JP2014156082A - タイヤ用成形型 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベアーが生じにくいタイヤ用成形型の提供。
【解決手段】本発明に係るタイヤ用成形型は、ブロック12を備えている。このブロック12は、ベース20と、このベース20に固定されたコア22とを備えている。ベース20は、その周方向両端からそれぞれ半径方向内側に延びる一対の側部24を備えている。この一対の側部24の間に、コア22が位置している。このコア22の周方向外側面と、この側部24との間にクリアランス34が形成されている。この側部24の前面及びこのコア22の前面はキャビティ面14を形成している。このコア22は、ユニット26を含んでいる。このユニット26は、並列された複数のピース28を備えている。隣接する2つのピース28の間に、軸方向に延在する第一スリット30が形成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、タイヤの加硫工程に用いられる成形型に関する。詳細には、本発明は、エアーの排出のためのスリットを有する成形型に関する。
タイヤの加硫工程では、成形型が用いられている。割タイプの成形型及びツーピースタイプの成形型が、この加硫工程に用いられうる。加硫工程では、予備成形されたローカバーが、成形型に投入される。このローカバーは、成形型とブラダーとに囲まれたキャビティにおいて、加圧されつつ加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーのゴム組成物がキャビティ内を流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。加圧の際、成形型のキャビティ面とローカバーとの間にエアーが残留すると、タイヤの表面にベアーが形成される。ベアーは、タイヤの品質を低下させる。一般的な成形型は、ベントホールを有している。このベントホールを通じて、エアーが排出される。
割タイプの成形型は、円弧状のトレッドセグメントを備えている。多数のセグメントが並べられることで、リング状のキャビティ面が形成される。セグメントは、鋳型が用いられた重力鋳造又は低圧鋳造によって得られる。金属製鋳型が用いられた精密鋳造(いわゆるダイキャスト)により、セグメントが得られることもある。
セグメントの、隣接するセグメントに当接する面は、「分割面」と称されている。分割面とこの分割面に隣接する他の分割面との間には、微小な間隙が生じる。この間隙を通じて、エアーが排出される。
ベントホールを有する成形型では、このベントホールにゴム組成物が流入し、スピューが生じる。スピューは、タイヤの外観を損なう。スピューは切削によって除去されうるが、この切削には手間がかかる。架橋反応を起こしたゴム組成物が、ベントホールに残存することもある。残存によりエアーの排出が阻害され、ベアーが生じる。ベアー抑制の目的で、ベントホールのクリーニングがなされる。このクリーニングには、手間がかかる。
ベントホールを有さず、分割面同士の間隙を通じてエアーが排出される成形型では、分割面の近傍のエアーは十分に排出される。しかし、分割面から遠い箇所では、エアーの残留が原因でベアーが発生しやすい。
ベントホールを用いずに、ベアーの発生を抑えるために、様々な検討がなされている。この検討例が、特開2009−23231公報、特開2011−116020公報及び特開2012−6186公報に開示されている。
特開2009−23231公報には、キャビティ面に、周方向に延在する複数のスリットを有するタイヤ用成形型が開示されている。分割面から遠い箇所のエアーは、このスリットを通して分割面に達し、排出される。
特開2011−116020公報には、キャビティ面に、軸方向に延在する複数のスリットを有するタイヤ用成形型が開示されている。エアーは、このスリットを通して排出される。この成形型は、ブロックを備えている。ブロックは、コアと、コアを固定するベースとを備えている。コアは、一定間隔を開けて配置された複数のピースを備えており、これにより、上述のスリットが形成されている。コアとベースとは、鋳ぐるみによって一体化されている。
特開2012−6186公報には、キャビティ面に、周方向に延在する複数のスリットを有するタイヤ用成形型、及び軸方向に延在する複数のスリットを有するタイヤ用成形型が開示されている。エアーは、このスリットを通して排出される。この成形型では、ブロック(上記のコアに相当)と、ホルダ(上記のベースに相当)を備えている。このブロットとホルダは、ボルト等により、脱着可能に固定されている。
特開2009−23231公報 特開2011−116020公報 特開2012−6186公報
生産性向上の観点から、未架橋ゴムからなるストリップを周方向に螺旋巻きしてタイヤのトレッドを形成することがある。このようなタイヤの製造方法は、ストリップワインド方式と称される。
特開2009−23231公報に記載の成形型が、ストリップワインド方式の製造方法に適用されることがある。この製造方式では、周方向に延在するストリップ間の「溝」にエアーが残留し易い。この成形型のスリットは、この溝と同じ周方向に延在しているので、スリットがこの溝に重ならず、エアーを充分に排出させることができない場合がある。この場合、エアーの残留が原因で、ベアーが発生する。
タイヤ用成形型では、通常、キャビティ面に付着した堆積物の除去のために、ショットブライト処理が採用される。この際に、スリットを構成するピースのコーナーに微小なバリが生じ、スリットに目詰まりが生じることがある。この目詰まりは、エアーの排出を妨げる。この目詰まりは、ベアーの原因となる。
特開2011−116020公報に記載の成形型では、目詰まり除去のため、加熱処理がされる。この処理では、ピースを熱膨張させ、スリット幅を狭めることで、バリを押しつぶす。しかし、この処理では、スリットの目詰まりが充分除去できない場合がある。この成形型は、エアーが排出されず、ベアーの発生が抑えられないことがある。
特開2012−6186公報に記載の成形型では、ブロックをホルダから取り外し、分解することで目詰まりを除去しうる。しかし、この成形型の構造では、ブロックをホルダに固定する強度が充分でない。この成形型の構造では、タイヤの加硫工程で大きな圧力がキャビティにかかると、スリットの幅が変動することが起こりうる。スリット幅が小さいと、エアーが充分排出されず、ベアーが発生する。スリット幅が大きいと、ゴムがスリットに入り込み、スピューが発生する。
本発明の目的は、ベアーが生じにくいタイヤ用成形型の提供にある。
本発明に係るタイヤ用成形型は、ブロックを備えている。このブロックは、ベースと、このベースに固定されたコアとを備えている。ベースは、その周方向両端からそれぞれ半径方向内側に延びる一対の側部を備えている。この一対の側部の間に、コアが位置している。このコアの周方向外側面と、この側部との間にクリアランスが形成されている。この側部の前面及びこのコアの前面はキャビティ面を形成している。このコアは、ユニットを含んでいる。このユニットは、並列された複数のピースを備えている。隣接する2つのピースの間に、軸方向に延在する第一スリットが形成されている。
好ましくは、上記ユニットは、さらに第一シムを備えている。このシムは、隣接する2つのピースに挟まれている。この第一シムにより、上記第一スリットが形成される。
好ましくは、上記ベースの熱膨張係数は、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい。
好ましくは、上記複数のピースは孔を備えており、これらピースは、ピースの孔を貫通する棒材によって締結されている。
好ましくは、上記棒材の熱膨張係数は、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい。
好ましくは、上記コアは、軸方向に並列された複数のユニットと、隣接する2つのユニットに挟まれた第二シムとを備えており、この第二シムによって隣接する2つのユニットの間に、周方向に延在する第二スリットが形成される。
好ましくは、上記コアは、ボルト及び一対のナットをさらに備えており、このボルトに両ナットをねじ込み、この両ナットで上記複数のユニットを挟み込むことにより、これらユニットが締結されている。
好ましくは、上記ボルトの熱膨張係数は、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい。
上記コアが、軸方向に延在するプレートをさらに備えており、このプレートが、孔を有しており、上記複数のピースを締結する上記棒材をこのプレートの孔に貫通することにより、上記複数のユニットが締結されていてもよい。
好ましくは、上記プレートの熱膨張係数は上記ピースの熱膨張係数よりも小さい。
本発明に係るタイヤの製造方法は、
(1)予備成形によってローカバーが得られる工程、
(2)ブロックを備えており、このブロックが、ベースと、このベースに固定されたコアとを備えており、このベースが、その周方向両端からそれぞれ半径方向内側に延びる一対の側部を備えており、この一対の側部の間にこのコアが位置しており、このコアの周方向外側面と、この側部との間にクリアランスが形成されており、この側部の前面及びこのコアの前面がキャビティ面を形成しおり、このコアがユニットを含んでおり、このユニットが並列された複数のピースを備えており、隣接する2つのピースの間に、軸方向に延在する第一スリットが形成されているタイヤ用成形型に、上記ローカバーが投入される工程
及び
(3)このローカバーが成形型内で加圧及び加熱される工程
を含む。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、製造されたタイヤは周方向に沿って並んだ複数のパターンから構成されたトレッド面を有している。上記第一スリットの位置は、隣接する2つのパターンの境界位置に対応している。
本発明に係るタイヤ用成形型では、軸方向に延在する第一スリットが形成されている。この成形型をストリップワインド方式の製造方法に適用した場合、ストリップ間に存在するエアーはこの第一スリットを通じて充分に排出される。
本発明に係るタイヤ用成形型では、コアは、一対のベースの側部の間に位置する。この側部は、ピースが熱膨張した際に、ピースの、コアの周方向の外側方向への変形を制限する。換言すれば、ピースには、第一スリット幅を狭める方向に力が加わる。このピースによって、バリは強い力で押しつぶされる。この成形型では、スリットの目詰まりを除去する効果が高い。この成形型では、エアーが残留しない。さらにこのベースの側部は、周方向において、外側からコアを支えるため、コアはベースに強固に固定される。タイヤの加硫工程において、キャビティ面に大きな圧力がかかっても、スリット幅は変動しない。このスリットを通して、常に効率良くエアーが排出される。
以上のとおり、本発明に係る成形型は、優れたエアーの排出効果を発揮する。この成形型では、ベアーの発生が抑えられる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ用成形型の一部が示された平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は、図1の成形型のセグメントが示された斜視図である。 図4は、図3のセグメントのブロックの前面を正面から見た図である。 図5は、図4のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図4のIV−IV線に沿った断面図である。 図7は、図5のユニットの第一シムが示された斜視図である。 図8は、コアが示された斜視図である。 図9は、図8のIX線に沿った断面図である。 図10は、一体化されたコアとベースが示された断面図である。 図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。 図12は、図5のブロックの一部が示された拡大断面図である。 図13は、本発明の他の実施形態に係るタイヤ用成形型に使用されるブロックが示された斜視図である。 図14は、図13のXIV−XIV線に沿った断面図である 図15は、コアが示された斜視図である。 図16は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤ用成形型に使用されるトレッドセグメントが示された斜視図である。 図17は、図16のXVII−XVII線に沿った拡大断面図である。 図18は、コアが示された斜視図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1及び図2に示されたタイヤ用成形型2は、多数のトレッドセグメント4と、上下一対のサイドプレート6と、上下一対のビードリング8とを備えている。セグメント4の平面形状は、実質的に円弧状である。多数のセグメント4が、リング状に配置されている。セグメント4の数は、通常3以上20以下である。サイドプレート6及びビードリング8は、実質的にリング状である。この成形型2は、いわゆる「割タイプの成形型」である。図1において、紙面に対して垂直な方向が軸方向である。両矢印Aで示された方向が周方向である。図2において、Rで示されているのはローカバーである。
図3は、図1の成形型2のセグメント4が示された斜視図である。図3において、X方向は半径方向であり、Y方向は軸方向である。周方向は、X方向及びY方向に直交している。このセグメント4は、ホルダ10とブロック12とからなる。ホルダ10は、鋼又はアルミニウム合金からなる。ブロック12は、ホルダ10に装着されている。
ブロック12は、キャビティ面14を備えている。このキャビティ面14は、このブロック12の半径方向において内側の面に形成されている。ここでは、このキャビティ面14が形成された面は、ブロック12の前面と称される。ブロック12のホルダ10側の面は、ブロック12の背面と称される。
図4は、図3のブロック12の前面を正面から見た図である。図5は、図4のV−V線に沿った断面図であり、図6は、図4のIV−IV線に沿った拡大断面図である。図4において、X方向は周方向であり、Y方向は軸方向である。キャビティ面14は、凸部16と凹部18とを備えている。この凸部16は、タイヤのトレッドの溝に対応する。この凸部16及び凹部18により、タイヤにトレッドパターンが形成される。凸部16及び凹部18の形状は、トレッドパターンに応じて、適宜決定される。なお図2では、凸部16及び凹部18の図示が省略されている。
ブロック12は、ベース20とコア22とからなる。図4に示される通り、ベース20はコア22の周りを囲っている。ベース20の周方向の両端がベース20の側部24である。コア22はこの側部24の間に位置している。図3及び図4に示されるように、凸部16及び凹部18は、側部24の前面及びコア22の前面に形成されている。側部24の前面及びコア22の前面がキャビティ面14を形成している。
コア22は、軸方向に並列された2つのユニット26を備えている。各ユニット26は、周方向に並列した8枚のピース28を備えている。隣接する2つのピース28の間に、軸方向に延在する第一スリット30が形成されている。また、2つユニット26の間に、周方向に延在する第二スリット32が形成されている。ユニット26の周方向両端に位置するピース28と、側部24との間には、クリアランス34が形成されている。換言すれば、コア22の周方向の外側面と側部24との間に、クリアランス34が形成されている。それぞれの側部24には、周方向に延在するベーススリット36が形成されている。ベース20は、金属材料からなる。ベース20には、ピース28の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。
コア22を構成するユニット26の数は、2つに限られない。また、各ユニット26を構成するピース28の数は8枚に限られない。これらは、タイヤのサイズ等に合わせて、適宜決定される。
図5の断面図において、紙面に対して垂直な方向が軸方向である。両矢印Aで示された方向が、周方向である。図で示されるように、一対の側部24が、それぞれベース20の周方向両端から、半径方向内側に延びている。ユニット26は、これらの側部24の間に位置している。
図5で示されているとおり、ユニット26は、ピース28に加え、ボルト38(棒材)、ナット40及び第一シム42を備えている。
ピース28は、板状である。これらのピース28は、金属材料からなる。典型的な金属材料は、アルミニウム合金である。ピース28の前面は、キャビティ面14を構成している。ピース28は、概ね周方向に延在する孔44を有している。この孔44は、ピース28を貫通している。この孔44は、全てのピース28で対応する位置に設けられている。周方向において、両端に位置する一対のピース28は、さらに軸方向に延在する孔46を備えている。この一対のピース28は外側ピース28aと称される。両外側ピース28aの間に配置された6枚のピースは、内側ピース28bと称される。
この成形型2では、ボルト38はピース28の孔44を貫通している。ボルト38は、金属材料からなる。ボルト38には、ピース28の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。図示されていないが、ボルト38の両端には、雄ネジが螺刻されている。この雄ネジが、ナット40に螺入されている。このボルト38とナット40とにより、8枚のピース28が結束されている。ボルト38の端及びナット40は、側部24に埋設されている。
図5に示されるように、第一シム42は、隣接する2つのピース28に挟まれている。ナット40が締められることにより、ピース28が第一シム42を押圧する。この第一シム42により、隣接する2つのピース28の間に第一スリット30が形成されている。第一スリット30は、キャビティ面14にまで至っている。
図7は、図5のユニット26の第一シム42が示された斜視図である。図7において矢印T1で示されているのは、第一シム42の厚みである。第一シム42は、金属材料からなる。第一シム42には、耐熱性、耐圧縮性及び耐腐食性が求められる。この観点から、第一シム42の材料は、ステンレススチールが好ましい。第一シム42は、薄い板状である。第一シム42の平面形状は、実質的に矩形である。矩形である第一シム42は、容易に製作されうる。
図6の断面図において、X方向は半径方向であり、Y方向は軸方向である。コア22の軸方向の両外側面48及び背面50が、このベース20に当接している。図に示されるように、コア22は、前述のユニット26に加えて、ボルト52(棒材)、ナット54及び第二シム56を備えている。
図6で示されたユニット26は、外側ピース28aの位置で切断されている。外側ピース28aに設けられた孔46は、外側ピース28aを貫通している。内側ピース28bにはこの孔は設けられていない。この孔46は、軸方向に並列するユニット26において、対応する位置に設けられている。
この成形型2では、ボルト52は外側ピース28aの孔46を貫通している。ボルト52は、金属材料からなる。ボルト52には、ピース28の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。図示されていないが、ボルト52の両端には、雄ネジが螺刻されている。この雄ネジが、ナット54に螺入されている。このボルト52とナット54とにより、2つのユニット26が結束されている。ボルト52の端及びナット54は、ベース20に埋設されている。
図6に示されるように、第二シム56は、隣接する2つのユニット26に挟まれている。ナット54が締められることにより、ユニット26が第二シム56を押圧している。この第二シム56により、2つのユニット26の間に第二スリット32が形成されている。第二スリット32は、キャビティ面14にまで至っている。
図示されていないが、第二シム56は、第一シム42と同じ構造である。第二シム56は、金属材料からなる。第二シム56には、耐熱性、耐圧縮性及び耐腐食性が求められる。この観点から、第二シム56の材料は、ステンレススチールが好ましい。第二シム56は、薄い板状である。第二シム56の平面形状は、実質的に矩形である。矩形である第二シム56は、容易に製作されうる。
以降では、この成形型2で使用されるブロック12の製造方法について説明される。本発明に係るブロック12の製造方法は、
(1)ピース28を積層してコア22を得る工程、
(2)コア22とベース20とを一体化する工程、
(3)一体化したコア22及びベース20を切削してブロック12を得る工程
を備えている。
コア22を得る工程では、まず、外側ピース28a及び内側ピース28bが準備される。二枚の外側ピース28aと6枚の内側ピース28bが積層されてユニット26が得られる。さらに、2つのユニット26が積層されて、コア22が得られる。図8は、このコア22が示された斜視図である。
図8に示されているように、外側ピース28a及び内側ピース28bは直方体である。これらのピース28は、概ね周方向に延びる6個の孔44を有している(図9参照)。外側ピース28aは、さらに軸方向に延びる1個の孔46を有している(図6参照)。周方向に延びる6個の孔44のうち、3個の孔44は、正面側に位置しており、3個の孔44は背面側に設けられている。この孔44の数は、適宜決定される。好ましくは、孔44の数は、4以上20以下である。
図9は、図8のIX線に沿った断面図である。ピース28を積層するとき、ピース28とピース28との間に第一シム42が配置される。ボルト38が6個の孔44に通され、それぞれのボルト38の両端にナット40がねじ込まれる。これらピース28及び第一シム42は、ボルト38及びナット40によって一体化されている。図9から明らかなように、第一シム42はボルト38を避けて配置されている。換言すれば、ボルト38は第一シム42を貫通していない。第一シム42がボルト38のための孔を備える必要がないので、この第一シム42は容易に製作されうる。ナット40の締め付けによりピース28が第一シム42を押圧するので、第一シム42がユニット26から脱落することがない。脱落防止の観点から、ナット40の締め付け力は1N・m以上が好ましく、2N・m以上がより好ましい。この締め付け力は、20N・m以下が好ましく、10N・m以下がより好ましい。このボルト38のボルト径は、M2以上M30以下が好ましい。
ユニット26を積層するとき、ユニット26とユニット26との間に第二シム56が配置される。ユニット26が積層されると、ボルト52が外側ピース28aの孔46に通され、それぞれのボルト52の両端にナット54がねじ込まれる。これらのユニット26は、ボルト52とナット54によって連結される。ナット54の締め付けによりユニット26が第二シム56を押圧するので、第二シム56がコア22から脱落することがない。脱落防止の観点から、ナット54の締め付け力は0.5N・m以上が好ましく、2N・m以上がより好ましい。この締め付け力は、50N・m以下が好ましく、10N・m以下がより好ましい。このボルト52のボルト径は、M2以上M30以下が好ましい。
上記の工程で得られたコア22とベース20とを一体化する工程では、まず、周方向においてコア22の外側面を構成する、外側ピース28aの側面60(図11参照)に、鋳鋼用水溶性塗型剤が塗布される。このコア22が型に挿入される。このコア22の周りに溶融金属が流し込まれる。溶融金属の湯道に工夫が施されることにより、この溶融金属によるピース28の溶融が防止されうる。この溶融金属は、型の中で凝固する。凝固により、ベース20が形成される。こうして、コア22とベース20が一体化される。図10は、このコア22とベース20が示された断面図である。図11は、図10のXI−XI線に沿った断面図である。ベース20の側部24とコア22の周方向の外側面との間に、鋳鋼用水溶性塗型剤が存在している。この鋳鋼用水溶性塗型剤は、この後洗浄により除去される。これにより、ベース20の側部24とコア22との間のクリアランス34が形成される。図10及び図11に示されるように、ベース20はコア22の軸方向の外側面48、背面50及びコア22の周方向の外側面60を覆っている。換言すれば、ベース20はコア22を鋳ぐるんでいる。鋳ぐるみにより、コア22はベース20に堅固に固定されている。
上記の鋳鋼用水溶性塗型剤としては、ジルコートが例示される。また、鋳鋼用水溶性塗型剤の代わりに、アルミ鋳造用成形型離型剤を用いてもよい。
図10及び11中で、二点鎖線C1、C2及びC3は切断線を示す。ブロック12を得る工程では、まずC1、C2及びC3に沿って、コア22及びベース20が切断される。この二点鎖線よりも左側の部分及び上下側の部分は廃棄される。従って、各ユニット26に含まれる3本のボルト38も廃棄される。コア22及びベース20のC1による切断面に、切削加工が施される。切削加工により、凹凸模様を備えたキャビティ面14(図4及び図6参照)が形成される。換言すれば、コア22の前面及びベース20の側部24の前面が、キャビティ面14を形成する。このとき、ベーススリット36(図3及び図4参照)も形成される。図には示されていないが、ベース20の背面も切削加工され、ブロック12が得られる。
以上により製造されたブロック12がホルダ10(図3参照)に装着されて、セグメント4が得られる。この装着に際し、ブロック12の背面に設けられたネジブッシュ62(図5参照)にボルトが挿入される。
この方法では、凹凸模様が直彫りされる。典型的な切削加工は、工具による切削である。切削加工が、高エネルギー密度加工によってなされてもよい。高エネルギー密度加工の具体例としては、電解加工、放電加工、ワイヤーカット放電加工、レーザ加工及び電子ビーム加工が挙げられる。凹凸模様が直彫りされるので、この凹凸模様の形状の自由度は高い。この凹凸模様では、寸法精度が高い。
この成形型2では、ユニット26を構成するためのボルト38及びナット40並びにコア22を構成するためのボルト52及びナット54が適切な位置に配置される。この成形型2の加工は容易であり、凹凸模様の形状の自由度が高い。この成形型2では、高い寸法精度を有する凹凸模様が得られうる。加工に使用する工具と、ユニット26を構成するためのボルト38及びナット40並びにコア22を構成するためのボルト52及びナット54との干渉が防止されるので、工具が破損しにくい。
この成形型2が用いられたタイヤ製造方法では、予備成形によってローカバーR(未加硫タイヤ)が得られる。図示されていないが、このローカバーRのトレッドは、未架橋ゴムからなるストリップを周方向に螺旋巻きして形成されている。このローカバーRが、成形型2が開いておりブラダーが収縮している状態で、成形型2に投入される。成形型2が締められ、ブラダーが膨張する。ローカバーRはブラダーによって成形型2のキャビティ面14に押しつけられ、加圧される。この状態のローカバーRが、図2に示されている。同時にローカバーRは、加熱される。加圧と加熱とによりゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。ローカバーRが加圧及び加熱される工程は、加硫工程と称される。ブラダーに代えて、中子が用いられてもよい。
以降、本発明の作用効果が説明される。
前述したように、この成形型2では、コア22は軸方向に延在する第一スリット30を備えている。この第一スリット30は、キャビティ面14に露出している。コア22は、周方向に延在する第二スリット32を備えている。この第二スリット32は、キャビティ面14にまで至っている。このコア22には、格子状に第一スリット30及び第二スリット32が形成されている。さらに、コア22とベース20の側部24との間にクリアランス34が形成されている。この成形型2では、加硫工程において、ローカバーRとキャビティ面14との間のエアーは第一スリット30、第二スリット32及びクリアランス34を通じて移動する。エアーはベース20の側部24のベーススリット36を通して分割面に至り、排出される。分割面から離れた領域のエアーでも、第一スリット30及び第二スリット32を通じて分割面に移動しうる。エアーの移動と排出とにより、ベアーが防止される。この成形型2では、ベントホールが設けられなくても、十分にエアーが排出されうる。ベントホールを有さない成形型2により、スピューがないタイヤが得られる。このタイヤは、外観及び初期グリップ性能に優れる。第一スリット30及び第二スリット32と共に、少数のベントホールが設けられてもよい。
この成形型2は軸方向に延在する第一スリット30を多数備えているので、トレッドを構成するストリップ間に存在するエアーがこの第一スリット30を通じて充分に排出される。この成形型2は、ベアーを効果的に抑制しうる。この成形型2は、特に、ストリップワインド方式のタイヤの製造に使用された場合において、より効果的にベアーを抑制しうる。
図12は、図5のブロック12の一部が示された拡大断面図である。図12において、矢印L1で示されているのは第一シム42の内端63からピース28の背面までの距離であり、矢印L2で示されているのはキャビティ面14から背面64までの距離である。距離L1は、距離L2に比べて十分に小さい。換言すれば、第一シム42は背面64の近傍に位置しており、キャビティ面14と第一シム42の内端62とは離れている。この第一シム42は、第一スリット30を通じてのエアーの移動を阻害しない。エアーの移動の観点から、比(L1/L2)は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。比(L1/L2)は0.1以上が好ましい。
1つのコア22における第一スリット30の数は、5以上が好ましい。5以上の第一スリット30を備えたコア22では、エアーが十分に排出されうる。この観点から、第一スリット30の数は、10以上がより好ましい。コア22の製作容易の観点から、第一スリット30の数は100以下が好ましく、50以下がより好ましい。この成形型2では、1つのコア22における第一スリット30の数は7である。
図12において矢印P1で示されているのは、キャビティ面14における第一スリット30の幅である。幅P1は、0.001mm以上が好ましい。幅P1が0.001mm以上である第一スリット30により、エアーが十分に排出される。この観点から、幅P1は0.02mm以上がより好ましい。幅P1は、0.12mm以下が好ましい。幅P1が0.12mm以下である第一スリット30には、ゴム組成物が流入しにくい。従って、外観に優れたタイヤが得られる。この観点から、幅P1は0.10mm以下がより好ましい。
ナット40が締められることにより、ピース28又は第一シム42が多少変形する。この変形により、幅P1が第一シム42の厚みT1(図7参照)よりも小さくなる傾向がある。さらに、第一シム42が背面の近傍に位置していることに起因しても、幅P1が厚みT1よりも小さくなる傾向がある。適正な幅P1が達成されるには、厚みT1は0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がより好ましい。厚みT1は1.0mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましい。この厚みT1は、荷重がかけられない状態で計測される。
図6において、矢印L3で示されているのは第二シム56の内端66からユニット26の背面までの距離であり、矢印L4で示されているのはキャビティ面14から背面50までの距離である。距離L3は、距離L4に比べて十分に小さい。換言すれば、第二シム56は背面50の近傍に位置しており、キャビティ面14と第二シム56の内端66とは離れている。この第二シム56は、第二スリット32を通じてのエアーの移動を阻害しない。エアーの移動の観点から、比(L3/L4)は0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。比(L3/L4)は0.1以上が好ましい。
1つのコア22における第二スリット32の数は、1以上が好ましい。1以上の第二スリット32を備えたコア22は、エアーを十分に排出しうる。この観点から、第二スリット32の数は、2以上がより好ましい。コア22の製作容易の観点から、第二スリット32の数は10以下が好ましい。この成形型2では、1つのコア22における第二スリット32の数は1である。
図6において矢印P2で示されているのは、キャビティ面14における第二スリット32の幅である。矢印T2で示されているのは第二シム56の厚みである。幅P2は、0.001mm以上が好ましい。幅P2が0.001mm以上である第二スリット32により、エアーが十分に排出される。この観点から、幅P2は0.02mm以上がより好ましい。幅P2は、0.12mm以下が好ましい。幅P2が0.12mm以下である第二スリット32には、ゴム組成物が流入しにくい。従って、外観に優れたタイヤが得られる。この観点から、幅P2は0.10mm以下がより好ましい。
ナット54が締められることにより、ピース28又は第二シム56が多少変形する。この変形により、幅P2が第二シム56の厚みT2よりも小さくなる傾向がある。さらに、第二シム56が背面の近傍に位置していることに起因しても、幅P2が厚みT2よりも小さくなる傾向がある。適正な幅P2が達成されるには、厚みT2は0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がより好ましい。厚みT2は1.0mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましい。なお、この厚みT2は荷重がかけられない状態で計測される。
図12において矢印P3で示されているのは、キャビティ面14におけるクリアランス34の幅である。幅P3は、0.001mm以上が好ましい。幅P3が0.001mm以上であるクリアランス34により、エアーが十分に排出される。この観点から、幅P3は0.02mm以上がより好ましい。幅P3は、0.12mm以下が好ましい。幅P3が0.12mm以下であるクリアランス34には、ゴム組成物が流入しにくい。従って、外観に優れたタイヤが得られる。この観点から、幅P3は0.10mm以下がより好ましい。
成形型2が繰り返し用いられると、キャビティ面14に堆積物が付着する。この堆積物は、タイヤの品質を損なう。堆積物は、除去される必要がある。除去には通常、ショットブラスト処理が採用される。ショットブラスト処理により、ピース28のコーナーが微小な塑性変形を起こす。この塑性変形によりバリが発生し、第一スリット30又は第二スリット32に目詰まりが生じることがある。この目詰まりは、エアーの排出を妨げる。この目詰まりは、ベアーの原因となる。
目詰まり除去のため、成形型2は昇温される。昇温によりピース28が膨張し、このピース28が隣接するピース28を押圧する。この押圧によりバリをつぶす。
本発明に係るタイヤ用成形型2では、コア22は、一対のベース20の側部24の間に位置する。このベース20は、ピース28より熱膨張率が小さい。このベース20の側部24は、加熱による変形は少ない。この側部24は、スリットの目詰まり除去のため成形型2が過熱されたとき、周方向の両外側からコア22を支える。これにより、ピース28が熱膨張した際に、ピース28の、コア22の周方向の外側方向への変形が制限される。換言すれば、この側部24により、ピース28には、第一スリット30の幅を狭める方向に力が加わる。このピース28によって、第一スリット30のバリは強い力で押しつぶされる。これにより、第一スリット30の目詰まりが除去される。また、本発明に係るタイヤ用成形型2では、コア22の軸方向の両外側面48が、このベース20に当接している(図6参照)。これにより、ピース28が熱膨張した際に、ピース28の、コア22の軸方向の外側方向への変形が制限される。このベース20により、ピース28には、第二スリット32の幅を狭める方向に力が加わる。このピース28によって、第二スリット32のバリは強い力で押しつぶされる。この成形型2では、第一スリット30及び第二スリット32の目詰まりを除去する効果が高い。この成形型2では、第一スリット30及び第二スリット32が再生される。この成形型2では、スリットの目詰まりによるエアーの残留が抑えられる。
さらに本タイヤ成形型2では、ピースを結束するボルト38及びユニットを結束するボルト52が熱膨張係数が小さな材料から形成されている。昇温によるこれらのボルトの膨張は小さい。従って、これらのボルトに締め付けられた状態でピース28が膨張する。これらのボルトは、ピース28が隣接するピース28を押圧する力を強くする。この押圧によりバリが潰され、効率良く第一スリット30及び第二スリット32が再生される。
ベース20の材料は、スリットを再生する効果が高いという観点から、鋼又は鉄が好ましい。ベース20の材料が熱膨張係数が小さいアルミニウム合金でもよい。ベース20の側部24は、タイヤの加硫工程で大きな圧力がかかるため、高い強度が求められる。この観点から、ベース20の材料は鋼又は鉄が好ましい。
ピース28が十分に膨張して第一スリット30が再生されうるとの観点から、ピース28の幅W1(図12参照)は1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。幅W1は、100mm以下が好ましい。幅W1が100mm以下であるピース28では、ピース28の熱膨張のための、過大な第一スリット30の幅が確保される必要がない。コア22が、幅W1が互いに異なる複数のピース28を備えてもよく、幅W1が互いに同一である複数のピース28を備えてもよい。
ピース28が十分に膨張して第二スリット32が再生されうるとの観点から、ユニット26の幅W2(図6参照)は1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。幅W2は、100mm以下が好ましい。幅W2が100mm以下であるピース28では、ピース28の熱膨張のための、過大な第一スリット30の幅が確保される必要がない。コア22が、幅W2が互いに異なる複数のユニット26を備えてもよく、幅W2が互いに同一である複数のユニット26を備えてもよい。
前述のとおり、タイヤの加硫工程において、ローカバーRはブラダーによって成形型2のキャビティ面14に押しつけられ、加圧される。この際にキャビティ面14に大きな圧力が加わる。コア22のベース20への固定の強度が充分でなければ、スリットの幅が変動することが起こりうる。スリット幅が小さいと、エアーが充分排出されず、ベアーが発生する。スリット幅が大きいと、ゴムがスリットに入り込み、スピューが発生する。
本発明に係るタイヤ用成形型2では、コア22とベース20とは、鋳ぐるみによって一体化されている。コア22は、一対のベース20の側部24の間に位置する。この側部24は、周方向において、外側からコア22を支える。また、本発明に係るタイヤ用成形型2では、コア22の軸方向の両外側面48が、ベース20に当接している。このベース20は、軸方向において、外側からコア22を支える。これにより、コア22はベース20に強固に固定される。タイヤの加硫工程において、キャビティ面14に大きな圧力がかかっても、第一スリット30の幅及び第二スリット32の幅は変動しない。本発明に係る成形型2では、スピューが発生しない。この成形型2では、第一スリット30及び第二スリット32を通して、常に効率良くエアーが排出される。この成形型2では、ベアーの発生が抑えられる。
図示されていないが、この成形型2で製造されたタイヤのトレッド面には、セグメント4のキャビティ面14に対応するトレッドパターンを備えている。このトレッドパターンは、周方向に沿って並んだ複数のパターンからなる。エアーの排出効果の向上の観点から、この成形型2の第一スリット30の位置は隣接する2つのパターンの境界位置に対応しているのが好ましい。
この成形型2のセグメント4は、前述の通り、ホルダ10、ベース20及びコア22からなる。ホルダ10が省略され、ベース20がホルダ10の機能を兼ね備えてもよい。
図13は、本発明の他の実施形態に係るタイヤ用成形型80に使用されるブロック82が示された断面図である。図14は、図13のXIV−XIV線に沿った拡大断面図である。図13において、紙面に対して垂直な方向が軸方向である。両矢印Aで示された方向が、周方向である。
ブロック82は、ベース84と、このベース84に固定されたコア86とを備えている。図示されていないが、このブロック82はホルダに装着されトレッドセグメントを構成する。この成形型80では、このブロック82以外の構成は、図1に示された成形型2と同等の構成を有している。
図4と同様に、ベース84はコア86の周りを囲っている。ベース84の周方向の両端がベース84の側部88である。図13で示されるように、一対の側部88が、それぞれベース84の周方向両端から、半径方向内側に延びている。コア86はこの側部88の間に位置している。凸部114及び凹部116(図14参照)は、側部88の前面及びこのコア86の前面に形成されている。この側部88の前面及びこのコア86の前面がキャビティ面90を形成している。
コア86は、軸方向に並列された2つのユニット92を備えている。各ユニット92は、周方向に並列した8枚のピース94を備えている。隣接する2つのピース94の間に、軸方向に延在する第一スリット96が形成されている。また、2つユニット92の間に、周方向に延在する第二スリット98が形成されている。ユニット92の周方向両端に位置するピース94と、側部88との間には、クリアランス100が形成されている。換言すれば、コア86の周方向の外側面と側部88との間に、クリアランス100が形成されている。図には示されないが、それぞれの側部88には、周方向に延在するベーススリットが形成されている。ベース84は、金属材料からなる。ベース84には、ピース94の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。
図13に示されているとおり、ユニット92は、ピース94に加え、ボルト102(棒材)、ナット104及び第一シム106を備えている。
ピース94は、板状である。これらのピース94は、金属材料からなる。典型的な金属材料は、アルミニウム合金である。ピース94の前面は、キャビティ面90を構成している。ピース94は、概ね周方向に延在する孔108を有している。この孔108は、ピース94を貫通している。この孔108は、全てのピース94で対応する位置に設けられている。
この成形型80では、ボルト102はピース94の孔108を貫通している。ボルト102は、金属材料からなる。ボルト102には、ピース94の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。図示されていないが、ボルト102の両端には、雄ネジが螺刻されている。この雄ネジが、ナット104に螺入されている。ナット104が締められることにより、8枚のピース94が結束されている。ボルト102の端及びナット104は、側部88に埋設されている。
図13に示されるように、第一シム106は、隣接する2つのピース94に挟まれている。ナット104が締められることにより、ピース94が第一シム106を押圧している。この第一シム106により、隣接する2つのピース94の間に第一スリット96が形成されている。第一スリット96は、キャビティ面90にまで至っている。
図14において、X方向は半径方向であり、Y方向は軸方向である。この成形型80では、コア86は、前述のユニット92に加えて、軸方向に延在するプレート110及び第二シム118をさらに備えている。このプレート110には、孔112が設けられている。この孔112の位置は、ピース94に設けられた孔108の位置に対応している。この成形型80では、ボルト102はプレート110の孔112を貫通している。このプレート110により、2つのユニット92が結束されている。
このプレート110は、金属材料からなる。このプレート110には、ピース94の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。
図14に示されるように、第二シム118は、隣接する2つのユニット92に挟まれている。この第二シム118により、2つのユニット92の間に第二スリット98が形成されている。第二スリット98は、キャビティ面90にまで至っている。
本発明に係るブロック82の製造方法は、
(1)ピース94を積層してコア86を得る工程、
(2)コア86とベース84とを一体化する工程、
(3)一体化したコア86及びベース84を切削してブロック82を得る工程
を備える。
コア86を得る工程では、まず、ピース94が準備される。8枚のピース94が積層されてユニット92が得られる。さらに、2つのユニット92が積層されることで、コア86が得られる。図15は、このコア86が示された斜視図である。
ユニット92を構成する複数のピース94を積層するとき、ピース94とピース94との間に第一シム106が配置される。これらピース94及び第一シム106は、ボルト102及びナット104によって一体化されている。ナット104の締め付けによりピース94が第一シム106を押圧するので、第一シム106がユニット92から脱落することがない。脱落防止の観点から、ナット104の締め付け力は1N・m以上が好ましく、2N・m以上がより好ましい。この締め付け力は、20N・m以下が好ましく、10N・m以下がより好ましい。このボルト102のボルト径は、M2以上M30以下が好ましい。
ユニット92を積層するとき、ユニット92とユニット92との間に第二シム118が配置される。ユニット92が積層されると、プレート110により、これらのユニット92が連結される。プレート110の孔112の位置が適切に調整されることにより、ユニット92が第二シム118を押圧するので、第二シム118がコア86から脱落することがない。
上記の工程で得られたコア86とベース84とを一体化する工程では、まず、周方向においてコア86の外側面を構成するピース94の側面に、鋳鋼用水溶性塗型剤が塗布される。このコア86が型に挿入される。このコア86の周りに溶融金属が流し込まれる。溶融金属の湯道に工夫が施されることにより、この溶融金属によるピース94の溶融が防止されうる。この溶融金属は、型の中で凝固する。凝固により、ベース84が形成される。こうして、コア86がベース84に固定される。ベース84の側部88とコア86の周方向の外側面との間に存在している鋳鋼用水溶性塗型剤は、この後洗浄により除去される。これにより、ベース84の側部88とコア86との間のクリアランス100が形成される。ベース84はコア86の軸方向の外側面120、背面122及びコア86の周方向の外側面を覆っている。換言すれば、ベース84はコア86を鋳ぐるんでいる。鋳ぐるみにより、コア86はベース84に堅固に固定されている。
上記の鋳鋼用水溶性塗型剤としては、ジルコートが例示される。また、鋳鋼用水溶性塗型剤の代わりに、アルミ鋳造用成形型離型剤を用いてもよい。
一体化されたコア86とベース84から、ブロック82を得る工程は、図1の成形型と同じである。図11と同様に、コア86及びベース84が切断される。この切断面に、切削加工が施される。切削加工により、凹凸模様を備えたキャビティ面90が形成される。コア86の前面及びベース84の側部88の前面が、キャビティ面90を形成する。このとき、ベーススリットも形成される。ベース84の背面が切削加工され、図13に示されたブロック82が得られる。
このブロック82がホルダに装着されて、セグメントが得られる。この装着に際し、ブロック82の背面に設けられたネジブッシュ124にボルトが挿入される。
この成形型80では、ピース94を締結しコア86を構成するためのボルト102、ナット104及びプレート110が適切な位置に配置される。この成形型80の加工は容易であり、キャビティ面90に形成される凹凸模様の形状の自由度が高い。この成形型80では、高い寸法精度を有する凹凸模様が得られうる。加工に使用する工具と、ピース94を締結しコア86を構成するためのボルト102、ナット104及びプレート110との干渉が防止されるので、工具が破損しにくい。
前述したように、この成形型80では、コア86は軸方向に延在する第一スリット96及び周方向に延在する第二スリット98を備えている。このコア86には、格子状に第一スリット96及び第二スリット98が形成されている。さらに、コア86とベース84の側部88との間にクリアランス100が形成されている。この成形型80では、加硫工程において、ローカバーRとキャビティ面90との間のエアーは第一スリット96、第二スリット98及びクリアランス100を通じて移動する。エアーはベース84側部88のベーススリットを通して分割面に至り、排出される。分割面から離れた領域のエアーでも、第一スリット96及び第二スリット98を通じて分割面に移動しうる。エアーの移動と排出とにより、ベアーが防止される。この成形型80では、ベントホールが設けられなくても、十分にエアーが排出されうる。ベントホールを有さない成形型80により、スピューがないタイヤが得られる。このタイヤは、外観及び初期グリップ性能に優れる。第一スリット96及び第二スリット98と共に、少数のベントホールが設けられてもよい。
この成形型80は、軸方向に延在する第一スリット96を多数備えている。トレッドを構成するストリップ間に存在するエアーは、この第一スリット96を通じて充分に排出される。この成形型80は、ベアーを効果的に抑制しうる。この成形型80は、ストリップワインド方式のタイヤの製造に使用された場合において、より効果的にベアーを抑制しうる。
成形型80が繰り返し用いられると、キャビティ面90に堆積物が付着する。この堆積物は、タイヤの品質を損なう。堆積物は、除去される必要がある。除去には通常、ショットブラスト処理が採用される。ショットブラスト処理により、ピース94のコーナーが微小な塑性変形を起こす。この塑性変形によりバリが発生し、第一スリット96又は第二スリット98に目詰まりが生じることがある。この目詰まりは、エアーの排出を妨げる。この目詰まりは、ベアーの原因となる。
目詰まり除去のため、成形型80は昇温される。昇温によりピース94が膨張し、このピース94が隣接するピース94を押圧する。この押圧によりバリをつぶす。
本発明に係るタイヤ用成形型80では、コア86は、一対のベース84の側部88の間に位置する。このベース84は、ピース94より熱膨張率が小さい。このベース84の側部88は、加熱による変形は少ない。この側部88は、スリットの目詰まり除去のため成形型80が過熱されたとき、周方向の両外側からコア86を支える。これにより、ピース94が熱膨張した際に、ピース94の、コア86の周方向の外側方向への変形が制限される。換言すれば、この側部88により、ピース94には、第一スリット96の幅を狭める方向に力が加わる。このピース94によって、第一スリット96のバリは強い力で押しつぶされる。これにより、第一スリット96の目詰まりが除去される。また、本発明に係るタイヤ用成形型80では、コア86の軸方向の両外側面120が、このベース84に当接している。これにより、ピース94が熱膨張した際に、ピース94の、コア86の軸方向の外側方向への変形が制限される。このベース84により、ピース94には、第二スリット98の幅を狭める方向に力が加わる。このピース94によって、第二スリット98のバリは強い力で押しつぶされる。この成形型80では、第一スリット96及び第二スリット98の目詰まりを除去する効果が高い。この成形型80では、第一スリット96及び第二スリット98が再生される。この成形型80では、スリットの目詰まりによるエアーの残留が抑制される。
さらに本タイヤ成形型80では、ボルト102及びプレート110が熱膨張係数が小さな材料から形成されているので、昇温によるボルト102及びプレート110の膨張は小さい。従って、ボルト102及びプレート110に締め付けられた状態でピース94が膨張する。このボルト102及びプレート110は、ピース94が隣接するピース94を押圧する力を強くする。この押圧によりバリが潰され、効率良くスリットが再生される。
前述のとおり、タイヤの加硫工程において、ローカバーRはブラダーによって成形型80のキャビティ面90に押しつけられ、加圧される。この際にキャビティ面90に大きな圧力が加わる。コア86のベース84への固定の強度が充分でなければ、スリットの幅が変動することが起こりうる。スリット幅が小さいと、エアーが充分排出されず、ベアーが発生する。スリット幅が大きいと、ゴムがスリットに入り込み、スピューが発生する。
本発明に係るタイヤ用成形型80では、コア86とベース84とは、鋳ぐるみによって一体化されている。コア86は、一対のベース84の側部88の間に位置する。この側部88は、周方向において、外側からコア86を支える。また、本発明に係るタイヤ用成形型80では、コア86の軸方向の両外側面120が、ベース84に当接している。このベース84は、軸方向において、外側からコア86を支える。これにより、コア86はベース84に強固に固定される。タイヤの加硫工程において、キャビティ面90に大きな圧力がかかっても、第一スリット96の幅及び第二スリット98の幅は変動しない。本発明に係る成形型80では、スピューが発生しない。この成形型80では、第一スリット96及び第二スリット98を通して、常に効率良くエアーが排出される。この成形型80では、ベアーの発生が抑えられる。
図示されていないが、この成形型80で製造されたタイヤのトレッド面には、セグメントのキャビティ面90に対応するトレッドパターンを備えている。このトレッドパターンは、周方向に並列した複数のパターンからなる。エアーの排出効果の向上の観点から、この成形型80の第一スリット96の位置は隣接する2つのパターンの境界位置に対応しているのが好ましい。
図16は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤ用成形型130に使用されるトレッドセグメント132が示された斜視図である。このセグメント132は、ホルダ134とブロック136とからなる。ブロック136は、ホルダ134に装着されている。この成形型130のブロック136以外の構成は、図1に示された成形型130の構成と同等である。なお、この図16において、X方向は半径方向であり、Y方向は軸方向である。周方向は、X方向及びY方向に直交している。
図17は、図16のXVII−XVII線に沿った拡大断面図である。図17において、X方向は半径方向であり、Y方向は軸方向である。ブロック136は、ベース138とコア140とからなる。図4と同様に、ベース138はコア140の周りを囲っている。ベース138の周方向の両端がベース138の側部146である。図5と同様に、一対の側部146が、それぞれベース138の周方向両端から、半径方向内側に延びている。コア140はこの側部146の間に位置している。凸部142及び凹部144は、側部146の前面及びこのコア140の前面に形成されている。この側部146の前面及びこのコア140の前面がキャビティ面148を形成している。
図18は、ブロックの製造工程の途中で得られたコア140の斜視図である。図17及び18に示されるとおり、コア140は、軸方向に並列された4つのユニット150を備えている。各ユニット150は、周方向に並列した8枚のピース152を備えている。隣接するピース152の間に、軸方向に延在する第一スリット154が形成されている。また、隣接するユニット150の間に、周方向に延在する第二スリット156が形成されている。図では示されていないが、ユニット150の周方向両端に位置するピース152と、側部146との間には、クリアランスが形成されている。換言すれば、コア140の周方向の外側面と側部146との間に、クリアランスが形成されている。それぞれの側部146には、ベーススリット158が形成されている(図16参照)。ベース138は、金属材料からなる。ベース138には、ピース152の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。
本ユニット150の構成は、図1の成形型2のユニット26と同じである。ユニット150は、ピース152に加え、ボルト160(棒材)、ナット162及び第一シムを備えている。
ピース152は、板状である。これらのピース152は、金属材料からなる。典型的な金属材料は、アルミニウム合金である。ピース152の正面は、キャビティ面148を構成している。ピース152は、概ね周方向に延在する孔164を有している。この孔164は、ピース152を貫通している。この孔164は、全てのピース152で対応する位置に設けられている。周方向において、両端に位置する一対のピース152は、さらに軸方向に延在する孔166を備えている。この一対のピース152は外側ピース152aと称される。両外側ピース152aの間に配置された6枚のピース152は、内側ピース152bと称される。
この成形型130では、ボルト160はピース152の孔164を貫通している。ボルト160は、金属材料からなる。ボルト160には、ピース152の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。図示されていないが、ボルト160の両端には、雄ネジが螺刻されている。この雄ネジが、ナット162に螺入されている。このボルト160とナット162により、8枚のピース152が結束されている。ボルト160の端及びナット162は、側部146に埋設されている。
第一シムは、隣接する2つのピース152に挟まれている。ナット162が締められることにより、ピース152が第一シムを押圧している。この第一シムにより、隣接する2つのピース152の間に第一スリット154が形成されている。第一スリット154は、キャビティ面148にまで至っている。
図17に示される通りコア140の軸方向の両外側面168及び背面170が、このベース138に当接している。図に示されるように、コア140は、前述のユニット150に加えて、ボルト172(棒材)、ナット174及び第二シム176を備えている。
図17で示されたユニット150は、外側ピース152aの位置で切断されている。外側ピース152aに設けられた孔166は、外側ピース152aを貫通している。内側ピース152bにはこの孔は設けられていない。この孔166は、軸方向に並列するユニット150において、対応する位置に設けられている。
この成形型130では、ボルト172は外側ピース152aの孔166を貫通している。ボルト172は、金属材料からなる。ボルト172には、ピース152の金属材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する金属材料が適している。図示されていないが、ボルト172の両端には、雄ネジが螺刻されている。この雄ネジが、ナット174に螺入されている。このボルト172及びナット174により、4つのユニット150が結束されている。ボルト172の端及びナット174は、ベース138に埋設されている。
図17に示されるように、第二シム176は、隣接する2つのユニット150に挟まれている。ナット174が締められることにより、ユニット150が第二シム176を押圧している。この第二シム176により、2つのユニット150の間に第二スリット156が形成されている。第二スリット156は、キャビティ面148にまで至っている。
以降では、この成形型130で使用されるブロック136の製造方法について説明される。本発明に係るブロック136の製造方法は、
(1)ピース152を積層してコア140を得る工程、
(2)コア140とベース138とを一体化する工程、
(3)一体化したコア140及びベース138を切削してブロック136を得る工程
を備えている。
コア140を得る工程では、まず、外側ピース152a及び内側ピース152bが準備される。二枚の外側ピース152aと6枚のが積層されてユニット150が得られる。図18に示されるとおり、4つのユニット150が積層されることで、コア140が得られる。
ピース152を積層するとき、ピース152とピース152との間に第一シムが配置される。ボルト160が孔164に通され、それぞれのボルト160の両端にナット162がねじ込まれる。これらピース152及び第一シムは、ボルト160及びナット162によって一体化されている。ナット162の締め付けによりピース152が第一シムを押圧するので、第一シムがユニット150から脱落することがない。脱落防止の観点から、ナット162の締め付け力は1N・m以上が好ましく、2N・m以上がより好ましい。この締め付け力は、20N・m以下が好ましく、10N・m以下がより好ましい。このボルト160のボルト径は、M2以上M30以下が好ましい。
ユニット150を積層するとき、ユニット150とユニット150との間に第二シム176が配置される。ユニット150が積層されると、ボルト172が外側ピース152aの孔166に通され、それぞれのボルト172の両端にナット174がねじ込まれる。これらのユニット150は、ボルト172とナット174によって連結される。ナット174の締め付けによりユニット150が第二シム176を押圧するので、第二シム176がコア140から脱落することがない。脱落防止の観点から、ナット174の締め付け力は0.5N・m以上が好ましく、2N・m以上がより好ましい。この締め付け力は、50N・m以下が好ましく、10N・m以下がより好ましい。このボルト172のボルト径は、M2以上M30以下が好ましい。
上記の工程で得られたコア140とベース138とを一体化する工程では、まず、周方向においてコア140の外側面を構成する、外側ピース152aの側面に、鋳鋼用水溶性塗型剤が塗布される。このコア140が型に挿入される。このコア140の周りに溶融金属が流し込まれる。溶融金属の湯道に工夫が施されることにより、この溶融金属によるピース152の溶融が防止されうる。この溶融金属は、型の中で凝固する。凝固により、ベース138が形成される。こうして、コア140がベース138に固定される。ベース138の側部146とコア140の周方向の外側面との間に存在している鋳鋼用水溶性塗型剤は、この後洗浄により除去される。これにより、ベース138の側部146とコア140との間のクリアランスが形成される。ベース138はコア140の背面、上面、下面及び両側面を覆っている。ベース138はコア140の軸方向の外側面168、背面170及びコア140の周方向の外側面を覆っている。換言すれば、ベース138はコア140を鋳ぐるんでいる。鋳ぐるみにより、コア140はベース138に堅固に固定されている。
上記の鋳鋼用水溶性塗型剤としては、ジルコートが例示される。また、鋳鋼用水溶性塗型剤の代わりに、アルミ鋳造用成形型離型剤を用いてもよい。
一体化されたコア140とベース138から、ブロック136を得る工程は、図1の成形型2と同じである。図11と同様に、コア140及びベース138が切断される。切断面に、切削加工が施される。切削加工により、凹凸模様を備えたキャビティ面148が形成される。換言すれば、コア140の前面及びベース138の側部146の前面が、キャビティ面148を形成する。このとき、ベーススリット158も形成される。ベース138の背面が切削加工され、ブロック136が得られる。
このブロック136がホルダ134に装着されて、セグメント132が得られる。この装着に際し、ブロック136の背面に設けられたネジブッシュにボルトが挿入される。
この成形型130では、ユニット150を構成するためのボルト160及びナット162並びにコア140を構成するためのボルト172及びナット174が適切な位置に配置される。この成形型2の加工は容易であり、凹凸模様の形状の自由度が高い。この成形型130では、高い寸法精度を有する凹凸模様が得られうる。加工に使用する工具と、ユニット150を構成するためのボルト160及びナット162並びにコア140を構成するためのボルト172及びナット174との干渉が防止されるので、工具が破損しにくい。
この成形型130では、コア140は軸方向に延在する第一スリット154及び周方向に延在する第二スリット156を備えている。このコア140には、格子状に第一スリット154及び第二スリット156が形成されている。さらに、コア140とベース138の側部146との間にクリアランスが形成されている。この成形型130では、加硫工程において、ローカバーRとキャビティ面148との間のエアーは第一スリット154、第二スリット156及びクリアランスを通じて移動する。エアーはベース138の側部146のベーススリット158を通して分割面に至り、排出される。分割面から離れた領域のエアーでも、第一スリット154及び第二スリット156を通じて分割面に移動しうる。エアーの移動と排出とにより、ベアーが防止される。この成形型130では、ベントホールが設けられなくても、十分にエアーが排出されうる。ベントホールを有さない成形型130により、スピューがないタイヤが得られる。このタイヤは、外観及び初期グリップ性能に優れる。第一スリット154及び第二スリット156と共に、少数のベントホールが設けられてもよい。
この成形型130は、軸方向に延在する第一スリット154を多数備えている。トレッドを構成するストリップ間に存在するエアーは、この第一スリット154を通じて充分に排出される。この成形型130は、ベアーを効果的に抑制しうる。この成形型130は、ストリップワインド方式のタイヤの製造に使用された場合において、より効果的にベアーを抑制しうる。
成形型130が繰り返し用いられると、キャビティ面148に堆積物が付着する。この堆積物は、タイヤの品質を損なう。堆積物は、除去される必要がある。除去には通常、ショットブラスト処理が採用される。ショットブラスト処理により、ピース152のコーナーが微小な塑性変形を起こす。この塑性変形によりバリが発生し、第一スリット154又は第二スリット156に目詰まりが生じることがある。この目詰まりは、エアーの排出を妨げる。この目詰まりは、ベアーの原因となる。
目詰まり除去のため、成形型130は昇温される。昇温によりピース152が膨張し、このピース152が隣接するピース152を押圧する。この押圧によりバリをつぶす。
本発明に係るタイヤ用成形型130では、コア140は、一対のベース138の側部146の間に位置する。このベース138は、ピース152より熱膨張率が小さい。このベース138の側部146は、加熱による変形は少ない。この側部146は、スリットの目詰まり除去のため成形型130が過熱されたとき、周方向の両外側からコア140を支える。これにより、ピース152が熱膨張した際に、ピース152の、コア140の周方向の外側方向への変形が制限される。換言すれば、この側部146により、ピース152には、第一スリット154幅を狭める方向に力が加わる。このピース152によって、第一スリット154のバリは強い力で押しつぶされる。これにより、第一スリット154の目詰まりが除去される。また、本発明に係るタイヤ用成形型130では、コア140の軸方向の両外側面168が、このベース138に当接している。これにより、ピース152が熱膨張した際に、ピース152の、コア140の軸方向の外側方向への変形が制限される。このベース138により、ピース152には、第二スリット156の幅を狭める方向に力が加わる。このピース152によって、第二スリット156のバリは強い力で押しつぶされる。この成形型130では、第一スリット154及び第二スリット156の目詰まりを除去する効果が高い。この成形型130では、第一スリット154及び第二スリット156が再生される。この成形型130では、スリットの目詰まりによるエアーの残留が抑制される。
さらに本タイヤ成形型130では、ピース152を結束するボルト160及びユニット150を結束するボルト172が熱膨張係数が小さな材料から形成されている。昇温によるこれらのボルトの膨張は小さい。従って、これらのボルトに締め付けられた状態でピース152が膨張する。これらのボルトは、ピース152が隣接するピース152を押圧する力を強くする。この押圧によりバリが潰され、効率良く第一スリット154及び第二スリット156が再生される。
前述のとおり、タイヤの加硫工程において、ローカバーRはブラダーによって成形型130のキャビティ面148に押しつけられ、加圧される。この際にキャビティ面148に大きな圧力が加わる。コア140のベース138への固定の強度が充分でなければ、スリットの幅が変動することが起こりうる。スリット幅が小さいと、エアーが充分排出されず、ベアーが発生する。スリット幅が大きいと、ゴムがスリットに入り込み、スピューが発生する。
本発明に係るタイヤ用成形型130では、コア140とベース138とは、鋳ぐるみによって一体化されている。コア140は、一対のベース138の側部146の間に位置する。この側部146は、周方向において、外側からコア140を支える。また、本発明に係るタイヤ用成形型130では、コア140の軸方向の両外側面168が、ベース138に当接している。このベース138は、軸方向において、外側からコア140を支える。これにより、コア140はベース138に強固に固定される。タイヤの加硫工程において、キャビティ面148に大きな圧力がかかっても、第一スリット154の幅及び第二スリット156の幅は変動しない。本発明に係る成形型130では、スピューが発生しない。この成形型130では、第一スリット154及び第二スリット156を通して、常に効率良くエアーが排出される。この成形型130では、ベアーの発生が抑えられる。
図示されていないが、この成形型130で製造されたタイヤのトレッド面には、セグメント132のキャビティ面148に対応するトレッドパターンを備えている。このトレッドパターンは、周方向に並列した複数のパターンからなる。エアーの排出効果の向上の観点から、この成形型130の第一スリット154の位置は隣接する2つのパターンの境界位置に対応しているのが好ましい。
以上説明された成形型は、種々のタイヤの製造に適用されうる。
2、80、130・・・成形型
4、132・・・セグメント
6・・・サイドプレート
8・・・ビードリング
10、134・・・ホルダ
12、82、136・・・ブロック
14、90、148・・・キャビティ面
16、114、142・・・凸部
18、116、144・・・凹部
20、84、138・・・ベース
22、86、140・・・コア
24、88、146・・・側部
26、92、150・・・ユニット
28、28a、28b、94、152、152a、152b・・・ピース
30、96、154・・・第一スリット
32、98、156・・・第二スリット
34、100・・・クリアランス
36、158・・・ベーススリット
38、52、102、160、172・・・ボルト
40、54、104、162、174・・・ナット
42、106・・・第一シム
44、46、108、164、166・・・孔
50、64、122、170・・・背面
56、118、176・・・第二シム
58・・・鋳鋼用水溶性塗型剤
48、60、120、168・・・外側面
62、124・・・ネジブッシュ
63、66・・・内端
110・・・プレート

Claims (12)

  1. ブロックを備えており、
    このブロックが、ベースと、このベースに固定されたコアとを備えており、
    このベースが、その周方向両端からそれぞれ半径方向内側に延びる一対の側部を備えており、
    この一対の側部の間にこのコアが位置しており、
    このコアの周方向外側面と、この側部との間にクリアランスが形成されており、
    この側部の前面及びこのコアの前面がキャビティ面を形成しており、
    このコアが、ユニットを含んでおり、
    このユニットが並列された複数のピースを備えており、
    隣接する2つのピースの間に、軸方向に延在する第一スリットが形成されるタイヤ用成形型。
  2. 上記ユニットが、さらに第一シムを備えており、
    このシムが隣接する2つのピースに挟まれており、
    この第一シムにより、上記第一スリットが形成される請求項1に記載のタイヤ用成形型。
  3. 上記ベースの熱膨張係数が、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい請求項1又は2に記載のタイヤ用成形型。
  4. 上記複数のピースが孔を備えており、
    これらピースが、ピースの孔を貫通する棒材によって締結されている請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ用成形型。
  5. 上記棒材の熱膨張係数が、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい請求項4に記載のタイヤ用成形型。
  6. 上記コアが、軸方向に並列された複数のユニットと、隣接する2つのユニットに挟まれた第二シムとを備えており、
    この第二シムによって隣接する2つのユニットの間に、周方向に延在する第二スリットが形成される請求項1から5のいずれかに記載のタイヤ用成形型。
  7. 上記コアが、ボルト及び一対のナットをさらに備えており、
    このボルトに両ナットをねじ込み、この両ナットで上記複数のユニットを挟み込むことにより、これらユニットが締結されている請求項6に記載のタイヤ用成形型。
  8. 上記ボルトの熱膨張係数が、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい請求項7に記載のタイヤ用成形型。
  9. 上記コアが、軸方向に延在するプレートをさらに備えており、
    このプレートが、孔を有しており、
    上記複数のピースを締結する上記棒材をこのプレートの孔に貫通することにより、上記複数のユニットが締結されている請求項6に記載のタイヤ用成形型。
  10. 上記プレートの熱膨張係数が、上記ピースの熱膨張係数よりも小さい請求項9に記載のタイヤ用成形型。
  11. 予備成形によってローカバーが得られる工程、
    ブロックを備えており、このブロックが、ベースと、このベースに固定されたコアとを備えており、このベースが、その周方向両端からそれぞれ半径方向内側に延びる一対の側部を備えており、この一対の側部の間にこのコアが位置しており、このコアの周方向外側面と、この側部との間にクリアランスが形成されており、この側部の前面及びこのコアの前面がキャビティ面を形成しおり、このコアがユニットを含んでおり、このユニットが並列された複数のピースを備えており、隣接する2つのピースの間に、軸方向に延在する第一スリットが形成されているタイヤ用成形型に、上記ローカバーが投入される工程
    及び
    このローカバーが成形型内で加圧及び加熱される工程
    を含むタイヤの製造方法。
  12. 上記タイヤが、周方向に沿って並んだ複数のパターンから構成されたトレッド面を有しており、
    上記第一スリットの位置が、隣接する2つのパターンの境界位置に対応している請求項11に記載のタイヤの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106738497A (zh) * 2017-03-14 2017-05-31 青岛金科模具有限公司 花纹块及轮胎模具

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