JP2014157698A - 蛍光光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の蛍光光源装置は、励起光により励起される蛍光体による波長変換部材を備えてなる蛍光光源装置であって、前記波長変換部材における励起光受光面に、略錐状の凸部が周期的に配列されてなる周期構造が形成されており、当該周期構造の周期が前記蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであり、前記波長変換部材の裏面には、誘電体多層膜からなる光反射膜が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
具体的に、特許文献1には、図7に示すように、プロジェクター装置の緑色光源として、青色領域で発振するレーザ光を放射するレーザ光源51と、蛍光ホイール52と、当該蛍光ホイール52を回転させるためのホイールモーター53とを備えてなる蛍光光源装置が用いられている。この蛍光光源装置の蛍光ホイール52は、レーザ光源51からのレーザ光を透過する基材に、当該レーザ光で励起される蛍光体よりなる波長変換部材の層が形成されてなるものである。
図7において、61は、コリメートレンズであり、62は、赤色発光ダイオードよりなる赤色光源である。また、63A,63B,63C,64A,64B,64Cは、集光レンズである。また、65は、緑色光源からの光を透過し、赤色光源からの光を反射するダイクロイックミラーであり、66は、導光装置入射レンズである。また、67は、反射ミラーであり、68は、導光装置である。
具体的に、特許文献2には、図8に示すように、レーザ光源からのレーザ光で励起される蛍光体(YAG焼結体)よりなる波長変換部材71が基板72上に硫酸バリウムよりなる熱膨張吸収層73を介して接合され、この接合体がレーザ光源に対して固定的に設けられた蛍光光源装置が開示されている。
図8において、74は金属よりなる放熱プレートであり、75は放熱用ヒートシンクである。
前記波長変換部材における励起光受光面に、略錐状の凸部が周期的に配列されてなる周期構造が形成されており、当該周期構造の周期が前記蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであり、
前記波長変換部材の裏面には、誘電体多層膜からなる光反射膜が形成されていることを特徴とする。
また、波長変換部材における励起光受光面に形成された周期構造の周期が、蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであることにより、当該蛍光体から放射される蛍光を高い効率で外部に放射することができ、その結果、一層高い発光効率が得られる。
そして、波長変換部材の裏面に誘電体多層膜よりなる光反射膜が形成されていることにより、当該波長変換部材の内部において発生された蛍光を高効率で取り出すことができ、その結果、より一層高い発光効率が得られる。
図1は、本発明の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す説明図であり、図2は、図1に示す蛍光光源装置における蛍光発光部材の構成を示す説明用断面図である。
この蛍光光源装置は、図1に示すように、青色領域の光を放射するレーザダイオード10と、このレーザダイオード10に対向して配置された、当該レーザダイオード10から放射されるレーザ光である励起光Lによって励起されて緑色領域の蛍光L1を放射する蛍光体から形成された蛍光部材22よりなる波長変換部材を有する蛍光発光部材20とを備えてなる。
レーザダイオード10と蛍光発光部材20との間における当該レーザダイオード10に接近した位置には、レーザダイオード10から入射された励起光Lを平行光線として出射するコリメータレンズ15が配置されている。また、コリメータレンズ15と蛍光発光部材20との間には、レーザダイオード10からの励起光Lを透過すると共に蛍光発光部材20からの蛍光L1を反射するダイクロイックミラー16が、コリメータレンズ15の光軸に対して例えば45°の角度で傾斜した姿勢で配置されている。
図1では、1つのレーザダイオード10の光を用いているが、レーザダイオード10が複数あり、蛍光発光部材20の前に集光レンズを配置させ、集光光を蛍光発光部材20に照射する形態であってもよい。また、励起光はレーザダイオード10による光に限るものではなく、蛍光発光部材20における蛍光体を励起することができるものであれば、LEDによる光を集光したものでもよく、更には、水銀、キセノン等が封入されたランプからの光であってもよい。尚、ランプやLEDのように放射波長に幅を持つ光源を利用した場合には、励起光の波長は主たる放射波長の領域である。ただし、本発明においては、これに限定されるものではない。
そして、波長変換部材(この例においてはすなわち蛍光部材22)の裏面(図2において下面)には、誘電体多層膜よりなる光反射膜24が形成されている。
また、蛍光部材22を構成する多結晶の蛍光体は、例えば以下のようにして得ることができる。先ず、母材、賦活材および焼成助剤などの原材料をボールミルなどによって粉砕処理することによって、サブミクロン以下の原材料微粒子を得る。次いで、この原材料微粒子を例えばスリップキャスト法によって焼結する。その後、得られた焼結体に対して熱間等方圧加圧加工を施すことによって、気孔率が例えば0.5%以下の多結晶の蛍光体が得られる。
本発明において、周期構造の周期とは、周期構造において互いに隣接する凸部間の距離(nm)を意味する。
このように、波長変換部材の励起光受光面(この例においては蛍光部材22の表面)に周期構造23が形成されていることによって、蛍光部材22の表面において励起光Lが反射することを防止または抑制することができる。このような作用が生じるのは、以下の理由による。
図3は、励起光Lが蛍光部材22の表面に垂直な方向に入射した場合において、当該励起光Lが伝播する媒体の屈折率の変化をマクロ的に示した図であり、(a)は蛍光部材22の一部を拡大して示す断面図であり、(b)は蛍光部材22の表面に対して垂直な方向における位置と屈折率とのマクロ的な関係を示すグラフである。この図3に示すように、励起光Lが、空気(屈折率が1)中から蛍光部材22(屈折率がN1 )の表面に照射されたときに、周期構造23を構成する錐状の凸部23aのテーパ面に対して傾斜した方向から入射されるので、マクロ的に見ると、励起光Lが伝播する媒体の屈折率は、蛍光部材22の表面に垂直な方向に向かって1からN1 に緩やかに変化することとなる。従って、蛍光部材22の表面に、屈折率が急激に変化する界面が実質的にないため、蛍光部材22の表面において励起光Lが反射することを防止または抑制することができる。
一方、周期構造23が形成されていない場合には、傾斜面を屈折率の異なる2つの媒体の境界面とみなすようになるため、その屈折率差に従った反射光が生じてしまう。
この条件を満足することにより、蛍光部材22を構成する蛍光体から放射される蛍光L1を高い効率で当該蛍光部材22の表面から外部に放射することができる。具体的に説明すると、図4に示すように、蛍光部材22内で生じた蛍光L1の蛍光部材22の表面(蛍光部材22と空気との界面)に対する入射角θIが臨界角未満である場合には、蛍光部材22の表面を透過する透過光L2として無反射で蛍光部材22の表面から外部に取り出される。また、蛍光L1の蛍光部材22の表面に対する入射角θIが臨界角以上である場合には、例えば蛍光部材22の表面が平坦面であるときには、蛍光L1は、蛍光部材22の表面において全反射して反射光L3として蛍光部材22の内部に向かうため、蛍光部材22の表面から外部に取り出すことができない。しかしながら、蛍光部材22の表面に上記の条件を満足する周期dを有する周期構造23が形成されることにより、蛍光L1は、蛍光部材22の表面において周期構造23によって回折が生じることとなる。その結果、−1次回折光L4として蛍光部材22の表面から出射角θm(θm<θI)で出射されて外部に取り出される。
具体的には、Ag+増反射保護膜(SiO2 又はAl2 O3 )の2層構造のものや、シリカ(SiO2 )層およびチタニア(TiO2 )層が交互に積層されてなるもの、窒化アルミニウム(AlN)層および酸化アルミニウム(Al2 O3 )層が交互に積層されてなるものなどが挙げられ、誘電体多層膜を構成する層の材料としては、AlN、SiO2 、SiN、ZrO2 、SiO、TiO2 、Ta2 O3 、Nb2 O5 等から選択することができる。
例えば、SiO2 /Ta2 O3 、SiO2 /Nb2 O5 、SiO2 /TiO2 の組み合わせの誘電体多層膜の中では、TiO2 、Nb2 O5 およびTa2 O3 の屈折率が、TiO2 >Nb2 O5 >Ta2 O3 の順であり、SiO2 の総膜厚はSiO2 /TiO2 の組み合わせの誘電体多層膜のときに薄くなる。このため、誘電体多層膜の熱抵抗が低くなり、熱伝導が良好なものとなる。
このため、窒化アルミニウム(AlN)層および酸化アルミニウム(Al2 O3 )層が交互に積層されてなるものを用いることが好ましい。窒化アルミニウム(AlN)層および酸化アルミニウム(Al2 O3 )層が交互に積層されてなる誘電体多層膜を用いた場合には、当該誘電体多層膜の熱伝導率が更に良好なものであるために、波長変換部材の温度上昇を抑制することができ、従って、温度消光による光量低下を抑止することができる。
また、誘電体多層膜は、銀の単層膜に比べて硫化、酸化の影響がないため、SiO2 等からなる保護膜を必要としない。このため、簡便な構造をとることが可能となり、また、高い耐候性が得られる。従って、波長変換部材の内部において発生された蛍光の取り出し効率が低下することを抑止することができる。
接合部材層25は、半田、銀(Ag)焼結材、銀(Ag)エポキシ接着材等から形成されたものとすることができる。このとき、接合部材層25を半田から形成されたものとする場合は、蒸着膜中の接合部材層25に接触する膜としてTi/Pt/Au=30nm/500nm/500nmの膜を形成することによって、Ptによって更に半田のSnの拡散を抑制することができ、その結果、接合部材層25の長期信頼性を確保することができる。更には、より高い融点の半田を使用する場合は、Ti/Ptを積層し、最終膜としてAuを積層する構成にしてもよい。
また、反射部材は、少なくとも波長変換部材と同等の高さを有することが好ましいが(図5参照)、図6に示されるように、波長変換部材よりも高い構成とされていてもよい。このような構成とすることにより、レーザ光を確実に波長変換部材の励起光受光面に照射することができる。図6において、反射部材を符号48で示す。
これらの筒状鏡面反射部材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、セラミック等からなる接着剤層26によって基板21上に固定することができる。
筒状鏡面反射部材を固定するための接着剤層26は、下記の反射部材28の材料から形成されていてもよい。このような反射材料によって筒状鏡面反射部材を固定した場合、接着剤層26に入射した蛍光も拡散反射され、蛍光を高効率で取り出すことができる。また、波長変換部材に再入射した場合にも光の向きが変わっているため、蛍光を高効率で取り出すことができる。
反射部材を波長変換部材に接触した状態のものとする場合には、上記の材料を波長変換部材の周側面に接触する状態に塗布後、硬化または焼成することにより形成することができる。
また、反射部材を波長変換部材と離間した状態のものとする場合には、上記の材料を別個に適宜の形状に形成した状態で硬化または焼成し、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、セラミック、低融点硝子、ゾルゲル等からなる接着剤層26によって基板21上に固定することにより、形成することができる。
また、当該反射面28aが拡散反射面であることにより、波長変換部材の周側面から出射された蛍光が、波長変換部材の内部に戻されるときに拡散反射によってその方向が変化されて波長変換部材の正面方向(励起光受光面方向)に取り出されやすくなるので、当該波長変換部材の内部において発生された蛍光をさらに高効率で取り出すことができる。
尚、本実施形態の励起光としてはレーザダイオード10から放射されるレーザ光を用いたが、励起光はレーザダイオード10の光に限るものではなく、蛍光体を励起できるものであればよい。例えば、LEDの光を集光したものでもよく、更には、水銀や、キセノンガス等が封入された放電ランプ等からの光であってもよい。
また、当該周期構造23の周期dが、蛍光部材22を構成する蛍光体L1から放射される蛍光L1の回折が発生する範囲の大きさとされる。これにより、当該蛍光体から放射される蛍光L1を高い効率で外部に取り出すことができ、その結果として、一層高い発光効率が得られる。
そして、蛍光部材22の裏面に誘電体多層膜よりなる光反射膜24が形成されていることにより、当該蛍光体の内部において発生された蛍光を高効率で取り出すことができ、その結果、より一層高い発光効率が得られる。
例えば、波長変換部材が蛍光部材のみから形成されたものであることに限定されず、波長変換部材が、周期構造が形成されていない板状の蛍光部材の表面上に、表面に周期構造が形成された周期構造体層が積層されてなるものであってもよい。このような例の蛍光発光部材においては、周期構造体層の表面が励起光受光面とされる。
周期構造体層の表面に形成された周期構造は、図1に示す蛍光光源装置において蛍光部材22の表面に形成された周期構造23と同様の形状を有するものとすることができる。
周期構造体層を構成する材料としては、屈折率が蛍光部材の屈折率以上のものを用いることが好ましい。このような材料によって周期構造体層を構成することにより、蛍光が蛍光部材から周期構造体層に入射されたとき、周期構造体層内の蛍光の角度は入射角度よりも小さくなり、出射面の法線方向に近づくため、より蛍光が取り出されやすくなる。
基板、蛍光部材、光反射膜、接合部材層および反射部材の構成は、当該蛍光部材の表面に周期構造が直接形成されていないことを除き、図1に示す蛍光光源装置と同様である。
図2に示す構成に従い、下記の仕様の蛍光発光部材〔A1〕を作製した。
[基板(21)]
材質:アルミ基板,寸法:25mm(縦)×25mm(横)×1mm(厚み)
[蛍光部材(22)]
材質:LuAG 屈折率=1.83,励起波長=445nm、蛍光波長=535nm),寸法:1.7mm(縦)×3.0mm(横)×130μm(厚み)
[周期構造(23)]
凸部(23a)の形状:円錐状,周期(d)=600nm,凸部(26a)の高さ(h)=600nm(アスペクト比〔h/d〕=1.0)
[光反射膜(24)]
材質:SiO2 /TiO2 の組み合わせの誘電体多層膜、総数69層(SiO2 による層の総厚3.3μm、TiO2 による層の総厚1.8μm)425nmから600nmの波長範囲における反射率99%以上。
実施例1において、誘電体多層膜の反射率を98%としたこと以外は、蛍光発光部材〔A1〕と同様の構成および仕様の蛍光発光部材〔A2〕を作製した。
実施例1において、裏面の光反射膜を、反射率が96%の銀の単層膜としたこと以外は、蛍光発光部材〔A1〕と同様の構成および仕様の蛍光発光部材〔B1〕を作製した。
比較例1において、裏面の光反射膜を、反射率が94%のAg/Pd/Cu合金の単層膜としたこと以外は、蛍光発光部材〔B1〕と同様の構成および仕様の蛍光発光部材〔B2〕を作製した。
15 コリメータレンズ
16 ダイクロイックミラー
20 蛍光発光部材
21 基板
22 蛍光部材
23 周期構造
23a 凸部
24 光反射膜
25 接合部材層
26 接着剤層
28,38,48 反射部材
28a 反射面
L 励起光
L1 蛍光
L2 透過光
L3 反射光
L4 −1次回折光
51 レーザ光源
52 蛍光ホイール
53 ホイールモーター
61 コリメートレンズ
62 赤色光源
63A,63B,63C,64A,64B,64C 集光レンズ
65 ダイクロイックミラー
66 導光装置入射レンズ
67 反射ミラー
68 導光装置
71 波長変換部材
72 基板
73 熱膨張吸収層
74 放熱プレート
75 放熱用ヒートシンク
Claims (3)
- 励起光により励起される蛍光体による波長変換部材を備えてなる蛍光光源装置であって、
前記波長変換部材における励起光受光面に、略錐状の凸部が周期的に配列されてなる周期構造が形成されており、当該周期構造の周期が前記蛍光体から放射される蛍光の回折が発生する範囲の大きさであり、
前記波長変換部材の裏面には、誘電体多層膜からなる光反射膜が形成されていることを特徴とする蛍光光源装置。 - 前記波長変換部材は、その周側面が反射面に囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
- 前記波長変換部材の周側面を囲む反射面が、拡散反射面であることを特徴とする請求項2に記載の蛍光光源装置。
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