JP2014088996A - 冷却装置 - Google Patents

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雄一 大野
Kazuhide Uchida
和秀 内田
Yoshiaki Kawakami
芳昭 川上
Kunihiko Arai
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Abstract

【課題】熱交換器を小型化できる冷却装置を提供する。
【解決手段】発熱源を冷却する冷却装置1は、冷媒を循環させるための圧縮機12と、冷媒から外気へ熱を放出し冷媒を冷却する、直列に接続された熱交換器14および熱交換器15と、冷媒を減圧する膨張弁16と、空気から熱を吸収し冷媒を加熱する熱交換器18とを備える。冷却装置1はまた、熱交換器14と熱交換器15との間に並列に接続された二つの冷媒の経路のうちの一方に設けられ、冷媒への放熱により発熱源を冷却する冷却部30と、熱交換器18から圧縮機12へ向かう冷媒と冷却部30を経由して流れる冷媒とが熱交換する内部熱交換器50と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、冷却装置に関し、特に、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して発熱源を冷却する冷却装置に関する。
近年、環境問題対策の一つとして、モータの駆動力により走行するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などが注目されている。このような車両において、モータ、ジェネレータ、インバータ、コンバータおよびバッテリなどの電気機器は、電力の授受によって発熱する。そのため、これらの電気機器を冷却する必要がある。
そこで、車両用空調装置として使用される蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用して、発熱体を冷却する技術が提案されている(たとえば、特開2007−69733号公報(特許文献1)、特開2005−82066号公報(特許文献2)、特開2005−90862号公報(特許文献3)、特開平11−23075号公報(特許文献4)参照)。
特開2007−69733号公報 特開2005−82066号公報 特開2005−90862号公報 特開平11−23075号公報
特開2007−69733号公報(特許文献1)に記載の冷却システムでは、発熱体は蒸発器に対し並列に接続されている。そのため、冷房時でかつ発熱体の冷却が必要なときには、冷房用の冷媒の冷却と発熱体冷却用の冷媒の冷却とを、一台の熱交換器で行なう必要がある。その結果、熱交換器および圧縮機の大型化が必要になる問題があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、熱交換器を小型化でき装置の小型化および軽量化を達成できる、冷却装置を提供することである。
本発明に係る冷却装置は、発熱源を冷却する冷却装置であって、冷媒を循環させるための圧縮機と、冷媒から外気へ熱を放出し冷媒を冷却する、直列に接続された第一熱交換器および第二熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、空気から熱を吸収し冷媒を加熱する第三熱交換器とを備える。冷却装置はまた、第一熱交換器と第二熱交換器との間に並列に接続された二つの冷媒の経路のうちの一方に設けられ、冷媒への放熱により発熱源を冷却する冷却部と、第三熱交換器から圧縮機へ向かう冷媒と冷却部を経由して流れる冷媒とが熱交換する内部熱交換器と、を備える。
上記冷却装置において好ましくは、内部熱交換器は、第三熱交換器から圧縮機へ向かう冷媒の経路と冷却部との間で熱交換する。
上記冷却装置において好ましくは、内部熱交換器は、第三熱交換器から圧縮機へ向かう冷媒の経路と第一熱交換器から冷却部へ向かう冷媒の経路との間で熱交換する。
上記冷却装置において好ましくは、第一熱交換器によって凝縮された冷媒を気相と液相とに分離する気液分離器を備える。
本発明によると、熱交換器を小型化することができるので、冷却装置を小型化および軽量化することができる。
冷却装置が適用される車両の構成を示す概略図である。 本実施の形態の冷却装置の構成を示す模式図である。 蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒の第一の状態を示すモリエル線図である。 蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒の第二の状態を示すモリエル線図である。 実施の形態2の冷却装置の構成を示す模式図である。 実施の形態2の蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒の状態を示すモリエル線図である。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
[車両1000の構成]
図1は、冷却装置1が適用される車両1000の構成を示す概略図である。本実施の形態に係る車両1000は、内燃機関であるエンジン100と、電動機である駆動ユニット200と、PCU(Power Control Unit)700と、走行用バッテリ400と、を含んで構成され、エンジン100と駆動ユニット200とを動力源とするハイブリッド車両である。なお、本発明の冷却装置1は、エンジンと電動機とを動力源とするハイブリッド車両のみならず、電動機のみを動力源とする車両(本明細書では、両者を包含して電気自動車という)にも適用可能である。
エンジン100は、ガソリンエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであってもよい。駆動ユニット200は、エンジン100とともに車両1000を駆動する駆動力を発生させる。エンジン100および駆動ユニット200は、ともに車両1000のエンジンルーム内に設けられている。駆動ユニット200は、ケーブル500を介してPCU700と電気的に接続される。PCU700は、ケーブル600を介して走行用バッテリ400と電気的に接続される。
[冷却装置1の構成]
図2は、本実施の形態の冷却装置1の構成を示す模式図である。図2に示すように、冷却装置1は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10を備える。蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、たとえば、車両の車内の冷房を行なうために、車両1000に搭載される。蒸気圧縮式冷凍サイクル10を用いた冷房は、たとえば、冷房を行なうためのスイッチがオンされた場合、または、自動的に車両の室内の温度を設定温度になるように調整する自動制御モードが選択されており、かつ、車室内の温度が設定温度よりも高い場合に行なわれる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機12と、第一熱交換器としての熱交換器14と、第二熱交換器としての熱交換器15と、減圧器の一例としての膨張弁16と、第三熱交換器としての熱交換器18と、を含む。蒸気圧縮式冷凍サイクル10はまた、熱交換器14の出口側に設けられた気液分離器40を含む。
圧縮機12は、車両に搭載されたモータまたはエンジンを動力源として作動し、冷媒ガスを断熱的に圧縮して過熱状態冷媒ガスとする。圧縮機12は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の作動時に熱交換器18から流通する冷媒を吸入圧縮して、冷媒通路21に高温高圧の気相冷媒を吐出する。圧縮機12は、冷媒通路21に冷媒を吐出することで、蒸気圧縮式冷凍サイクル10に冷媒を循環させる。
熱交換器14,15は、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と熱交換器14,15の周囲の空気との間で熱交換するためのフィンと、を含む。熱交換器14,15は、冷媒と外気の間で熱交換を行ない、圧縮機12において圧縮された過熱状態冷媒ガスを、外部媒体へ等圧的に放熱させて冷媒液とする。圧縮機12から吐出された高圧の気相冷媒は、熱交換器14,15における冷却風と冷媒との熱交換により周囲に放熱し冷却される。
冷却風は、車両の走行によって発生する自然の通風によって熱交換器14,15に供給されてもよい。または冷却風は、コンデンサファンもしくはエンジン冷却用のラジエータファンなどの、モータからの駆動力を受けて回転し空気の流れを発生させる外気供給用ファンからの強制通風によって、熱交換器14,15に供給されてもよい。熱交換器14,15における熱交換によって、冷媒の温度は低下し冷媒は凝縮(液化)する。
膨張弁16は、高圧の液相冷媒を小さな孔から噴射させることにより膨張させて、低温・低圧の霧状冷媒に変化させる。膨張弁16は、熱交換器14,15によって凝縮された冷媒液を減圧して、気液混合状態の湿り蒸気とする。膨張弁16は、熱交換器18出口の冷媒温度に従って開度を変化する温度式膨張弁であってもよく、電気式の膨張弁であってもよい。また、冷媒液を減圧するための減圧器は、絞り膨張する膨張弁16に限られず、毛細管であってもよい。
熱交換器18は、冷媒を流通するチューブと、チューブ内を流通する冷媒と熱交換器18の周囲の空気との間で熱交換するためのフィンと、を含む。チューブ内には、膨張弁16によって減圧された湿り蒸気状態の冷媒が流通する。熱交換器18は、その内部を流通する霧状冷媒が気化して冷媒ガスとなる際の気化熱を、車両の室内へ流通する空調用空気から吸収する。熱交換器18において冷媒に吸熱され温度が低下した空調用空気が車両の室内に供給されて、車室内の冷房が行なわれる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10はまた、圧縮機12と熱交換器14とを連通する冷媒通路21と、熱交換器14と熱交換器15とを連通する冷媒通路22と、熱交換器15と膨張弁16とを連通する冷媒通路23と、膨張弁16と熱交換器18とを連通する冷媒通路24と、熱交換器18と圧縮機12とを連通する冷媒通路25と、を含む。
冷媒通路21は、冷媒を圧縮機12から熱交換器14に流通させるための通路である。冷媒は、冷媒通路21を経由して、圧縮機12と熱交換器14との間を、圧縮機12の出口から熱交換器14の入口へ向かって流れる。
冷媒通路22,23は、冷媒を熱交換器14から膨張弁16に流通させるための通路である。冷媒は、冷媒通路22,23を経由して、熱交換器14と膨張弁16との間を、熱交換器14の出口から膨張弁16の入口へ向かって流れる。熱交換器14の出口から膨張弁16の入口へ向かう冷媒が流れる経路は、熱交換器14の出口側の気液分離器40から熱交換器15へ冷媒蒸気を流通させる冷媒通路22と、熱交換器15の出口側から冷媒を膨張弁16へ流通させる冷媒通路23と、を含む。
冷媒通路24は、冷媒を膨張弁16から熱交換器18に流通させるための通路である。冷媒は、冷媒通路24を経由して、膨張弁16と熱交換器18との間を、膨張弁16の出口から熱交換器18の入口へ向かって流れる。冷媒通路25は、冷媒を熱交換器18から圧縮機12に流通させるための通路である。冷媒は、冷媒通路25を経由して、熱交換器18と圧縮機12との間を、熱交換器18の出口から圧縮機12の入口へ向かって流れる。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10は、圧縮機12、熱交換器14,15、膨張弁16および熱交換器18が、冷媒通路21〜25によって直列に接続されて構成される。なお、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒としては、たとえば二酸化炭素、プロパンやイソブタンなどの炭化水素、アンモニア、フロン類または水などを用いることができる。
気液分離器40は、熱交換器14から流出し気液分離器40へ流入する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離する。気液分離器40の内部には、液相冷媒である冷媒液と、気相冷媒である冷媒蒸気と、が蓄蔵されている。気液分離器40には、冷媒通路22と、後述する冷媒通路34とが連結されている。
熱交換器14で凝縮された冷媒は、熱交換器14の出口側において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気の状態にある。熱交換器14から気液分離器40へ流入する高圧の冷媒は、気液分離器40の内部において気相と液相とに分離される。気液分離器40は、熱交換器14によって凝縮された冷媒を液体状の冷媒液とガス状の冷媒蒸気とに分離して、一時的に蓄える。
気液分離された冷媒液は、冷媒通路34を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。冷媒通路34の端部は、気液分離器40内の底部側の、液相の冷媒が溜められる冷媒液貯留部に接続されている。冷媒通路34は、液相冷媒の気液分離器40からの流出口を形成する。気液分離器40内には、ポンプ41が配置されている。ポンプ41は、気液分離器40に貯留された液状の冷媒を移送する。
気液分離された冷媒蒸気は、冷媒通路22を経由して、気液分離器40の外部へ流出する。冷媒通路22の端部は、気液分離器40内の天井部側の、気相の冷媒が溜められる冷媒蒸気貯留部に接続されている。冷媒通路22は、気相冷媒の気液分離器40からの流出口を形成する。冷媒通路22は、気液分離器40から流出し膨張弁16へ向かう気相冷媒が流通する経路を形成する。
気液分離器40の内部では、冷媒液が下側、冷媒蒸気が上側に溜まる。気液分離器40から冷媒蒸気を導出する冷媒通路22の端部は、気液分離器40の天井部に連結されている。気液分離器40から冷媒液を導出する冷媒通路34の端部は、気液分離器40の底部に連結されている。冷媒通路22を経由して気液分離器40の天井側から冷媒蒸気のみが気液分離器40の外部へ送り出され、冷媒通路34を経由して気液分離器40の底側から冷媒液のみが気液分離器40の外部へ送り出される。これにより、気液分離器40は、気相冷媒と液相冷媒との分離を確実に行なうことができる。
冷却装置1は、気液分離器40と熱交換器15の入口側とを接続する、並列に接続された二つの冷媒の経路を備える。気液分離器40から熱交換器15へ向かって流れる冷媒の経路は、冷媒通路22を含む。気液分離器40から導出された気相の冷媒蒸気は、熱交換器15において周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮する。
気液分離器40から熱交換器15へ向かって流れる冷媒の経路はまた、気液分離器40と冷却部30とを連通する冷媒通路34と、冷却部30と、冷却部30と冷媒通路24とを連通する冷媒通路36と、を含む。冷媒通路34は気液分離器40に接続されており、冷媒通路34を経由して、気液分離器40から冷却部30へ冷媒液が流れる。冷媒通路34は、気液分離器40から流出し冷却部30へ向かう液相冷媒が流通する経路を形成する。冷媒通路36は冷媒通路22に連結されており、冷却部30を通過した冷媒は、冷媒通路36を経由して、冷媒通路22へ戻る。
冷却装置1は、冷媒通路22と並列に配置された冷媒の経路を備え、冷却部30は、当該冷媒の経路上に設けられている。冷却部30は、熱交換器14から熱交換器15へ向けて流れる冷媒の経路において並列に接続された複数の通路のうちの、一方に設けられている。冷却部30は、電気自動車に搭載される電気機器であるEV(Electric Vehicle)機器と、冷媒が内部を流通する冷却器とを含む。EV機器は、発熱源の一例である。冷却器の入口側は冷媒通路34に接続され、冷却器の出口側は冷媒通路36に接続される。
冷媒通路34は、冷却部30よりも上流側(気液分離器40に近接する側)の冷媒の経路であり、冷媒通路34を経由して冷却部30へ冷媒が流入する。冷媒通路34は、液相の冷媒が気液分離器40から冷却部30に流れるための通路である。冷媒通路36は、冷却部30よりも下流側(熱交換器15に近接する側)の冷媒の経路であり、冷媒は、冷却部30から流出して冷媒通路36へ流れ込む。冷媒通路36は、冷却部30から冷媒通路22に冷媒を戻すための通路である。
気液分離器40から流出した冷媒液は、冷媒通路34を経由して、冷却部30へ向かって流通する。冷却部30へ流通し、冷却器を経由して流れる冷媒は、発熱源としてのEV機器と冷媒との温度差に応じて、EV機器から熱を奪って、EV機器を冷却する。冷却部30は、気液分離器40において分離され冷媒通路34を経由して冷却部30へ流れる飽和液状態の冷媒を用いて、EV機器を冷却する。冷却部30において、冷却器内を流通する冷媒と、EV機器と、が熱交換することにより、EV機器は冷却され、冷媒は加熱される。
気液分離器40の内部には、飽和液状態の冷媒液が貯留されている。気液分離器40は、その内部に液状の冷媒である冷媒液を一時的に貯留する蓄液器として機能する。気液分離器40内に所定量の冷媒液が溜められることにより、負荷変動時にも気液分離器40から冷却部30へ流れる冷媒の流量を維持できる。気液分離器40が液だめ機能を有し、負荷変動に対するバッファとなり負荷変動を吸収できるので、EV機器の冷却性能を安定させることができる。
冷却部30は、冷却器においてEV機器と冷媒との間で熱交換が可能な構造を有するように設けられる。本実施の形態においては、冷却部30は、たとえば、EV機器の筐体に冷却器の外周面が直接接触するように形成された冷却器を有する。冷却器は、EV機器の筐体と隣接する部分を有する。当該部分において、冷却器を流通する冷媒と、EV機器との間で、熱交換が可能となる。
EV機器は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の熱交換器14から熱交換器15に至る冷媒の経路の一部を形成する冷却器の外周面に直接接続されて、冷却される。冷媒とEV機器とが直接熱交換してもよく、または、冷媒とEV機器を流れる水や油などの二次媒体とが熱交換してもよい。冷却器の外部にEV機器が配置されるので、冷却器の内部を流通する冷媒の流れにEV機器が干渉することはない。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の圧力損失は増大しないので、圧縮機12の動力を増大させることなく、EV機器を冷却することができる。
代替的には、冷却部30は、EV機器と冷却器との間に介在して配置された任意の公知の伝熱装置を備えてもよい。この場合EV機器は、冷却器の外周面に伝熱装置を介して接続され、EV機器から冷却器へ伝熱装置を経由して熱伝達することにより、冷却される。伝熱装置として、たとえばウィック式などのヒートパイプを使用することができる。EV機器をヒートパイプの加熱部とし冷却器をヒートパイプの冷却部とすることで、冷却器とEV機器との間の熱伝達効率が高められるので、EV機器の冷却効率を向上できる。
伝熱装置によってEV機器から冷却器へ確実に熱伝達することができるので、EV機器と冷却器との間に距離があってもよく、EV機器に冷却器を接触させるための経路を複雑に配置する必要がない。その結果、EV機器の配置が制限されることがなく、EV機器の配置の自由度を向上することができる。
EV機器は、電力の授受によって発熱する電気機器を含む。電気機器は、たとえば、直流電力を交流電力に変換するためのインバータ、回転電機であるモータジェネレータ、蓄電装置であるバッテリ、バッテリの電圧を昇圧させるための昇圧コンバータ、バッテリの電圧を降圧するためのDC/DCコンバータなどの、少なくともいずれか一つを含む。バッテリは、リチウムイオン電池あるいはニッケル水素電池等の二次電池である。バッテリに代えてキャパシタが用いられてもよい。
気液分離器40と熱交換器15との間に並列に接続された冷媒の経路のうち、冷却部30を経由しない方の経路である冷媒通路22には、流量調整弁28が設けられている。流量調整弁28は、その弁開度を変動させ、冷媒通路22を流れる冷媒の圧力損失を増減させる。これにより、流量調整弁28は、冷却部30を経由することなく気液分離器40と熱交換器15との間を直接流れる冷媒の流量と、冷却器を含むEV機器の冷却系を流れる冷媒の流量と、を任意に調節する。流量調整弁28は、開度調整が可能な仕様の弁であり、たとえば電動弁であってもよい。
流量調整弁28の弁開度を大きくすれば、気液分離器40から流出する冷媒のうち、冷媒通路22を経由して熱交換器15へ直接流れる流量が大きくなり、冷媒通路34を経由して冷却部30へ流れEV機器を冷却する冷媒の流量が小さくなる。流量調整弁28の弁開度を小さくすれば、気液分離器40から冷媒通路22を経由して熱交換器15へ直接流れる流量が小さくなり、冷却部30へ流れEV機器を冷却する冷媒の流量が大きくなる。
流量調整弁28の弁開度を大きくするとEV機器を冷却する冷媒の流量が小さくなり、EV機器の冷却能力が低下する。流量調整弁28の弁開度を小さくするとEV機器を冷却する冷媒の流量が大きくなり、EV機器の冷却能力が向上する。流量調整弁28を使用して、EV機器に流れる冷媒の量を最適に調節できるので、EV機器の過熱および過冷却を確実に防止することができる。加えて、EV機器の冷却系の冷媒の流通に係る圧力損失および冷媒を循環させるための圧縮機12の消費電力を、確実に低減することができる。
熱交換器18の出口と圧縮機12との間の冷媒の通路である冷媒通路25には、冷却部30を経由して流れる冷媒と熱交換する、内部熱交換器50が設けられている。本実施の形態の内部熱交換器50は、熱交換器18から圧縮機12へ向かう冷媒の経路である冷媒通路25と、冷却部30と、の間での熱交換が可能なように設けられている。内部熱交換器50において、冷媒通路25を構成する管路の一部を流れる冷媒が、冷却部30に含まれる発熱源であるEV機器と熱交換する。EV機器から冷媒通路25を流れる冷媒への熱伝達により、冷媒は加熱され、EV機器は冷却される。
本実施の形態の内部熱交換器50の構造は、上述した冷却部30の構造と同様であればよい。すなわち、冷媒通路25を構成する管路の一部がEV機器の筐体に直接接触して冷媒とEV機器とが直接熱交換してもよく、もしくは、冷媒と二次媒体とが熱交換してもよい。または、冷媒通路25とEV機器との間に、たとえばウィック式のヒートパイプなどの、任意の公知の伝熱装置を介在させ、伝熱装置を経由してEV機器から冷媒へ熱伝達する構成としてもよい。
[冷却装置1の動作]
冷媒は、圧縮機12と熱交換器14,15と膨張弁16と熱交換器18とが冷媒通路21〜25によって順次接続された冷媒循環流路を通って、蒸気圧縮式冷凍サイクル10内を循環する。図3は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒の第一の状態を示すモリエル線図である。図3中の横軸は、冷媒の比エンタルピーを示し、縦軸は、冷媒の絶対圧力を示す。比エンタルピーの単位はkJ/kgであり、絶対圧力の単位はMPaである。図中の曲線は、冷媒の飽和蒸気線および飽和液線である。
図3中には、熱交換器14の出口から気液分離器40を経由して冷媒通路34へ流れ、冷却部30へ流入してEV機器を冷却する、蒸気圧縮式冷凍サイクル10中の各点における冷媒の熱力学状態が示される。冷却部30から流出した冷媒の一部は、冷媒通路36を経由して熱交換器15の入口側の冷媒通路22へ戻る。
図3に示すように、圧縮機12に吸入された冷媒は、圧縮機12において等比エントロピー線に沿って断熱圧縮される。圧縮するに従って冷媒の圧力と温度とが上昇し、冷媒は、圧縮機12の出口において高温高圧の過熱度の大きい過熱蒸気になる。
圧縮機12において断熱圧縮された高温高圧の過熱蒸気状態の冷媒は、熱交換器14へと流れ、熱交換器14において冷却される。圧縮機12から吐出された高圧の気相冷媒は、熱交換器14において周囲に放熱し冷却されることによって、凝縮(液化)する。熱交換器14における外気との熱交換によって、冷媒の温度は低下し冷媒は液化する。熱交換器14へ入った高圧の冷媒蒸気は、熱交換器14において等圧のまま過熱蒸気から乾き飽和蒸気になり、凝縮潜熱を放出し徐々に液化して気液混合状態の湿り蒸気になる。
熱交換器14で完全に液化しない程度まで冷やされた気液二相状態の冷媒は、気液分離器40において、飽和蒸気状態の冷媒蒸気と飽和液状態の冷媒液とに気液分離される。気液分離された冷媒のうち、液相の冷媒液が、気液分離器40から流出し、冷媒通路34を経由して冷却部30へ流れ、EV機器を冷却する。
冷却部30において、熱交換器14で凝縮され気液分離器40で分離された飽和液状態の液冷媒に熱を放出することで、EV機器が冷却される。冷媒は、EV機器から潜熱を受け取って一部気化することにより、冷却部30の出口において、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気となる。EV機器との熱交換により、冷媒が加熱され、冷媒の乾き度が増大する。
EV機器が発生する熱は、冷却部30に含まれる冷却器内を流れる冷媒に伝達されるとともに、内部熱交換器50において冷媒通路25を流れる冷媒に伝達される。EV機器は、冷却部30と内部熱交換器50との両方において冷却される。EV機器の発生する熱は、その一部が冷却器内を流れる冷媒に伝達され、他の一部が冷媒通路25を流れる冷媒に伝達され、これによりEV機器は効率よく冷却される。内部熱交換器50を設けることにより、冷却部30内を流れる冷媒への熱伝達量が相対的に減少するので、冷却部30出口における冷媒の乾き度は相対的に小さくなる。
冷却部30から流出した冷媒は、冷媒通路36,22を経由して、熱交換器15に流入する。冷媒の湿り蒸気は、熱交換器15において周囲に放熱し外気と熱交換して冷却されることにより再度凝縮され、冷媒の全部が凝縮すると飽和液になり、さらに顕熱を放出して過冷却された過冷却液になる。冷媒は、熱交換器15において、飽和温度以下にまで冷却される。熱交換器15で冷媒を過冷却液にするのは、その後の膨張弁16での減圧量、冷媒流量および冷房能力の制御を容易にするためである。
熱交換器15で過冷却液まで冷却された冷媒は、冷媒通路23を経由して、膨張弁16に流入する。膨張弁16において、過冷却液状態の冷媒は絞り膨張され、比エンタルピーは変化せず温度と圧力とが低下して、低温低圧の気液混合状態の湿り蒸気となる。膨張弁16から出た湿り蒸気状態の冷媒は、冷媒通路24を経由して熱交換器18へ流入する。
熱交換器18のチューブ内には、膨張弁16によって減圧された湿り蒸気状態の冷媒が流入する。冷媒は、熱交換器18のチューブ内を流通する際に、フィンを経由して蒸発潜熱を吸収することによって、等圧のまま蒸発し低圧高温ガスとなる。全ての冷媒が乾き飽和蒸気になると、さらに顕熱を吸収することによって冷媒は過熱蒸気となり、冷媒の温度が上昇する。
冷房運転時には、熱交換器18に接触するように空調用空気が導入され、熱交換器18において空調用空気と冷媒とが熱交換する。熱交換器18内での空調用空気から冷媒への熱伝達により、高温の空調用空気は冷却され温度が低下し、冷媒は空調用空気からの熱伝達を受けて加熱される。熱交換器18を流れる冷媒に熱が吸収されて温度が低下した空調用空気が車両の室内に再び戻されることによって、車室内の冷房が行なわれる。熱交換器18を経由して蒸気圧縮式冷凍サイクル10を循環する冷媒と、空調用空気と、の熱交換によって、空調用空気の温度が調節される。
熱交換器18から流出した冷媒は、冷媒通路25へ流れ、内部熱交換器50においてHV機器からの伝熱を受ける。冷媒は、内部熱交換器50においてHV機器の発熱により加熱され、過熱度がさらに大きくなる。その後冷媒は、圧縮機12に吸入される。圧縮機12は、熱交換器18および内部熱交換器50で加熱された冷媒を断熱圧縮する。
冷媒はこのようなサイクルに従って、圧縮、凝縮、絞り膨張、蒸発の状態変化を連続的に繰り返す。なお、上述した蒸気圧縮式冷凍サイクルの説明では、理論冷凍サイクルについて説明しているが、実際の蒸気圧縮式冷凍サイクル10では、圧縮機12における損失、冷媒の圧力損失および熱損失を考慮する必要があるのは勿論である。
蒸気圧縮式冷凍サイクル10の運転中に、冷媒は、蒸発器として作用する熱交換器18において蒸発する際に気化熱を空調用空気から吸収して、車両の室内の冷房を行なう。加えて、熱交換器14から流出し気液分離器40で気液分離された高圧の液冷媒が冷却部30へ流通し、EV機器と熱交換することでEV機器を冷却する。冷却装置1は、車両に搭載された発熱源であるEV機器を、車両の室内の空調用の蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用して、冷却する。
熱交換器18において空調用空気を冷却するために設けられた蒸気圧縮式冷凍サイクル10を利用して、EV機器の冷却が行なわれるので、EV機器の冷却のために、専用の水循環ポンプまたは冷却ファンなどの機器を設ける必要はない。そのため、EV機器の冷却装置1のために必要な構成を低減でき、装置構成を単純にできるので、冷却装置1の製造コストを低減することができる。加えて、EV機器の冷却のためにポンプや冷却ファンなどの動力源を運転する必要がなく、動力源を運転するための消費動力を必要としない。したがって、EV機器の冷却のための消費動力を低減することができ、低動力でEV機器を冷却することができる。
熱交換器14では、冷媒を湿り蒸気の状態にまで冷却すればよく、熱交換器14の出口において気液二相状態にある冷媒は、気液分離器40内において、気相と液相とに分離される。気液混合状態の冷媒は気液分離器40により分離され、飽和液状態の冷媒液のみが冷媒通路34を経由して流れ、冷却部30に供給されてEV機器を冷却する。この液相冷媒は、過不足の全くない真に飽和液状態の冷媒である。気液分離器40から液相の冷媒のみを取り出し冷却部30へ流すことにより、熱交換器14の能力を最大限に活用してEV機器を冷却することができるので、EV機器の冷却能力を向上させた冷却装置1を提供することができる。
気液分離器40の出口で飽和液の状態にある冷媒を冷却部30に導入することにより、冷媒通路34,36および冷却器を含むEV機器の冷却系を流れる冷媒のうち、気相状態の冷媒を最小限に抑えることができる。そのため、EV機器の冷却系を流れる冷媒蒸気の流速が早くなり圧力損失が増大することを抑制でき、冷媒を流通させるための圧縮機12の消費電力を低減できるので、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の性能の悪化を回避することができる。
気液分離器40から熱交換器15へ向かう冷媒が流通する経路として、冷却部30を通過しない経路である冷媒通路22と、冷却部30を経由してEV機器を冷却する冷媒の経路である冷媒通路34,36および冷却器と、が並列に設けられる。冷媒通路34,36を含むEV機器の冷却系は、冷媒通路22に対し並列に接続されている。そのため、熱交換器14から流出した冷媒の一部のみが、冷却部30へ流れる。流量調整弁28の開度調整によって、気液分離器40から冷媒通路22へ流れる冷媒と、冷却部30を流れる冷媒と、の流量が適切に調整される。この流量調整により、EV機器の冷却のために必要な量の冷媒が冷却部30へ流れ、EV機器は適切に冷却される。
熱交換器14から冷却部30を経由せず直接熱交換器15へ流れる冷媒の経路と、熱交換器14から冷却部30を経由して熱交換器15へ流れる冷媒の経路と、を並列に設け、一部の冷媒のみを冷媒通路34,36へ流通させることで、EV機器の冷却系に冷媒が流れる際の圧力損失を低減することができる。全ての冷媒が冷却部30に流れないので、冷却部30を経由する冷媒の流通に係る圧力損失を低減することができ、それに伴い、冷媒を循環させるための圧縮機12の運転に必要な消費電力を低減することができる。
本実施の形態の冷却装置1では、蒸気圧縮式冷凍サイクル10において、圧縮機12から吐出された高圧の冷媒は、第一の凝縮器としての熱交換器14と、第二の凝縮器としての熱交換器15と、の両方によって凝縮される。圧縮機12と膨張弁16との間に二段の熱交換器14,15を配置し、EV機器を冷却する冷却部30は、熱交換器14と熱交換器15との間に設けられている。熱交換器15は、冷却部30から膨張弁16に向けて流れる冷媒の経路上に設けられている。
EV機器から蒸発潜熱を受け取り一部気化した湿り蒸気の状態の冷媒は、熱交換器15で再度冷却される。湿り蒸気状態の冷媒を凝縮させ完全に飽和液にするまで、冷媒は一定の温度で状態変化する。熱交換器15はさらに、車両の室内の冷房のために必要な程度の過冷却度にまで、液相冷媒を過冷却する。冷却部30で加熱された冷媒を熱交換器15において十分に冷却することにより、膨張弁16の出口において、冷媒は、車両の室内の冷房のために本来必要とされる温度および圧力を有する。
そのため、熱交換器18において冷媒が蒸発するときに外部から受け取る熱量を十分に大きくすることができ、熱交換器18を通過する空調用空気を十分に冷却できる。このように、冷媒を十分に冷却できる熱交換器15の放熱能力を定めることにより、車室内の空気を冷却する冷房の能力に影響を与えることなく、EV機器を冷却することができる。したがって、EV機器の冷却能力と、車室用の冷房能力との両方を、確実に確保することができる。
上述した通り、本実施の形態の冷却装置1は内部熱交換器50を備えるので、EV機器の発熱は、冷却部30と内部熱交換器50との両方において冷媒に伝達される。内部熱交換器50によって、高温のEV機器から熱交換器18出口の低温の冷媒への熱伝達が行なわれ、EV機器からの放熱が効率的に行なわれる。膨張弁16を通過した後の低温低圧の冷媒をEV機器の冷却に使用することで、内部熱交換器50を備えない場合と比較して、EV機器から冷却部30を流れる冷媒への熱伝達量が相対的に減少する。そのため、EV機器から冷却部30を流れる高圧状態の冷媒への放熱量を低減することができる。
これにより、熱交換器15出口で冷媒を所定の過冷却状態にまで冷却するために必要とされる熱交換器15の放熱能力を低減でき、熱交換器15の容量を低減することができる。したがって、本実施の形態の冷却装置1は、車室用の冷房能力およびEV機器の冷却能力を確保できるとともに、熱交換器15を小型化できるので冷却装置1の小型化および軽量化が可能となるため、車載用に有利な冷却装置1を得ることができる。
なお、内部熱交換器50を備えることにより、図3に示すように圧縮機12出口の比エンタルピーが増大するため、熱交換器14における必要冷却能力は増加する。しかしながら、熱交換器14における放熱量は冷媒と外気との温度差に比例するので、冷媒温度が高くなると冷媒と外気との温度差も増加する。そのため、熱交換器14の放熱量も自ずと増加するので、熱交換器14の大型化は必要ない。したがって、熱交換器14のサイズを維持しながら熱交換器15を小型化できるため、確実に冷却装置1を小型化することができる。
[変形例]
図4は、蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒の第二の状態を示すモリエル線図である。図4中の横軸は、冷媒の比エンタルピーを示し、縦軸は、冷媒の絶対圧力を示す。比エンタルピーの単位はkJ/kgであり、絶対圧力の単位はMPaである。図中の曲線は、冷媒の飽和蒸気線および飽和液線である。
本実施の形態の冷却装置1では、内部熱交換器50を備えることにより、上述した通り熱交換器15の小型化が可能になるが、熱交換器15を小型化せずに熱交換器15の放熱能力を維持することも可能である。図4には、図2に示す内部熱交換器50を備える冷却装置1において、熱交換器15の放熱量を維持する場合の、蒸気圧縮式冷凍サイクル10中の各点における冷媒の熱力学状態を示す。
冷却装置1の設計段階で熱交換器15の仕様を決定する際には、EV機器の最大発熱量を設計値として用いる。本実施の形態の冷却装置1では、EV機器の発熱の一部が内部熱交換器50に伝達されるので、熱交換器15は最大発熱量のEV機器を冷却しない状態になる。そのため、熱交換器15の能力に余裕ができ、熱交換器15において冷媒がより多くの空気と熱交換できるようになる。これは、熱交換器15が見かけ上大きくなり、熱交換器15の温度効率φcが高くなったと考えることができる。
熱交換器15における空気側の放熱能力Qcaは、熱交換器の温度効率φc、空気比熱Ca、空気重量風量Gea、および、冷媒温度Terから吸入空気温度Teaを減じた差(Ter−Tea)に比例する。必要な放熱能力Qcaは変わらず、また空気比熱Ca、空気重量風量Geaおよび吸入空気温度Teaは外気温度および車速に従って決まるので、温度効率φcが高くなった分、冷媒温度Terが低くなることになる。モリエル線図を参照すると、冷媒が気液二相状態のとき冷媒の温度と圧力とは線形の関係にあり、冷媒の圧力変化に従って冷媒の温度が変化する。つまり、熱交換器15での冷媒温度Terが低くなるとは、熱交換器15を流れる冷媒の圧力が低くなることを意味する。
図3と図4とを比較すると、図4に示すモリエル線図では、熱交換器14,15での冷媒の圧力がより低下している。蒸気圧縮式冷凍サイクル10の高圧が降下する結果、圧縮機12の出口での冷媒の圧力が相対的に低くてもよいことになる。そのため、圧縮機12で冷媒を断熱圧縮するための動力を低減することができ、圧縮機12の省動力化を達成することができる。したがって、車両の燃費を向上することができる。特に電気自動車においては、省動力化により、電費を直接向上することができる。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2の冷却装置1の構成を示す模式図である。図2に示す実施の形態2の冷却装置1は、実施の形態1とほぼ同等の構成を備えている。但し、実施の形態2では、内部熱交換器50は、冷却部30に対し上流側に設けられている。実施の形態2の内部熱交換器50は、熱交換器18から圧縮機12へ向かう冷媒の経路である冷媒通路25を流れる冷媒と、熱交換器14から冷却部30へ向かう冷媒の経路である冷媒通路34を流れる冷媒と、の間で熱交換する。
内部熱交換器50は、気液分離器40と冷却部30とを接続する管路と、熱交換器18と圧縮機12とを接続する管路と、の間での熱交換を可能にする。実施の形態2の内部熱交換器50として、公知の二重管式内部熱交換器を適用してもよい。このようにすれば、実施の形態2の内部熱交換器50として汎用品の熱交換器を使用でき、冷却装置1のコストを一層低減することができる。
図6は、実施の形態2の蒸気圧縮式冷凍サイクル10の冷媒の状態を示すモリエル線図である。図6中の横軸は、冷媒の比エンタルピーを示し、縦軸は、冷媒の絶対圧力を示す。比エンタルピーの単位はkJ/kgであり、絶対圧力の単位はMPaである。図中の曲線は、冷媒の飽和蒸気線および飽和液線である。実施の形態1および2は内部熱交換器50の配置のみが異なり、図3に示すモリエル線図と図6に示すモリエル線図とにおいて、膨張弁16の入口から圧縮機12の出口に至るまでの冷媒の状態は同じである。そのため、実施の形態2に特有の、熱交換器14から熱交換器15に至る経路における冷媒の熱力学状態において、以下に説明する。
図6に示すように、圧縮機12において断熱圧縮された高温高圧の過熱蒸気状態の冷媒は、熱交換器14へ流れ、熱交換器14において気液混合状態の湿り蒸気まで冷却される。気液二相状態の冷媒は、気液分離器40において気液分離され、飽和液状態の冷媒が冷媒通路34へ流れる。冷媒通路34を流れる冷媒は、内部熱交換器50において、冷媒通路25を流れる低温低圧の冷媒に熱を放出することにより、冷却される。飽和液状態の冷媒がさらに冷却されるので、内部熱交換器50で熱交換した後の冷媒は、過冷却液になる。過冷却液状態の冷媒が冷却部30へ流れ、EV機器を冷却する。
冷却部30において、EV機器で発生した熱を液冷媒に放出することで、EV機器が冷却される。冷媒は、EV機器から顕熱を受け取って温度上昇し、飽和液状態になり、さらにEV機器から潜熱を受け取って一部気化する。冷却部30の出口において、冷媒は、飽和液と飽和蒸気とが混合した気液二相状態の湿り蒸気となる。冷却部30から流出した冷媒の湿り蒸気は、熱交換器15において周囲に放熱し外気と熱交換して冷却されることにより再度凝縮され、冷媒の全部が凝縮すると飽和液になり、さらに顕熱を放出して過冷却された過冷却液になる。過冷却液状態の冷媒が膨張弁16に流入し、膨張弁16で絞り膨張される。
実施の形態2の冷却装置1は、冷却部30を経由して流れる冷媒を冷却する内部熱交換器50を備えることにより、内部熱交換器50を備えない場合と比較して、冷却部30出口での冷媒の乾き度が相対的に小さくなる。そのため、実施の形態1と同様に、熱交換器15で必要とされる放熱能力を低減でき、熱交換器15の用量を低減できるので、熱交換器15を小型化し、小型化および軽量化され車載用に有利な冷却装置1を得ることができる。
なお、これまでの実施の形態においては、EV機器を例として車両に搭載された電気機器を冷却する冷却装置1について説明した。電気機器としては、少なくとも作動によって熱を発生させる電気機器であれば、インバータ、モータジェネレータなどの例示された電気機器に限定されるものではなく、任意の電気機器であってもよい。冷却の対象となる電気機器が複数個ある場合においては、複数の電気機器は、冷却の目標となる温度範囲が共通していることが望ましい。冷却の目標となる温度範囲は、電気機器を作動させる温度環境として適切な温度範囲である。
さらに、本発明の冷却装置1により冷却される発熱源は、車両に搭載された電気機器に限られず、熱を発生する任意の機器、または任意の機器の発熱する一部分であってもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の冷却装置は、モータジェネレータおよびインバータなどの電気機器を搭載するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などの車両における、車内の冷房を行なうための蒸気圧縮式冷凍サイクルを使用した電気機器の冷却に、特に有利に適用され得る。
1 冷却装置、10 蒸気圧縮式冷凍サイクル、12 圧縮機、14,15,18 熱交換器、16 膨張弁、21〜25,34,36 冷媒通路、28 流量調整弁、30 冷却部、40 気液分離器、41 ポンプ、50 内部熱交換器、1000 車両。

Claims (4)

  1. 発熱源を冷却する冷却装置であって、
    冷媒を循環させるための圧縮機と、
    前記冷媒から外気へ熱を放出し前記冷媒を冷却する、直列に接続された第一熱交換器および第二熱交換器と、
    前記冷媒を減圧する減圧器と、
    空気から熱を吸収し前記冷媒を加熱する第三熱交換器と、
    前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間に並列に接続された二つの前記冷媒の経路のうちの一方に設けられ、前記冷媒への放熱により前記発熱源を冷却する冷却部と、
    前記第三熱交換器から前記圧縮機へ向かう前記冷媒と前記冷却部を経由して流れる前記冷媒とが熱交換する内部熱交換器と、を備える、冷却装置。
  2. 前記内部熱交換器は、前記第三熱交換器から前記圧縮機へ向かう前記冷媒の経路と前記冷却部との間で熱交換する、請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記内部熱交換器は、前記第三熱交換器から前記圧縮機へ向かう前記冷媒の経路と前記第一熱交換器から前記冷却部へ向かう前記冷媒の経路との間で熱交換する、請求項1に記載の冷却装置。
  4. 前記第一熱交換器によって凝縮された前記冷媒を気相と液相とに分離する気液分離器を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
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