JP2014150889A - レーザ治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プローブを細径の構成とし、治療領域の熱凝固状態をリアルタイムでかつ明確に観察しながらレーザ治療を行い、治療領域のみに治療レーザ光を照射する。
【解決手段】プローブ2内に配置された導光部材22と、少なくとも照明レーザ光L1を導光部材2に供給する光源部3と、導光部材22の先端から出射される照明レーザ光L1を2次元走査させる走査機構4と、照明レーザ光L1の戻り光から観察対象部位の画像を構築する走査画像構築部5と、画像の一部の領域を治療領域に設定する治療領域設定部6と、治療領域設定後の画像内の観察対象部位の位置に基づいて治療レーザ光L2の供給の可否を判断する判断部7と、治療レーザ光L2の供給が許可された場合に治療領域のみで治療レーザ光L2が走査されるように光源部3から導光部材22へ治療レーザ光L2を供給させる制御部7とを備えるレーザ治療装置1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ治療装置に関するものである。
従来、生体の病変部にレーザ光を照射して組織を熱凝固させることにより病変部を治療するレーザ治療装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。特許文献1に記載の装置は、レーザ光が照射される領域の熱凝固状態を光干渉断層法(Optical Coherence Tomography;OCT)画像によってリアルタイムで撮影している。特許文献2に記載の装置は、走査型内視鏡と電子内視鏡とを備え、電子内視鏡画像によって治療領域の位置を特定し、特定された位置に走査型内視鏡によって治療用のレーザ光を照射している。
特開2002−113017号公報 特開2011−45461号公報
しかしながら、特許文献1の装置の場合、治療用のレーザ光が一点の微小な領域にのみ照射されるため、OCT画像を用いたとしても組織の熱凝固状態を明確に観察することが難しく、その結果、治療用のレーザ光の照射量を適切に調整することが難しいという問題がある。特許文献2の装置の場合、プローブと病変部との相対位置が変化したとしても、その相対位置の変化に治療用のレーザ光の走査範囲を追従させることにより、治療領域のみに治療レーザ光が照射することができるという利点があるものの、電子内視鏡と走査型内視鏡とが並列に設けられているためにプローブが大径化してしまうという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、プローブを細径の構成としつつ、治療領域の熱凝固状態をリアルタイムでかつ明確に観察しながらレーザ治療を行うことができ、また、治療領域のみに治療レーザ光を照射することができるレーザ治療装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、体内に挿入される細長いプローブと、該プローブ内に長手方向に沿って配置された細長い導光部材と、照明レーザ光および治療レーザ光のうち少なくとも前記照明レーザ光を単一の光軸に沿って出射して前記導光部材の基端に供給する光源部と、前記導光部材の先端部を該導光部材の長手方向に交差する2軸方向に振動させることによって前記導光部材の先端から出射される前記照明レーザ光および前記治療レーザ光を前記生体の観察対象部位上で2次元走査させる走査機構と、前記観察対象部位において反射された前記照明レーザ光の戻り光を検出して前記観察対象部位の走査画像を構築する走査画像構築部と、該走査画像構築部によって構築された前記走査画像の一部の領域を治療領域として設定する治療領域設定部と、該治療領域設定部によって前記治療領域が設定された後に前記走査画像構築部によって構築される前記走査画像内の前記観察対象部位の位置に基づいて、前記光源部から前記導光部材への前記治療レーザ光の供給を許可するか否かを判断する判断部と、該判断部によって前記治療レーザ光の供給が許可された場合に、前記観察対象部位のうち前記治療領域においてのみ前記治療レーザ光が走査されるように前記光源部から前記導光部材へ前記治療レーザ光を供給させ、前記判断部によって前記治療レーザ光の供給が許可されなかった場合に、前記光源部から前記導光部材へ前記治療レーザ光を供給させない制御部とを備え、前記判断部の判断結果に応じて、前記治療レーザ光を供給または停止するレーザ治療装置を提供する。
本発明によれば、生体内にプローブを挿入した状態で、光源部から導光部材に照明レーザ光が供給され、プローブの先端から生体内の組織に向かって照射される照明レーザ光が走査機構によって走査されることによって、生体内の観察対象部位の走査画像が画像構築部によって構築される。このときに、制御部が、観察対象部位のうち治療領域設定部によって設定された治療領域においてのみ照明レーザ光と共に治療レーザ光を走査させることにより、ユーザは、走査画像において治療領域の状態をリアルタイムにかつ明確に観察しながらレーザ治療を行うことができる。
この場合に、治療領域設定部によって治療領域が設定されて治療領域への治療レーザ光の照射が開始された後、判断部によって、走査画像内の観察対象部位の位置に基づいて治療用レーザ光の照射の可否が判断され、観察対象部位の位置が不適切であった場合には治療レーザ光の照射が迅速に停止される。これにより、治療領域のみに治療レーザ光を照射することができる。また、単一の導光部材を用いて観察対象部位の撮影と治療レーザ光の照射とを行うことにより、プローブを細径な構成にすることができる。
上記発明においては、前記判断部は、前記治療領域設定部によって前記治療領域が設定されたときの該治療領域と前記観察対象部位との相対位置を記憶し、その後に前記走査画像構築部によって構築される前記走査画像内の前記観察対象部位と前記治療領域との相対位置と記憶されている前記相対位置とのずれ量が所定の閾値以下であるときは、前記治療レーザ光の供給を許可し、前記ずれ量が前記所定の閾値よりも大きいときには、前記治療レーザ光の供給を許可しなくてよい。
このようにすることで、設定されている治療領域に対する観察対象部位の位置のずれを精度良く検出し、位置のずれが生じていた場合には迅速に治療レーザ光の照射を停止することができる。
また、上記発明においては、前記治療領域設定部によって設定された前記治療領域を前記走査画像に重畳して表示する走査画像表示部を備えてもよい。
このようにすることで、ユーザは、観察対象部位と治療領域との位置関係を走査画像表示部に表示されている走査画像から容易に把握することができる。
また、上記発明においては、前記治療領域設定部による前記治療領域の設定を解除する治療領域解除手段を備えてもよい。
このようにすることで、一度治療領域を設定した後に、別の治療領域を設定し直すことができる。
また、上記発明においては、前記光源部から前記導光部材への前記治療レーザ光の供給を強制的に停止させる治療レーザ光停止手段を備えてもよい。
このようにすることで、ユーザは、任意のタイミングで治療レーザ光の生体への照射を停止させることができる。
また、上記発明においては、前記治療領域設定部によって設定された前記治療領域の面積に応じて、前記光源部から前記導光部材に供給される前記治療レーザ光の強度を調整する治療レーザ光強度調整手段を備えてもよい。
このようにすることで、ユーザは、治療領域への治療レーザ光の照射量をさらに容易に調整することができる。
また、上記発明においては、前記治療領域設定部が、所定の閾値以上の面積を有する領域を前記治療領域として設定してもよい。
このようにすることで、治療領域が狭くなって走査画像において治療領域の熱凝固状態を確認し難くなること、および、それによって治療レーザ光の照射量を適切に調整することが難しくなることを防ぐことができる。
また、上記発明においては、前記走査機構が、前記導光部材の先端近傍に固定され前記導光部材の長手方向に伸縮可能な圧電素子と、該圧電素子に交番電圧を印加して前記圧電素子を前記長手方向に伸縮させる駆動部とを備えてもよい。
このようにすることで、簡便な構成で照明レーザ光および治療レーザ光を走査することができる。
また、上記発明においては、低コヒーレント光を出射する低コヒーレント光源と、該低コヒーレント光源から出射された前記低コヒーレント光を、前記光軸上において前記照明レーザ光および前記治療レーザ光と合波する合波部と、前記低コヒーレント光源と前記合波部との間に設けられ、低コヒーレント光源から出射された前記低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割して前記測定光を前記合波部へ出射すると共に、前記観察対象部位から戻ってくる前記測定光を前記参照光と干渉させる干渉部と、前記干渉部において得られる干渉信号から前記観察対象部位の断層画像を構築する断層画像構築部と、該断層画像構築部によって構築された前記断層画像を表示する断層画像表示部とを備えてもよい。
このようにすることで、治療領域の表面よりも深い位置における熱凝固状態をリアルタイムで観察することができる。
また、上記発明においては、前記走査画像構築部によって構築された前記走査画像の一部の領域を断層画像領域として設定する断層画像領域設定部を備え、前記制御部は、前記観察対象部位のうち前記断層画像領域においてのみ前記低コヒーレント光が走査されるように前記測定光を前記合波部へ供給させてもよい。
このようにすることで、観察対象部位のうち任意の領域を断層画像領域として設定することができる。
また、上記発明においては、前記断層画像領域設定部が、前記治療領域設定部によって設定された前記治療領域の周縁を前記断層画像領域として設定してもよい。
このようにすることで、ユーザによる操作を必要とすることなく、治療領域を囲む領域を断層画像領域として設定することができる。
本発明によれば、プローブを細径の構成としつつ、治療領域の熱凝固状態をリアルタイムでかつ明確に観察しながらレーザ治療を行うことができ、また、治療領域のみに治療レーザ光を照射することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係るレーザ治療装置の全体構成図である。 図1のレーザ治療装置が備えるプローブの先端部の(a)縦断面図および(b)II−II’線における横断面図である。 (a),(b)操作部の設定画面に表示される内視鏡画像と、(c)モニタに表示される内視鏡画像の一例である。 図1のレーザ治療装置の動作を示すフローチャートである。 治療レーザ光が出射されるタイミングを説明する図である。 (a),(b)図1のレーザ治療装置の第1の変形例において、操作部の設定画面に表示される内視鏡画像の一例である。 図1のレーザ治療装置の第2の変形例の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るレーザ治療装置の全体構成図である。 図8のレーザ治療装置の動作を示すフローチャートである。 モニタに表示される(a)内視鏡画像と(b)OCT画像の一例である。 モニタに表示される内視鏡画像の変形例である。
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係るレーザ治療装置1について図1から図7を参照して説明する。
本実施形態に係るレーザ治療装置1は、図1に示されるように、体内に挿入される細長いプローブ2と、該プローブ2に基端側から照明レーザ光L1および治療レーザ光L2を供給する光源部3と、プローブ2の先端から出射されるレーザ光L1,L2を生体Aの観察対象部位上において走査する走査機構4と、観察対象部位において反射された照明レーザ光L1の戻り光L1’の画像を構築する内視鏡画像構築部5と、治療レーザ光L2が照射される治療領域Xを設定する操作部(治療領域設定部)6と、制御部7と、モニタ(走査画像表示部)8とを備えている。
プローブ2は、図2に示されるように、可撓性を有する細長い筒状のシース21と、該シース21の内部に長手方向に沿って配置された照明ファイバ(導光部材)22および受光ファイバ23と、照明ファイバ22の先端側に配置された集束光学系24とを備えている。
照明ファイバ22は、光源部3からその基端側の入射端に供給された照明レーザ光L1および治療レーザ光L2を導光して、その先端側の出射端22aから出射する。該出射端22aから出射された照明レーザ光L1および治療レーザ光L2は、集束光学系24によって集束されて生体Aに照射される。
受光ファイバ23は、その先端面からなる受光面23aにおいて生体Aの観察対象部位からの照明レーザ光L1の戻り光L1’を受光し、後述する光検出器51に接続された基端まで導光する。受光ファイバ23は、複数備えられ、プローブ2の先端面において受光面23aが集束光学系24を周方向に囲んで配列されている。
光源部3は、照明レーザ光L1を出射する第1の光源31と、治療レーザ光L2を出射する第2の光源32と、これら2つの光源31,32から出射された照明レーザ光L1および治療レーザ光L2を合波して単一の光軸に沿って出射するダイクロイック光カプラのような光合波器33とを備えている。符号34は、各光学素子31,32,33同士を接続する導光ファイバである。光合波器33から出射された照明レーザ光L1および治療レーザ光L2は、導光ファイバ34および光コネクタ35を介して照明ファイバ22の入射端に入射される。
走査機構4は、照明ファイバ22の先端部に設けられ照明ファイバ22の出射端22aを長手方向に交差する方向に振動させるアクチュエータ41と、該アクチュエータ41を駆動する駆動部42とを備えている。
アクチュエータ41は、ピエゾ式であり、照明ファイバ22の外周面に周方向に囲むようにして固定された角筒状のフェルール41aと、該フェルール41aの4つの側面に貼り付けられた板状の4つの圧電素子41bとを備えている。符号41cは、照明ファイバ22をフェルール41aの基端においてシース21に固定する固定部材である。
駆動部42から圧電素子41bに交番電圧が印加されることによって、圧電素子41bが照明ファイバ22の長手方向に伸縮し、この圧電素子41bの伸縮に従ってフェルール41aが弾性変形し、照明ファイバ22の出射端22aが長手方向に交差する方向に振動させられるようになっている。また、走査機構4は、駆動部42から4つの圧電素子41bに印加される交番電圧の位相および振幅を適切に調整することによって、照明ファイバ22の出射端22aを、その長手方向に交差する平面においてスパイラル状の振動軌跡に沿って振動させるようになっている。これにより、照明ファイバ22の出射端22aから出射された照明レーザ光L1および治療レーザ光L2は、生体Aの観察対象部位においてスパイラル状の軌跡に沿って2次元的に走査される。
内視鏡画像構築部5は、受光ファイバ23を導光してきた戻り光L1’を検出して光電変換する光検出器51と、該光検出器51から出力された電気信号をデジタル信号に変換するAD変換器52と、該AD変換器52によって生成されたデジタル信号から2次元の内視鏡画像を生成する画像生成回路53と、操作部6によって設定された治療領域Xの位置を記憶するメモリ54とを備えている。
画像生成回路53は、AD変換器52から受け取ったデジタル信号と、照明レーザ光L1の走査位置とを対応付けることにより、図3(a)に示されるように、観察対象部位の2次元の内視鏡画像(走査画像)を生成する。このときに、画像生成回路53は、メモリ54に治療領域Xの位置が記憶されている場合には、図3(c)に示されるように、当該治療領域Xを内視鏡画像Gに重畳する。そして、内視鏡処理回路53は、生成した内視鏡画像Gを制御部7を介してモニタ8および操作部6に出力する。
操作部6は、ユーザによって操作される操作パネルを備えている。操作パネルは、治療レーザ光L2の照射開始および照射停止をそれぞれ示す開始ボタンおよび終了ボタン(治療レーザ光停止手段)と、治療レーザ光L2が照射される治療領域Xを設定する設定画面と、一度設定された治療領域Xの解除を示すリセットボタン(治療領域解除手段)とを有している。
各ボタンは、ユーザによって操作されると、治療レーザ光L2の照射開始、照射停止、または、治療領域Xのリセットを指示する信号を制御部7に送信する。
設定画面には、内視鏡画像構築部5によって生成された内視鏡画像Gが表示されている。図3(b)に示されるように、この内視鏡画像G内の一部の領域が、例えばマウスなどの入力装置を用いて指定されることにより、その指定された領域の位置が照射領域Xの位置として制御部7に送信されると共に内視鏡画像構築部5のメモリ54に記憶されるようになっている。
制御部7は、第1の光源31および走査機構4を連続的に作動させることにより、照明レーザ光L1を生体Aの観察対象部位上において連続的に走査させ、内視鏡画像構築部5によって連続的に内視鏡画像Gを生成させる。また、制御部7は、操作部6から治療領域Xの位置を受け取ると、照明レーザ光L1の走査周期のうち治療領域Xに対応する期間を計算し、算出された期間においてのみ第2の光源32から治療レーザ光L2を出射させる。
ここで、制御部(判断部)7は、操作部6から治療領域Xの位置を受け取ったときに、該治療領域Xの位置を記憶すると共に、該治療領域Xと内視鏡画像G内の観察対象部位との相対位置を初期位置として記憶する。例えば、制御部7は、内視鏡画像G内の観察対象部位から特徴点を抽出し、抽出された特徴点と治療領域Xの重心位置との相対位置を初期位置として記憶する。そして、制御部7は、新たな内視鏡画像Gを画像生成回路53から受け取ると、この内視鏡画像G内の観察対象部位と治療領域Xとの相対位置を計算し、算出された相対位置を初期位置と比較する。
比較の結果、算出された相対位置の初期位置からのずれ量が所定の閾値以下であるときは、制御部7は、治療領域Xに対応するタイミングで第2の光源32から治療レーザ光L2を出射させる。一方、算出された相対位置の初期位置からのずれ量が所定の閾値よりも大きいときは、制御部7は、第2の光源32からの治療レーザ光L2の出射を一時停止させる。
次に、このよう構成されたレーザ治療装置1の作用について図4を参照して説明する。
本実施形態に係るレーザ治療装置1を用いて生体Aの病変部Bを治療するには、ユーザは、体内にプローブ2を挿入し、照明レーザ光L1による生体Aの内視鏡画像Gをモニタ8上で観察しながら(ステップS1)、内視鏡画像G内に病変部Bが含まれる位置にプローブ2を配置する。
次に、ユーザは、操作部6の設定画面を用いて、内視鏡画像G内のうち病変部Bを含む領域を治療領域Xとして指定する(ステップS2)。指定された治療領域Xの位置は操作部6から制御部7に送信され、画像生成回路53によって内視鏡画像Gに治療領域Xが重畳される。これにより、モニタ8上の内視鏡画像Gに治療領域Xが重畳表示される(ステップS3)。
次に、ユーザは、操作部6の開始ボタンを操作する。これにより、治療領域Xへの治療レーザ光L2の照射が開始する(ステップS5)。すなわち、図5に示されるように、照明レーザ光L1の走査周期Tのうち治療領域Xに対応する期間(同図において枠によって囲まれている期間)においてのみ治療レーザ光L2が出射される。なお、図5は、照明レーザ光L1が走査される2つの軸方向のうち一方の軸方向の走査振幅の時間変化のみを示している。
ここで、連続して生成される内視鏡画像Gにおいて治療領域Xと観察対象部位との相対位置が制御部7によって確認され、プローブ2の先端が移動するなどして治療領域Xが病変部Bからずれると(ステップS4のYES)、治療レーザ光L2の照射が一時的に中断される(ステップS6)。そして、ユーザがプローブ2の先端の位置を調整するなどして治療領域Xが病変部Bに対して適切な位置に戻ると(ステップS4のNO)、治療レーザ光L2の出射が再開される(ステップS5)。
ユーザは、モニタ8上の内視鏡画像Gにおいて病変部Bの状態を観察し、病変部Bが十分に熱凝固したことを確認して、操作部6の終了ボタンを操作する(ステップS7のYES)。これにより、生体Aへの治療レーザ光L2の照射が終了する(ステップS8)。
このように、本実施形態によれば、治療レーザ光L2が照射されている治療領域Xの組織の現在の状態を、連続して取得される内視鏡画像Gによってリアルタイムでかつ明確に観察することができるので、ユーザは治療領域Xに対する治療レーザ光L2の照射量を容易に適切に調整することができるという利点がある。また、ユーザが一度治療領域Xを設定した後に、プローブ2の先端と観察対象部位との相対位置がずれてこのずれ量が所定の閾値よりも大きくなると、生体Aへの治療レーザ光L2の照射が迅速に停止される。これにより、治療領域X以外の領域に治療レーザ光L2が照射されることを防ぎ、設定した治療領域のみに治療レーザ光L2を照射することができるという利点がある。さらに、照明レーザ光L1と治療レーザ光L2との生体Aへの照射に共通の照明ファイバ22を用いているので、プローブ2を細径にすることができるという利点がある。
次に、本実施形態に係るレーザ治療装置1の変形例について説明する。
本実施形態の第1の変形例として、操作部6が、内視鏡画像Gのうち任意の領域を治療領域Xとしてユーザによって指定されることに代えて、予め設定されている複数の治療領域の中から1つをユーザによって選択されるように構成されていてもよい。例えば、図6(a)に示されるように、内視鏡画像Gの中心を中心とする半径の異なる円が治療領域X1,X2,X3として設定画面に表示され、図6(b)に示されるように、いずれかの領域X2を選択して指定可能になっていてもよい。
このようにすることで、制御部7は、照明レーザ光L1の走査周期のうち、事前に計算された期間において治療レーザ光L2を出射させればよいので、制御部7の処理を簡単にすることができる。
本実施形態の第2の変形例として、操作部6が、ユーザによって治療領域Xとして指定された領域の面積を計算し、算出された面積に基づいて当該治療領域Xの指定を受け入れるか否かを判断してもよい。
操作部6は、算出された面積が所定の閾値以上である場合には、当該治療領域Xの指定を受け入れ、その治療領域Xの位置を制御部7に送信する。一方、操作部6は、算出された面積が所定の閾値よりも小さい場合には、当該治療領域Xの指定を拒否すると共に、例えば設定画面にメッセージを表示したりアラーム音を出力したりすることによって、治療領域Xの指定が拒否されたことをユーザに報知する。
このように構成された本変形例に係るレーザ治療装置1によれば、図7に示されるように、ステップS2において治療領域Xがユーザによって指定されると、その治療領域Xの面積Sが計算され(ステップS101)、算出された面積Sが所定の閾値Sminと比較される(ステップS102)。そして、面積Sが閾値Smin以上である場合には(ステップS102のYES)、ステップS3に進み、治療領域Xへの治療レーザ光L2の照射が可能な状態となる。一方、面積Sが閾値Sminよりも小さい場合には(ステップS102のNO)、ステップS3〜ステップS8は実行されず、治療領域Xの再指定がユーザに対して要求される(ステップS103)。
このようにすることで、治療領域Xが過度に狭い場合、治療領域Xを内視鏡画像Gにおいて十分に明確に観察できず、その結果、治療領域Xへの治療レーザ光L2の照射量を適切に調整することが難しくなる可能がある。そこで、治療領域Xの面積を十分に広く確保することにより、ユーザは、治療領域Xへの治療レーザ光L2の照射量を容易に適切に調整することができる。
さらに、本変形例においては、面積Sが閾値Smin以上である場合に、治療領域Xの面積Sに応じて治療レーザ光L2の強度が設定されてもよい(ステップS104)。すなわち、制御部(治療レーザ光強度調整手段)7は、治療領域Xの面積Sが小さいほど治療レーザ光L2が弱くなるように、第2の光源32の出力強度を制御する。
このようにすることで、ユーザは、治療領域Xへの治療レーザ光L2の照射量をさらに容易に調整することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るレーザ治療装置1について図8から図11を参照して説明する。本実施形態においては、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るレーザ治療装置1は、図8に示されるように、生体Aの観察対象部位の光干渉断層法(Optical Coherence Tomography;OCT)画像を取得するための光学系をさらに備えている点において、第1の実施形態と主に異なる。
具体的には、近赤外の低コヒーレンス光L3を出射する第3の光源(低コヒーレント光源)9と、照準光L4を出射する第4の光源10と、第3の光源9からの低コヒーレンス光L3を測定光L31と参照光L32とに分割して出射すると共に生体Aの観察対象部位から戻ってきた測定光L31を参照光L32と合波して干渉させる光カプラのような干渉計(干渉部)11と、該干渉計11から出射された参照光L32を変調する周波数シフタ12と、参照光L32の光路長を調整する光路長調整部13と、干渉計11によって合波された測定光L31と参照光L32との干渉光L3’からOCT画像を生成するOCT画像構築部(断層画像構築部)14とを備えている。
第3の光源9は、十分に短いコヒーレンス長を有する低コヒーレンス光L3を出射する。
第4の光源10は、可視域のレーザ光を照準光L4として出射する。
符号15は、各光学素子9,10,11,12,33同士を接続してレーザ光L3,L31,L32,L4を導光する光ファイバである。これらの光ファイバ15は、シングルモードファイバまたはコヒーレンス性を十分に維持可能な低次マルチモードファイバであることが好ましく、偏波保持ファイバなどであってもよい。
第3の光源9から出射された低コヒーレンス光L3のうち干渉計11によって分割された測定光L31および第4の光源10から出射された照準光L4は、光合波器(合波部)33に入射し、該光合波器33によって照明レーザ光L1および治療レーザ光L2と合波され、これらのレーザ光L1,L2と共に照明ファイバ22に供給される。生体Aにおいて反射された測定光L31は、再び照明ファイバ22を出射端22aから入射端まで導光し、光合波器33を介して干渉計11に戻る。
周波数シフタ12は、干渉計11から出射された参照光L32の周波数を遷移させて光路長調整部13に出射する。周波数シフタ12としては、例えば、音響光学素子や電気光学素子、またはピエゾ素子にファイバループを設けたものなどが用いられる。
光路長調整部13は、周波数シフタ12から出射された参照光L32を平行光に変換するコリメータレンズ131と、該コリメータレンズ131からの平行光を該コリメータレンズ131へ折り返す可動ミラー132と、該可動ミラー132をコリメータレンズ131の光軸方向に移動させるモータ133とを備えている。可動ミラー132の、コリメータレンズ131の光軸方向の位置をモータ133によって調整することによって、参照光L32の光路長が調整されるようになっている。
ここで、干渉計11において、生体Aの観察対象部位から戻ってきた測定光L31の光路長と、光路長調整部13から戻ってきた参照光L32の光路長とが、低コヒーレンス光L3のコヒーレンス長の範囲において一致した場合に、干渉計11からは周波数シフタ12による周波数の遷移量の等倍または2倍の周波数の変動を有する干渉光L3’が出射される。すなわち、参照光L32の光路長が測定光L31の光路長に一致するように、光路長調節部13の可動ミラー132の位置を設定しておくことによって、生体Aの観察対象部位からの情報が干渉光L3’として得られる。
OCT画像構築部14は、干渉計11から出射された干渉光L3’を検出する光検出器141と、該光検出器141によって検出された干渉光L3’から所定の周波数の信号を抽出する復調器142と、AD変換器143と、画像生成回路144と、メモリ145とを備えている。
光検出器141は、検出した干渉光L3’を電気信号に変換して復調器142へ出力する。
復調器142は、光検出器141から入力された電気信号から、周波数シフタ12の周波数の遷移量の等倍、2倍又は高次倍の周波数近傍の信号を抽出することによって、生体Aの観察対象部位からの信号を光ヘテロダイン検出によって高S/N比で検出することができる。
画像生成回路144は、AD変換器143から受け取ったデジタル信号を測定光L31の走査位置と対応付けることによってOCT画像を生成し、生成したOCT画像を制御部7を介してモニタ(断層画像表示部)8および操作部6に出力する。
本実施形態において、操作部(断層画像領域設定部)6の操作パネルは、OCT画像を取得するOCT画像領域Yを設定するためのもう1つの設定画面を有している。もう1つの設定画面に表示されている内視鏡画像G内の一部の領域がユーザによって指定されると、その指定された領域の位置がOCT画像領域(断層画像領域)Yの位置として制御部7に送信されるようになっている。
制御部7は、操作部6からOCT画像領域Yの位置を受け取ると、治療領域Xの場合と同様に、照明レーザ光L1の走査周期のうちOCT画像領域Yに対応する期間を計算し、算出された期間において低コヒーレンス光L3および照準光L4を各光源3,4から出射させる。
次に、このよう構成されたレーザ治療装置1の作用について図9を参照して説明する。
本実施形態に係るレーザ治療装置1を用いて生体Aの病変部Bを治療するには、ステップS1からステップS2までは、第1の実施形態と同様にして行われる。ステップS2の後、ユーザは、操作部6のもう1つの設定画面を使用してOCT画像領域Yを指定する(ステップS201)。指定されたOCT画像領域Yの位置は操作部6から制御部7に送信され、図10(a)に示されるように、モニタ8上の内視鏡画像Gに治療領域XとOCT画像領域Yとが重畳表示される(ステップS202)。
次に、ユーザは、操作部6の開始ボタンを操作する。これにより、OCT画像領域Yへの低コヒーレンス光L3の照射とOCT画像の取得とが開始すると共に(ステップS203)、治療領域Xへの治療レーザ光L2の照射が開始する(ステップS5)。すなわち、照明レーザ光L1の走査周期Tのうち、治療領域Xに対応する期間においてのみ治療レーザ光L2が出射され、OCT画像取得領域Yに対応する期間においてのみ測定光L31および照準光L4が出射される(ステップS6)。
本実施形態においては、観察対象部位に照射された照準光L4が照明レーザ光L1と共に内視鏡画像Gに撮影されるので、モニタ8に表示されている内視鏡画像GにおいてOCT画像の撮影範囲を確認することができる。
図10(b)は、モニタ8に表示されるOCT画像G’の一例を示している。同図において、符号Cは熱凝固された部分を示している。
ユーザは、モニタ8上の内視鏡画像GおよびOCT画像G’において病変部Bの状態を観察し、病変部Bが十分に熱凝固したことを確認して、操作部6の終了ボタンを操作する(ステップ7のYES)。これにより、生体Aへの治療レーザ光L2および低コヒーレンス光L3の照射が終了する(ステップS204)。
このように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、治療レーザ光L2が照射されている治療領域Xの、組織表面よりも深い位置における熱凝固状態をOCT画像によってリアルタイムで確認することができるので、治療レーザ光L2の照射量をさらに適切に調整することができるという利点がある。
次に、本実施形態に係るレーザ治療装置1の変形例について説明する。
本実施形態の変形例として、操作部6が、内視鏡画像Gのうち任意の領域をOCT画像領域Yとしてユーザによって指定されることに代えて、図11に示されるように、制御部7が治療領域Xの外縁をOCT画像領域Yとして設定してもよい。
このようにすることで、ユーザの手間を省くことができる。
また、本実施形態においては、第1の実施形態の第1の変形例および第2の変形例を適宜適用してもよい。
1 レーザ治療装置
2 プローブ
22 照明ファイバ(導光部材)
3 光源部
33 光合波器(合波部)
4 走査機構
41b 圧電素子
42 駆動部
5 内視鏡画像構築部(走査画像構築部)
6 操作部(治療領域設定部、断層画像領域設定部、治療領域解除手段)
7 制御部(判断部、治療レーザ光停止手段、治療レーザ光強度調整手段)
8 モニタ(走査画像表示部、断層画像表示部)
9 第3の光源(低コヒーレント光源)
11 干渉計(干渉部)
14 OCT画像構築部(断層画像構築部)
X 治療領域
Y OCT画像領域

Claims (11)

  1. 生体内に挿入される細長いプローブと、
    該プローブ内に長手方向に沿って配置された細長い導光部材と、
    照明レーザ光および治療レーザ光のうち少なくとも前記照明レーザ光を単一の光軸に沿って出射して前記導光部材の基端に供給する光源部と、
    前記導光部材の先端部を該導光部材の長手方向に交差する2軸方向に振動させることによって前記導光部材の先端から出射される前記照明レーザ光および前記治療レーザ光を前記生体の観察対象部位上で2次元走査させる走査機構と、
    前記観察対象部位において反射された前記照明レーザ光の戻り光を検出して前記観察対象部位の走査画像を構築する走査画像構築部と、
    該走査画像構築部によって構築された前記走査画像の一部の領域を治療領域として設定する治療領域設定部と、
    該治療領域設定部によって前記治療領域が設定された後に前記走査画像構築部によって構築される前記走査画像内の前記観察対象部位の位置に基づいて、前記光源部から前記導光部材への前記治療レーザ光の供給を許可するか否かを判断する判断部と、
    該判断部によって前記治療レーザ光の供給が許可された場合に、前記観察対象部位のうち前記治療領域においてのみ前記治療レーザ光が走査されるように前記光源部から前記導光部材へ前記治療レーザ光を供給させ、前記判断部によって前記治療レーザ光の供給が許可されなかった場合に、前記光源部から前記導光部材へ前記治療レーザ光を供給させない制御部とを備え、
    前記判断部の判断結果に応じて、前記治療レーザ光を供給または停止するレーザ治療装置。
  2. 前記判断部は、前記治療領域設定部によって前記治療領域が設定されたときの該治療領域と前記観察対象部位との相対位置を記憶し、その後に前記走査画像構築部によって構築される前記走査画像内の前記観察対象部位と前記治療領域との相対位置と記憶されている前記相対位置とのずれ量が所定の閾値以下であるときは、前記治療レーザ光の供給を許可し、前記ずれ量が前記所定の閾値よりも大きいときには、前記治療レーザ光の供給を許可しない請求項1に記載のレーザ治療装置。
  3. 前記治療領域設定部によって設定された前記治療領域を前記走査画像に重畳して表示する走査画像表示部を備える請求項1または請求項2に記載のレーザ治療装置。
  4. 前記治療領域設定部による前記治療領域の設定を解除する治療領域解除手段を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載のレーザ治療装置。
  5. 前記光源部から前記導光部材への前記治療レーザ光の供給を強制的に停止させる治療レーザ光停止手段を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載のレーザ治療装置。
  6. 前記治療領域設定部によって設定された前記治療領域の面積に応じて、前記光源部から前記導光部材に供給される前記治療レーザ光の強度を調整する治療レーザ光強度調整手段を備える請求項1から請求項5のいずれかに記載のレーザ治療装置。
  7. 前記治療領域設定部が、所定の閾値以上の面積を有する領域を前記治療領域として設定する請求項1から請求項6のいずれかに記載のレーザ治療装置。
  8. 前記走査機構が、前記導光部材の先端近傍に固定され前記導光部材の長手方向に伸縮可能な圧電素子と、該圧電素子に交番電圧を印加して前記圧電素子を前記長手方向に伸縮させる駆動部とを備える請求項1から請求項7のいずれかに記載のレーザ治療装置。
  9. 低コヒーレント光を出射する低コヒーレント光源と、
    該低コヒーレント光源から出射された前記低コヒーレント光を、前記光軸上において前記照明レーザ光および前記治療レーザ光と合波する合波部と、
    前記低コヒーレント光源と前記合波部との間に設けられ、低コヒーレント光源から出射された前記低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割して前記測定光を前記合波部へ出射すると共に、前記観察対象部位から戻ってくる前記測定光を前記参照光と干渉させる干渉部と、
    前記干渉部において得られる干渉信号から前記観察対象部位の断層画像を構築する断層画像構築部と、
    該断層画像構築部によって構築された前記断層画像を表示する断層画像表示部とを備える請求項1から請求項8のいずれかに記載のレーザ治療装置。
  10. 前記走査画像構築部によって構築された前記走査画像の一部の領域を断層画像領域として設定する断層画像領域設定部を備え、
    前記制御部は、前記観察対象部位のうち前記断層画像領域においてのみ前記低コヒーレント光が走査されるように前記測定光を前記合波部へ供給させる請求項9に記載のレーザ治療装置。
  11. 前記断層画像領域設定部が、前記治療領域設定部によって設定された前記治療領域の周縁を前記断層画像領域として設定する請求項10に記載のレーザ治療装置。
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