JP2014145092A - Niめっき付き銅又は銅合金板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Niめっきによる光沢の低下を抑制することができるNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法を提供する。
【解決手段】銅又は銅合金板の表面を化学研磨処理した後、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、pHが2以下、温度が10〜80℃の化成処理液に銅又は銅合金板を10〜300秒浸漬することにより、銅又は銅合金板に化成皮膜を形成し、その化成皮膜を形成した状態の銅又は銅合金板にNiめっきを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】銅又は銅合金板の表面を化学研磨処理した後、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、pHが2以下、温度が10〜80℃の化成処理液に銅又は銅合金板を10〜300秒浸漬することにより、銅又は銅合金板に化成皮膜を形成し、その化成皮膜を形成した状態の銅又は銅合金板にNiめっきを形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明はリードフレームや端子等の電気・電子部品に用いられるNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法に関する。
銅又は銅合金板に施されるNiめっきは、LED用Agめっき、端子用Auめっきやワイヤボンディング用Auめっき、Au−Pdめっきの下地処理として多く用いられている。LED用Agめっきではめっき膜が反射材の役割を果たすため、めっき表面に光沢性が要求され、表面光沢の低下はLEDの輝度低下につながる。また、めっきの表面粗さが粗くなるとボンディング性が低下する。端子材等の場合も光沢の低下は意匠性を損なう。
これらの対策として、特許文献1〜3の発明が提案されている。
これらの対策として、特許文献1〜3の発明が提案されている。
特許文献1では、電子材料用銅合金の製造方法として、銅合金基材の表面に対して、#600〜8000の番手を有する研磨材でバフ研磨し、次いで、0.01〜0.5μmの粒度(d50)をもつ研磨材でバフ研磨することが開示されている。
特許文献2では、バフ研磨等された銅合金材を非酸化性雰囲気で500〜600℃の熱処理を施して、銅合金の表層に存在する加工変質層の厚さを0.2μm以下にすることにより、めっき時の異常析出を防止してめっき性を向上させることが開示されている。
特許文献3では、金属めっきを施す銅又は銅合金のめっき前処理として必要十分なレベルの表面状態を、むらなどの発生無く形成できる銅又は銅合金の化学研磨剤として、硫酸第二鉄、硫酸、非イオン性界面活性剤、ハロゲンイオンの各成分を含み、且つ、硫酸の含有量と硫酸第二鉄の含有量との比[硫酸の含有量]/[硫酸第二鉄の含有量]の値が1〜4である化学研磨剤を提案しており、その化学研磨剤を用いてめっき前処理を施すことが開示されている。
また、非特許文献1には、鋼板への電気亜鉛めっきの明度、光沢等を改善するために、前処理としてポリエチレングリコール水溶液に鋼板を浸漬して、鋼板の表面にポリエチレングリコールを吸着させた後にZnを電析することにより、電析Znのエピタキシャル成長を抑制し、結晶を微細化することが記載されている。
特許文献2では、バフ研磨等された銅合金材を非酸化性雰囲気で500〜600℃の熱処理を施して、銅合金の表層に存在する加工変質層の厚さを0.2μm以下にすることにより、めっき時の異常析出を防止してめっき性を向上させることが開示されている。
特許文献3では、金属めっきを施す銅又は銅合金のめっき前処理として必要十分なレベルの表面状態を、むらなどの発生無く形成できる銅又は銅合金の化学研磨剤として、硫酸第二鉄、硫酸、非イオン性界面活性剤、ハロゲンイオンの各成分を含み、且つ、硫酸の含有量と硫酸第二鉄の含有量との比[硫酸の含有量]/[硫酸第二鉄の含有量]の値が1〜4である化学研磨剤を提案しており、その化学研磨剤を用いてめっき前処理を施すことが開示されている。
また、非特許文献1には、鋼板への電気亜鉛めっきの明度、光沢等を改善するために、前処理としてポリエチレングリコール水溶液に鋼板を浸漬して、鋼板の表面にポリエチレングリコールを吸着させた後にZnを電析することにより、電析Znのエピタキシャル成長を抑制し、結晶を微細化することが記載されている。
中野博昭他 「電気亜鉛めっき鋼板の外観,結晶形態に及ぼすポリエチレングリコール予備吸着の影響」 鉄と鋼 Vol.96 (2010) No.6 19〜25頁
特許文献1又は特許文献2では、バフ研磨することにより、素材表面の加工変質層を制御してめっきの析出状態を改善するものであるが、バフ研磨を行うと、表面に研磨砥粒残りが発生する。研磨砥粒残りはめっき欠陥の原因となり、ボンディング性を著しく低下させる。この残留砥粒の除去のためには特許文献3記載のような化学研磨が有効である。
しかしながら、広く用いられているアルコール系添加剤の入った過水・硫酸系化学研磨液で銅又は銅合金をエッチングした素材に光沢Niめっき処理を施すと、表面の光沢が、エッチングなしでめっき処理した素材より大きく低下するという問題がある。この光沢低下は、一般的な化学研磨の場合、微細な結晶組織の加工変質層が除去されることにより、内部の比較的粗大な結晶組織が表面に露出し、その上に形成されるNiめっきがエピタキシャル成長し、その結果、結晶粒が肥大化して外観が曇る現象となっていることが原因であると考えられる。
そこで、非特許文献1記載のように結晶粒を微細化することにより光沢度を改善できるとの考えの下、ポリエチレングリコールを予備吸着させる技術を銅素材に適用してみたが、Niめっきの光沢改善はできなかった。
そこで、非特許文献1記載のように結晶粒を微細化することにより光沢度を改善できるとの考えの下、ポリエチレングリコールを予備吸着させる技術を銅素材に適用してみたが、Niめっきの光沢改善はできなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、Niめっきによる光沢の低下を抑制することができるNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法は、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、pHが2以下、温度が10〜80℃の化成処理液に銅又は銅合金板を10〜300秒浸漬した後に、前記銅又は銅合金板にNiめっきを形成することを特徴とする。
上記の化成処理液に銅又は銅合金板を浸漬することにより、銅又は銅合金板に化成皮膜形成剤が化学的に強固に吸着して化成皮膜を形成し、その化成皮膜を形成した状態の銅又は銅合金板にNiめっきを施すと化成皮膜がNiのエピタキシャル成長を阻害し、Ni結晶を微細化して光沢度の低下を防止することができる。
化成処理液の化成皮膜形成剤濃度は0.01g/L未満では銅又は銅合金板への化成皮膜の吸着量が不足するため、光沢度が低下する。1g/Lを超えると、吸着量が多過ぎて、めっき密着性が低下する。塩化物イオンは化成皮膜の吸着を促進する効果がある。その濃度が0.01g/L未満では吸着促進効果が期待できず、1g/Lを超えると、吸着量が多過ぎて、めっき密着性が低下する。
化成処理液のpHは低いほど化成皮膜の吸着量が増加し、pHが2を超えると吸着量が不足し光沢度が低下する。化成処理液の温度は10℃未満では吸着量が十分でなく、80℃を超えると吸着物質が分解してしまうため、好ましくない。
化成処理液への浸漬時間は10秒未満では吸着量が十分でなく、300秒を超えても吸着量が飽和するため意味がない。
化成処理液のpHは低いほど化成皮膜の吸着量が増加し、pHが2を超えると吸着量が不足し光沢度が低下する。化成処理液の温度は10℃未満では吸着量が十分でなく、80℃を超えると吸着物質が分解してしまうため、好ましくない。
化成処理液への浸漬時間は10秒未満では吸着量が十分でなく、300秒を超えても吸着量が飽和するため意味がない。
本発明のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法において、前記化成処理液に浸漬する前に、前記銅又は銅合金板の表面を化学研磨処理する。
化学研磨処理することにより、銅又は銅合金板の表面部が除去されるので、バフ研磨等により表面に砥粒残りが生じていた場合でも、残留砥粒を除去することができ、残留砥粒によるめっき欠陥を低減することができる。
本発明のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法は、過酸化水素濃度が0.1〜60g/L、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、硫酸濃度が10〜300g/L、温度が10〜80℃の化学処理液に銅又は銅合金板を浸漬した後に、前記銅又は銅合金板にNiめっきを形成することを特徴とする。
化学処理液を上記の組成とすることにより、銅又は銅合金板に対する化学研磨処理と化成皮膜吸着処理との両方を施すことができ、工程を簡素化することができる。
この場合、化成皮膜形成剤濃度、塩化物イオン濃度の限定理由は前述した通りである。過酸化水素濃度は0.1g/L未満では、エッチング反応の進行が遅くなるため、化学研磨の効果が得られない。60g/Lを超えると、エッチングが過剰となり、素材表面が荒れるため、Niめっき表面の光沢度が低下する。硫酸濃度は10g/L未満ではエッチング中に銅表面に酸化物が生成されるため、Niめっきの光沢が低下する。300g/Lを超えると、添加剤が十分に作用しなくなるためNiめっきの光沢度が低下する。
この場合、化成皮膜形成剤濃度、塩化物イオン濃度の限定理由は前述した通りである。過酸化水素濃度は0.1g/L未満では、エッチング反応の進行が遅くなるため、化学研磨の効果が得られない。60g/Lを超えると、エッチングが過剰となり、素材表面が荒れるため、Niめっき表面の光沢度が低下する。硫酸濃度は10g/L未満ではエッチング中に銅表面に酸化物が生成されるため、Niめっきの光沢が低下する。300g/Lを超えると、添加剤が十分に作用しなくなるためNiめっきの光沢度が低下する。
本発明のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法によれば、Niめっきのエピタキシャル成長を阻害して、微細な結晶のNiめっき層を形成することができ、表面を平滑化して光沢低下を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法は、銅又は銅合金板を化成処理液に浸漬して、表面に化成皮膜を形成した後に、Niめっきを形成する方法である。
本発明のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法は、銅又は銅合金板を化成処理液に浸漬して、表面に化成皮膜を形成した後に、Niめっきを形成する方法である。
銅又は銅合金板の材質は必ずしも限定されるものではないが、Fe:2.1〜2.6質量%、P:0.015〜0.15質量%、Zn:0.05〜0.20質量%、残部がCu及び不可避不純物からなるFCC(面心立方格子)構造のC19400銅合金は、析出物が微細なため、めっき性、エッチング性に優れており、好適である。特に、三菱伸銅株式会社製C194合金(Fe:2.3質量%、Zn:0.12質量%、P:0.03質量%、Cu:97.6質量%)が優れている。
化成処理液は、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、pHが2以下、温度が10〜80℃である。
化成処理液の化成皮膜形成剤としては、トリアゾール類、イミダゾール類、チアゾール類などを用いることができる。具体的には、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸などを用いることができ、ベンゾトリアゾールが最も好適である。
化成処理液の化成皮膜形成剤としては、トリアゾール類、イミダゾール類、チアゾール類などを用いることができる。具体的には、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸などを用いることができ、ベンゾトリアゾールが最も好適である。
これらの化成皮膜形成剤は銅との化学吸着力が強く、銅又は銅合金板の表面に強固な化成皮膜を形成する。この化成皮膜形成剤の濃度は0.01g/L未満では銅又は銅合金板への化成皮膜の吸着量が不足するため、光沢度が低下する。1g/Lを超えると、吸着量が多過ぎて、皮膜が剥がれ易くなり、めっき密着性が低下する。塩化物イオンは化成皮膜の吸着を促進する効果がある。その濃度が0.01g/L未満では吸着促進効果が期待できず、1g/Lを超えると、吸着量が多過ぎて、めっき密着性が低下する。
化成処理液のpHは低いほど化成皮膜の吸着量が増加し、pHが2を超えると吸着量が不足し光沢度が低下する。化成処理液の温度は10℃未満では吸着量が十分でなく、80℃を超えると吸着物質が分解してしまうため、好ましくない。
この化成処理液への浸漬時間は10〜300秒である。浸漬時間が10秒未満では吸着量が十分でなく、300秒を超えても吸着量が飽和するため意味がない。
この化成処理液への浸漬時間は10〜300秒である。浸漬時間が10秒未満では吸着量が十分でなく、300秒を超えても吸着量が飽和するため意味がない。
次に、化成皮膜が形成された銅又は銅合金板の表面にNiめっき層を形成する。Niめっき浴は通常用いられるものでよく、ワット浴の他、スルファミン酸浴、クエン酸浴等も用いることができる。
このようにして製造されるNiめっき付き銅又は銅合金板は、表面に微細な結晶子サイズ(例えば10〜50nm)のNiめっき層が形成されており、その表面が平滑化して、光沢度の低下が抑制される。したがって、銅又は銅合金板を予めバフ研磨しなくても、光沢度を向上させることができる。
なお、Niめっきの前処理として実施した化成処理にて形成される化成皮膜(有機皮膜)は、Niめっきを施すことにより消失する場合もあるが、わずかに(例えば数nm)残存する場合もある。
なお、Niめっきの前処理として実施した化成処理にて形成される化成皮膜(有機皮膜)は、Niめっきを施すことにより消失する場合もあるが、わずかに(例えば数nm)残存する場合もある。
以上の説明では、銅又は銅合金板をバフ研磨することなく、化成処理してNiめっきしたが、銅又は銅合金板を予めバフ研磨して、表面を平滑化しておくとなおよい。
その場合、バフ研磨した銅又は銅合金板を化成処理液に浸漬する前に、銅又は銅合金板の表面を化学研磨(エッチング)処理することにより、バフ研磨により付着した研磨砥粒を除去するとよい。この化学研磨処理には、通常の過酸化水素、硫酸等からなる処理液を用いることができる。
その場合、バフ研磨した銅又は銅合金板を化成処理液に浸漬する前に、銅又は銅合金板の表面を化学研磨(エッチング)処理することにより、バフ研磨により付着した研磨砥粒を除去するとよい。この化学研磨処理には、通常の過酸化水素、硫酸等からなる処理液を用いることができる。
また、化成処理液と化学研磨処理液とを混合した化学処理液を用いることにより、銅又は銅合金板に対する化学研磨と化成皮膜処理との両方を実施することも可能である。
この化学処理液としては、過酸化水素濃度が0.1〜60g/L、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、硫酸濃度が10〜300g/L、温度が10〜80℃である。
この化学処理液としては、過酸化水素濃度が0.1〜60g/L、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、硫酸濃度が10〜300g/L、温度が10〜80℃である。
具体的な化成皮膜形成剤は前述したトリアゾール類、イミダゾール類、チアゾール類などを用いることができ、その濃度及び塩化物イオン濃度の限定理由も前述の通りである。過酸化水素濃度は0.1g/L未満では、エッチング反応の進行が遅くなるため、化学研磨の効果が得られない。60g/Lを超えると、エッチングが過剰となり、素材表面が荒れるため、Niめっき表面の光沢度が低下する。硫酸濃度は10g/L未満ではエッチング中に銅表面に酸化物が生成されるため、Niめっきの光沢が低下する。300g/Lを超えると、添加剤が十分に作用しなくなるためNiめっきの光沢度が低下する。
化学処理液の温度は10℃未満では吸着量が十分でなく、80℃を超えると吸着物質が分解してしまうため、好ましくない。浸漬時間は10〜300秒である。浸漬時間が10秒未満では吸着量が十分でなく、300秒を超えても吸着量が飽和するため意味がない。
化学処理液の温度は10℃未満では吸着量が十分でなく、80℃を超えると吸着物質が分解してしまうため、好ましくない。浸漬時間は10〜300秒である。浸漬時間が10秒未満では吸着量が十分でなく、300秒を超えても吸着量が飽和するため意味がない。
この化学処理液を用いることにより、銅又は銅合金板の表面がまず化学研磨され、銅又は銅合金板の新生面が露出してくると、化学研磨よりも化成皮膜の吸着力の方が勝るようになり、表面に化成皮膜が形成される。
化成皮膜が形成された後は、前述と同様にしてNiめっきすることにより、微細な結晶粒のNiめっき層を形成して、光沢度の高い表面を得ることができる。
化成皮膜が形成された後は、前述と同様にしてNiめっきすることにより、微細な結晶粒のNiめっき層を形成して、光沢度の高い表面を得ることができる。
(実験1)
銅合金板としてC19400の圧延板を用い、バフ研磨した。
この銅合金板を硫酸:150g/L、1−プロパノール:1ml/L、過酸化水素:20g/L、浴温:40℃で10秒間エッチングした後、水洗した。この銅合金板の表面の光沢度を日本電色株式会社製光沢度計(型番:PG−1M)によりJIS Z8741に準拠して反射角60°で測定したところ、550であった。
銅合金板としてC19400の圧延板を用い、バフ研磨した。
この銅合金板を硫酸:150g/L、1−プロパノール:1ml/L、過酸化水素:20g/L、浴温:40℃で10秒間エッチングした後、水洗した。この銅合金板の表面の光沢度を日本電色株式会社製光沢度計(型番:PG−1M)によりJIS Z8741に準拠して反射角60°で測定したところ、550であった。
次に、この銅合金圧延板を表1に示す成分、pH、温度の化成処理液に30秒間浸漬した後に、Niめっきした。
表1中、A〜Cで示す化成皮膜形成剤は、A:ベンゾトリアゾール、B:ベンゾチアゾール、C:ベンゾイミダゾールである。
Niめっきは、ワットNi光沢めっき浴(上村工業製ウエライトG−1:10ml/L、同G−2:3ml/L、硫酸ニッケル:280g/L、塩化ニッケル:45g/L、浴温:50℃)にて、電流密度:4A/dm2で厚み1μmのNiめっき層を形成した。
表1中、A〜Cで示す化成皮膜形成剤は、A:ベンゾトリアゾール、B:ベンゾチアゾール、C:ベンゾイミダゾールである。
Niめっきは、ワットNi光沢めっき浴(上村工業製ウエライトG−1:10ml/L、同G−2:3ml/L、硫酸ニッケル:280g/L、塩化ニッケル:45g/L、浴温:50℃)にて、電流密度:4A/dm2で厚み1μmのNiめっき層を形成した。
このNiめっき付き試料の表面の光沢度をJIS Z8741に準拠して反射角60°で測定した。
また、密着性を評価するため、JIS K5600の碁盤目試験法により、カット幅を1mmとして密着性試験を行った。剥がれが一つも発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
これらの結果を表1に示す。
また、密着性を評価するため、JIS K5600の碁盤目試験法により、カット幅を1mmとして密着性試験を行った。剥がれが一つも発生しなかったものを○、発生したものを×とした。
これらの結果を表1に示す。
(実験2)
次に、実験1と同じバフ研磨したC19400の圧延板を表2に示す成分、温度の化学処理液に10秒間浸漬した後に、Niめっきした。
表2中の化成皮膜形成剤A〜Cは、実験1の場合と同じである。Niめっきも実験1と同様である。
実験1と同様に、Niめっき付き試料の表面の光沢度、密着性を評価した。その結果を表2に示す。表2中、「処理なし」は比較のため、実験1と同様にバフ研磨した後、エッチング処理した銅合金板の表面光沢度を示している。
次に、実験1と同じバフ研磨したC19400の圧延板を表2に示す成分、温度の化学処理液に10秒間浸漬した後に、Niめっきした。
表2中の化成皮膜形成剤A〜Cは、実験1の場合と同じである。Niめっきも実験1と同様である。
実験1と同様に、Niめっき付き試料の表面の光沢度、密着性を評価した。その結果を表2に示す。表2中、「処理なし」は比較のため、実験1と同様にバフ研磨した後、エッチング処理した銅合金板の表面光沢度を示している。
これらの結果からわかるように、比較例のものはNiめっき形成により光沢度が低下するのに対して、実施例のものは優れた光沢度を有している。実験1の比較例1及び実験2の比較例1では、光沢度は優れているが、Niめっきの密着性試験において剥がれが認められている。本実施例のものは、いずれもNiめっき層の密着性にも優れている。
図1は実施例1の断面を走査イオン顕微鏡(SIM)で観察した像であり、図2は比較例2の断面を観察した像である。これらの図から明らかなように、実施例のものは、Niめっき層が微細な結晶により形成されており、表面が滑らかであるのに対して、比較例のものは、エピタキシャル成長した粗大な結晶のNiめっき層が表面まで形成され、表面の凹凸も大きくなっている。
図1は実施例1の断面を走査イオン顕微鏡(SIM)で観察した像であり、図2は比較例2の断面を観察した像である。これらの図から明らかなように、実施例のものは、Niめっき層が微細な結晶により形成されており、表面が滑らかであるのに対して、比較例のものは、エピタキシャル成長した粗大な結晶のNiめっき層が表面まで形成され、表面の凹凸も大きくなっている。
Claims (3)
- 化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、pHが2以下、温度が10〜80℃の化成処理液に銅又は銅合金板を10〜300秒浸漬した後に、前記銅又は銅合金板にNiめっきを形成することを特徴とするNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法。
- 前記化成処理液に浸漬する前に、前記銅又は銅合金板の表面を化学研磨処理することを特徴とする請求項1記載のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法。
- 過酸化水素濃度が0.1〜60g/L、化成皮膜形成剤濃度が0.01〜1g/L、塩化物イオン濃度が0.01〜1g/L、硫酸濃度が10〜300g/L、温度が10〜80℃の化学処理液に銅又は銅合金板を浸漬した後に、前記銅又は銅合金板にNiめっきを形成することを特徴とする請求項1又は2記載のNiめっき付き銅又は銅合金板の製造方法。
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