JP2014153372A - 周期格子、周期格子の製造方法、計測装置 - Google Patents

周期格子、周期格子の製造方法、計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】周期格子の製造の簡易性の点で有利な周期格子を提供する。
【解決手段】周期格子1は、透過率または反射率がそれぞれ異なる第1の材料、第2の材料および第3の材料を含む。周期格子1は、第1の材料により構成される第1層3と、第1層3に積層され、第2の材料により構成される第2層4とを有する。このうち、第2層4により、第3の材料が充填されている第1格子部4aと、第1層3の表面を底面とした空間を形成する第2格子部4bと、が構成され、第2格子部4bは、第2層4の表面以外の部分が周期格子1の外部に開放されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、周期格子、周期格子の製造方法、およびその周期格子を用いた計測装置に関する。
従来、位置や角度を計測するインクリメンタルエンコーダやアブソリュートエンコーダが存在する。このうち、インクリメンタルエンコーダは、高分解能であるが、最初に原点を検出しないと絶対位置情報が得られないため、採用される分野が限定される。一方、アブソリュートエンコーダは、バイナリーパターンを受光素子アレイやCCDなどの撮像素子で画像として読み取ることで、瞬時に絶対位置情報を出力することができるが、分解能がインクリメンタルエンコーダに比べて高くない。これに対して、インクリメンタル情報とアブソリュート情報とを読み取り可能とし、これら2種のエンコーダの利点を兼ね備えたアブソリュートエンコーダが提案されている。この場合、単純には、インクリメンタル情報とアブソリュート情報とを読み取る2つの受光素子アレイが必要となり、受光素子の構造、および計測基準となる周期格子(スケール)の構造が複雑化する。そこで、この構造を簡素化するものとして、特許文献1および2は、インクリメンタル情報とアブソリュート情報とを多値化(透過率、反射率に違いがある)して交互に1トラックに配置する周期格子を用いた1トラック型アブソリュートエンコーダを開示している。これらの特許文献では、周期格子の1トラックに、インクリメンタル情報とアブソリュート情報とを交互に格子高さや格子深さを変えて配置している。
国際公開第2008/146409号 特開2008−134235号公報
しかしながら、特許文献1および2に採用される多値化情報を配置した周期格子を製造する際には、微細加工が要求され、特に露光装置および現像装置を用いた露光および現像工程が複数回必要となる。これは、例えば、露光装置の使用の際に高精度な位置合わせが複数回必要となり、さらには、現像装置の使用の際に薬液(現像液)を大量に使用しなければならないことを意味する。これに対して、例えば、レーザーパワーによる選択的な除去やインクジェットプリンターを用いて特定部位への塗布などを行うことで、露光装置などを使用せずに工程数を減らすことも考えられるが、この場合、専用の設備や材質を新たに開発する必要がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、周期格子の製造の簡易性の点で有利な周期格子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、透過率または反射率がそれぞれ異なる第1の材料、第2の材料および第3の材料を含む周期格子であって、第1の材料により構成される第1層と、第1層に積層され、第2の材料により構成される第2層と、を有し、第2層により、第3の材料が充填されている第1格子部と、第1層の表面を底面とした空間を形成する第2格子部と、が構成され、第2格子部は、第2層の表面以外の部分が周期格子の外部に開放されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、周期格子の製造の簡易性の点で有利な周期格子を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る周期格子の構成を示す図である。 第1実施形態に係る周期格子の製造工程を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る周期格子の構成を示す図である。 第2実施形態に係る周期格子の製造工程を示す図である。 従来の周期格子の製造工程を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る周期格子の製造方法および周期格子について説明する。本実施形態に係る周期格子は、それぞれ、高反射率材料、低反射率材料、およびその中間の反射率を有する材料の少なくとも3種類の材料を含み、それぞれの材料により周期的に多値(3値以上)を表すことが可能な多値化周期格子である。この周期格子は、例えば、種々の産業用装置に使用されるミクロン、ナノメートル、サブナノメートルの分解能/精度の位置計測、または角度分、角度秒の分解能/精度の角度計測を行うエンコーダ(計測装置)の計測基準としてのスケールに適用し得る。以下、本実施形態では、一例として、反射型で、かつ直定規状(長尺)のスケールを用いるリニアエンコーダに採用するものと想定する。さらに、この周期格子は、回折格子やホログラム立体構造などの微細光学素子としても適用し得る。
図1は、本実施形態に係る周期格子1の構成を示す概略斜視図である。図1では、矢印が向かってくる側の面を正面とし、以下、後述の各層における正面側の面、すなわち格子溝が形成される側の面を「上面」と表す。特に、本実施形態のようにエンコーダのスケールとして周期格子1を適用する場合には、周期格子1の正面に向かって光が照射される。また、図1および以下のすべての図では、わかり易さの観点から、各層の厚さ(膜厚)を誇張して表現しており、各層の厚さの比率などは厳密ではない。
周期格子1は、基板2と、反射層3と、無反射層4との複数層から構成される。基板2の材質は、計測精度保証やコストなどを考慮して選定され、例えば、高い計測精度を得るのに好適な線膨張係数の低いガラスとし得る。なお、計測精度保証が比較的緩くても許容される場合は、安価なスチール材や樹脂材としてもよい。また、基板2は、このような剛体ではなく、半剛体の部材(例えば、テープ状部材)としてもよい。反射層(第1層)3は、基板2の上面の全面に設置(積層)される、100%に近い高い反射率を有する層である。反射層3の材料(第1の材料)としては、例えば、アルミニウムやクロムなどが採用可能である。無反射層(第2層)4は、反射層3の上面に設置(積層)される、無反射特性の黒色の層(黒色膜)である。無反射層4の材料(第2の材料)としては、例えば、カーボンブラックと感光性レジストとを調合したポジ型フォトペーストを反射層3上にコーティングし、その後、パターニングで形状が規定されたものとし得る。なお、無反射層4としては、その他にも黒色クロムなどの所望の低い反射率を確保できるものであればよい。
特に本実施形態では、無反射層4により、周期格子1全体の長手方向(スケールとして使用される際の走査方向)に交互に並ぶ2種の格子溝(第1格子溝4aおよび第2格子溝4b)が形成されている。なお、図1に示すように、隣り合う各格子溝の種類がいずれとなって形成されるかは任意である。第1格子溝(第1格子部)4aは、その底面を反射層3が露出する深さの面とし、無反射層4の上面のみに開放された、すなわち無反射層4の表面に面する以外は閉じた形状を有する格子部(格子溝、格子穴)である。第1格子溝4aには、所望の波長を有する光が入射して反射層3で反射し戻ってきた光の光量が、所望の光量(例えば実質50%程度)となるような第3の材料により構成される半透明層(第3層)5が形成される。一方、第2格子溝(第2格子部)4bは、その底面を反射層3が露出する深さの面とする格子部であるのは第1格子溝4aと同様であるが、穴形状ではない。すなわち、第2格子溝4bは、正面に対する1つ以上の側面(表面以外の面)まで溝加工されて外部に開放された領域を有する点が第1格子溝4aと異なる。具体的には、第2格子溝4bは、第1格子溝4aおよび第2格子溝4bが周期的に配列されている方向とは直交する方向に、第2格子溝4bの設置位置に対応する無反射層4の一部を切り欠いた状態で開放されているとも表現できる。さらに、第2格子溝4bは、第1格子溝4aとは異なり、半透明層5が形成されない空間であり、この部分に入射した光は、反射層3にて所望の光量(例えば実質90%以上)で反射して戻る。なお、各格子溝4a、4bの形成方法は、所望の格子幅、およびピッチで加工可能な方法であれば、機械加工、描画加工、または半導体製造プロセスを利用するような加工などいずれの方法でも構わないが、具体例については後述する。このように、周期格子1では、正面に入射した光は、反射層3、無反射層4、または半透明層5のいずれかの領域(部材)で反射(無反射)することになり、エンコーダの所定の光学系(受光部)は、3値、すなわち多値の反射信号を得ることができる。
次に、周期格子1の製造方法について説明する。まず、本実施形態の特徴を明確化するために、参考として従来の多値化周期格子の製造工程の一例を説明する。図5は、従来の多値化周期格子の製造工程の一例を示す図である。特に、図5(a)は、製造工程のフローチャートであり、図5(b)は、図5(a)の各工程に対応した、その段階での周期格子の断面図を示している。また、図5では、後述する本実施形態の周期格子1との比較のしやすさの観点から、本実施形態に係る周期格子1の構成要素の部分に対応する構成要素には同一の符号を付す。まず、基板2の上面全体に、反射層3を形成する(ステップS301)。このときの形成方法としては、スパッタリング成膜法、蒸着法、めっき法などが採用可能であり、反射層3の光学的な反射率を所望の均一さに保つことができるものであれば、特に限定するものではない。次に、反射層3の上面全体に、無反射層4を形成する(ステップS302)。このときの形成方法としては、上記のとおりポジ型フォトペーストを使用した無反射膜をコーティングする方法がある。ここで、本実施形態では、以下、光照射にてパターニングを行うためポジ型フォトペーストを用いているが、他の工程(加工プロセス)を選択する場合には、この限りではない。
次に、無反射層4に、所定の格子溝(例えば、本実施形態における第1格子溝4aのように平面方向で閉じた溝)20を形成する(ステップS303)。このときの形成方法としては、露光装置を利用し、溝形状となる等ピッチのL/S(ライン&スペース)のパターンを基板2上のフォトペーストに露光する。そして、露光終了後、現像装置を利用して、感光されたフォトペーストを現像液にて除去する。次に、無反射層4上に、着色液mを格子溝20に充填されるよう全面塗布する(ステップS304)。ここで、着色液mは、低粘度の液体で以下の工程により最終的に半透明層5となるものであり、その材質(第3の部材)は、半透明層5の上記説明のとおりである。次に、無反射層4上または格子溝20内に塗布された着色液mのうち、格子溝20にあるもの以外の着色液mを除去する(ステップS305)。次に、所望の多値化周期パターンとなるように、特定の格子溝20に存在する着色液mを除去する(ステップS306)。このときの除去方法としては、露光装置を利用して、選択的に着色液mを除去する部分を特定して露光した後、現像装置を利用して、露光箇所を除去する方法がある。次に、特定の格子溝20に残留した着色液mの定着乾燥を行い、着色液mを硬化(固体化)させる(ステップS307)。これにより、基板2上には、半透明層5が形成され、結果として、最表面が黒色の無反射層4で、さらに格子溝20が反射層3または半透明層5のいずれかを有する、3値の周期格子が完成する。ここまでの製造工程の流れを見てわかるとおり、従来、同一パターンの格子(溝)形状で多値化周期格子を製造する際には、例えば、2回の露光および現像工程が必要となる。
図2は、従来の多値化周期格子の製造工程に係る図5に対応した、本実施形態に係る周期格子1の製造工程の一例を示す図である。ここでも、図2(a)は、製造工程のフローチャートであり、図2(b)は、図2(a)の各工程に対応した、その段階での周期格子1の断面図を示している。なお、ステップS101は、図5のステップS301と同一であり、かつ、ステップS102は、図5のステップS302と同一であるため、それぞれ説明を省略する。ステップS102の終了後、次に、無反射層4に、第1格子溝4aと第2格子溝4bとを形成する(ステップS103)。このときの形成方法としては、ステップS102においてフォトペーストを用いたのに合わせて、レーザー照明装置を利用した加工により形成し得る。まず、レーザー照明装置は、所望の位置に、所望の格子線幅と格子ピッチとで第1格子溝4aと第2格子溝4bとの形状になるように、選択的に順次照射を実施して基板2上のフォトペーストを露光する。そして、露光終了後、現像装置を利用して、感光されたフォトペーストを現像液にて除去する。ここで、ポジ型フォトペーストを使用したことに伴い、現像液は、アルカリ現像液としている。次に、無反射層4上に、着色液mを第1格子溝4aおよび第2格子溝4bに充填されるよう全面塗布する(ステップS104)。ここで、着色液mは、上記説明したものと同一とする。このとき、第1格子溝4aは、平面方向で閉じた溝であるから、この第1格子溝4aにおいては、着色液mが満遍なく充填されることになる。これに対して、第2格子溝4bは、平面方向で少なくとも1箇所が開となっている溝であるから、この第2格子溝4bにおいては、着色液mがその場所から少しずつ流れ出ることになる。次に、基板2(無反射層4)を所定の角度に傾ける(ステップS105)。この動作により、図2中のA−A´断面に示すように、まず、第1格子溝4aには、着色液mが残留する。これに対して、図2中のB−B´断面に示すように、第2格子溝4bでは、着色液mは、平面方向で開となっている部分から外部へ一括して排出される(流れ出る)ことになる。すなわち、このとき基板2を傾ける角度は、着色液mの粘度を考慮し、第1格子溝4aでは、着色液mが無反射層4を超えて溢れ出ない角度で、かつ、第2格子溝4bでは、着色液mが付着し残留せずに排出される角度に設定される。なお、この工程にて、第2格子溝4bから着色液mが残らず排出されることが望ましいが、万が一スムーズに排出を行えない場合には、第2格子溝4bの排出領域に着色液mを吸収する吸収材(例えばスポンジ状部材)を押し付けてもよい。この吸収材の吸引により、第2格子溝4bから好適に着色液mを排出することができる。次に、基板2の傾きを戻し、着色液mの定着乾燥を行う(ステップS106)。これにより、基板2上には、半透明層5が形成され、結果として、第2格子溝4aが反射層3で、最表面が黒色の無反射層4で、そして第1格子溝4aが半透明層5を有する、3値の周期格子が完成する。
このように、周期格子1の構成、およびこの周期格子1の製造方法では、同一パターンの格子(溝)形状で多値化周期格子を製造する場合、従来よりも製造工程を簡略化させることができる。すなわち、上記の図5を用いて説明した例でいえば、従来、露光および現像工程が2回必要であった。これに対して、本実施形態では、図2を用いて説明したように、露光および現像工程が1回でよい。通常、露光工程では、高精度の位置合わせなどを実施する必要もあり、その一連の工程として、ある程度の時間を要する。さらに、現像工程では、薬液(現像液)をその都度使用する。したがって、本実施形態のように、基板2を傾ける機構を要するとしても、露光および現像工程を減らすことができるのは大きな利点となる。なお、例えば、レーザーパワーによる選択的な除去やインクジェットプリンターを用いて特定部位への塗布などを行うことで、露光装置などを使用せずに工程数を減らすことも考えられるが、この場合、専用の設備や材質を新たに開発する必要がある。これに対して、本実施形態では、既存の露光装置などを使用して対応できる点においても有利である。
なお、本実施形態では、反射型のエンコーダに採用し得るスケールに合わせた周期格子1の構成を例示した。すなわち、周期格子1が表す3値は、それぞれ反射率を異ならせた部分(層または構造体)で規定される。これに対して、本発明は、周期格子を透過型のエンコーダに採用し得るスケールに合わせたものとすることも可能である。この場合、周期格子が表す3値(多値)は、それぞれ透過率を異ならせた部分で規定されることになる。また、周期格子1に形成される第2格子溝4bの形状は、基板2の傾きに伴い着色液mを好適に排出できるものであるならば、上記のとおり、図1および図2に示したものに限定しない。例えば、第2格子溝4bは、基板2の両側面まで加工されている、すなわち周期格子を、格子溝の列に直交する方向にそのまま横切る形状としてもよい。また、周期格子1は、反射層3の上に形成する層を半透明層5とし、その後、選択的に無反射層4が形成された構成としてもよい。また、反射率(または透過率)を、長期的劣化、またはプロセス中の劣化から保護するために、各層に、耐環境、耐薬品、耐温度処理を施したり、保護層を追加したりしてもよい。さらに、上記実施形態では、着色液mを低粘度の液体としているが、これを高粘度の液体とし、第1格子溝4aに着色液mが入らないようにし、かつ排出経路のある第2格子溝4bに着色液mが入るようなものとしてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、周期格子の製造の簡易性の点で有利な周期格子およびその周期格子の製造方法を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る周期格子の製造方法および周期格子について説明する。本実施形態に係る周期格子の特徴は、第1実施形態に係る周期格子1の構成および製造方法を変更したものであり、製造工程中の着色液mを排出する工程では、基板を傾けることなく、基板の裏面側(格子溝がない側)から着色液mを吸引する点にある。
図3は、第1実施形態に係る周期格子1の構成を示す図1に対応した、本実施形態に係る周期格子10の構成を示す概略斜視図である。周期格子10は、基板11と、無反射層12との複数層から構成される。基板(第1層)11の材質は、例えば鏡面ステンレス材とし得る。このような材質を選択することにより、基板11は、表面が鏡面となるので、第1実施形態でいう反射層の機能も有することになる。さらに、本実施形態では、基板11には、後述する第2格子溝12bの溝底面に相当するすべての領域において、その領域の一部から基板11の裏面まで貫通する穴11aが形成されている。無反射層(第2層)12は、基板11の上面に設置される、第1実施形態における無反射層4と同様の無反射特性の黒色の層である。
本実施形態では、無反射層12により、周期格子10全体の長手方向に交互に並ぶ2種の格子溝(第1格子溝12aおよび第2格子溝12b)が形成されている。第1格子溝(第1格子部)12aは、その底面を基板11が露出する深さの面とし、無反射層12の上面のみに開放された、すなわち無反射層12の面内で閉じた形状を有する格子溝(格子穴)である。そして、第1格子溝12aには、第1実施形態と同様に、所望の波長を有する光が入射して基板11で反射し戻ってきた光の光量が、所望の光量(例えば実質50%程度)となるような半透明層13が形成される。一方、特に本実施形態では、第2格子溝12bは、第1格子溝12aと同様に、その底面を基板11が露出する深さの面とするとともに、無反射層12の面内で閉じた形状を有する格子溝(格子穴)である。第2格子溝(第2格子部)12bには、第1格子溝12aと異なり半透明層13が形成されず、この部分に入射した光は、基板11にて所望の光量(例えば実質90%以上)で反射して戻る。このように、周期格子1では、正面に入射した光は、反射面を兼ねる基板11、無反射層12、または半透明層13のいずれかの領域で反射(無反射)することになり、エンコーダの所定の光学系は、3値、すなわち多値の反射信号を得ることができる。
図4は、本実施形態に係る周期格子10の製造工程の一例を示す図である。図4(a)は、製造工程のフローチャートであり、図4(b)は、図4(a)の各工程に対応した、その段階での周期格子10の断面図および上面図を示している。まず、基板11の上記所定の位置に、穴11aを形成する(ステップS201)。これらの穴11aは、後述の第2格子溝12bに充填された着色液mを吸引して排出するために使用されるので、形成時の位置精度は要求されない。また、穴11aが形成される第2格子溝12bの底面は、反射面となるため、穴11aの径は、着色液mを吸引可能とするとともに、底面での反射機能を損なわない程度の大きさとすることが望ましい。次に、基板11上に、2値化周期パターン(第1格子溝12aまたは第2格子溝12bが形成される部分と、そうでない部分)のレジスト膜14を形成する(ステップS202)。このときの形成方法としては、まず、基板11上の全面にネガ型レジストを塗布し、その後、露光装置を利用して、所望の格子線幅および格子ピッチとなるようなマスクを使用した上で、パターンをネガ型レジストに露光する。そして、露光終了後、露光された箇所を硬化し、一方、露光されていないレジスト箇所を、現像装置を利用して現像液にて除去することで、基板11上には、2値化周期パターンのレジスト膜14が形成される。ここで、ネガ型レジストを使用したことに伴い、現像液は、有機系溶剤としている。次に、基板11上のレジスト膜14が存在しない領域に、無反射層12となる黒色クロム膜を形成する(ステップS203)。このときの形成方法としては、例えばめっき法を採用し得る。次に、レジスト膜14を剥離液にて剥離(除去)する(ステップS204)。次に、無反射層4上に、着色液mを第1格子溝12aおよび第2格子溝12bに充填されるよう全面塗布する(ステップS205)。なお、着色液mは、第1実施形態で用いたものと同一であると想定している。このとき、第1格子溝12aは、平面方向で閉じた溝であるから、この第1格子溝12aにおいては、着色液mが満遍なく充填されることになる。これに対して、第2格子溝12bは、底面に穴11aが存在することから、この第2格子溝4bにおいては、着色液mがその場所から少しずつ流れ出ることになる。次に、無反射層4上にあり、第1格子溝12aおよび第2格子溝12bに充填され切れなかった着色液mを、例えばスキージにて取り除いた上で、第2格子溝12b内の着色液mを、吸引ポンプにより穴11aを介して吸引し排出する(ステップS206)。なお、吸引ポンプを使用しなくても、単に基板11の裏面から穴11aの排出口に吸収材を押し当てるなどして着色液mを吸引する方法を採用してもよい。次に、着色液mの定着乾燥を行う(ステップS207)。これにより、基板11上には、半透明層13が形成され、結果として、第2格子溝12aの底面が反射面で、最表面が黒色の無反射層12で、そして第1格子溝12aが半透明層13を有する、3値の周期格子が完成する。
このように、周期格子10の構成、およびこの周期格子10の製造方法では、第1実施形態と同様に、同一パターンの格子(溝)形状で多値化周期格子を製造する場合、従来よりも製造工程を簡略化させることができる。すなわち、本実施形態においても、図4を用いて説明したように、露光および現像工程が1回でよい。一方、本実施形態では、第1格子溝12aと第2格子溝12bとの平面形状(格子形状)は同一である。したがって、露光工程では、格子ごとの個別露光ではなく、より一般的な一括露光を行えばよいため、露光時間をさらに短縮することができる。また、本実施形態では、基板11に、その裏面側から鉛直方向上部に向かって第2格子溝12bに連接している穴11aを設置している。したがって、穴11aに吸引ポンプなどを接続することも容易であり、また、吸引ポンプを使用することで、重力+表面張力による排出効果から、より排出性能を上げることができる。
なお、上記各実施形態にて示した透過率または反射率に係る値(90%や50%と示した値)は、一例であって、適宜変更可能である。さらに、上記各実施形態では、周期格子1(10)は、無反射面に加えて、透過光量または反射光量が理論値で100%と50%との3値の構成としている。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、3値以上(例えば、理論値で100%、75%、50%、25%の4値)の構成にも適用可能である。
(計測装置)
次に、本発明の一実施形態に係る計測装置について説明する。本実施形態に係る計測装置は、計測基準となるスケールと、スケールに対して光を照射する投光部と、スケールを透過した光、またはスケールで反射した光を受光する受光部とを含み、位置または角度の計測を行う、いわゆるエンコーダである。特に、本実施形態に係る計測装置は、スケールとして、上記実施形態の周期格子を採用し得る。ここで、上記実施形態では、一例としてスケールが直定規状のリニアエンコーダに採用されるものとして説明したが、例えば、スケールが円盤状(一般に「ディスク」と呼ばれる)のロータリーエンコーダにも採用し得る。本実施形態に係る計測装置は、従来の方法に比べて、物品の品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
1 周期格子
3 反射層
4 無反射層
4a 第1格子溝
4b 第2格子溝

Claims (9)

  1. 透過率または反射率がそれぞれ異なる第1の材料、第2の材料および第3の材料を含む周期格子であって、
    前記第1の材料により構成される第1層と、
    前記第1層に積層され、前記第2の材料により構成される第2層と、を有し、
    前記第2層により、前記第3の材料が充填されている第1格子部と、前記第1層の表面を底面とした空間を形成する第2格子部と、が構成され、
    前記第2格子部は、前記第2層の表面以外の部分が前記周期格子の外部に開放されている、
    ことを特徴とする周期格子。
  2. 前記第2格子部は、前記第1格子部および前記第2格子部が周期的に配列されている方向とは直交する方向に、前記第2層の一部を切り欠いた状態で開放されていることを特徴とする請求項1に記載の周期格子。
  3. 前記第2格子部は、前記第2格子部の底面である前記第1層の表面から前記外部に向けて貫通された穴により開放されていることを特徴とする請求項1に記載の周期格子。
  4. 前記第1格子部は、前記第2層の表面に対して開放されており、前記第2層の表面以外には閉じていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の周期格子。
  5. 透過率または反射率がそれぞれ異なる第1の材料、第2の材料および第3の材料を含む周期格子の製造方法であって、
    前記第1の材料により構成される第1層に、前記第2の材料により構成される第2層を積層する工程と、
    前記第2層に、第1格子部を形成する工程と、
    前記第2層に、前記第1層の表面を底面とした空間を形成し、前記第2層の表面以外の部分が前記周期格子の外部に開放されている第2格子部を形成する工程と、
    前記第1格子部および前記第2格子部に、液体の前記第3の材料を充填する工程と、
    液体の前記第3の材料の充填が終了した後、前記外部に開放されている部分から、前記第2格子部にある前記第3の材料を排出する工程と、
    を含む、
    ことを特徴とする製造方法。
  6. 前記第2格子部は、前記第1格子部および前記第2格子部が周期的に配列されている方向とは直交する方向に、前記第2層の一部を切り欠いた状態で開放されており、
    前記第3の材料を排出する工程では、前記切り欠かれた第2層の一部が向かう方向へ前記第2層を傾けることで、前記第3の材料を前記外部へ流し出すことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記第2格子部は、前記第2格子部の底面である前記第1層の表面から前記外部に向けて貫通された穴により開放されており、
    前記第3の材料を排出する工程では、前記穴から前記第3の材料を吸引することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  8. 前記第3の材料を排出する工程では、前記開放されている部分に吸収材を充てることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 位置または角度の計測を行う計測装置であって、
    計測基準となるスケールと、
    前記スケールに対して光を照射する投光部と、
    前記スケールを透過した光、または前記スケールで反射された光を受光する受光部と、
    を含み、
    前記スケールは、請求項1乃至4の何れか1項に記載の周期格子を有する、
    ことを特徴とする計測装置。
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