<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10及び画像補正方法の一例について図1〜図10に従って説明する。なお、図中の矢印UPは、鉛直方向上方を示す。
(全体構成)
図10には、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録方式の画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、給紙部114、処理液塗布部116、画像記録部118、乾燥部120、定着部122、及び排紙部124を有している。
画像形成装置10は、記録媒体の一例であるシート部材P(図9等参照)をこれらの部位に沿って順に搬送しながら、シート部材Pに出力画像を記録する装置である。
〔給紙部〕
給紙部114には、シート部材Pが積載される給紙トレイ125が配置されている。そして、給紙部114では、給紙トレイ125に積載されたシート部材Pを1枚ずつ送り出し、送り出されたシート部材Pは、給紙ドラム126を経て、処理液塗布部116へ搬送されるようになっている。
シート部材Pとしては、紙種や大きさ(媒体サイズ)の異なる複数種のシート部材Pを使用することが可能である。以下では、シート部材Pとして、枚葉紙(カット紙)を用いた場合を例にとって説明する。
〔処理液塗布部〕
処理液塗布部116には、処理液塗布ドラム128が回転可能に配置されている。シート部材Pの先端が処理液塗布ドラム128に設けられた爪形状のグリッパ130(図9参照)で保持された状態で、処理液塗布ドラム128が回転することでシート部材Pがシート部材Pの搬送方向の下流側へ搬送される。そして、処理液塗布ドラム128の上部に配置された処理液塗布装置132により処理液がシート部材Pに塗布されるようになっている。なお、以降に説明するドラムも、処理液塗布ドラム128と同様にグリッパ130でシート部材Pの先端を保持する。そして、ドラム外周面にシート部材Pを巻き付け図中の矢印方向に回転してシート部材Pをシート部材Pの搬送方向(以下単に「シート部材搬送方向」と記載する)の下流側に搬送するようになっている。
処理液塗布部116でシート部材Pに塗布される処理液は、画像記録部118でシート部材Pに付与されるインク中の色材(顔料もしくは染料)を凝集もしくは増粘させる成分を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
色材を凝集もしくは増粘させる方法は、具体的には、インクと反応してインク中の色材を析出あるいは不溶化させる処理液、インク中の色材を含む半固体状の物質(ゲル)を生成する処理液等が挙げられる。そして、インクと処理液との反応を引き起こす手段は、インク中のアニオン性の色材と処理液中のカチオン性の化合物を反応させる方法、互いにpHの異なるインクと処理液を混合させることでインクのpHを変化させてインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、処理液中の多価金属塩との反応によりインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、などがある。
処理液の付与方法としては、インクジェットヘッドからの処理液吐出による打滴、ロールによる塗布、スプレーによる一様付与、等がある。
また、処理液塗布部116には、処理液塗布ドラム128の外周面に対向する位置に、処理液乾燥装置146が配置されている。処理液乾燥装置146では、シート部材P上に塗布された処理液中の溶媒成分を乾燥させる。これにより、色材浮遊(インク滴が処理液の上に浮遊してしまうことで、所望の位置にインク滴による画素が形成されない現象)を抑制することが可能となっている。そして、シート部材Pは、搬送ドラム134を経て、画像記録部118に送られるようになっている。
〔画像記録部〕
画像記録部118には、画像記録用ドラム136が回転可能に配置されている。そして、画像記録部118では、シート部材Pは画像記録用ドラム136に保持されて搬送されつつ、画像記録用ドラム136の上方に配置された記録ヘッド138から吐出されたインク滴(液滴)が付着することで、シート部材Pの表面に画像が形成されるようになっている。
本実施形態では、基本色であるK(クロ)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(サイアン)の4色の記録ヘッド138K、138Y、138M、138Cが画像記録用ドラム136の周方向に沿って配置されている。それぞれの記録ヘッド138は、シート部材Pの最大幅に対応するインク吐出範囲を有する、いわゆるフルラインヘッドとされている。
特に、本実施形態では、前述したように、処理液塗布部116によって、インク中の色材と反応する処理液をあらかじめシート部材Pに塗布しているため、インク中の色材が凝集(あるいは増粘)し、にじみが抑制されるようになっている。
なお、図10では、1個の画像記録用ドラム136において、1周あたり2枚のシート部材Pを配置可能な構造(2倍胴)を示しているが、シート部材Pを1枚のみ配置可能な構造(1倍胴)であってもよいし、3枚配置可能な構造(3倍胴)であってもよい、さらには、4枚以上配置可能な構造であってもよい。
図9は、画像記録用ドラム136の表面を一部周方向に展開した状態を示している。
図9に示すように、画像記録用ドラム136には、保持されたシート部材Pが存在しない部分(図9の例では、シート部材Pよりもシート部材搬送方向(矢印M1で示す)の上流側)に、チェック用画像形成領域137が設定されている。そして、このチェック用画像形成領域137には、後に詳述するように、所定のタイミングで、記録ヘッド138Y、138M、138C、138Kからインク滴が吐出され、後述するチェックパターン156(チェック用画像)が形成されるようになっている。
さらに、画像記録部118には、図10に示されるように、読み取りセンサ158が配置されている。記録ヘッド138K、138Y、138M、138Cによって、画像記録用ドラム136のチェック用画像形成領域137に形成されるチェックパターン156は、読み取りセンサ158で読み取られる。読み取りセンサ158は、チェックパターン156の形状や色合い、インクの滲み、掠れ等を読み取り可能とされており、CCDラインセンサ等が、読み取り用のセンサとして用いられている。
読み取られたデータは、制御装置160に送られ、ノズルの状態(たとえばインク吐出方向の曲がりや不吐出等)が判定される。そして、この状態検出の値が所定の閾値よりも悪いノズルを不良ノズルとして抽出し、不良ノズルの影響が少なくなる(好ましくは視認されなくなる)ように、制御装置160は後述する手順で画像データを補正するようになっている。
また、画像記録部118には、チェック用画像除去部材170が配置されている。チェック用画像除去部材170は、画像記録用ドラム136に形成されたチェックパターン156を、画像記録用ドラム136から除去するための除去処理を行うようになっている。
本実施形態では、チェック用画像除去部材170は、クリーニング液塗布ローラ172と、インク除去ブレード174とを有している。
クリーニング液塗布ローラ172は、図示しないクリーニング液供給部から供給されたクリーニング液を、画像記録用ドラム136の表面に転写塗布する。クリーニング液は、インクよりもアルカリ性にすることが好ましい。インクよりもアルカリ性にすることで、色材の再分散が促進され、チェックパターン156の除去を行いやすくなる。
なお、クリーニング液塗布ローラ172に代えて(あるいは併用して)、ノズルからのクリーニング液の吐出により、クリーニング液を画像記録用ドラム136に塗布してもよい。
インク除去ブレード174は、ゴム等の弾性を有する材料により、少なくともチェックパターン156の幅以上の幅を有する板状に形成されている。インク除去ブレード174が画像記録用ドラム136の正面に圧着されると、チェックパターン156を形成していたインクが掻き取られる。なお、インク除去ブレード174にクリーニング液をあらかじめ付与させておき、インク除去ブレード174によって、クリーニング液の塗布とインクの除去とを同時に行うようにしてもよい。
また、チェックパターン156のインクを、インク除去ブレード174による除去の前に加熱し、画像記録用ドラム136に対するインクの付着力を低下させてもよい。さらに、インク除去ブレード174によるインク除去の後に、画像記録用ドラム136に残存したクリーニング液を、たとえば温風の吹き付け等により乾燥させてもよい。
なお、画像記録用ドラム136からインクを除去する方法は上記に限定されず、たとえば、擦り修理によるクリーニング、ローラ等へのインク転写によるクリーニングでもよい。さらには、エネルギー照射による色素の分解等によってインクを除去してもよい。さらには、インクへのエネルギー照射により、色素を分解することで、(後述する読み取りセンサ158にとって)不可視化することも、ここでいうチェック用画像の除去(クリーニング)に含まれる。
チェック用画像除去部材170によってチェックパターン156の除去が行われた後、画像記録用ドラム136へのインクの残存度合いを検出するインク検出センサ175を設けてもよい。上記例では、画像記録用ドラム136上にチェック用画像を記録する態様を記載したが、チェックパターン156はシート部材Pの非画像記録部上(例えば、記録媒体の端部)に記録しても良い。
そして、画像記録部118によって画像が記録されたシート部材Pは、搬送ドラム140を経て、乾燥部120に送られる。
〔乾燥部〕
乾燥部120には、乾燥用ドラム142が回転可能に配置されている。そして、乾燥部120では、シート部材Pは乾燥用ドラム142に保持されて搬送されつつ、インク中の溶媒(水分)が蒸発し、シート部材Pに形成された画像が乾燥するようになっている。
そして、乾燥用ドラム142の内側には、シート部材Pの画像記録面の反対側から溶媒を乾燥させる第1乾燥手段120Aが配置されている。また、乾燥用ドラム142の外側には、シート部材Pの画像記録面から溶媒を乾燥させる第2乾燥手段120Bが配置されている。
具体的には、第1乾燥手段120Aとしては、シート部材Pの画像記録面の反対側からシート部材Pに加熱部材を押し当て、接触熱伝導により熱供給する構成などが用いられる。一方、第2乾燥手段120Bとしては、シート部材Pの画像記録面側から温風を照射する構成などが用いられる。より具体的には、これらに加え、カーボンヒーターやハロゲンヒーターなどによる輻射で熱を供給する、という構成を用いてもよい。
乾燥部120によってインク中の溶媒(水分)を乾燥させた後の残水量は、1〔g/m2〕以上3.5〔g/m2〕未満が好ましい。3.5〔g/m2〕以上水分を残存させてしまうと、図示しない定着ローラへのオフセットが発生してしまうおそれがある。また、1〔g/m2〕以下だとシート部材Pの内部にしみ込んだ水分も蒸発させることになるので、多大なエネルギーが必要になる。
第1乾燥手段120A及び第2乾燥手段120Bの温度は、これらに内蔵された温度センサによって検知され、制御装置160に温度情報として送られる。この温度情報に基づいて制御装置160が第1乾燥手段120A及び第2乾燥手段120B温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件が実現される。
そして、乾燥部120によって、インク中の溶媒(水分)が蒸発したシート部材Pは、搬送ドラム148を経て、定着部122に送られるようになっている。
〔定着部〕
定着部122には、定着用ドラム150が回転可能に配置されている。さらに、定着用ドラム150に圧接されるように、定着ローラ166が設けられ、定着ローラ166による加熱及び圧接により、画像(インク)が定着されるようになっている。
具体的には、たとえば、約75〔℃〕の温度且つ約0.3〔MPa〕の圧力で、シート部材Pの表面に定着ローラ166を接触させることで、インクに含まれるポリマー樹脂粒子(ラテックス)を溶融させ、シート部材Pとの密着力を高める。なお、定着処理時の定着ローラ166の温度を、ラテックスのガラス転移温度より高くしておくと、定着処理時にラテックスをより効果的に溶融させることができ、好ましい。
このようにして画像が記録されたシート部材Pは、排出ローラ168から、排出ベルト171によってさらに搬送され、排紙部124を経て画像形成装置10から排出される。排紙部124では複数枚のシート部材Pが積層されるようになっている。
(要部構成:画像品質を満足させるための構成)
次に、品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するための構成等について説明する。
〔ノズルの分類〕
先ず、インクの吐出状態によるノズルの分類について、図7の着弾ドットの模式図と、図8のブロック図とを用いて説明する。
図8のブロック図に示すように、ノズル180は、ノズルからインクが全く吐出されない不吐出ノズル181(吐出異常ノズルの一例)と、ノズルからインクが吐出される吐出ノズル182とに分類される。また、吐出ノズル182は、インクが正常に吐出される正常ノズル183と、吐出されたインクの着弾領域や着弾面積が正常な着弾領域や着弾面積の範囲内にない不良吐出ノズル184(吐出異常ノズルの一例)とに分類される。
図7(A)は、正常なノズルで形成された着弾ドットの模式図を示す。ノズル11(ノズル11A1〜11A5)は、記録ヘッド138の端面に一列に配置されている。いずれも正常なノズル5個(ノズル11A1〜11A5)が並べられ、ノズル11A1〜11A5から吐出されたインク滴(着弾ドット)32A1〜32A5が、平面視で円形に形成されている。なお、便宜上、ノズル11の数は5個としたが、実際の記録ヘッド138のノズル12の数は、もっと多い。
正常なノズル11A1〜11A5から吐出されたインク滴は、シート部材Pに着弾して着弾ドット32A1〜32A5を形成する。着弾ドット32A1〜32A5は、同じ着弾面積で規則正しい繰返しとなっており、定められた位置に整然と着弾されている。なお、図7(A)では、着弾ドット32は、重なっていないように描いたが、実際には互いに一部が重なり合う構成となっている。
図7(B)は、ノズル11B3のみが異常吐出ノズルである際の模式図を示す。
異常吐出ノズル11B3から吐出された着弾ドット32B3(網掛けされた部分)は、着弾領域が着弾ドット32B2側に寄っている(ずれている)。これに対し、他の正常ノズル11B1、11B2、11B4、11B5からの着弾ドット32B1、32B2、32B4、32B5は、変動していない。
図7(C)は、ノズル11C3のみが同じく異常吐出ノズルである際の模式図を示す。
異常吐出ノズル11C3からの着弾ドット32C3(網掛けされた部分)は、着弾面積が他の着弾ドットと比して大きくなっている。これに対し、他の正常ノズル11C1、11C2、11C4、11C5からの着弾ドット32C1、32C2、32C4、32C5は、着弾ドット毎には変動せずに、所定の面積が維持されている。
このように、異常吐出ノズル11B3、11C3からの着弾ドット32B3、32C3の例を、図7(B)と図7(C)とに示したが、実際にはこれらに限定されず、図示は省略するが、図7(B)と図7(C)とが組み合わされた場合や、インク滴がドット状に着弾されず尾引きをする場合等もある。
〔制御装置〕
次に、制御装置160について説明する。制御装置160は、記録ヘッド138及び読み取りセンサ158等を制御するヘッド制御装置160Aと、画像データの補正等を行う補正制御装置160Bとを備えている。
[ヘッド制御装置]
ヘッド制御装置160Aには、図4(A)(B)のブロック図に示されるように、印刷ジョブに関する情報の入出力を行うホストコンピュータ188、記録ヘッド138、画像データ等を記憶させる画像メモリ194、チェックパターンの規格(チェックパターン規格)を記憶するチェックパターン記録部20、及び読み取りセンサ158が接続されている。
そして、このヘッド制御装置160Aは、ホストコンピュータ188から画像データを受け取り、画像形成装置10の処理用プログラムを実行させる制御部190を備えている。制御部190は、ホストコンピュータ188から入力された入力画像等を画像データ(ドットデータ)に変換する画像変換処理等の各種処理を実行するようになっている。また、制御部190は、読み取りセンサ158によって読み取られたチェックパターン情報及び試刷り画像の画像情報(試刷り画像情報)を読み取りセンサ158から受け取るようになっている。
また、ヘッド制御装置160Aは、制御部190から画像データを受け取り、記録ヘッド138を制御して、画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させる本画像形成手段の一例としての記録ヘッド制御部18を備えている。なお、本画像とは、ホストコンピュータ188からの指示に基づき指示された枚数のシート部材Pに形成される画像である(所謂本印刷)。
さらに、ヘッド制御装置160Aは、制御部190から画像データと、制御部190を介してチェックパターン記録部20からチェックパターン規格とを受け取とる形成手段の一例としての予備形成部196を備えている。予備形成部196は、記録ヘッド138を制御して、画像データに基づき試し刷りである試刷り画像と、チェックパターン規格に基づいてチェックパターン156とを形成させるようになっている。なお、試刷り画像とは、本画像を所定枚数のシート部材Pに形成させる前に、記録ヘッド138によって1枚だけ試に刷られる(形成される)画像である。
また、ヘッド制御装置160Aは、試刷り画像の品質判断を行う品質判断手段の一例としての品質判断部198を備えている。品質判断部198は、読み取りセンサ158によって読み取られた試刷り画像情報を、制御部190を介して受け取り、試刷り画像が予め定められた品質基準を満足しているか否かを判断するようになっている。具体的には、品質判断部198は、制御部190から画像データを受け取りこの画像データに基づいて基準画像を作成して、この基準画像と試刷り画像情報とを比較して試刷り画像にスジや色ムラ等がないか(所定の範囲以内に収まっているか)を確認する。そして、品質判断部198は、試刷り画像が予め定められた品質基準を満足しているか否かを判断するようになっている。
[補正制御装置]
補正制御装置160Bは、読み取りセンサ158によって読み取られたチェックパターンの情報を、制御部190を介して受け取り、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う(補正値を導出する)導出手段の一例としての補正計算部200を備えている。
さらに、補正制御装置160Bは、品質判断部198によって判断された試刷り画像の品質が品質基準を満足しない場合は、補正計算部200の補正計算結果(補正値)に基づいて、制御部190から受け取った画像データを補正する画像データ補正手段の一例としての画像補正部202を備えている。
なお、画像記録用ドラム136の周方向に沿って配置されているK(クロ)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(サイアン)の4色の記録ヘッド138K、138Y、138M、138C(図10参照)は、いずれも同じ構成であるので、色分け記号(KCMY)は付さずに、共通の構成として以下説明する。また、補正計算部200及び画像補正部202による画像の制御(処理)については、後述する作用と共に説明する。
(要部構成の作用・効果)
次に、要部構成の作用である画像補正方法について、ヘッド制御装置160A及び補正制御装置160Bより実行されるプログラムの処理フローを用いて説明する。
〔ヘッド制御装置における処理フロー〕
先ず、ヘッド制御装置160Aの処理フローについて図2を用いて説明する。
一つの画像を指示された枚数だけシート部材Pに形成させるための印刷ジョブを開始させる際には、ステップ100で、制御部190は、ホストコンピュータ188から入力された画像情報を画像メモリ194に記憶させた後、画像情報を画像データ(ドットデータ)に変換する。制御部190が画像情報を画像データに変換するとステップ200へ移行する。
ステップ200では、予備形成部196は、制御部190から画像データを受け取り、記録ヘッド138を制御して、画像データに基づき試刷り画像をシート部材Pに形成させる。さらに、予備形成部196は、制御部190を介してチェックパターン記録部20からチェックパターン規格を受け取り、記録ヘッド138を制御して、チェックパターン156をチェック用画像形成領域137(図9参照)に形成させる(形成工程)。
図5(A)〜(C)にチェックパターンの出力例を示す。図5(A)は正常吐出ノズルから出力されたチェックパターンの例であり、図5(B)(C)は吐出異常ノズルから出力されたチェックパターンの一例である。
具体的には、図5(B)は、ノズル12E3が異常吐出ノズルの例である。異常吐出ノズル12E3のチェックパターン94E3は、吐出の度に同じ位置に同じ面積で描かれている。しかし、着弾ドットの位置が、着弾ドット毎に同じ距離eだけノズル12E3の中心位置からずれていることから異常吐出ノズルと判断される。
図5(C)は、同じくノズル12F3が異常吐出ノズルの例である。異常吐出ノズル12F3のチェックパターン95F3は、吐出の度に同じ位置に同じ形状で描かれ、着弾ドットの位置はノズル12F3の中心位置と一致している。しかし、着弾ドットの幅D3(着弾面積)が、正常な着弾ドットの幅Dより大きくなっていることから異常吐出ノズルと判断される。
正常なチェックパターン90は、図5(A)に示されるように、ノズル12の列方向(X方向)と直交する方向(Y方向)へ、所定長さL、所定幅Dで、ノズル毎に位置をずらせて階段状に印刷される。なお、チェックパターン90は、着弾ドットが矩形状に描かれているが、実際には、円形の着弾ドットの一部が重ねられた状態で連続した形状となっている。
そして、このようなチェックパターン156がチェック用画像形成領域137(図9参照)に形成されるとステップ300へ移行する。
ステップ300では、読み取りセンサ158が、試刷り画像及びチェックパターン156を読み取り、この情報を制御部190が読み取りセンサ158から受け取る。さらに、制御部190は、チェックパターン情報を、補正制御装置160Bの補正計算部200に向けて出力する。制御部190がチェックパターン情報を出力するとステップ400へ移行する。
ステップ400では、品質判断部198は、読み取りセンサ158によって読み取られた試刷り画像情報を、制御部190を介して受け取る。そして、品質判断部198は、試刷り画像情報が予め定められた品質基準を満足しているか否かを判断する。
具体的には、品質判断部198は、制御部190から画像データを受け取りこの画像データに基づいて基準画像を作成して、この基準画像と試刷り画像情報とを比較して試刷り画像にスジや色ムラ等がないかを確認する。そして、品質判断部198は、試刷り画像が予め定められた品質基準を満足しているか否かを判断する。品質判断部198が、試刷り画像について品質基準を満足しているか否かを判断すると、ステップ500へ移行する。
ステップ500では、試刷り画像について品質基準を満足している場合は、ステップ600へ移行し、品質が満足されていない場合は、ステップ700へ移行する。
ステップ600では、記録ヘッド制御部18は、品質基準を満足している試刷り画像に用いた画像データを制御部190から受け取り、この画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させる(本画像形成工程)。本画像をシート部材Pに形成させると処理フローが終了する。
一方、 ステップ500において、試刷り画像について品質基準が満足されていないとしてステップ700へ移行した場合には、ステップ700で、品質判断部198は、品質が満足されていない試刷り画像の情報(NG情報)を、補正制御装置160Bの補正計算部200に向けて出力する。
ステップ700でNG情報を出力すると、ステップ900で、予備形成部196が、後述する補正画像データを画像補正部202から受け取りステップ200へ移行する。ステップ200以降については、前述した内容の処理が再度実施される。なお、ステップ200では、予備形成部196が受け取った補正画像データに基づき試刷り画像をシート部材Pに形成させる。
〔補正制御装置における処理フロー〕
次に、補正制御装置160Bにおける処理フローについて図3を用いて説明する。
先ず、ステップ1000で、補正計算部200が、前述したステップ300で制御部190から出力されたチェックパターン情報を受け取る。補正計算部200が、チェックパターン情報を受け取るとステップ2000へ移行する。
ステップ2000では、補正計算部200が、前述したステップ400での品質判断部198による判断処理と並行し、受け取ったチェックパターン情報に基づき、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う(導出工程)。
具体的には、補正計算部200が、チェックパターン規格に基づいて着弾ドットの大きさや位置の基準(チェックパターン基準)と、これらの許容量とを制御部190から取り込んで記憶する。次に、補正計算部200が、制御部190から受け取ったチェックパターン情報とチェックパターン基準とを比較して、予め決められた閾値以上に吐出性能が低下しているノズルを吐出異常のノズル(吐出異常ノズル)として判定する。
さらに、補正計算部200は、吐出異常のノズルと判定されたノズルを不吐出化し、不吐出化されたノズルによる画像欠陥を補完する。
以下、画像欠陥の補完について一例を具体的に説明する。
図6(A)には、異常吐出ノズルを不吐出化させた状態を示している。いずれも同じ方法で画像欠陥を補完することができる。
図6(A)に示されるように、異常吐出ノズル12C3は、記録ヘッド制御部18によって不吐出化されるため、着弾ドットは記載されていない。なお、異常吐出ノズル12C3を不吐出化したままにしておくと、図6(A)に示されるように、着弾ドットが存在しない範囲が出力画像においてスジ(画像欠陥の一例)となる問題が発生する場合がある。
図6(B)、(C)には、異常吐出ノズル12C3を、異常吐出ノズル12C3の両側の正常ノズル12C2、12C4で補完した例を示している。
図6(B)で示す補完は、異常吐出ノズル12C3の両側の正常なノズル12C2、12C4からの着弾ドット92C2、92C4の面積を大きくして画像欠陥を補完する方法である。これにより、不吐出化されたノズル12C3によって着弾されるべきであった領域が着弾され、画像欠陥(例えばスジの発生)が抑制される。
一方、図6(C)に示す補完は、異常吐出ノズル12C3の両側のノズル12C2、12C4からの着弾ドット92C2、92C4の数を増加させる方法である。これにより、着弾ドット92C2、92C4からインクが広がり(滲み)、不吐出化されたノズル12C3が着弾すべきであった領域が補正され、画像欠陥(例えばスジの発生)の発生が抑制される。
なお、周囲の正常ノズル12C2、12C4で不吐出化されたノズル12C3を補完する方法として、他に、図6(B)で示す方法と図6(C)で示す方法とを組み合わせる方法、左右それぞれ2つのノズル以上のノズルで補正する方法、同じ記録ヘッド138に設けられている別のノズルを、異常吐出ノズル12C3の位置まで移動させ、別のノズルで補正する方法、別の記録ヘッド138のノズルを、異常吐出ノズル12C3の位置まで移動させ、別の記録ヘッド138のノズルで補正する方法等もある。
このように、補正計算部200が、受け取ったチェックパターン情報に基づき、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う(補完方法を決める)。補正計算部200による補正計算が終了すると、ステップ3000へ移行する。
ステップ3000では、補正計算部200が、前述したステップ700で品質判断部198から出力されたNG情報を受け取った場合には、ステップ4000へ移行する。一方、補正計算部200が、NG情報を受け取らない場合には、処理フローが終了する。
ステップ4000では、画像補正部202が、制御部190から受け取った画像データを補正計算部200の計算結果に基づいて補正して補正画像データを作成する(補正計算結果を画像データにフィードバックする:画像データ補正工程)。画像補正部202が、補正画像データを作成するとステップ5000へ移行する。
ステップ5000では、画像補正部202が、補正画像データを予備形成部196に向けて出力して処理フローが終了する。なお、前述したように、予備形成部196が、補正画像データを画像補正部202から受け取ると、ステップ200以降の処理が再度実施される(図2参照)。
〔まとめ〕
以上説明したように、補正計算部200が、品質判断部198の判断処理と並行し、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う。このため、品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するのに要する時間を短くすることができる。
以下、具体的に説明する。
図1(A)には、本第1実施形態に係る画像形成装置10を用いた場合のタイムチャートが示され、図1(B)には、比較例としての画像形成装置を用いた場合のタイムチャートが示されている。これらのタイムチャートの横軸は時間とされている。両方のタイムチャートとも、最初の試刷り画像が品質基準を満足していない場合について示されている。なお、各タイムチャートに示す「立上」は、各部を機能させるために必要とされる時間(ウォームアップ時間)である。
比較例としての画像形成装置では、図1(B)に示されるように、試刷り画像の形成とチェックパターン156の形成とは、続けて行われておらず、チェックパターン156の形成は、試刷り画像の品質判断後に行われている。また、全ての作業が、並行して行われておらず、一つずつ順番に行われている。
画像形成装置10では、図1(A)に示されるように、品質判断部198の判断処理と並行し、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算が行われている。このため、前述したように、品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するのに要する時間を短くすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置40及び画像補正方法の一例について図11〜図13を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。また、第1実施形態と異なる部分を主に説明し、他の部分の説明は省略する。
第2実施形態の画像形成装置40には、複数の画像を夫々指示された枚数だけシート部材Pに形成させるための印刷ジョブが、ホストコンピュータ188から制御部190に入力されるようになっている。なお、各部の構成については、以下の処理フローと共に説明する。
〔ヘッド制御装置における処理フロー〕
先ず、ヘッド制御装置160Aの処理フローについて図12を用いて説明する。
複数の画像を夫々指示された枚数だけシート部材Pに形成させるための印刷ジョブを開始させる際には、ステップ120で、制御部190は、ホストコンピュータ188から入力された複数の画像情報(印刷画像)を画像メモリ194に記憶させた後、夫々の画像情報を夫々の画像データ(ドットデータ)に変換する。制御部190が夫々の画像情報を夫々の画像データに変換するとステップ220へ移行する。
ステップ220では、予備形成部196は、制御部190から夫々の画像データを受け取り、記録ヘッド138を制御して、夫々の画像データに基づき、本画像出力が終了していない夫々の試刷り画像をシート部材Pに形成させる。さらに、予備形成部196は、制御部190を介してチェックパターン記録部20からチェックパターン規格を受け取り、記録ヘッド138を制御して、チェックパターン156をチェック用画像形成領域137に形成させる(形成工程)。チェックパターン156がチェック用画像形成領域137に形成されるとステップ320へ移行する。
ステップ320では、読み取りセンサ158が、夫々の試刷り画像及びチェックパターン156を読み取り、この情報を制御部190が読み取りセンサ158から受け取る。さらに、制御部190は、チェックパターンについての情報(チェックパターン情報)を、補正計算部200に向けて出力する。制御部190がチェックパターン情報を出力するとステップ420へ移行する。
ステップ420では、品質判断部198は、読み取りセンサ158によって読み取られた夫々の試刷り画像情報を、制御部190を介して受け取る。そして、品質判断部198は、夫々の試刷り画像情報が品質基準を満足しているか否かを判断する。品質判断部198が、試刷り画像について品質基準を満足しているか否かを判断すると、ステップ520へ移行する。
ステップ520では、全ての試刷り画像について品質基準を満足している場合は、ステップ620へ移行し、それ以外の場合(一つでも品質が満足されていない試刷り画像がある場合)は、ステップ720へ移行する。
ステップ620では、記録ヘッド制御部18は、品質基準を満足している試刷り画像に用いた画像データを制御部190から受け取り、この画像データに基づき未出力の本画像をシート部材Pに形成させる(本画像形成工程)。本画像をシート部材Pに形成させると処理フローが終了する。当然であるが、既に本画像を出力した画像データについては、2度の出力は行わない。
一方、 ステップ520において、一つでも品質が満足されていない試刷り画像があるとしてステップ720へ移行した場合には、ステップ720で、品質判断部198は、品質が満足されていない試刷り画像の情報(NG情報)を、補正制御装置160Bの補正計算部200に向けて出力する。
ステップ720でNG情報を出力すると、ステップ820で、品質が満足されている未出力の試刷り画像がある場合に、記録ヘッド制御部18は、品質基準を満足している試刷り画像に用いた画像データを制御部190から受け取り、この画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させる(本画像形成工程)。当然であるが、既に本画像を出力した画像データについては、2度の出力は行わない。
そして、ステップ920で、予備形成部196が、後述する補正画像データを画像補正部202から受け取りステップ220へ移行する。ステップ220以降については、前述した内容の処理が再度実施される。なお、ステップ220では、予備形成部196が受け取った補正画像データに基づき試刷り画像をシート部材Pに形成させる。つまり、既に本画像を形成した画像データについては、試刷り画像を形成させない。
〔補正制御装置における処理フロー〕
次に、補正制御装置160Bにおける処理フローについて図13を用いて説明する。
ステップ1200で、補正計算部200が、前述したステップ320で制御部190によって出力されたチェックパターン情報を受け取る。補正計算部200が、チェックパターン情報を受け取るとステップ2200へ移行する。
ステップ2200では、補正計算部200が、前述したステップ420での品質判断部198の判断処理と並行し、受け取ったチェックパターン情報に基づき、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う(導出工程)。補正計算部200による補正計算が終了すると、ステップ3200へ移行する。
ステップ3200では、補正計算部200が、前述したステップ720で品質判断部198から出力されたNG情報を受け取った場合には、ステップ4200へ移行する。一方、補正計算部200が、品質判断部198からNG情報を受け取らない場合には、処理フローが終了する。
ステップ4200では、画像補正部202は、試刷り画像が品質基準を満足していなかった画像データのみを制御部190から受け取る。そして、画像補正部202は、受け取った画像データを補正計算部200の計算結果に基づいて補正して補正画像データを作成する(補正計算結果を画像データにフィードバックする:画像データ補正工程)。画像補正部202が、補正画像データを作成するとステップ5200へ移行する。
ステップ5200では、画像補正部202が、補正画像データを予備形成部196に向けて出力して処理フローが終了する。なお、前述したように、予備形成部196が、補正画像データを画像補正部202から受け取ると、ステップ220以降の処理が再度実施される(図12参照)。
〔まとめ〕
以上説明したように、補正計算部200が、品質判断部198の判断処理と並行し、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行うため、品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するのに要する時間を短くすることができる。
以下、具体的に説明する。
図11(A)には、本第2実施形態に係る画像形成装置40を用いた場合のタイムチャートが示され、図11(B)には、比較例としての画像形成装置を用いた場合のタイムチャートが示されている。タイムチャートの横軸は時間とされている。両方のタイムチャートとも、3個の画像(画像1〜画像3)を夫々指示された枚数だけシート部材Pに形成させるための印刷ジョブを実行した場合を示している。さらに、画像1及び画像2に係る最初の試刷り画像が、品質基準を満足しており、画像3に係る最初の試刷り画像が、品質基準を満足していない場合を示している。
比較例としての画像形成装置では、図11(B)に示されるように、夫々の試刷り画像の形成とチェックパターン156の形成とは、続けて行われておらず、チェックパターン156の形成は、試刷り画像の品質判断結果が基準を満足しなかった場合にのみ、その満足しなかった試刷り画像の品質判断後に行われる。また、全ての作業が、一つずつ順番に行われている。
図11(A)に示されるように、画像形成装置40では、全ての試刷り画像を形成させた後、チェックパターン156を形成させる。さらに、品質判断部198の判断処理と並行し、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う。このため、前述したように、複数の画像を処理する場合であっても、品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するのに要する時間を短くすることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置50及び画像補正方法の一例について図14〜図17を用いて説明する。なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。また、第2実施形態と異なる部分を主に説明し、他の部分の説明は省略する。
画像形成装置50のヘッド制御装置160Aには、図17に示されるように、品質判断部198の判断結果により品質基準を満足する試刷り画像がある場合は、品質基準を満足する試刷り画像に係る画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させるのに必要な必要時間を算出する(導出する)時間導出手段の一例として時間算出部206が備えられている。
また、画像形成装置40の補正制御装置160Bには、時間算出部206によって算出された必要時間を受け取り、必要時間が予め定められた閾値よりも短い短時間か必要時間が閾値以上の長時間かを判別する時間判別手段の一例としての時間判別部216が備えられている。なお、補正計算部212及び画像補正部214の構成については、後述する作用と共に説明する。
〔ヘッド制御装置における処理フロー〕
先ず、ヘッド制御装置160Aの処理フローについて図15を用いて説明する。
ステップ520では、全ての試刷り画像について品質基準を満足している場合は、ステップ620へ移行し、それ以外の場合(一つでも品質が満足されていない試刷り画像がある場合)は、ステップ720へ移行する。
ステップ620では、記録ヘッド制御部18は、品質基準を満足している試刷り画像に用いた画像データを制御部190から受け取り、この画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させる(本画像形成工程)。本画像をシート部材Pに形成させると処理フローが終了する。
一方、 ステップ520において、一つでも品質が満足されていない試刷り画像があるとしてステップ720へ移行した場合には、ステップ720で、品質判断部198は、品質が満足されていない試刷り画像の情報(NG情報)を、補正制御装置160Bの補正計算部200に向けて出力する。NG情報を出力するとステップ830に移行する。
ステップ830では、品質基準を満足する試刷り画像がある場合は、時間算出部206が、品質基準を満足する試刷り画像に係る画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させるのに必要な必要時間を算出する(時間導出工程)。
具体的には、時間算出部206は、本画像が形成されるシート部材Pの枚数情報と、本画像を一枚のシート部材Pに形成するのに必要な時間情報とを制御部190から受け取り、必要時間を算出する。時間算出部206が、必要時間を算出するとステップ840へ移行する。なお、品質基準を満足する試刷り画像がない場合は、必要時間が0となる。
ステップ840では、時間算出部206が、時間判別部216に向けて必要時間を出力し、ステップ940に移行する。
ステップ940では、品質が満足されている試刷り画像がある場合に、記録ヘッド制御部18は、品質基準を満足している試刷り画像に用いた画像データを制御部190から受け取り、この画像データに基づき本画像をシート部材Pに形成させる(本画像形成工程)。そして、ステップ980で、予備形成部196が、後述する補正画像データを画像補正部214から受け取りステップ220へ移行する。ステップ220以降については、前述した内容の処理が再度実施される。なお、ステップ220では、予備形成部196が受け取った補正画像データに基づき試刷り画像をシート部材Pに形成させる。
〔補正制御装置における処理フロー〕
次に、補正制御装置160Bにおける処理フローについて図16を用いて説明する。
ステップ1200で、補正計算部200が、ステップ320で制御部190によって出力されたチェックパターン情報を受け取る。補正計算部200が、チェックパターン情報を受け取るとステップ2400へ移行する。
ステップ2400では、補正計算部200が、前述したステップ720で品質判断部198によって出力されたNG情報を受け取った場合には、ステップ3400へ移行する。一方、補正計算部200が、品質判断部198からNG情報を受け取らない場合には、処理フローが終了する。
ステップ3400では、時間判別部216が、前述したステップ840で時間算出部206によって出力された必要時間を受け取りステップ4400へ移行する。
ステップ4400では、時間判別部216が、受け取った必要時間が予め決められた閾値以上の長時間か、それ以外(閾値より短い短時間)かを判別する(時間判別工程)。
時間判別部216により必要時間が長時間と判別された場合は、ステップ5400へ移行し、時間判別部216により必要時間が短時間と判別された場合は、ステップ5401へ移行する。
ステップ5400では、補正計算部212が、前述のステップ940で説明した記録ヘッド制御部18による本画像の形成処理と並行し、受け取ったチェックパターン情報に基づき、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算(通常補正導出)を行う(導出工程)。補正計算部212による通常補正計算が終了すると、ステップ6400へ移行する。
ステップ6400では、画像補正部214は、試刷り画像が品質基準を満足していなかった画像データのみを制御部190から受け取る。そして、画像補正部214が、補正計算部212の補正計算結果に基づいて、受け取った画像データを補正して補正画像データを作成する(補正計算結果を画像データにフィードバックする:画像データ補正工程)。画像補正部214が、補正画像データを作成するとステップ7400へ移行する。
ステップ7400では、画像補正部214が、補正画像データを予備形成部196に向けて出力して処理フローが終了する。なお、前述したように、予備形成部196が、補正画像データを画像補正部214から受け取ると、ステップ220以降の処理が再度実施される(図15参照)。
一方、前述したように、ステップ4400で時間判別部216により必要時間が短時間と判別された場合は、ステップ5401へ移行する。
ステップ5401では、補正計算部212が、ステップ940で説明した記録ヘッド制御部18による本画像の形成処理と並行し、受け取ったチェックパターン情報をフィルターに通し、簡易チェックパターン情報を作成する。さらに、補正計算部212が、この簡易チェックパターン情報に基づき、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算(簡易補正導出)を行う(導出工程)。
具体的には、補正計算部212は、予め決められた閾値より軽微なスジや色ムラ等の情報を、チェックパターン情報から削除して簡易チェックパターン情報を作成する(軽微な不良情報を間引く)。さらに、補正計算部212は、この簡易チェックパターン情報に基づき、ノズル180の吐出不良を補完するための簡易補正計算を行う。これにより、簡易補正計算の結果は、ステップ5400での通常補正計算の結果より短い時間で計算される(導出される)。補正計算部212による簡易補正計算が終了すると、ステップ6401へ移行する。
ステップ6401では、画像補正部214は、試刷り画像が品質基準を満足していなかった画像データのみを制御部190から受け取る。そして、画像補正部214が、補正計算部212の補正計算結果に基づいて、受け取った画像データを補正して補正画像データを作成する(補正計算結果を画像データにフィードバックする:画像データ補正工程)。画像補正部214が、補正画像データを作成するとステップ7401へ移行する。
ステップ7401では、画像補正部214が、補正画像データを予備形成部196に向けて出力して処理フローが終了する。なお、前述したように、予備形成部196が、補正画像データを画像補正部214から受け取ると、ステップ220以降の処理が再度実施される(図15参照)。
〔まとめ〕
以上説明したように、補正計算部212が、記録ヘッド制御部18による本画像の形成処理と並行し、ノズル180の吐出不良を補完するための通常補正計算又は簡易補正計算を行うため、画像品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するのに要する時間を短くすることができる。
また、時間算出部206によって算出された必要時間が短時間か長時間かによって、時間判別部216が、通常補正計算を行うか簡易補正計算を行うかを決めるため、本画像をシート部材Pに形成している時間を有効に活用することができる。
以下、具体的に説明する。
図14(A)には、本第3実施形態に係る画像形成装置50を用いた場合のタイムチャートが示され、図14(B)には、比較例としての画像形成装置を用いた場合のタイムチャートが示されている。両方のタイムチャートとも、3個の画像(画像1〜画像3)を夫々指示された枚数だけシート部材Pに形成させるための印刷ジョブを実行した場合を示している。さらに、画像1及び画像2に係る最初の試刷り画像が、品質基準を満足しており、画像3に係る最初の試刷り画像が、品質基準を満足していない場合を示している。
比較例としての画像形成装置では、図14(B)に示されるように、夫々の試刷り画像の形成とチェックパターン156の形成とは、続けて行われておらず、チェックパターン156の形成は、試刷り画像の品質判断結果が基準を満足しなかった場合にのみ、その満足しなかった試刷り画像の品質判断後に行われる。また、全ての作業が、一つずつ順番に行われている。
図14(A)に示されるように、画像形成装置50では、全ての試刷り画像を形成させた後、チェックパターン156を形成させる。さらに、本画像の形成処理と並行し、ノズル180の吐出不良を補完するための補正計算を行う。このため、前述したように、複数の画像を処理する場合であっても、品質を満足した画像をシート部材Pへ形成するのに要する時間を短くすることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置250及び画像補正方法の一例について図19〜図20を用いて説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。また、第1及び第2実施形態と異なる部分を主に説明し、他の部分の説明は省略する。
第1及び第2実施形態では、線状のパターンであるチェックパターン156に基づき、ノズル18の吐出不良を補完するための補正計算を行ったが、第4実施形態では、これとは別に又はこれと共に、濃度の段階的パターンである色パッチ(チェックパターンの一例)に基づきノズル18の吐出不良を補完するための補正計算を行う。
具体的には、試刷り画像と共に、図19(A)に示すような、搬送されるシート部材Pの紙幅方向に一様で、濃度が段階的に異なる、色パッチ252を各色毎にチェック用画像形成領域137に出力する。
次に、センサ(図示省略)が各場所の濃度を読み取り、予め決められた基準値との違いを算出する。次に、基準値との差に相当する分を、各色(CMYK)に分版された画像データに重畳させ、略一様な出力になるよう、画像データの補正を行う(補正画像データの作成)。
ここで、画像データの補正について、図19(B)、図20を用いて具体的に説明する(一例として黒色(K色)について説明するが他の色についても同様である)。図19(B)に示される例では、色パッチ254の領域Pの箇所の濃度が他の箇所より薄くなっている。これを、横軸に入力色濃度、縦軸に実際の出力色濃度としてグラフ化したのが図20である。図20において、基準線(基準値)と、領域Pでの出力との差分Δ(i)を算出する(補正計算)。そして、K色に分版された画像について、領域Pに当たる場所においては、各入力濃度iについて、濃度をΔ(i)だけ加算ものを補正後の画像とし、それをドットデータに変換して補正画像データを作成する(勿論、濃度が基準値より高くなっている場合には減算する)。
このように、色パッチを用いて補正計算を行い、補正画像データを作成するようになっている。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態の品質判断工程では、品質判断部198が、試刷り画像情報が品質基準を満足しているか否かを判断したが、ユーザ等が、試刷り画像が形成されたシート部材Pを確認して、試刷り画像が品質基準を満足しているか否かを判断してもよい。この場合には、画像形成装置には、ユーザ等の判断結果を入力する入力部が備えられる。
また、上記実施形態では、画像補正部202、214が、画像データ(ドットデータ)を補正して補正画像データを作成したが、画像補正部が、ホストコンピュータ188から入力された印刷画像や中間画像(例えばRGBの画像)等を補正してもよい。
また、上記第3実施形態では、特に説明しなかったが、時間算出部206によって算出される必要時間の長短を考慮して、補正計算部212が、チェックパターン情報から簡易チェックパターンを作成するのに用いる閾値を変えてもよい。例えば、必要時間が通常より長い場合は、簡易チェックパターン情報を作成するのに用いる閾値を通常に対して変えて、チェックパターン情報から削除される軽微なスジや色ムラ等の情報を少なくする。
また、上記第3実施形態では、通常補正計算に用いたチェックパターン情報をフィルターに通して簡易チェックパターン情報を作成し、この簡易チェックパターン情報に基づいて簡易補正計算を行うことで、簡易補正計算に必要な時間を通常補正計算に必要な時間より短くした。
しかし、記録ヘッド138を制御して濃度ムラを確認する色パッチを形成させ、通常補正計算の際は、チェックパターン情報に基づく補正計算に加えて、この色パッチを用いて前述した第4実施形態のように補正計算を行う。一方、簡易補正計算の際は、チェックパターン情報に基づく補正計算だけを行う。このようにして、簡易補正計算に必要な時間を通常補正計算に必要な時間より短くしてもよい。
また、通常補正計算の際は、チェックパターン情報に基づく補正計算だけを行う。一方、簡易補正計算の際は、チェックパターン情報に基づき特定の部位(スジムラが発生している場所)のノズルのみを対象とする補正計算を行う。このようにして、簡易補正計算に必要な時間を通常補正計算に必要な時間より短くしてもよい。
また、上記第2実施形態では、特に説明しなかったが、1回目で品質基準が満足されると判断された画像データに係る本画像の形成と、1回目で品質基準が満足されていないと判断された画像データに係る2回目の試刷り画像の形成と、2回目のテストチャートの形成とを一括して実施してもよい。この場合には、1回目の本画像の形成と2回目の試刷り画像の形成との間の立上(ウォームアップ)が不要となる(図18参照)。
また、前述した実施形態は、説明のために例示したものであって、本発明としてはこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除、付加及び組み合わせが可能である。
また、前述した実施形態の処理フローは、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、フローの順番を変えてもよい。