JP2014150774A - ソホロリピッドの製造方法および該製造方法により得られたソホロリピッドを含有するソホロリピッド含有組成物 - Google Patents

ソホロリピッドの製造方法および該製造方法により得られたソホロリピッドを含有するソホロリピッド含有組成物 Download PDF

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【課題】本発明は、ソホロリピッドを泡の必要な用途に用いる為に、天然物の範疇を逸脱せず、なお且つ環境負荷を増加させる事のない、ソホロリピッドの起泡性付与技術及び泡立ちコントロール技術を提供する事を目的とする。
【解決手段】マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物を含有する培地に酵母を添加し、好気的条件下で培養することを特徴とする、ソホロリピッドの製造方法及び該ソホロリピッドの製造方法により得られたマフア種子由来のサポニン類を含むソホロリピッドを含有したソホロリピッド含有組成物により解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ソホロリピッドの製造方法および該製造方法により得られたソホロリピッドを含有するソホロリピッド含有組成物に関する。
ソホロリピッドは微生物、主に酵母により生産される両親媒性脂質であり、強い界面活性作用を持ち、なお且つ生分解性に優れている事から、近年、バイオサーファクタントの主役として用途開発が進められている。これを生産する酵母としては、非病原性の担子菌酵母であるスタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola;旧名称キャンディダ・ボンビコラ(Candida bombicola))が良く知られており、そのバイオサーファクタントの生産力は培養液1L当たり400g以上にも達するため、商業ベースの生産に向いており、多くの検討がこの酵母を用いて行われている。本酵母で生産されるソホロリピッドの構造を化1に示す。
Figure 2014150774
(ここで、各構造式において、RおよびRはそれぞれ、独立して、水素又はアセチル基であり、nは3〜20の整数である)
ソホロリピッドは長鎖ヒドロキシ脂肪酸とソホロースが結合したグリコリピッドであり、スタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola)で生産した場合、ラクトン型と酸型がおおよそ6〜8:2〜4の混合物である。この混合物の界面活性力は臨界ミセル濃度(CMC)がおよそ35−70mg/L、表面張力−35〜75mN/mと、一般的な界面活性剤として多用されているラウリル硫酸ソーダの10〜100分の1の濃度で強い界面活性力を示し、生分解し難いラウリル硫酸ソーダと比較し、生分解し易く環境的にも有意義な材料である(非特許文献1)。
従来、ソホロリピッドの発酵生産用原料としては、なたね油(非特許文献2)、コーンオイル(非特許文献3)やパームオイル、大豆油等(特許文献1、2)、食用油脂を中心に検討されている。
ソホロリピッドは、微生物生産物であり且つノニオン系成分が主体であるため皮膚親和性が良く、化粧品の浸透性向上剤としてすでに実用化されている。また、生分解性に優れ、少量の添加で効果があることから、食器洗浄用洗剤分野等でも利用が進んでいる。
以上のような用途では泡が立ち難いほうが適しているが、一方、ソホロリピッドの性能が大きく生かすことができ、かつ、環境汚染の低減としての意義が大きいシャンプー用途では、泡がクッション剤として必要とされるため、発泡性の低い現状のソホロリピッドでは適していないのが実情である。
この問題を解決するために発泡剤を添加する方法も考えられるが、洗剤・シャンプーメーカーとしては、環境負荷低減や皮膚刺激性低減の立場から、合成系の発泡剤は回避したい意向であり、天然物での対応が望まれている。しかし、コスト・性能の両面で適当なものがない、というのが現状である。
また、ソホロリピッドの発酵生産用原料として、食物由来の原料を用いることに対する抵抗が高まってきており、食物確保の観点から、非食物由来の原料を模索する必要がある。
特開2002−45195号公報 特開2003−9896号公報
Journal of Bioscience andBioengineering,vol.108,No.2,p.142-146,2009. BiotechnologyLetters,Vol20,No12,December 1998,p1153-1156. J. Microbiol. Biotechnol.(2005),15(1),55-58.
本発明は、ソホロリピッドを泡の必要な用途に用いる為に、天然物の範疇を逸脱せず、なお且つ環境負荷を増加させる事のない、ソホロリピッドへの起泡性付与技術及び泡立ちコントロール技術を提供する事を目的とする。
発明者らは各種の天然オイルについて酵母を用いたソホロリピッドの発酵生産を検討する中で、マフアオイルを発酵原料として用いた場合、他のオイルと比較し、生産されたソホロリピッドの起泡性が高くなる事を見い出した。そこで、この原因を追究した結果、マフアオイル中に含まれるマフア種子中のサポニンが発酵及びソホロリピッド精製の工程で一緒に挙動し、製品中に含まれ、これが起泡性付与の一原因となっているとの知見を得た。
発明者らは、マフア種子中のサポニン類を有効に利用してソホロリピッドに起泡性を与えるべく鋭意検討した結果、天然性を損なうことなくなお且つ経済的にソホロリピッドに起泡性を付与する技術の開発に成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物を含有する培地に酵母を添加し、好気的条件下で培養することを特徴とする、起泡性に優れたソホロリピッドの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、ソホロリピッドを泡の必要な用途に用いる為に、天然物の範疇を逸脱せず、なお且つ環境負荷を増加させる事のない、ソホロリピッドへの起泡性付与技術及び泡立ちコントロール技術を提供することができる。
本発明に係るソホロリピッドの製造方法は、マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物を含有する培地に酵母を添加し、好気的条件下で培養することを特徴とする。
本発明で用いるマフア(Madhuca)属植物の種子は、マフア(Madhuca)属に属する樹木の種子であればいずれでも使用可能である。その中ではサポニン含量の高いマフア・ロンギフォリア(Madhuca longifolia)やマフア・ブチラセア(Madhuca butyracea)は特に適している他、総合的な利用・研究が進んでいるマフア・ラティフォリア(Madhuca latifolia)、マフア・インディカ(Madhuca indica)等も適している。
本実施形態に係るソホロリピッドの製造方法において、前記抽出物は、搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子を搾油して得られたマフアオイルであることが好ましい。
マフアオイルはマフア(Madhuca)属と呼ばれる熱帯常緑樹の種子から取れる油で約800種類あり、アカテツ科(Sapotaceae)に属する。このうちマフア・ロンギフォリア(Madhuca longifolia:バターツリーとも称される)は熱帯地方で栽培されている他、インドでは自生しており一般によく知られている。この種子から搾油される油は古来より石鹸用に用いられるほか、バター製造用途にも検討されており、近年ではバイオディーゼル燃料(BDF)の原料としても注目されている。
このオイルを用いてソホロリピッドの発酵生産を行うと、他のオイルで発酵を行った場合と比較して起泡性が高くなり、完成したソホロリピッドについても、他の原料と比較し起泡性が向上する。これはマフア種子中にはその科(Family)名であるSapotaceae(アカテツ科)からも判るようにサポニンを大量に含有する事に主に起因しており、マフア・ロンギフォリア(Madhuca longifolia)ではその含量は200g/kg種子にも及び、抗炎症作用や甘味を持つサポニンとして広く知られている甘草根から取れるグリチルリチンの甘草中含有量に匹敵する。
マフア(Madhuca)属植物の種子に含まれるサポニンはトリテルペノイドが主体であり、マフア・ロンギフォリア(Madhuca longifolia)からはマドロンギシド(Madlongiside)A〜D、Mi−サポニンA〜Cなど多くのサポニンが単離されている。
マフアオイルは、マフア(Madhuca)属植物の種子を種子選別機で選別後、搾油機で搾油、フィルタープレスで精製したものを用いることができるが、この工程は特に限定されず、どの製法で製造されたマフアオイルでも利用することができる。
定法通りに搾油されたマフアオイル中のサポニン量は物理的な同伴による量程度であるが、これを用いてソホロリピッドを発酵生産した場合でも、発酵時の泡立ちが従来の油脂と比べて激しく、発酵に工夫を要し、生産されたソホロリピッドも起泡性が従来より高くなり、主に泡立ちが若干必要な用途に適した性質が付与される。
マフアオイルでのソホロリピッドの発酵生産は、原料濃度及び栄養剤は一般的な植物性オイルを使用する場合と同じ条件で実施可能であるが、培養条件に関しては泡立ちが激しくなるため、消泡剤の使用を増やしたり、通気量等をコントロールする等、適宜調整することが好ましい。それらの管理により、従来の油脂と同等、場合によっては高い油脂→ソホロリピッド変換収率を得ることができる。
本実施形態に係るソホロリピッドの製造方法は、さらに、サポニンを添加する工程を有することができる。これにより、生産されたソホロリピッドの起泡性を更に高めることができ、バイオサーファクタントとしての用途を更に広げることができる。
本実施形態に係るソホロリピッドの製造方法において、前記サポニンは、搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣を、蒸気又は熱水で抽出して得られた水抽出物に由来するものを使用することができる。
搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣の熱・蒸気抽出物を発酵前又は発酵後に培地中に添加して生産したソホロリピッドでは、かなり起泡性の高い水溶性サポニンを含有させる事が可能なため、起泡のみならず、クッション性が高く持続性のある泡を得る事が可能となる。
サポニンを含有する蒸気又は熱水抽出液を得るには、種子選別機の段階で蒸気を種子に当て、このドレンを採集し用いるか、搾油残渣に熱水を加え抽出後ろ過する事により得ることができる。
搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣の水抽出液は、ソホロリピッド発酵生産時に工程中に添加して用いられる。添加時期は培養開始前あるいは培養終了後のどちらでも培地に添加可能であり、精製工程の途中でも構わないが、泡立ちの工程影響回避及びサポニン以外の不純物除去の観点から培養終了時が最も適している。これにより、ソホロリピッドに物理・化学的特性の類似したサポニンのみをソホロリピッド中に含有させる事が可能となる。
本実施形態に係るソホロリピッドの製造方法において、前記サポニンは、搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣を、有機溶媒で抽出して得られた有機溶媒抽出物に由来するものも使用することもできる。
搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣の有機溶剤抽出液やその乾燥物を培地或いはソホロリピッド生産物に添加する場合、系(ソホロリピッドを利用した最終製品)全体の泡や洗浄性のバランスを自由に制御する事が可能となる。この場合、アグリコン類もかなり入ってくるため製品ソホロリピッドに濁りが発生する場合があるが分散性能には影響しない。
有機溶剤抽出液を得るには、種子を防爆性の装置内でイソプロパノール・ブタノール・エタノール・メタノール・酢酸エチル・ヘキサン等の有機溶媒又はこれに水を加えた溶液で抽出し、これをそのまま、または濃縮しシロップ状にするか、或いは乾固して用いることができる。
有機溶媒抽出液を利用する場合も先の使用法と同様であるが、すでにサポニンが選択分離された溶液であることから、分離精製の進んだソホロリピッドそのものに添加するのに特に適しており、その場合有機溶媒抽出乾固物を用いた方が好ましく、ソホロリピッド組成物中のサポニン含量を自在に変えることができるため起泡性のコントロールがし易いという利点がある。
なお、これらのサポニンは日本で詳細に機能が研究されており、薬理学的に抗潰瘍や抗炎症作用を有する事が認められているサポニンもあり(Mi−サポニン)、これらをソホロリピッド中に含有させることにより抗炎症機能等薬理学的な機能を持たせる事も可能となる。
本実施形態に係るソホロリピッドの製造方法において、前記酵母は、ソホロリピッドを生産する事が知られている酵母ならいずれも使用可能であり、スタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola;旧名称キャンディダ・ボンビコラ(Candida bombicola))以外にも、例えば、キャンディダ・アピコーラ(Candida apicola)、キャンディダ・ボゴリエンシス(Candida bogoriensis)、ウィケルハミエラ・ドメルキー(Wickerhamiella domericqiae)等が挙げることができるが、生産性の点でスタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola;旧名称キャンディダ・ボンビコラ(Candida bombicola))が最も適している。
本実施形態のソホロリピッドの製造方法に使用され得る液体培地の組成について、以下に説明する。炭素源としては、前記マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物を含有する。マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物の濃度は、ソホロリピッドを効率よく生産するためには、1〜50重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましく、8〜12重量%であることがさらに好ましい。なお、これらの逐次添加や連続添加も可能である。
マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物以外の炭素源としては、特に添加しなくても生産可能であるが、糖類および油性基質を添加すると収率を向上する事が可能となる。添加する糖類としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトースなどの単糖類、およびスクロース、マルトースなどの二糖類が挙げられる。好ましくは、グルコースが使用される。培養初発濃度は、20〜150g/L、好ましくは40〜60g/Lである。
油性基質としては、培養によるソホロリピッド産生に使用され得ることが報告されているいずれの油性基質もが使用可能であり、このような油性基質として、例えば、植物性油脂、動物性油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、n−アルカンなどが報告されている。好ましくは、植物性油脂または脂肪酸、あるいは植物油脂を原料とする脂肪酸エステルが使用され得る。培養の開始時に添加され得る油性基質の濃度は、20〜200g/L、好ましくは50〜150g/Lの範囲である。連続的に供給される場合、上記濃度に相当する量の油性基質が、培養期間中に培養系に添加される。
窒素源としては、2〜5g/Lの酵母エキス、0.5〜2g/Lの尿素などを添加することができるが、これらに限定されない。
さらに、酵母の生育に必要な各種有機物および無機塩類(リン酸塩、マグネシウム塩を含む)が適当量で添加することもできる。
培養形態は、上記のような液体培地を用いた回分培養(Batch Culture)、油性基質を培養系に逐次又は連続的に添加する流加培養(Fed Batch Culture)や油性基質を培養系に連続的に添加するとともに同量の培養液を同時に取り出す連続培養(Continuous Culture)などを選択することができ、好気性の酵母を使用するため通気攪拌する。培養pH条件は、開始時にpH約3.5〜約7.0であり、好ましくは、約5.0〜約6.5である。通常、培養中、pHは、外部から調節されない。培養温度は、前記酵母が生育し、かつ、ソホロースリピッドを産生し得るのに適当な温度であり、通常、20〜35℃であり、好ましくは23〜27℃である。5L〜200kL容量の培養の場合、通気攪拌の速度は、0.1〜2.0vvm、100〜600rpmとすることができる。攪拌速度に関しては、培養槽が大きくなるにつれて、同じ溶存酸素条件を作るために必要とされる攪拌速度は遅くなる。このような攪拌は、培養液中に十分な溶存酸素条件を提供するために行われるものであり、従って、酵母の培養に適切な溶存酸素条件を与えるような、いずれの攪拌速度も望ましい。
本実施形態に係るソホロリピッドの製造方法は、さらに、培養後の培養液を有機溶媒で抽出して前記ソホロリピッドを精製し、次いで濃縮する工程を有することが好ましい。
培養液からのソホロリピッドの抽出・精製はKozaricらの方法に準じて以下のように行うことができる。ソホロリピッドは培養液を静置すると固体或いは粘ちょう性の液状物質として沈殿するため、デカンテーションにより培養液の上層を除き、液状沈殿を含む残留物に蒸留水およびn−ヘキサンを添加しよく混合する。なお、この工程は省く事もできる。静置あるいは遠心分離によりソホロースリピッドを沈殿させ、ヘキサンおよび水溶液層を除去する。残留物に酢酸エチルを添加してよく混合する。ソホロースリピッドは酢酸・エチルに溶解し2層を成すので、この酢酸エチル層を回収して溶媒および水分を脱気除去し、所望のソホロリピッドを得る。
上記のソホロリピッドの製造方法により得られたソホロリピッドは、ソホロリピッドを含有したソホロリピッド含有組成物とすることができる。本実施形態においてソホロリピッドは、複数分子種の混合物であって、通常、ラクトン型を50%以上含む。従って、本実施形態においては、ソホロリピッドとは、単一の物質のみならず、複数分子種の混合物をも意味する。
本実施形態のソホロリピッド含有組成物は、天然物由来の界面活性剤として、例えば、土壌・地下水・放射能汚染除去、石油二次回収、洗濯用洗剤、シャンプー、ボデーシャンプー、化粧品基材、薬用皮膚ケアー商品用等に利用可能である。
1.ソホロリピッドの製造
(1)マフアオイル10%を炭素源とするソホロリピッド生産用培地2Lにスタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola;旧名称キャンディダ・ボンビコラ(Candida bombicola))酵母の前培養液を5%添加し、25℃で7日間、空気量1vvmで好気的に培養した。終了後の培養液を静置し、ソホロリピッド不溶物を沈降後、上澄みを捨て苛性ソーダでpH8に中和することにより、ソホロリピッドを溶解した。その溶解液を3000rpmで10分間遠心分離し、不溶物を除いた培養液に等量の酢酸エチルを添加し、室温下で抽出した。これを濾過後、濾液を減圧濃縮乾固し、ソホロリピッド約65gを得た(実施例1)。
(2)マフアオイル10%に替えてパームオイル10%を炭素源とするソホロリピッド生産用培地を用いた以外は実施例1と同じ要領でソホロリピッドを得た(対照例)。
(3)マフア種子1kgにイオン交換水1Lを添加、80℃で1時間浸漬冷却・脱水し、抽出液800mLを得た。一方、マフアオイル10%を炭素源とするソホロリピッド生産用培地に酵母としてスタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola;旧名称キャンディダ・ボンビコラ(Candida bombicola))前培養液を5%植菌、25℃ 7日間 空気量1vvmで培養した。その後先に得た抽出液を対培養液10%添加、1時間撹拌後静置、実施例1と同様に処理しソホロリピッドを得た(実施例2)。
(4)マフアオイル抽出残渣1kgに80%エタノール2Lを加え3時間撹拌、その後ろ過し得た抽出液を減圧濃縮しシロップを得た。一方、マフアオイル10%を炭素源とするソホロリピッド生産用培地に酵母としてスタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola;旧名称キャンディダ・ボンビコラ(Candida bombicola))前培養液を5%植菌、25℃ 7日間 空気量1vvmで培養した。ソホロリピッド不溶物を沈降後、上澄みを捨て、この液に先の減圧濃縮乾固粉末を、元の量の培養液に対し1%になる様に添加、これを苛性ソーダでpH6.5に中和後、実施例1、2と同様に処理しソホロリピッドを得た(実施例3)。
2.試験例
実施例(1、2及び3)及び対照例のソホロリピッドをサンプルとして、以下の要領で定性的な起泡試験を実施した。各サンプルを0.15%濃度に蒸留水に溶解し、各々10mlを同一径の50mlネスラー管に入れ、蓋をした後、同一ストロークで各30回上下に振盪、その後すぐ静置し、ネスラー管における泡部の高さと真液部の高さから発泡部の割合%を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2014150774
マフアオイルを用いて発酵生産したソホロリピッド(実施例1〜3)はパームオイルを基質としたソホロリピッド(対照例)と比較した場合、発泡性が向上する事が認められた。これにマフア種子の搾油後残渣の熱水抽出物を添加した場合更に向上し、泡の持続性も向上する傾向が認められた。マフア種子搾油後残渣乾燥物の有機溶媒抽出物・乾燥物を用いた場合はさらに向上する事が認められた。
3.ソロホリピッドの脂肪酸組成に及ぼす原料オイルの影響
酵母によって発酵生産されるソロホリピッドの脂肪酸組成に及ぼす原料に用いるオイルの影響を調べることを目的に、原料にマフアオイルを用いて調製したソロホリピッドの脂肪酸組成と、マフアオイルに替えてジャトロファオイルを用いて調製したソホロリピッドの脂肪酸組成について比較検討した。なお、ソロホリピッドの調製方法は、上記1.(1)で示した方法によって行った。結果を表2に示す。
Figure 2014150774
マフアオイルを用いてソロホリピッドの発酵生産を行い、得られたソロホリピッドの脂肪酸組成について調べたところ、表2に示すように、原料として用いたマフアオイルと同様にパルミチン酸やステアリン酸といった飽和脂肪酸を多く含むことが分かった。一般に、マフアオイルは、パルミチン酸やステアリン酸といった飽和脂肪酸を多く含む半乾性油であり、室温付近で凝固する性質を有するが、マフアオイルを用いて調製したソロホリピッドは、飽和脂肪酸を多く含むにもかかわらず室温付近でも凝固しないといった性質を有していた。このため、従来使用が難しかったマフアオイルの用途拡大に資する可能性があり、産業上有意義である。また、従来の二重結合が多い油脂から製造されたものと比べてソホロリピッド中の飽和脂肪酸割合が多くなり、用途的にも温度耐性の向上等の大きな広がりが期待できることが分かった。
一方、ジャトロファオイルを用いてソロホリピッドの発酵生産を行い、得られたソロホリピッドの脂肪酸組成について調べたところ、マフアオイルを用いて調製した場合のソホロリピッドの脂肪酸組成とは、明らかに異なっていた。このことから、発酵によって生産されるソロホリピッドの脂肪酸組成は、原料として用いたオイルに含まれる脂肪酸組成に影響を受けることが分かった。

Claims (9)

  1. マフア(Madhuca)属植物の種子の抽出物を含有する培地に酵母を添加し、好気的条件下で培養することを特徴とする、ソホロリピッドの製造方法。
  2. さらに、培養後の培養液を有機溶媒で抽出して前記ソホロリピッドを精製し、次いで濃縮する、請求項1に記載のソホロリピッドの製造方法。
  3. 前記抽出物が、搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子を搾油して得られたマフアオイルである、請求項1又は2に記載のソホロリピッドの製造方法。
  4. さらに、サポニンを添加する工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のソホロリピッドの製造方法。
  5. 前記サポニンが、搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣を、蒸気又は熱水で抽出して得られた水抽出物に由来する、請求項4に記載のソホロリピッドの製造方法。
  6. 前記サポニンが、搾油前のマフア(Madhuca)属植物の種子又は搾油後のマフア(Madhuca)属植物の種子残渣を、有機溶媒で抽出して得られた有機溶媒抽出物に由来する、請求項4に記載のソホロリピッドの製造方法。
  7. 前記マフア(Madhuca)属植物が、マフア・ロンギフォリア(Madhuca longirolia)、マフア・ブチラセア(Madhuca butyracea)、マフア・ラティフォリア(Madhuca latifolia)、マフア・インディカ(Madhuca indica)からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のソホロリピッドの製造方法。
  8. 前記酵母が、スタルメレラ・ボンビコラ(Starmerella bombicola)、キャンディダ・アピコーラ(Candida apicola)、キャンディダ・ボゴリエンシス(Candida bogoriensis)、、ウィケルハミエラ・ドメルキー(Wickerhamiella
    domericqiae)からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のソホロリピッドの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のソホロリピッドの製造方法により得られたソホロリピッドを含有したソホロリピッド含有組成物。
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