JP2014157652A - 角形非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏平状巻回電極体を備えた角形非水電解質二次電池において、過充電時に非水電解質中の添加剤の反応が促進され、過充電時の安定性が向上した非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明の角形非水電解質二次電池10は、偏平状巻回電極体14を備えており、非水電解質は、0.5〜4質量%の1,3−ジオキサンと、0.5〜4質量%のシクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物とからなる添加剤を含有しており、偏平状巻回電極体14は未プレス部が形成されたものであって、この未プレス部の占める割合は0.1〜0.9である。
【選択図】図1

Description

本発明は、過充電時の安全性が高い角形非水電解質二次電池に関し、特に正極極板の正極合剤層及び負極極板の負極合剤層がそれぞれ一定の厚さに形成されていながら、過充電時に局部的に非水電解質中の添加剤の反応が促進され、過充電時の安全性が向上した角形非水電解質二次電池に関する。
今日の携帯電話機、携帯型パーソナルコンピューター、携帯型音楽プレイヤー等の携帯型電子機器の駆動電源として、さらには、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)用の電源として、高エネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が広く利用されている。これらの非水電解質二次電池は、正極極板と負極極板との間にセパレータを挟んで巻回して巻回電極体を作製し、角形非水電解質二次電池の場合にはさらに巻回電極体を押し潰すことによって偏平状の巻回電極体を作製し、電池外装体内に挿入することにより作製されている。
近年、非水電解質二次電池の大容量化、高容量密度化の進展に伴い、より安全性の向上が求められるようになっている。このような安全性の向上手段の一つとして、非水電解液中に添加剤を添加し、正極活物質ないし負極活物質の表面にリチウムイオン伝導性が良好な被膜を形成することにより、正極活物質ないし負極活物質と非水電解質との間の反応を抑制して、各種電池特性が良好となるようにすると共に、過充電時の電池の安全性の確保を行うようにしたものが知られている。
例えば、下記特許文献1には、非水電解質二次電池の過充電時の安全性の確保及び高温保存特性の改善を目的として、非水電解質中に添加剤として1,3−ジオキサン(DOX)と、ビニレンカーボネート(VC)と、シクロアルキルベンゼン及びベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する芳香族化合物から選択された少なくとも1種とを添加したものを用いた非水電解質二次電池が開示されている。
また、下記特許文献2には、平均粒径が異なる2種類の正極活物質を用いて高密度充填とした正極極板を使用した非水電解質二次電池において、正極活物質と非水電解質との間の反応を抑制し、過充電時の安全性に優れると共に、初期容量が大きく、充放電サイクル特性が良好となるようにする目的で、非水電解質中に添加剤としてDOXと、VCと、シクロアルキルベンゼン及びベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する芳香族化合物から選択された少なくとも1種とを添加したものを用いた非水電解質二次電池が開示されている。
これらの非水電解質二次電池では、非水電解質中に添加された添加剤のうち、少なくともDOXが正極活物質の表面に保護被膜を形成し、VCが負極活物質の表面に保護被膜を形成する作用を備えており、過充電状態となった場合には、正極極板ないし負極極板上で各種添加剤が均一な反応を起こすようにすることで安全性を確保するようにしている。
一方、下記特許文献3には、非水電解質二次電池の過充電時の熱暴走を抑制する目的で、正極極板に対する負極極板の容量比が1を超え、長尺の負極極板の負極活物質合剤塗布量を幅方向端部側で多くなるようにして中央部側で少なくなるようにし、長尺状の正極極板の正極活物質合剤塗布量を幅方向端部側で少なくなるようにして中央部側で多くなるようにすることによって、単位面積当たりの正極極板に対する負極極板の容量比が他の部分よりも小さくされた領域が形成されるようにし、かつ、非水電解質中に添加剤としてDOXと、VCと、シクロアルキルベンゼン及びベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する芳香族化合物から選択された少なくとも1種とを添加したものを用いた非水電解質二次電池が開示されている。
下記特許文献3に開示されている非水電解質二次電池では、上記特許文献1及び2に記載のものとは異なり、局部的に過充電状態となりやすい領域を作成してこの部分で各種添加剤が反応し易くするようにすることで、過充電状態となった場合には各種添加剤の奏する効果を早めに発揮させることができるようにするものである。このような構成を採用すると、上記特許文献1及び2に記載の非水電解質二次電池よりも、過充電状態となった場合の熱暴走の抑制効果が良好となり、過充電状態の安全性が高まるという効果を奏する。
特開2008−277086号公報 特開2010−176996号公報 特開2010−238451号公報 特開2008−204781号公報 特開2009−054376号公報
上記特許文献1〜3に開示されている非水電解質二次電池においては、初期充電時にDOXが正極側で分解されて正極活物質表面上に安定な保護被膜が形成されるので、それによって、シクロアルキルベンゼン化合物やベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物の分解が抑制されるため、過充電状態となった際にこれらの化合物が充分な量で残存していることにより、過充電時の安全性が確保されるものである。これに加えて、上記特許文献3に開示されている非水電解質二次電池においては、正極極板と負極極板の対向面において、単位面積当たりの前記正極極板に対する前記負極極板の容量比が他の部分よりも部分的に小さくされた領域が形成されていると、過充電時にこの領域で局部的にリチウム金属の析出が起こるために負極極板が部分的に撓むが、この負極極板の撓みによって正極極板及び負極極板の間隔が広がって過電圧状態(分極状態)が形成され、シクロアルキルベンゼン化合物やベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物の作動電圧に達するので、これらの化合物が優先的に反応することによって過充電状態の熱暴走を抑制する効果が増大するものと考えられている。
このように、上記特許文献3に開示されている非水電解質二次電池は、上記特許文献1及び2に記載の非水電解質二次電池よりも過充電時の安全性に優れると共に、初期容量が大きく、充放電サイクル特性が良好で、更にガスの発生が少ないために電池の厚み変化も小さくできるという優れた効果を奏するものである。しかしながら、この非水電解質二次電池は、正極極板の正極合剤塗布量及び負極極板の負極合剤の塗布量が均一ではないため、工業的な大量生産には製造効率が低下するという課題が存在している。
本発明者等は、正極極板の正極合剤塗布厚さ及び負極極板の負極合剤の塗布厚さが均一な場合であっても、過充電時に局部的に過電圧状態が形成されてシクロアルキルベンゼン化合物やベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物の作動電圧に達することができる構成について種々検討を重ねてきた。その結果、角形非水電解質二次電池では、例えば上記特許文献4及び5にも示されているように、円筒状に巻回された巻回電極体を実質的に表面が平坦面となるように均一にプレスすることによって偏平化した偏平状巻回電極体が用いられているが、プレス時に部分的にプレスされない部分あるいはプレス圧力が弱い部分を形成すると、この部分が上記のような過充電時に局部的に過電圧状態が形成される領域となることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、正極極板の正極合剤層及び負極極板の負極合剤層がそれぞれ一定の厚さに形成されていながら、過充電時に局部的に非水電解質中の添加剤の反応が促進され、過充電時の安定性が向上した角形非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の角形非水電解質二次電池は、
正極合剤層が形成された正極極板と負極合剤層が形成された負極極板とがセパレータを介して巻き回されてなる偏平状巻回電極体と、非水溶媒中に電解質塩を有する非水電解質とを備える角形非水電解質二次電池において、
前記正極合剤層及び前記負極合剤層はそれぞれ一定の厚さに形成されており、
前記非水電解質は、0.5〜4質量%の1,3−ジオキサン(DOX)と、0.5〜4質量%のシクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物とからなる添加剤を含有しており、
前記偏平状巻回電極体には未プレス部が形成されており、前記未プレス部の占める割合は0.1〜0.9であることを特徴とする。
本発明の角形非水電解質二次電池によれば、上記の構成を備えることにより、正極合剤層及び負極合剤層がそれぞれ一定の厚さに形成されている場合であっても、過充電時には部分的に形成された未プレス部において非水電解質中の添加剤の反応が促進されて熱暴走が抑制されるため、過充電時の安定性が向上した角形非水電解質二次電池が得られる。
なお、本発明における未プレス部とは、従来例のように全面的に均一な圧力でプレスされたものではなく、部分的にプレスされない部分ないし周囲よりも弱い圧力でプレスされた部分が形成されていることを意味する。従来例の角形非水電解質二次電池では巻回電極体は全面的に均一な圧力でプレスされている(未プレス部の割合は0)ために偏平状巻回電極体の厚さは実質的に均一となる。それに対し、本発明の角形非水電解質二次電池では、巻回電極体に未プレス部が形成されているため、偏平状巻回電極体の未プレス部で部分的に周囲よりも厚さが厚くなる。
なお、本発明の角形非水電解質二次電池における未プレス部の占める割合とは、作製された偏平状巻回電極体の平面視における全幅Xに対する未プレス部の幅Yの割合Y/Xを意味する。また、本発明の角形非水電解質二次電池では、未プレス部の形成位置は、偏平状巻回電極体の巻回軸方向に沿っていれば巻回電極体への電解液の侵入がスムースになるので好ましいがこれに限定されず、得られた偏平状巻回電極体が所定サイズの角形外装体内に挿入することができる形状となるように選択すればよい。すなわち、ここで、未プレス部が偏平状巻回電極体の複数箇所に形成されている場合は、それぞれの未プレス部の幅の和をYとするものとする。また、未プレス部は、偏平状巻回電極体方の少なくとも一方の面のみ形成されていれば、他方の面は平坦面となっていてもよく、両面側に未プレス部が形成されている場合にはそれぞれの面における未プレス部の占める割合の平均値を採用するものとする。
また、本発明における未プレス部の占める割合は、0.1未満であると実質的に従来例の角形非水電解質二次電池の場合と同様になるために過充電時の安全性向上効果が奏され難くなり、また、未プレス部の占める割合は0.9を越えても過充電時の安全性向上効果は有効に奏されるが、未プレス部の占める割合が大きくなると充放電サイクルを重ねたときに電池の膨れが大きくなる傾向にあるので、未プレス部の占める割合の上限値は0.9とすることが好ましく、0.5とすることがより好ましい。
また、本発明の本発明の角形非水電解質二次電池においては、非水電解質中に0.5〜4質量%のDOXと、0.5〜4質量%のシクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物とからなる添加剤を含有していることが必要である。なお、それぞれの添加剤の含有量は、非水電解質全体に対する割合を示すものである。DOXと、シクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物とは、それぞれ少なくとも0.5質量%の添加によって過充電時の安全性向上効果が奏されるようになり、この過充電時の安全性向上効果はそれぞれ4質量%の添加においても認められる。
なお、本発明で使用し得るシクロアルキルベンゼンとしては、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、シクロヘプチルベンゼン、メチルシクロヘキシルベンゼン等が挙げられる。
また、本発明で使用し得るベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物としては、tert−アミルベンゼン(TAB)、tert−ブチルベンゼン、tert−ヘキシルベンゼン等が挙げられる。なお、本発明の角形非水電解質二次電池においては、シクロアルキルベンゼン化合物とベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物との間の含有割合は任意である。
なお、本発明の角形非水電解質二次電池においては、非水電解質中にビニレンカーボネート(VC)化合物を含有していてもよい。VC化合物は、従来から有機溶媒の還元分解を抑制するための添加剤として慣用的に使用されているものであり、このVC化合物の添加によって最初の充電による負極へのリチウムの挿入前に負極活物質合剤層上に不動態化層とも称される負極表面被膜(SEI:Solid Electrolyte Interface)が形成され、このSEIがリチウムイオンの周囲の溶媒分子の挿入を阻止するバリアーとして機能するので、負極活物質が有機溶媒と直接反応しないようになる。
本発明で使用し得るVC化合物としては、VC、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、エチルメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート等が挙げられるが、中でもVCは、単位質量当たりの有機溶媒の還元分解抑制効果が大きいため、特に好ましい。
本発明の角形非水電解質二次電池で使用する正極活物質としては、上述したように、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出することが可能なリチウム遷移金属複合酸化物、すなわち、LiCoO、LiNiO、LiNiCo1−x(x=0.01〜0.99)、LiMnO、LiMn、LiCoMnNi(x+y+z=1)又はLiFePOなどが一種単独もしくは複数種を混合して用いることができる。更には、リチウムコバルト複合酸化物にジルコニウムやマグネシウム等の異種金属元素を添加したものも使用し得る。
また、本発明の角形非水電解質二次電池で使用する非水電解質を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中では特に環状カーボネートと鎖状カーボネートを混合して用いることが好ましい。
具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。
なお、本発明における非水電解質に含有させる電解質塩(溶質)としては、非水電解質二次電池において一般に溶質として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)を用いることが好ましい。前記非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2.0mol/Lとするのが好ましい。
また、本発明の角形非水電解質二次電池においては、前記DOXの含有量は、前記非水電解質全体に対して、0.5〜3質量%であり、前記シクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物の含有量は、前記非水電解質全体に対して、0.5〜3質量%であることが好ましい。
本発明の角形非水電解質二次電池における非水電解質中のDOXと、シクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物との添加量は、それぞれ3質量%を越えると充放電サイクル後の初期容量が低下し、充放電サイクル後の放電容量が低下し、また、電池の厚み変化が大きくなるので、上限値はいずれも3質量%とすることが好ましい。
また、本発明の角形非水電解質二次電池においては、前記シクロアルキルベンゼン化合物はCHBであり、前記ベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物はTABであることが好ましい。
CHB及びTAB共に熱暴走抑制効果が良好な化合物であるので、これらの芳香族化合物の少なくとも1種を用いれば上記効果が顕著に現れる角形非水電解質二次電池が得られる。
各実施例及び比較例で使用した角形非水電解質二次電池を縦方向に切断して示す斜視図である。 図2Aは偏平状巻回電極体の未プレス部とプレス部の配置を示す平面図であり、図2Bは図2AのIIB−IIB線に沿った模式断面図であり、図2Cは偏平状巻回電極体の製造工程を示す模式図である。 図3A〜図3Eは各種偏平状巻回電極体の模式横断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための角形非水電解質二次電池を例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
[正極極板の作製]
各実施例及び比較例に共通する正極極板は次のようにして作製した。正極活物質としての異種元素添加コバルト酸リチウムは、出発原料としてリチウム源には炭酸リチウム(LiCO)を用い、コバルト源には、炭酸コバルト合成時に異種元素としてジルコニウム(Zr)及びマグネシウム(Mg)をコバルトに対してそれぞれ0.15mol%及び0.5mol%共沈させた後、その熱分解反応によって得られたジルコニウム、マグネシウム添加四酸化三コバルト(Co)を用い、これらを所定量秤量して混合した後、空気雰囲気下において850℃で24時間焼成し、ジルコニウム、マグネシウム添加コバルト酸リチウムを得た。
以上のようにして得られた正極活物質が94質量%、導電剤としての炭素粉末が3質量%、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末が3質量%となるよう混合した後、N−メチル−ピロリドン(NMP)溶液中に分散させて正極活物質スラリーを調製した。次に、この正極活物質スラリーを厚さ15μmのアルミニウム製集電体の両面にドクターブレード法により均一に塗布し、次いで、乾燥機内に通してスラリー調製時に必要であったNMPを除去することで正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。その後圧縮ローラーを用いて厚みが125μmとなるように圧延して各実施例及び比較例で用いる正極極板を作製した。
[負極極板の作製]
実施例及び比較例の負極極板は次のようにして作製した。負極活物質としての黒鉛粉末が95質量%、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)が3質量%、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)が2質量%となるように混合して、これを水に分散させて負極活物質スラリーを調製した。次にこの負極活物質スラリーを厚さ8μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により均一に塗布した。その際の負極活物質スラリーの塗布量は、充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)が1.1となるように塗布を行った。次いで、乾燥機内に通してスラリー調製時に必要であった水分を除去することで負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機を用いて厚みが125μmとなるように圧延して負極極板を作製した。
[巻回電極体の作製]
上記のようにして作製された正極極板と負極極板とを、ポリエチレン製の微多孔膜からなるセパレータを介して巻回して断面が円形の巻回電極体を作製した。そして、巻回電極体の断面形状が楕円形になるように成形した後、さらにプレスすることにより、各実施例及び比較例で使用する偏平状巻回電極体をそれぞれ作製した。この偏平状巻回電極体は、例えば図2Aに示したように、巻回軸方向の中央部に沿って未プレス部が形成されるようにプレスする場合、図2Cに示したように、プレス用治具上に円筒状巻回電極体を載置したのち、巻回軸に沿って溝が形成されたプレス型を用いてプレスすることにより作製した。このようにして作製された偏平状巻回電極体の横断面図は、図2Bに示したとおりとなり、プレス用治具に接していた面は平坦面となっている。なお、図2Bにおいては、理解を容易にするため、未プレス部とプレス部との高さの差は実物よりも誇張して描いてあり、以下に説明する図3B〜図3Eにおいても同様である。
ここで、図2Aに示したように、得られた偏平状巻回電極体の幅をX、未プレス部の幅をYとしたとき、本発明における未プレス部の割合はY/Xで表される。なお、未プレス部の割合0(比較例1)とは、巻回電極体の全面をプレスして押し潰したものであり、図3Aに示したような横断面形状のものであり、従来例の角形非水電解質二次電池の場合に該当する。また、未プレス部の割合1.0(比較例2)とは、巻回電極体を押し潰すことなくそのまま使用したものを意味し、この場合には楕円形状の状態までの成形を行った巻回電極体を外装缶内に挿入したものである。また、実施例1〜14においては、それぞれプレスする際に未プレス部の厚みが所定の角形電池外装缶内に挿入できる厚みとなるようにするため、プレス位置及びその割合を適宜変えることにより行った。
そのため、偏平状巻回電極体の製造時のプレス位置は、必要とされる未プレス部の割合に応じて、両側端部間の中央1箇所(図3B参照)、両側端部の一方1箇所(図3C参照)、両側端部間の3箇所以上(図3D参照)等を採用し得る。図3Bないし図3Dに示した例では未プレス部は複数箇所形成されるが、この場合の未プレス部の幅Yとしてはそれぞれの未プレス部の幅の和を採用すればよい。また、図3Eに示したように、プレス治具としてプレス型と同様の溝が形成されたものも使用し得るが、この場合は偏平状巻回電極体の両面側に未プレス部が形成されている状態となる。この場合の未プレス部の割合はそれぞれの面における未プレス部の占める割合の平均値を採用すればよい。
[非水電解液の調製]
EC、MEC及びDECを体積比30:60:10の割合(1気圧、25℃)で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPFを1mol/Lとなるように溶解させ、VCを2質量%添加した後、DOX、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、tert−アミルベンゼン(TAB)を、それぞれ所定量添加することで、各実施例及び比較例で使用する非水電解液をそれぞれ調製した。
[電池の作製]
アルミニウム製の外装缶に、上記偏平状の巻回電極体を挿入した後、外装缶の開口部を封口板で封口し、次いで封口板に設けられた注液口より上記非水電解質を注液した後、注液口を封止することで、図1に示した構成の高さ50mm、幅34mm、厚さ5.3mmの角形非水電解質二次電池を作製した。なお、得られたそれぞれの非水電解質二次電池の定格容量は1050mAhである。
なお、図1に示した角形の非水電解質二次電池10の具体的な構成は以下のとおりである。この非水電解質二次電池10は、正極極板11と負極極板12とがセパレータ13を介して巻回された偏平状の巻回電極体14を、角形の電池外装缶15の内部に収容し、封口板16によって電池外装缶15を密閉したものである。巻回電極体14は、正極極板11が最外周に位置して露出するように巻回されており、露出した最外周の正極極板11は、正極端子を兼ねる電池外装缶15の内面に直接接触し、電気的に接続されている。また、負極極板12は、封口板16の中央に形成され、絶縁体17を介して取り付けられた負極端子18に対して集電体19を介して電気的に接続されている。
そして、電池外装缶15は、正極極板11と電気的に接続されているので、負極極板12と電池外装缶15との短絡を防止するために、巻回電極体14の上端と封口板16との間に絶縁スペーサ20を挿入することにより、負極極板12と電池外装缶15とを電気的に絶縁状態にしている。この角形非水電解質二次電池10は、巻回電極体14を電池外装缶15内に挿入した後、封口板16を電池外装缶15の開口部にレーザ溶接し、その後電解液注液孔21から非水電解液を注液して、この電解液注液孔21を密閉することにより作製される。
[過充電時安全性試験]
以上のようにして作製した各非水電解質二次電池の内、実施例1〜14及び比較例1〜4に係る電池について、過充電時における安定性を評価するため、過充電時安全性試験を下記条件で行った。
すなわち、所定充電電流値として、定電流0.6It=630mA(過充電試験1)、0.8It=840mA(過充電試験1)又は1.0It=1050mA(過充電試験)で電圧が12.0Vとなるまで過充電した。この過充電によって電池が発煙したり、液漏れが生じたりしたものを×、発煙や液漏れが確認されなかったものを○と評価した。この結果を下記表1に示した。
Figure 2014157652
表1に示した結果から、以下のことが分かる。未プレス部の割合については、非水電解質中に添加剤としてDOXと、CHB及びTABの少なくとも1種とを含有している比較例1、2及び実施例1〜14の結果を対比すると、巻回電極体に未プレス部を作製することによって過充電時の安全性が向上することがわかる。
また、未プレス部の割合が0.5である比較例2、3、実施例1〜9及び12の結果から、非水電解質中の添加剤としてDOXと、CHB及びTABの少なくとも1種とを含有させることは必須であることがわかる。また、比較例3及び実施例1,2の結果から、DOXの添加量は0.5質量%以上であれば過充電時の安全性が向上することが分かり、さらに実施例8の結果からDOXの添加量は4質量%でも良好な過充電時の安全性向上効果が奏されることがわかる。
同じく、実施例2及び3の結果から、CHB及びTABの少なくとも1種の添加量は、0.5質量%以上であれば過充電時の安全性が向上することが分かり、さらに実施例9の結果からCHB及びTABの少なくとも1種の添加量は4質量%でも良好な過充電時の安全性向上効果が奏されることがわかる。
[初期容量の測定]
実施例5〜10及び比較例1、2、5、6に係る電池について、25℃の恒温槽中で、1It=1050mAの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、更に電池電圧が4.2Vに達した後は4.2Vの定電圧で電流値が(1/50)It=21mAになるまで充電した。その後、1It=1050mAの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電した。これを1サイクル目の充放電とし、このときの放電容量を初期容量として測定した。その結果を、比較例1に係る電池の初期容量を100とした時の相対値として求め、表2に纏めて示した。
[充放電サイクル試験]
次に、初期容量を測定した各電池について、上記の充放電サイクルを繰り返し、500サイクル目の放電容量を測定した。その結果を、比較例1に係る電池の500サイクル目の放電容量を100とした時の相対値として求め、表2に纏めて示した。
[厚み変化率]
更に、上記充放電サイクル試験の前後における電池厚みを測定して、以下の計算式に基づいて、厚み変化率(%)として求め、結果を表2に纏めて示した。
厚み変化率(%)
=(500サイクル後の電池厚み/充放電試験前の電池厚み)×100
Figure 2014157652
表2に示した結果から以下のことが分かる。すなわち、比較例2及び実施例10から14の結果から、未プレス部の割合が0.1〜0.9の範囲であれば、初期容量、充放電サイクル後の放電容量及び厚み変化率についても良好な効果を奏するが、未プレス部の割合が1.0(比較例2)の場合、初期容量、充放電サイクル後の放電容量は良好な効果を奏するが、充放電サイクル後の厚み変化率が大きくなる。
また、実施例5〜9の結果から、DOXないしCHB及びTABの少なくとも1種の添加量は、それぞれ3質量%までの添加であれば初期容量、充放電サイクル後の放電容量及び厚み変化率についても良好な効果を奏するが、実施例8及び9の結果から明らかなように、それぞれ4質量%となると、初期容量及び充放電サイクル後の放電容量が低下し、充放電サイクル後の厚み変化率も大きくなっている。そのため、DOXないしCHB及びTABの少なくとも1種の添加量は、過充電時の安全性向上効果だけでなく、初期容量、充放電サイクル後の放電容量及び厚み変化率も良好な効果が奏されるようにするためには、3質量%以下とすることが好ましいことが分かる。
10…非水電解質二次電池 11…正極極板 12…負極極板 13…セパレータ 14…偏平状の巻回電極体 15…角形の電池外装缶 16…封口板 17…絶縁体 18…負極端子 19…集電体 20…絶縁スペーサ 21…電解液注液孔

Claims (4)

  1. 正極合剤層が形成された正極極板と負極合剤層が形成された負極極板とがセパレータを介して巻き回されてなる偏平状巻回電極体と、非水溶媒中に電解質塩を有する非水電解質とを備える角形非水電解質二次電池において、
    前記正極合剤層及び前記負極合剤層はそれぞれ一定の厚さに形成されており、
    前記非水電解質は、1,3−ジオキサンと、シクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物とからなる添加剤を含有しており、
    前記偏平状巻回電極体には未プレス部が形成されており、前記未プレス部の占める割合は0.1〜0.9であることを特徴とする角形非水電解質二次電池。
  2. 前記未プレス部は、前記偏平状巻回電極体の巻回軸方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の角形非水電解質二次電池。
  3. 前記1,3ジオキサンの含有量は、前記非水電解質全体に対して、0.5〜3質量%であり、前記シクロアルキルベンゼン化合物及びベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物から選択された少なくとも1種の芳香族化合物の含有量は、前記非水電解質全体に対して、0.5〜3質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記シクロアルキルベンゼン化合物はシクロヘキシルベンゼンであり、前記ベンゼン環に隣接する第四級炭素を有する化合物はtert−アミルベンゼンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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