JP2014151539A - 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルタの目詰まりを防止でき、吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できるとともに、流路抵抗の増加を防止でき、安定的かつ長期的な液体噴射が可能な液体噴射ヘッドおよびこの液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体導入路61と液体供給室37とを連通する液体流路42を備えた液体噴射ヘッド20であって、液体流路42は、液体流路42を通流するインクを濾過するフィルタ44と、フィルタ44よりもインクの通流方向の上流側であって、フィルタ44よりも−Z側に形成された第一液体室51と、フィルタ44よりも通流方向の下流側であって、フィルタ44よりも+Z側に形成された第二液体室54と、を備え、フィルタ44が設けられた領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2は、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっていることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

この発明は、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置に関するものである。
従来、記録紙等の被記録媒体にインク等の液体を噴射し、文字や図形等を記録する装置として、複数のノズル孔から被記録媒体に向かって液体を噴射する、いわゆるインクジェット方式の液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置が知られている。
また、液体噴射ヘッドとしては、例えば、ノズル孔に連通する複数のチャネルと、このチャネルのそれぞれに連通する共通なインク室となる液体供給室と、この液体供給室とインクが貯留されたインク貯留手段とを連通する液体流路の一部に配置したフィルタとを有するものが知られている。
例えば、特許文献1には、フィルタの鉛直方向上側を上流空間(請求項の「第一液体室」に相当。)とするとともに、鉛直方向下側を下流空間(請求項の「第二液体室」に相当。)とした流路基板を有する液体噴射ヘッドが記載されている。上流空間にはインク導入路が連通しており、下流空間にはインク供給路が連通しており、上流空間と下流空間とでインクの体積変化を小さくしている。特許文献1によれば、フィルタ前後の上流空間と下流空間とでインクの体積変化を小さくしてインクの流速の低下を抑えることにより、液体噴射ヘッドの内部空間内に残留する気泡を最小限に抑えることができるので、インク吐出特性の低下やバラツキを防止するとともに印字不良を防止し、かつ印字品質を向上することができるとされている。
ところで、液体噴射装置の液体噴射ヘッドから噴射されるインクとして、例えば顔料を含むインク(以下、「顔料インク」という。)が一般に広く使用される。また、顔料インクを使用する際、液体噴射装置の停止時において、液体噴射ヘッドの内部空間内で顔料やインク中の塵埃等の粒子が集まり固化する凝集や、顔料や塵埃等の粒子が下方に移動して蓄積される沈降が発生することが一般に知られている。
特開2004−82544号公報
従来技術の液体噴射ヘッドにあっては、フィルタの鉛直方向の上側に存在する上流空間内において、顔料や塵埃等の粒子の凝集や沈降が発生すると、フィルタの鉛直方向の上面に顔料や塵埃等が堆積し、フィルタの目詰まりが発生するおそれがある。これにより、液体噴射ヘッドの吐出特性の低下やバラつき等が発生し、安定して液体を噴射できないおそれがある。特に、液体噴射ヘッドからインクを噴射する場合には、フィルタの目詰まりに起因して、液体噴射装置の印字不良や印字品質の低下等が発生するおそれがある。
そこで、本発明は、フィルタの目詰まりを防止でき、吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できるとともに、流路抵抗の増加を防止でき、安定的かつ長期的な液体噴射が可能な液体噴射ヘッドおよびこの液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置の提供を課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の液体噴射ヘッドは、ノズル孔に連通する複数のチャネルと、前記複数のチャネルのそれぞれに連通する液体供給室と、液体が貯留された液体貯留手段に連通する液体導入路と、前記液体導入路と前記液体供給室とを連通する液体流路と、を備えた液体噴射ヘッドであって、前記液体流路は、前記液体流路を通流する前記液体を濾過するフィルタと、前記フィルタよりも前記液体の通流方向の上流側であって、前記フィルタよりも鉛直方向の下側に形成された第一液体室と、前記フィルタよりも前記通流方向の下流側であって、前記フィルタよりも前記鉛直方向の上側に形成された第二液体室と、を備え、前記フィルタが設けられた少なくとも一部の領域において、前記鉛直方向に沿う前記第二液体室の高さは、前記鉛直方向に沿う前記第一液体室の高さよりも低くなっていることを特徴としている。
本発明によれば、フィルタよりも液体の通流方向の上流側であって、フィルタよりも鉛直方向の下側に形成された第一液体室と、フィルタよりも通流方向の下流側であって、フィルタよりも鉛直方向の上側に形成された第二液体室と、を備え、フィルタが設けられた少なくとも一部の領域において、鉛直方向に沿う第二液体室の高さは、鉛直方向に沿う第一液体室の高さよりも低くなっているので、フィルタの上側の第二液体室に充填された液体の量をフィルタの下側の第一液体室に充填された液体の量よりも少なくすることができる。これにより、フィルタの上側の第二液体室に充填された液体中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量を、フィルタの下側の第一液体室に充填された液体中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量よりも相対的に少なくすることができるので、顔料や塵埃等の粒子の凝集や沈降が発生しても、フィルタの上面における顔料や塵埃等の堆積量を抑制できる。したがって、フィルタの目詰まりを防止できるので、液体噴射ヘッドの吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できるとともに、流路抵抗の増加を防止でき、安定的かつ長期的な液体噴射を可能とすることができる。
また、前記フィルタが設けられた全領域において、前記鉛直方向に沿う前記第二液体室の高さは、前記鉛直方向に沿う前記第一液体室の高さよりも低くなっていることを特徴としている。
本発明によれば、フィルタが設けられた全領域において、鉛直方向に沿う第二液体室の高さが鉛直方向に沿う第一液体室の高さよりも低くなっているので、フィルタの上側の第二液体室に充填された液体の量を、フィルタの下側の第一液体室に充填された液体の量よりも大幅に少なくすることができる。したがって、フィルタの上面における顔料や塵埃等の堆積量を大幅に抑制できるので、フィルタの目詰まりをさらに防止できる。
また、前記第二液体室の少なくとも一部における前記通流方向と直交する断面積は、前記第一液体室の前記通流方向と直交する断面積よりも小さくなっていることを特徴としている。
本発明によれば、第二液体室の少なくとも一部における通流方向と直交する断面積が、第一液体室の通流方向と直交する断面積よりも小さくなっているので、ベンチュリ効果により、第二液体室における液体の流速を第一液体室における液体の流速よりも増加させることができる。これにより、液体中の顔料や塵埃等を上流側から下流側に向かって速やかに移動させることができるので、顔料や塵埃等がフィルタの上面に堆積するのを抑制でき、フィルタの目詰まりをさらに防止できる。
また、前記第一液体室の底面は、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の上側に漸次傾斜する傾斜面となっていることを特徴としている。
本発明によれば、第一液体室の底面は、通流方向の上流側から下流側に向かって、鉛直方向の上側に漸次傾斜する傾斜面となっているので、第一液体室において液体中の顔料や塵埃等が上流側から下流側のフィルタに向かって移動するのを第一液体室の傾斜面で妨げることができる。また、第一液体室における通流方向と直交する断面積を上流側から下流側に向かって小さくすることができるので、第一液体室における液体の流速を、ベンチュリ効果によって上流側から下流側に向かって増加させることができる。したがって、顔料や塵埃等がフィルタの上面に堆積するのを抑制できるので、フィルタの目詰まりをさらに防止できる。
また、前記第二液体室の天面は、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の下側に漸次傾斜する傾斜面となっていることを特徴としている。
本発明によれば、第二液体室の天面は、通流方向の上流側から下流側に向かって、鉛直方向の下側に漸次傾斜する傾斜面となっているので、第二液体室における通流方向と直交する断面積を、上流側から下流側に向かって小さくすることができる。これにより、第二液体室における液体の流速を、ベンチュリ効果によって上流側から下流側に向かって増加させることができ、液体中の顔料や塵埃等を上流側から下流側に向かって速やかに移動させることができる。したがって、顔料や塵埃等がフィルタの上面に堆積するのを抑制できるので、フィルタの目詰まりをさらに防止できる。
また、前記第二液体室の底面は、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の下側に漸次傾斜する傾斜面となっていることを特徴としている。
本発明によれば、第二液体室の底面が通流方向の上流側から下流側に向かって、鉛直方向の下側に漸次傾斜する傾斜面となっているので、第二液体室の底面に沈降した顔料や塵埃等の粒子が第二液体室の傾斜した底面に沿うように、下側に移動できる。これにより、第二液体室において、顔料や塵埃等の粒子は、フィルタから離反するように通流方向の上流側から下流側に向かって移動できる。したがって、顔料や塵埃等がフィルタの上面に堆積するのを抑制できるので、フィルタの目詰まりをさらに防止できる。
また、前記フィルタは、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の下側に漸次傾斜していることを特徴としている。
本発明によれば、フィルタが通流方向の上流側から下流側に向かって、鉛直方向の下側に漸次傾斜しているので、フィルタの上面に沈降した顔料や塵埃等の粒子がフィルタの傾斜に沿うように、通流方向の上流側から下流側に向かって下側に移動できる。これにより、顔料や塵埃等がフィルタの上面に堆積するのを抑制できるので、フィルタの目詰まりをさらに防止できる。
また、前記フィルタは、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の上側に漸次傾斜していることを特徴としている。
本発明によれば、フィルタが通流方向の上流側から下流側に向かって、鉛直方向の上側に漸次傾斜しているので、フィルタの上面に沈降した顔料や塵埃等の粒子がフィルタの傾斜に沿うように、通流方向の下流側から上流側に向かって下側に移動できるとともに、液体中の顔料や塵埃等が上流側から下流側に向かって移動するのをフィルタで妨げることができる。特に、大型化した顔料や塵埃等の凝縮体を捕捉し、この凝縮体がフィルタよりも下流側に移動するのを抑制するのに好適である。
また、本発明の液体噴射装置は、上述した液体噴射ヘッドと、前記液体ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給管と、前記液体供給管に前記液体を供給する液体タンクと、を備えることを特徴としている。
本発明によれば、フィルタの目詰まりを防止でき、吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できる液体噴射ヘッドを備えているので、長期にわたり高性能を維持できる液体噴射装置を得ることができる。
本発明によれば、フィルタよりも液体の通流方向の上流側であって、フィルタよりも鉛直方向の下側に形成された第一液体室と、フィルタよりも通流方向の下流側であって、フィルタよりも鉛直方向の上側に形成された第二液体室と、を備え、フィルタが設けられた少なくとも一部の領域において、鉛直方向に沿う第二液体室の高さは、鉛直方向に沿う第一液体室の高さよりも低くなっているので、フィルタの上側の第二液体室に充填された液体の量をフィルタの下側の第一液体室に充填された液体の量よりも少なくすることができる。これにより、フィルタの上側の第二液体室に充填された液体中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量を、フィルタの下側の第一液体室に充填された液体中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量よりも相対的に少なくすることができるので、顔料や塵埃等の粒子の凝集や沈降が発生しても、フィルタの上面における顔料や塵埃等の堆積量を抑制できる。したがって、フィルタの目詰まりを防止できるので、液体噴射ヘッドの吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できるとともに、流路抵抗の増加を防止でき、安定的かつ長期的な液体噴射を可能とすることができる。
実施形態に係る液体噴射装置の説明図である。 第一実施形態に係る液体噴射ヘッドの斜視図である。 第一実施形態に係る液体噴射ヘッドの正面図である。 ヘッドチップの分解斜視図である。 ヘッドチップの一部を拡大した分解斜視図である。 図3のA−A線に沿う断面図である。 第二実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。 第三実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。 第四実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。 第五実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。 第六実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
以下に、この発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
以下では、まず実施形態に係る液体噴射装置について説明したあと、各実施形態に係る液体噴射ヘッドについて説明をする。
図1は、実施形態に係る液体噴射装置1の説明図である。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1に示すように、液体噴射装置1は、複数(本実施形態では4個)の液体噴射ヘッド20と、液体噴射ヘッド20に液体を供給する液体供給管6と、液体供給管6に液体を供給する液体ポンプ4および複数(本実施形態では4個)の液体タンク5とを備えている。また、液体噴射装置1は、紙等の被記録媒体15を主走査方向に搬送する一対の搬送手段12,13と、液体噴射ヘッド20を載置するキャリッジユニット14と、液体噴射ヘッド20を主走査方向と直交する副走査方向に走査する移動機構11とを備えている。図示しない制御部は、液体噴射ヘッド20、移動機構11および搬送手段12,13を制御して駆動する。また、図示しない圧力センサーや流量センサーを設置し、液体の流量や圧力を制御することもある。
なお、以下の説明においては、主走査方向(被記録媒体15の搬送方向)をX方向とし、被記録媒体15の供給側を−X側とし、被記録媒体15の排出側を+X側とする。また、副走査方向をY方向とし、図1における紙面奥側を−Y側とし、図1における紙面手前側を+Y側とする。また、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とし、図1における下側を−Z側とし、図1における上側を+Z側とする。
ここで、液体噴射装置1は、X方向、Y方向が水平方向に沿うように、かつZ方向が鉛直方向に沿うように載置して使用されるようになっている。また、+Z側は鉛直方向の上側に一致し、−Z側は鉛直方向の下側に一致している。すなわち、液体噴射装置1を載置した状態では、被記録媒体15上を液体噴射ヘッド20がX方向およびY方向に沿って走査するように構成されている。また、この液体噴射ヘッド20から鉛直方向の下側(−Z側)に向かって、液体として例えばインク滴が噴射され、このインク滴が被記録媒体15に着弾するように構成されている。以下では、必要に応じてXYZの直交座標系を用いて、液体噴射ヘッド20の各構成部品の詳細について説明する。
一対の搬送手段12,13は、Y方向に延び、ローラ面を接触しながら回転するグリッドローラとピンチローラを備えている。図示しないモータによりグリッドローラとピンチローラを軸周りに移転させてローラ間に挟み込んだ被記録媒体15を−X側から+X側に向かって搬送する。移動機構11は、Y方向に延びた一対のガイドレール7,8と、一対のガイドレール7,8に沿って摺動可能なキャリッジユニット14と、キャリッジユニット14を連結しY方向に移動させる無端ベルト9と、この無端ベルト9を図示しないプーリを介して周回させるベルト10とを備えている。
キャリッジユニット14は、複数の液体噴射ヘッド20を載置し、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液体を吐出する。液体タンク5は対応する色の液体を貯留し、液体ポンプ4および液体供給管6を介して液体噴射ヘッド20に供給する。各液体噴射ヘッド20は、駆動信号に応じて各色の液体を吐出する。液体噴射ヘッド20から液体を吐出させるタイミング、キャリッジユニット14を駆動するベルト10の回転および被記録媒体15の搬送速度を制御することにより、被記録媒体15上に任意のパターンを記録することできる。液体噴射ヘッド20としては、後述する各実施形態の液体噴射ヘッド20を適用できる。
なお、本実施形態は、移動機構11がキャリッジユニット14と被記録媒体15を移動させて記録する液体噴射装置1であるが、これに代えて、キャリッジユニット14を固定し、移動機構11が被記録媒体15を2次元的に移動させて記録する液体噴射装置であってもよい。つまり、移動機構11は液体噴射ヘッド20と被記録媒体15とを相対的に移動させるものであればよい。
(第一実施形態の液体噴射ヘッド)
以下に、各実施形態に係る液体噴射ヘッドについて説明する。なお、以下の各実施形態に係る液体噴射ヘッド20説明におけるXYZの直交座標系は、図1における液体噴射装置1のXYZの直交座標系に対応している。
図2は、第一実施形態に係る液体噴射ヘッド20の斜視図であり、図3は、第一実施形態に係る液体噴射ヘッド20の正面図である。
図2および図3に示すように、第一実施形態に係る液体噴射ヘッド20は、被記録媒体15(図1参照)に対して、液体として例えばインクを噴射するヘッドチップ30と、ヘッドチップ30の+Y側に設けられる流路基板40と、この流路基板40に接続された液体貯留手段の一部である負圧調整部60と、ヘッドチップ30を駆動するための駆動回路等が搭載された制御回路基板70と、ヘッドチップ30と制御回路基板70とを電気的に接続する外部配線90と、を有している。ヘッドチップ30、流路基板40、負圧調整部60、制御回路基板70および外部配線90の各部材は、それぞれベースプレート80に固定されている。
図4は、ヘッドチップ30の分解斜視図であり、図5は、ヘッドチップ30の一部を拡大した分解斜視図である。
図4に示すように、ヘッドチップ30は、圧電アクチュエータ31を備えている。圧電アクチュエータ31は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックス等により、略矩形板状に形成されたものである。圧電アクチュエータ31は、+Y側の面(図2における流路基板40側の面)に開口し、Z方向に沿って延びるチャネル33を有している。チャネル33は、圧電アクチュエータ31の−Z側に接合されるノズルプレート38のノズル孔32に連通している。
チャネル33は、インクが充填されるものであって、横断面が矩形状に形成されている。チャネル33は、圧電アクチュエータ31のZ方向の全長にわたって、X方向に並んで複数本設けられており、各チャネル33は、側壁34により隔離されている。各チャネル33の−Z側の端部は、圧電アクチュエータ31の−Z側の端面まで延設されている。また、各チャネル33の+Z側の端部は、圧電アクチュエータ31の+Z側の端面の手前まで延びており、Y方向の深さが漸次浅くなっている。なお、圧電アクチュエータ31の各チャネル33は、例えば、円盤状のダイスカッターにより切削加工されて形成され、深さが漸次浅くなる部分は、ダイスカッターの外形状により形成される。
図5に示すように、チャネル33の側壁34には、Y方向における中間部よりも+Y側において、Z方向に沿う帯状に駆動電極35が形成されている。駆動電極35は、例えば斜め蒸着法により形成される。駆動電極35は、フレキシブルプリンテッドサーキット(FPC)等の外部配線90(図2参照)を介して、制御回路基板70(図2参照)に電気的に接続される。これにより、ヘッドチップ30には、制御回路基板70から駆動信号が入力される。
圧電アクチュエータ31のチャネル33の開口側(圧電アクチュエータ31の+Y側)には、カバープレート36が接合されている。このカバープレート36には、Y方向に貫通して形成された液体供給室37が設けられている。液体供給室37は、X方向に並設された各チャネル33の全体にわたって設けられており、複数のチャネル33のそれぞれに連通している。
カバープレート36は、例えば圧電アクチュエータ31と同じ材料であるPZTセラミックス等により、略矩形板状に形成されている。なお、カバープレート36を形成する材料は、PZTセラミックスに限定されることはなく、例えば、マシナブルセラミックスや他のセラミックス、ガラス等の低誘電体材料を用いてもよい。ただし、カバープレート36と圧電アクチュエータ31とを同じ材料により形成することにより、熱膨張を等しくすることができるので、温度変化に対するヘッドチップ30の反りや変形を抑制することができる。
図4に示すように、圧電アクチュエータ31とカバープレート36との接合体における−Z側の端面には、ノズルプレート38が接合されている。ノズルプレート38の各チャネル33に対応する位置には、各チャネル33のそれぞれに連通する複数のノズル孔32が形成されている。
ノズルプレート38は、圧電アクチュエータ31とカバープレート36との接合体の−Z側の端面の面積よりも大きくなっている。ノズルプレート38は、ポリイミドフィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いてノズル孔32を形成したものである。なお、インクの種類に対応して、ノズルプレート38の−Z側面には、例えばインクの付着等を防止するための撥水性を有する撥水膜が設けられていてもよい。
また、圧電アクチュエータ31とカバープレート36との接合体には、ノズル支持プレート39が接合されている。ノズル支持プレート39は、ノズルプレート38を安定して保持するためのものであり、ノズル支持プレート39の−Z側面がノズルプレート38の+Z側面に接合されている。このように、圧電アクチュエータ31、カバープレート36、ノズルプレート38およびノズル支持プレート39が接合されて、ヘッドチップ30を構成している。
図2に示すように、ヘッドチップ30は、圧電アクチュエータ31の−Y側の面がベースプレート80に接合されている。また、ヘッドチップ30のカバープレート36(図4参照)+Y側の面には、例えばOリング等を介して流路基板40が接合されており、カバープレート36の+Y側の面は、この流路基板40によって封止されている。
さらに、図3に示すように、流路基板40のX方向の中間部における+Z側には、Z方向に沿って延びる連通部61aが設けられている。連通部61aには、例えばステンレス等の金属材料により筒状に形成されたインク連通管61bが接続される。
インク連通管61bの+Z側には、所定量のインクを一時的に貯留する負圧調整部60が設けられている。連通部61aとインク連通管61bとは、負圧調整部60内に連通しており、流路基板40内に設けられた後述の液体流路42にインクを導入する液体導入路61を形成している。
負圧調整部60は、インクカートリッジ100(図1参照)にインク供給管101(図1参照)を介して接続されている。負圧調整部60は、ヘッドチップ30の液体供給室37およびチャネル33(いずれも図4参照)内のインクの圧力調整を行うものである。詳しくは、液体噴射ヘッド20がX方向(主走査方向)に沿って移動した際に、ヘッドチップ30内の圧力が変化し、ノズル孔32にインクの表面張力によって形成されたメニスカスが破壊されてしまうおそれがある。これに対して、ヘッドチップ30内の圧力変化を負圧調整部60によって調整することにより、安定したメニスカスを保持してインクを吐出できるようにしている。また、負圧調整部60は、その内部に所定量のインクを貯留することで、インク供給管101内の気泡がヘッドチップ30に混入するのを防止する気泡貯留にも寄与している。
図6は、図3のA−A線に沿う断面図である。
続いて、流路基板40の詳細について説明する。図6に示すように、流路基板40の内部には、液体導入路61と液体供給室37とを連通し、インクが通流する液体流路42が形成されている。液体流路42のうち、液体導入路61側がインクの通流方向の上流側とされ、ヘッドチップ30の液体供給室37側がインクの通流方向の下流側とされる。
液体流路42は、X方向に幅を有するとともに、液体導入路61の−Y側において−Z側に向かって立設された第一隔壁46と、カバープレート36の+Y側において+Z側に向かって立設された第二隔壁47とにより、A−A線に沿う断面が略クランク形状となるように形成されている。第一隔壁46の−Z側端面46aは、第二隔壁47の+Z側端面47aよりも−Z側に配置されている。また、第二隔壁47の+Z側端面47aは、液体供給室37の−Z側の内側面と略面一となるように配置されている。液体導入路61と液体流路42との間における第一隔壁46の−Z側端面46aに沿う仮想面は、液体導入路61と液体流路42との境界面S(図6において二点鎖線で図示)となっている。
液体流路42は、フィルタ44と第一液体室51と第二液体室54とを備えている。
フィルタ44は、液体流路42を通流するインクを濾過するためのものである。フィルタ44の材質は、インクを必要な清浄さまで濾過できれば特に限定されることはなく、例えばインク中の塵埃を濾過できるような網状、繊維状、多孔質状、粒状等のものが採用できる。具体的にフィルタ44としては、例えば、ステンレス等の金属材料やナイロン等の樹脂材料をメッシュ状に形成したものが好適である。
本実施形態のフィルタ44は、所定の厚みを有する板状に形成されており、液体流路42内の第一隔壁46と第二隔壁47との間において、XY平面(すなわち水平面)に沿って配置されている。また、フィルタ44の+Z側面44aは、第二隔壁47の+Z側端面47aと略面一となっている。また、フィルタ44の−Z側面44bは、第二隔壁47の+Z側端面47aと略面一となっている。
第一液体室51は、フィルタ44よりもインクの通流方向の上流側であって、フィルタ44よりも−Z側(鉛直方向の下側)に形成されている。第一液体室51は、略直方体状の空間となっている。第一液体室51の底面52は、XY平面(すなわち水平面)に沿って配置されている。フィルタ44の−Z側面44bと、第一液体室51の底面52との離間距離は、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1に相当する。
第二液体室54は、フィルタ44よりもインクの通流方向の下流側であって、フィルタ44よりも+Z側(鉛直方向の上側)に形成されている。第二液体室54は、略直方体状の空間となっており、第二隔壁47の+Z側端面47aが第二液体室54の底面となっている。第二隔壁47の+Z側端面47aおよび第二液体室54の天面55は、それぞれXY平面(すなわち水平面)に沿って配置されている。フィルタ44の+Z側面44aおよび第二隔壁47の+Z側端面47aと、第二液体室54の天面55との離間距離は、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2に相当する。
ここで、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2は、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっている。なお、本実施形態では、第二液体室の高さH2は、例えば0.3mm程度であり、第一液体室の高さH1は、例えば1.3mm程度である。このように、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2がZ方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっているので、フィルタ44の+Z側の第二液体室54に充填されるインクの量は、フィルタ44の−Z側の第一液体室51に充填されるインクの量よりも大幅に少なくなっている。このため、フィルタ44の+Z側の第二液体室54に充填されたインク中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量は、フィルタ44の−Z側の第一液体室51に充填されたインク中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量よりも相対的に少なくなる。
また、第二液体室54の高さH2が第一液体室51の高さH1よりも低くなっていることから、第二液体室54のXZ平面に沿う断面積(通流方向と直交する断面積)は、第一液体室51のXZ平面に沿う断面積(通流方向と直交する断面積)よりも小さくなる。したがって、インクが液体流路42を通流する際、インクの流れが第二液体室54によって絞られ、ベンチュリ効果によってインクの流速が増加する。
(効果)
本実施形態の液体噴射ヘッド20によれば、フィルタ44よりもインクの通流方向の上流側であって、フィルタ44よりもZ方向の下側に形成された第一液体室51と、フィルタ44よりも通流方向の下流側であって、フィルタ44よりもZ方向の上側に形成された第二液体室54と、を備え、フィルタ44が設けられ全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2は、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっているので、フィルタ44の+Z側の第二液体室54に充填されたインクの量をフィルタ44の−Z側の第一液体室51に充填されたインクの量よりも少なくすることができる。これにより、フィルタ44の+Z側の第二液体室54に充填されたインク中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量を、フィルタ44の−Z側の第一液体室51に充填されたインク中に含まれる塵埃やインクの顔料等の粒子の量よりも相対的に少なくすることができるので、顔料や塵埃等の粒子の凝集や沈降が発生しても、フィルタ44の+Z側面44aにおける顔料や塵埃等の堆積量を抑制できる。したがって、フィルタ44の目詰まりを防止できるので、液体噴射ヘッド20の吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できるとともに、流路抵抗の増加を防止でき、安定的かつ長期的な印字を可能とすることができる。
また、第二液体室54のXZ平面に沿う断面積(通流方向と直交する断面積)が、第一液体室51のXZ平面に沿う断面積(通流方向と直交する断面積)よりも小さくなっているので、ベンチュリ効果により、第二液体室54におけるインクの流速を第一液体室51におけるインクの流速よりも増加させることができる。これにより、インク中の顔料や塵埃等を上流側から下流側に向かって速やかに移動させることができるので、顔料や塵埃等がフィルタ44の+Z側面44aに堆積するのを抑制でき、フィルタ44の目詰まりをさらに防止できる。
また、本実施形態の液体噴射装置1によれば、フィルタ44の目詰まりを防止でき、吐出特性の低下やバラつき等の発生を抑制できる液体噴射ヘッド20を備えているので、長期にわたり高性能を維持できる。
(第二実施形態)
図7は、第二実施形態に係る液体噴射ヘッド20の説明図であり、図3のA−A線に沿う断面図に対応している。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、第二実施形態に係る液体噴射ヘッド20について説明する。
第一実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一液体室51の底面52が、XY平面、すなわち水平面に沿って配置されていた(図6参照)。
これに対して、図7に示すように、第二実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一液体室51の底面52のうち、Y方向の中間部分よりも−Y側の領域が、上流側から下流側に向かって+Z側に漸次傾斜する傾斜面52aとなっている。なお、第二施形態における傾斜面52aのXY平面(すなわち水平面)に対する傾斜角度は、インクの流速等に応じて種々設定が可能である。
フィルタ44の−Z側面44bと、第一液体室51の底面52における傾斜面52aの−Y側端部との離間距離は、Z方向に沿う第一液体室51の最小高さh1に相当する。Z方向に沿う第二液体室54の高さH2は、Z方向に沿う第一液体室51の最小高さh1よりも低くなっている。したがって、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2が、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっている。
(第二実施形態の効果)
第二実施形態によれば、第一液体室51の底面52のうち、Y方向の中間部分よりも−Y側の領域が、通流方向の上流側から下流側に向かって、+Z側に漸次傾斜する傾斜面52aとなっているので、第一液体室51においてインク中の顔料や塵埃等が上流側から下流側のフィルタ44に向かって移動するのを第一液体室51の傾斜面52aで妨げることができる。また、第一液体室51におけるXZ平面に沿う断面積(通流方向と直交する断面積)を上流側から下流側に向かって小さくすることができるので、第一液体室51におけるインクの流速を、ベンチュリ効果によって上流側から下流側に向かって増加させることができる。したがって、顔料や塵埃等がフィルタ44の+Z側面44aに堆積するのを抑制できるので、フィルタ44の目詰まりをさらに防止できる。
なお、第二実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一液体室51の底面52のうち、Y方向の中間部分よりも−Y側の領域が、上流側から下流側に向かって+Z側に漸次傾斜する傾斜面52aとなっていたが、第一液体室51の底面52の形状は、第二実施形態に限定されない。例えば、第一液体室51の底面52全体が、上流側から下流側に向かって+Z側に漸次傾斜する傾斜面となっていてもよい。
(第三実施形態)
図8は、第三実施形態に係る液体噴射ヘッド20の説明図であり、図3のA−A線に沿う断面図に対応している。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、第三実施形態に係る液体噴射ヘッド20について説明する。
第一実施形態の液体噴射ヘッド20は、第二液体室54の天面55が、XY平面(すなわち水平面)に沿って配置されていた(図6参照)。
これに対して、図8に示すように、第三実施形態の液体噴射ヘッド20は、第二液体室54の天面55のうち、Y方向の中間部分よりも−Y側の領域が、上流側から下流側に向かって−Z側に漸次傾斜する傾斜面55aとなっている。なお、第三実施形態における傾斜面55aのXY平面(すなわち水平面)に対する傾斜角度は、インクの流速等に応じて種々設定が可能である。
フィルタ44の+Z側面44aと、第二液体室54の天面55における傾斜面55a以外の領域との離間距離は、Z方向に沿う第二液体室54の最大高さh2に相当する。Z方向に沿う第二液体室54の最大高さh2は、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっている。したがって、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2が、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっている。
(第三実施形態の効果)
第三実施形態によれば、第二液体室54の天面55のうちY方向の中間部分よりも−Y側の領域が、通流方向の上流側から下流側に向かって、−Z側に漸次傾斜する傾斜面55aとなっているので、第二液体室54におけるXZ平面に沿う断面積(通流方向と直交する断面積)を、上流側から下流側に向かって小さくすることができる。これにより、第二液体室54におけるインクの流速を、ベンチュリ効果によって上流側から下流側に向かって増加させることができ、インク中の顔料や塵埃等を上流側から下流側に向かって速やかに移動させることができる。したがって、顔料や塵埃等がフィルタ44の上面に堆積するのを抑制できるので、フィルタ44の目詰まりをさらに防止できる。
なお、第三実施形態の液体噴射ヘッド20は、第二液体室54の天面55のうちY方向の中間部分よりも−Y側の領域が、上流側から下流側に向かって−Z側に漸次傾斜する傾斜面55aとなっていたが、第二液体室54の天面55の形状は、第三実施形態に限定されない。例えば、第二液体室54の天面55全体が、上流側から下流側に向かって−Z側に漸次傾斜する傾斜面となっていてもよい。
(第四実施形態)
図9は、第四実施形態に係る液体噴射ヘッド20の説明図であり、図3のA−A線に沿う断面図に対応している。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、第四実施形態に係る液体噴射ヘッド20について説明する。
第一実施形態の液体噴射ヘッド20は、第二液体室54の底面である第二隔壁47の+Z側端面47aが、XY平面(すなわち水平面)に沿って配置されていた(図6参照)。
これに対して、図9に示すように、第四実施形態の液体噴射ヘッド20は、第二液体室54の底面である第二隔壁47の+Z側端面47aが、上流側から下流側に向かって−Z側に漸次傾斜する傾斜面となっている。なお、第四施形態における第二隔壁47の+Z側端面47aのXY平面、すなわち水平面に対する傾斜角度は、インクの流速等に応じて種々設定が可能である。
(第四実施形態の効果)
第四実施形態によれば、第二液体室54の底面である第二隔壁47の+Z側端面47aが、通流方向の上流側から下流側に向かって、−Z側に漸次傾斜する傾斜面となっているので、第二液体室54の底面である第二隔壁47の+Z側端面47aに沈降した顔料や塵埃等の粒子が傾斜した第二隔壁47の+Z側端面47aに沿うように、−Z側に移動できる。これにより、第二液体室54において、顔料や塵埃等の粒子は、フィルタ44から離反するように通流方向の上流側から下流側に向かって移動できる。したがって、顔料や塵埃等がフィルタ44の+Z側面44aに堆積するのを抑制できるので、フィルタ44の目詰まりをさらに防止できる。
(第五実施形態)
図10は、第五実施形態に係る液体噴射ヘッド20の説明図であり、図3のA−A線に沿う断面図に対応している。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、第五実施形態に係る液体噴射ヘッド20について説明する。
第一実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一隔壁46の−Z側端面46aが、第二隔壁47の+Z側端面47aよりも−Z側に配置されており、第一隔壁46と第二隔壁47との間において、フィルタ44が、XY平面(すなわち水平面)に沿って配置されていた(図6参照)。
これに対して、図10に示すように、第五実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一隔壁46の−Z側端面46aが、第二隔壁47の+Z側端面47aよりも+Z側に配置されており、第一隔壁46と第二隔壁47との間において、フィルタ44が、上流側から下流側に向かって−Z側に漸次傾斜した状態で配置されている。なお、第五施形態におけるフィルタ44のXY平面(すなわち水平面)に対する傾斜角度は、インクの流速等に応じて種々設定が可能である。
フィルタ44の−Z側面44bにおけるフィルタ44の−Y側端部と第一液体室51の底面52との離間距離は、Z方向に沿う第一液体室51の最小高さh1に相当する。また、フィルタ44の+Z側面44aにおけるフィルタ44の−Y側端部と第二液体室54の天面55との離間距離は、Z方向に沿う第二液体室54の最大高さh2に相当する。そして、Z方向に沿う第二液体室54の最大高さh2は、Z方向に沿う第一液体室51の最小高さh1よりも低くなっている。したがって、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2が、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっている。
(第五実施形態の効果)
第五実施形態によれば、フィルタ44が通流方向の上流側から下流側に向かって、−Z側に漸次傾斜しているので、フィルタ44の+Z側面44aに沈降した顔料や塵埃等の粒子がフィルタ44の傾斜に沿うように、通流方向の上流側から下流側に向かって−Z側に移動できる。これにより、顔料や塵埃等がフィルタ44の+Z側面44aに堆積するのを抑制できるので、フィルタ44の目詰まりをさらに防止できる。
(第六実施形態)
図11は、第六実施形態に係る液体噴射ヘッド20の説明図であり、図3のA−A線に沿う断面図に対応している。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
続いて、第六実施形態に係る液体噴射ヘッド20について説明する。
第一実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一隔壁46と第二隔壁47との間において、フィルタ44が、XY平面(すなわち水平面)に沿って配置されていた(図6参照)。
これに対して、図11に示すように、第六実施形態の液体噴射ヘッド20は、第一隔壁46と第二隔壁47との間において、フィルタ44が、上流側から下流側に向かって+Z側に漸次傾斜した状態で配置されている。なお、第六施形態におけるフィルタ44のXY平面(すなわち水平面)に対する傾斜角度は、インクの流速等に応じて種々設定が可能である。
フィルタ44の−Z側面44bにおけるフィルタ44の+Y側端部と第一液体室51の底面52との離間距離は、Z方向に沿う第一液体室51の最小高さh1に相当する。また、フィルタ44の+Z側面44aにおけるフィルタ44の+Y側端部と第二液体室54の天面55との離間距離は、Z方向に沿う第二液体室54の最大高さh2に相当する。そして、Z方向に沿う第二液体室54の最大高さh2は、Z方向に沿う第一液体室51の最小高さh1よりも低くなっている。したがって、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2が、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっている。
(第六実施形態の効果)
第六実施形態によれば、フィルタ44が通流方向の上流側から下流側に向かって、+Z側に漸次傾斜しているので、フィルタ44の+Z側面44aに沈降した顔料や塵埃等の粒子がフィルタ44の傾斜に沿うように、通流方向の下流側から上流側に向かって−Z側に移動できるとともに、インク中の顔料や塵埃等が上流側から下流側に向かって移動するのをフィルタ44で妨げることができる。特に、大型化した顔料や塵埃等の凝縮体を捕捉し、この凝縮体がフィルタ44よりも下流側に移動するのを抑制するのに好適である。
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
各実施形態では、液体噴射装置1から噴射される液体として、顔料インクを例に説明をしたが、液体噴射装置1から噴射される液体は顔料インクに限定されない。
各実施形態では、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2が、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっていたが、フィルタ44が設けられた少なくとも一部の領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2が、Z方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっていればよい。ただし、フィルタ44が設けられた全領域において、Z方向に沿う第二液体室54の高さH2がZ方向に沿う第一液体室51の高さH1よりも低くなっているので、フィルタ44の+Z側の第二液体室54に充填されたインクの量を、フィルタ44の−Z側の第一液体室51に充填されたインクの量よりも大幅に少なくすることができる。したがって、フィルタ44の+Z側面44aにおける顔料や塵埃等の堆積量を大幅に抑制でき、フィルタ44の目詰まりを確実に防止できる点で各実施形態に優位性がある。
上述した各実施形態の液体噴射ヘッド20の構成を組み合わせてもよい。例えば、第二実施形態と第三実施形態とを組み合わせることにより、第一液体室51の底面52における一部の領域が傾斜面52aとなっており、かつ第二液体室54の天面55における一部の領域が傾斜面55aとなっている液体噴射ヘッド20としてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1・・・液体噴射装置 5・・・液体タンク 6・・・液体供給管 15・・・被記録媒体 11・・・移動機構 20・・・液体噴射ヘッド 32・・・ノズル孔 33・・・チャネル 37・・・液体供給室 42・・・液体流路 44・・・フィルタ 51・・・第一液体室 52・・・(第一液体室の)底面 52a・・・傾斜面 54・・・第二液体室 55・・・(第二液体室の)天面 55a・・・傾斜面 60・・・負圧調整部(液体貯留手段) 61・・・液体導入路

Claims (9)

  1. ノズル孔に連通する複数のチャネルと、
    前記複数のチャネルのそれぞれに連通する液体供給室と、
    液体が貯留された液体貯留手段に連通する液体導入路と、
    前記液体導入路と前記液体供給室とを連通する液体流路と、
    を備えた液体噴射ヘッドであって、
    前記液体流路は、
    前記液体流路を通流する前記液体を濾過するフィルタと、
    前記フィルタよりも前記液体の通流方向の上流側であって、前記フィルタよりも鉛直 方向の下側に形成された第一液体室と、
    前記フィルタよりも前記通流方向の下流側であって、前記フィルタよりも前記鉛直方 向の上側に形成された第二液体室と、
    を備え、
    前記フィルタが設けられた少なくとも一部の領域において、前記鉛直方向に沿う前記第二液体室の高さは、前記鉛直方向に沿う前記第一液体室の高さよりも低くなっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記フィルタが設けられた全領域において、前記鉛直方向に沿う前記第二液体室の高さは、前記鉛直方向に沿う前記第一液体室の高さよりも低くなっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1または2に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記第二液体室の少なくとも一部における前記通流方向と直交する断面積は、前記第一液体室の前記通流方向と直交する断面積よりも小さくなっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記第一液体室の底面は、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の上側に漸次傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記第二液体室の天面は、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の下側に漸次傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記第二液体室の底面は、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の下側に漸次傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記フィルタは、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の下側に漸次傾斜していることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドであって、
    前記フィルタは、前記上流側から前記下流側に向かって、前記鉛直方向の上側に漸次傾斜していることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  9. 請求項1に記載の液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させる移動機構と、
    前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給管と、
    前記液体供給管に前記液体を供給する液体タンクと、
    を備える液体噴射装置。
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