JP2014157147A - 汚染土壌の電気化学的除染方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性Csで汚染された土壌の表面層を剥ぎ取ることなくCsを分離、除去する。又剥ぎ取った排土からCsを吸着している微細粘土粒子部分を分離し排土の放射能量を安全レベルまで低減する。更に分離回収したCs含有溶液からCsを分別する。
【解決手段】カチオン交換膜、ろ布で囲まれたスリットを設けた金属中空パイプ陰極を汚染土壌へ打ち込み、その周囲に金属棒陽極を配置し直流電圧を印加すると同時に超音波振動を土壌へ伝播させソノケミカルな場を形成し、粘土層構造に吸着されているCsを脱離させ、電解透析によって中空陰極内へCs含有溶液を移動回収する。
剥ぎ取り排土は水を加えて懸濁状とし、回転式金属円筒陽極と金網陰極を備えた槽へ流し込み、負に帯電しているCs吸着粘土粒子部を陽極表面に附着させ、これを掻き取り排土の放射能レベルを低減する。
回収Cs含有溶液は硫酸アルミニウムと反応させて難水溶性Csミョウバンの結晶として分別する。
【選択図】なし
【解決手段】カチオン交換膜、ろ布で囲まれたスリットを設けた金属中空パイプ陰極を汚染土壌へ打ち込み、その周囲に金属棒陽極を配置し直流電圧を印加すると同時に超音波振動を土壌へ伝播させソノケミカルな場を形成し、粘土層構造に吸着されているCsを脱離させ、電解透析によって中空陰極内へCs含有溶液を移動回収する。
剥ぎ取り排土は水を加えて懸濁状とし、回転式金属円筒陽極と金網陰極を備えた槽へ流し込み、負に帯電しているCs吸着粘土粒子部を陽極表面に附着させ、これを掻き取り排土の放射能レベルを低減する。
回収Cs含有溶液は硫酸アルミニウムと反応させて難水溶性Csミョウバンの結晶として分別する。
【選択図】なし
Description
本発明は放射性物質、主としてCsによって汚染された土壌、排土、堆積物からCsを分離除去して放射能量を低減する技術に関する。具体的には0排土除染や剥ぎ取り排土の除染及び分離Cs溶液からCs化合物を回収する技術に関する。
これまで提案され実施されてきた土壌の除染方法としては表層土壌の剥ぎ取り(排土)、天地返し(反転耕)、すき込み希釈、植物による除染等緊急で一時しのぎのための手段が採り上げられた。その中で排土は簡便で効果的とされ最も広く実施されたが当初から予想された通り排土の仮置、保管、中間貯蔵、処分地の確保の困難のため行き詰まりが明白になってきている。
水田に対する代掻き、落水利用の除染方法も極く限られた条件でのみ有効で一般には高レベル汚染の微細粘土粒子を含む大量の懸濁排水の処理は実行不可能である。
ポリイオン粘土と称する表層土の固化剤の散布で放射性物質の飛散防止を目的とする方法は除染とは云い難く、化学的、本質的に放射性物質を分離除去する際の障害となることが考えられる。
農地へのCs吸着剤の散布による作物への放射性Csの移行を抑制しようとの試みはコスト面ばかりでなく、却って汚染物質の高濃度吸着物を形成したり、吸着剤の環境安定性、長期安定性にも不安が残る。
以上現在まで提案されてきた各除染方法は放射性Csそのものを除去の対象するのではなく、特に表層土壌剥ぎ取りは放射性Csを大量の土壌と共に移動させるだけの単なる土達作業に過ぎず上記した如く保管、処分に行き詰まるのである。
真の除染の目標は汚染土壌から放射性Csのみを分離除去する又は少なくとも他のアルカリ金属のNa,Kと共にCsを同時に分離除去することでなければならない。
本発明は発想の原点から基本的に0排土除染を目標としてきたが、Csのみを分離抽出することが原理的に難しいので他のアルカリ金属Na,Kと共にCsを分離することとし、この抽出液からCsを優先的に晶析分別する方式を目的とする。
溶存態Csは電解透析により陰極側へ集められるが、微細粘土粒子に吸着された懸濁態Csは粘土構造の中から先ずCsを脱離させ溶存態Csに変換してから電解透析にかける必要がある。
既に大量に発生し貯蔵保管されている排土に対しては、これに水を加えて懸濁状態とし電気泳動を利用して懸濁態Csを分離し、更にこれを溶存態Csに変換してから電解透析処理をすることになる。
上記の操作によって分離回収したCs,Na,K等を含む溶液は適正な濃度になるまで水分を蒸発、濃縮し、硫酸アルミニウムと反応させ、夫々のミョウバン化合物の溶解度の差を利用して先ずCsミョウバンの結晶を晶出させて分離し、上記一連の操作によって汚染土壌の除染を完遂することを目的とすものである。
上記目的を解決するための手段として活用する主たる物理化学的原理として次の四つを挙げることができる。即ち電解透析(イオン交換透析)、電気泳動、超音波振動によるソノケミカルの場、溶解度差による分別結晶である。
汚染土壌の溶存態Csを電解透析によって分離回収するに当たり前処理として水素イオン濃度レベルを上げ、又土壌の通電性を確保するために無機酸の希薄溶液を土壌に散布する。酸の濃度は1:50乃至1:200の範囲で調整する。
前記前処理をした汚染土壌へ、側面に複数のスリットを設けた金属中空パイプを打ち込み、その周りを取り囲む様に複数の金属棒の正極を打ち込み、両極間に直流電圧を印加する。陰極のスリットはカチオン交換膜やろ布でカバーされている。溶存態Csイオンはこの2室式電解透析によって陰極側へ移動するが、Csを吸着している懸濁態の微細粘土粒子は負に帯電するのでそのままでは陽極側へ引き寄せられることになる。
そこで陰陽両極間に直流電圧を印加すると同時に陽極に取り付けられた超音波振動子から100KHz以下の超音波を発振するか又は振動子或いは複数の振動子を取り付けた振動版を汚染土壌表面に沿って掃引するかして陰陽両極間の土壌中にキャビテーションに伴う複雑なソノケミカルな場が形成されると、懸濁態微細粘土粒子に吸着されているCsの脱離が促進され溶存態Csとなって陰極側へ引き寄せられる。
中空パイプ陰極の内部は負圧に保持されているので陰極のスリットをカバーするろ布や一価カチオン交換膜を通して陰極内へCs,Na,Kイオン等を含む溶液が流れ込み、一定量溜まるとポンプで別容器へ汲み上げる。
汲み上げられた溶液の各イオンの濃度は希薄であるので減圧加熱蒸発操作等によって数モル程度の濃度になるまで濃縮し、これに硫酸アルミニウムを反応させると水に難溶性のCsミョウバンの結晶が先に晶出してくるので容易に分別できる。
剥ぎ取り除染作業で発生した排土や堆積汚染土砂等の除染をするには排土等に水を加えて懸濁状にするとCsを吸着している懸濁態微細粘土粒子は負に帯電するので、この懸濁体を攪拌しながら、直流電圧を印加した回転式円筒陽極とその下方に網状の陰極を備えた槽へ流し込むと懸濁態微細粘土粒子を陽極表面に付着させることができ、これを掻き取ることにより排土の除染が達成される。
水田で代掻き攪拌を行って生成する汚染懸濁態微細粘土粒子も前段落[0018]記載の電気泳動方式により掻き取り分離ができるし、この方式の方がろ過よりも効率的である。
掻き取り懸濁物からCsを分離回収しようとする場合には懸濁物を除いた残りの上澄み液と懸濁物とを混合し、前記した様に超音波振動によるソノケミカルな場で電解透析を行ってCsイオン液として陰極へ集めて処理をする。
Cs,Na,K等の混合した分離回収液の濃縮にはアクリル樹脂製フレネルレンズによる太陽光集光熱エネルギーを利用するのがコスト安であるが集光焦点付近から蒸発濃縮槽までの高温の熱エネルギー全反射伝送管が必要となる。
本発明において最も特徴的な技術は電解透析と超音波振動を組み合わせた点にある。電解透析中の汚染土壌へ超音波振動を発振するとマクロ的な伝播、減衰、反射、屈折以外にキャビテーションに伴う諸現象例えば真空、高圧、高温、高エネルギー、衝撃波、脱ガス等所謂ソノケミカルな場が形成され、その場において懸濁態のCs即ち粘土構造中のCsの脱離が促進される可能性を見出した。
超音波振動の場における懸濁態Csの脱離の詳しいメカニズムは今後の研究にまたねばならないが例えば28KHz,1W/cm2,の超音波を水中へ伝播させると水分子にかかる加速度は1500Gに達することは注目すべき現象である。キャビテーションを発生しやすい超音波は概ね100KHz以下であるので磁歪フェライト振動子が使用できる。
土壌の超音波の伝播は減衰が大きいのでソノケミカルな場を形成するためには振動子の出力は大きい方が有利であるが、一般的な土壌においてはCsの大部分は表面から概ね50mmまでの層に吸着されており、農地の作土では念のため300mmの深さまで注目すればよいので、300mmの深さで1W/cm2以上のパワー密度があれば粘土粒子構造からのCsの脱離は進行する。超音波照射の必要充分なパワーや所要時間は現場の土壌構成毎に異なることがあるので除染作業実施に当たっては予めテストして把握、確認しておくことも必要である。
電解透析と超音波振動とを組み合わせた本発明の除染技術は原子力発電所内の高レベル汚染水の処理に使用された大量のゼオライト等の再生、再利用を可能とする。放射性Cs,Srを吸着したゼオライト等は安定化のために焼結、ガラス固化、セメント固化を試み、更にトレンチ、ピット処分や地層処分をしなければならないが処分向けの土地の選択には限界がある。
前記ゼオライト等を再生するためには一般汚染土壌の場合よりも濃度の高い例えば1:50より濃い塩酸、硝酸溶液を加え且つ超音波の円滑な伝播が確保される量を添加する前処理をおこなった上ソノケミカルな場の中で電解透析を実施するとゼオライト等の構造中のCs,Srが脱離してくる。かくしてゼオライト等の再生、繰り返し使用が可能となれば処分困難な廃棄ゼオライト等の量は激減する。
本発明の方法によって除染された土壌はCs,Na,K等一価のアルカリ金属が陰極室へ移動、分離され、又Ca,Mg等の二価のアルカリ土類金属も粘土粒子構造から脱離し陰極へ向かって移動しており、もともとの土壌構成と異なるのでこれを復元することが望ましい。このために除染作業後に土壌へ複合肥料、石灰、ドロマイト、フミン酸等を散布しておけば自然に元の土壌構成に近い状態に復元できる。
上述した様に本発明は0排土除染を目標として開発したもので除染対象現場の土壌の構成形態のまま放射性Csを分離できるので土地表面の剥ぎ取り除染の様な排土が発生せず、多量な排土の中間貯蔵保管、最終処分地の選定困難を避けることができる。
既に発生した剥ぎ取り排土については、これに水を加えて懸濁状態とし放射性Cs濃度の高い微細粘土粒子部分を電気泳動の手段で回転式円筒陽極表面に付着させ、これを掻き取り分別できるので残りの排土の放射線量は安全レベルまで低減し特別な保管、貯蔵、処分の必要はなくなる。
電解透析によって陰極中空パイプ内に移動回収されたアルカリ金属混合溶液からCsのみを分離するにはCsミョウバンの難水溶性を利用して優先的に晶析させて他のアルカリ金属Na,K等と分別できるのでこの点でも減容効果は大きい。
原発事故に伴う高レベル汚染水の処理に使用される莫大な量のゼオライト等の処理、処分は大きな困難を抱えている。この放射性物質を吸着した廃棄ゼオライト等に関しても本発明の超音波振動と電解透析の同時処理操作に準じて処理を行えば吸着されているアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンが脱離でき、ゼオライトの大部分を再生できる。これによって廃棄ゼオライトの処理、処分問題は大幅に軽減される。
以下本発明の実施形態を0排土除染、剥ぎ取り排土除染、Cs分離回収溶液らかCsの分別に分けて説明する。
処理対象の汚染土壌を一辺1乃至3mの正六角形に区切り、その中心に中空陰極を打ち込み、各頂点の位置に正極棒を打ち込み、これを処理単位細胞とする。この処理単位細胞を核とし、これに接して同じ大きさの正六角形の細胞を電源容量一杯まで次々と増加する。陰極の打ち込み深さは陰極のスリットの下端位置の300mm以内とする。
次いで1:100程度の塩酸溶液を汚染土壌表面へ散布しつつ各細胞の電気伝導度をチェックし、土壌の通電性を確保する。
実際のフィールド除染においては複数の超音波振動子を並べた振動板を汚染土壌表面に接触したまま表面に沿って掃引しながら超音波を発振するのが効果的である。土壌表面から深さ300mmの土壌層において1W/cm2以上のパワー密度であればCs等陽イオンの脱離は進行する。
電解透析の開始と同時に超音波の発振も開始する。超音波の発振には連続、間欠、パルス等のパターンがあるが一般には5分間隔で5分間掃引発振する。
一辺1乃至3m正六角形細胞においては電解透析時間は2乃至3時間を標準とするが、土壌構造、組成等によりイオンの脱離や移動の抵抗が異なるので土壌表面から放射能量’(Bq)を測定し、透析の進行度をチェックして処理時間を調節する。
中空陰極内は負圧に保持されているので脱離したCs,Na,K等の混合溶液は陰極のスリットを通して陰極内部に流れ込むのでこれをポンプで汲み上げて別容器に保管する。以上で汚染土壌の除染操作は完了であるが、上記分離回収したCsを含むアルカリ金属混合溶液からCsの分別回収はまとめて後記する。
剥ぎ取り排土の除染は行われておらず、保管貯蔵しながら最終処分地の選定を待っているのが現状であるが最終処分地の目途が立たず行き詰まったままである。これを打開するためには剥ぎ取り排土自体の除染を行って安全な放射能量レベルまで低減する以外に打つ手はなく、その処理コストはある程度覚悟しなければならない。以下剥ぎ取り排土の放射能量(Bq)の低減に関する本発明の適用について説明する。
剥ぎ取り排土に水を加え攪拌し全体を懸濁状態にするとCsを吸着している微細粘土粒子は水に分散して負に帯電するので電気泳動によって陽極へ集めることが出来る。実際には金属製の回転式円筒陽極とその下方に金網陰極を備えた槽へ上記懸濁液を送り込み攪拌しつつ直流電圧を印加すると粘土粒子は陽極の表面に層状に堆積し、回転に伴って液を離れると掻き取るようにする。印加直流電圧は装置の大きさや汚染土壌の性質によって多少の相違はあるが概ね100V前後であり、電力消費は掻き取り粘土について3乃至5Kg/KWhである。
電気泳動掻き取り粘土の放射能量は高レベルであり、又残留土壌沈降後の上澄み水には溶存態Csを含んでいるので、掻き取り粘土と上澄み水とを併合して、一価カチオン膜、ろ布等を張った仕切り板で2室に仕切られた透析槽内で前記本発明に準じて超音波振動のソノケミカルな場で電解透析を行ってCs,Na,K等アルカリ金属溶液を陰極室へ移動回収する。
以上述べた排土の除染操作により残留沈降土壌の放射能量は元の10%以下にまで低減され又上澄み水のCsも除去されるので特定な場所を選ぶことなく埋め立て、放流が可能となり排土の除染の目的が達成される。
汚染土壌の除染最後の工程は前段までに述べてきた分離回収した放射性Csの処理と最終取り扱いである。Cs,Na,K等アルカリ金属混合溶液からCsを分別するにはCsに高い吸着性を示す微細な不溶性フェロシアン化物又はその担持体に吸着させるのが手っ取り早くプロセス的には単純であるが、この種の吸着剤の調製コストや吸着後の長期安定性には不安がない訳ではない。
本発明ではCsミョウバン(CsAl(SO4)2・12H2O)がNa,Kのミョウバン比べて著しく水に難溶性である点に注目してCsミョウバンを優先的に晶析させて分別する。即ち前記アルカリ金属混合溶液から水分を減圧、加熱、蒸発させ数モル程度のCs濃度になるまで濃縮し、理論量の硫酸アルミニウムを添加反応させると最初にCsミョウバンの結晶が晶出するので、これをろ過して分別する。
得られたCsミョウバンは12水塩であるので放射線タイトの容器に納めげ減圧、加熱により無水塩となり減量する。この放射線レベルの高いCsミョウバンは元々の発生源に戻し保管すべきものである。以上のように本実施形態によれば極く限られた量の放射性物質の保管、貯蔵は免れないが、莫大な大部分の土壌処分問題は解消する。
実験に使用した器具、機器の仕様を下記に示す。
透析槽の寸法(mm) 縦 × 横 × 高さ アクリル樹脂板3mm厚
200 300 150
巾×長さが3×50のスリット5本を有するアクリル樹脂仕切 り板で30巾の陰極室を設け、スリットを一価カチオン膜、ろ 布でカバーする。陰陽両極室端に縦×高さ×厚さが100×1 50×1のステンレス鋼板を電極としてセット。
200 300 150
巾×長さが3×50のスリット5本を有するアクリル樹脂仕切 り板で30巾の陰極室を設け、スリットを一価カチオン膜、ろ 布でカバーする。陰陽両極室端に縦×高さ×厚さが100×1 50×1のステンレス鋼板を電極としてセット。
超音波振動子 高周波出力 50W 40KHz VZXπ40(A)TDK
輻射面積 40×20=8cm2
輻射面積 40×20=8cm2
直流電源 DC 0〜300V 5A 電流制限回路付き
放射能量測定器 ガイガーカウンタ PKC−107
2〜9990Bq/g
2〜9990Bq/g
カチオン交換膜 一価カチオン選択透過性 膜抵抗 1.8Ω・cm2
汚染土壌サンプル 平成11年10月1日採取
自宅スレート屋根の雨水流下貯留土壌15Kgを採取、混合ビ ニール袋に貯蔵
自宅スレート屋根の雨水流下貯留土壌15Kgを採取、混合ビ ニール袋に貯蔵
実験1 電解透析のみで除染を行った場合
上記汚染土壌サンプル6.5Kgを陽極室へ充填すると約100mmの深さの土壌層が形成される。これに2000mlの1:100の塩酸溶液を均一に散布すると陰陽両極間に連続液層され通電性が確保できる。この時点で陰極室に土壌層高さレペルまで水を入れ、直流電圧の印加を開始し電圧を徐々に上昇しなすがら電源電流容量5Aの範囲に手動で制御しつつ透析を進める。100〜150Vの電圧でほぼ安定する。陰極室の水位を一定に保つため時々スポイトを用いて陰極室水を吸引し別容器に保管した。2時間透析終了後、陰極室水を排除してから土壌表面の放射能量(Bq)を測定し、透析直前の放射能量との比較から除染効果を計算した。実験の結果を下記に示す。
電解透析前の放射能量 (Bq/Kg) 6138
電解透析後の放射能量 (Bq/Kg) 3764
除染率 (%) 38.7
上記汚染土壌サンプル6.5Kgを陽極室へ充填すると約100mmの深さの土壌層が形成される。これに2000mlの1:100の塩酸溶液を均一に散布すると陰陽両極間に連続液層され通電性が確保できる。この時点で陰極室に土壌層高さレペルまで水を入れ、直流電圧の印加を開始し電圧を徐々に上昇しなすがら電源電流容量5Aの範囲に手動で制御しつつ透析を進める。100〜150Vの電圧でほぼ安定する。陰極室の水位を一定に保つため時々スポイトを用いて陰極室水を吸引し別容器に保管した。2時間透析終了後、陰極室水を排除してから土壌表面の放射能量(Bq)を測定し、透析直前の放射能量との比較から除染効果を計算した。実験の結果を下記に示す。
電解透析前の放射能量 (Bq/Kg) 6138
電解透析後の放射能量 (Bq/Kg) 3764
除染率 (%) 38.7
実験2 超音波振動の場で電解透析除染を行った場合
実験2は実験1と同様にセットし、土壌への超音波振動の照射伝播だけが新たに加えた実験因子である。超音波振動の照射は2時間の電解透析期間中に5分間隔で5分/回を12回繰り返した。飛沫飛散防止用樹脂板で囲った振動子を土壌表面数ミリ下の位置に沿って掃引(スキャン)した。実験の結果を下記に示す。
除染前の放射能量 (Bq/Kg) 6138
除染後の放射能量 (Bq/Kg) 522
除染率 (%) 91.5
実験2は実験1と同様にセットし、土壌への超音波振動の照射伝播だけが新たに加えた実験因子である。超音波振動の照射は2時間の電解透析期間中に5分間隔で5分/回を12回繰り返した。飛沫飛散防止用樹脂板で囲った振動子を土壌表面数ミリ下の位置に沿って掃引(スキャン)した。実験の結果を下記に示す。
除染前の放射能量 (Bq/Kg) 6138
除染後の放射能量 (Bq/Kg) 522
除染率 (%) 91.5
以上2つの実験から次の推論が導かれる。電解透析により溶存態Csの移動、回収はできるが、微細粘土粒子の層構造に吸着されているCsを分離、回収することは困難である。従って除染率は30〜40%止まりとなる。一方、超音波振動の場即ちソノケミカルな場においては微細粘土粒子層構造中のCsが脱離し溶存態になり電解透析が効果的に作用して高い除染率が達成される。実験2において90%以上の除染率が得られたが、操作条件の工夫改良によって更に高い除染率を目指すことが可能である。
本発明の原理を剥ぎとり排土や高レベル汚染ゼオライト等の処理に適用することにより、それ等の処分問題の解決に貢献できる。
Claims (5)
- 放射性Csによって汚染された土壌、汚染排土、堆積物等(以下汚染土壌と称す)へスリットを設けた金属中空パイプの陰極を打ち込み、陰極から適切な距離を置いて陰極を取り囲んで複数本の金属棒状の陽極を打ち込み、陰陽両極間の汚染土壌に1:100前後の無機酸溶液を散布して通電性を確保した上、電気伝導度に応じて500V以下の直流電圧を印加し電解透析を行うと同時に100KHz以下の超音波振動を汚染土壌へ伝播させることにより土壌粘土分に吸着しているCs等陽イオンを脱離させ、陽イオンを含む溶液を内部を負圧にした金属中空パイプ陰極に向かって移動、吸引し、陰極のスリットをカバーする ろ布、ろ紙及び一価カチオン交換膜の層を通して放射性Csを含むアルカリイオン溶液を前記中空陰極内へ回収して0排土で除染を遂行することを特徴とする汚染土壌の電気化学的除染方法。
- 請求項1に記載の土壌への超音波伝播手段としては各陽極に夫々超音波振動子を取り付け連続又はパルス又は間欠的に超音波を発振させるか、又は単独の振動子或いは複数の振動子を装着した振動板を汚染土壌表面に沿って掃引しつつ超音波を発振させることにより土壌粘土分に吸着しているアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオンの脱離を促進しつつ陰陽電極間に直流電圧を印加して電解透析を行うことを特徴とする汚染土壌の電気化学的除染方法。・
- 放射性Csを含む表層剥ぎ取り土壌(以下排土と称す)に水を加えて懸濁状とし、攪拌しつつ直流電圧を印加した回転円筒陽極とその下方に網状の陰極を備えた槽へ流し込むとCsを吸着した微細粘土粒子からなる懸濁態は負に帯電しているため前記陽極表面に付着するので、これを掻き取りCs等を分離回収することを特徴とする汚染土壌の電気化学的除染方法。
- 請求項3記載の操作において掻き取った汚染懸濁態微細粘土粒子と重い土壌粒子が沈降した上澄み液とを混合し、陰極と陽極がろ紙、ろ布、カチオン交換膜で仕切られた槽の中で請求項1及び2のプロセスに準じて超音波振動の伝播と電解透析を同時に行ってCs等を分離回収することを特徴とする汚染土壌の電気化学的除染方法。
- 請求項1、2、4記載の操作によって分離回収した放射性Csを含むアルカリ金属イオン溶液は水分を蒸発濃縮し、硫酸アルミニウムを加えて水に難溶性のCsミョウバンの結晶を優先的に晶出させて回収することを特徴とする放射性Csを含む溶液の処理方法。
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