ケーキの低含水率化及び減容化を達成しながら、凝集剤の添加量を削減すると同時に、後続の生物処理に必要な水素供与体の添加量を削減することができる処理方法を提供する。
本発明によれば、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理する有機性廃水処理方法であって、当該混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程と、当該混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理する工程と、を交互に行うことを特徴とする有機性廃水処理方法が提供される。
前記混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理する工程は、凝集剤を添加する工程と添加しない工程との合計時間の60%以下とすることが好ましい。
前記混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、無機凝集剤及び高分子凝集剤から選択される1種以上の凝集剤を添加することが好ましい。
前記混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、高分子凝集剤を添加した後に無機凝集剤を添加することが好ましい。
前記混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、無機凝集剤を添加した後に高分子凝集剤を添加してもよい。
本発明において、前記混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理することによって得られる分離液を生物処理における水素供与体として利用する。
本発明によれば、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理するための有機性廃水処理装置であって、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥とを混合する混合槽と、当該混合槽の下流に位置づけられ、混合汚泥を脱水する脱水装置と、当該混合槽と当該脱水装置の間に位置づけられ、当該混合槽からの当該混合汚泥に凝集剤を添加して凝集させる凝集反応槽と、当該混合槽から、当該凝集反応槽を経由せずに、当該脱水装置に当該混合汚泥を直接送るバイパス経路と、当該脱水装置からの分離液を貯留する分離液貯留槽と、当該分離液貯留槽からの分離液を処理する生物処理槽と、当該生物処理槽の下流に位置づけられている固液分離槽と、を具備する、有機性廃水処理装置が提供される。
前記混合槽からの混合汚泥を前記凝集反応槽に送る経路と、前記混合槽からの混合汚泥を前記凝集反応槽を経由せずに前記脱水装置に直接送るバイパス経路と、当該経路と当該バイパス経路との切り替えを行う切替弁をさらに具備することが好ましい。
前記脱水装置は、凝集剤を添加した混合汚泥に対しては濃縮機として作用し、凝集剤を添加していない混合汚泥に対してはしさ分離機として作用するスクリーンと、当該スクリーンの下流に位置づけられている脱水機と、を含む脱水装置、あるいはスクリーンとして機能する濃縮部と、当該濃縮部の後段に圧搾部と、を具備する脱水装置でもよい。
また、本発明によれば、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理するための有機性廃水処理装置であって、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥とを混合する混合槽と、当該混合槽の下流に位置づけられ、混合汚泥を脱水する脱水装置と、当該混合槽と当該脱水装置の間に位置づけられ、当該混合槽からの当該混合汚泥に凝集剤を添加して凝集させる凝集反応槽と、当該凝集反応槽への凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構と、当該脱水装置からの分離液を貯留する分離液貯留槽と、当該分離液貯留槽からの分離液を処理する生物処理槽と、当該生物処理槽の下流に位置づけられている固液分離槽と、を具備する、有機性廃水処理装置が提供される。
前記凝集反応槽には、凝集剤を添加しない工程の後に開放する自動弁が設けられているドレン配管が接続されているものでもよい。
さらに前記混合槽と前記凝集反応槽との間にラインミキサを設け、当該ラインミキサに凝集剤を添加する凝集剤添加配管が接続されていることが好ましい。
本発明の有機性廃水処理方法によれば、発生する脱水ケーキの低含水率化及び減容化を達成しながら、脱水処理に必要な凝集剤添加量及び生物処理に必要な水素供与体としての薬品添加量を削減することができるので、維持管理費を削減できる。
本発明の有機性廃水の処理装置及び当該処理装置を用いた有機性廃水処理方法のフローの説明図である。 本発明の別の実施態様を示す処理装置及び処理方法のフローの説明図である。 凝集剤添加と無添加との切り替えのタイムチャートの例を示す説明図である。
好ましい実施形態
図1に、本発明の有機性廃水の処理装置の概略と当該処理装置を用いた処理フローの概略を示す。
屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理するための有機性廃水処理装置は、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥とを混合する混合槽10と、混合槽10の下流に位置づけられている混合汚泥を脱水する脱水装置40と、混合槽10と脱水装置40の間に位置づけられている混合槽10からの混合汚泥に凝集剤を添加して凝集させる凝集反応槽20と、混合槽10から凝集反応槽20へ混合汚泥を送る経路30と、混合槽10から凝集反応槽20を経由せずに脱水装置40に混合汚泥を直接送るバイパス経路30Aと、脱水装置40からの分離液を貯留する分離液貯留槽50と、分離液貯留槽50からの分離液を処理する生物処理槽60と、生物処理槽60の下流に位置づけられている固液分離槽61と、を具備する。
混合槽10は、屎尿及び浄化槽汚泥(有機性汚泥)を受け入れて貯留する中継槽であってもよいし、中継槽とは別に設けてもよい。
図1に示す装置では、バイパス経路30Aに混合汚泥を送るため、混合槽10からの混合汚泥を凝集反応槽20に送る経路30との切り替えを行う切替弁V1、V2が経路30及びバイパス経路30Aに設けられている。切替弁V1、V2としては、公知の自動切替弁を用いることができ、例えば、空気作動弁、電磁弁、電動弁などを用いることができる。
図1に示す装置では、脱水装置40は、凝集剤添加混合汚泥Aに対しては濃縮機として作用し、凝集剤無添加混合汚泥Bに対してはしさ分離機として作用するスクリーン41と、スクリーン41の下流に位置づけられている脱水機42と、を含む。
スクリーン41は、目幅0.7〜6mmを有することが好ましい。目幅が広すぎると、小さな夾雑物を除去できないため、しさ分離機として機能しない。目幅が狭すぎると、目詰まりにより流量負荷が過剰になる。スクリーンとしては、回転式、重力式、加圧式などの通常のスクリーンを用いることができる。
脱水機42は、通常の脱水機、たとえば遠心脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリュープレス型脱水機、ロータリープレス型脱水機、電気浸透式脱水機などを用いることができる。特に、スクリュープレス脱水機は、低動力で低含水率を達成することができるので好ましい。スクリュープレス脱水機は、円筒形外筒の内部に、円筒形外筒と同心のスクリュー軸及びスクリュー羽根を備え、混合汚泥供給側の濃縮部と、円筒形外筒とスクリュー軸との間の空間が混合汚泥の進行方向に向かって次第に狭くなる脱水ケーキ排出側の圧搾部と、が形成されており、円筒形外筒に分離液排出用の複数の開孔を備える。軸摺動型スクリュープレス脱水機は、脱水汚泥出口方向と並行にスクリュー軸が移動し、脱水汚泥を強制排出する機構を有する。これらのスクリュープレス脱水機を用いることで、脱水ケーキの含水率を大幅に低下させることができる。また、独立したスクリーンと脱水機とを組み合わせてなる脱水装置だけでなく、スクリーン機能を奏する濃縮部を前段に含みスクリーンと脱水機とが一体化されている脱水装置は、スクリーンを別途設ける必要がなく装置構成が簡易になるので好ましい。
凝集反応槽20は、混合汚泥及び添加した凝集剤を撹拌混合して、凝集フロックを形成できればよく、公知の撹拌装置を具備する槽を用いることもできる。混合汚泥と凝集剤との混合は、混合汚泥の細部にまで凝集剤を均一に分散させるために、撹拌することが好ましい。これにより、凝集剤の添加量を削減でき、凝集汚泥が緻密になるため脱水処理後の脱水ケーキの含水率を低減できる。撹拌する手段としては、撹拌翼、シャフト、モーターから構成される通常の撹拌機を好適に挙げることができる。また、凝集反応槽20の直前の配管にラインミキサ11を組み込むこともできる。外部のモーターで回転させる撹拌翼を配管内に設けたラインミキサが好ましい。
凝集反応槽20には、凝集反応槽20へ凝集剤を添加する凝集剤添加装置が設けられている。凝集剤添加装置は、通常用いられる薬注装置でよいが、凝集剤添加及び無添加の切り替えを行う制御機構を具備することが好ましい。
脱水装置40にて分離された分離液を貯留する分離液貯留槽50、生物処理槽60及び固液分離槽61は、通常の有機性廃水処理で用いられる装置でよい。分離液貯留槽50は、分離液の組成変動を緩和するために、分離液を少なくとも0.5日間貯留できる容量を有することが好ましい。生物処理槽60は、脱窒素処理、嫌気性処理又は好気性処理を行う装置であることが好ましい。生物処理槽60及び後続の固液分離槽61から生じる余剰汚泥を混合槽10に戻す余剰汚泥送配管62を具備する。また、固液分離槽61からの汚泥を生物処理槽60に戻す汚泥戻し配管62Aを設けてもよい。
脱水装置40にて得られる含水率70%以下の脱水ケーキは、堆肥及び助燃剤として再利用できるため、用途に応じて適宜振り分ける脱水汚泥振分コンベア70を設けてもよい。
図2は、本発明の有機性廃水装置の別の実施形態を示す。図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、説明を省略する。
屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理するための有機性廃水処理装置は、屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥とを混合する混合槽10と、当該混合槽10の下流に位置づけられ、混合汚泥を脱水する脱水装置40と、当該混合槽10と当該脱水装置40の間に位置づけられ、当該混合槽10からの当該混合汚泥に凝集剤を添加して凝集させる凝集反応槽20Aと、当該凝集反応槽20Aへの凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構と、当該脱水装置40からの分離液を貯留する分離液貯留槽50と、当該分離液貯留槽50からの分離液を処理する生物処理槽60と、生物処理槽60の下流に位置づけられている固液分離槽61を具備する。図2に示す有機性廃水処理装置は、図1に示すバイパス経路を含まない。
凝集反応槽20Aには、凝集剤を添加しない工程の後に開放する自動弁V3が設けられているドレン配管21が接続されている。ドレン配管21は、混合槽10に接続されている。なお、ドレン配管21を設けなくてもよい。
次に、図1に示すフローを用いて、本発明の有機性廃水処理方法を説明する。
処理対象となる有機性廃水は、屎尿及び/又は浄化槽汚泥(有機性汚泥)を含む。通常、屎尿及び浄化槽汚泥は、トイレットペーパーなどの夾雑物を含有しており、まず破砕処理が行われる。従来は、破砕後の夾雑物を除去する前処理が行われていたが、最近では前処理を行わず夾雑物を含有したままの屎尿及び浄化槽汚泥を処理することも行われている。本発明では、夾雑物の含有の有無にかかわらず、また、屎尿と浄化槽汚泥との混合比率にかかわらず、破砕の程度及び有無にかかわらず、屎尿及び/又は浄化槽汚泥を含む有機性廃水を処理対象とすることができる。
有機性廃水は、混合槽10において、生物処理により発生する余剰汚泥と混合されて、混合汚泥となる。次いで、混合汚泥は、経路30を経由して凝集反応槽20に送られ、無機凝集剤及び高分子凝集剤と撹拌混合され、凝集フロックが形成されて凝集剤添加汚泥Aとなる。凝集剤添加汚泥Aは、脱水装置40に送られ、スクリーン41で濃縮され、脱水機42で脱水されて、分離液と脱水ケーキとに分けられる。分離液は、分離液貯留槽50に所定時間貯留された後、生物処理槽60に送られ、生物処理された後、固液分離槽61で固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は有機性廃水との混合に使用するため混合槽10に送られる。
図2に示すフローでは、屎尿及び/又は有機性汚泥は、生物処理槽60及び固液分離槽61から余剰汚泥送配管62を経由して供給される余剰汚泥と、混合槽10にて混合される。混合汚泥は、経路30を介して凝集反応槽20Aに送られる。
凝集反応槽20Aにて凝集剤を添加されなかった混合汚泥は、脱水装置40に送られる。混合汚泥中のしさ分がスクリーン41で除去され、脱水機42で脱水される。しさ分が除去された混合汚泥は、分離液として分離液貯留槽50に所定時間貯留された後、生物処理槽60に送られ、生物処理された後、固液分離槽61で固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は有機性廃水との混合に使用するため混合槽10に送られる。
凝集反応槽20Aで凝集剤を添加せずに、ドレン弁V3を開放してドレン21から混合汚泥を抜き出し、混合槽10に戻す。混合槽10にて、新たに供給される屎尿及び/又は有機性汚泥と新たな余剰汚泥がさらに添加され、凝集反応槽20Aに送られる。凝集反応槽20Aにて凝集剤が添加され、凝集剤添加汚泥Aが形成される。このとき、ドレン弁V3は閉じられており、凝集剤添加汚泥Aは脱水装置40に送られる。凝集剤添加汚泥Aは、スクリーン41で濃縮され、脱水機42で脱水されて、分離液と脱水ケーキとに分けられる。分離液は、分離液貯留槽50に所定時間貯留された後、生物処理槽60に送られ、生物処理された後、固液分離槽61で固液分離される。固液分離された水は浄化水として放流されるか又はさらに高度処理に供された後に放流される。固液分離された汚泥は、返送汚泥として生物処理槽60に戻され、余剰汚泥は有機性廃水との混合に使用するため混合槽10に戻される。
混合槽10にて形成される混合汚泥を凝集反応槽20又は20Aに送る経路30に、ラインミキサ11を設けてもよい。混合汚泥には、ラインミキサ11にて凝集剤が添加され、さらに凝集反応槽20又は20Aにて凝集剤が添加される。ラインミキサにおける凝集剤の添加量は、処理すべき有機性廃水の性状によっても異なるが、ラインミキサ11にて添加される凝集剤は、凝集反応槽にて添加される凝集剤と同等量以上であることが好ましい。ラインミキサにおける凝集剤の添加がない場合(すなわち、凝集反応槽20又は20Aでの凝集剤の添加のみ)と、ラインミキサにおける凝集剤の添加がある場合(すなわち、ラインミキサ11と凝集反応槽20又は20Aでの凝集剤の添加)との凝集剤の総添加量は、ほぼ同等量とすることができる。ラインミキサ11と凝集反応槽20又は20Aで添加する凝集剤は高分子凝集剤のみとすることができ、無機凝集剤を使用せずに、高分子凝集剤と無機凝集剤との併用の場合と同等の脱水効果を得ることができる。ラインミキサ11での凝集剤の添加及び混合によって、混合汚泥と凝集剤とは、より一層均一に混合される。
上述のように、本発明においては、有機性廃水と余剰汚泥との混合汚泥に凝集剤を添加せずに直接脱水処理する工程を含む。凝集剤の添加と無添加とは任意の長さの時間で交互に行われる。凝集剤無添加の総時間は、凝集剤添加時間との合計の60%以下、好ましくは40%以下、特に好ましくは20%以下とする。60%を越えると、余剰汚泥発生量が多くなり、混合汚泥中の余剰汚泥の比率が多くなるため、脱水ケーキの低含水率化及び脱水ケーキの減容化が達成されない。凝集剤使用量の削減効果を得るためには、凝集剤無添加の総時間は1%以上とすることが好ましく、5%以上がより好ましい。
凝集剤の添加及び無添加の時間の長さ及び切り替えのタイミングは、生物処理の状態や混合汚泥の性状によって設定することができる。たとえば、屎尿及び/又は有機性汚泥中の水素供与体が多い場合は凝集剤の無添加時間を短くすることができる。凝集剤の添加の切り替えの例を図3に示す。
図3は凝集剤添加時間と無添加時間を任意の異なる長さに設定して交互に行う場合のタイムチャートである。図3(1)〜(3)は、凝集剤添加の切り替えは、図1に示す切替弁V1、V2の開閉をタイマー設定により自動的に切り替え、バイパス経路30Aを利用して行われる。
図3(4)〜(6)は、切替弁V1、V2及びバイパス経路30Aを使用せずに、凝集剤添加制御機構を有する凝集反応槽20Aへの凝集剤の添加及び無添加を交互に行う場合のタイムチャートである。凝集剤の添加は、凝集剤添加装置のON/OFFをタイマー設定により自動的に切り替えることで行うことができる。
図3(7)〜(9)は、図2に示す処理装置において、切替弁V1、V2及びバイパス経路30Aを使用せずに、ドレン弁V3の開閉調節及び凝集剤添加制御機構を有する凝集反応槽20Aへの凝集剤の添加の有無を切り替える場合のタイムチャートである。ドレン弁V3の開放は、凝集反応槽20Aへの凝集剤無添加の後に行うことが好ましい。
なお、ラインミキサ11を具備する装置の場合、凝集剤添加のタイミングは、凝集反応槽20Aへの添加のタイミングと同時である。
後続の脱水処理により含水率70%以下の脱水ケーキを得るためには、凝集剤を添加しない時間は、凝集剤を添加する時間と無添加の時間との合計の60%以下とする。凝集剤を添加しないことにより、有機性廃水中に含まれる有機成分(水素供与体)が脱水処理後の分離液に含まれるため、生物処理に必要な水素供与体(微生物の栄養源)の追加供給を削減することができる。凝集剤の添加と無添加とを交互に行うことにより生じる分離液中有機成分量の変動は、分離液貯留槽50での貯留時間を例えば0.5日以上と長期化することで、相殺することができる。
凝集反応槽に添加される凝集剤は、高分子凝集剤及び無機凝集剤から選択される1種以上とすることができる。特に、単独で使用する場合は高分子凝集剤が好ましい。特にラインミキサを具備する装置を用いる場合には、ラインミキサ及び凝集反応槽に高分子凝集剤のみを添加することができる。また、高分子凝集剤と無機凝集剤とを併用する場合は、高分子凝集剤を添加した後に、無機凝集剤を添加することが好ましい。高分子凝集剤を先に添加して無機凝集剤を後で添加することにより、脱水性能が向上し、高分子凝集剤の添加量を削減することができる。
無機凝集剤としては、ポリ硫酸第二鉄、ポリ塩化第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムを好ましく用いることができる。中でもポリ硫酸第二鉄が特に好ましい。無機凝集剤の添加量は、混合汚泥の性状などによっても異なり、用いる無機凝集剤の種類によっても異なるが、汚泥中の固形物乾燥重量(DS)に対して0.5〜7.0wt%であることが好ましく、特に1.5〜5wt%程度であることがより好ましい。
高分子凝集剤としては、カチオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤等が挙げられる。カチオン性高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などのアクリレート系高分子凝集剤;ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物の重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとの共重合物などのメタクリレート系高分子凝集剤;アミド基、ニトリル基、アミン塩酸塩、ホルムアミド基等を含むポリビニルアミジン;ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物などが挙げられ、例えば市販のエバグロース(水ing株式会社 登録商標)シリーズを用いることができる。両性高分子凝集剤としては、ジメチルアミノメチルアクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物、ジメチルアミノメチルメタクリレートの四級化物とアクリルアミドとアクリル酸との共重合物などをあげることができる。高分子凝集剤の添加量は、混合汚泥の性状などによっても異なるが、汚泥中の固形物乾燥重量(DS)に対して0.5〜3.0wt%であることが好ましく、1.0〜2.5wt%であることがより好ましい。
また、高分子凝集剤の凝集力を低下させることなく、混合汚泥に均一に分散させ、混合汚泥の細部にまで浸透させ、混合汚泥の表面電荷の中和と、高分子の吸着又は架橋作用による凝集とを同時に行わせるため、混合汚泥と凝集剤とを1000回転/分以上の撹拌翼の回転数で撹拌することが好ましい。
なお、本発明の処理装置の構成は上述の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限りにおいて種々変更してもよい。たとえば、図1及び図2において余剰汚泥送配管62に余剰汚泥貯留槽を設けてもよいし、凝集剤として高分子凝集剤を添加する場合には後段にリン回収装置を設けてもよい。図2において、混合槽10と凝集反応槽20との間にラインミキサを複数台設けてもよい。図2において、凝集反応槽20からのドレン21の接続先は、混合槽10として示しているが、混合槽10の前段にある屎尿及び浄化槽汚泥の受入槽(図示せず)でも、余剰汚泥送配管62に設けられた余剰汚泥貯留槽(図示せず)でもよい。また、図1において、バイパス経路30Aと切替弁V1及びV2を設けているが、バイパス経路30Aを混合槽10に接続させて、切替弁の代わりに専用のポンプ及び破砕装置を設けてもよい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
破砕したままで夾雑物を除去していない屎尿及び浄化槽汚泥を含む有機性廃水に、生物処理において生じた余剰汚泥を混合して得た混合汚泥50kL/日を本発明の処理方法で処理する場合と、従来方法で処理する場合を比較した。
図1に示す装置を用い、凝集剤の添加及び無添加の切り替えは、図3(1)に示すタイムチャートに従って行い、T1=48分、T2=12分と設定し、混合汚泥の約20%に対して凝集剤を添加しなかった。
無機凝集剤としてポリ硫酸第二鉄、高分子凝集剤としてエバグロースCS−320(水ing株式会社製カチオン系高分子凝集剤)を用いた。
本実施例では、後続の生物処理を脱窒素処理としたため、窒素(N)の分解を促進させるために、水素供与体としてメタノールを生物処理槽に添加した。
各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率、処理水の水質を表1及び表2に示す。
[実施例2]
図1に示す装置を用い、凝集剤の添加と無添加との切り替2は図3(1)に示すタイムチャートに従って、T1=39分、T2=21分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例3]
バイパス経路を含まない図2に示す装置を用いて、凝集剤の添加及び無添加の切り替えを図3(4)に示すタイムチャートに従って、T1=39分、T2=21分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表1及び表2に示す。
[実施例4]
図2に示す装置を用いて、凝集剤の添加及び無添加の切り替えを図3(7)に示すタイムチャートに従って、T1=39分、T2=21分、T3=3分と設定し、混合汚泥の約35%に対して凝集剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、各薬剤の添加量と、脱水ケーキの含水率及び処理水の水質を測定した。結果を表1及び表2に示す。
処理水の水質を表2に示す。
各検査項目の検査方法は以下の通りである。
水素イオン濃度:JIS K 0102-12.1
生物化学的酸素要求量(BOD):JIS K-0102-21及び-32.1
化学的酸素要求量(CODMn):JIS K-0102-17
浮遊物質量(SS):昭和46年環境庁告示第59号付表8
全窒素:JIS K-0102-45.1
全リン:JIS K-0102-46.3.3
色度:平成4年厚生省令第69号 45
大腸菌群数:昭和37年厚生省・建設省令第1号
混合汚泥の20%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例1)の薬剤の添加量は、混合汚泥の全量に凝集剤を添加した場合に比較して、無機凝集剤を約18%、高分子凝集剤を約21%、メタノールを約50%削減できた。混合汚泥の35%に対して凝集剤を添加しなかった場合(実施例2)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が約34%、高分子凝集剤が約35%、メタノールが約86%、ラインミキサを用いて高分子凝集剤のみを添加した場合(実施例4)の薬剤の添加量の削減率は、無機凝集剤が100%、高分子凝集剤が約30%、メタノールが約86%であった。各実施例とも脱水ケーキの含水率は70%以下を達成し、処理水は放流水質基準を達成した。
本発明の処理方法によれば、凝集剤無添加処理の総時間が凝集剤添加時と無添加時との合計時間の60%以下となるように凝集剤の添加と無添加とを切り替えることにより、脱水ケーキの含水率70%及び処理水の水質基準を達成しながら、メタノール、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれも添加量を削減できた。
脱水処理と生物処理とを併用する屎尿及び浄化槽汚泥を含む有機性廃水の処理における凝集剤及び生物処理における栄養源となる薬剤の使用量を削減できる。

Claims (13)

  1. 屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理する有機性廃水処理方法であって、
    当該混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程と、
    当該混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理する工程と、
    を交互に行うことを特徴とする有機性廃水処理方法。
  2. 前記混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理する工程は、凝集剤を添加する工程と添加しない工程との合計時間の60%以下とする、請求項1に記載の有機性廃水処理方法。
  3. 前記混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、無機凝集剤及び高分子凝集剤から選択される1種以上の凝集剤を添加する、請求項1又は2に記載の有機性廃水処理方法。
  4. 前記混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、高分子凝集剤を添加した後に無機凝集剤を添加する、請求項3に記載の有機性廃水処理方法。
  5. 前記混合汚泥に凝集剤を添加してから脱水処理する工程において、無機凝集剤を添加した後に高分子凝集剤を添加する、請求項3に記載の有機性廃水処理方法。
  6. 前記混合汚泥に凝集剤を添加せずに脱水処理することによって得られる分離液を生物処理における水素供与体として利用する、請求項1〜5のいずれかに記載の有機性廃水処理方法。
  7. 屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理するための有機性廃水処理装置であって、
    屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥とを混合する混合槽と、
    当該混合槽の下流に位置づけられ、混合汚泥を脱水する脱水装置と、
    当該混合槽と当該脱水装置の間に位置づけられ、当該混合槽からの当該混合汚泥に凝集剤を添加して凝集させる凝集反応槽と、
    当該混合槽から、当該凝集反応槽を経由せずに、当該脱水装置に当該混合汚泥を直接送るバイパス経路と、
    当該脱水装置からの分離液を貯留する分離液貯留槽と、
    当該分離液貯留槽からの分離液を処理する生物処理槽と、
    当該生物処理槽の下流に位置づけられている固液分離槽と、
    を具備する、有機性廃水処理装置。
  8. 前記混合槽からの混合汚泥を前記凝集反応槽に送る経路と、
    前記混合槽からの混合汚泥を前記凝集反応槽を経由せずに前記脱水装置に直接送るバイパス経路と、
    当該経路と当該バイパス経路との切り替えを行う切替弁をさらに具備する、請求項7に記載の有機性廃水処理装置。
  9. 前記脱水装置は、
    凝集剤を添加した混合汚泥に対しては濃縮機として作用し、凝集剤を添加していない混合汚泥に対してはしさ分離機として作用するスクリーンと、
    当該スクリーンの下流に位置づけられている脱水機と、
    を含む、請求項7又は8に記載の有機性廃水処理装置。
  10. 前記脱水装置は、スクリーンとして機能する濃縮部と、当該濃縮部の後段に圧搾部と、を具備する、請求項7又は8に記載の有機性廃水処理装置。
  11. 屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理において発生する余剰汚泥と、の混合汚泥を脱水処理した後に、生物処理するための有機性廃水処理装置であって、
    屎尿及び/又は有機性汚泥と、生物処理からの余剰汚泥とを混合する混合槽と、
    当該混合槽の下流に位置づけられ、混合汚泥を脱水する脱水装置と、
    当該混合槽と当該脱水装置の間に位置づけられ、当該混合槽からの当該混合汚泥に凝集剤を添加して凝集させる凝集反応槽と、
    当該凝集反応槽への凝集剤の添加を制御する凝集剤添加制御機構と、
    当該脱水装置からの分離液を貯留する分離液貯留槽と、
    当該分離液貯留槽からの分離液を処理する生物処理槽と、
    当該生物処理槽の下流に位置づけられている固液分離槽と、
    を具備する、有機性廃水処理装置。
  12. 前記凝集反応槽には、凝集剤を添加しない工程の後に開放する自動弁が設けられているドレン配管が接続されている、請求項11に記載の有機性排水処理装置。
  13. さらに前記混合槽と前記凝集反応槽との間にラインミキサを設け、当該ラインミキサに凝集剤を添加する凝集剤添加配管が接続されている、請求項7〜12の何れかに記載の有機性廃水処理装置。
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