JP2014151272A - 高分子多孔質膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】小サイズのゲル状異物の除去が可能であり、かつ、ろ過寿命が長いフィルターの提供。
【解決手段】平均孔径が0.02〜1.0μmであり、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}で求められる空隙率εが、0.70〜0.85であり、かつ、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めた空隙率εである。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有することを特徴とする高分子多孔質膜。
【選択図】なし
【解決手段】平均孔径が0.02〜1.0μmであり、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}で求められる空隙率εが、0.70〜0.85であり、かつ、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めた空隙率εである。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有することを特徴とする高分子多孔質膜。
【選択図】なし
Description
本発明は、液体中に存在するゲルのような柔らかい異物を除去することに優れ、かつ、捕捉性能とろ過寿命に優れた高分子多孔質膜からなる液体ろ過フィルターに関する。
液体中の異物を除去するために、フィルターを用いたろ過技術が用いられる。硬い固形状異物の場合は、捕捉すべき異物の粒子径を考慮して、マイクロろ過、ウルトラろ過、ナノろ過と呼ばれる高精度ろ過技術が発達してきた。ナノサイズ異物のろ過では、ろ過時の圧損を低く抑えるために、厚み方向に孔径サイズが大きくなる傾斜構造のフィルターが用いられることが多い。他方、フィルターで除去すべき異物には、比較的柔らかいゲル状異物がある。ゲル状異物は、例えば、粉末状の成分を溶媒で溶解する工程等で発生する未溶解成分、ポリマー合成工程中において金属不純物との接触により発生した架橋成分等である。このような柔らかいゲル状異物に対して上記のフィルターを用いた場合では、せん断を受けた際に変形し、一旦フィルターで捕捉されても作用する圧力によりフィルターから押し出されてしまう。近年、光学用途用のポリマー、半導体製造用のレジスト、液晶ディスプレー製造用顔料分散レジスト、セラミックコンデンサー用スラリー中のバインダー樹脂等において、ゲル状異物除去への高精度ろ過の要求が高まっている。特に、半導体デバイスにおける、回路線幅の微細化に伴い、許容されるレジストパターン欠陥のサイズも微細化され、より小サイズのゲル状異物の除去の要求が高い。
フィルターとして空隙率の高い不織布を用いるとゲル状異物を効率的に捕捉することが可能であることが知られ、使用されている。しかしながら、50%を超えるような高空隙率の不織布では繊維同士の結着が強固でないため、ろ過時に目開きや圧密化によりろ過精度に問題があった。
以下の特許文献1には、このような問題を改善するための方法が提案されているが、小孔径のゲル状異物の高精度ろ過には不十分であった。
また、以下の特許文献2には、前述したマイクロろ過、ウルトラろ過、ナノろ過で使用されるフィルターと不織布を重ね合わせることにより、ろ過精度やろ過寿命を向上させるための方法が提案されている。各種不織布同士や不織布と各種フィルターとの組み合わせでは、ろ過精度に関してはある程度目的を達成することが可能であるものの、ろ過寿命に関しては不十分な技術であった。
以下の特許文献1には、このような問題を改善するための方法が提案されているが、小孔径のゲル状異物の高精度ろ過には不十分であった。
また、以下の特許文献2には、前述したマイクロろ過、ウルトラろ過、ナノろ過で使用されるフィルターと不織布を重ね合わせることにより、ろ過精度やろ過寿命を向上させるための方法が提案されている。各種不織布同士や不織布と各種フィルターとの組み合わせでは、ろ過精度に関してはある程度目的を達成することが可能であるものの、ろ過寿命に関しては不十分な技術であった。
K.K. Patel et al., Journal of Power Sources 122, 144 (2003)
F. Capuani et al., Journal of Chemical Physics 121, 973 (2004)
前記した従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、小サイズのゲル状異物の除去が可能であり、かつ、ろ過寿命が長い高分子多孔質膜からなる液体ろ過フィルターを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し実験を重ねた結果、フィルターを構成する多孔膜の構造が所定条件を満たすときに小サイズのゲル状異物の除去が可能であり、かつ、ろ過寿命を長くすることも可能となることを発見し、かかる発見に基づき、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]に記載するとおりものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]に記載するとおりものである。
[1]平均孔径が0.02〜1.0μmであり、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}で求められる空隙率εが、0.70〜0.85であり、かつ、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めた空隙率εである。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有することを特徴とする高分子多孔質膜。
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}で求められる空隙率εが、0.70〜0.85であり、かつ、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めた空隙率εである。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有することを特徴とする高分子多孔質膜。
[2]前記高分子多孔質膜を構成する高分子が、その構成単位の95モル%以上が下記化学式(3):
で表される1−オキソトリメチレンの繰り返し単位で構成された脂肪族ポリケトンである、前記[1]に記載の高分子多孔質膜。
[3]前記[1]又は[2]に記載の高分子多孔質膜からなる液体ろ過フィルター。
[4]フォトレジスト溶液用の、前記[3]に記載の液体ろ過フィルター。
本発明の高分子多孔質膜を液体ろ過フィルターとして用いた場合、溶液中の数μm以下の小サイズのゲル状異物をろ過により除去することが可能となり、長時間その性能が維持されるため、フィルター交換の頻度を少なくすることが可能となる。例えば、半導体製造に使用されるフォトレジスト溶液中の小サイズの未溶解ゲル物を除去することが可能となり、マイクロブリッジ欠陥の発生頻度が抑えられるため、半導体デバイス製造における収率を格段に向上させることができる。また、そのゲル物除去の性能が長時間にわたり維持されるため、フィルター交換頻度が減少し、コストダウンにも貢献することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子多孔質膜を構成する高分子は特に制限されないが、有機溶剤に対する耐性に優れている高分子の方が好ましい。そのような高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレン、ポリプロピレン、脂肪族ポリケトン、セルロース、アラミド等が挙げられる。有機溶剤中に長時間浸漬したときに、金属イオンや沸点の高いモノマーやオリゴマー等の溶出が少ない高分子であるポリエチレン、ポリプロピレン、脂肪族ポリケトンが好ましい。また、極性の高い有機溶剤や水との親和性に優れている点でポリケトンがより好ましい。
本発明の高分子多孔質膜を構成する高分子は特に制限されないが、有機溶剤に対する耐性に優れている高分子の方が好ましい。そのような高分子としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレン、ポリプロピレン、脂肪族ポリケトン、セルロース、アラミド等が挙げられる。有機溶剤中に長時間浸漬したときに、金属イオンや沸点の高いモノマーやオリゴマー等の溶出が少ない高分子であるポリエチレン、ポリプロピレン、脂肪族ポリケトンが好ましい。また、極性の高い有機溶剤や水との親和性に優れている点でポリケトンがより好ましい。
脂肪族ポリケトンは、エチレン性不飽和化合物と一酸化炭素が交互に共重した重合体である。高分子多孔質膜の強度を考慮するとエチレンと一酸化炭素が結合した化学式(3):
で表される1−オキソトリメチレンの繰り返し単位がその構成単位の内の95モル%以上である脂肪族ポリケトンがさらに好ましい。
本発明の高分子多孔質膜の平均孔径は、バブルポイント法(ASTMF316−86,JIS K3832)により測定された値として0.02〜1.0μmである。平均孔径が1.0μmより大きい場合には、目的とする溶液中の数μm以下の小サイズのゲル状異物を除去することが困難になり、平均孔径が0.02μmより小さい場合には、極端にフィルター寿命が低下する。本発明の高分子多孔質膜の平均孔径は、好ましくは0.05〜0.5μmであり、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
(式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。)で求められる空隙率εは、0.70〜0.85である。空隙率が0.7未満では、溶液中のゲルを除去するフィルターに使用したときに、昇圧速度が速く、フィルター寿命が短くなる。空隙率が0.85より大きい場合は、高分子多孔質膜の機械的な強度が弱くなり、フィルターへの加工時やフィルターとして使用している間に破損して漏れる場合がある。空隙率は、好ましくは0.75〜0.85であり、より好ましくは0.75〜0.80である。
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
(式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。)で求められる空隙率εは、0.70〜0.85である。空隙率が0.7未満では、溶液中のゲルを除去するフィルターに使用したときに、昇圧速度が速く、フィルター寿命が短くなる。空隙率が0.85より大きい場合は、高分子多孔質膜の機械的な強度が弱くなり、フィルターへの加工時やフィルターとして使用している間に破損して漏れる場合がある。空隙率は、好ましくは0.75〜0.85であり、より好ましくは0.75〜0.80である。
本発明の高分子多孔質膜においては、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めたが空隙率である。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有する必要がある。
指数αは、ブルッグマン指数とよばれ、多孔質膜のイオンの透過性に関連して空隙率以外の空間の質を表し、数値が小さいほどイオンを透過し易い多孔質膜であることを示す(非特許文献1:「K.K. Patel et al., Journal of Power Sources 122, 144 (2003)」参照)。指数αの値は、FIB−SEM等により高分子多孔質膜の3次元画像を数値化し、拡散シミュレーションによりD/D0を算出し(非特許文献2:「F. Capuani et al., Journal of Chemical Physics 121, 973 (2004)」参照)、高分子多孔質膜の空隙率εを測定することで、上記の数式(1)より求めることができる。本発明者らは、この指数αが1.6〜1.9の値となる構造を有する高分子多孔質膜が、ゲルを均一に効率よく捕捉することが可能で、フィルター寿命も長くなることを見出した。指数αの値が1.9より大きい高分子多孔質膜では、そのような効果が小さくなり、1.6より小さい高分子多孔質膜では、安定した性能を達成することが困難になる。好ましい指数αの値は1.6〜1.8であり、より好ましくは1.6〜1.7である。
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めたが空隙率である。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有する必要がある。
指数αは、ブルッグマン指数とよばれ、多孔質膜のイオンの透過性に関連して空隙率以外の空間の質を表し、数値が小さいほどイオンを透過し易い多孔質膜であることを示す(非特許文献1:「K.K. Patel et al., Journal of Power Sources 122, 144 (2003)」参照)。指数αの値は、FIB−SEM等により高分子多孔質膜の3次元画像を数値化し、拡散シミュレーションによりD/D0を算出し(非特許文献2:「F. Capuani et al., Journal of Chemical Physics 121, 973 (2004)」参照)、高分子多孔質膜の空隙率εを測定することで、上記の数式(1)より求めることができる。本発明者らは、この指数αが1.6〜1.9の値となる構造を有する高分子多孔質膜が、ゲルを均一に効率よく捕捉することが可能で、フィルター寿命も長くなることを見出した。指数αの値が1.9より大きい高分子多孔質膜では、そのような効果が小さくなり、1.6より小さい高分子多孔質膜では、安定した性能を達成することが困難になる。好ましい指数αの値は1.6〜1.8であり、より好ましくは1.6〜1.7である。
イオン透過性に関わるブラッグマン指数が、ゲルの捕捉性能やフィルター寿命に影響するメカニズムは明確ではないが、イオンが通りやすい構造は高分子多孔質膜の内部までゲルが拡散し、膜全体で捕捉する深層ろ過が達成しやすいことと関係していると考えられる。膜全体でゲルが比較的均一捕捉されるために、膜表面でゲルが捕捉される既存のメンブレンフィルターと比較して、ゲル補足による圧損の上昇が少なく、すなわちフィルター寿命が長くなる。また、厚損の上昇により、一旦フィルターで捕捉されたゲルが押し出されてしまう現象を防止することが可能となる。
次に、本発明の高分子多孔質膜の製造方法について、脂肪族ポリケトン(以下、単にポリケトンという。)の多孔質膜の製造方法を一例として説明する。
ポリケトンの重合方法としては、特に制限はないが、例えば、オートクレーブ等の反応容器の溶媒中で、エチレンと一酸化炭素を反応させる。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられ、これらの混合溶媒として使用してもよい。より好ましい溶媒としては、重合活性等のコストの観点から、水、メタノールである。
ポリケトンの原料としては、一酸化炭素とエチレンが主体となるが、ポリケトンの加工性を考慮して、エチレン以外のプロペン、ヘキセン、シクロヘキセン、スチレン等のエチレン性不飽和化合物を混合させる場合がある。
ポリケトンの重合方法としては、特に制限はないが、例えば、オートクレーブ等の反応容器の溶媒中で、エチレンと一酸化炭素を反応させる。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられ、これらの混合溶媒として使用してもよい。より好ましい溶媒としては、重合活性等のコストの観点から、水、メタノールである。
ポリケトンの原料としては、一酸化炭素とエチレンが主体となるが、ポリケトンの加工性を考慮して、エチレン以外のプロペン、ヘキセン、シクロヘキセン、スチレン等のエチレン性不飽和化合物を混合させる場合がある。
ポリケトンの重合は、溶媒に溶解した有機金属錯体触媒の存在下で進行する。なお、有機金属錯体触媒とは、周期律表の(a)第10族遷移金属化合物、(b)第15族の原子を有する配位子からなるものである。更に、かかる(a)第10族、(b)第15族の原子を有する配位子に、第3成分として(c)酸を加えてもよい。(a)成分中の第10族遷移金属化合物の例としては、ニッケル又はパラジウムの錯体、カルボン酸塩、リン酸塩、カルバミン酸塩、スルホン酸塩を挙げることができ、その具体例としては、酢酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、塩化パラジウム等を挙げることができる。(b)成分の第15族の原子を有する配位子の例としては、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン等のリン二座配位子を挙げることができる。(c)酸の例としては、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸のpKaが4以下の有機酸の陰イオンを挙げることができる。
有機金属錯体触媒として用いる遷移金属化合物(a)の使用量は、他の重合条件によってその好適な値が異なるため、一概にその範囲を定めることはできないが、好ましくは、反応帯域の容量1リットル当り0.1〜1000マイクロモルである。反応帯域の容量とは、反応器中の液相容量をいう。配位子(b)の使用量も制限されるものではないが、遷移金属化合物1モル当たり0.8〜3モルである。酸(c)の使用量は、パラジウム化合物1モル当たり、0.1〜100モルである。
有機金属錯体触媒は、遷移金属化合物(a)、配位子(b)、及び、好ましくは酸(c)を混合することによって生成する。有機金属錯体触媒の使用法についての制限はないが、予め、各成分の混合物からなる有機金属錯体触媒を調製してから反応容器内に添加することが好ましい。有機金属錯体触媒を調製する場合には、先ず、遷移金属化合物(a)及び配位子(b)を混合し、次いで、酸(c)を混合することが好ましい。触媒組成物の調製に用いる溶媒は、アルコール、アセトン、及びメチルエチルケトンから選ばれる有機溶媒が好ましい。また、上記(a)、(b)、及び(c)3成分からなる触媒に、重合活性を維持する効果が高いという観点から、ベンゾキノン、ナフトキノンの酸化剤を添加することが好ましい。これらキノン類の添加量は、遷移金属化合物1モル当たり10〜200モルである。キノン類の添加は、触媒組成物に添加してから反応容器に添加する方法、重合溶媒に添加する方法のいずれであってもよく、必要に応じて、反応中に反応容器内に連続的に添加してもよい。
重合温度は70〜150℃、重合圧力は1〜50MPaであることが好ましく、重合時間は1〜10時間である。重合が完了したポリケトンは懸濁液の状態で反応容器内から抜き出される。反応容器から抜き出された懸濁液は必要に応じてフラッシュタンクを通過させて、懸濁液内に残留する未反応の一酸化炭素およびエチレンを除去する。次いで、ポリケトン懸濁液を、重合溶媒に用いた溶媒と同一種類の溶媒を用いて洗浄しながら、遠心脱水機等の公知の遠心分級器によりポリケトン粉体と液体成分とを分離する。その後、加熱気体を吹き付ける方法、ポリケトン粉体を攪拌しながら加熱気体を通す方法等、公知の装置、方法を用いポリケトン粉体に残存する液体成分を乾燥、除去し、ポリケトンを単離する。
以上のようにして得られたポリケトンをレゾルシン水溶液に溶解する。レゾルシン水溶液の濃度は60〜72wt%の範囲である。また、ポリマー濃度は5〜30wt%の範囲である。レゾルシン水溶液の濃度とポリマー濃度との組合せにより、ポリケトン多孔質膜の孔径がコントロール可能であり、所望の孔径により適宜決められる。ポリケトンの極限粘度に特に制限は無いが、溶解性や多孔質膜への成形しやすさの観点から0.5〜5dl/gである。
以上のようにレゾルシン水溶液にポリケトンを溶解したドープを凝固剤で凝固させることで、平膜状または中空糸状のポリケトン多孔質膜を作成する。平膜形状であれば、Tダイ等のフィルムダイからドープを吐出して凝固浴中で凝固させる方法や、基材にダイコーター、ロールコーター、バーコーター等の装置を用いてドープを塗工した後に凝固浴中で凝固させる方法等、従来公知のものがそのまま適用できる。中空糸形状であれば、二重管オリフィスやC型オリフィスなどを用いて、外側の輪状オリフィスからはドープを、また、内側の円状オリフィスからは凝固剤を吐出しながら凝固浴中で凝固させる方法等、従来公知のものがそのまま適応できる。
凝固剤は、メタノール、エタノール、及びプロパノールから選択される水溶液であり、その濃度は35〜70wt%である。このようにして得られた凝固膜を、必要に応じて凝固剤や水等でさらに洗浄した後、70〜100℃の温水中に1〜30分間浸漬する。
上述の温水処理後のポリケトン多孔質膜を、必要に応じて、メタノール、エタノール、及びプロパノールから選択される溶媒に浸漬して、多孔質膜に含まれる水を溶媒と置換する。その後、加熱ロールに接触させる方法、熱風を吹きかける方法、電熱ヒーターで非接触加熱して乾燥する方法等、又はこれらを組み合わせた方法等、公知の乾燥方法で乾燥する。加熱ロールに接触させる方法が最も効率が良いため好適に選ばれる。乾燥温度は、60〜200℃の範囲で、乾燥させる液体の種類により適宜選ばれる。本発明のポリケトン多孔膜の乾燥では、乾燥時に収縮や延伸による面方向への変形が少ない方法であることが重要である。許容される面方向への変形倍率は0.9〜1.1の範囲である。
上述の温水処理後のポリケトン多孔質膜を、必要に応じて、メタノール、エタノール、及びプロパノールから選択される溶媒に浸漬して、多孔質膜に含まれる水を溶媒と置換する。その後、加熱ロールに接触させる方法、熱風を吹きかける方法、電熱ヒーターで非接触加熱して乾燥する方法等、又はこれらを組み合わせた方法等、公知の乾燥方法で乾燥する。加熱ロールに接触させる方法が最も効率が良いため好適に選ばれる。乾燥温度は、60〜200℃の範囲で、乾燥させる液体の種類により適宜選ばれる。本発明のポリケトン多孔膜の乾燥では、乾燥時に収縮や延伸による面方向への変形が少ない方法であることが重要である。許容される面方向への変形倍率は0.9〜1.1の範囲である。
乾燥後に、膜構造を安定化するために80〜200℃の範囲で熱処理を行う場合がある。熱処理を行うことで、ポリケトン多孔質膜を50〜150℃での加温状態で使用する場合や、水等の表面張力の高い溶媒を含浸させた後に再び乾燥させた場合に、膜構造の変形を抑制することが可能となる。その際にも、収縮や延伸による面方向への変形倍率が少ない方法が重要であり、許容される面方向への変形倍率は0.9〜1.1の範囲である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例における各測定値は、以下の測定方法によって求めた。
1.ポリケトンの極限粘度[η]
以下の定義式に基づいて極限粘度を求めた。
{式中、tは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールの25℃での粘度管の流下時間であり、Tは、該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトン希釈溶液の25℃での粘度管の流下時間であり、そしてCは、上記ポリケトン希釈溶液100ml中のグラム単位による溶質の質量値である。)。
実施例における各測定値は、以下の測定方法によって求めた。
1.ポリケトンの極限粘度[η]
以下の定義式に基づいて極限粘度を求めた。
2.平均孔径(μm)
PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200AEX)を用い、浸液にPMI社製のガルウィック(表面張力=15.6dynes/cm)を用い測定した。
PMI社のパームポロメーター(型式:CFP−1200AEX)を用い、浸液にPMI社製のガルウィック(表面張力=15.6dynes/cm)を用い測定した。
3.空隙率(ε)
空隙率(ε)は、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜を構成する高分子の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}により求めた。
空隙率(ε)は、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜を構成する高分子の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}により求めた。
4.ブルッグマン指数α
測定する高分子多孔質膜を、気相条件下でRuO4染色後、エポキシ樹脂(TAAB EPON812キット)で、60℃、12時間の条件で包埋した。これを、FEI社製のFIB−SEM(FEI Helios NanoLab 600)を用いて、10〜40nm範囲の所定のピッチでミリングしながら、200〜250枚の断面写真を撮影した。加工時の加速電圧は30kVであり、観察時の加速電圧は2kVとした。それぞれの画像を2値化処理とノイズ除去を行い、各断面写真から3次元構造を構築し、その構造に対する拡散シミュレーション(非特許文献2参照)を行い、D/D0を計算した。先に求めた高分子多孔質膜のεと、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、先に求めた空隙率である。}により、ブルッグマン指数αを計算した。
以下に、D/D0のシミュレーションによる計算方法の概要を示す。
Dを膜構造の上流にCin=2、下流にCount=1の拡散物質濃度を境界条件として与えた。自由空間中での拡散係数としてD0=0.04×(1+2√2)×0.9を与えた。これはシミュレーションがD0≦0.04×(1+2√2)で制限されており、またD0が大きいほど拡散が速く、早く定常状態になるため計算時間が少なくてすむことから選んだ。なお求めたいD/D0はD0の値には依存しない。これらの条件で膜の三次元空間に対して拡散シミュレーションを行い、濃度変化がなくなり定常状態になったところでシミュレーションを終了した。シミュレーション終了時の、膜の厚み方向の中心位置での、厚み方向の拡散フラックスJをシミュレーション結果から求め、次式によりDを求めた。
J=−D×(Cout−Cin)/L
この式は拡散フラックスの定義式である。Lは膜の厚みである。Cin、Contの選び方もD/D0の値には影響しない。
測定する高分子多孔質膜を、気相条件下でRuO4染色後、エポキシ樹脂(TAAB EPON812キット)で、60℃、12時間の条件で包埋した。これを、FEI社製のFIB−SEM(FEI Helios NanoLab 600)を用いて、10〜40nm範囲の所定のピッチでミリングしながら、200〜250枚の断面写真を撮影した。加工時の加速電圧は30kVであり、観察時の加速電圧は2kVとした。それぞれの画像を2値化処理とノイズ除去を行い、各断面写真から3次元構造を構築し、その構造に対する拡散シミュレーション(非特許文献2参照)を行い、D/D0を計算した。先に求めた高分子多孔質膜のεと、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、先に求めた空隙率である。}により、ブルッグマン指数αを計算した。
以下に、D/D0のシミュレーションによる計算方法の概要を示す。
Dを膜構造の上流にCin=2、下流にCount=1の拡散物質濃度を境界条件として与えた。自由空間中での拡散係数としてD0=0.04×(1+2√2)×0.9を与えた。これはシミュレーションがD0≦0.04×(1+2√2)で制限されており、またD0が大きいほど拡散が速く、早く定常状態になるため計算時間が少なくてすむことから選んだ。なお求めたいD/D0はD0の値には依存しない。これらの条件で膜の三次元空間に対して拡散シミュレーションを行い、濃度変化がなくなり定常状態になったところでシミュレーションを終了した。シミュレーション終了時の、膜の厚み方向の中心位置での、厚み方向の拡散フラックスJをシミュレーション結果から求め、次式によりDを求めた。
J=−D×(Cout−Cin)/L
この式は拡散フラックスの定義式である。Lは膜の厚みである。Cin、Contの選び方もD/D0の値には影響しない。
5.ゲルの捕捉率(%)、ろ過寿命(分)
5−1.メチルセルロースゲルでの測定法
和光純薬製メチルセルロース(25cP)を和光純薬製の蒸留水(60℃)に0.5wt%となるように混合し、10分間攪拌した。これを22〜23℃まで冷却して2時間放置した後、80μm孔径のナイロン製のネットフィルターでろ過した。さらに、5μm孔径のセルロース混合エステル素材フィルターでろ過して、メチルセルロースのゲルが含有した溶液(以下、「MC溶液」という。)を調製した。評価する高分子多孔質膜を直径47mmの円形に打ち抜き、それをアドバンテック東洋株式会社製のフィルターホルダーにセットした。図1に示す装置を用い、MC溶液を、定量ポンプにて26ml/分の流速でフィルターホルダーに送液し、セットした各高分子多孔質膜でろ過した(以下、ろ過された溶液を「ろ過後MC溶液」という。)。時間の経過とともにろ過圧力が上昇したが、100kPaまでの上昇に要した時間を、その高分子多孔質膜のろ過寿命とした。また、MC溶液とろ過後MC溶液の濁度を測定し、下記式により捕捉率(%)を計算した。
捕捉率(%)=(MC溶液の濁度−ろ過後MC溶液の濁度)/MC溶液の濁度×100
5−1.メチルセルロースゲルでの測定法
和光純薬製メチルセルロース(25cP)を和光純薬製の蒸留水(60℃)に0.5wt%となるように混合し、10分間攪拌した。これを22〜23℃まで冷却して2時間放置した後、80μm孔径のナイロン製のネットフィルターでろ過した。さらに、5μm孔径のセルロース混合エステル素材フィルターでろ過して、メチルセルロースのゲルが含有した溶液(以下、「MC溶液」という。)を調製した。評価する高分子多孔質膜を直径47mmの円形に打ち抜き、それをアドバンテック東洋株式会社製のフィルターホルダーにセットした。図1に示す装置を用い、MC溶液を、定量ポンプにて26ml/分の流速でフィルターホルダーに送液し、セットした各高分子多孔質膜でろ過した(以下、ろ過された溶液を「ろ過後MC溶液」という。)。時間の経過とともにろ過圧力が上昇したが、100kPaまでの上昇に要した時間を、その高分子多孔質膜のろ過寿命とした。また、MC溶液とろ過後MC溶液の濁度を測定し、下記式により捕捉率(%)を計算した。
捕捉率(%)=(MC溶液の濁度−ろ過後MC溶液の濁度)/MC溶液の濁度×100
5−2.豆乳でのゲルろ過寿命の測定法
上記の方法において、MC溶液に代えて、ソフトゲルである豆乳の脂肪分散球を成分とする豆乳(スジャータ製、「有機豆乳」)を水で40,000倍に希釈した溶液を用い、各高分子多孔質膜に対して、ろ過寿命と捕捉率を測定した。
上記の方法において、MC溶液に代えて、ソフトゲルである豆乳の脂肪分散球を成分とする豆乳(スジャータ製、「有機豆乳」)を水で40,000倍に希釈した溶液を用い、各高分子多孔質膜に対して、ろ過寿命と捕捉率を測定した。
[実施例1]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で65wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これをイソプロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔質膜の平均孔径は0.2μmであり、厚みは150μm、空隙率は0.82であった。また、このポリケトン多孔質膜の指数αを測定したところ1.73であった。また、メチルセルロースゲルでの測定法によるろ過寿命は60分間であり、捕捉率は92%であった。
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で65wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これをイソプロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔質膜の平均孔径は0.2μmであり、厚みは150μm、空隙率は0.82であった。また、このポリケトン多孔質膜の指数αを測定したところ1.73であった。また、メチルセルロースゲルでの測定法によるろ過寿命は60分間であり、捕捉率は92%であった。
[比較例1]
ミリポア社製のナイロン66多孔質膜(GNWP04700、孔径:0.2μm、厚み:170μm、空隙率:0.67)に対して、実施例1に従って比較を行った。このナイロン66多孔質膜の指数αを測定したところ2.04であった。また、メチルセルロースゲルでの測定法によるろ過寿命は10分間であり、捕捉率は82%であった。
ミリポア社製のナイロン66多孔質膜(GNWP04700、孔径:0.2μm、厚み:170μm、空隙率:0.67)に対して、実施例1に従って比較を行った。このナイロン66多孔質膜の指数αを測定したところ2.04であった。また、メチルセルロースゲルでの測定法によるろ過寿命は10分間であり、捕捉率は82%であった。
[比較例2]
日本インテグリス社製のポリエチレン多孔質膜(CWAG04700、孔径:0.2μm、厚み:130μm、空隙率:0.72)に対して、実施例1に従って比較を行った。このポリエチレン多孔質膜の指数αを測定したところ2.92であった。また、メチルセルロースゲルでの測定法によるろ過寿命は45分間であったが、捕捉率は21%であった。
日本インテグリス社製のポリエチレン多孔質膜(CWAG04700、孔径:0.2μm、厚み:130μm、空隙率:0.72)に対して、実施例1に従って比較を行った。このポリエチレン多孔質膜の指数αを測定したところ2.92であった。また、メチルセルロースゲルでの測定法によるろ過寿命は45分間であったが、捕捉率は21%であった。
[実施例2]
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で68wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これをイソプロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔質膜の平均孔径は0.45μmであり、厚みは150μm、空隙率は0.85であった。このポリケトン多孔質膜の指数αを測定したところ1.67であった。また、豆乳でのゲルろ過寿命は40分間であり、捕捉率は99%であった。
エチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度3.4dl/gのポリケトンを、ポリマー濃度10.7wt%で68wt%レゾルシン水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌したところ、ポリケトンは溶解して均一透明なドープが得られた。
得られたドープをアプリケータでガラス板に塗布した。これを50wt%のメタノール水溶液中に10分間浸漬して凝固させた後、水で洗浄し、さらに80℃の温水中に30分間浸漬した。これをイソプロパノールで溶媒置換した後、枠固定して80℃で乾燥を行った。
このようにして得られたポリケトン多孔質膜の平均孔径は0.45μmであり、厚みは150μm、空隙率は0.85であった。このポリケトン多孔質膜の指数αを測定したところ1.67であった。また、豆乳でのゲルろ過寿命は40分間であり、捕捉率は99%であった。
[比較例3]
ミリポア社製のナイロン66メンブレン(HNWP04700、孔径:0.45μm、厚み:170μm、空隙率:0.67)に対して、実施例1に従って比較を行った。このナイロン66多孔質膜の指数αを測定したところ2.22であった。豆乳でのゲルろ過寿命は5分間であり、捕捉率は99%であった。
ミリポア社製のナイロン66メンブレン(HNWP04700、孔径:0.45μm、厚み:170μm、空隙率:0.67)に対して、実施例1に従って比較を行った。このナイロン66多孔質膜の指数αを測定したところ2.22であった。豆乳でのゲルろ過寿命は5分間であり、捕捉率は99%であった。
[比較例4]
乾燥後に、220℃に保った電気加熱炉中で一方向に2倍延伸した以外は実施例1と同様の条件でポリケトン多孔質膜を作製した。この膜の平均孔径は0.4μmであり、厚みは80μm、空隙率は0.83であった。このポリケトン多孔質膜の指数αを測定したところ2.15であった。また、豆乳でのゲルろ過寿命は7分間であり、捕捉率は79%であった。
乾燥後に、220℃に保った電気加熱炉中で一方向に2倍延伸した以外は実施例1と同様の条件でポリケトン多孔質膜を作製した。この膜の平均孔径は0.4μmであり、厚みは80μm、空隙率は0.83であった。このポリケトン多孔質膜の指数αを測定したところ2.15であった。また、豆乳でのゲルろ過寿命は7分間であり、捕捉率は79%であった。
指数αが1.9以下である高分子多孔質膜を用いた実施例1と2では、指数αが1.9を超える高分子多孔膜を用いた比較例1〜4に比較して、ゲルろ過におけるろ過寿命が長くなり、また、捕捉率も同等又は高い結果となった。
本発明の高分子多孔質膜は、溶液中のゲルを、高捕捉率で長時間、除去することができ、フォトレジスト溶液中のゲル除去フィルター等の液体ろ過フィルターとして好適に利用可能である。
1 メチルセルロースゲル溶液又は豆乳
2 攪拌機
3 定量ポンプ
4 圧力計
5 フィルターホルダー、及び評価する高分子多孔質膜
2 攪拌機
3 定量ポンプ
4 圧力計
5 フィルターホルダー、及び評価する高分子多孔質膜
Claims (4)
- 平均孔径が0.02〜1.0μmであり、下記の数式(2):
ε=1−G/ρ/(t・A) (2)
{式中、Gは、高分子多孔質膜の重量(g)であり、ρは、高分子多孔質膜の密度(g/cm3)であり、tは、高分子多孔質膜の平均厚み(cm)であり、そしてAは、高分子多孔質膜の面積(cm2)である。}で求められる空隙率εが、0.70〜0.85であり、かつ、下記の数式(1):
D/D0=εα (1)
{式中、D0は、自由空間中でのイオン拡散係数であり、Dは、高分子多孔質膜中のイオン拡散係数であり、そしてεは、上記数式(2)で求めた空隙率εである。}における指数αが1.6〜1.9である膜構造を有することを特徴とする高分子多孔質膜。 - 請求項1又は2に記載の高分子多孔質膜からなる液体ろ過フィルター。
- フォトレジスト溶液用の、請求項3に記載の液体ろ過フィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013023116A JP2014151272A (ja) | 2013-02-08 | 2013-02-08 | 高分子多孔質膜 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020203718A1 (ja) | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 旭化成メディカル株式会社 | タンパク質の精製方法 |
CN116531962A (zh) * | 2023-07-06 | 2023-08-04 | 迈博瑞生物膜技术(南通)有限公司 | 一种聚酰胺微滤膜及其制备方法 |
-
2013
- 2013-02-08 JP JP2013023116A patent/JP2014151272A/ja active Pending
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