JPH1085718A - 金属の回収装置 - Google Patents

金属の回収装置

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JPH1085718A
JPH1085718A JP8245148A JP24514896A JPH1085718A JP H1085718 A JPH1085718 A JP H1085718A JP 8245148 A JP8245148 A JP 8245148A JP 24514896 A JP24514896 A JP 24514896A JP H1085718 A JPH1085718 A JP H1085718A
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metal
soil
electrode
electrodes
electric field
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JP8245148A
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English (en)
Inventor
Yuko Baba
優子 馬場
Tomiaki Furuya
富明 古屋
Kimihiro Tadauchi
仁弘 忠内
Kunihiko Sasaki
佐々木  邦彦
Kazunari Harada
一成 原田
Naohiko Oyasato
直彦 親里
Takeshi Gotanda
武志 五反田
Satoshi Kanazawa
悟史 金澤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B09DISPOSAL OF SOLID WASTE; RECLAMATION OF CONTAMINATED SOIL
    • B09CRECLAMATION OF CONTAMINATED SOIL
    • B09C1/00Reclamation of contaminated soil
    • B09C1/08Reclamation of contaminated soil chemically
    • B09C1/085Reclamation of contaminated soil chemically electrochemically, e.g. by electrokinetics

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  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
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  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Electrolytic Production Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理時間を必要とせず安価に原位置処理によ
って環境から汚染金属を簡易に除去回収する。 【解決手段】 金属の回収装置は、金属を含有する環境
中に電界を生成し電界に従って環境中の金属を移動させ
るための電極3a,3bと、生成した電界に従って電極に近
づいた金属を吸着する吸着剤13a,13bとを有し、吸着剤
は電極から離脱可能なように電極周囲に配設される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境中に存在する
金属の回収方法及び回収装置、特に、汚染土壌、汚染地
下水、汚染下水、汚泥等の人為的汚染環境や海水、地下
水、鉱脈などの自然環境から金属を収集するための回収
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業において金属の用途は非常に幅広
く、取り扱われる金属は多岐に渡る。この中にはクロ
ム、水銀、鉛、カドミウム等の有害重金属も含まれる
が、管理・取扱の手違いや事故等の不測の事態が生じた
場合、この様な金属による土壌や地下水の汚染という問
題が生じる。このような汚染金属を回収せずに放置する
と、人体や動植物に影響を与える。特に土壌中の汚染金
属は、回収しない限り汚染状態が長期に渡って継続する
ので、土地利用が実質的に不可能となり、周囲への汚染
の拡大も懸念される。従って、環境中の汚染金属の回収
は極めて重要なテーマである。
【0003】従来、汚染土壌からの重金属の除去は、土
壌の掘削によって行われていた。つまり、汚染土壌を掘
削して汚染されていない土壌と置換し、掘削した汚染土
壌は、化学処理剤に重金属を取り込んで土壌から取り除
いたり、硫化ソーダ、硫酸鉄のような重金属の不溶化剤
やセメント等を用いて重金属を土に固定させ、地中に遮
水シートを敷設してその中に重金属を固定化した土を埋
設して汚染の拡大を防止していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
技術には数多くの問題がある。まず、土壌中に重金属を
固定化する技術は研究途上であるため、長期的に土中に
重金属が溶出しないことを示すデータが少なく、汚染防
止の確実性が実証されていない。又、汚染金属の固定化
処理等に用いる添加剤により別の汚染が生じる危険性も
懸念され、酸性雨等による土壌中の酸性度の変化によっ
て重金属が溶出する危険性も否定できない。更に、固定
化等の処理を施した汚染土を廃棄する場所には限りがあ
り、廃棄場所の確保が難しい。遮水シートの耐久性につ
いても長期的な評価が十分得られていないため、地下水
系への溶出の可能性を否定できない。又、汚染土を容器
に収容して汚染物が漏出しないように保管するのも容易
ではない。更に、広域に渡る汚染の場合、汚染域の土壌
を全て掘削して処理するのは簡単ではなく、効率及びコ
ストの面でも良策とは言えない。
【0005】このようなことから、上記以外の方法とし
て、土壌を湿式洗浄した後に洗浄液に溶解した重金属を
沈澱させ濾別する方法等が提案されているが、土壌は一
般に負電荷に帯電しており、正電荷を帯びた重金属を吸
着するため、土壌から重金属を完全に溶出除去するのは
困難である。
【0006】本発明は、この様な従来技術の課題を解決
するためになされたもので、多大なコストや処理時間を
必要とせずに原位置処理によって汚染土壌等の環境から
金属を簡易に除去回収できる金属の回収方法及び回収装
置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、電気的な処理
を利用することにより環境中の金属の回収が容易になる
ことを見いだし、本発明の金属の回収方法及び回収装置
を発明するに至った。
【0008】本発明の金属の回収装置は、金属を含有す
る環境中に電界を生成し該電界に従って環境中の金属を
移動させるための電極と、生成した電界に従って該電極
に近づいた金属を吸着する吸着剤とを有し、該吸着剤は
該電極から離脱可能なように該電極周囲に配設される。
【0009】上記回収装置は、前記吸着剤を電極周囲か
ら離脱させて運搬するためのキャリアを備える。
【0010】又、本発明の金属の回収装置は、金属を含
有する環境中に電界を生成し該電界に従って環境中の金
属を移動させるための電極と、該環境に水を供給するた
めの給水装置と、生成した電界に従って該電極に近づい
た金属を該電極周囲から環境外へ搬送するための搬送手
段とを有する。
【0011】更に、本発明の環境中金属の回収装置は、
金属を含有する環境中に電界を生成し該電界に従って環
境中の金属を移動させるための電極と、環境中の金属を
振動させて環境に固着する金属を環境から解放するため
の解放手段と、該電界に従って該電極に近づいた金属を
該電極周囲から環境外へ回収するための回収手段とを有
する。
【0012】上記解放手段は、前記電界に従って金属を
移動させる力が変化して金属が振動するように該電界の
強度を頻繁に変化させる電源、又は、超音波を発する超
音波発生装置を用いる。
【0013】
【発明の実施の形態】金属に汚染された領域全ての土壌
の掘削をせずに金属を効率的に回収するには、まず、土
壌中の汚染金属を小領域に濃縮して汚染範囲を縮小する
ことが必要である。これについては、電気泳動あるいは
電気浸透のような電気的手法を応用して、電極を用いて
電界を生成させて土壌中の金属を移動させ濃縮すること
により実現できる。更に、濃縮された金属を土中から取
り出さなければならない。これについては、電界を生成
する電極の周囲に金属を捕捉する吸着剤の層を設けて電
極に向かって移動する金属を吸着剤に取り込み、その後
吸着剤を地上に引出し、吸着剤から金属を回収すれば、
土壌を掘削する必要はなくなる。吸着剤には、例えば、
イオン交換樹脂等のような金属に配位する配位基を結合
させた樹脂及び繊維;金属捕捉能を有する基を結合させ
る表面処理をシリカゲル等の無機担体に施したもの;イ
ミノジ酢酸型キレート樹脂やアミノリン酸型キレート樹
脂の様な金属とキレートを形成する基を有するキレート
樹脂及びキレート化合物;キトサンのような高分子電解
質;シクロデキストリンやクラウンエーテル、デンプン
錯体、尿素アダクツ、ヒドロキノン、デオキシコール
酸、アミロース、ポリビニルアルコール等の有機系包接
化合物;グラファイトやゼオライト等の無機系包接化合
物等が挙げられる。吸着剤は、電極に近づく金属イオン
を効率よく捕捉するために、電極を包囲するように配置
される。吸着剤を土壌から分離、保護するために、半透
膜等の金属透過性の孔質材料で形成した鞘で覆うのが好
ましい。吸着剤は、電極に着脱可能に取り付けたり、電
極周囲と地上とを循環するように流動するように構成す
ることができる。着脱可能に取り付けるものとしては、
例えば、イオン交換繊維のような繊維状吸着剤あるいは
布状吸着剤で電極を覆って多孔性の鞘で覆うものが挙げ
られる。流動するものとしては、多孔性鞘に収容された
電極の周囲にイオン交換樹脂の粒子を流動させるものが
挙げられる。
【0014】上述の構成に従った金属の回収を行うため
の回収装置の好ましい一実施形態を図1及び図2に示
す。図1及び図2の回収装置1は、1対の球形の電極3
a,3bを有し、電極3aは直流電源5の陽極に、電極
3bは陰極に接続されている。電極3a,3bと直流電
源5との接続には、所望の電圧の印加が可能となるよう
に必要に応じて適宜制御回路を介在させる。電極3a,
3bの各々は、不織布で形成された保護用の膜7で表面
を被覆され、半透膜として孔質材料で形成された中空球
形のフィルター9a,9bで包囲されており、フィルタ
ー9a,9bと電極3a,3bとの間に各々、充填室1
1a,11bが形成される。充填室11a,11bに
は、図2のように粒状の陰イオン交換樹脂13a及び陽
イオン交換樹脂13bと水とが充填されている。膜7は
電極3a,3bとイオン交換樹脂13a,13bとの作
用を防止する。フィルター9a,9bは各々、金属脱離
装置15a,15b及び固液分離装置17a,17bと
配管により接続されており、金属脱離装置15a,15
bと接続される真空ポンプ19a,19bによって陰イ
オン交換樹脂13a及び陽イオン交換樹脂13bを金属
脱離装置15a,15bに回収することができる。更
に、金属脱離装置15aにはアルカリ水供給装置21が
接続され、金属脱離装置15bには酸液供給装置23が
接続されている。固液分離装置17a,17bには金属
回収装置25a,25bが付設されている。
【0015】上記構成に従って電極3a,3b間に電圧
を印加すると、電極間に生成した電界によって土壌中の
金属はイオン化して電極に向かって移動し、フィルター
9a,9bを通って充填室11a,11bに入り、土壌
中へ逆戻りせずに陰イオン交換樹脂13a及び陽イオン
交換樹脂13bに捕捉される。この後、真空ポンプ19
a,19bにより充填室11a,11b内の陰イオン交
換樹脂13a及び陽イオン交換樹脂13bを金属脱離装
置15a,15bに回収し、各々、アルカリ水供給装置
21及び酸液供給装置23からアルカリ洗浄水及び酸洗
浄水を供給してイオン交換樹脂から金属イオンを脱離す
る。この後、イオン交換樹脂及び洗浄水は固液分離装置
17a,17bに送られ、脱離金属を含んだ洗浄水は金
属回収装置25a,25bに送られ、更にアルカリ水供
給装置21及び酸液供給装置23から供給する水によっ
てイオン交換樹脂を水洗した後、イオン交換樹脂は再度
充填室11a,11bに送られる。水洗に用いた水は各
々金属回収装置25a,25bで処理される。この様に
構成することによって、汚染土壌だけでなく、汚染地下
水、汚染下水、汚泥等の人為的汚染環境や海水、地下
水、鉱脈などの自然環境からの金属の回収に広く利用す
ることができる。
【0016】上述のような構成において、印加電圧は約
150V以下、好ましくは20〜40V位程度とし、3
A/m2 程度の電流が流れるように設定するのがよい。
電極間の距離は約3m以下であるのが好ましい。電極
は、腐食などの点を考慮すると、炭素、ステンレス鋼な
どで形成するのが好ましく、半径30cm程度に形成する
のが好ましい。フィルター9a,9bは、金属イオンが
透過可能な1μm以下の径の孔を有し、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィ
ン、四弗化エチレンで形成したものを使用することがで
きる。陰イオン交換樹脂としては、例えば−SO3 Na
+ のような強酸性官能基を有する強酸性カチオン交換樹
脂等が好ましく、陽イオン交換樹脂としては、例えば、
−N(CH33 + Cl- のような強塩基性官能基を有
する強塩基性アニオン交換樹脂等が用いられる。イオン
交換樹脂の回収を容易に行うためには、大きさが粒径1
mm程度以下の粒状樹脂を用いるのが望ましい。
【0017】上記実施形態においては、球形の電極を用
いているが、これに代えて円筒形や板状等の他の形状の
電極を用いてもよく、フィルターもこれに応じて中空円
筒形や箱形に構成することができる。
【0018】土壌に設置した電極に印加する電圧が所定
値を越えると、土壌中の水分の電気分解が起こり、陽極
では酸素が発生し、陰極では水素が発生する。これと同
時に、陽極付近の土壌は酸性に、陰極付近の土壌はアル
カリ性になる。イオン化した金属は、電気泳動により陰
極側へ移動するが、陰極周囲のアルカリ領域中で水酸化
物等を生成して沈析する。重金属類の水酸化物は電気泳
動の作用を受けず、電化も持たないため、移動が困難に
なりアルカリ領域に停滞する。従って、このような電極
間のpH値の変化が生じると、前述の回収装置における
吸着剤による金属の回収は不可能になるので好ましくな
い。しかし、土壌に水を供給すると、このようなpH値
の変化は防止され、金属の沈析は生じなくなる。又、電
圧印加中に土壌の水分が減少すると電気伝導度が減少
し、電気泳動の効率が低下する。更に、乾燥した土壌に
比べて水分を多く含む土壌の方が金属の移動も速いの
で、汚染金属を回収する土壌に水を供給するのは好まし
い。従って、電圧印加によって汚染金属を回収する際
に、金属汚染領域付近の地下水系から揚水井戸によって
汲み出した水等を利用してし、金属汚染領域に給水すれ
ば、汚染金属の回収が効率的に行われる。又、地下水系
に汚染が進行している様な場合には、地下水からの汚染
金属除去も兼ねることができる。陽極側から給水する
と、水の浸透と金属イオンの移動とが並行するので、金
属の移動にも効果的に作用する。水の供給量は、金属の
回収処理を施す土壌の容積に応じて適宜調節し、300
〜500cc・m-3・hr-1程度の割合で供給するのが好ま
しい。金属汚染領域に均一に給水されるように、素焼管
等の多孔質フィルターを介して土壌に水が供給されるよ
うに構成するのが好ましい。
【0019】金属の沈析が起こるpH値を、カドミウム
を例として、Nernstの式から求めると、以下のようにな
る。
【0020】 Cd(OH)2 ←→ Cd2+ + 2OH-sp = [Cd2+][OH-2 = 2.8×10-14 log[Cd2+][OH-2 = log(2.8×10-14 ) ∴ 2log[OH- ]=log(2.8×10-14 )−log[Cd2+] =log2.8−14−log[Cd2+] log[OH- ]=(log2.8−14−log[Cd2+])/2 [OH- ]=(10-14 /[H+ ])だから、 −14−log[H+ ]=(log2.8−14−log[Cd2+])/2 ∴ −log[H+ ]=(log2.8−log[Cd2+])/2 + 7 ここで、[Cd2+]=50ppm =4.5×10-4 mol/Lとすると、 pH値=−log[H+ ]=(log2.8−log4.5)/2 + 9 =8.9 つまり、pH値が8.9以上の時に水酸化カドミウムが
析出する。
【0021】図3は、給水装置を備えた回収装置の一例
を示す。この回収装置27は、直流電源29、該直流電
源29の陽極及び陰極に各々接続され土壌中に埋設され
る正電極部31及び負電極部33、地下水を汲み上げる
ための定量ポンプ35、該ポンプ35から正電極部31
付近へ水を供給するための給水管37を備えている。給
水管37は正電極部31に沿って延伸する多孔質性の中
空先端部39を有しており、この部分から正電極部31
付近の土壌に水が浸透する。この構成に従って、ポンプ
35から正電極部31付近に地下水を供給しながら正電
極部31及び負電極33に電圧を印加すると、電極部周
囲の土壌のpHの変化を防止しつつ電気泳動による金属
イオンの移動を行うことができる。上述の構成におい
て、正電極部31及び負電極部33として前述の図1及
び図2に示すような吸着剤及びフィルターを備える電極
を適用すれば、金属イオンは負電極部33から吸着剤と
共に回収される。図3のように平板状の正電極部31を
用いた場合に、給水管37の多孔質性の中空先端部39
を正電極部31に沿って中空平板状に形成してもよい。
正電極31及び負電極部33の両方に多孔質性の中空先
端部39を設けて両電極に給水してもよい。
【0022】上記のような構成において、電気泳動を行
うために印加する電圧は、両電極間の距離に応じて、2
0〜40V/m程度(例えば、両極間の距離が5mであ
れば100〜200V)で、3A/m2 となるように設
定するのが好ましい。電極は、カーボン、ステンレス鋼
等の腐食しにくい材料で形成したものを用い、金属汚染
領域を十分処理できるように埋設する。多数の電極で金
属汚染領域を包囲するように設置する場合、正電極同
士、負電極同士の間隔は30cm程度であるのが好まし
い。
【0023】上述したように、電気泳動法によって金属
の回収処理を行う場合、土壌への水の供給は有効に作用
する。土壌への水の供給方法は、前述のような直接的な
給水に限られるものではなく、例えば、含水性のゲルを
土壌中に供給して保水能を高める方式であってもよい。
つまり、保水能の高いゲル化剤によって土壌に水分を保
持することができる。この方式では土壌の表面近くの方
がゲルを生成し易く、日照などによる土壌表面からの水
分蒸発による乾燥を防ぐのに適している。
【0024】ゲル化剤としては、水を多量に含む性質を
有するものであれば特に制限はなく、例えば、寒天、ガ
ラクトース、ゼラチン、シリカゲル、粘土、澱粉、セル
ロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ
ビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。これらを
水に溶解させてゲル状にした後、汚染土壌の表面に分散
させて土壌中に浸透させる。ゲル化剤の濃度が薄い方が
土壌に浸透し易いので、土壌の状態に応じてゲル化剤の
濃度を適宜調節して土壌に注入する。前述の水の直接供
給と同様に、ゲルを陽極付近に浸透させると、電気泳動
による金属イオンの移動と共にゲルから陰極側へ向かっ
て土壌に水が浸透するので好ましい。
【0025】前述したように、陰極付近の土壌のpH値
が上昇すると金属水酸化物の沈析を生じ電気泳動による
金属の移動が抑制されるが、土壌に酸性物質を供給すれ
ば土壌のpH値は下げることができる。特に生分解性の
有機酸は、土壌に散布しても後で回収する必要がないの
で、汚染金属の回収処理に用いるのに適している。例え
ば、ギ酸、シュウ酸のようなカルボキシ基を有する化合
物、ベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸基を有する
化合物が挙げられる。
【0026】有機酸を用いた電気泳動による金属の回収
は、例えば、図6のような装置によって行うことができ
る。この回収装置41は、直流電源43と、中空電極4
5、47と、有機酸薬注器49と、アルカリ薬注器51
とを備える。中空電極45、47はカーボン、ステンレ
ス鋼等の導電材で中空筒状に形成され、多数の細孔が設
けられており、土壌中に埋設される。中空電極45は直
流電源43の陽極に接続され、中空電極47は陰極に接
続される。有機酸薬注器49には有機酸タンク53から
有機酸が供給され、更に水が供給されて有機酸液が調製
される。有機酸液は送液ポンプ55によって中空電極4
5へ供給され、土壌中へ浸透する。中空電極45、47
間の電圧印加によって土壌中を電極47の方へ金属イオ
ンは移動し、電極47接続されたポンプ57によって水
分と共に電極47内に吸引され、アルカリ薬注器51に
送られる。アルカリ薬注器51にはカセイソーダ等のア
ルカリが収容されたアルカリタンク59が接続されてお
り、回収金属を含む水にアルカリが添加される。アルカ
リを添加した水は、アルカリ薬注器51に接続された沈
澱槽61に送られ、金属水酸化物の沈澱物と水とに分離
される。分離した沈澱物は貯蔵タンク63に収容され
る。有機酸薬注器49、送液ポンプ55、沈澱槽61及
び直流電源43は制御部65に接続され、有機酸液のp
H値、送液圧、沈澱槽61の操作及び電極間の印加電圧
が調整される。有機酸液の送液圧は、電極から排出する
有機酸液の量に応じて、配管のコンダクタンスなどを考
慮してゲージ圧で約0.2〜2.0kg/cm2 に設定す
る。
【0027】図7は、図6に示した有機酸薬注器49及
び有機酸タンク53を示す。有機酸薬注器49には攪拌
器67、液面計69及びpH計71が設けられ、バルブ
73及び流量計75を介して有機酸が有機酸タンク53
から供給され、ポンプ77、バルブ79及び流量計81
を介して水が供給される。所望のpH値の有機酸液が調
整されるようにpH計で測定される値に従って、有機酸
及び水の供給量が制御される。調製する有機酸液のpH
値は、回収対象の金属に応じて適宜設定され、例えばク
ロムの場合には、pH値が4程度であれば溶解度が0.
1 mol/Lとなり、溶出が促進される。
【0028】図8は、図6に示したアルカリ薬注器51
及び沈澱槽61を示す。アルカリ薬注器51は攪拌器8
3及びpH計85を備え、バルブ87及び流量計89を
介してアルカリタンク59と接続されている。電極47
より回収された金属を含む水は、アルカリは添加して金
属水酸化物が沈澱するpHに調整される。pH値は対象
金属に応じて適宜設定され、例えばクロムの場合はpH
7程度で溶解度が10-9 mol/L程度になり、実用的に
十分に沈澱する。この後沈澱槽61に送られ、穏やかな
流れの中で金属水酸化物の沈澱物は槽の底部に落下して
水と分離され、沈澱物は掻き取り器によって貯蔵タンク
に収容される。
【0029】図6の装置は、陽極側の電極45から有機
酸液を土壌に供給しているが、もちろん電極と有機酸液
を供給する手段とを別に設けてもよい。例えば、通常の
電極と、多数の細孔を有する中空筒とを並設して、中空
筒に有機酸液を供給することができる。この場合、中空
筒は導電性を必要としないので、セラミックス等で形成
することができ、有機酸液の供給位置も電極間で適宜調
整できる。又、平板状や棒状等、所望の形状の電極が使
用できる。
【0030】土壌は一般に負電化に帯電しており、正電
荷を帯びた金属は土壌に吸着され易い。吸着状態が続く
と、金属は物理的にも土壌粒子に付着するようになる。
このため、電気泳動、電気浸透等の作用によって土壌中
の金属を移動させようとしても、土壌に付着したまま離
脱できない場合がある。しかし、このような土壌に付着
した金属を土壌から強制的に離脱させる処理を施せば、
金属が電界の生成によって移動し易くなり、回収効率が
向上し、回収に必要な時間が短縮される。土壌に付着し
た金属を土壌から強制的に離脱させるには、金属が土壌
に対して振動するような物理的エネルギーを加えるのが
効果的であり、具体的には、電気泳動によって金属を回
収するために生成する電界の強度を頻繁に変化させるこ
とによって金属を電極に向かって移動させるクーロン力
に強弱をつけて金属を振動させる方式や、土壌に対して
超音波を作用させて金属及び土壌を振動させて機械的に
金属と土壌とを分離させる方式等が挙げられる。以下
に、これらの方式について説明する。
【0031】電界強度を変化させる方式は、前述におい
て説明したような金属の回収装置の直流電源を、電圧が
一定でなく頻繁に変化する電源、例えば、半波整流電
源、直流パルス電源、リップル電源等と交換することに
よって実施できる。又、この構成に限らず、後述する図
9のような例も使用できる。用いる電源は電圧が頻繁に
変化すればよく、電圧の変化が急激な方が効果的で、6
0サイクル/sの半波整流電源の場合、印加電圧の最大
値が30〜50V/mとなるようなものが好ましい。電
圧の変化が周期的である必然性はなく、不規則な変化で
あっても良いが、実用的には整流電源のように周期的で
あるものが一般的である。
【0032】図9は、半波整流電源を用いた金属の回収
装置の一例を示す。この回収装置91は、半波整流電源
93、半波整流電源93の陽極及び陰極に各々接続され
る棒状のカーボン電極95及び97を有し、電極95に
は陰イオン交換能を有するイオン交換繊維99が着脱可
能に取り付けられ、電極97には陽イオン交換能を有す
るイオン交換繊維101が同様に取り付けられている。
電極95,97は、前述の回収装置の電極と同様、金属
汚染領域を挟むように土壌中に埋設され、半波整流電源
93によって電圧が印加される。これにより、土壌中に
電界が生成し、陽イオン化した金属はクーロン力によっ
て土壌中を電極97に向かって移動し、陰イオンは電極
95に向かって移動する。この間、電界強度が周期的に
頻繁に変化するため、イオンに作用するクーロン力の大
きさは変化し、金属イオンが土壌粒子に付着している場
合には、金属イオンが土壌粒子に対して振動するような
挙動となり、土壌から引き離す作用をする。電極の方へ
移動した陽イオン及び陰イオンは電極95,97上のイ
オン交換繊維99,101に吸着される。イオンを吸着
したイオン交換繊維99,101は電極95,97から
取り外し、イオン交換繊維99は水酸化ナトリウム水溶
液のようなアルカリ液で、イオン交換繊維101は硫酸
などの酸液を用いて洗浄して吸着イオンをイオン交換繊
維99、101から除去し、再度電極95、97に取り
付けて再利用する。陽イオン化して電極101側に移動
した金属は、イオン交換繊維101を洗浄した酸液から
回収される。
【0033】超音波を作用させる方式では、金属を含有
する土壌に超音波を照射するための超音波発信器を用
い、超音波発信器は電極に添設しても、電極と離して設
置してもよい。又、電極自体から超音波が発信されるよ
うに構成してもよい。金属と土壌との分離に振動エネル
ギーが有効に作用するには、発信する超音波の周波数は
10〜500KHzが好ましく、超音波による土壌への
投入エネルギー密度が0.1〜500W/Lとなるよう
に発信器を設置する。超音波発信器を複数個設置する場
合、各超音波発信器の位相関係を制御するシステムを設
けると、各発信器からの超音波の位相が金属汚染領域に
おいて一致して超音波が増強されるようにすることがで
きるので、金属汚染領域から離れて超音波発信器を設置
しなければならない場合でも十分なエネルギーを金属汚
染領域に送ることが可能となる。従って、電力の浪費が
避けられ、コンパクトな装置で効率よく金属を回収する
ことができる。
【0034】図10は超音波発信器を有する土壌中金属
の回収装置の一例を示す。この回収装置103は、直流
電源105と、直流電源105に接続され多数の細孔を
有する中空電極107,109と、中空電極107に有
機酸水溶液を送出する供給部111と、中空電極109
から金属を含んだ水を回収するための回収部113と、
超音波発信器115と、超音波発信器115に接続され
る電源117とを備える。中空電極107,109で金
属汚染領域の土壌を挟むように土壌中に埋設し、有機酸
水溶液を供給部113から中空電極107に供給しなが
ら直流電源105によって電極107,109に電圧を
印加すると、電気泳動による金属イオンの移動が起こ
り、電極107の細孔から土壌に浸透する有機酸によっ
て土壌の金属の溶出が促進される。同時に、超音波発信
器115を作動して土壌に振動を与えることにより、土
壌に付着した金属が土壌と分離され、電気泳動による移
動が容易になる。電極109へ移動した金属陽イオンは
水分と共に回収部113へ回収される。
【0035】上記回収装置103において、供給部11
から供給する有機酸水溶液を水に代えてもよい。又、供
給部11の有機酸を電極107とは別の中空部多孔質部
材を用いて土壌に供給し、電極107から陰イオンを含
む水を回収するように構成してもよい。このように構成
すれば、回収装置103は、陽イオン化した水銀、カド
ミウム、希土類その他の重金属等の他に、土壌条件によ
って陰イオン化した金属要素(例えば、アルミン酸イオ
ン等)も回収できる。
【0036】図11は超音波発信器を有する土壌中金属
の回収装置の他の例を示し、この回収装置119は、超
音波発信器115が発する超音波の位相を制御する位相
制御システムを備えた電源121を使用し、他の部材に
ついては図10の回収装置103と同様である。図11
の回収装置119は、超音波発信器115が土壌深くの
汚染領域に設置できない場合にも複数の超音波発信器か
ら発せられる超音波を集中させることによって土壌表面
付近から汚染領域へ十分な強度の超音波を送ることがで
きる。
【0037】図12は、超音波を電極107,109か
ら発するように構成した回収装置123を示す。即ち、
図10の超音波発信器に代えて、電極107、109に
超音波を与えるための超音波発生装置125が電極10
7、109に取り付けられている。他の部材については
図10の回収装置103と同じである。この構成におい
ては、エネルギー効率が改善され、装置設置のための掘
削作業が減少する。
【0038】前述した図1の回収装置1は、図3、図
6、図9及び図10〜12と組み合わせて構成しても良
いのは言うまでもなく、例えば、図1の装置に、細孔を
有する中空部材を通じて土壌に有機酸水溶液を供給する
装置や超音波発信器を併設したり、電極に電圧を印加す
る電源として半波整流電源を用いることができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0040】(実施例1)半径が30cmの球形のステン
レス鋼製電極11a,11bと、陰イオン交換樹脂(交
換容量4.0 meq/g-R 、粒径500〜800μ)20
00g、陽イオン交換樹脂(交換容量3.5 meq/g-R
、粒径500〜800μ)2000gが各々充填され
た充填室11a,11bとを有する図1及び2に示す回
収装置1を用いて、幅3m、奥行き2m、深さ2.5m
(容積:15m3 、土壌の風乾後重量:1.250g/
cm3 )の金属汚染土壌の浄化を以下のように試みた。
土壌の金属汚染濃度は、鉛が1000 ppm(乾土1kgに
つき鉛を1000mg含有)、カドミウムが30 ppmであ
った。この土壌中に電極11a,11bを3mの間隔で
380cmの深さに埋設し、100Vの電圧を144時間
印加した。この時流れた電流は3.5A/m2 であっ
た。この間、3分間に1度の割合で陰イオン交換樹脂及
び陽イオン交換樹脂を金属脱離装置15a,15bに真
空ポンプ19a,19bで回収し、塩酸、水酸化ナトリ
ウム水溶液及び水を用いてイオン交換樹脂の再生・洗浄
を行って固液分離装置17a,17bを介して充填室1
1a,11bに戻した。固液分離装置17a,17bか
ら送られる水溶液及び洗浄水から金属回収装置25a,
25bにおいて回収される金属の量を24時間毎に測定
した結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 24hr 48hr 72hr 96hr 120hr 144hr 合計 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Pb 550 525 555 580 540 525 3275 Cd 150 95 70 30 20 2 367 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 金属汚染土壌の風乾後重量及び汚染濃度から、上記の回
収操作前に土壌中に含まれていた鉛及びカドミウムの重
量は各々13000g、390gであるから、144時
間の回収操作によって回収された鉛及びカドミウムは各
々25%、95%となる。尚、鉛の回収量が144時間
経過しても減少しないところから、回収操作を更に続け
れば鉛についても全量の回収が可能であることは容易に
予想される。
【0042】(実施例2)大きさ2m×3m×厚さ0.
05mのカーボン製平板陽極及び陰極を正電極部31及
び負電極部33として用いた図3の装置を利用して、電
気泳動による金属の移動における給水の効果を以下のよ
うに調べた。
【0043】まず、Cdを含有する土壌(水分含量:3
0重量%)中に、陽極と陰極との間隔が5mとなるよう
に埋設し、給水管7の中空先端部39から1000cc/
hrの割合で水を土壌中に供給しながら、両極間に150
Vの電圧を印加した。この時に流れた電流は4.2A/
2 であった。電圧を印加して144時間後に土壌中の
pH値を測定したところ、陰極からの距離とpH値との
関係は図4の線Aで示すようなものであった。更に、こ
の時の土壌中のCdの濃度Cを測定したところ、電圧印
加前の濃度C0(30ppm )に対する濃度比C/C0と
陰極からの距離との関係は図5の線Bで示すようなもの
であった。
【0044】対照実験として、上記と同様の操作を同じ
条件の土壌に水を供給しないで行い、土壌中のpH値及
びCd濃度を測定したところ、各々、図4の線C及び図
5の線Dのようになった。
【0045】上記の結果から、水を土壌に供給すると土
壌はpH7程度に保たれ、水が供給されないと、陰極付
近のpHが上昇し、陽極付近のpHが下降することが明
かである。又、Cdの濃度は、水を供給した場合には陰
極に近いほど高くなり、両極間のCdの約95%が陰極
から0.5m以内の領域に存在する。他方、水を供給し
ない場合には、陰極から約1mの位置に集中しているこ
とが解る。これは、図4から解るように、陰極から約1
mの位置のpH値は約9となっており、Cdが水酸化物
となって沈析するために電気泳動による金属の移動がこ
の付近で停止することによると考えられる。
【0046】(実施例3)長さ1m、幅30cm、深さ3
0cmのアクリル製容器に、縦30cm、横30cm、厚さ5
mmの黒鉛陽極とステンレス製陰極とを1mの間隔で配置
した後、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムを含有する
金属塩溶液と汚染金属を含まない土壌75Lとを投入
し、金属塩溶液を土壌に均一に浸透させた。この時、金
属塩溶液の割合は25 Vol%とし、各金属の含有量は1
000ppm であった。この後、土壌容積の5 Vol%に相
当する量の水に澱粉を2wt%の割合で加えて混練してゲ
ル(約4L)を作成し、容器中の土壌に2時間かけて均
一に浸透させた。この後、電極間に20V/mの電圧を
印加し、電圧印加後1日、7日、30日における陽極か
ら5cmの位置における土壌中の各金属の濃度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0047】(実施例4)ゲル化剤としてカルボキシメ
チルセルロース(CMC)350gを用い、ゲルの浸透
に3.1時間かけた点以外は実施例3と同様の操作を繰
り返して電圧印加後の各金属の濃度を測定した。結果を
表2に示す。
【0048】(実施例5)ゲル化剤としてポリビニルア
ルコール(PVA)300gを用い、ゲルの浸透に2.
5時間かけた点以外は実施例3と同様の操作を繰り返し
て電圧印加後の各金属の濃度を測定した。結果を表2に
示す。
【0049】(比較例1)土壌中の金属塩溶液の割合を
30 Vol%とし、ゲルの浸透を行わなかった点以外は実
施例3と同様の操作を繰り返して電圧印加後の各金属の
濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ゲル化剤 浸透時間 電圧印加 金属イオン濃度(ppm ) 時間 Cd2+ Hg+ Pb2+ Cr6+ (時間) (日) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例3 澱粉 2 1 910 880 930 830 2 7 520 470 630 360 2 30 70 60 90 13 実施例4 CMC 3.1 1 880 850 910 810 3.1 7 490 440 590 340 3.1 30 50 30 80 10 実施例5 PVA 2.5 1 870 840 880 790 2.5 7 460 430 570 330 2.5 30 40 25 70 5 比較例1 − − 1 910 900 920 850 − 7 660 620 710 590 − 30 390 330 450 280 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ゲルの浸透は、澱粉を用いた場合が一番速く、CMCを
用いた場合が最も遅かった。ゲルを浸透させたものは電
気泳動による金属の移動効果が持続して発揮されたが、
ゲルを用いなかったものは電圧印加時間が長くなると、
電気泳動の効果が現れ難くなった。
【0051】(実施例6)径が10mmの細孔を多数有
し、太さ20cm、長さ350cmで内径が18cmのステン
レス鋼製中空電極45、47を各々3つづつ有する図6
の回収装置41を用いて、以下の操作を行った。
【0052】クロムを1mg/ccの割合で含有する汚染土
1m3 を地下3mの位置に埋め込み、汚染土から1m離
れるように回収装置41の中空電極45、47を埋設
し、pH4に調製した蓚酸水溶液を500cc/hrの割合
で中空電極45から土壌中に供給しながら20Vの電圧
を1カ月間印加し、その後の汚染土壌のクロム濃度及び
沈澱槽61から回収されたクロムの回収率を測定したと
ころ、94%のクロムが回収され、汚染土壌のクロム濃
度は0.001ppm であった。
【0053】(比較例2)蓚酸水溶液を用いなかった点
以外は実施例6と同様の操作を繰り返し、汚染土壌のク
ロム濃度及びクロムの回収率を測定したところ、40%
のクロムが回収され、汚染土壌のクロム濃度は0.81
ppm であった。
【0054】(実施例7〜25)蓚酸水溶液に代えて表
3に示すような有機酸水溶液を用いた点以外は実施例6
と同様の操作を繰り返し、汚染土壌のクロム濃度を測定
した。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 有機酸 汚染土壌の 実施例 有機酸 汚染土壌の クロム濃度 クロム濃度 (ppm ) (ppm ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 7 ギ酸 0.003 17 酒石酸 0.43 8 酢酸 0.007 18 クエン酸 0.55 9 プロピオン酸 0.01 19 石炭酸 0.79 10 酪酸 0.02 20 安息香酸 0.68 11 吉草酸 0.3 21 フタル酸 0.70 12 マロン酸 0.008 22 テレフタル酸 0.6 13 コハク酸 0.04 23 ベンゼンスル 14 グルタミン酸 0.1 ホン酸 0.05 15 アジピン酸 0.3 24 フェノールス 17 リンゴ酸 0.42 ルホン酸 0.08 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (実施例25)太さが10cmの陰イオン交換繊維99が
太さ10cm、長さ250cmの炭素電極95に隙間なく巻
き付けられ、太さが10cmの陽イオン交換繊維101が
太さ10cm、長さ250cmの炭素電極97に隙間なく巻
き付けられた図9の回収装置91を用いて、以下の操作
を行った。
【0056】鉛の平均汚染濃度が1000ppm (乾土1
kgにつき1000mgの鉛を含有)である縦2m×横3m
×深さ2mの汚染域の両端に装置91の電極95,97
を埋設し、60サイクル/s周期で最大電圧100Vの
半波整流電源93により電極95,97に電圧を印加
し、24時間毎にイオン交換繊維99,101から吸着
イオンの回収を行いながら、土壌中の鉛濃度を定期的に
測定した。この結果、土壌中の鉛の60%が回収される
までに要した処理時間は4日間であった。
【0057】又、対照実験として、半波整流電源に代え
て電圧が100Vで一定の直流電源を用いた点以外は上
記と同様の操作を繰り返し、土壌中の鉛の60%が回収
されるまでに要した処理時間を求めたところ、6日間で
あった。
【0058】(実施例26)径が10mmの細孔を多数有
し、太さ20cm、長さ400cmで内径が18cmの中空ス
テンレス鋼製電極107、109を3個づつ有する図1
0の回収装置103を用いて、以下の操作を行った。
【0059】クロムの濃度が1mg/ccの汚染土壌1m3
を地下3mの深さに埋め、汚染土壌から1m離れるよう
に電極107,109を埋設し、汚染土壌中に超音波発
信器115を設置した。
【0060】pH4に調製した蓚酸水溶液を500cc/
hrの割合で中空電極107から土壌中に供給し、超音波
発信器115を作動させて100kHzの超音波を投入
エネルギー密度100W/Lで発信しながら30Vの電
圧を1カ月間印加し、その後の汚染土壌のクロム濃度及
び汚染土壌から回収されたクロムの回収率を測定したと
ころ、94%のクロムが回収され、汚染土壌のクロム濃
度は0.02ppm に減少していた。
【0061】対照実験として、超音波発信器を作動させ
ずに上記と同様の操作を繰り返したところ、40%のク
ロムが回収され、汚染土壌のクロム濃度は0.81ppm
になっていた。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属の回
収方法は、多大なコストや処理時間を必要とせずに原位
置処理によって汚染土壌から金属を簡易に除去回収で
き、その産業的価値は極めて大である。また、本発明の
回収装置は、簡易な構造であり、広く応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属の回収装置の第一の実施形態
を示す概略構成図。
【図2】図1の回収装置の要部の拡大図。
【図3】本発明に係る金属の回収装置の第二の実施形態
を示す概略構成図。
【図4】本発明に係る金属の回収方法の実施における陰
極からの距離と土壌のpH値との関係を示すグラフ。
【図5】本発明に係る金属の回収方法の実施における陰
極からの距離と土壌のCdの濃度比C/C0との関係を
示すグラフ。
【図6】本発明に係る金属の回収装置の第三の実施形態
を示す概略構成図。
【図7】図6の回収装置の有機酸薬注器及び有機酸タン
クを示す概略構成図。
【図8】図6の回収装置の沈澱槽を示す概略構成図。
【図9】本発明に係る金属の回収装置の第四の実施形態
を示す概略構成図。
【図10】本発明に係る金属の回収装置の第五の実施形
態を示す概略構成図。
【図11】図10の回収装置の変形例を示す概略構成
図。
【図12】図10の回収装置の他の変形例を示す概略構
成図。
【符号の説明】
1 回収装置 3a,3b 電極 5 直流電源 9a,9b フィルター 11a,11b 充填室 13a 陰イオン交換樹脂 13b 陽イオン交換樹脂 15a,15b 金属脱離装置 17a,17b 固液分離装置 19a,19b 真空ポンプ 21 アルカリ水供給装置 23 酸液供給装置 25a,25b 金属回収装置 27 回収装置 31 正電極 33 負電極 39 中空先端部 41 回収装置 45,47 中空電極 49 有機酸薬注器 51 アルカリ薬注器 61 沈澱槽 91 回収装置 93 半波整流電源 95,97 電極 99,101 イオン交換繊維 103 回収装置 107,109 中空電極 115 超音波発信器 123 回収装置 125 超音波発生装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25C 1/16 C25C 1/16 Z 1/18 1/18 (72)発明者 佐々木 邦彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 原田 一成 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 親里 直彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 五反田 武志 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 金澤 悟史 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属を含有する環境中に電界を生成し該
    電界に従って環境中の金属を移動させるための電極と、
    生成した電界に従って該電極に近づいた金属を吸着する
    吸着剤とを有し、該吸着剤は該電極から離脱可能なよう
    に該電極周囲に配設されることを特徴とする金属の回収
    装置。
  2. 【請求項2】 前記吸着剤を電極周囲から離脱させて運
    搬するためのキャリアを備えることを特徴とする請求項
    1記載の回収装置。
  3. 【請求項3】 金属を含有する環境中に電界を生成し該
    電界に従って環境中の金属を移動させるための電極と、
    該環境に水を供給するための給水装置と、生成した電界
    に従って該電極に近づいた金属を該電極周囲から該環境
    外へ搬送するための搬送手段とを有することを特徴とす
    る金属の回収装置。
  4. 【請求項4】 金属を含有する環境中に電界を生成し該
    電界に従って環境中の金属を移動させるための電極と、
    環境中の金属を振動させて環境に固着する金属を環境か
    ら解放するための解放手段と、該電界に従って該電極に
    近づいた金属を該電極周囲から環境外へ回収するための
    回収手段とを有することを特徴とする金属の回収装置。
  5. 【請求項5】 前記解放手段は、前記電界に従って金属
    を移動させる力が変化して金属が振動するように該電界
    の強度を頻繁に変化させる電源、又は、超音波を発する
    超音波発生装置のいずれかである請求項4記載の回収装
    置。
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