JP2014153016A - 冷却装置 - Google Patents

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和秀 内田
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Abstract

【課題】発熱源の冷却能力が不足した場合に所定の冷却能力を回復できる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置1は、冷媒を循環させる圧縮機12と、冷媒を凝縮する第1凝縮部14aおよび第2凝縮部15aとを備える。第1凝縮部14aと第2凝縮部15aとの間に並列に接続された冷媒の経路のうちの一方には発熱源を冷却する冷却部30が設けられ、他方には冷媒の流量を調整する流量調整弁38が設けられている。冷却装置1はまた、圧縮機12から第1凝縮部14aを介して冷却部30へ冷媒を流す第一通路の連通と第2凝縮部15aと冷却部30との間に冷媒を循環させる第二通路の連通とを切り替える四方弁50を備える。冷却装置1は、発熱源の冷却能力が不足している場合に、第一通路を遮断し第二通路を連通するように四方弁50の開閉を設定するとともに、流量調整弁38を開状態にし、圧縮機12を起動する。
【選択図】図4

Description

本発明は、冷却装置に関し、特に、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して発熱源を冷却する冷却装置に関する。
近年、環境問題対策の一つとして、モータの駆動力により走行するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などが注目されている。このような車両において、モータ、ジェネレータ、インバータ、コンバータおよびバッテリなどの電気機器は、電力の授受によって発熱する。そのため、これらの電気機器を冷却する必要がある。たとえば特開2000−73763号公報(特許文献1)には、ハイブリッド車用冷却装置が開示されている。
上記文献に記載の冷却装置では、ラジエータを新たに設ける必要があるので、車両搭載性が低いという問題を有している。そこで、車両用空調装置として使用される蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して、発熱体を冷却する技術が提案されている(たとえば、特開2007−69733号公報(特許文献2)、特開2012−192815号公報(特許文献3)、特開2005−82066号公報(特許文献4)、特開2005−90862号公報(特許文献5)参照)。
一方、スプール式の四方弁に関する技術が特開昭63−308278号公報(特許文献6)に開示されている。
特開2000−73763号公報 特開2007−69733号公報 特開2012−192815号公報 特開2005−82066号公報 特開2005−90862号公報 特開昭63−308278号公報
蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して発熱源を冷却する冷却装置において、外気温が高い酷暑時のアイドル状態など、冷媒温度が高くなって所定の温度を超えてしまう場合には、発熱源の冷却能力が低下してしまい、その結果、発熱源の動作が制限されてしまう問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、発熱源の冷却能力が不足した場合に冷却能力を回復して所定の冷却能力を確保できる、冷却装置を提供することである。
本発明に係る一の局面の冷却装置は、発熱源を冷却する冷却装置であって、圧縮機と、第一熱交換器および第二熱交換器と、減圧器と、第三熱交換器と、冷却部とを備えている。圧縮機は、冷却装置に冷媒を循環させるための機器である。第一熱交換器および第二熱交換器は、直列に接続されており、各々冷媒と外気との間で熱交換し冷媒を凝縮する。減圧器は、冷媒を減圧する。第三熱交換器は、冷媒と空調用空気との間で熱交換し冷媒を蒸発する。冷却部は、第一熱交換器と第二熱交換器との間に並列に接続された二つの冷媒の経路のうちの一方に設けられており、冷媒を用いて発熱源を冷却する。冷却装置はまた、流量調整弁と、第一通路と、第二通路と、切替弁とを備えている。流量調整弁は、第一熱交換器と第二熱交換器との間に並列に接続された二つの冷媒の経路のうちの他方に設けられており、当該経路を流れる冷媒の流量を調整する。第一通路は、圧縮機から吐出された冷媒を第一熱交換器を介して冷却部へ流す冷媒の経路である。第二通路は、圧縮機が停止したときに、第二熱交換器と冷却部との間に冷媒を循環させる冷媒の経路である。切替弁は、第一通路の連通と第二通路の連通とを切り替える。冷却装置はまた、圧縮機制御部と、バルブ制御部と、冷却能力検出部と、判定部とを備えている。圧縮機制御部は、圧縮機の起動および停止を制御する。バルブ制御部は、流量調整弁の開度を設定するとともに切替弁の開閉を設定する。冷却能力検出部は、冷却部を流れる冷媒による発熱源の冷却能力を検出する。判定部は、冷却能力検出部によって検出される冷却能力が不足していることを判定する。判定部により冷却能力が不足していると判定された場合に、バルブ制御部は、第一通路を遮断し第二通路を連通するように切替弁の開閉を設定するとともに流量調整弁を開状態にし、圧縮機制御部は圧縮機を起動する。
本発明に係る他の局面の冷却装置は、発熱源を冷却する冷却装置であって、圧縮機と、第一熱交換器および第二熱交換器と、減圧器と、第三熱交換器と、冷却部とを備えている。圧縮機は、冷却装置に冷媒を循環させるための機器である。第一熱交換器および第二熱交換器は、直列に接続されており、各々冷媒と外気との間で熱交換し冷媒を凝縮する。減圧器は、冷媒を減圧する。第三熱交換器は、冷媒と空調用空気との間で熱交換し冷媒を蒸発する。冷却部は、第一熱交換器と第二熱交換器との間に並列に接続された二つの冷媒の経路のうちの一方に設けられており、冷媒を用いて発熱源を冷却する。冷却装置はまた、四方弁を備えている。四方弁は、第一熱交換器から冷却部へ向かう冷媒の流れと、第一熱交換器から減圧器へ向かう冷媒の流れと、を切り替える。四方弁は、ハウジングと、第1連結管と、第2連結管と、第3連結管と、第4連結管と、スプールとを有している。ハウジングは、一対の端部と、端部を連結し直線状に延在する中空の筒部とを有している。第1連結管は、筒部に設けられており、第一熱交換器の出口側に接続されている。第2連結管は、筒部に設けられており、減圧器の入口側に接続されている。第3連結管は、筒部に設けられており、冷却部の入口側に接続されている。第4連結管は、筒部に設けられており、第二熱交換器の出口側に接続されている。スプールは、筒部の延在方向に沿ってハウジング内を往復移動し、四方弁の開閉設定を切り替える。第2連結管と、第4連結管と、第3連結管とは、筒部の延在する方向に沿って、この順に並べられている。スプールは、第2連結管と第4連結管とを連通させるとき、第3連結管の一部を塞ぐ。
本発明の冷却装置によると、発熱源の冷却能力が不足した場合に、冷却能力を回復して所定の冷却能力を確保することができる。
冷却装置が適用される車両の構成を示す概略図である。 本実施の形態の冷却装置の構成を示す模式図である。 蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒の状態を示すモリエル線図である。 四方弁を切り替えた状態の冷却装置を示す模式図である。 四方弁を切り替えた状態の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 冷却装置を構成する各機器の垂直方向の位置を示す模式図である。 冷却装置の運転モード毎の圧縮機および弁の設定を示す図である。 エアコンOFF時のモードの冷却装置を示す模式図である。 エアコンOFF時のモードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。 冷却装置の制御装置の一部構成を示すブロック図である。 冷却装置の制御方法の第一の例を示すフローチャートである。 冷却能力不足の場合の制御の例を示すフローチャートである。 冷却装置の制御方法の第二の例を示すフローチャートである。 冷却装置の制御方法の第三の例を示すフローチャートである。 冷却能力不足の場合の制御の他の例を示すフローチャートである。 四方弁の構成を示す断面図である。 四方弁を制御する制御弁の構成を示す断面図である。 図16に示す四方弁の、第一通路を連通している状態の断面図である。 図16に示す四方弁の、第二通路を連通している状態の断面図である。 他の例の四方弁の、第一通路を連通している状態の断面図である。 図20に示す四方弁の、第1凝縮部出口における冷媒圧が上昇した状態の断面図である。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
[車両1000の構成]
図1は、冷却装置1が適用される車両1000の構成を示す概略図である。本実施の形態に係る車両1000は、内燃機関であるエンジン200と、電動機である駆動ユニット300と、PCU(Power Control Unit)700と、走行用バッテリ400と、を含んで構成されている。車両1000は、エンジン200と駆動ユニット300とを動力源とするハイブリッド車両である。なお、本発明の冷却装置1は、エンジンと電動機とを動力源とするハイブリッド車両のみならず、電動機のみを動力源とする車両(本明細書では、両者を包含して電気自動車という)にも適用可能である。
エンジン200は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。駆動ユニット300は、エンジン200とともに車両1000を駆動する駆動力を発生させる。エンジン200および駆動ユニット300は、ともに車両1000のエンジンルーム内に設けられている。駆動ユニット300は、ケーブル500を介してPCU700と電気的に接続されている。PCU700は、ケーブル600を介して走行用バッテリ400と電気的に接続されている。
[冷却装置1の構成]
図2は、本実施の形態の冷却装置1の構成を示す模式図である。図2に示すように、冷却装置1は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10を備えている。蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、たとえば、車両の車内の冷房を行なうために、車両1000に搭載されている。蒸気圧縮式冷凍サイクル10を用いた冷房は、たとえば、冷房を行なうためのスイッチがオンされた場合、または、自動的に車両の室内の温度を設定温度になるように調整する自動制御モードが選択されており、かつ、車室内の温度が設定温度よりも高い場合に行なわれる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機12と、直列に接続された熱交換器14,15と、減圧器の一例としての膨張弁16と、第三熱交換器としての熱交換器18とを含んでいる。
圧縮機12は、車両に搭載されたモータまたはエンジンを動力源として作動し、冷媒ガスを断熱的に圧縮して過熱状態冷媒ガスとする。圧縮機12は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の作動時に熱交換器18から流通する冷媒を吸入圧縮して、冷媒通路21に高温高圧の気相冷媒を吐出する。圧縮機12は、冷媒通路21に冷媒を吐出することで、蒸気圧縮式冷凍サイクル10に冷媒を循環させる。
熱交換器14は、第1凝縮部14aと第1過冷却部14bとを有している。熱交換器15は、第2凝縮部15aと第2過冷却部15bとを有している。第1凝縮部14a、第1過冷却部14b、第2凝縮部15aおよび第2過冷却部15bはそれぞれ、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と周囲の空気との間の熱交換を促進するためのフィンと、を含んでいる。第1凝縮部14aは、本実施の形態の第一熱交換器としての機能を有している。第2凝縮部15aは、本実施の形態の第二熱交換器としての機能を有している。
熱交換器14,15は、冷媒と外気の間で熱交換を行ない、圧縮機12において圧縮された過熱状態冷媒ガスを、外部媒体へ等圧的に放熱させて冷媒液とする。圧縮機12から吐出された高圧の気相冷媒は、熱交換器14,15における冷却風と冷媒との熱交換により周囲に放熱し冷却される。第1凝縮部14aおよび第2凝縮部15aにおける熱交換によって、冷媒の温度は低下し冷媒は凝縮(液化)する。第1過冷却部14bおよび第2過冷却部15bにおける熱交換によって、飽和液状態の冷媒が冷却されて過冷却液になり、冷媒の温度はさらに低下する。
冷却風は、車両の走行によって発生する自然の通風によって熱交換器14,15に供給されてもよい。または冷却風は、コンデンサファンもしくはエンジン冷却用のラジエータファンなどの、モータからの駆動力を受けて回転し空気の流れを発生させる外気供給用ファンからの強制通風によって、熱交換器14,15に供給されてもよい。冷却装置1は、コンデンサファン42と、モータ44とを備えている。コンデンサファン42は、熱交換器15の第2凝縮部15aおよび第2過冷却部15bに外気を供給する。モータ44は、コンデンサファン42の回転軸に連結されている。モータ44は、回転駆動力を発生してコンデンサファン42にその回転駆動力を伝達することにより、コンデンサファン42を回転駆動する。
膨張弁16は、熱交換器15から膨張弁16へ流入する高圧の液相冷媒を小さな孔から噴射させることにより膨張させて、低温・低圧の霧状冷媒に変化させる。膨張弁16は、第2過冷却部15bによって凝縮された冷媒液を減圧して、気液混合状態の湿り蒸気とする。本実施の形態の膨張弁16は、電気式の膨張弁として例示されている。なお、冷媒液を減圧するための減圧器は、温度式膨張弁であってもよく、または、絞り膨張する膨張弁に替えて毛細管が適用されてもよい。
熱交換器18は、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と熱交換器18の周囲の空気との間で熱交換するためのフィンと、を含んでいる。チューブ内には、湿り蒸気状態の冷媒が流通する。熱交換器18は、その内部を流通する霧状冷媒が気化することによって、熱交換器18に接触するように導入された周囲の空気の熱を吸収する。熱交換器18を経由して蒸気圧縮式冷凍サイクル10を循環する冷媒と、空調用空気と、の熱交換によって、空調用空気の温度が調節される。
熱交換器18は、膨張弁16によって減圧された冷媒を用いて、冷媒の湿り蒸気が蒸発して冷媒ガスとなる際の気化熱を、車両の室内へ流通する空調用空気から吸収して、車両の室内の冷房を行なう。熱交換器18において冷媒に吸熱され温度が低下した空調用空気が車両の室内に供給されることによって、車両の室内の冷房が行なわれる。冷媒は、チューブ内を流通する際に、フィンを経由して空調用空気の熱を蒸発潜熱として吸収することによって蒸発し低圧高温ガスとなり、さらに顕熱によって過熱蒸気になる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10はまた、気液分離器40を含んでいる。熱交換器14の第1凝縮部14aで凝縮された冷媒は、第1凝縮部14aの出口側において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気の状態にある。気液分離器40は、第1凝縮部14aから流出し気液分離器40へ流入する冷媒を、気相冷媒と液相冷媒とに分離する。気液分離器40の内部には、液相冷媒である冷媒液と、気相冷媒である冷媒蒸気と、が蓄蔵されている。気液分離器40は、第1凝縮部14aで凝縮された冷媒を液体状の冷媒液とガス状の冷媒蒸気とに分離して、一時的に蓄える。気液分離器40は、第1凝縮部14aによって凝縮された液状の冷媒を貯留する蓄液器としての機能を有している。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10はまた、レシーバ46を含んでいる。熱交換器15の第2凝縮部15aで凝縮された冷媒は、第2凝縮部15aの出口側において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気の状態にある。レシーバ46は、第2凝縮部15aから流出しレシーバ46へ流入する冷媒を、気相冷媒と液相冷媒とに分離する。レシーバ46の内部には、液相冷媒である冷媒液と、気相冷媒である冷媒蒸気と、が蓄蔵されている。レシーバ46は、第2凝縮部15aで凝縮された冷媒を液体状の冷媒液とガス状の冷媒蒸気とに分離して、一時的に蓄える。レシーバ46は、第2凝縮部15aによって凝縮された液状の冷媒を貯留する蓄液器としての機能を有している。
レシーバ46の内部には、飽和液状態の冷媒液が貯留されている。レシーバ46内に所定量の冷媒液が溜められていることにより、負荷変動時にもレシーバ46から膨張弁16を経由して熱交換器18へ流れる冷媒の流量を維持できる。レシーバ46が液だめ機能を有し、負荷変動に対するバッファとなり負荷変動を吸収できるので、車両の室内の冷房を行なう空調性能を安定させることができる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10はまた、冷媒通路21〜29を含んでいる。冷媒通路21は、圧縮機12と第1凝縮部14aとを接続している。冷媒は、冷媒通路21を経由して、圧縮機12と第1凝縮部14aとの間を、圧縮機12の出口から第1凝縮部14aの入口へ向かって流れる。冷媒通路22は、第1凝縮部14aと気液分離器40とを接続している。冷媒は、冷媒通路22を経由して、第1凝縮部14aと気液分離器40との間を、第1凝縮部14aの出口から気液分離器40の入口へ向かって流れる。
冷媒通路23は、気液分離器40と第2凝縮部15aとを接続している。冷媒は、冷媒通路23を経由して、気液分離器40と第2凝縮部15aとの間を、気液分離器40の出口から第2凝縮部15aの入口へ向かって流れる。冷媒通路23には、流量調整弁38が設けられている。流量調整弁38は、冷媒通路23を流れる冷媒の流量を任意に調節する。
冷媒通路24は、第2凝縮部15aとレシーバ46とを接続している。冷媒は、冷媒通路24を経由して、第2凝縮部15aとレシーバ46との間を、第2凝縮部15aの出口からレシーバ46の入口へ向かって流れる。冷媒通路25は、レシーバ46と第2過冷却部15bとを接続している。冷媒は、冷媒通路25を経由して、レシーバ46と第2過冷却部15bとの間を、レシーバ46の出口から第2過冷却部15bの入口へ向かって流れる。
冷媒通路26は、第2過冷却部15bと後述する四方弁50とを接続している。冷媒は、冷媒通路26を経由して、第2過冷却部15bと四方弁50との間を、第2過冷却部15bの出口から四方弁50の入口へ向かって流れる。冷媒通路26には、ポンプ48が設けられている。ポンプ48は、外部から機械的エネルギーを受けて冷媒に圧力を与えて送り出すことにより、第2過冷却部15bから四方弁50へ液状の冷媒を移送する。
冷媒通路27は、四方弁50と膨張弁16とを接続している。冷媒は、冷媒通路27を経由して、四方弁50と膨張弁16との間を、四方弁50の出口から膨張弁16の入口へ向かって流れる。冷媒通路28は、膨張弁16と熱交換器18とを接続している。冷媒は、冷媒通路28を経由して、膨張弁16と熱交換器18との間を、膨張弁16の出口から熱交換器18の入口へ向かって流れる。冷媒通路29は、熱交換器18と圧縮機12とを接続している。冷媒は、冷媒通路29を経由して、熱交換器18と圧縮機12との間を、熱交換器18の出口から圧縮機12の入口へ向かって流れる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機12、第1凝縮部14a、第2凝縮部15a、膨張弁16および熱交換器18が、冷媒通路21〜29によって直列に接続されて構成されている。なお、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒としては、たとえば二酸化炭素、プロパンやイソブタンなどの炭化水素、アンモニア、フロン類または水などを用いることができる。
なお、本明細書中において「接続」とは、何らの部材も介在せずに直接接続された場合と、何らかの部材を介在して間接的に接続された場合との双方を含む概念である。
気液分離器40と第1過冷却部14bとは、冷媒通路33により接続されている。冷媒は、冷媒通路33を経由して、気液分離器40と第1過冷却部14bとの間を、気液分離器40の出口から第1過冷却部14bの入口へ向かって流れる。第1凝縮部14a、第1過冷却部14b、気液分離器40および冷媒通路22,33は、サブクールコンデンサを構成している。サブクールコンデンサは、第1過冷却部14bにおいて冷媒を過冷却し、第1過冷却部14bの出口における冷媒の過冷却度を大きくするための構成である。
本実施の形態では、第1凝縮部14aおよび第1過冷却部14bと気液分離器40とがそれぞれ冷媒通路22,33によって接続されて、サブクールコンデンサを形成している。この構成に限られず、第1凝縮部14a、気液分離器40および第1過冷却部14bを一体に構成する熱交換器としてサブクールコンデンサが設けられてもよく、この構成を採用すれば、サブクールコンデンサを小型化できるので、車両1000への搭載性を向上することができる。
気液分離器40には、冷媒通路22,23と、冷媒通路33とが連結されている。第1凝縮部14aから流出した高圧の冷媒は、冷媒通路22を通って気液分離器40へ供給される。第1凝縮部14aから冷媒通路22を経由して気液分離器40へ流入する気液二相状態の冷媒は、気液分離器40の内部において気相と液相とに分離される。
気液分離された冷媒液は、冷媒通路33を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。冷媒通路33は、液相冷媒の気液分離器40からの流出口を形成する。気液分離された冷媒蒸気は、冷媒通路23を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。冷媒通路23は、気相冷媒の気液分離器40からの流出口を形成する。気液分離器40の内部では、冷媒液が下側、冷媒蒸気が上側に溜まる。気液分離器40から冷媒蒸気を導出する冷媒通路23の端部は、気液分離器40の天井部に連結されている。気液分離器40から冷媒液を導出する冷媒通路33の端部は、気液分離器40の底部に連結されている。
冷媒通路33の端部は、気液分離器40内の底部側の、液相の冷媒が溜められる冷媒液貯留部に接続されている。冷媒通路23の端部は、気液分離器40内の天井部側の、気相の冷媒が溜められる冷媒蒸気貯留部に接続されている。冷媒通路23を経由して気液分離器40の天井側から冷媒蒸気のみが気液分離器40の外部へ送り出され、冷媒通路33を経由して気液分離器40の底側から冷媒液のみが気液分離器40の外部へ送り出される。これにより、気液分離器40は、気相冷媒と液相冷媒との分離を確実に行なうことができる。気液分離後の飽和液状態の冷媒が第1過冷却部14bにおいて冷却されることにより、第1過冷却部14bの出口に、確実に過冷却された液冷媒を供給することができる。
気液分離器40から流出した冷媒蒸気は、熱交換器15の第2凝縮部15aにおいて周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮する。この凝縮した冷媒が、冷媒通路24を経由して、レシーバ46へ流入する。第2凝縮部15aからレシーバ46へ流入する気液二相状態の冷媒は、レシーバ46の内部において気相と液相とに分離される。
第2凝縮部15a、第2過冷却部15b、レシーバ46および冷媒通路24,25は、サブクールコンデンサを構成している。サブクールコンデンサは、第2過冷却部15bにおいて冷媒を過冷却し、第2過冷却部15bの出口における冷媒の過冷却度を大きくするための構成である。第2凝縮部15aおよび第2過冷却部15bとレシーバ46とがそれぞれ冷媒通路24,25によって接続されてサブクールコンデンサを形成する構成のほか、第2凝縮部15a、第2過冷却部15bおよびレシーバ46を一体に構成する熱交換器としてサブクールコンデンサが設けられてもよい。
レシーバ46には、冷媒通路24,25が連結されている。第2凝縮部15aから流出した高圧の冷媒は、冷媒通路24を通ってレシーバ46へ供給される。レシーバ46の内部には、液相冷媒である冷媒液と、気相冷媒である冷媒蒸気とが蓄蔵される。冷媒液はレシーバ46の底部側に貯留されており、冷媒蒸気はレシーバ46の天井部側に溜められる。
第2凝縮部15aから冷媒通路24を経由してレシーバ46へ流入する気液二相状態の冷媒は、レシーバ46の内部において気相と液相とに分離される。気液分離された冷媒液は、冷媒通路25を経由して、レシーバ46の外部へ流出する。冷媒通路25は、液相冷媒のレシーバ46からの流出口を形成する。レシーバ46の内部では、冷媒液が下側、冷媒蒸気が上側に溜まる。レシーバ46から冷媒液を導出する冷媒通路25の端部は、レシーバ46の底部に連結されている。
冷媒通路25の端部は、レシーバ46内の底部側の、液相の冷媒が溜められる冷媒液貯留部に接続されている。冷媒通路25を経由してレシーバ46の底側から冷媒液のみがレシーバ46の外部へ送り出される。これにより、レシーバ46は、気相冷媒と液相冷媒との分離を確実に行なうことができる。気液分離後の飽和液状態の冷媒が第2過冷却部15bにおいて冷却されることにより、第2過冷却部15bの出口に、確実に過冷却された液冷媒を供給することができる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10を循環する冷媒中に空気が含まれていると、空気は冷媒のように状態変化しないので、熱交換器14,15,18における冷媒の熱交換の妨げとなり、冷凍サイクルの冷却能力を低下させる虞がある。レシーバ46から送り出される冷媒液が流通する冷媒通路25をレシーバ46の下部空間に接続すれば、冷媒中に空気が含まれていても当該空気がレシーバ46内の上部空間に残るので、レシーバ46を利用して空気を冷媒から除去することができる。
レシーバ46の内部に、液体の冷媒を濾過するストレーナと、冷媒中に含まれる水分を除去する乾燥剤とを配置し、冷媒はストレーナと乾燥剤との積層構造を経由してレシーバ46の上部空間から下部空間へ落下する構成としてもよい。冷媒中に水分が含まれていると、各部品を腐食させたり、膨張弁16で凍結して冷媒の流れを阻害することになる。膨張弁16の小孔に異物が詰まると、冷媒の流れが阻害されて蒸気圧縮式冷凍サイクル10が動作しなくなる。膨張弁16に対して冷媒流れの上流側にレシーバ46を設けることにより、冷凍サイクル内の空気および水分を除去でき、かつ、冷媒から異物を除去して膨張弁16での目詰まりを防ぐことができるので、冷凍サイクルの性能低下を防止することができる。
冷却装置1は、気液分離器40と第2凝縮部15aの入口側とを接続する、並列に接続された二つの冷媒の経路を備えている。気液分離器40から第2凝縮部15aへ向かって流れる冷媒の経路は、冷媒通路23を含んでいる。冷媒通路23は、気液分離器40で分離された気相冷媒が流れるための通路である。気液分離器40から導出された気相の冷媒蒸気は、第2凝縮部15aにおいて周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮する。
気液分離器40から第2凝縮部15aへ向かって流れる冷媒の経路はまた、気液分離器40と冷却部30とを連通する冷媒通路33〜35と、冷却部30と、冷却部30と冷媒通路23とを連通する冷媒通路36と、を含んでいる。気液分離器40から冷媒通路33を経由して飽和液状態の冷媒が流出し、第1過冷却部14bにおいて冷媒は冷却されて過冷却液状態になる。過冷却された冷媒液は、冷媒通路34、四方弁50および冷媒通路35を経由して、冷却部30へ流れる。冷媒通路36は冷媒通路23に連結されており、冷却部30を通過した冷媒は、冷媒通路36を経由して、冷媒通路23へ戻る。
冷却装置1は、冷媒通路23に対し並列に配置された冷媒の経路を備え、冷却部30は、当該冷媒の経路上に設けられている。冷却部30は、第1凝縮部14aから第2凝縮部15aへ向けて流れる冷媒の経路において並列に接続された複数の通路のうちの、一方に設けられている。冷却部30は、電気自動車に搭載される電気機器であるEV(Electric Vehicle)機器と、冷媒が内部を流通する冷却器とを含んでいる。EV機器は、発熱源の一例である。冷却器の入口側は冷媒通路35に接続されており、冷却器の出口側は冷媒通路36に接続されている。
第1過冷却部14bから冷却部30へ流通し、冷却器を経由して流れる冷媒は、発熱源としてのEV機器と冷媒との温度差に応じて、EV機器から熱を奪って、EV機器を冷却する。冷却部30は、第1過冷却部14bにおいて冷却された過冷却液状態の冷媒を用いて、EV機器を冷却する。冷却部30において、冷却器内を流通する冷媒と、EV機器とが熱交換することにより、EV機器は冷却され、冷媒は加熱される。
気液分離器40の内部には、飽和液状態の冷媒液が貯留されている。気液分離器40内に所定量の冷媒液が溜められていることにより、負荷変動時にも気液分離器40から冷却部30へ流れる冷媒の流量を維持できる。気液分離器40が液だめ機能を有し、負荷変動に対するバッファとなり負荷変動を吸収できるので、EV機器の冷却性能を安定させることができる。
冷却部30は、冷却器においてEV機器と冷媒との間で熱交換が可能な構造を有するように設けられている。本実施の形態においては、冷却部30は、たとえば、EV機器の筐体に冷却器の外周面が直接接触するように形成された冷却器を有している。冷却器は、EV機器の筐体と隣接する部分を有している。当該部分において、冷却器を流通する冷媒と、EV機器との間で、熱交換が可能となる。
EV機器は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の熱交換器14から熱交換器15に至る冷媒の経路の一部を形成する冷却器の外周面に直接接続されて、冷却される。冷媒とEV機器とが直接熱交換してもよく、または、冷媒とEV機器を流れる水や油などの二次媒体とが熱交換してもよい。冷却器の外部にEV機器が配置されているので、冷却器の内部を流通する冷媒の流れにEV機器が干渉することはない。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の圧力損失は増大しないので、圧縮機12の動力を増大させることなく、EV機器を冷却することができる。
代替的には、冷却部30は、EV機器と冷却器との間に介在して配置された任意の公知の伝熱装置を備えていてもよい。この場合EV機器は、冷却器の外周面に伝熱装置を介して接続され、EV機器から冷却器へ伝熱装置を経由して熱伝達することにより、冷却される。伝熱装置として、たとえばウィック式などのヒートパイプを使用することができる。EV機器をヒートパイプの加熱部とし冷却器をヒートパイプの冷却部とすることで、冷却器とEV機器との間の熱伝達効率が高められるので、EV機器の冷却効率を向上できる。
伝熱装置によってEV機器から冷却器へ確実に熱伝達することができるので、EV機器と冷却器との間に距離があってもよく、EV機器に冷却器を接触させるための経路を複雑に配置する必要がない。その結果、EV機器の配置が制限されることがなく、EV機器の配置の自由度を向上することができる。
EV機器は、電力の授受によって発熱する電気機器を含んでいる。電気機器は、たとえば、直流電力を交流電力に変換するためのインバータ、回転電機であるモータジェネレータ、蓄電装置であるバッテリ、バッテリの電圧を昇圧させるための昇圧コンバータ、バッテリの電圧を降圧するためのDC/DCコンバータなどの、少なくともいずれか一つを含んでいる。バッテリは、リチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池等の二次電池である。バッテリに代えてキャパシタが用いられてもよい。
気液分離器40と熱交換器15との間に並列に接続された二つの冷媒の経路のうち、冷却部30を経由しない方の経路には、流量調整弁38が設けられている。流量調整弁38は、その弁開度を変動させ、冷媒通路23を流れる冷媒の圧力損失を増減させる。これにより、流量調整弁38は、冷却部30を経由することなく気液分離器40と熱交換器15との間を直接流れる冷媒の流量と、冷却器を含むEV機器の冷却系を流れる冷媒の流量と、を任意に調節する。流量調整弁38は、開度調整が可能な仕様の弁であり、たとえば電動弁であってもよい。
流量調整弁38の弁開度を大きくすれば、気液分離器40から流出する冷媒のうち、冷媒通路23を経由して熱交換器15へ直接流れる流量が大きくなり、冷媒通路34,35を経由して冷却部30へ流れEV機器を冷却する冷媒の流量が小さくなる。流量調整弁38の弁開度を小さくすれば、気液分離器40から冷媒通路23を経由して熱交換器15へ直接流れる流量が小さくなり、冷却部30へ流れEV機器を冷却する冷媒の流量が大きくなる。
流量調整弁38の弁開度を大きくするとEV機器を冷却する冷媒の流量が小さくなり、EV機器の冷却能力が低下する。流量調整弁38の弁開度を小さくするとEV機器を冷却する冷媒の流量が大きくなり、EV機器の冷却能力が向上する。流量調整弁38を使用して、EV機器に流れる冷媒の量を最適に調節できるので、EV機器の過熱および過冷却を確実に防止することができる。加えて、EV機器の冷却系の冷媒の流通に係る圧力損失および冷媒を循環させるための圧縮機12の消費電力を、確実に低減することができる。
冷却装置1は、EV機器の温度を計測するための温度センサ51と、冷却部30出口の冷媒温度を計測するための温度センサ52と、冷却部30入口の冷媒温度を計測するための温度センサ53と、第1凝縮部14a出口の冷媒温度を計測するための温度センサ54とを備えている。温度センサ51,52,53,54は各々、計測した温度を示す信号T1,T2,T3,T4を出力する。冷却装置1はまた、冷却部30出口の冷媒圧力を計測するための圧力センサ56を備えている。圧力センサ56は、計測した圧力を示す信号Prを出力する。
[冷却装置1の動作]
冷媒は、圧縮機12と熱交換器14,15と膨張弁16と熱交換器18とが冷媒通路21〜29によって順次接続された冷媒循環流路を通って、蒸気圧縮式冷凍サイクル10内を循環する。図3は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒の状態を示すモリエル線図である。図3中の横軸は、冷媒の比エンタルピーを示し、縦軸は、冷媒の絶対圧力を示す。比エンタルピーの単位はkJ/kgであり、絶対圧力の単位はMPaである。図中の曲線は、冷媒の飽和蒸気線および飽和液線である。
図3中には、気液分離器40から第1過冷却部14bを経由して冷却部30へ流れ、冷却部30においてEV機器を冷却し、第2凝縮部15aの入口側の冷媒通路23へ戻る、蒸気圧縮式冷凍サイクル10中の各点における冷媒の熱力学状態が示される。このときの冷媒が循環する経路、すなわち冷媒通路21〜22、冷媒通路33〜36および冷媒通路23〜29は、第一通路を形成する。
図3に示すように、圧縮機12に吸入された冷媒は、圧縮機12において等比エントロピー線に沿って断熱圧縮される。圧縮するに従って冷媒の圧力と温度とが上昇し、冷媒は、圧縮機12の出口において高温高圧の過熱度の大きい過熱蒸気になる。
圧縮機12から吐出された高温高圧の過熱蒸気状態の気相冷媒は、第1凝縮部14aへと流れ、第1凝縮部14aにおいて周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮(液化)する。第1凝縮部14aにおける外気との熱交換によって、冷媒の温度は低下し冷媒は液化する。第1凝縮部14aへ入った高圧の冷媒蒸気は、第1凝縮部14aにおいて等圧のまま過熱蒸気から乾き飽和蒸気になり、凝縮潜熱を放出し徐々に液化して気液混合状態の湿り蒸気になる。
第1凝縮部14aで完全に液化しない程度まで冷やされた気液二相状態の冷媒は、気液分離器40において、飽和蒸気状態の冷媒蒸気と飽和液状態の冷媒液とに気液分離される。気液分離された冷媒のうち、液相の冷媒液が、気液分離器40から流出し、第1過冷却部14bにおいてさらに冷却され、過冷却液状態になる。
第1過冷却部14bから流出した冷媒は、冷媒通路34、四方弁50および冷媒通路35を経由して冷却部30へ流れ、EV機器を冷却する。冷却部30において、過冷却液状態の液冷媒に熱を放出することで、EV機器が冷却される。EV機器との熱交換により、冷媒が加熱される。冷媒は、EV機器から顕熱を受け取って温度上昇して飽和液状態になり、さらにEV機器から潜熱を受け取って一部気化することにより、冷媒の乾き度が増大する。冷媒は、冷却部30の出口において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気となる。
冷却部30から流出した冷媒は、第2凝縮部15aに流入する。冷媒の湿り蒸気は、第2凝縮部15aにおいて周囲に放熱し外気と熱交換して冷却されることにより、再度凝縮され、乾き度が減少する。その後冷媒はレシーバ46へ流入し、レシーバ46において気液分離され、レシーバ46の内部に飽和液状態の冷媒が蓄積される。レシーバ46が液だめ機能を有し液冷媒のバッファとなるので、冷房性能低下を防止でき、冷房能力が安定する。
レシーバ46で気液分離された冷媒のうち、飽和液状態の冷媒は、第2過冷却部15bにおいて顕熱を放出して飽和温度以下にまで冷却され、過冷却された過冷却液になる。第2過冷却部15bで冷媒を過冷却液にするのは、その後の膨張弁16での減圧量、冷媒流量および冷房能力の制御を容易にするためである。膨張弁16において、過冷却液状態の冷媒は絞り膨張され、比エンタルピーは変化せず温度と圧力とが低下して、低温低圧の気液混合状態の湿り蒸気となる。
膨張弁16から出た湿り蒸気状態の冷媒は、熱交換器18へ流入する。熱交換器18において、フィンに接触するように導入された空調用空気の熱を吸収することによって、チューブ内を流通する霧状冷媒が気化する。熱交換器18は、膨張弁16によって減圧された冷媒を用いて、冷媒の湿り蒸気が蒸発して冷媒ガスとなる際の気化熱を、車両の室内へ流通する空調用空気から吸収する。熱交換器18において冷媒に放熱し温度が低下した空調用空気が車両の室内に再び戻されることによって、車両の室内の冷房が行なわれる。
冷媒は、熱交換器18のチューブ内を流通する際に、車両の室内の空気からフィンに伝達された熱を蒸発潜熱として吸収することによって、等圧のまま蒸発する。全ての冷媒が乾き飽和蒸気になると、さらに顕熱によって冷媒蒸気は温度上昇して、過熱蒸気となる。熱交換器18において高温の空調用空気と冷媒とが熱交換することにより、空調用空気は冷却されて温度が低下し、冷媒は空調用空気からの熱伝達を受けて加熱される。その後冷媒は、冷媒通路29を経由して圧縮機12に吸入される。圧縮機12は、熱交換器18から流通する冷媒を圧縮する。
冷媒はこのようなサイクルに従って、圧縮、凝縮、絞り膨張、蒸発の状態変化を連続的に繰り返す。なお、上述した蒸気圧縮式冷凍サイクルの説明では、理論冷凍サイクルについて説明しているが、実際の蒸気圧縮式冷凍サイクル10では、圧縮機12における損失、冷媒の圧力損失および熱損失を考慮する必要があるのは勿論である。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転中に、冷媒は、蒸発器として作用する熱交換器18において蒸発する際に気化熱を車両の室内の空気から吸収して、車室内の冷房を行なう。加えて、気液分離器40で気液分離され第1過冷却部14bで冷却された高圧の液冷媒が冷却部30へ流通し、EV機器と熱交換することでEV機器を冷却する。冷却装置1は、車両に搭載された発熱源であるEV機器を、車両の室内の空調用の蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用して、冷却する。なお、EV機器を冷却するために必要とされる温度は、少なくともEV機器の温度範囲として目標となる温度範囲の上限値よりも低い温度であることが望ましい。
熱交換器18において空調用空気を冷却するために設けられた蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用して、EV機器の冷却が行なわれるので、EV機器の冷却のために、専用の水循環ポンプまたは冷却ファンなどの機器を設ける必要はない。そのため、EV機器の冷却装置1のために必要な構成を低減でき、装置構成を単純にできるので、冷却装置1の製造コストを低減することができる。加えて、EV機器の冷却のためにポンプや冷却ファンなどの動力源を運転する必要がなく、動力源を運転するための消費動力を必要としない。したがって、EV機器の冷却のための消費動力を低減することができ、低動力でEV機器を冷却することができる。
第1凝縮部14aでは、冷媒を湿り蒸気の状態にまで冷却すればよく、気液混合状態の冷媒は気液分離器40により分離され、冷媒液のみが冷却部30へ供給される。EV機器から蒸発潜熱を受け取り一部気化した湿り蒸気の状態の冷媒は、第2凝縮部15aで再度冷却される。湿り蒸気状態の冷媒を凝縮させ完全に飽和液にするまで、冷媒は一定の温度で状態変化する。冷媒はさらに、第2過冷却部15bにおいて、車両の室内の冷房のために必要な程度の過冷却度にまで過冷却される。冷媒の過冷却度を過度に大きくする必要がないので、熱交換器14,15の容量を低減することができる。したがって、車室用の冷房能力を確保でき、かつ、熱交換器14,15のサイズを低減することができるので小型化され車載用に有利な、冷却装置1を得ることができる。
冷却装置1の設計段階で熱交換器14,15の仕様を決定する際には、EV機器の最大発熱量を設計値として用いる。EV機器が最大発熱量未満の熱量を発生する通常発熱時には、熱交換器14,15の能力に余裕ができる。そのため、最大発熱量のEV機器を冷却しない状態になると、熱交換器14,15において、冷媒がより多くの空気と熱交換できるようになる。これは、熱交換器14,15が見かけ上大きくなり、熱交換器14,15の温度効率φcが高くなったと考えることができる。
熱交換器14,15における空気側の放熱能力Qcaは、熱交換器の温度効率φc、空気比熱Ca、空気重量風量Gea、および、冷媒温度Terから吸入空気温度Teaを減じた差(Ter−Tea)に比例する。必要な放熱能力Qcaは変わらず、また空気比熱Ca、空気重量風量Geaおよび吸入空気温度Teaは外気温度および車速に従って決まるので、温度効率φcが高くなった分、冷媒温度Terが低くなることになる。モリエル線図を参照すると、冷媒が気液二相状態のとき冷媒の温度と圧力とは線形の関係にあり、冷媒の圧力変化に従って冷媒の温度が変化する。つまり、熱交換器14,15での冷媒温度Terが低くなるとは、熱交換器14,15を流れる冷媒の圧力が低くなることを意味する。
熱交換器14,15での冷媒の圧力が下がり、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の高圧が降下する結果、圧縮機12の出口での冷媒の圧力が相対的に低くてもよいことになる。そのため、圧縮機12で冷媒を断熱圧縮するための動力を低減することができ、さらなる省動力化を達成することができる。したがって、車両の燃費を向上することができる。特に電気自動車においては、省動力化により、直接電費を向上することができる。
気液分離器40から第2凝縮部15aへ向かう冷媒が流通する経路として、冷却部30を通過しない経路である冷媒通路23と、冷却部30を経由してEV機器を冷却する経路とが並列に設けられる。EV機器の冷却系は、冷媒通路23に対し並列に接続されている。そのため、第1凝縮部14aから流出した冷媒の一部のみが、冷却部30へ流れる。流量調整弁38の開度調整によって、気液分離器40から冷媒通路23へ流れる冷媒と、冷却部30を流れる冷媒と、の流量が適切に調整される。この流量調整により、EV機器の冷却のために必要な量の冷媒が冷却部30へ流れ、EV機器は適切に冷却される。
第1凝縮部14aから冷却部30を経由せず直接第2凝縮部15aへ流れる冷媒の経路と、第1凝縮部14aから冷却部30を経由して第2凝縮部15aへ流れる冷媒の経路と、を並列に設け、一部の冷媒のみを冷却部30へ流通させる。全ての冷媒が冷却部30に流れないので、冷却部30を経由する冷媒の流通に係る圧力損失を低減することができ、それに伴い、冷媒を循環させるための圧縮機12の運転に必要な消費電力を低減することができる。
膨張弁16を通過した後の低温低圧の冷媒をEV機器の冷却に使用すると、熱交換器18における車室内の空気の冷却能力が減少して、車室用の冷房能力が低下する。これに対し、本実施の形態の冷却装置1では、蒸気圧縮式冷凍サイクル10において、圧縮機12から吐出された高圧の冷媒は、第一の凝縮器としての第1凝縮部14aと、第二の凝縮器としての第2凝縮部15aと、の両方によって凝縮される。圧縮機12と膨張弁16との間に二段の熱交換器14,15を配置し、EV機器を冷却する冷却部30は、熱交換器14と熱交換器15との間に設けられている。熱交換器15は、冷却部30から膨張弁16に向けて流れる冷媒の経路上に設けられている。
EV機器から蒸発潜熱を受けて加熱された冷媒を熱交換器15において十分に冷却することにより、膨張弁16の出口において、冷媒は、車両の室内の冷房のために本来必要とされる温度および圧力を有する。そのため、熱交換器18において冷媒が蒸発するときに外部から受け取る熱量を十分に大きくすることができるので、熱交換器18を通過する空調用空気を十分に冷却できる。このように、冷媒を十分に冷却できる熱交換器15の放熱能力を定めることにより、車室内の空気を冷却する冷房の能力に影響を与えることなく、EV機器を冷却することができる。したがって、EV機器の冷却能力と、車室用の冷房能力との両方を、確実に確保することができる。
熱交換器14から冷却部30へ流れる冷媒は、EV機器を冷却するときに、EV機器から熱を受け取り加熱される。冷却部30において冷媒が飽和蒸気温度以上に加熱され冷媒の全量が気化すると、冷媒とEV機器との熱交換量が減少してEV機器を効率よく冷却できなくなり、また冷媒が配管内を流れる際の圧力損失が増大する。そのため、EV機器を冷却した後に冷媒の全量が気化しない程度に、熱交換器14において十分に冷媒を冷却するのが望ましい。
冷媒を十分に冷却できる能力を熱交換器14が有する結果、熱交換器14の冷媒から熱を放出させる放熱能力は、熱交換器15の放熱能力よりも高くなる。放熱能力が相対的に大きい熱交換器14において冷媒を十分に冷却することにより、EV機器から熱を受け取った冷媒を湿り蒸気の状態に留めることができ、冷媒とEV機器との熱交換量の減少を回避できるので、EV機器を十分に効率よく冷却することができる。EV機器を冷却した後の湿り蒸気の状態の冷媒は、熱交換器15において効率よく再度冷却され、飽和温度を下回る過冷却液の状態にまで冷却される。したがって、車室用の冷房能力とEV機器の冷却能力との両方を確保した、冷却装置1を提供することができる。
第1凝縮部14aの出口において気液二相状態にある冷媒は、気液分離器40内において気相と液相とに分離される。気液分離器40で分離された液相冷媒は、第1過冷却部14bにおいてさらに冷却され、過冷却液状態になり、冷却部30に供給されてEV機器を冷却する。過冷却液状態の冷媒を冷却部30へ流しEV機器を冷却することにより、EV機器の冷却能力を向上させた冷却装置1を提供することができる。
液状の冷媒を冷却部30に導入することにより、EV機器の冷却系を流れる冷媒のうち、気相状態の冷媒を最小限に抑えることができる。そのため、EV機器の冷却系を流れる冷媒蒸気の流速が早くなり圧力損失が増大することを抑制でき、冷媒を流通させるための圧縮機12の消費電力を低減できるので、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の性能の悪化を回避することができる。
[四方弁50を用いた経路切替]
図2に戻って、冷却装置1は、四方弁50を備える。四方弁50は、第1凝縮部14aから気液分離器40および第1過冷却部14bを経由して冷却部30へ向かう冷媒の流れと、第1凝縮部14aから冷却部30を経由せず膨張弁16へ向かう冷媒の流れと、を切り替え可能に配置されている。
四方弁50には冷媒通路34が接続され、第1過冷却部14bで冷却された冷媒液が冷媒通路34を経由して四方弁50へ流入する。冷媒通路34は、気液分離器40と四方弁50とを連通する。第1凝縮部14aの出口側は、気液分離器40および第1過冷却部14bを介して四方弁50と接続されている。第1凝縮部14aで凝縮し、気液分離器40において気液分離され、第1過冷却部14bで過冷却液状態にまで冷却された冷媒が、四方弁50へ流入する。冷媒通路34が接続される四方弁50の接続口を、図2に示すように、接続口Aと称する。
四方弁50には冷媒通路35が接続され、四方弁50は冷媒通路35を介して冷却部30の入口側と接続されている。冷媒通路35は、四方弁50と冷却部30とを連通する。冷却部30へ供給される冷媒は、四方弁50から流出し冷媒通路35を経由して冷却部30へ至る。冷媒通路35が接続される四方弁50の接続口を、図2に示すように、接続口Bと称する。
四方弁50には冷媒通路26が接続され、第2過冷却部15bで冷却された冷媒液が冷媒通路26を経由して四方弁50へ流入する。冷媒通路26は、レシーバ46と四方弁50とを連通する。第2凝縮部15aの出口側は、レシーバ46および第2過冷却部15bを介して四方弁50と接続されている。第2凝縮部15aで凝縮し、レシーバ46において気液分離され、第2過冷却部15bで過冷却液状態にまで冷却された冷媒が、四方弁50へ流入する。冷媒通路26が接続される四方弁50の接続口を、図2に示すように、接続口Cと称する。
四方弁50には冷媒通路27が接続され、四方弁50は冷媒通路27を介して膨張弁16の入口側と接続されている。冷媒通路27は、四方弁50と膨張弁16とを連通する。膨張弁16へ供給される冷媒は、四方弁50から流出し冷媒通路27を経由して膨張弁16へ至る。冷媒通路27が接続される四方弁50の接続口を、図2に示すように、接続口Dと称する。
四方弁50は、熱交換器14の出口側と冷却部30の入口側とが四方弁50を介して連通し、かつ、熱交換器15の出口側と膨張弁16の入口側とが四方弁50を介して連通するように、開閉を切り替えることが可能である。図2に示すこのような四方弁50の開閉設定を、本明細書では第一状態と称する。四方弁50を第一状態に設定することにより、冷媒を第1凝縮部14aから冷却部30へ流すための第一通路が連通する。冷媒は、第一状態に設定された四方弁50を経由して、熱交換器14から冷却部30へ流れ、かつ、熱交換器15から膨張弁16へ流れる。
四方弁50を第一状態に設定し、冷却部30を流れる冷媒が必要な冷却能力を得られるだけの流量となるように流量調整弁38の弁開度を調整することにより、気液分離器40から十分な量の冷媒を冷却部30に供給することができ、かつ、EV機器を冷却した冷媒を熱交換器15で凝縮した後膨張弁16へ流通させることができる。
四方弁50はまた、熱交換器14の出口側と膨張弁16の入口側とが四方弁50を介して連通し、かつ、熱交換器15の出口側と冷却部30の入口側とが四方弁50を介して連通するように、開閉を切り替えることが可能である。図4は、四方弁50を切り替えた状態の冷却装置を示す模式図である。図4に示す上述した四方弁50の開閉設定を、本明細書では第二状態と称する。冷媒は、第二状態に設定された四方弁50を経由して、熱交換器14から膨張弁16へ流れ、かつ、熱交換器15から冷却部30へ流れる。四方弁50は、第一状態と第二状態とを切替可能に設けられている。
四方弁50を第二状態に切り替えるとともに流量調整弁38を全閉にすることにより、EV機器を冷却した後の冷媒を熱交換器15へ流通させ、圧縮機12を経由せずに熱交換器15と冷却部30との間に冷媒を循環させる閉ループ状の経路を形成することができる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10の通常運転中には、四方弁50を第一状態に設定し、流量調整弁38の開度を適宜調整することにより、必要な量の冷媒を冷却部30に供給してEV機器の冷却能力を確保し、かつ、熱交換器18で空調用空気を冷却することにより車両の車内の冷房能力を確保できる。
一方、外気温が非常に高く車両を走行させていない状態において、蒸気圧縮式冷凍サイクル10を起動し圧縮機12を運転すると、圧縮機12出口における冷媒の圧力が高くなり、冷媒の飽和温度が高くなり、そのため冷却部30を通過する冷媒の温度も高くなり、EV機器の冷却能力が不足する虞がある。この場合、四方弁50を第二状態に切り替えるとともに流量調整弁を全閉にすれば、熱交換器15の出口側から四方弁50を経由して冷却部30へつながる経路が形成され、四方弁50を経由して冷却部30と熱交換器15との間に冷媒を循環させる冷媒の経路を形成することができる。このときの冷媒が流れる経路、すなわち冷媒通路25、冷媒通路26、冷媒通路35、冷媒通路36および冷媒通路23,24は、第二通路を形成する。
この環状の経路を経由して、圧縮機12を経由することなく、熱交換器15と冷却部30との間に冷媒を循環させることができる。冷媒は、EV機器を冷却するとき、EV機器から蒸発潜熱を受けて蒸発する。EV機器との熱交換により気化された冷媒蒸気は、冷媒通路36および冷媒通路23を順に経由して、第2凝縮部15aへ流れる。第2凝縮部15aにおいて、車両の走行風、または、外気供給用のコンデンサファン42からの通風により、冷媒蒸気は冷却されて凝縮する。第2凝縮部15aで液化した冷媒液は、レシーバ46に貯められる。レシーバ46から流出した冷媒は、第2過冷却部15bにおいて冷却され過冷却液状態になり、冷媒通路26、四方弁50および冷媒通路35を経由して、冷却部30へ戻る。冷却部30と熱交換器15とを経由する環状の経路によって、EV機器を加熱部とし熱交換器15を冷却部とする、ヒートパイプが形成される。
図5は、四方弁50を切り替えた状態の冷媒の状態を示すモリエル線図である。図5中の横軸は、冷媒の比エンタルピーを示し、縦軸は、冷媒の絶対圧力を示す。比エンタルピーの単位はkJ/kgであり、絶対圧力の単位はMPaである。図中の曲線は、冷媒の飽和蒸気線および飽和液線である。図5中には、第1凝縮部14aの出口から気液分離器40および第1過冷却部14bを経由して流れ、さらに四方弁50を経由して膨張弁16へ直接流れる、蒸気圧縮式冷凍サイクル10中の各点における冷媒の熱力学状態が示される。図5中にはまた、熱交換器15、レシーバ46および冷却部30を接続する冷媒の経路によって形成される閉ループ内を循環する冷媒の熱力学状態が示される。
図5に示すように、冷媒は、圧縮機12において断熱圧縮され、高温高圧の過熱蒸気になる。過熱蒸気状態の冷媒は、第1凝縮部14aにおいて冷却され、気液分離器40へ流入し、気液分離器40の内部に飽和液状態の冷媒が蓄積される。気液分離器40が液だめ機能を有し液冷媒のバッファとなるので、冷房性能低下を防止でき冷房能力が安定する。気液分離器40から流出し、第1過冷却部14bにおいて過冷却液状態にまで冷却された冷媒液は、膨張弁16において絞り膨張され、低温低圧の気液混合状態の湿り蒸気となる。その後冷媒は、熱交換器18において高温の空調用空気と熱交換することにより加熱され、再び圧縮機12に吸入される。冷媒はこのサイクルに従って、圧縮、凝縮、絞り膨張、蒸発の状態変化を連続的に繰り返す。これにより、車両の室内の冷房が行なわれる。
冷媒はまた、第2凝縮部15aにおいて、車両の走行風またはコンデンサファン42からの通風により、第2凝縮部15aのチューブ内を流通する際に周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮(液化)する。第2凝縮部15aにおける外気との熱交換によって、冷媒の温度は低下し冷媒は液化する。冷媒は、第2凝縮部15aにおいて凝縮潜熱を放出し等圧のまま徐々に液化して気液混合状態の湿り蒸気になる。気液二相状態の冷媒は、冷媒通路24を経由してレシーバ46へ流れ、レシーバ46において、飽和蒸気状態の冷媒蒸気と飽和液状態の冷媒液とに気液分離される。レシーバ46が液だめ機能を有し液冷媒のバッファとなるので、EV機器の冷却性能低下を防止でき冷却能力が安定する。
レシーバ46から流出する飽和液状態の冷媒が、第2過冷却部15bにおいて過冷却液状態にまで冷却される。その後冷媒は、冷媒通路26、四方弁50および冷媒通路35を経由して冷却部30へ流れ、EV機器を冷却する。冷却部30において、液冷媒に熱を放出することで、EV機器が冷却される。EV機器との熱交換により、冷媒が加熱され、等圧のまま徐々に蒸発して、冷媒の乾き度が増大する。典型的には、冷却部30において、全ての冷媒が乾き飽和蒸気になるまで冷媒とEV機器との熱交換が行なわれる。EV機器との熱交換により一部または全部が気化された冷媒は、冷却部30から流出して冷媒通路36,23を順に経由して、第2凝縮部15aへ戻る。
このように、酷暑時のアイドル状態においては、圧縮機12、熱交換器14、膨張弁16および熱交換器18を経由するエアコンサイクルと、冷却部30、熱交換器15およびレシーバ46を経由するEV機器冷却サイクルとを分離する。膨張弁16において冷媒を絞り膨張し冷媒の温度を下げることにより、熱交換器18に低温低圧の冷媒を供給できるので、熱交換器18において空調用空気を十分に冷却できる。熱交換器15を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプが作動することによって、EV機器を冷却する冷媒の温度を低く保つことができるので、冷却能力の不足を回避でき、EV機器を確実に冷却できる。したがって、必要な冷房能力とEV機器の必要な冷却能力とを確保することができる。EV機器の冷却のために圧縮機12の動力は必要なく、無動力または省動力でEV機器を冷却可能であるので、圧縮機12の消費動力を低減でき、車両の省電費化を達成することができる。
図6は、冷却装置1を構成する各機器の垂直方向の位置を示す模式図である。図6には、四方弁50が第二状態に設定されているときの、EV機器を冷却する冷媒の流れが図示されている。図6には、地面60が図示されている。地面60に対して垂直な鉛直方向において、冷却部30は、第2凝縮部15aよりも下方に配置されている。熱交換器15と冷却部30との間に冷媒を循環させる環状の経路において、冷却部30が下方に配置され、熱交換器15が上方に配置される。冷却部30は、熱交換器15よりも低い位置に配置される。
この場合、冷却部30で加熱され気化した冷媒蒸気は、環状の経路内を上昇して第2凝縮部15aへ到達し、第2凝縮部15aおよび第2過冷却部15bにおいて冷却され過冷却液の状態になる。さらに液冷媒は、第2過冷却部15bから冷却部30までの液冷媒の位置ヘッドを駆動力として、重力の作用により環状の経路内を下降して冷却部30へ戻る。つまり、冷却部30と、レシーバ46と、熱交換器15と、これらを連結する冷媒の経路(すなわち第二通路)とによって、サーモサイフォン式のヒートパイプが形成される。ヒートパイプを形成することでEV機器から熱交換器15への熱伝達効率を向上することができるので、EV機器をより効率よく冷却することができる。
車両内での機器の配置上、冷却部30とレシーバ46との高低差を十分確保できず、その結果冷媒の駆動力が不十分となる場合には、レシーバ46から冷却部30に冷媒を移送するポンプ48を設け、ポンプ48によって冷媒の駆動力を補助させてもよい。ポンプ48を設けることにより、確実にレシーバ46から冷却部30に冷媒を連続的に供給することが可能になるので、冷却装置1を構成する機器の配置によらずEV機器の冷却能力を確実に確保することができる。
ポンプ48により移送される冷媒は液冷媒であるため、ポンプ48の消費動力は圧縮機12と比較して小さい。そのため、液冷媒の循環のためにポンプ48を使用する場合においても、ヒートパイプの場合と同様に省電費化を達成することができる。
[エアコンOFF時の運転モード]
図7は、冷却装置1の運転モード毎の圧縮機12、四方弁50および流量調整弁38の設定を示す図である。図7に示す運転モードのうち、「エアコンON時/通常」のモードでは、図2に示すように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の全体に冷媒が流通する。「エアコンON時/高外気温・車両停止時」のモードでは、図4に示すように、空調用の経路とEV機器冷却用の経路とが別々に設けられる。「エアコンOFF時」のモードでは、後述するように、蒸気圧縮式冷凍サイクル10が停止する。
「エアコンON時/通常」のモードのとき、圧縮機12は運転している。第一状態の四方弁50は、その内部において、接続口Aと接続口Bとを連通させており、これにより第1凝縮部14aから気液分離器40および第1過冷却部14bを経由して冷却部30へ向かう冷媒の流れを形成している。四方弁50はまた、接続口Cと接続口Dとを連通させており、これにより第2凝縮部15aからレシーバ46および第2過冷却部15bを経由し膨張弁16へ向かう冷媒の流れを形成している。すなわち、四方弁50を第一状態に設定することで、冷媒が冷却装置1の全体を流れるように冷媒の経路が選択されている。流量調整弁38は、冷却部30に十分な冷媒が流れるように、弁開度を調整されている。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷却能力を確保できるとともに、EV機器を効率よく冷却することができる。
「エアコンON時/高外気温・車両停止時」のモードのとき、圧縮機12は運転している。第二状態の四方弁50は、その内部において、接続口Aと接続口Dとを連通させており、かつ、接続口Bと接続口Cとを連通させている。流量調整弁38は、全閉にされている。これにより、第1凝縮部14aから気液分離器40および第1過冷却部14bを経て膨張弁16に流れる冷媒の流れを形成するとともに、四方弁50を経由して冷却部30と熱交換器15との間を循環する冷媒の流れを形成している。熱交換器18において空調用空気を冷却し、また、熱交換器15を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするヒートパイプによって、EV機器を確実に冷却できるので、冷房能力とEV機器の冷却能力とを確保することができる。EV機器の冷却のために圧縮機12の動力は必要ないため、省電費化を達成することができる。
図8は、エアコンOFF時のモードの冷却装置1を示す模式図である。「エアコンOFF時」のモードのとき、圧縮機12は停止しており、冷却部30と熱交換器15とを結ぶ環状の経路により冷媒を循環させてEV機器を冷却する。図7および図8に示すように、圧縮機12を停止させ蒸気圧縮式冷凍サイクル10が停止している「エアコンOFF時」のモードのときには、四方弁50は第二状態とされている。すなわち、四方弁50は、その内部において、接続口Aと接続口Dとを連通させており、かつ、接続口Bと接続口Cとを連通させている。流量調整弁38は、全閉にされている。
これにより、第2凝縮部15aから、冷媒通路24、レシーバ46、冷媒通路25、第2過冷却部15b、冷媒通路26、四方弁50および冷媒通路35とを順に経由して冷却部30へ至り、さらに冷媒通路36,23を順に経由して熱交換器15へ戻る、閉じられた環状の経路が形成される。したがって、蒸気圧縮式冷凍サイクル10が停止しているとき、すなわち車両用の冷房が停止しているときにも、圧縮機12を起動する必要なく、無動力でEV機器を確実に冷却することができる。EV機器の冷却のために圧縮機12を常時運転する必要がないので、圧縮機12の消費動力を低減して一層の省電費化および快適性向上を達成することができ、加えて、圧縮機12を長寿命化できるので圧縮機12の信頼性を向上することができる。
図9は、エアコンOFF時のモードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。図9中の横軸は、冷媒の比エンタルピーを示し、縦軸は、冷媒の絶対圧力を示す。比エンタルピーの単位はkJ/kgであり、絶対圧力の単位はMPaである。図中の曲線は、冷媒の飽和蒸気線および飽和液線である。図9中には、熱交換器15、レシーバ46および冷却部30を接続する冷媒の経路によって形成される閉ループ内を循環する冷媒の熱力学状態が示される。
「エアコンOFF時」モードの場合、冷媒は、第2凝縮部15aにおける外気との熱交換によって液化して、気液混合状態の湿り蒸気になる。気液二相状態の冷媒は、レシーバ46において、飽和蒸気状態の冷媒蒸気と飽和液状態の冷媒液とに気液分離される。レシーバ46から飽和液状態の冷媒が流出し、第2過冷却部15bにおいて冷却され、過冷却液状態になる。過冷却液状態の冷媒が冷媒通路26、四方弁50および冷媒通路35を経由して冷却部30へ流れ、EV機器を冷却する。EV機器との熱交換により一部または全部が気化された冷媒は、冷却部30から流出して冷媒通路36,23を順に経由して、第2凝縮部15aへ戻る。
熱交換器15を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプが作動することによって、EV機器は確実に冷却される。四方弁50を経由して冷却部30と熱交換器15との間を循環する冷媒の流れを形成することで、圧縮機12が停止した状態でも冷媒が自然循環して、冷却装置1によるEV機器の冷却能力が維持される。EV機器の冷却のために圧縮機12の動力は必要なく、無動力で冷却部30においてEV機器を冷却できる。したがって、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転時および停止時の両方においてEV機器を適切に冷却できる冷却装置1を、簡単な構成で実現することができる。
電気自動車の乗員は、車内前方の計器盤に設けられた空調用のコントロールパネルを操作することによって、車室内の冷房をONからOFFへ切り替える。この操作に伴い、EV機器を冷却するための冷却装置1の運転モードが、「エアコンON時/通常」モードから「エアコンOFF時」モードへ切り替えられる。つまり、圧縮機12が停止されるとともに、四方弁50の開閉が切り替えられ、流量調整弁38が全閉とされる。これにより、圧縮機12から吐出された冷媒を冷却部30へ流してEV機器を冷却するための第一通路が遮断されるとともに、熱交換器15と冷却部30との間に自然循環により冷媒を循環させるための第二通路が連通される。このようにして、圧縮機12を経由せずに冷却部30に冷媒を供給できるようになる。
[冷却装置1の制御]
以下、本実施の形態の冷却装置1の制御について説明する。図10は、冷却装置1の制御装置100の一部構成を示すブロック図である。図10に示す制御装置100は、冷却装置1の制御を実行する演算処理部110を備えている。演算処理部110は、演算処理によって実現される制御機能を示す、複数の機能ブロックを有している。図10を参照して、演算処理部110は、冷却能力検出部112と、判定部114とを有している。冷却能力検出部112は、冷却部30を流れる冷媒によるEV機器の冷却能力を検出する。判定部114は、冷却能力検出部112によって検出されるEV機器の冷却能力が不足しているか否かを判定する。
演算処理部110は、エアコンスイッチ122から、エアコンのONまたはOFFを示す信号を受ける。エアコンスイッチ122は、たとえば車室内の前方側の計器盤に設けられている。車両の乗員がエアコンスイッチ122を操作することにより、エアコンのONとOFFとが切り替えられ、車室内の冷房が開始または停止される。
演算処理部110は、温度入力部124から、冷却装置1の各部の温度を示す信号を受ける。温度入力部124には、図2に示す温度センサ51からEV機器の温度を示す信号T1が入力され、温度センサ52から冷却部30出口の冷媒温度を示す信号T2が入力され、温度センサ53から冷却部30入口の冷媒温度を示す信号T3が入力され、温度センサ54から第1凝縮部14a出口の冷媒温度を示す信号T4が入力される。温度入力部124にはまた、冷却装置1の近傍の外気の温度、および熱交換器18における熱交換によって温度が調節された空調用空気の温度が入力されてもよい。
演算処理部110は、圧力入力部126から、冷却装置1の各部を流れる冷媒の圧力を示す信号を受ける。圧力入力部126には、図2に示す圧力センサ56から、冷却部30出口の冷媒圧力を示す信号Prが入力される。
制御装置100はまた、圧縮機12の起動および停止を制御する圧縮機制御部132と、モータ44の回転数を制御するモータ制御部134と、ポンプ48による冷媒の流量を制御するポンプ制御部136と、膨張弁16、流量調整弁38および四方弁50の開閉設定を制御するバルブ制御部138とを備えている。
圧縮機制御部132は、演算処理部110から伝送された制御命令を受け取り、圧縮機12の起動または停止を指令する信号Cを圧縮機12へ伝送する。モータ制御部134は、演算処理部110から伝送された制御命令を受け取り、モータ44の回転数を指令する信号Mをモータ44へ伝送する。
ポンプ制御部136は、演算処理部110から伝送された制御命令を受け取り、ポンプ48による冷媒の流量を指令する信号Poをポンプ48へ伝送する。バルブ制御部138は、演算処理部110から伝送された制御命令を受け取り、膨張弁16の開度を指令する信号V1を膨張弁16へ伝送し、四方弁50の開閉設定を指令する信号V2を四方弁50へ伝送し、流量調整弁38の開度を指令する信号V3を流量調整弁38へ伝送する。
制御装置はまた、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ118を有する。メモリ118には、各種情報、プログラム、しきい値、マップなどが記憶されている。演算処理部110は、必要に応じてデータをメモリ118から読み出したり、メモリ118にデータを格納したりする。メモリ118に記憶された制御プログラムに従って演算処理部110が各種の処理を実行することにより、冷却装置1が制御される。
なお、図10には、制御装置100を使用した冷却装置1の制御によって実現される制御機能のうち、本実施の形態に係る冷却能力不足時の制御に関連する一部の機能に対応する機能ブロックのみが、代表的に示されている。図示された各機能ブロックは、いずれも演算処理部110であるCPUがメモリ118に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能してもよいが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは、記憶媒体に記録されて車両1000に搭載される。
演算処理部110は、エアコンのONまたはOFFの設定、および温度入力部124に入力された各部の温度に基づいて、圧縮機12の運転および停止、モータ44の回転数、ポンプ48の運転、膨張弁16および流量調整弁38の開度、ならびに四方弁50の開閉設定を制御する。演算処理部110は、冷却装置1の運転モードを切り替える運転モード切替手段としての機能を有する。
モータ44は、コンデンサファン42に連結されており、コンデンサファン42を回転駆動する。モータ44の回転数を変更すると、熱交換器15における冷媒と外気との間の熱交換量が制御される。モータ44の回転数を増加しコンデンサファン42の回転速度を大きくすると、熱交換器15へ供給される空気の流量が増加し、熱交換器15における冷媒と外気との熱交換量が増加するので、熱交換器15の冷媒冷却能力が向上する。モータ44の回転数を減少しコンデンサファン42の回転速度を小さくすると、熱交換器15へ供給される空気の流量が減少し、熱交換器15における冷媒と外気との熱交換量が減少するので、熱交換器15の冷媒冷却能力が減少する。
ポンプ48の運転状態を変更することにより、ポンプ48が移送する冷媒の流量が変更される。四方弁50を第一状態にし、ポンプ48から四方弁50を経由して熱交換器18に冷媒が流れる設定のとき、冷媒の流量を増加することにより、熱交換器18における冷媒と空調用空気との熱交換量が増加するので、熱交換器18で空調用空気を冷却する冷房能力が向上する。四方弁50を第二状態にし、ポンプ48から四方弁50を経由して冷却部30に冷媒が流れる設定のとき、冷媒の流量を増加することにより、冷却部30における冷媒とEV機器との熱交換量が増加するので、EV機器の冷却能力が構造する。
図11は、冷却装置1の制御方法の第一の例を示すフローチャートである。冷却装置1は、以下に説明するフローチャートに従って、運転モードを変更する。具体的には、図11に示すように、車両1000がスイッチオンされると、まずステップS10において、車両1000がスイッチオフされたか否かの判断が行なわれる。
車両1000がスイッチオフされておらず、車両1000の運転が継続されると判断されれば、ステップS20に進み、四方弁50の切替が行なわれる。図10に示すバルブ制御部138が四方弁50に信号V2を伝送し、四方弁50は、その内部において接続口Aと接続口Dとを連通するとともに接続口Bと接続口Cとを連通する第二状態とされる。これにより冷却装置1は、エアコンサイクルとEV機器冷却サイクルとが分離された分離状態に設定される。続いてステップS30において、冷却部30においてEV機器で発生した熱により冷媒が加熱され、熱交換器15において外気へ放熱して冷媒が冷却されることにより、熱交換器15を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプが作動し、これによりEV機器が冷却される。
次にステップS40において、冷却部30を流れる冷媒が不足することによりEV機器の冷却能力が低下しているかどうかの判断が行なわれる。図10に示す冷却能力検出部112は、温度入力部124が受信した冷却装置1の各部の温度および圧力入力部126が受信した冷媒の圧力に基づいて、EV機器の冷却能力を検出する。判定部114は、EV機器の温度が所定温度よりも高い、冷却部30出口の冷媒温度が所定温度よりも高い、冷却部30出口における冷媒圧力に対して冷媒温度が高い(すなわち過熱度がとれている)、または、冷却部30入口の冷媒温度に対して冷媒の循環量が小さい、のいずれかの条件を満たすと、冷媒不足のためEV機器の冷却能力が不足していると判定する。
冷媒不足と判定されると、結合子Aを介して、図12に示す処理に移行する。図12は、冷却能力不足の場合の制御の例を示すフローチャートである。冷媒不足の場合、図12に示すステップS130において、車両1000の運転者などの乗員に異常を知らせる。たとえば、車内前方の計器盤にコーションランプを設け、冷媒不足と判定された場合にコーションランプを点灯することにより、異常を報知してもよい。または、コーションランプの点灯に替えて、ディスプレイに異常を表示してもよく、ブザーなどを用いて音により異常を報知してもよい。
次にステップS140において、バルブ制御部138が四方弁50に信号V3を伝送し、四方弁50の切替が行なわれて、冷却装置1が分離状態に設定される。続いてステップS150において、バルブ制御部138が流量調整弁38に信号V1を伝送し、流量調整弁38の開度を増加し、流量調整弁38を開状態にする。典型的には、流量調整弁38を全開にする。続いてステップS160において、バルブ制御部138が膨張弁16に信号V3を伝送し、膨張弁16の開度を減少する。典型的には、膨張弁16を全閉にする。
このように四方弁50、流量調整弁38および膨張弁16が設定された状態で、次にステップS170において、圧縮機制御部132が圧縮機12に信号Cを伝送し、圧縮機12が駆動状態になる。このとき、四方弁50の切替によって冷却部30と熱交換器15とを冷媒が循環するループ状の冷媒の経路が形成されており、かつ、流量調整弁38が開状態のため、冷媒通路23を介して気液分離器40と第2凝縮部15aとが連通している。そのため、圧縮機12が駆動すると、気液分離器40から高圧の冷媒蒸気が第2凝縮部15aへ向かって流れ、閉ループ状の冷媒の経路内に冷媒が押し込まれる。これにより、ループ式のヒートパイプ内を循環する冷媒の流量が増加することになる。膨張弁16の開度を小さくし膨張弁16を経由して流れる冷媒の圧力損失を増大させているので、熱交換器14から膨張弁16へ向かって冷媒が流れにくくなっており、その結果、気液分離器40から第2凝縮部15aへの冷媒の流れが促進されている。
この状態で、冷却部30においてEV機器で発生した熱により冷媒が加熱され、熱交換器15において外気へ放熱して冷媒が冷却されることにより、熱交換器15を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプが作動し、これによりEV機器が冷却される。ループ式のヒートパイプ内を循環する冷媒の流量が増加しているので、冷却部30においてEV機器を冷却する能力が増大しており、冷媒流量の低下に伴うEV機器の冷却能力不足が解消されやすくなっている。
続いてステップS180において、モータ制御部134がモータ44に信号Mを伝送し、モータ44の回転数を増加する。モータ44の回転数増加に伴って、モータ44に連結されたコンデンサファン42の回転数も増加する。コンデンサファン42を高速回転させることにより、コンデンサファン42から熱交換器15へ供給される風量が増加する。そのため、熱交換器15における冷媒と外気との熱交換量が増加し、熱交換器15において冷媒を冷却する能力が増大する。そのため、第2凝縮部15aにおける冷媒の液化が促進されるとともに、第2過冷却部15bにおける冷媒液の冷却が促進される。これにより、過冷却度が大きくなった低温の液冷媒を潤沢に冷却部30に供給できるので、冷却部30におけるEV機器の冷却能力がより増大しており、EV機器の冷却能力不足を一層容易に解消することができる。
次にステップS190において、ステップS40と同様の、冷却部30を流れる冷媒が不足しているかどうかの判断が行なわれる。ステップS190の判断において、依然として冷媒不足であると判断された場合には、ステップS130に戻り、EV機器の冷却能力を増大するための処理が続行される。この場合、圧縮機12出口の冷媒温度を見ながら、圧縮機12の回転数をさらに増加させて、冷媒流量をさらに増やしてもよい。ステップS190の判断において、冷媒不足が解消されており冷媒が不足していないと判断された場合には、結合子Bを介して図11に示す処理に戻り、ステップS10の判断が再度行なわれる。
図11に戻って、ステップS40において冷却部30を流れる冷媒が不足していないと判断されると、ステップS50に進み、車両1000の室内の空調を行なうためのエアコンがオンされているか否かの判断が行なわれる。エアコンがオフ状態であると判断されれば、図7に示す「エアコンOFF時」モードでの冷却装置1の運転が継続され、ステップS10に戻ってステップS10の判断が再度行なわれる。
エアコンがオン状態であると判断されれば、図7に示す「エアコンON時/通常」モードに移ることになるので、続いてステップS60において四方弁50が切り替えられ、さらにステップS70において圧縮機12が駆動する。図10に示すバルブ制御部138が四方弁50に信号V2を伝送し、四方弁50は、その内部において接続口Aと接続口Bとを連通するとともに接続口Cと接続口Dとを連通する第一状態とされる。これにより冷却装置1は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用してEV機器の冷却が行なわれる非分離状態に設定される。流量調整弁38は、冷却部30に十分な量の冷媒が流れるように調整される。圧縮機制御部132が圧縮機12に信号Cを伝送し、圧縮機12が駆動する。
次にステップS80において、ステップS40と同様の、冷却部30を流れる冷媒が不足しているかどうかの判断が行なわれる。冷媒不足と判定されると、結合子Aを介して図12に示す処理に移行し、上述した通りEV機器の冷却能力を増大するための処理が行なわれる。
冷媒不足でないと判定されると、ステップS90に進み、第1凝縮部14a(第1コンデンサ)の出口における冷媒温度を監視した上での、冷媒温度の判断が行なわれる。温度入力部124が第1凝縮部14a出口の冷媒温度を示す信号T4を受信し、演算処理部110は、第1凝縮部14a出口の冷媒温度が所定の閾値以上であるか否かを判断する。本実施の形態では、第1凝縮部14a出口の冷媒温度の閾値を、65℃とする。冷媒温度の閾値は、EV機器の温度以下の温度であって、冷却部30を流れる冷媒がEV機器を冷却可能な温度に定められる。
第1凝縮部14a出口の冷媒温度が閾値未満(すなわち65℃未満)であると判断されれば、この運転状態を継続することにより車両1000の室内の冷房とEV機器の冷却とを両立できるので、ステップS50に戻り、ステップS50の判断が再度行なわれる。一方、第1凝縮部14a出口の冷媒温度が閾値以上(すなわち65℃以上)であると判断されれば、このまま冷媒を冷却部30へ供給してもEV機器を冷却できないため、この場合にはステップS100に進み、四方弁50の切替が行なわれる。バルブ制御部138が四方弁50に信号V2を伝送し、四方弁50は第二状態とされる。また流量調整弁38は全閉にされる。これにより冷却装置1は分離状態に設定され、図7に示す「エアコンON時/高外気温・車両停止時」モードに移る。
続いてステップS110において、冷却部30においてEV機器で発生した熱により冷媒が加熱され、熱交換器15において外気へ放熱して冷媒が冷却されることにより、熱交換器15を凝縮器、冷却部30を蒸発器とするループ式のヒートパイプが作動し、これによりEV機器が冷却される。このとき圧縮機12は運転を継続しており、圧縮機12、熱交換器14、膨張弁16および熱交換器18を順に循環するサイクルが形成されることにより、車両1000の室内の冷房が継続される。
次にステップS120において、ステップS40と同様の、冷却部30を流れる冷媒が不足しているかどうかの判断が行なわれる。冷媒不足と判定されると、結合子Aを介して図12に示す処理に移行し、上述した通りEV機器の冷却能力を増大するための処理が行なわれる。冷媒不足でないと判定されると、ステップS90に戻り、ステップS90の判断が再度行なわれる。このとき、第1凝縮部14a出口の冷媒温度が低下しており、ステップS90の判断において冷媒温度が閾値未満であると判断されれば、ステップS50へ戻り、冷却装置1の運転モードは「エアコンON時/高外気温・車両停止時」モードから「エアコンON時/通常」モードへと切り替えられる。
図12に示すEV機器の冷却能力を増大させる処理が完了した後、または、ステップS50の判断においてエアコンがオフ状態であると判断された場合、ステップS10の判断が再度行なわれる。ステップS10の判断において、車両1000がスイッチオフされたと判断されれば、冷却装置1によるEV機器の冷却運転を終了する。
図13は、冷却装置1の制御方法の第二の例を示すフローチャートである。図13に示す例は、ステップS10の判断において車両1000がスイッチオフされていないと判断された場合に、上述したステップS20に先立って、ステップS210,S220に従った処理が行なわれる。冬場などの外気温が低い場合には、車室内の冷房運転は行なわれないと考えられ、そのため、「エアコンOFF」モードにて冷却装置1が運転されてループ式のヒートパイプの作動のみによってEV機器が冷却されることになると予想される。この場合において、ヒートパイプを形成しない機器側に冷媒が滞留する寝込み現象が発生すると、EV機器を冷却するための冷媒が不足し、その結果EV機器を十分に冷却できない可能性がある。このような不具合を防止するために、図13に示すフローでは、ステップS210、S220が追加されている。
具体的には、ステップS210においては、バルブ制御部138が四方弁50に信号V2を伝送し、四方弁50が切り替えられる。四方弁50は、その内部において接続口Aと接続口Bとを連通するとともに接続口Cと接続口Dとを連通する第一状態とされる。これにより冷却装置1は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用してEV機器の冷却が行なわれる非分離状態に設定される。続いてステップS220において、圧縮機制御部132が圧縮機12に信号Cを伝送することにより、圧縮機12は一定時間駆動を続ける。その後ステップS20に進み、四方弁50の切替が行なわれる。
このようにすれば、車両1000の始動時などにループ式のヒートパイプを形成しない熱交換器14,18などに冷媒が滞留していても、圧縮機12の運転によって、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の全体に冷媒が循環する。これにより、ヒートパイプを形成する熱交換器15に冷媒を送り込むことができ、ヒートパイプ内を循環する冷媒の量を十分に確保することができる。その結果、EV機器を効率的に冷却することができる。ステップS210の処理を行なう前に、外気温が所定温度(たとえば15℃)以下であるか否かを判断するステップをさらに設け、外気温が所定温度以下の場合にステップS210,S220に従った冷媒の寝込み現象を解消する処理を行なう制御フローとしてもよい。
図14は、冷却装置1の制御方法の第三の例を示すフローチャートである。図15は、冷却能力不足の場合の制御の他の例を示すフローチャートである。図11に示すフローでは、閉ループ状の冷媒の経路内にサーモサイフォン式のヒートパイプを形成して冷媒を循環する例について説明した。これに対し、図14,15に示すフローでは、熱交換器15と冷却部30とを接続する閉ループ状の経路内に、ポンプ48を駆動して冷媒を移送することにより、冷媒を循環させている。
具体的には、「エアコンOFF」モードの場合、ステップS20において四方弁50を分離状態へ切り替えた後、ステップS30に替えてステップS330の処理が行なわれる。ステップS330では、ポンプ制御部136がポンプ48に信号Poを伝送し、ポンプ48を駆動する。ポンプ48は、第2凝縮部15aで液化され第2過冷却部15bで過冷却液状態に冷却された液冷媒を冷却部30へ流す駆動力を発生する。これにより、冷却部30に確実に冷媒を供給できるので、EV機器の冷却能力を向上できる。
「エアコンON時/通常」モードの場合、ステップS70に替えてステップS370の処理が行なわれ、圧縮機12の駆動に加えて、ポンプ制御部136がポンプ48に信号Poを伝送することにより、ポンプ48を停止する。圧縮機12が冷媒を移送する駆動力を発生しているので、ポンプ48の運転を停止しても冷却部30への冷媒の供給が滞ることはなく、EV機器の冷却能力を確保できる。ポンプ48を停止すれば、ポンプ48の運転に必要とする消費動力を低減できるので、更なる省動力化を達成することができる。
「エアコンON時/高外気温・車両停止時」モードの場合、ステップS110に替えてステップS410の処理が行なわれ、ポンプ48を駆動する。液冷媒を冷却部30へ流す駆動力をポンプ48が発生することにより、冷却部30に確実に冷媒を供給できるので、EV機器の冷却能力を向上できる。
冷媒能力不足の場合、ステップS180においてコンデンサファン42の回転数を増加した後、ステップS480において、ポンプ制御部136がポンプ48に信号Poを伝送することにより、ポンプ48の回転数を増加する。これにより、ポンプ48によって移送される冷媒の流量が増加する。したがって、冷却部30におけるEV機器の冷却能力を一層増大できるので、EV機器の冷却能力不足をさらに容易に解消することができる。
以上説明したように、本実施の形態における冷却装置1によれば、冷却部30を流れる冷媒によるEV機器の冷却能力が不足していると判断された場合に、図12に示す処理が行なわれる。具体的には、ステップS140において、四方弁50はその内部で接続口Aと接続口Dとを連通するとともに接続口Bと接続口Cとを連通するように設定される。この四方弁50の開閉設定により、圧縮機12から吐出された冷媒を第1凝縮部14a、気液分離器40、第1過冷却部14bおよび四方弁50を介して冷却部30へ流す第一通路が遮断され、第2凝縮部15a、レシーバ46、第2過冷却部15bおよび冷却部30を順に冷媒が循環する第二通路が連通する。さらに、ステップS150において流量調整弁38を開状態にし、ステップS170で圧縮機12を起動する。
この構成を採用することにより、EV機器の冷却能力が低下した場合に、熱交換器15と冷却部30とを接続する閉ループ状の経路を形成し、当該経路内を流れる冷媒の流量を増加させて、冷媒とEV機器との熱交換によってEV機器を冷却できる。したがって、EV機器の冷却能力を確保することができ、EV機器の過熱に伴う車両1000の走行不能などの不具合の発生を回避することができる。
また、冷媒の経路を切り替えるための切替弁として、四方弁50が用いられていてもよい。これにより、切替弁を構成する弁の点数を減少できるので、装置の小型化が可能になり、車両1000への搭載性に優れた冷却装置1を提供することができる。加えて、熱交換器15と冷却部30とを接続する閉ループ状の経路を形成したときに、圧縮機12、熱交換器14、膨張弁16および熱交換器18を順に循環する冷凍サイクルを同時に形成できるので、車両1000の室内の冷房を継続することができる。
また、四方弁50は、第1凝縮部14aの出口側、冷却部30の入口側、第2凝縮部15aの出口側、および膨張弁16の入口側に接続されていてもよい。これにより、四方弁50の開閉設定を切り替えることにより、第1凝縮部14aから四方弁50を経由して冷却部30へ向かう冷媒の流れと、第2凝縮部15aと冷却部30との間を循環する冷媒の流れとを簡単に切り替えることができる。
また、冷却部30は第2凝縮部15aよりも下方に配置されていてもよい。これにより、第2凝縮部15aと冷却部30とを接続する閉ループ状の経路によってサーモサイフォン式のヒートパイプを形成できるので、無動力で第2凝縮部15aと冷却部30との間に冷媒を循環させて、EV機器を冷却することができる。
また、第2凝縮部15aの下流側にレシーバ46を設け、第2凝縮部15aによって凝縮された液状の冷媒を貯留できる構成としてもよい。これにより、液冷媒のみを冷却部30に供給できるのでEV機器の冷却能力を向上でき、さらに、第2凝縮部15aで液化される冷媒の量が増減する場合にも、レシーバ46内に貯留された冷媒が冷却部30に供給されるべき冷媒に対するバッファの役割を果たすので、常に一定の量の冷媒を冷却部30に供給することができ、EV機器の冷却能力を安定させることができる。
また、レシーバ46に貯留された液状の冷媒を移送するポンプ48を備えている構成としてもよい。ポンプ48の駆動によって冷媒が移送されることにより、液冷媒を冷却部30へ流す駆動力が補助されるので、冷却部30へ確実に冷媒を供給することができ、EV機器の冷却能力を確保することができる。
また、第1凝縮部14aの下流側に気液分離器40を設け、第1凝縮部14aによって凝縮された冷媒を気相と液相とに分離できる構成としてもよい。これにより、液冷媒のみを冷却部30に供給できるのでEV機器の冷却能力を向上でき、さらに、第1凝縮部14aで液化される冷媒の量が増減する場合にも、気液分離器40内に貯留された冷媒が冷却部30に供給されるべき冷媒に対するバッファの役割を果たすので、常に一定の量の冷媒を冷却部30に供給することができ、EV機器の冷却能力を安定させることができる。
また、冷却部30を流れる冷媒によるEV機器の冷却能力が不足していると判断された場合に、図12に示すステップS160において、膨張弁16の開度を減少してもよい。これにより、膨張弁16を流れる冷媒の圧力損失が増大するので、第1凝縮部14aから流量調整弁38を経由して第2凝縮部15aへ向かう冷媒の流量が増大する。したがって、熱交換器15と冷却部30とを接続する閉ループ状の経路内を流れる冷媒の流量を効率よく増加することができるので、EV機器の冷却能力を効率よく向上でき、EV機器の過熱に伴う不具合の発生をより確実に回避することができる。
また、冷却部30を流れる冷媒によるEV機器の冷却能力が不足していると判断された場合に、図12に示すステップS180において、モータ44の回転数を増加してもよい。これにより、モータ44に連結されたコンデンサファン42の回転数が増加し、熱交換器15へ供給される空気の流量が増大する。したがって、第2凝縮部15aおよび第2過冷却部15bにおいて効率よく冷媒を冷却でき、過冷却液状態の低温の冷媒液を確実に冷却部30へ供給できるので、EV機器の冷却能力を効率よく向上でき、EV機器の過熱に伴う不具合の発生をより確実に回避することができる。
[四方弁50の具体例]
四方弁50は、電気的に開閉設定を切り替える仕様であってもよい。一方、機械的に作動する四方弁50を採用することにより、四方弁50の構成をより簡素化できるので、低コスト化できる。以下、機械的に作動する四方弁50の一例の詳細について説明する。図16は、四方弁50の構成を示す模式図である。
四方弁50は、図16に示すように、ハウジング70と、弁体72とを有している。ハウジング70は、中空の円筒形状に形成されている。ハウジング70は、一方の端部70aと他方の端部70bとを有しており、さらに、端部70a,70bを連結する中空円筒状の筒部70cを有している。筒部70cは、図16中に示す左右方向に沿って、直線状に延在している。筒部70cの両端を端部70a,70bがそれぞれ閉塞していることにより、ハウジング70の内部に中空の内部空間78が形成されている。
ハウジング70の本体部分を形成する筒部70cには、複数のポートが形成されている。すなわち、筒部70cには、第1連結管81と、第2連結管82と、第3連結管83と、第4連結管84とが設けられている。第1連結管81は、筒部70cに固定されており、筒部70cを厚み方向に貫通している。
第2連結管82、第3連結管83および第4連結管84は、弁座80を介して筒部70cに固定されている。弁座80は、筒部70cの内周面に一体に固定されており、筒部70cの内周面と同心の円筒面形状の内表面を有している。弁座80の内表面は、ハウジング70の中空の内部空間に面している。弁座80には、厚み方向に弁座80を貫通している3つの貫通孔が形成されており、第2連結管82、第3連結管83および第4連結管84は、これら3つの貫通孔の各々に取り付けられている。
第1連結管81は、図2に示す四方弁50の接続口Aを形成するポートであって、第1過冷却部14bおよび気液分離器40を介して第1凝縮部14aの出口側に接続されている。第2連結管82は、四方弁50の接続口Dを形成するポートであって、膨張弁16の入口側に接続されている。第3連結管83は、四方弁50の接続口Bを形成するポートであって、冷却部30の入口側に接続されている。第4連結管84は、四方弁50の接続口Cを形成するポートであって、第2過冷却部15bおよびレシーバ46を介して第2凝縮部15aの出口側に接続されている。
第1連結管81、第2連結管82、第3連結管83および第4連結管84はそれぞれ、ハウジング70の内部空間78に開口している。第2連結管82と、第4連結管84と、第3連結管83とは、筒部70cの延在する方向に沿ってこの順に並べられており、互いに平行に配置されている。第2連結管82と、第4連結管84と、第3連結管83とは、ほぼ一直線上に並んで配置されて、ハウジング70に固定されている。
第1連結管81は、第2連結管82、第4連結管84および第3連結管83を固定する弁座80に対向する位置に配置されており、弁座80とほぼ反対側の位置においてハウジング70に固定されている。第1連結管81は、第2連結管82、第3連結管83および第4連結管84に対して平行に配置されている。典型的には、第1連結管81は、その中心線が第4連結管84の中心線と同一になるように配置されている。
弁体72は、ハウジング70の端部70a,70bおよび筒部70cにより取り囲まれた中空の内部空間78内に配置されている。弁体72は、ハウジング70の内部空間78内を、筒部70cの延在方向に往復移動可能に設けられている。弁体72は、ランド部73,74と、軸部75と、スプール76とを有している。軸部75は、弁体72の移動方向に延在している。ランド部73,74は、軸部75の両端部付近において、軸部75に一体に固定されている。ランド部73,74は、軸部75に対し大径に形成されており、筒部70cの内周面と略同じ形状の外周面を有している。ランド部73,74の外周面は、筒部70cの内周面に対し摺動する。
スプール76は、2つのランド部73,74の間において、軸部75に一体に固定されている。スプール76は、軸部75に対し大径、かつランド部73,74に対し小径に形成されている。つまりスプール76は、筒部70cの内周面から離れて配置されている。スプール76は、弁座80の内表面と同心かつ径のほぼ等しい円筒面状の外周面を有している。スプール76の外周面は、弁座80の内表面に対し摺動する。スプール76の外周面のうち、弁座80に対向する部分には、外周面の一部が窪んだ凹部77が形成されている。
ハウジング70の端部70aには、端部70aを厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔には、制御圧導入パイプ87が設けられている。ハウジング70の端部70bには、端部70bを厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。当該貫通孔には、制御圧導入パイプ88が設けられている。制御圧導入パイプ87,88を流れる冷媒の圧力に従って、弁体72は図16中の左右方向に移動する。
弁体72は、第2連結管82、第4連結管84および第3連結管83の並び方向に移動可能に設けられている。弁体72がハウジング70内を移動することにより、弁座80の貫通孔に設けられた複数のポート(すなわち第2連結管82、第3連結管83および第4連結管84)が、スプール76によって開閉される。これによりスプール76は、弁機能を発揮し、四方弁50の開閉設定を切り替えている。スプール76は、第4連結管84と、第2連結管82および第3連結管83のいずれか一方とを、択一的に連通する。
図17は、四方弁50を制御する制御弁150の構成を示す断面図である。制御弁150は、図17に示すように、ハウジング170と、弁体172とを有している。ハウジング170は、中空の円筒形状に形成されている。ハウジング170は、図17中に示す左右方向に沿って、直線状に延在している。
ハウジング170には、制御圧導入パイプ184,187,188が設けられている。制御圧導入パイプ184,187,188は、ハウジング170に固定されており、ハウジング170を厚み方向に貫通している。ハウジング170には、厚み方向にハウジング170を貫通している3つの貫通孔が形成されており、制御圧導入パイプ187,184,188は、これら3つの貫通孔の各々に取り付けられている。
制御圧導入パイプ184,187,188はそれぞれ、ハウジング170の内部空間に開口している。制御圧導入パイプ187と、制御圧導入パイプ184と、制御圧導入パイプ188とは、ハウジング170の延在する方向に沿ってこの順に並べられており、互いに平行に配置されている。制御圧導入パイプ184は、図16に示す第4連結管84に接続されている。制御圧導入パイプ187は、図16に示す制御圧導入パイプ87に接続されている。制御圧導入パイプ188は、図16に示す制御圧導入パイプ88に接続されている。
弁体172は、ハウジング170の中空の内部空間内に配置されている。弁体172は、ハウジング170の内部空間内で、ハウジング170の延在方向に移動可能に設けられている。弁体172は、ランド部173,174と、軸部175とを有している。軸部175は、弁体172の移動方向に延在している。ランド部173,174は、軸部175に一体に固定されている。ランド部174は軸部175の端部に固定されており、ランド部173は軸部175の中間部に固定されている。ランド部173,174は、軸部175に対し大径に形成されており、ハウジング170の内周面と略同じ形状の外周面を有している。ランド部173,174の外周面は、ハウジング170の内周面に対し摺動する。
ハウジング170の一方の端部には、当該端部を厚み方向に貫通する貫通孔が形成されている。弁体172の軸部175は、当該貫通孔を経由して、ハウジング170の外部空間にまで延在している。ハウジング170の外部には、電磁コイル190が配置されている。弁体172の、ランド部174の取り付けられていない側の端部は、電磁コイル190内に配置されている。電磁コイル190の通電操作によって、弁体172に対して、図17中左側に向かう力が作用する。
貫通孔の形成されている側のハウジング170の端部と、ランド部173との間には、圧縮バネ194が配置されている。ランド部173は、貫通孔の形成されている側のハウジング170の端部に向く側に、案内部を有している。案内部は、ハウジング170の内周面に対して摺動する外周面よりも小さい外径を有している。圧縮バネ194は、案内部の外周面に沿って、案内部の外周面とハウジング170の内周面との間に配置されている。圧縮バネ194は、ハウジング170の延在方向に伸縮自在に設けられている。図17に示す、ランド部174がハウジング170の他方の端部に接触している状態において、圧縮バネ194はわずかに圧縮されており、弁体172に対して図17中に示す右側に向かう方向の付勢力を作用している。
電磁コイル190による弁体172の励磁と、圧縮バネ194の作用する応力とにより、電磁コイル190のオンとオフとの切替に従って、弁体172は、ハウジング170の延在方向に沿って往復移動する。
電磁コイル190をオンにすると、電磁コイル190により弁体172が励磁され、弁体172は図17中に示す左方向に移動する。これにより、ランド部174によって制御圧導入パイプ188が閉塞するとともに、ハウジング170の内部空間を介して制御圧導入パイプ184,187が互いに連通する。電磁コイル190をオフにすると、弁体172が励磁されなくなるため、圧縮バネ194の応力によって、弁体172は図17中に示す右方向に移動する。これにより、ランド部173によって制御圧導入パイプ187が閉塞するとともに、ハウジング170の内部空間を介して制御圧導入パイプ184,188が互いに連通する。
図18は、図16に示す四方弁50の、第一通路を連通している第一状態の断面図である。図18に示す制御弁150は、電磁コイル190が通電していないオフ状態である。このときの弁体172の設定によって、制御圧導入パイプ184,188が連通しているので、制御弁150を介して第4連結管84と制御圧導入パイプ87とが連通している。
四方弁50の、ランド部73,74の間の内部空間78には、第1連結管81を経由して第1凝縮部14a出口の高圧冷媒が供給される。
第1連結管81から第4連結管84までの冷媒の経路には、冷却部30、熱交換器15およびレシーバ46などが配置されている。これらの機器および機器を接続する冷媒通路を通過するときの冷媒の圧力損失を考慮すれば、第1連結管81を経由して内部空間78に導入される冷媒は、第4連結管84を流れる冷媒と比較して、より圧力が高い。すなわち、第1連結管81から内部空間78に供給される冷媒の圧力と、第4連結管84と連通している制御圧導入パイプ87内を流れる冷媒の圧力とを比較すると、第1連結管81から内部空間78に供給される冷媒の圧力の方が高い。
この冷媒の圧力差により、ランド部73が端部70aへ向かって押圧され、弁体72はハウジング70内を図中左方向に移動する。弁体72は、図18に示すように、ランド部73がハウジング70の端部70aに接触した状態で静止する。このとき、第1連結管81と第3連結管83とが内部空間78を介して連通し、第1連結管81から内部空間78を経由して第3連結管83へ流れる冷媒の流れが発生する。かつ、第2連結管82と第4連結管84とが凹部77を介して連通し、第4連結管84から凹部77を経由して第2連結管82へ流れる冷媒の流れが発生する。このようにして四方弁50が第一状態に設定され、冷媒は、第1凝縮部14aから四方弁50を経由して冷却部30へ流れ、さらに第2凝縮部15aから四方弁を経由して膨張弁16へ流れる。
図19は、図16に示す四方弁50の、第二通路を連通している第二状態の断面図である。図19に示す制御弁150は、電磁コイル190が通電しているオン状態である。このときの弁体172の設定によって、制御圧導入パイプ184,187が連通しているので、制御弁150を介して第4連結管84と制御圧導入パイプ88とが連通している。第1連結管81から内部空間78に供給される冷媒の圧力と、第4連結管84と連通している制御圧導入パイプ88内を流れる冷媒の圧力とを比較すると、第1連結管81から内部空間78に供給される冷媒の圧力の方が高い。
この冷媒の圧力差により、ランド部74が端部70bへ向かって押圧され、弁体72はハウジング70内を図中右方向に移動する。弁体72は、図19に示すように、ランド部74がハウジング70の端部70bに接触した状態で静止する。このとき、第1連結管81と第2連結管82とが内部空間78を介して連通し、第1連結管81から内部空間78を経由して第2連結管82へ流れる冷媒の流れが発生する。かつ、第3連結管83と第4連結管84とが凹部77を介して連通し、第3連結管83から凹部77を経由して第4連結管84へ流れる冷媒の流れが発生する。このようにして四方弁50が第二状態に設定され、冷媒は、第1凝縮部14aから四方弁50を経由して膨張弁16へ流れる。また冷媒は、第2凝縮部15aから四方弁を経由して冷却部30へ流れる。
四方弁50を図19に示す第二状態に設定し、第二通路を経由して第2凝縮部15aと冷却部30との間を循環する冷媒の流れを形成するとき、圧縮機12で圧縮される冷媒が流れる蒸気圧縮式冷凍サイクル10とEV機器の冷却サイクルとは、それぞれ単独に運転する。この状態において、四方弁50には、蒸気圧縮式冷凍サイクル10を構成している第1凝縮部14a出口側の圧力と、EV機器の冷却サイクルを構成している第2凝縮部15a出口側の圧力とが作用している。これらの圧力差は数百〜数千kPaあるため、ハウジング70とスプール76との間のシール性を十分に確保できる。
一方、四方弁50を図18に示す第一状態に設定し、第一通路を経由して圧縮機12から吐出された冷媒を第1凝縮部14aを介して冷却部30へ流す場合、蒸気圧縮式冷凍サイクル10とEV機器の冷却サイクルとは同一のサイクルに含まれている。この状態において、四方弁50に作用する差圧は、熱交換器14出口から熱交換器15出口までの冷媒の経路における圧力損失の分しか発生しない。四方弁50に作用する差圧が不十分であると、ハウジング70とスプール76との間のシール性を十分に確保できない可能性がある。
そのため、本実施の形態の四方弁50は、図18に示す設定においてスプール76が第3連結管83の一部を塞ぐような構成に設けられている。スプール76の一部を利用して第3連結管83の入口に絞りを形成することにより、ハウジング70の内部空間78から第3連結管83へ流入する冷媒の圧力損失が増大している。四方弁50の圧力損失を増大させる結果、熱交換器14出口から熱交換器15出口までの冷媒の経路における圧力損失も増大する。したがって、四方弁50に作用する差圧を増大することができるので、ハウジング70とスプール76との間のシール性を向上することができる。四方弁50を構成しているスプール76によって圧力損失を増大させているので、簡単な構成でシール性の向上を達成することができる。
[四方弁50の変形例]
図20は、他の例の四方弁50の、第一通路を連通している状態の断面図である。図21は、図20に示す四方弁50の、第1凝縮部14a出口における冷媒圧が上昇した状態の断面図である。上述した四方弁50と比較して、図19,20に示す変形例の四方弁50は、スプール76を含む弁体72に対しハウジング70の端部70a側に圧縮バネ94が設けられている点において異なっている。圧縮バネ94は、弁体72の移動方向に沿って延在して配置されており、弁体72に対し、弁体72を端部70b側へ付勢する。
圧縮バネ94は、弁体72をハウジング70の端部70aから離れる側へ付勢する付勢力を作用する、付勢部材の一例である。圧縮バネ94に替えて、または圧縮バネ94に加えて、弁体72に対しハウジング70の端部70a側に、ゴムなどの他の弾性体が設けられてもよい。
圧縮バネ94が弁体72を付勢しているので、図20に示す四方弁50では、ハウジング70の端部70aとランド部73との間に、空間79が形成されている。四方弁50が第一状態に設定された状態で、冷媒の差圧と圧縮バネ94の付勢力とが釣り合う結果、ランド部73は、ハウジング70の端部70aから離れて配置されている。
上述した通り、四方弁50において、第3連結管83の入口に絞りが設けられている。この絞りの開度が固定されていると、第1凝縮部14aの出口側の冷媒の圧力が急上昇する場合に、四方弁50において過剰な差圧が発生することになる。この場合、冷媒の圧力が上昇することにより、圧縮機12の運転の安定性低下、冷媒を循環させるための動力上昇などの不具合が発生する。そのため、変形例の四方弁50では、弁体72を端部70a側へ移動できる構成とされている。
具体的には、第1凝縮部14a出口側の冷媒の圧力が上昇すると、第1連結管81から内部空間78へ供給される圧力が上昇するため、ランド部73を図中左側へ向かって押圧する圧力が大きくなる。冷媒の圧力が圧縮バネ94の付勢力を上回ると、図21に示すように、弁体72が図中左方向へ移動し、ランド部73が端部70aに接触して、空間79は解消される。このとき、スプール76が第3連結管83を覆う面積が縮小するので、第3連結管83の入口に形成される絞りの開度が大きくなる。
このようにすれば、ハウジング70の内部空間78から第3連結管83へ流入する冷媒の圧力損失の増大を抑制することができ、第1凝縮部14a出口の冷媒と第2凝縮部15a出口の冷媒との差圧が小さくなる。四方弁50に作用する差圧の増大が抑えられる結果、冷媒の高圧を下げることができるので、圧縮機12の安全性を確保でき、冷却装置1の運転に要する動力の増大を抑制することができる。
以上説明した通り、四方弁50を経由して流れる冷媒の差圧に従って機械的に作動して冷媒の流れを切り替える四方弁50を形成し、本実施の形態の冷却装置1に好適に用いることができる。四方弁50は、上述したスプール弁を備える構成に限られるものではなく、たとえばロータリ型の四方弁であってもよい。また、冷媒通路の連通と遮断とを切り替える機能を発揮できればよいので、四方弁50に替えて、たとえば複数の電磁弁が使用されてもよい。ただし、四方弁50を用いることにより、一つの弁の開閉設定に従って冷媒通路を切り替えることができるので、より小型化され車載性に優れた冷却装置1を提供することができる。
なお、これまでの実施の形態においては、EV機器を例として車両に搭載された電気機器を冷却する冷却装置1について説明した。電気機器としては、少なくとも作動によって熱を発生させる電気機器であれば、インバータ、モータジェネレータなどの例示された電気機器に限定されるものではなく、任意の電気機器であってもよい。冷却の対象となる電気機器が複数個ある場合においては、複数の電気機器は、冷却の目標となる温度範囲が共通していることが望ましい。冷却の目標となる温度範囲は、電気機器を作動させる温度環境として適切な温度範囲である。
さらに、本発明の冷却装置1により冷却される発熱源は、車両に搭載された電気機器に限られず、熱を発生する任意の機器、または任意の機器の発熱する一部分であってもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、各実施の形態の構成を適宜組み合わせてもよい。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の冷却装置は、モータジェネレータおよびインバータなどの電気機器を搭載するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などの車両における、車内の冷房を行なうための蒸気圧縮式冷凍サイクルを使用した電気機器の冷却に、特に有利に適用され得る。
1 冷却装置、10 蒸気圧縮式冷凍サイクル、12 圧縮機、14,15,18 熱交換器、14a 第1凝縮部、14b 第1過冷却部、15a 第2凝縮部、15b 第2過冷却部、16 膨張弁、21〜29,33〜36 冷媒通路、30 冷却部、38 流量調整弁、40 気液分離器、42 コンデンサファン、44 モータ、46 レシーバ、48 ポンプ、50 四方弁、51,52,53,54 温度センサ、56 圧力センサ、70,170 ハウジング、70a,70b 端部、70c 筒部、72,172 弁体、73,74,173,174 ランド部、75,175 軸部、76 スプール、77 凹部、78 内部空間、79 空間、80 弁座、81 第1連結管、82 第2連結管、83 第3連結管、84 第4連結管、87,88,184,187,188 制御圧導入パイプ、94,194 圧縮バネ、100 制御装置、110 演算処理部、112 冷却能力検出部、114 判定部、124 温度入力部、126 圧力入力部、132 圧縮機制御部、134 モータ制御部、136 ポンプ制御部、138 バルブ制御部、150 制御弁、190 電磁コイル、1000 車両。

Claims (12)

  1. 発熱源を冷却する冷却装置であって、
    冷媒を循環させるための圧縮機と、
    前記冷媒と外気との間で熱交換し前記冷媒を凝縮する、直列に接続された第一熱交換器および第二熱交換器と、
    前記冷媒を減圧する減圧器と、
    前記冷媒と空調用空気との間で熱交換し前記冷媒を蒸発する第三熱交換器と、
    前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間に並列に接続された二つの前記冷媒の経路のうちの一方に設けられ、前記冷媒を用いて前記発熱源を冷却する冷却部と、
    前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間に並列に接続された二つの前記冷媒の経路のうちの他方に設けられ、前記冷媒の流量を調整する流量調整弁と、
    前記圧縮機から吐出された前記冷媒を前記第一熱交換器を介して前記冷却部へ流す第一通路と、
    前記圧縮機が停止したときに、前記第二熱交換器と前記冷却部との間に前記冷媒を循環させる第二通路と、
    前記第一通路の連通と前記第二通路の連通とを切り替える切替弁と、
    前記圧縮機の起動および停止を制御する圧縮機制御部と、
    前記流量調整弁の開度を設定するとともに前記切替弁の開閉を設定するバルブ制御部と、
    前記冷却部を流れる前記冷媒による前記発熱源の冷却能力を検出する冷却能力検出部と、
    前記冷却能力検出部によって検出される前記冷却能力が不足していることを判定する判定部とを備え、
    前記判定部により前記冷却能力が不足していると判定された場合に、前記バルブ制御部は、前記第一通路を遮断し前記第二通路を連通するように前記切替弁の開閉を設定するとともに前記流量調整弁を開状態にし、前記圧縮機制御部は前記圧縮機を起動する、冷却装置。
  2. 前記切替弁は、前記第一熱交換器から前記冷却部へ向かう前記冷媒の流れと、前記第一熱交換器から前記減圧器へ向かう前記冷媒の流れと、を切り替える四方弁である、請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記四方弁は、前記第一熱交換器の出口側、前記冷却部の入口側、前記第二熱交換器の出口側、および前記減圧器の入口側に接続される、請求項2に記載の冷却装置。
  4. 前記四方弁は、前記第一熱交換器の出口側と前記冷却部の入口側とを連通するとともに前記第二熱交換器の出口側と前記減圧器の入口側とを連通することにより前記第一通路を連通し、前記第一熱交換器の出口側と前記減圧器の入口側とを連通するとともに前記第二熱交換器の出口側と前記冷却部の入口側とを連通することにより前記第二通路を連通する、請求項3に記載の冷却装置。
  5. 前記冷却部は、前記第二熱交換器よりも下方に配置されている、請求項4に記載の冷却装置。
  6. 前記第二熱交換器によって凝縮された液状の前記冷媒を貯留する蓄液器を備える、請求項1から請求項5のいずれかに記載の冷却装置。
  7. 前記蓄液器に貯留された液状の前記冷媒を移送するポンプを備える、請求項6に記載の冷却装置。
  8. 前記第一熱交換器によって凝縮された前記冷媒を気相と液相とに分離する気液分離器を備える、請求項6または請求項7に記載の冷却装置。
  9. 前記減圧器は膨張弁であり、
    前記バルブ制御部は、前記膨張弁の開度を設定し、
    前記判定部により前記冷却能力が不足していると判定された場合に、前記バルブ制御部は、前記膨張弁の開度を減少する、請求項1から請求項8のいずれかに記載の冷却装置。
  10. 前記第二熱交換器に前記外気を供給するためのファンと、
    前記ファンを駆動するための回転駆動力を発生するモータと、
    前記モータを制御するモータ制御部とをさらに備え、
    前記判定部により前記冷却能力が不足していると判定された場合に、前記モータ制御部は、前記モータの回転数を増加する、請求項1から請求項9のいずれかに記載の冷却装置。
  11. 発熱源を冷却する冷却装置であって、
    冷媒を循環させるための圧縮機と、
    前記冷媒と外気との間で熱交換し前記冷媒を凝縮する、直列に接続された第一熱交換器および第二熱交換器と、
    前記冷媒を減圧する減圧器と、
    前記冷媒と空調用空気との間で熱交換し前記冷媒を蒸発する第三熱交換器と、
    前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間に並列に接続された二つの前記冷媒の経路のうちの一方に設けられ、前記冷媒を用いて前記発熱源を冷却する冷却部と、
    前記第一熱交換器から前記冷却部へ向かう前記冷媒の流れと、前記第一熱交換器から前記減圧器へ向かう前記冷媒の流れと、を切り替える四方弁と、を備え、
    前記四方弁は、
    一対の端部と、前記端部を連結し直線状に延在する中空の筒部とを有する、ハウジングと、
    前記筒部に設けられ、前記第一熱交換器の出口側に接続される第1連結管と、
    前記筒部に設けられ、前記減圧器の入口側に接続される第2連結管と、
    前記筒部に設けられ、前記冷却部の入口側に接続される第3連結管と、
    前記筒部に設けられ、前記第二熱交換器の出口側に接続される第4連結管と、
    前記筒部の延在方向に沿って前記ハウジング内を往復移動し、前記四方弁の開閉設定を切り替えるスプールとを有し、
    前記第2連結管と、前記第4連結管と、前記第3連結管とは、前記筒部の延在する方向に沿って、この順に並べられており、
    前記スプールは、前記第2連結管と前記第4連結管とを連通させるとき、前記第3連結管の一部を塞ぐ、冷却装置。
  12. 前記四方弁は、前記スプールを前記端部から離れる側へ付勢する付勢部材を有する、請求項11に記載の冷却装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014231961A (ja) * 2013-05-29 2014-12-11 株式会社日本自動車部品総合研究所 冷却装置
WO2022054865A1 (ja) * 2020-09-14 2022-03-17 株式会社ヴァレオジャパン 車両用バッテリ冷却装置及び車両用バッテリの冷却方法

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