JP2014152005A - 乗客コンベアシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】過大な積載負荷の状態が発生した乗客コンベアから早期に乗客を流出させて過大な積載負荷状態を脱する共に、過大な積載負荷が生じた乗客コンベアの乗場口に乗客が滞留するのを抑制することができる乗客コンベアシステムを提供することにある。
【解決手段】乗り始め号機以降の乗客コンベアに過大な積載負荷の状態が発生すると、乗り始め号機から乗客に音声案内を発して乗客の流入量を抑制すると共に、過大な積載負荷の状態となった乗客コンベアの運行を継続して乗客を流出をさせるようにした。これによれば、乗り始め号機以降の乗客コンベアで過大な積載負荷の状態が発生すると、乗り始め号機に流入する乗客を抑制することで過大な積載負荷の状態が発生した乗客コンベアへ向かう乗客量を低減できて乗客の滞留を抑制でき、しかも過大な積載負荷の状態が発生した乗客コンベアの運行を継続することで乗客を流出できるので早期に過大な積載負荷の状態を脱することができるようになる。
【選択図】図3

Description

本発明はエスカレータや電動道路等の乗客コンベアに係り、特に複数台の乗客コンベアを乗り継ぐようにした乗客コンベアシステムに関するものである。
例えば、最近の駅舎においては地下鉄に代表されるように地下深くに駅舎を構築し、複数台の乗客コンベアを組み合わせて乗客等を地上まで連続的に搬送する乗客コンベアシステムが採用されている。
そして、この種の乗客コンベアにおいては、一般に乗客コンベアの積載負荷(例えば、乗客や荷物の重量)が過大になる状態が生じると異常が発生しやすくなるため、乗客に対して乗り込みを制限する必要がある。例えば、特開平04−277191号公報(特許文献1)では、乗客コンベアの積載負荷が所定の負荷を越えると乗客に対して音声案内を発することが提案されている。尚、この特許文献1で提案されている技術は原則として1台の乗客コンベアを前提としたものである。
この場合、複数台の乗客コンベアを乗り継ぐように設置された乗客コンベアシステムにこの技術を適用すると、乗り始め号機以外の後続の乗客コンベアで過大な積載負荷が検出された場合では、その過大な積載負荷が生じた乗客コンベアのみで音声案内を出すことになる。このため、過大な積載負荷が生じた乗客コンベアよりも前の乗客コンベアの乗客の流入量を抑制しないと、過大な積載負荷が生じた乗客コンベアの乗場口に乗客が集中することとなり、乗客の滞留を発生させるという現象がある。
このような、複数台の乗客コンベアを組み合わせた乗客コンベアシステムの乗客の滞留を抑制するために、例えば、特開2010−6487号公報(特許文献2)では、或る乗客コンベアに異常等が発生すると、その乗客コンベアを停止すると共に、この乗客コンベアに乗り継ぎを行う直前の乗客コンベアの踏み板の移動速度を遅くすることで、乗客の流出量を低減して異常が生じた乗客コンベアの乗場口に乗客が滞留するのを防止することを提案している。
特開平04−277191号公報 特開2010−6487号公報
ところで、特許文献2で提案している技術は、或る乗客コンベアで異常が発生した場合にその乗客コンベアを停止させ、この異常が発生した乗客コンベアへ乗り継ぎを行なう直前の乗客コンベアの踏み板の移動速度を遅くするものであり、あくまでも異常が発生した乗客コンベアを停止させることを前提としたものである。
しかしながら、異常を生じさせる前の異常傾向の状態、例えば積載負荷が過大な状態になった場合に特許文献2に記された技術を適用すると、以下に述べるような不具合が生じることが考えられる。すなわち、積載負荷が過大な状態になった乗客コンベアを停止させるため、積載負荷が過大な状態を脱するとこの乗客コンベアの再起動を行う必要が生じ、その間に停止された乗客コンベアの乗客は乗客コンベアを利用することができないという課題がある。このため、この乗客コンベアが早期に積載負荷が過大な状態を脱することができないという問題があった。
また、積載負荷が過大となった乗客コンベアの直前の乗客コンベアの踏み板の移動速度を強制的に落とすため、乗客としては遅くなった理由を把握していないので不審に思うこともあり、サービス性の低下につながることになる。更に、これに起因して乗客が遅くなった理由を把握していないが故に、乗客が無理に過大な積載負荷となった乗客コンベアに乗り込む場合があり、結果的に乗客コンベアの異常や故障を惹起することが考えられる。
そもそも過大な積載負荷は、この乗客コンベアに乗り込む乗客の流入量を抑制する共に、乗客コンベアから乗客を早期に流出させれば解消するものである。したがって、このような要求を満足する制御を行なえば上述した課題を解決することができることになる。もちろんこのような制御を行なえば、過大な積載負荷が生じた乗客コンベアの乗場口に乗客が滞留するのを抑制することもできるようになるものである。
本発明の目的は、例えば、過大な積載負荷の状態のような異常傾向が発生した乗客コンベアから早期に乗客を流出させて異常傾向の状態を脱する共に、異常傾向の状態が生じた乗客コンベアの乗場口に乗客が滞留するのを抑制することができる乗客コンベアシステムを提供することにある。
本発明の特徴は、乗り始め号機以降の乗客コンベアに異常傾向の状態が発生すると、乗り始め号機から乗客に音声案内を発して乗客の流入量を抑制すると共に、異常傾向の状態となった乗客コンベアの運行を継続して乗客を流出させるようにした、ところにある。
本発明によれば、乗り始め号機以降の乗客コンベアで異常傾向の状態が発生すると、乗り始め号機に流入する乗客を抑制することで異常傾向の状態が発生した乗客コンベアへ向かう乗客量を低減できて乗客の滞留を抑制でき、しかも異常傾向の状態が発生した乗客コンベアの運行を継続することで乗客を流出できるので早期に過大な積載負荷の状態を脱することができるようになる。
複数台の乗客コンベアを組み合わせた乗客コンベアシステムの構成を示す構成図である。 本発明の第1の実施形態(実施例1)になる乗客コンベアシステムの制御部の構成を示す構成図である。 本発明の第1の実施形態(実施例1)になる乗客コンベアシステムの制御フローチャート図である。 本発明の第2の実施形態(実施例2)になる乗客コンベアシステムの制御部の構成を示す構成図である。 本発明の第1の実施形態(実施例2)になる乗客コンベアシステムの制御フローの前半を示す制御フローチャート図である。 本発明の第1の実施形態(実施例2)になる乗客コンベアシステムの制御フローの後半を示す制御フローチャート図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の第1の実施形態(実施例1)を以下に説明する。本実施例においては、乗客が所定の目的地まで移動する際に、複数台の乗客コンベアを乗り継ぐように設置された乗客コンベアシステムに関するものである。即ち、図1に示す例は、乗客が移動の際に3台の乗客コンベア1A、乗客コンベア1B、及び乗客コンベア1Cを乗り継ぐ場合を示している。尚、乗客コンベア1Aは連続配置された3台の内の乗り始め号機を示し、乗客コンベア1Bは乗り始め号機である乗客コンベア1Aの上部乗降口から更に上階に続く乗客コンベアを示し、乗客コンベア1Cは乗客コンベア1Bの上部乗降口から更に上階に続く乗客コンベアを示している。よって、以下では『乗客コンベア1A』を『乗り始め乗客コンベア1A』と称し、『乗客コンベア1B、乗客コンベア1C』を『後続乗客コンベア1B、後続乗客コンベア1C』と称するものとする。
図1及び図2において、乗り始め乗客コンベア1Aには制御部3Aが設けられ、後続乗客コンベア1Bには制御部3Bが設けられ、後続乗客コンベア1Cには制御部3Cが設けられている。ここで、乗り始め乗客コンベア1A乃至後続乗客コンベア1Cの制御部3A乃至制御部3C間で信号の送受信が可能となるように構成されている。尚、乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aには乗客流入量を抑制する流入抑制部として機能する音声発生器、或いは放送装置4(以下、音声発生器という)が設けられており、乗り始め乗客コンベア1Aに乗り込む乗客に向けて音声案内を行なうことができるように構成されている。
図2は制御部3A乃至制御部3Cの構成例を説明する図であり、全体を纏めて制御装置2として描いている。制御部3A乃至制御部3Cの構成は実質的に同じ構成であるため、乗り始め乗客コンベア1AについてはAを、後続乗客コンベア1B、後続乗客コンベア1CについてはB、Cを符号に付して表し、各構成の具体的な説明は代表して後続乗客コンベア1Bについて説明する。乗り始め乗客コンベア1A乃至後続乗客コンベア1Cにおいて、同じ数字が付された構成はそれぞれ同じ機能を備えていることを意味する。尚、この図2に示す構成は具体的な回路を用いて実現しても良く、またマイクロコンピュータによるソフトウエア処理によって実現されるものであっても良いものである。
制御部3Bにおいて、後続乗客コンベア1Bの積載負荷を測定する負荷率測定部5Bが設けられている。この負荷率測定部5Bで測定される負荷率は後続乗客コンベア1Bに積載された乗客や荷物の重量である積載負荷を間接的に示す値であり実質的に等価である。
本実施例で使用する負荷率は、踏み板を駆動するための電動機に電力を供給するインバータ装置からのインバータ負荷情報(例えば、供給電力情報)に基づいて算出されるものである。具体的には、測定時のインバータ装置から電動機に送られる供給電力情報を設計上の最大積載量における供給電力情報で除した値に100[%]を乗じた値によって表されるものである。尚、負荷率は上述したように後続乗客コンベア1Bにかかる積載負荷を表せば良いものであるため、必ずしも負荷率でなくても良く、後続乗客コンベア1Bの枠体の下に設けた荷重計によって測定される負荷(荷重)や、乗降口に設けた赤外線センサによって乗客の数を計数して積載負荷を推定することや、カメラで撮影した映像を用いて乗客の乗り込み状態から積載負荷を推定することも可能である。要は、負荷率測定部5Bは乗客コンベアにどの程度の積載負荷が作用しているかを判断できれば良いものである。
本実施例において、このようにして得られた積載負荷である負荷率は異常傾向判断部として機能する検出部6Bに送信され、この検出部6Bで所定の上限負荷率である閾値と比較され、負荷率がこの閾値以上になった場合に検出部6Bは過大積載負荷検出信号を制御部3Aに設けられた乗り込み抑制制御部7へ送信するようになる。この上限負荷率である閾値は乗客コンベアの異常傾向を判断するものであり、本実施例では乗客コンベアにかかる積載負荷を判断するために用いられている。異常傾向はこの過大な積載負荷だけでなく種々のものがあるが、望ましくは過大な積載負荷に起因する異常傾向に対する対策が重要である。
異常傾向抑制制御部として機能する乗り込み抑制制御部7は、過大積載負荷検出信号を受信すると乗客の乗り込みを抑制するため、乗客コンベア装置1Bが過大積載負荷の状態にある旨を乗り始め乗客コンベア1Aに設けた音声発生器4から音声案内を発するように音声発生器4を駆動する。この音声発生器4からの音声案内は、例えば『踏み板を一枚あけてお乗りください。』といったもので、乗客が各踏み板の全てに乗り込むのを防止して乗客の流入量を抑制するものである。尚、踏み板を空ける間隔は1枚以上であっても良く、適切な乗客量になる枚数を決めれば良いものである。また、乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aで音声案内を発生させる理由は、最初の乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aからの乗客流入量を抑制しないとその抑制効果が十分得られないからである。
一方で、過大積載負荷の状態に陥った後続乗客コンベア1Bを特許文献2のように停止させると、この間に停止された後続乗客コンベア1Bの乗客は乗客コンベアを利用することができなくなってサービス性を低下させると共に、過大積載負荷の状態を脱するまで時間がかかるという課題がある。更に、積載負荷が過大な状態を脱するとこの後続乗客コンベア1Bの再起動を行う必要が生じ、この時に急に踏み板が駆動されると乗客の転倒を惹起することも考えられ、好ましいものではない。そこで本実施例では過大積載負荷の状態に陥った後続乗客コンベア1Bの運行を継続して乗客を速く流出させるようにしている。
次に、この具体的な制御を図3に示す制御フローチャートに基づき説明する。尚、この制御フローチャートは過大積載負荷の状態を検出して音声発生器4を駆動する場合の制御について記載しており、所定時間毎の起動周期に基づいて起動されるものである。
図3において、ステップS1では負荷率測定部5Bで測定された負荷率が所定の上限負荷率である閾値を超えたかを異常傾向判断部として機能する検出部6Bで判断する。このステップS1で負荷率が閾値を超えた乗客コンベアが存在しなかった場合はこの制御フローを終了して次の起動を待つものである。一方、ステップS1で、例えば後続乗客コンベア1Bで負荷率が閾値を超えたと判断するとステップS2に進む。
このステップS2では、異常傾向抑制制御部が流入抑制部を動作させ、乗り始め乗客コンベア1Aにおいて乗り込み抑制のため、後続乗客コンベア1Bにおいて過大積載負荷の状態が生じている旨の音声案内を音声発生器4から行う。この音声案内は上述したように、『踏み板を一枚あけてお乗りください。』といったもので、乗客が各踏み板の全てに乗り込むのを防止して乗客の流入量を抑制するものである。このように、音声案内を行なうことにより乗客の流入量を抑制する効果の他に、乗客に現在の状況を説明するためサービス性の向上につながることになる。更に、これに起因して乗客が現在の状況を把握できるため、乗客が無理に過大な積載負荷となった後続乗客コンベア1Bに乗り込むことが無くなり、結果的に後続乗客コンベア1Bの異常や故障を予防できるようになる。
ステップS2の処理を行った後、更にステップS3に進んで異常傾向抑制制御部は過大積載負荷の状態が生じている後続乗客コンベア1Bの運行を継続する。これによって、後続乗客コンベア1Bの乗客を速やかに流出させることができるので、早期に過大積載負荷の状態を脱することができるようになる。
このように、ステップS3を実行することによって乗客を流出させることができるため、過大積載負荷の状態が生じている後続乗客コンベア1Bが早期に過大積載負荷の状態を脱することができるようになり、更に、これを受けてステップS4に進んで異常傾向抑制制御部は負荷率が閾値を越えた乗客コンベアが無くなったかどうかを判断する。この場合は後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態で無くなったかどうかを判断している。このステップS4で依然として後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態であると判断されると再びステップS2に戻り、上述した制御を繰り返すものである。一方、ステップS4で後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態を脱したと判断されるとこの制御フローを終了して次の起動を待つようになる。
このように、本実施形態によれば、乗り始め号機の後に設けた乗客コンベアに過大積載負荷の状態が発生すると、乗り始め号機の乗客コンベアへの乗客の流入量を抑制することで、過大積載負荷の状態が発生した乗客コンベアへ向かう乗客量を抑制することができて乗客の滞留を少なくすることができるものである。また、過大積載負荷の状態が発生した乗客コンベアを継続して運行するため、この乗客コンベアに乗り込んでいる乗客を速やかに流出させることができるので早期に過大積載負荷の状態を脱することができるようになる。
尚、図2に示した実施例においては各乗客コンベアに制御部を設けているが、全体的にこれらを統合して1個の制御部で上記した制御を実行することも可能である。例えば、マイクロコンピュータに、各乗客コンベアの踏み板を駆動する電動機に電力を供給するインバータ装置から負荷情報を入力して上記した制御を行なうことで実現できるものである。
次に本発明の第2の実施形態(実施例2)について説明する。実施例1が音声案内によって乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aへの乗客流入量を抑制するようにしていたが、本実施例では乗り始め乗客コンベア1Aの乗客の単位時間当たりの流出量を抑制するようにした点で異なっているものである。尚、図5における図3に示す制御フローチャートと同じステップは同じ機能を備えているのでその説明は省略する。
図4に示す通り、本実施例では実施例1の図2の制御部の構成に加えて以下の構成を追加している。図4において、本実施例になる異常傾向抑制制御部として機能する乗り込み抑制制御部8は乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を制御することができる構成となっている。乗り込み抑制制御部8には音声案内による乗客流入量の抑制効果を判断するため、負荷率が閾値を越えた時(異常傾向が生じた時刻付近)における負荷率測定部5Aで測定された負荷率を記憶する記憶部9と、その記憶部9に記憶された積載負荷に対応する負荷率と乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aの時々刻々変化する負荷率とを比較する演算部10と、過大積載負荷の状態を検出した時からの継続時間をカウントすることのできるタイマ11を備えている。演算部10は、乗り始め乗客コンベア1Aの乗客の流入量が抑制されたか否かを判断する抑制効果判断部として機能する。タイマ11の継続時間は演算部10で、記憶部9に記憶された負荷率と乗り始め乗客コンベア1Aの時々刻々変化する負荷率とを比較するタイミングを決めるもので、この継続時間は演算部10に入力されている。演算部10は更に乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を調整する速度制御部12を制御するような構成となっている。速度制御部12は乗り始め乗客コンベア1Aの乗客の流入量を抑制する流出抑制部として機能する。
次に、この具体的な制御を図5A、図5Bに示す制御フローチャートに基づき説明する。尚、この制御フローチャートは図3に示す制御フローチャートと同じように所定時間毎の起動周期に基づいて起動されるものである。
図5Aに示す前半の制御フローにおいて、ステップS5ではステップS1で過大積載負荷が検出された時の乗り始め乗客コンベア1Aの負荷率を記憶部9により記憶する。尚、この他にステップS2の後に負荷率を測定するようにしても良いものである。
このステップS5が実行されると同時に、ステップS6おいてタイマ11により過大積載負荷が生じた時からの継続時間のカウントを開始する。この継続時間は任意の時間に設定することができるが、後述するように乗客の流入量の変化を判断できる時間に設定されることが重要である。
ステップS4で依然として後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態であると判断されるとステップS7に進み、一方で、後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態を脱したと判断されるとこの制御フローを終了して次の起動周期を待つことになる。このステップS7では、ステップS2で行った音声案内による乗り始め乗客コンベア1Aへの乗客流入量(乗客の乗り込み量)を抑制する効果があったのか否かを判断する抑制効果判断部の機能を備えている。
この判断方法として本実施例では、タイマ11で計測された継続時間が所定の時間を越えた時にステップS7の判断が行われるものである。つまり、ステップS4によって後続乗客コンベア1Bにおいて過大積載負荷の状態が解除されなかった時に、ステップS5で記憶した乗り始め乗客コンベア1Aの負荷率と、現時点の負荷率測定部5Aで測定された負荷率とを演算部10で比較し、記憶した負荷率よりも現時点で測定された負荷率が低かった場合、放送により乗り始め乗客コンベア1Aに乗り込んでくる乗客量が抑制できていると判断してステップS5に戻って音声案内を継続する。
一方、図5Bに示す後半の制御フローにおいて、ステップS7で記憶した負荷率よりも現時点で測定された負荷率が高かった場合、音声案内だけでは乗り始め乗客コンベア1Aへ乗り込んでくる乗客の流入量を抑制することが出来ないと判断してステップS8に進む。ステップS8においては音声案内では乗客の流入量を抑制できないので、音声案内より抑制力が高い制御動作を行うことを乗客に音声案内する。具体的には乗り始め乗客コンベア1Aの速度変更を行うため、乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度が遅くなる旨の音声案内、例えば『踏み板の移動速度を遅くします。お気を付け下さい。』といった案内を行なう。
この音声案内の後に、ステップS9に進んで乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を通常の速度より遅い抑制速度まで減速する。乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を低速の抑制速度にすることにより、後続の乗り継ぎ方向にある過大積載負荷の後続乗客コンベア1Bへ乗り込む乗客量を強制的に少なくするようにして乗客の流出量を抑制する。
このように、乗り始め乗客コンベア1Aの単位時間当たりの乗客の流出量を少なくし、更に過大積載負荷の状態にある後続乗客コンベア1Bの運行を継続することにより、この間に後続乗客コンベア1Bの乗客を流出させれば早期に過大積載負荷の状態を脱することができるようになる。つまり、乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1Aから流出する乗客より後続乗客コンベア1Bから流出する乗客の方が多くなり、速やかに後続乗客コンベア1Bの乗客量を減少させることができ、後続乗客コンベア1Bを過大積載負荷の状態から早期に解放することができる。もちろん、乗り始め乗客コンベア1Aの単位時間当たりの乗客の流出量が少なくなるので乗客の滞留も抑制されるものである。ここで、踏み板の移動速度を低速にする際は、乗り始め乗客コンベア1Aの乗客が急な減速により転倒しないように、徐々に減速をおこなって所定の抑制速度まで速度を下げることが望ましいものである。そこで、速度制御部12は乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を通常の速度から減速された抑制速度に徐々に減速する。
このように、ステップS7で音声案内による乗客の流入量を抑制する効果があったかどうかを判断し、この判断結果に応じて乗客の流入量、或いは流出量を抑制する方法を選択できる。このため、乗り始め乗客コンベア1Aへの乗り込みを強制的に大きく制限するといった輸送効率を著しく下げる対処方法を採用する必要がなくなるものである。
次に、ステップS10に進んで再び負荷率が閾値を越えた乗客コンベアが無くなったかどうかを判断する。この場合は後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態で無くなったかどうかを判断している。このステップS10で依然として後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態であると判断されると、再びこのステップS10に戻ってこの判断を継続する。この状態では乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板は依然として低速の抑制速度で移動されている。
一方、ステップS10で後続乗客コンベア1Bが過大積載負荷の状態を脱したと判断されると、ステップS9の実行による乗客の流出量の抑制効果があったとしてステップS11に進み、ステップS9で実行した乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の減速制御を解除して通常の移動速度へ戻す動作を実行する旨の音声案内、例えば『踏み板の移動速度を速くします。お気を付け下さい。』といった案内を行なう。
このステップS11の音声案内を行なった後にステップS12に進んで乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を通常の速度に復帰させる。ここで、踏み板の移動速度を通常の速度に戻す際は、乗り始め乗客コンベア1Aの乗客が急な加速により転倒しないように、徐々に加速をおこなって通常の移動速度まで速度を上げることが望ましいものである。そこで、速度制御部12は、流出抑制部の動作を停止するために、乗り始め乗客コンベア1Aの踏み板の移動速度を減速された抑制速度から通常の速度に徐々に加速する。
このように、本実施例では過大積載負荷が発生した時から所定時間経過後の乗り始め号機の乗客コンベアの負荷率に基づいて乗り始め号機の乗客コンベアの乗客流入量の抑制効果を判断し、この判断結果によって乗客の流入量を抑制するか、或いは乗客の流出量を抑制するかの方法を選択している。このため、過大積載負荷の状態がすぐに解消できる場合は音声案内によって乗客の流入量を抑制できるので乗客コンベアの利便性を下げることがなくなるものである。一方、過大積載負荷の状態がすぐに解消できない場合は踏み板の移動速度を遅くして乗客の流出量を抑制できるので効果的に過大積載負荷の状態を解消できるようになる。
尚、本実施例ではステップS7以降では乗り始め乗客コンベア1Aの音声による乗客流入量の抑制を行なっていないが、ステップS7からステップS10の間にステップS2の処理を実行することで、乗り始め乗客コンベア1Aの音声による乗客流入量の抑制と減速制御による乗客流出量の抑制の両方を行なうようにしても良い。
更に、実施例1及び実施例2では3台の乗客コンベアの内、中央の後続乗客コンベア1Bが異常傾向にある場合を説明したが、最終段の後続乗客コンベア1Cが異常傾向にある場合であっても同じ動作を行なうものである。尚、乗り始め号機である乗り始め乗客コンベア1A異常傾向にある場合は音声による乗客流入量の抑制を行なうだけとなる。
以上に述べたように、本発明においては乗り始め号機以降の乗客コンベアに異常傾向の状態が発生すると、乗り始め号機から乗客に音声案内を発して乗客の流入量を抑制すると共に、異常傾向の状態となった乗客コンベアの運行を継続して乗客を流出させるようにした。これによって、乗り始め号機以降の乗客コンベアで異常傾向の状態が発生すると、乗り始め号機に流入する乗客を抑制することで、異常傾向の状態が発生した乗客コンベアへ向かう乗客量を低減できて乗客の滞留を抑制でき、しかも異常傾向の状態が発生した乗客コンベアの運行を継続することで乗客を流出できるので早期に過大な積載負荷の状態を脱することができるようになる。
1A、1B、1C…乗客コンベア、2…制御装置、3A、3B、3C…制御部、4…音声発生器、5A、5B、5C…負荷率測定部、6A、6B、6C…検出部、7…乗り込み抑制制御部、8…乗り込み抑制制御部、9…記憶部、10…演算部、11…タイマ、12…速度制御部。

Claims (14)

  1. 乗り始め乗客コンベアとこれに続く後続乗客コンベアよりなる複数の乗客コンベアを組み合わせて所定の目的地まで乗り継ぐようにされた乗客コンベアシステムにおいて、
    前記乗客コンベアの動作を制御する制御装置は、各乗客コンベアの積載負荷を検出する負荷検出部と、前記負荷検出部で検出された積載負荷によって異常傾向を判断する異常傾向判断部と、前記異常傾向判断部が前記後続乗客コンベアで異常傾向が生じたと判断すると前記乗り始め乗客コンベアの乗客流入量を抑制する機能を備える流入抑制部を動作させると共に、異常傾向が生じた前記後続乗客コンベアの運行を継続させる異常傾向抑制制御部とを有する制御部を備えていることを特徴とする乗客コンベアシステム。
  2. 請求項1において、
    前記異常傾向判断部は、前記負荷検出部で検出された積載負荷と予め設定された上限積載負荷である閾値とを比較して前記後続乗客コンベアに過大な積載負荷の状態が発生していることを判断することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  3. 請求項1乃至請求項2のいずれかにおいて、
    前記異常傾向判断部は、前記異常傾向判断部が異常傾向が生じたと判断した後にこの異常傾向が解消されると前記流入抑制部の動作を停止することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、
    前記負荷検出部は積載負荷として、前記各乗客コンベアの踏み板を駆動する電動機の負荷、前記各乗客コンベアに作用する荷重、前記各乗客コンベアに乗り込んだ乗客の人数のいずれか一つを検出し、この検出された前記負荷、前記荷重、前記人数のいずれかに基づいて前記異常傾向判断部で異常傾向を判断することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、
    前記負荷検出部は、前記各乗客コンベアの踏み板を駆動する電動機の負荷と、予め設定された前記電動機の上限負荷との比率である負荷率を求め、前記異常傾向判断部は前記負荷検出部で検出された負荷率と予め設定された上限負荷率である閾値とを比較して前記後続乗客コンベアに過大な積載負荷の状態が発生しているのを判断することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、
    前記流入抑制部は前記乗り始め乗客コンベアに設置された音声発生器であり、前記抑制機能は乗客に対して前記乗り始め乗客コンベアの流入量を抑制する旨の音声案内であることを特徴とする乗客コンベアシステム。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかにおいて、
    前記異常傾向抑制制御部は、前記異常傾向判断部が前記後続乗客コンベアで異常傾向が生じたと判断すると前記乗り始め乗客コンベアの乗客流入量を抑制する機能を備える前記流入抑制部と、前記乗り始め乗客コンベアの乗客流出量を抑制する機能を備える流出抑制部とを制御することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  8. 請求項7において、
    前記異常傾向抑制制御部は、前記流入抑制部によって乗客の流入量が所定の流入量以下に抑制されない場合は、前記流入抑制部の動作を停止して前記流出抑制部を動作させることを特徴とする乗客コンベアシステム。
  9. 請求項7において、
    前記異常傾向抑制制御部は、前記流入抑制部によって乗客の流入量が所定の流入量以下に抑制されない場合は、前記流入抑制部と共に、前記流出抑制部を動作させることを特徴とする乗客コンベアシステム。
  10. 請求項7乃至請求項9のいずれかにおいて、
    前記流出抑制部は、前記乗り始め乗客コンベアの踏み板の移動速度を通常速度より遅い抑制速度に減速することによって乗客の流出量を抑制する速度制御部であることを特徴とする乗客コンベアシステム。
  11. 請求項10において、
    前記速度制御部は、前記乗り始め乗客コンベアの踏み板の移動速度を通常の速度から抑制速度まで徐々に減速することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  12. 請求項7乃至請求項11のいずれかにおいて、
    前記異常傾向判断部は、前記異常傾向判断部が異常傾向が生じたと判断した後にこの異常傾向が解消されると前記流入抑制部及び前記流出抑制部の動作を停止することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  13. 請求項12において、
    前記速度制御部は、前記流出抑制部の動作を停止するために、前記乗り始め乗客コンベアの踏み板の移動速度を減速された抑制速度から通常の速度に徐々に加速することを特徴とする乗客コンベアシステム。
  14. 請求項7乃至請求項13のいずれかにおいて、
    前記異常傾向抑制制御部は、異常傾向が生じた時刻付近の前記乗り始め乗客コンベアの積載負荷を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された積載負荷と所定期間後の前記乗り始め乗客コンベアの積載負荷を比較し、前記記憶部に記憶された積載負荷より前記所定時間後の積載負荷の方が小さいと乗客の流入量が抑制されたと判断する抑制効果判断部とを有し、前記抑制効果判断部によって前記流入抑制部及び前記流出抑制部の動作を選択することを特徴とする乗客コンベアシステム。
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