JP2014148422A - 無機繊維製品製造用バインダー、無機繊維製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フェノール樹脂および糖質を含有し、またはフェノール樹脂を含む第一剤と、糖質を含む第二剤とを備え、前記フェノール樹脂が、フェノール類と、ホルムアルデヒド類を含むアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるものであり、前記フェノール樹脂の不揮発分と前記糖質との合計量に対する前記糖質の割合x(質量%)と、前記フェノール類および前記アルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、下記式1〜3を満たす無機繊維製品製造用バインダー。式1:y≦−25/(x+10)+3.8、式2:y≧−0.012x+1.9、式3:x≦90
【選択図】図1
Description
無機繊維製品は、一般的に、無機繊維にバインダーを付着させ、集積して目的の無機繊維製品の形状の集積体とした後、加熱し、バインダーを硬化することにより製造されている。バインダーとしては、フェノール類とアルデヒド類との反応により得られるフェノール樹脂を主成分としたもの(以下、フェノール樹脂系バインダーということがある。)が、比較的安価で、機械的強度等の性能に優れた製品が得られることから汎用されている。
しかし、フェノール樹脂系バインダーを用いた場合、未反応のアルデヒド類やフェノール類が製造工程で揮散し、作業環境を悪化させることや、得られる無機繊維製品からホルムアルデヒドが放散する問題がある。アルデヒド類は人体に悪影響を及ぼす物質で、たとえば建材から放散するホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質の一つとされている。そのため、2003年にはホルムアルデヒドの放散量を規制する改正建築基準法が施行されている。改正建築基準法においては、ホルムアルデヒド放散量が、JIS A1901により測定されるホルムアルデヒド放散速度として5μg/m2・h以下のものは規制対象となっていないため、無機繊維製品としてもホルムアルデヒド放散速度が5μg/m2・h以下のものが要望される。
無機繊維製品の製造工程(バインダーの吹きつけ時等)でフェノール類が揮散する問題の対応策の一つとして、フェノール樹脂製造時のフェノール類とアルデヒド類のモル比および反応の進行度で調整する方法がある。
無機繊維製品からホルムアルデヒドが放散する問題の対応策としては、現在、エチレン尿素、アジピン酸ジヒドラジド等のホルムアルデヒド捕捉剤を併用することが一般的になっている(たとえば特許文献1参照)。ホルムアルデヒド捕捉剤は、発生したホルムアルデヒドと反応し、固定化することでホルムアルデヒド放散量を低減する。
たとえばフェノール樹脂を尿素変性させる方法は、製造工程でのアルデヒド類の揮散量の低減には有効であるものの、得られた無機繊維製品からのホルムアルデヒド放散量は逆に多くなる傾向がある。これは、ホルムアルデヒド源が無機繊維製品中に固定されて潜在ホルムアルデヒドとして滞在し、加水分解等により再放出されるためと考えられる。また、バインダーとして尿素で変性させたフェノール樹脂を用いた場合、尿素変性していないフェノール樹脂を用いた場合に比べて、得られた無機繊維製品の耐水強度等の性能が低くなる等の問題もある。
また、ホルムアルデヒド捕捉剤の使用は、ホルムアルデヒド放散量の低減には有効であるものの、従来のホルムアルデヒド捕捉剤がフェノール樹脂に比べて高価であり、しかもホルムアルデヒド放散速度が5μg/m2・h以下レベルの低ホルムアルデヒド放散量の無機繊維製品を得ようとすると使用量も多くなることからコストアップにつながり、フェノール樹脂系バインダーのコストメリットが損なわれる。また、ホルムアルデヒド捕捉剤は、通常、特許文献1に記載されるように、硬化後に添加されるため、工程の煩雑化にもつながる。そのため、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を併用しなくても、ホルムアルデヒド放散量の少ない無機繊維製品を得ることが可能なフェノール樹脂系バインダーが求められる。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1] フェノール樹脂および糖質を含有し、
前記フェノール樹脂が、フェノール類と、ホルムアルデヒド類を含むアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるものであり、
前記フェノール樹脂の不揮発分と前記糖質との合計量に対する前記糖質の割合x(質量%)と、前記フェノール類および前記アルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、下記式1〜3を満たす無機繊維製品製造用バインダー。
式1:y≦−25/(x+10)+3.8
式2:y≧−0.012x+1.9
式3:x≦90
[2] フェノール樹脂を含む第一剤と、糖質を含む第二剤とを備え、
前記フェノール樹脂が、フェノール類と、ホルムアルデヒド類を含むアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるものであり、
前記フェノール樹脂の不揮発分と前記糖質との合計量に対する前記糖質の割合x(質量%)と、前記フェノール類および前記アルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、下記式1〜3を満たす無機繊維製品製造用バインダー。
式1:y≦−25/(x+10)+3.8
式2:y≧−0.012x+1.9
式3:x≦90
[3]無機繊維に、[1]に記載の無機繊維製品製造用バインダーを付着させ、成形して無機繊維製品を得る工程を有する無機繊維製品の製造方法。
[4]無機繊維に、[2]に記載の無機繊維製品製造用バインダーの第一剤および第二剤を付着させ、成形して無機繊維製品を得る工程を有する無機繊維製品の製造方法。
本発明の無機繊維製品製造用バインダー(以下、単にバインダーということがある。)の第一の態様は、フェノール樹脂および糖質を含有し、前記フェノール樹脂が、フェノール類と、ホルムアルデヒド類を含むアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるものであり、前記フェノール樹脂の不揮発分と前記糖質との合計量に対する前記糖質の割合x(質量%)と、前記フェノール類および前記アルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、下記式1〜3を満たすものである。
式1:y≦−25/(x+10)+3.8
式2:y≧−0.012x+1.9
式3:x≦90
図1に示すように、上記式1〜3を満たす範囲とは、座標(x、y)がy=−25/(x+10)+3.8、y=−0.012x+1.9およびx=90のラインで囲まれた範囲内を示す。
以下、y=−25/(x+10)+3.8とy=−0.012x+1.9との交点におけるxの値をx1、yの値をy1という。
式y=−25/(x+10)+3.8は、xが所定の値(ただしx1<x≦90)のときのyのとり得る上限値を示し、また、yが所定の値(ただしy≧y1)のときのxのとり得る下限値を示す。
式−0.012x+1.9は、xが所定の値(ただしx1<x≦90)のときのyのとり得る範囲の下限を示し、また、yが所定の値(ただしy≦y1)のときのxのとり得る範囲の下限を示す。
xのとり得る範囲はyがy1に近いほど広く、特にy=y1のときに最も広くなる(x1≦x≦90)。つまり、使用し得るフェノール樹脂のアルデヒド類/フェノール類のモル比がy1に近いほど、フェノール樹脂に対して配合し得る糖質量の範囲が広くなる。
一方、yのとり得る範囲は、xが90に近いほど広く、x=90のときに最も広くなる(0.82≦y≦3.55)。つまり、フェノール樹脂に対する糖質の配合割合が多いほど、使用し得るフェノール樹脂のアルデヒド類/フェノール類のモル比の範囲が広くなる。
なお、本明細書において、ホルムアルデヒド放散速度は、JIS A1901により測定される値である。
一方、yの値が大きすぎる(式1を満たさない)と、未反応のアルデヒド類(遊離アルデヒド類)が多量に残留するため、無機繊維製品を製造する工程中(付着時、硬化時等)に、この遊離アルデヒド類や縮合反応にて生じたアルデヒド類が揮散するおそれがある。また、得られる無機繊維製品中には、ホルムアルデヒド源が潜在し、無機繊維製品からのホルムアルデヒド放散量を増加させるおそれがある。
yの値が小さすぎる(式2を満たさない)と、未反応のフェノール類(遊離フェノール類)の揮散による臭気発生、歩留低下等の問題が生じるおそれがある。
また、xの値が90を超える(式3を満たさない)と、得られる無機繊維製品の耐水強度等の性能が悪化するおそれがある。
xの値が小さすぎる(式1、2の一方または両方を満たさない)と、無機繊維製品からのホルムアルデヒドの放散量を充分に低減できないおそれがある。
第二の態様のバインダーは、フェノール樹脂と糖質とを別剤として含む以外は、第一の態様のバインダーと同様である。
本発明において用いられるフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒の存在下で反応させることにより得られる、いわゆるレゾール型のフェノール樹脂であって、該アルカリ触媒として水酸化ナトリウムを用いたものである。
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、キシレノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類としては、少なくともホルムアルデヒド類が用いられる。ホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ジメチルホルマール等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類として、ホルムアルデヒド類以外のアルデヒド類を併用してもよい。ホルムアルデヒド類以外のアルデヒド類としては、たとえばアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類の合計中、ホルムアルデヒド類の割合は、10モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。該割合の上限は特に限定されず、100モル%であってもよい。
フェノール類およびアルデヒド類の使用量は、フェノール類およびアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、上記式1〜3を満たす範囲内で設定される。上述したように、yがとり得る範囲の上限、下限はそれぞれ、式1、2によって定まる。たとえばxが90(質量%)の場合、yがとり得る範囲の上限は、式1においてxが90の時の値、つまり3.55であり、下限は、式2においてxが90の時の値、つまり0.82である。また、xが10の場合、yがとり得る範囲の上限は、式1においてxが10の時の値、つまり2.55であり、下限は、式2においてxが10の時の値、つまり1.78である。
反応終了後、酸を添加して中和することが好ましい。中和に用いる酸としては、ホウ酸、硫酸、塩酸、蟻酸等が挙げられ、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。中和後のフェノール樹脂のpH(23℃)は、樹脂の経時変化を抑える(経時安定性)点から、6〜8程度が好ましい。
前記フェノール樹脂の数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
前記フェノール樹脂の遊離アルデヒド類量は、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えると、無機繊維製品製造工程でのアルデヒド類の揮散量および無機繊維製品からのホルムアルデヒドの放散量が増大するおそれがあり好ましくない。
前記フェノール樹脂の不揮発分は、輸送コストの点から30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
糖質としては、単糖、二糖、三糖以上のオリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等が挙げられ、いずれを用いてもよい。
単糖としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、キシロース等が挙げられる。
二糖としては、たとえば、ショ糖(スクロース)、マルトース、ラクトース、トレハロース、イソマルトース等が挙げられる。
本明細書において、「三糖以上のオリゴ糖」は3以上10以下の単糖が結合したものとし、「多糖」は11以上の単糖が結合したものとする。
三糖以上のオリゴ糖としては、たとえば、マルトトリオース、ラフィノース等の三糖;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖等が挙げられる。
多糖としては、たとえば、デンプン、プルラン、デキストリン、ポリデキストロース等が挙げられる。
それらの誘導体としては、たとえば、配糖体、エステル化デンプン、エーテル化デンプン等の加工デンプン等が挙げられる。
特定糖質としては、これらの中でも、単糖が好ましく、グルコース、フルクトースから選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
糖質中の特定糖質の割合は、10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。すなわち、糖質が特定糖質のみから構成されてもよい。
糖質の配合量は、フェノール樹脂の不揮発分と糖質との合計量に対する糖質の割合x(質量%)が上記式1〜3を満たす範囲内で設定される。上述したように、xがとり得る範囲の上限は式3によって定まる。該範囲の下限は、yがy1以上である場合は式1によって定まり、yがy1以下である場合は式2によって定まる。たとえばyが3の場合、xがとり得る最小値は、式1においてyが3の時の値、つまり21.25である。また、yが1の場合、xがとり得る範囲の下限は、式2においてxが1の時の値、つまり75である。
本発明のバインダーが、フェノール樹脂を含有する第一剤と、糖質を含有する第二剤とを備えるキットである場合、通常、無機繊維への付着させやすさから、第一剤、第二剤ともに水溶液であることが好ましい。フェノール類とアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるフェノール樹脂は、通常、水溶液の状態であり、これをそのまま第一剤として用いてもよく、適宜、樹脂濃度(不揮発分)を調整するための水(調整水)を添加してもよい。第二剤としての糖質の水溶液は、市販のものを用いてもよく、市販の固体の糖質または糖質水溶液に水を添加し、所定の糖質濃度の水溶液としたものを用いてもよい。
本発明のバインダーには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂および糖質以外の他の成分が配合されてもよい。
本発明のバインダーが第一剤と第二剤とを備えるキットである場合、該他の成分は、第一剤、第二剤のいずれに配合してもよい。また、別剤として第一剤および第二剤と組み合わせてもよい。
該他の成分としては、無機繊維製品のバインダーに配合し得る成分として公知のもののなかから適宜選択して使用でき、たとえば、尿素、メラミン、ジシアンジアミド、アンモニア、硬化促進剤、シランカップリング剤、公知のホルムアルデヒド捕捉剤、撥水剤、発塵防止オイル、水等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、従来、無機繊維製品のバインダーとして、フェノール樹脂を尿素で変性したもの(フェノール樹脂に尿素を配合した混合物や、それらを反応させた反応生成物)が用いられているが、変性していないフェノール樹脂を用いる場合に比べて、製造工程におけるアルデヒド類の揮散量とは逆に、得られる無機繊維製品からのホルムアルデヒドの放散量が多くなる傾向があるが、本発明においては、尿素変性した場合でも、ホルムアルデヒド放散量が少ない無機繊維製品を得ることができる。
尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種の配合量は、フェノール樹脂の不揮発分(100質量%)に対し、5〜100質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。5質量%以上であるとアルデヒド類の揮散量の低減効果が充分に得られる。100質量%を超えると、得られる無機繊維製品の耐水強度等の性能が不充分になったり、得られる無機繊維製品からのホルムアルデヒド放散量の増加に繋がるおそれがある。
フェノール樹脂への尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種の配合方法としては、予めフェノール樹脂に添加して反応させる方法、バインダーとして無機繊維に付着させる事前に添加する方法、無機繊維に付着させる直前に配管混合(配管内でラインミキサー等を用いて混合)する方法、フェノール樹脂を吹き付けるノズルとは別ノズルにより無機繊維に吹き付ける方法、等が挙げられる。
尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種の配合時、フェノール樹脂に糖質が配合されていてもよい。
フェノール樹脂と、尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種とを反応させる場合、その反応条件としては、20〜100℃程度の温度条件下で30〜300分間程度が好ましい。このとき、配合する尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種のうち、一部を反応させ、残部を上記方法にて添加してもよい。
アンモニアの配合量は、フェノール樹脂の不揮発分に対し、0〜20質量%が好ましい。
アンモニアの配合方法としては、フェノール樹脂に添加する方法、糖質に添加する方法、フェノール樹脂と糖質との配合物に添加する方法、希釈水に添加する方法、他剤(フェノール樹脂、糖質、希釈水以外)に添加する方法、バインダーとして無機繊維に付着させる事前に添加する方法、無機繊維に付着させる直前に配管混合でフェノール樹脂に添加する方法、フェノール樹脂を吹き付けるノズルとは別ノズルにより無機繊維に吹き付ける方法、等が挙げられる。ただし、アンモニアをフェノール樹脂に添加する場合、またはフェノール樹脂と糖質との配合物に添加する場合、pHの上昇によりフェノール樹脂の経時変化が速くなるため、アンモニアを添加してから無機繊維に付着させるまでの時間は短いほど好ましい。そのため、配合方法としては、使用時の直前混合、配管混合、別ノズルによる吹き付けが特に好ましい。
アンモニアの配合時、フェノール樹脂は、尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種で変性されていてもよい。
硬化促進剤としては、たとえば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、フェノール樹脂の不揮発分に対し、0〜3質量%が好ましい。
硬化促進剤の配合方法としては、フェノール樹脂に添加する方法、糖質に添加する方法、フェノール樹脂と糖質との配合物に添加する方法、希釈水に添加する方法、他剤(フェノール樹脂、糖質、希釈水以外)に添加する方法、バインダーとして無機繊維に付着させる事前に添加する方法、無機繊維に付着させる直前に配管混合でフェノール樹脂に添加する方法、フェノール樹脂を吹き付けるノズルとは別ノズルにより無機繊維に吹き付ける方法、等が挙げられる。ただし、硬化促進剤をフェノール樹脂に添加する場合、またはフェノール樹脂と糖質との配合物に添加する場合、フェノール樹脂の経時変化が速くなるため、硬化促進剤を添加してから無機繊維に付着させるまでの時間は短いほど好ましい。そのため、配合方法としては、使用時の直前混合、配管混合、別ノズルによる吹き付けが特に好ましい。
硬化促進剤の配合時、フェノール樹脂は、尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種で変性されていてもよい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、たとえば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、バインダーの不揮発分(シランカップリング剤を除く)に対し、0〜1.0質量%が好ましい。
シランカップリング剤の配合方法としては、フェノール樹脂に添加する方法、糖質に添加する方法、フェノール樹脂と糖質との配合物に添加する方法、希釈水に添加する方法、他剤(フェノール樹脂、糖質、希釈水以外)に添加する方法、バインダーとして無機繊維に付着させる事前に添加する方法、無機繊維に付着させる直前に配管混合でフェノール樹脂に添加する方法、フェノール樹脂を吹き付けるノズルとは別ノズルにより無機繊維に吹き付ける方法、等が挙げられる。ただし、シランカップリング剤をフェノール樹脂に添加する場合、またはフェノール樹脂と糖質との配合物に添加する場合、フェノール樹脂の経時変化が速くなるため、シランカップリング剤を添加してから無機繊維に付着させるまでの時間は短いほど好ましい。そのため、配合方法としては、使用時の直前混合、配管混合、別ノズルによる吹き付けが特に好ましい。
シランカップリング剤の配合時、フェノール樹脂は、尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種で変性されていてもよい。
ホルムアルデヒド捕捉剤の配合方法としては、フェノール樹脂に添加する方法、糖質に添加する方法、フェノール樹脂と糖質との配合物に添加する方法、希釈水に添加する方法、他剤(フェノール樹脂、糖質、希釈水以外)に添加する方法、バインダーとして無機繊維に付着させる事前に添加する方法、無機繊維に付着させる直前に配管混合でフェノール樹脂に添加する方法、フェノール樹脂を吹き付けるノズルとは別ノズルにより無機繊維に吹き付ける方法、硬化後の無機繊維製品に吹き付ける方法、等が挙げられる。これらの中でも、硬化後の無機繊維製品に吹き付ける方法が好ましい。
ホルムアルデヒド捕捉剤の配合時、フェノール樹脂は、尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種で変性されていてもよい。
発塵防止オイルとしては、鉱物油ベースのオイルエマルジョン等が挙げられる。
撥水剤、発塵防止オイルの配合方法としては、それぞれ、フェノール樹脂に添加する方法、糖質に添加する方法、フェノール樹脂と糖質との配合物に添加する方法、希釈水に添加する方法、他剤(フェノール樹脂、糖質、希釈水以外)に添加する方法、バインダーとして無機繊維に付着させる事前に添加する方法、無機繊維に付着させる直前に配管混合でフェノール樹脂に添加する方法、フェノール樹脂を吹き付けるノズルとは別ノズルにより無機繊維に吹き付ける方法、等が挙げられる。他剤との相溶性の観点より、使用時の直前混合、配管混合、別ノズルによる吹き付けが好ましい。
撥水剤または発塵防止オイルの配合時、フェノール樹脂は、尿素、メラミン、DCDAから選ばれる少なくとも1種で変性されていてもよい。
配合パターン1:(フェノール樹脂・糖質)+任意成分。
配合パターン2:(フェノール樹脂・任意成分)+糖質。
配合パターン3:(糖質・任意成分)+フェノール樹脂。
配合パターン4:(フェノール樹脂・第一の任意成分)+(糖質・第二の任意成分)。
配合パターン5:(糖質・第一の任意成分)+フェノール樹脂+第二の任意成分。
配合パターン6:(フェノール樹脂・第一の任意成分)+糖質+第二の任意成分。
配合パターン7:(フェノール樹脂・第一の任意成分)+(糖質・第二の任意成分)+第三の任意成分。
配合パターン8:フェノール樹脂+糖質+任意成分。
符号「・」は、該符号の前に記載の成分に対し、該符号の後の成分を、下記配合方法i、ii、iiiまたはivにより配合することを示す。
配合方法i:20〜100℃程度の温度条件下で30〜300分間程度反応させる方法。
配合方法ii:単に混合する方法。
配合方法iii:配管内でラインミキサー等を用いて混合する方法。
配合方法iv:任意成分を別剤として無機繊維に吹き付ける方法。
任意成分は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらは同時に配合しても時間差で配合してもよい。
第一の任意成分、第二の任意成分、第三の任意成分は、別々のタイミングで添加される任意成分を示す。第一の任意成分、第二の任意成分、第三の任意成分は、それぞれ同じであっても異なってもよい。また、第一の任意成分として、第二の任意成分として、または第三の任意成分として2種以上を併用する場合は、それらは同時に配合しても時間差で配合してもよい。
配合パターン2においては、好適には、フェノール樹脂に任意成分を下記配合方法i、iiまたはiiiにより配合し、次いで糖質を配合する。
配合パターン3においては、好適には、糖質に任意成分を下記配合方法iiまたはiiiにより配合し、次いでフェノール樹脂を配合する。
配合パターン4においては、好適には、フェノール樹脂に第一の任意成分を下記配合方法i、iiまたはiiiにより配合して第一の配合物を得、別途、糖質に第二の任意成分を下記配合方法iiまたはiiiにより配合して第二の配合物を得、次いで第一の配合物と第二の配合物とを配合する。
配合パターン5においては、好適には、糖質に第一の任意成分を下記配合方法iiまたはiiiにより配合し、次いでフェノール樹脂を配合し、次いで第二の任意成分を配合する。
配合パターン6においては、好適には、フェノール樹脂に第一の任意成分を配合し、次いで糖質を配合し、次いで第二の任意成分を下記配合方法i、ii、iiiまたはivにより配合する。
配合パターン7においては、好適には、フェノール樹脂に第一の任意成分を下記配合方法i、iiまたはiiiにより配合して第一の配合物を得、別途、糖質に第二の任意成分を下記配合方法iiまたはiiiにより配合して第二の配合物を得、次いで第一の配合物と第二の配合物とを配合し、次いで第三の任意成分を下記配合方法i、ii、iiiまたはivにより配合する。
配合パターン8においては、好適には、フェノール樹脂と糖質と任意成分とを下記配合方法i、ii、iiiまたはivにより一括配合する、または別々に吹き付ける。
無機繊維製品の製造は、詳しくは後述する無機繊維製品の製造方法にて説明するが、無機繊維にバインダーを吹き付ける等により付着させ、前記バインダーが付着した無機繊維を集積し、製造しようとする無機繊維製品に対応した形状の集積体とした後、前記集積体を加熱(200〜270℃程度)して前記バインダーを硬化させることにより行われる。
バインダーとして用いられるフェノール樹脂は、一般的に、フェノール類とホルムアルデヒド類との反応により形成されたポリマー骨格を有しており、通常、合成時に過剰のホルムアルデヒド類が使用されている。そのため、得られるフェノール樹脂には未反応のホルムアルデヒド類(遊離ホルムアルデヒド類)が残留している。そのため、フェノール樹脂を含有するバインダーを用いて無機繊維製品を製造する場合、製造工程中(付着時、硬化時等)に、この遊離ホルムアルデヒド類や、縮合反応により生じたホルムアルデヒドが揮散する。また、得られる無機繊維製品中にはホルムアルデヒド源が潜在しており、加水分解等によりホルムアルデヒドを放散することがあった。
本発明においては、フェノール樹脂に糖質を配合すると共に、上記式1〜3を満たすようにxおよびyの値を設定することで、製造工程中のアルデヒド類およびフェノール類の揮散量を低減でき、また、最終製品である無機繊維製品からのホルムアルデヒドの放散を抑制できる。かかる効果が得られる理由は明らかではないが、フェノール樹脂の構造やアルデヒド類およびフェノール類の残留量、糖質の性質等が相乗的に作用していると考えられる。
たとえばアルカリ触媒は、得られるフェノール樹脂の構造に影響する。水酸化ナトリウムを用いた場合、アルデヒド類の付加反応は、パラ(p−)配向性が強く、一方、同じアルカリ触媒でも、水酸化バリウムの場合、アルデヒド類の付加反応は、オルト(o−)配向性が強いとされている。後述する参考例a〜dに示すように、アルカリ触媒として水酸化バリウムを用いた場合、xおよびyが上記式を満たさない場合でも、良好な結果が得られることがある。これは、得られるフェノール樹脂の構造の違いによると考えられる。
また、前述した糖質は、それ自体およびその分解物が、従来のホルムアルデヒド捕捉剤と同様の機能を発揮していると推測されるが、反応機構が複雑であり、その詳細は明らかでない。
さらに、従来、製造工程中のホルムアルデヒド揮散量の低減のために、変性剤等としてフェノール樹脂に尿素を配合することが行われているが、この場合、バインダーのゲル化時間が長くなったり、得られる無機繊維製品の性能、特に耐水強度が低下する問題があった。本発明においては、フェノール樹脂に対して配合する尿素の一部または全部を糖質に置換することで、尿素を単独で配合する場合に比べて、無機繊維製品からのホルムアルデヒド放散量を大幅に低減できるだけでなく、耐水強度等の性能の低下の抑制も可能である。
本発明の無機繊維の製造方法は、無機繊維製品に本発明のバインダーを付着させ、成形して無機繊維製品を得る工程を有する。本発明のバインダーが、第一剤と第二剤とを備えるキットである場合、無機繊維に対し、第一剤および第二剤を同時に付着させてもよく、別々に付着させてもよい。
本発明の無機繊維製品の製造方法は、バインダーとして本発明のバインダーを用いる以外は特に限定されず、従来、無機繊維製品の製造に用いられている公知の方法が利用できる。一例を挙げると、無機繊維に本発明のバインダーを付着させる工程(以下、付着工程)、前記バインダーが付着した無機繊維を集積し、製造しようとする無機繊維製品に対応した形状の集積体とした後、前記集積体を加熱し、前記バインダーを硬化させる工程(以下、成形工程)、を順次行うことにより無機繊維製品が得られる。以下、各工程についてより詳細に説明する。
無機繊維としては、特に限定されず、たとえばグラスウール、ロックウール、セラミック繊維等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
無機繊維の繊維長や繊維径は、製造しようとする無機繊維製品に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。通常、繊維径が3〜10μmの範囲内のものが用いられる。
無機繊維は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものをそのまま用いてもよい。無機繊維は、一般的には、原料(廃ガラス、玄武岩、鉄炉スラグ等)を繊維化することにより製造され、繊維化方法としては、火炎法、遠心法等が挙げられる。これらの各種方法による繊維化は、対応する繊維化装置を用いて実施できる。
無機繊維に付着させるバインダーの量は、特に限定されないが、通常、無機繊維(100質量%)に対し、バインダーの不揮発分として、0.5〜20質量%の範囲内である。このバインダーの量は、得られる無機繊維製品の物性(機械的強度等)に影響し、たとえばバインダー量が多いほど、無機繊維製品の機械的強度が高くなる。
次に、前記バインダーが付着した無機繊維を集積し、製造しようとする無機繊維製品に対応した形状の集積体とした後、前記集積体を加熱し、前記バインダーを硬化させる成形工程を行う。
成形工程は、公知の方法により実施できる。たとえば、無機繊維製品として板状のものを製造する場合を例に挙げると、コンベア上に無機繊維を堆積し、この堆積物を、コンベアの上下方向から押圧して圧縮して集積体とし、これを加熱炉(硬化炉)に送り、加熱して前記バインダーを硬化させることにより板状の成形物が得られる。
無機繊維の使用量(コンベア上に堆積させる無機繊維の量)や圧縮条件は、製造しようとする無機繊維製品の厚さ、嵩密度等に応じて設定される。
集積体の加熱条件(加熱温度、加熱時間)は、集積体中のバインダーが硬化する範囲内であれば特に限定されないが、加熱温度は、200〜270℃の範囲内が好ましい。200℃未満であると、硬化が不充分となり機械的強度が不充分となるおそれがある。270℃を超えると、バインダーの分解と、それに伴う歩留りの低下及び機械的強度の低下を招くおそれがある。加熱時間は、集積体の大きさ、加熱温度等によって異なり、特に限定されない。
ホルムアルデヒド捕捉剤としては、たとえば特開2001−178805号公報等に記載されるような、公知のホルムアルデヒド捕捉剤を使用できる。
成形物に対するホルムアルデヒド捕捉剤の添加方法としては、ホルムアルデヒド捕捉剤の水溶液を噴霧、含浸またはコーティングする方法、ホルムアルデヒド捕捉剤の粉末をエアロゾルとして噴霧する方法等が挙げられる。
ホルムアルデヒド捕捉剤を添加する場合、その添加量は、ホルムアルデヒド捕捉剤の添加効果を充分に得るためには、本発明のバインダーに任意に含まれるホルムアルデヒド捕捉剤との合計量として、フェノール樹脂の不揮発分に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、本発明においては、ホルムアルデヒド捕捉剤の添加を行わなくてもホルムアルデヒド放散量が充分に少ない無機繊維製品を得ることが可能である点、過剰に配合してもコストがかさむ点などから、フェノール樹脂の不揮発分に対し、50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
本発明により製造される無機繊維製品は、たとえば断熱材、吸音材、その他各種成型品(自動車の屋根、ボンネットのライナー等)等として利用できる。
以下の各例において「部」、「%」は、それぞれ、特に限定のない場合は「質量部」、「質量%」を示す。
[合成例1:フェノール樹脂A(y=2.3)の合成]
コンデンサー、温度計、攪拌装置を備えた反応装置にフェノール700質量部、50%ホルムアルデヒド水溶液1026.6質量部、50%水酸化ナトリウム水溶液56質量部をそれぞれ仕込み、65℃にて270分間反応させた後、45℃に冷却した。冷却後、pH7.3になるようにホウ酸を加え中和した後、不揮発分が50%となるように調整水を加えてフェノール樹脂Aを得た。
フェノール樹脂Aの合成時のホルムアルデヒド/フェノール[F/P]のモル比(yの値)は2.3であり、得られた樹脂の特性は、数平均分子量=287、遊離フェノール2.5%、遊離ホルムアルデヒド=3.6%であった。これらの特性値は、それぞれ、以下の手順で測定した値である。
数平均分子量:GPCにより測定(ポリスチレン換算)。
不揮発分:JIS K6910の5.6の規定に準じて測定した。
pH:JIS K6910の5.4の規定に準じて測定した。
遊離フェノール:JIS K6910の5.16の規定に準じて測定した。
遊離ホルムアルデヒド:JIS K6910の5.17の規定に準じて測定した。
反応条件を表1、2に示すように変更した以外は合成例1と同様にしてフェノール樹脂B〜Rを得た。
得られたフェノール樹脂B〜Rの特性値を合成例1と同様に測定した。結果は表1、2にまとめた。
コンデンサー、温度計、撹拌装置を備えた反応装置にフェノール300部、50%ホルムアルデヒド水溶液650部、水酸化バリウム8水和物51部をそれぞれ仕込み、60℃にて300分間反応させた後、25℃に冷却した。冷却後、pH7.3になるように30%硫酸を加え中和した後、不揮発分が50%となるように調整水を加えてフェノール樹脂Sを得た。
フェノール樹脂Sの合成時のホルムアルデヒド/フェノール[F/P]のモル比(yの値)は3.4であり、得られた樹脂の特性は、数平均分子量=220、遊離フェノール=0.8%、遊離ホルムアルデヒド=9.0%であった。これらの特性値は、それぞれ、合成例1と同じ手順で測定した。
[実施例1〜26、比較例1〜19、参考例a〜e]
前記で合成したフェノール樹脂および糖質を、表3、4に示すバインダー組成となるように混合して、バインダー(不揮発分50質量%)を調製した。
前記で合成したフェノール樹脂および糖質を、表3、4に示す質量比で混合し、バインダー(不揮発分50%)を得た。
その後、このバインダー(不揮発分50%)および50%尿素水溶液を、表3、4に示す質量比で混合し、30℃で2時間反応させることにより、尿素変性バインダー(不揮発分50%)を調製した。
表3、4のバインダー組成に示す配合量は、各成分の不揮発分としての配合量を示し、それらの配合量の比が、バインダーの不揮発分中の各成分の比である。
表3、4中、バインダー組成の全不揮発分の合計が100質量部であり、したがって、糖質の配合量[質量部]がx(質量%)の値に等しい。
表3、4のバインダー組成に示す成分のうち、糖質の「75FG」は、糖質濃度75%の糖質水溶液であり、水で糖質濃度を75%から50%に希釈して使用した。75FGの糖組成(無水物換算)は、42%がフルクトースで、50%がグルコースで、8%がその他の糖である。また、表4のバインダー組成に示す成分のうち、糖質の「HF−55」は、群栄化学工業(株)製の糖質濃度75%の糖質水溶液であり、水で糖質濃度を75%から50%に希釈して使用した。HF−55の糖組成(無水物換算)は、55%がフルクトースで、残部はグルコースが主成分である。
前記で合成したフェノール樹脂B(不揮発分50%)を第一剤とし、前記75FGを水で糖質濃度50%に希釈した糖質水溶液を第二剤として、第一剤80部および第二剤20部からなるバインダーを得た。表4に示す実施例28のバインダー組成は、第一剤中のフェノール樹脂(不揮発分)と第二剤中の糖質(不揮発分)との質量比である。
[遊離フェノール]
実施例1〜27、比較例1〜22、参考例a〜eで得られたバインダーの遊離フェノールを、JIS K6910の5.16の規定に準じて測定した。
実施例28については、フェノール樹脂Bの遊離フェノールの値(2.1)およびフェノール樹脂の含有量(80/100)から理論値で算出した(2.1×0.8≒1.7)。
得られたバインダーおよびシラスバルーン(平均粒子径300μmの中空ガラス質球)を用いて、以下の手順で成型品の常態強度および耐水強度の評価を行った。なお、シラスバルーンは、評価を簡便に行うために無機繊維の代替品として使用したものであり、グラスウール等の無機繊維を用いた場合の結果と同様の傾向を示すと推定される。
シラスバルーン65gと、実施例1〜27、比較例1〜22、参考例a〜eのバインダー23gとを均一に混合した後、所定の寸法(100mm×220mm×13mm)の金型内に均一充填し、200℃で30分間加熱して成型品(嵩密度:0.26g/cm3)を得た。また、シラスバルーン65gと、実施例28のバインダーの第一剤18.4gと、第二剤4.6gとを均一に混合した後、所定の寸法(100mm×220mm×13mm)の金型内に均一充填し、200℃で30分間加熱して成型品(嵩密度:0.26g/cm3)を得た。
得られた成型品から100mm×20mm×13mmの試験片10本を切り出し、それらのうち5本を用いて常態強度(kgf/cm2)の測定を行い、残り5本を用いて耐水強度(kgf/cm2)の測定を行った。具体的には、5本の試験片についてそのまま強度測定を行い、それらの平均値を常態強度とした。また、5本の試験片について、60℃の温水中で2時間の浸漬処理を行った後、強度測定を行い、それらの平均値を耐水強度とした。
強度測定(常態強度測定、耐水強度測定)は、JIS K6911の5.17の規定に準じた3点曲げ試験法により、スパン50mm、荷重速度10mm/分の条件で行った。
従来の無機繊維系断熱材を作製する手法に従い、得られたバインダーを用いて無機繊維系断熱材を作製した。
作製条件としては、実施例1〜27、比較例1〜22、参考例a〜eのバインダーを、塗布量が無機繊維100質量部に対して2.0質量部となるように噴霧し、加熱温度230℃の熱風通過式オーブンにて150秒間加熱した。この時、厚さ50mm、密度30kg/m3となるよう成形し、無機繊維系断熱材を得た。
また、実施例28のバインダーの第一剤と第二剤(第一剤:第二剤=80:20)を、各々個別のスプレーノズルから、それらの塗布量の合計が無機繊維100質量部に対して2.0質量部となるように噴霧し、加熱温度230℃の熱風通過式オーブンにて150秒間加熱した。この時、厚さ50mm、密度30kg/m3となるよう成形し、無機繊維系断熱材を得た。
無機繊維としては、遠心法により得たガラス繊維を用いた。
以上のようにして作製した無機繊維系断熱材のホルムアルデヒド放散速度を、JIS A1901のホルムアルデヒド放散速度測定方法に準じて測定した。
また、図1に、y=−25/(x+10)+3.8、y=−0.012x+1.9およびx=90のラインと、実施例1〜28、比較例1〜22それぞれの座標(x、y)をプロットした(横軸:x、縦軸:y)。図1中、○は実施例の座標を示し、○に付した数値は実施例番号を示す。×は比較例の座標を示し、×に付した数値は比較例番号を示す。
これらの結果に示すとおり、xおよびyの値が式1〜3を満たす(y=−25/(x+10)+3.8、y=−0.012x+1.9およびx=90のラインで囲まれた範囲内である)実施例1〜23は全て、ホルムアルデヒド放散速度が5μg/m2・h以下であり、遊離フェノール量も5%以下であった。また、得られた成型品の強度(常態強度、耐水強度)も良好であった。
糖質として75FGの代わりにグルコース、フルクトースまたはデキストリンを用いた実施例24〜26や、尿素変性させたフェノール樹脂を用いた実施例27、フェノール樹脂と糖質を別々に噴霧した実施例28においても、実施例1〜23と同様の結果が得られた。
一方、式1を満たさない比較例1〜12は、ホルムアルデヒド放散速度が多かった。
式1および2を満たさない比較例13〜15のうち、比較例13〜14は、ホルムアルデヒド放散速度が多く、遊離フェノールも5%を超え、遊離フェノールの揮散による臭気発生、歩留まり低下等の問題が生じた。比較例15は遊離フェノールが5%を超え、遊離フェノールの揮散による臭気発生、歩留まり低下等の問題が生じた。
式2を満たさない比較例16〜19は、遊離フェノールが5%を超え、遊離フェノールの揮散による臭気発生、歩留まり低下等の問題が生じた。
尿素変性したフェノール樹脂である比較例20は、現在汎用されているバインダーに相当するが、尿素変性していない以外は同じ組成の比較例10よりもホルムアルデヒド放散速度が大幅に多くなっていた。しかも、尿素の配合量をさらに増やした比較例21〜22では、尿素の配合量に比例してホルムアルデヒド放散速度や成型品の強度が大きく低下し、特に70質量部配合した比較例22では、成型品とすることができなかった。
Claims (4)
- フェノール樹脂および糖質を含有し、
前記フェノール樹脂が、フェノール類と、ホルムアルデヒド類を含むアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるものであり、
前記フェノール樹脂の不揮発分と前記糖質との合計量に対する前記糖質の割合x(質量%)と、前記フェノール類および前記アルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、下記式1〜3を満たす無機繊維製品製造用バインダー。
式1:y≦−25/(x+10)+3.8
式2:y≧−0.012x+1.9
式3:x≦90 - フェノール樹脂を含む第一剤と、糖質を含む第二剤とを備え、
前記フェノール樹脂が、フェノール類と、ホルムアルデヒド類を含むアルデヒド類とを水酸化ナトリウムの存在下で反応させて得られるものであり、
前記フェノール樹脂の不揮発分と前記糖質との合計量に対する前記糖質の割合x(質量%)と、前記フェノール類および前記アルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)yが、下記式1〜3を満たす無機繊維製品製造用バインダー。
式1:y≦−25/(x+10)+3.8
式2:y≧−0.012x+1.9
式3:x≦90 - 無機繊維に、請求項1に記載の無機繊維製品製造用バインダーを付着させ、成形して無機繊維製品を得る工程を有する無機繊維製品の製造方法。
- 無機繊維に、請求項2に記載の無機繊維製品製造用バインダーの第一剤および第二剤を付着させ、成形して無機繊維製品を得る工程を有する無機繊維製品の製造方法。
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