JP2014158351A - ファンモータ - Google Patents

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基之 杉浦
Futoshi Yoshimatsu
太 吉松
Satoshi Hatahara
聡 畑原
Shunsuke Takagaki
俊介 高垣
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Abstract

【課題】搭載先の機器の薄型化または小型化に貢献できるファンモータを提供する。
【解決手段】ファンモータは、回転することで風を起こすよう構成された回転体と、回転体を流体動圧軸受を介して回転自在に支持する固定体と、回転体を固定体に対して回転させる駆動機構と、を備える。回転体は、インペラ156が固定されたハブ138を含む。固定体は、スリーブ122を支持するボトムハウジング110を含む。本ファンモータは、回転体の回転軸R上における本ファンモータの厚さが3.2mm以下となるよう構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ファンモータに関する。
ラップトップPC(Personal Computer)やタブレットPCなどの携帯型電子機器の普及が進んでいる。携帯型電子機器には高性能化と共に、軽量化、薄型化も求められている。携帯型電子機器の高性能化を達成するためには、演算能力の高いCPU(Central Processing Unit)などの高性能IC(Integrated Circuit)を搭載することが考えられる。この場合、高性能ICは一般に消費電力も比較的大きいので、より排熱能力の高い冷却機構を携帯型電子機器に搭載することになる。
特許文献1、2には、携帯型電子機器の冷却機構に使用されうるファンモータが開示されている。
特開2006−34055号公報 特開2011−179345号公報
特許文献1、2に開示されるような従来のファンモータは、高い送風能力を達成するために比較的厚く形成されている。しかしながら、このファンモータの厚さは携帯型電子機器の薄型化を進める上でボトルネックとなりうる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は搭載先の機器の薄型化または小型化に貢献できるファンモータの提供にある。
本発明のある態様は、ファンモータに関する。このファンモータは、回転することで風を起こすよう構成された回転体と、回転体を流体動圧軸受を介して回転自在に支持する固定体と、回転体を固定体に対して回転させる駆動機構と、を備える。回転体は、羽根部材が固定されたハブを含む。固定体は、駆動機構を支持するベースを含む。本ファンモータは、回転体の回転軸上における本ファンモータの厚さが3.2mm以下となるよう構成される。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、搭載先の機器の薄型化または小型化に貢献できるファンモータを提供できる。
実施の形態に係るファンモータの上面図および側面図である。 図1のA−A線断面図である。 FPC上に配列された6個のコアレス平板コイルの上面図である。 ボトムハウジング上に固定されたFPCの上面図である。 図2の軸受アセンブリの断面図である。 上層の上面図である。 下層の上面図である。 第1変形例に係るボトムハウジングを備えるファンモータの半断面図である。 第2変形例に係るボトムハウジングの上層の上面図である。 ボトムハウジングの下層の下面図である。 ボトムハウジングの斜視図である。 FPCが取り付けられたボトムハウジングの第1貫通孔付近の断面図である。 第3変形例に係るボトムハウジングの上層の上面図である。 ボトムハウジングの下層の下面図である。 ボトムハウジングを上面側から見た斜視図である。 ボトムハウジングを下面側から見た斜視図である。 第4変形例に係る軸受アセンブリ、シャフトおよびハブの半断面図である。 ラップトップPCに搭載された実施の形態に係る2つのファンモータを示す模式図である。
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
実施の形態に係るファンモータは、ラップトップPCやタブレットPCなどの携帯型電子機器に搭載され、ICなどの電子部品を冷却するために好適に使用される。このファンモータは、遠心送風型の多翼ファンモータである。このファンモータのインペラはコアレスかつブラシレスの磁気駆動機構によって回転駆動される。磁気駆動機構は平板コイル構造を有する。回転中のインペラは流体動圧軸受によって半径方向(すなわち、インペラの回転軸に直交する方向)で支持され、ピボット機構により軸方向(すなわち、インペラの回転軸と平行な方向)に支持される。これらの構造を採用することにより、本実施の形態に係るファンモータは、インペラの回転軸上におけるファンモータの厚さが3.2mm以下となるよう、特に約3.0mmとなるよう構成される。その結果、薄型化が求められる携帯型電子機器により適したファンモータが提供される。
図1は、実施の形態に係るファンモータ100の上面図および側面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。ファンモータ100は、回転することで風を起こすよう構成された回転体と、回転体を流体動圧軸受を介して回転自在に支持する固定体と、回転体を固定体に対して回転させる磁気駆動機構と、を備える。
固定体は、ハウジング102と、軸受アセンブリ104と、を備える。
ハウジング102は、ボトムハウジング110と、トップハウジング112と、サイドハウジング114と、を含む。ボトムハウジング110およびトップハウジング112は、鉄やケイ素鋼などの強磁性体の板により形成され、軸方向で対向している。ボトムハウジング110は、例えば厚さが0.4mmの冷間圧延鋼板をプレス加工することにより形成されてもよい。トップハウジング112には、回転体の回転軸Rを中心とするトップ開口116が形成される。
サイドハウジング114は、ボトムハウジング110の縁とトップハウジング112の対応する縁とに接着等により機械的に結合される。サイドハウジング114は、トップハウジング112をボトムハウジング110に対して支える。ボトムハウジング110、トップハウジング112およびサイドハウジング114は、回転体が収納される収納空間178を画定する。
サイドハウジング114は回転体を部分的に環囲する。サイドハウジング114が途切れる部分は収納空間178とファンモータ100の外部とを連通する通風開口180となっている。回転体の回転中、風はこの通風開口180、トップ開口116および後述のボトム通風孔を通過する。特にハウジング102は平面視で略半円形状を有し、その円周に相当する部分にサイドハウジング114が設けられる。弦に相当する部分にはサイドハウジング114は設けられていない。
以下、ボトムハウジング110からトップハウジング112に向かう向きを上向きと称す。ボトムハウジング110は軸受アセンブリ104を支持する。ボトムハウジング110は、上向きに突出し回転軸Rを環囲する折り返し部118を有する。折り返し部118は、ボトムハウジング110の一部を上向きに折り返すことにより形成される。折り返し部118は円筒形状を有し、折り返し部118の内周面は回転軸Rを中心とする軸受孔120を規定する。
軸受アセンブリ104は、軸受孔120に挿入または嵌合され、そこで接着や圧入等により固定される。軸受アセンブリ104は、スリーブ122と、カバー124と、スラストプレート126と、を有する。
スリーブ122は黄銅(真鍮)の母材を切削加工することにより形成される。なお、スリーブ122をSUS430などの鉄鋼材料から形成してもよい。スリーブ122は切削後に表面に無電解ニッケルめっきが施されている。表面の無電解ニッケルめっきの下地に、例えば、ストライクめっきを施すようにしてもよい。
スリーブ122は後述のシャフト128をラジアル軸受隙間130を介して環囲する。ラジアル軸受隙間130を含む回転体と固定体との隙間には潤滑剤132が注入されている。スリーブ122の外周面は折り返し部118の内周面に接着または圧入もしくはそれらを併用して固定される。
ラジアル軸受隙間130は、シャフト128がスリーブ122に対して回転するとき潤滑剤132に半径方向の動圧が発生する2つのラジアル動圧発生部140、142を含む。2つのラジアル動圧発生部140、142は互いに軸方向に離間し、第1ラジアル動圧発生部140は第2ラジアル動圧発生部142の上側に位置する。2つのラジアル動圧発生部140、142のそれぞれに対応するスリーブ122の内周面の部分には、ヘリングボーン形状またはスパイラル形状の第1ラジアル動圧発生溝144、第2ラジアル動圧発生溝146が形成される。なお、第1ラジアル動圧発生溝144および第2ラジアル動圧発生溝146のうちの少なくともひとつは、スリーブ122の内周面の代わりにシャフト128の外周面に形成されてもよい。
ラジアル動圧発生溝は、例えば、転造加工、電解エッチング加工あるいは切削加工などの方法により形成されてもよい。
ラジアル動圧発生溝について、溝数が少ないと動圧が不足し、溝数が多いと加工精度が低下する可能性がある。したがって、ラジアル動圧発生溝の溝数を、これらの影響が拮抗する値としてもよい。例えば、ラジアル動圧発生溝の溝数を4以上12以下の範囲とすると実用的である。実施の形態では、第1ラジアル動圧発生溝144および第2ラジアル動圧発生溝146の溝数はそれぞれ8本とすることによって、実用的な加工精度を確保しながら動圧の不足を解消している。
ラジアル動圧発生部の内径は、小さくすると動圧が不足し、大きくすると軸受の回転損失が増大する可能性がある。ラジアル動圧発生部140、142の内径を、例えば、1.2mm以上1.8mm以下の範囲とすることができる。この範囲であれば、動圧の大きさと軸受の回転損失とが許容範囲内となることが判明している。実施の形態では、ラジアル動圧発生部140、142の内径は1.5mmから1.6mmの範囲とされる。この範囲であれば、動圧の大きさと軸受の回転損失とが実用範囲内となることが判明している。
ラジアル動圧発生部140、142のそれぞれの軸方向寸法は、0.6mm以上0.8mm以下の範囲にされる。この範囲であれば、動圧の大きさと軸受の回転損失とが実用範囲内となることが判明している。
ラジアル動圧発生部140、142のそれぞれの軸方向外側の二端の間の距離とラジアル動圧発生部の内径の比は0.8以上1.2以下の範囲にしてもよい。実施の形態では当該比は略1とされる。比の値が上記範囲内であれば、動圧の不足を解消し軸受の回転損失の増大を抑制できることが判明している。
スリーブ122の内周面の第1ラジアル動圧発生部140と第2ラジアル動圧発生部142との間に拡径部が設けられる。当該拡径部は潤滑剤溜まりとして機能する。拡径部の軸方向凹み寸法は、一例として、0.05mmから0.2mmの範囲とされる。拡径部の軸方向寸法は、一例として、0.1mmから0.3mmの範囲とされる。
スリーブ122の内周面のラジアル動圧発生部140、142の軸方向外側にはそれぞれ傾斜部が設けられる。傾斜部の軸方向寸法は、一例として、0.05mmから0.3mmの範囲とされる。傾斜部の傾斜角は、一例として中心軸に対して20度から70度の範囲とされる。
回転体が固定体に対して相対的に回転するとき、第1ラジアル動圧発生溝144、第2ラジアル動圧発生溝146はそれぞれ潤滑剤132に動圧を生じさせる。この動圧によって回転体は、固定体と非接触のまま半径方向に支持される。
潤滑剤132の気液界面148は、スリーブ122と後述のハブ138とが対向する上部隙間150に存在する。スリーブ122の上面には回転軸Rを中心とした環状のスリーブ凹部152が形成され、ハブ138の下面にはスリーブ凹部152に進入するハブ凸部154が形成される。気液界面148は、スリーブ凹部152とハブ凸部154との隙間よりも回転軸Rに近い位置(すなわち、内側)に存在する。スリーブ凹部152およびハブ凸部154を設けることにより、潤滑剤132の液漏れを抑制できる。
カバー124はSUS303等の鉄鋼材料から形成され、スリーブ122の下側を塞ぐようスリーブ122に取り付けられる。スラストプレート126はピーク材やポリアセタールなどの樹脂により形成され、平面視で略円形である。スラストプレート126の縁部はスリーブ122とカバー124とよって挟まれて固定されている。すなわち、カバー124はスラストプレート126の縁部をスリーブ122に押し付けることでスラストプレート126を固定する。
スラストプレート126はシャフト128の下端と接触することによりシャフト128を軸方向で支える。シャフト128の下端面は下に凸の球面であり、シャフト128および軸受アセンブリ104は球面ピボット式のスラスト軸受を形成する。スラストプレート126を樹脂から形成することにより、シャフト128の回転に対するスラストプレート126の耐摩耗性が向上すると共に、スラストプレート126とシャフト128との接触抵抗は低減される(すなわち、摩擦係数は比較的低い)。
磁気駆動機構は、フレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits、以下FPCと称す)106と、周方向(回転軸Rを中心とし回転軸Rに垂直な円の接線方向)に沿って配列された6個のコアレス平板コイル108と、マグネット136と、を含む。
FPC106はボトムハウジング110の上面に貼り付けられる。FPC106は、外部の電源端子や制御端子と接続される外部接続部分134を有する。外部接続部分134を介して外部から供給される電力や制御信号は、FPC106内の配線を通り、FPC106上に取り付けられた後述の駆動ICに提供される。駆動ICは、FPC106上に取り付けられた6つのコアレス平板コイル108とFPC106内の配線を通じて接続され、駆動ICから6つのコアレス平板コイル108に電流が供給される。6つのコアレス平板コイル108に3相の略正弦波状の電流が流れることにより、それぞれのコアレス平板コイル108に軸方向に沿って磁束が発生する。
マグネット136は、回転軸Rを環囲するリング状の部材であり、後述のハブ138の下面に接着固定される。なお、後述の通りハブ138は強磁性体から形成されるので、マグネット136とハブ138とには互いに引きつけ合う磁力が作用する。マグネット136は、例えば、ネオジウムなどの希土類磁石材料やフェライト磁石材料を圧縮成型することによって形成される。マグネット136の表面には、エポキシ樹脂などの樹脂を塗布することにより樹脂被膜が形成される。
マグネット136には周方向に沿って10極の駆動用着磁が施される。各磁極は軸方向に沿った磁束を発生させる。各磁極は、コアレス平板コイル108の磁束発生面と軸方向で対向する。コアレス平板コイル108とマグネット136との磁気的な相互作用により、マグネット136にトルクが発生し、このトルクによって回転体が固定体に対して回転する。
回転体は、シャフト128と、ハブ138と、インペラ156と、を含む。
シャフト128は、SUS420J2などの鉄鋼材料の母材を切削加工、研磨加工または研削加工することにより形成される。シャフト128は回転軸Rに沿って延在する。ハブ138には回転軸Rを中心とするシャフト孔158が形成されている。シャフト128の上端はこのシャフト孔158に挿入され、接着または圧入もしくはそれらの併用により固定される。したがって、シャフト128とハブ138とは一体に回転する。ハブ138は、SUS430などの強磁性体の母材を切削加工またはプレス加工することにより形成される。
なお、シャフト128は、環状のブッシュなどの仲介部材を介してシャフト孔158に結合されてもよい。
ハブ138は、シャフト128の上端を環囲してその上端に固定され、半径方向に沿って外向きに延在するシャフト取付部160と、シャフト128を環囲するよう、シャフト取付部160の外周側から下向きに突出するシャフト環囲部162と、シャフト環囲部162から半径方向に沿って外向きに延在し、マグネット136を保持するマグネット保持部164と、を有する。シャフト孔158はシャフト取付部160に設けられる。
スリーブ122は、シャフト環囲部162と半径方向で対向する第1外周面166と、シャフト環囲部162と軸方向で対向する第2外周面168と、を有する。第2外周面168とシャフト環囲部162との円板状隙間と、第1外周面166とシャフト環囲部162との円筒状隙間と、シャフト取付部160とスリーブ122との上部隙間150と、ラジアル軸受隙間130と、は連通している。
インペラ156は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの樹脂からプラスチックモールド成型により一体に形成される。インペラ156は、ハブ138の外周縁すなわちマグネット保持部164の外周面に接着または圧入もしくはそれらの併用により固定される。インペラ156は、マグネット保持部164を環囲してマグネット保持部164に固定される円環部170と、円環部170から半径方向外向きに伸びる複数の内羽根172と、各内羽根172の半径方向外側の端部からさらに半径方向外向きに伸びる外羽根174と、を有する。複数の内羽根172は周方向で等間隔に配置される。
各内羽根172は、それに接続されている外羽根174よりも軸方向で上向きに突出している。特に、各内羽根172の上端はトップ開口116に進入する。各内羽根172とそれに接続されている外羽根174との境界176はトップ開口116の縁に対応する。
図3は、FPC106上に配列された6個のコアレス平板コイル108の上面図である。コアレス平板コイル108はFPC106の上面に接着により固定されている。コアレス平板コイル108の巻き始めおよび巻き終わりのワイヤ(不図示)は、FPC106の配線とはんだ付けにより電気的に接続されている。コアレス平板コイル108は平面視で略台形の空芯コイルである。コアレス平板コイル108は自己融着線(self-bonding wire)を巻き回すことで形成される。
6個のコアレス平板コイル108は回転軸Rについて非回転対称となるよう配置される。回転軸Rを基準とするコアレス平板コイル108の角度位置と、そのコアレス平板コイル108に隣接するコアレス平板コイル108の角度位置と、の差をコイルピッチ角度と称す。6個のコアレス平板コイル108について6個のコイルピッチ角度が存在する。本実施の形態では、あるコイルピッチ角度θ1は他の5個のコイルピッチ角度θ2よりも大きく、他の5個のコイルピッチ角度θ2は略等しい。具体的には、あるコイルピッチ角度θ1は120度、他の5個のコイルピッチ角度θ2はそれぞれ48度である。
6個のコアレス平板コイル108に電力を供給する駆動IC182は、FPC106の上面のうち隣接する2つのコアレス平板コイル108の間の部分に取り付けられる。特に駆動IC182は、周方向において、より大きなコイルピッチ角度θ1を形成する2つのコアレス平板コイル108の間に配置される。
駆動IC182の半径方向の配置について、駆動IC182は、インペラ156よりも内側でインペラ156とボトムハウジング110との間の領域を避けた位置に配置される。図3の破線の円184は、インペラ156の内周面に対応する。駆動IC182はこの円184よりも内側すなわち回転軸Rに近い側に配置される。また、インペラ156はこの円184よりも外側に存在するので、駆動IC182は、インペラ156とボトムハウジング110とに挟まれる領域には存在しない。
図4は、ボトムハウジング110上に固定されたFPC106の上面図である。ボトムハウジング110には3つのボトム通風孔186が形成されている。ボトムハウジング110の上面には、FPC106の配置経路に沿ってボトム凹部188が設けられる。FPC106はボトム凹部188に収容される。ボトム凹部188はボトムハウジング110を切削加工またはプレス加工することにより形成される。
図5は、軸受アセンブリ104の断面図である。スリーブ122は、シャフト128を環囲する内側部分190と、内側部分190を環囲する外側部分192と、を含む。内側部分190および外側部分192は、それらの下面の境界付近にカバー凹部194を形成する。カバー124の外周縁は上向きに折り曲げられている。そのように折り曲げられた部分196はカバー凹部194に圧入されるかまたは、圧入および接着を併用してカバー凹部194に固定される。後者の場合、接着剤は潤滑剤132の漏れ出しを抑制するシール剤としても機能する。
このように、軸受アセンブリ104は、カバー124とスリーブ122とが半径方向で対向して接する部分198が、シャフト128の下端およびスラストプレート126を環囲するよう構成される。これにより、部分198の軸方向の長さを大きくしても軸受アセンブリ104全体の厚さはそれほど増えない。したがって、カバー124とスリーブ122との接合強度を高めつつ、それによる軸受アセンブリ104全体の厚さの増加を抑えることができる。
以上のように構成されたファンモータ100の動作を説明する。インペラ156を回転させるために、駆動IC182から3相の電流が6個のコアレス平板コイル108に供給される。電流がコアレス平板コイル108を流れることにより、コアレス平板コイル108に磁束が発生する。この磁束によってマグネット136にトルクが与えられ、インペラ156が回転する。インペラ156の回転により通風開口180から風が吹き出す。
本実施の形態に係るファンモータ100によると、排気性能や消費電力の悪化を抑えつつ、ファンモータ100をさらに薄くすることができる。具体的には、回転軸R上におけるファンモータ100の厚さT1(図2参照)は3.2mm以下となる。このようなファンモータ100の薄型化に寄与する主な要因は以下の通りである。
(甲)インペラ156の羽根の一部がトップ開口116に進入している。トップハウジング112と内羽根172とを重複させることにより、羽根の送風面の面積の低下を抑えつつファンモータ100の薄型化を進めることができる。
(乙)コアレス平板コイル108を使用した軸方向対向型の磁気駆動機構の採用。コアがない分、ファンモータ100をさらに薄くできる。
(丙)流体動圧軸受の採用。
(丁)FPC106はボトム凹部188に収容される。これにより、基本的にはFPC106の厚さ分ファンモータ100全体を薄くできる。
ファンモータ100がラップトップPCやタブレットPCに搭載される場合、ファンモータ100はLCD(Liquid Crystal Display)パネルと底板との間に配置されるのが一般的である。薄型化の要請から、LCDパネルの上面から底板の下面まで厚さを、例えば、9mm以下とする場合を考える。ファンモータ100を除く他の部材や隙間の一般的な厚さは以下の通りである。
LCDパネルの厚さ=4mm
底板の厚さ=0.6mm
ファンモータ100とLCDパネルとの隙間=0.6mm
ファンモータ100と底板との隙間=0.6mm。
したがって、ファンモータ100の厚さは3.2mm以下であることが求められるが、ファンモータ100は確かにその要件を満たしている。このように、ファンモータ100は薄型化が求められている電子機器への搭載に適している。
また、本実施の形態に係るファンモータ100では、シャフト環囲部162とスリーブ122との間に円板状隙間および円筒状隙間を設けることにより、潤滑剤132の気液界面148から外部の大気に至る経路の空気抵抗を増大させている。これにより、潤滑剤132の蒸発のスピードや漏れ出しを抑制し、ファンモータ100の寿命を延ばすことができる。
また、本実施の形態に係るファンモータ100では、駆動IC182は、インペラ156よりも内側でインペラ156とボトムハウジング110との間の領域を避けた位置に配置される。遠心送風型のファンモータ100では、この位置はインペラ156の回転により発生する気流の主たる経路から外れる。したがって、気流に対する駆動IC182の筐体の影響を低減することができる。
特に、ファンモータの厚さが小さくなってくると、駆動ICの嵩は相対的に大きくなる。したがって、上記の気流に対する影響の低減効果は、ファンモータが薄いほどより顕著となる。
また、本実施の形態に係るファンモータ100では、コアレス平板コイル108は必ずしも回転軸Rに対して回転対称に配置される必要はないことに鑑み、周方向で隣接する2つのコアレス平板コイル108の間に駆動IC182が配置されている。したがって、駆動IC182を回転軸Rのより近くに配置することが可能となる。
以上、実施の形態に係るファンモータ100の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、その各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、軸受アセンブリ104がボトムハウジング110に固定され、シャフト128が軸受アセンブリ104に対して回転する場合について説明したが、これに限られない。例えば、シャフトがボトムハウジングに固定され、軸受アセンブリがハブと共にシャフトに対して回転するようなシャフト固定型のファンモータに、本実施の形態に係る技術的思想を適用してもよい。
実施の形態では、6個のコアレス平板コイル108を使用する場合について説明したが、これに限られない。マグネットの極数とコイルの数との関係は、実施の形態における10極6コイルの他に、例えば4極6コイル、8極6コイル、12極6コイル、10極6コイル、12極9コイル等であってもよい。この関係は、駆動ICを配置するためのスペースやファンモータ100の大きさや電気的特性等を考慮して適宜選択されればよい。
実施の形態では、ボトム凹部188を一枚のボトムハウジング110に対する切削加工またはプレス加工により形成する場合について説明したが、これに限られない。例えば、ボトムハウジングは多層構造を有してもよい。この場合、ボトム凹部は、ボトムハウジングの表面に対応する層に形成された切り欠きに対応する。
第1変形例に係るボトムハウジング210は、上層212に下層214を貼り付けた2層構造を有する。
図6は、上層212の上面図である。上層212には、3つのボトム通風孔186に対応する上部通風孔218と、ボトム凹部188に対応する上部切り欠き220と、軸受孔120に対応する上部軸受孔260と、が形成されている。
図7は、下層214の上面図である。下層214には、3つのボトム通風孔186に対応する下部通風孔222と、軸受孔120に対応する下部軸受孔262と、が形成されている。
図8は、第1変形例に係るボトムハウジング210を備えるファンモータの半断面図である。
かしめや接着によって上層212と下層214とを貼り合わせることにより、図4に示されるボトムハウジング110と同様の形状を有するボトムハウジング210が形成される。
図9は、第2変形例に係るボトムハウジング310の上層312の上面図である。上層312には、プレス切断加工により第1貫通孔320が形成されている。
図10は、ボトムハウジング310の下層314の下面図である。下層314には、プレス切断加工により第1切り欠き322が形成されている。
図11は、ボトムハウジング310の斜視図である。図12は、FPC306が取り付けられたボトムハウジング310の第1貫通孔320付近の断面図である。かしめや接着によって上層312と下層314とを貼り合わせることにより、ボトムハウジング310が形成される。ボトムハウジング310の下面に第1切り欠き322によって形成されるボトム凹部は、FPC306を収容する。第1貫通孔320は第1切り欠き322と連通する。FPC306は第1貫通孔320を通過してボトムハウジング310の上面に引き出される。
図13は、第3変形例に係るボトムハウジング410の上層412の上面図である。上層412には、プレス切断加工により第2貫通孔420が形成されている。
図14は、ボトムハウジング410の下層414の下面図である。下層414には、プレス切断加工により第2切り欠き422が形成されている。
図15は、ボトムハウジング410を上面側から見た斜視図である。図16は、ボトムハウジング410を下面側から見た斜視図である。
一枚のボトムハウジングを切削加工やプレス加工することでボトム凹部を形成する場合、比較的薄いボトムハウジングの表面にさらに非貫通の凹部を設ける必要があるので、比較的高い加工精度が要求される。これに対して第1から第3変形例によると、基本的には板材に孔や切り欠きを設ける加工によってボトム凹部を形成できる。これにより、貼り合わせ処理の手間を考慮してもボトムハウジングの形成がより容易となり、製造コストを低減できる。
また、第1から第3変形例によると、上層または下層の厚さ自体がボトム凹部の深さになるので、ボトム凹部の深さのばらつきを抑えることができる。また、第1から第3変形例によると、ファンモータはコアレス平板コイル108の底面に金属板を複数積層する構造となるので、渦電流による損失を低減し、電気効率を高めることができる。
実施の形態では、スリーブ122は単一の部材である場合について説明したが、これに限られない。例えば、スリーブは、焼結金属等の多孔質材料により形成された多孔質部分と、そうでない非多孔質部分と、を有してもよい。この場合、多孔質部分には潤滑剤が含浸される。多孔質部分はスリーブとシャフトとの隙間に面する表面を有する。
図17は、第4変形例に係る軸受アセンブリ504、シャフト128およびハブ138の半断面図である。軸受アセンブリ504は、カバー124と、スラストプレート126と、スリーブ522と、を含む。スリーブ522は、焼結金属により形成される含浸部530と、軸方向で含浸部530を挟む上側部分532、下側部分534と、含浸部530を環囲する外側部分536と、を有する。含浸部530はディスク状であり、含浸部530の内周面538はラジアル軸受隙間130に面している。潤滑剤132はこの内周面538を通じて含浸部530に含浸される。
本変形例によると、ファンモータが保持可能な潤滑剤132の量を増やすことができる。その結果、潤滑剤132の量に関してファンモータの寿命を延ばすことができる。
携帯型電子機器に実施の形態に係るファンモータ100を複数搭載することも可能である。図18は、ラップトップPCに搭載された実施の形態に係る2つのファンモータ100を示す模式図である。図18はラップトップPCの内部を背面から見た図に対応する。図18では、説明を分かりやすくするため、バッテリ等の他の部材の表示は省略する。
2つのファンモータ100が生成する風は金属製の伝熱バー602に吹きつけられる。一方のファンモータ100は伝熱バー602の一端に風を吹き付け、他方のファンモータ100は伝熱バー602の他端に風を吹き付けている。一方のファンモータ100の回転軸は他方のファンモータ100の回転軸と略平行である。一方のファンモータ100のインペラの回転の向きは他方のファンモータ100のインペラの回転の向きと逆である。
伝熱バー602の中間部分は基板604に取り付けられている。基板604上にはCPU606やメモリ608等のICが取り付けられている。2つのファンモータ100は、伝熱バー602を介して間接的にこれらのICを冷却する。
100 ファンモータ、 102 ハウジング、 104 軸受アセンブリ、 106 FPC、 108 コアレス平板コイル、 122 スリーブ、 124 カバー、 128 シャフト、 132 潤滑剤、 136 マグネット、 138 ハブ、 R 回転軸。

Claims (12)

  1. 回転することで風を起こすよう構成された回転体と、
    前記回転体を流体動圧軸受を介して回転自在に支持する固定体と、
    前記回転体を前記固定体に対して回転させる駆動機構と、を備え、
    前記回転体は、羽根部材が固定されたハブを含み、
    前記固定体は、前記駆動機構を支持するベースを含み、
    本ファンモータは、前記回転体の回転軸上における本ファンモータの厚さが3.2mm以下となるよう構成されることを特徴とするファンモータ。
  2. 前記駆動機構は、
    前記ベースに固定され、軸方向に沿って磁束を発生させる磁束発生部と、
    前記ハブに固定され、前記磁束発生部と軸方向で対向するマグネットと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のファンモータ。
  3. 前記磁束発生部は、周方向に沿って設けられた6個または9個のコイルを有し、
    前記マグネットには前記コイルに対応する複数の磁極が周方向に沿って形成され、
    前記ハブは磁性体から形成されることを特徴とする請求項2に記載のファンモータ。
  4. 前記回転体は、前記回転体の回転軸に沿って延在し、前記ハブと一体に回転するシャフトを含み、
    前記固定体は、潤滑剤を介して前記シャフトを環囲するスリーブを含み、
    前記ハブは、
    前記シャフトの一端を環囲してその一端に固定され、半径方向に沿って延在する第1部分と、
    前記シャフトを環囲するよう、前記第1部分の外周側から突出する第2部分と、を有し、
    前記スリーブは、
    前記第2部分と半径方向で対向する第1外周面と、
    前記第2部分と軸方向で対向する第2外周面と、を有し、
    前記第2外周面と前記第2部分との第1隙間と、前記第1外周面と前記第2部分との第2隙間と、前記第1部分と前記スリーブとの第3隙間と、前記シャフトと前記スリーブとの第4隙間と、は連通していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のファンモータ。
  5. 前記羽根部材は、
    前記ハブを環囲して前記ハブに固定される円環部と、
    前記円環部から半径方向外向きに伸びる複数の内羽根と、
    前記複数の内羽根のうちの少なくともひとつの半径方向外側の端部からさらに半径方向外向きに伸びる外羽根と、を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のファンモータ。
  6. 前記固定体は、前記ベースと軸方向で対向するカバーを含み、
    前記カバーには、前記回転体の回転軸を中心とする開口が設けられ、
    前記複数の内羽根は、その一部が前記カバーの開口に進入するよう前記外羽根よりも軸方向で突出しており、
    前記複数の内羽根と前記外羽根との境界は前記カバーの開口の縁に対応することを特徴とする請求項5に記載のファンモータ。
  7. 前記固定体は、
    前記ベースと軸方向で対向するカバーと、
    前記カバーを前記ベースに対して支える側壁部と、を含み、
    前記ベース、前記カバーおよび前記側壁部は、前記回転体が収納される収納空間を画定し、
    前記カバーには、前記回転体の回転軸を中心とする開口が設けられ、
    前記側壁部は前記回転体を部分的に環囲し、
    前記回転体の回転中、風は前記側壁部が途切れる部分を通過することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のファンモータ。
  8. 前記駆動機構に電力を供給する集積回路をさらに備え、
    前記集積回路は、前記羽根部材よりも内側で前記羽根部材と前記ベースとの間の領域を避けた位置に配置されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のファンモータ。
  9. 前記駆動機構に電力を供給する集積回路をさらに備え、
    前記6個または9個のコイルは前記回転体の回転軸について非回転対称となるよう配置され、
    前記集積回路は隣接するコイルの間に配置されることを特徴とする請求項3に記載のファンモータ。
  10. 前記駆動機構に供給される電力を伝達する配線部材をさらに備え、
    前記ベースには前記配線部材の配置経路に沿って凹部が設けられ、
    前記配線部材は前記凹部に収容されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のファンモータ。
  11. 前記ベースは多層構造を有し、
    前記凹部は、前記ベースの表面に対応する層に形成された切り欠きに対応することを特徴とする請求項10に記載のファンモータ。
  12. 回転することで風を起こすよう構成された別の回転体をさらに備え、
    前記別の回転体の回転軸は前記回転体の回転軸と略平行であり、
    前記別の回転体の回転の向きは前記回転体の回転の向きと逆であることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のファンモータ。
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