JP2014144996A - ポリアミドイミド樹脂の合成方法、ポリアミドイミド樹脂およびポリアミドイミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミドイミド樹脂の合成方法、ポリアミドイミド樹脂およびポリアミドイミド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】環境、人体へ悪影響を与え難い溶媒を用い、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れたポリアミドイミド樹脂の合成方法を提供することにある。
【解決手段】アルキレングリコールアルキルエーテルを含む溶媒中で、(1)ジイソシアネート化合物と、(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体とを重合させて得られるポリアミドイミド樹脂の合成方法。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアミドイミド樹脂の合成方法、および得られたポリアミドイミド樹脂、ならびにこのポリアミドイミド樹脂を用いたワニスとポリアミドイミド樹脂組成物とに関する。
ポリアミドイミド樹脂は、高絶縁性、高耐熱性、高強度性、高耐摩耗性、高耐溶剤性等の優れた特性を多数有しているため、各種の基材のコート剤として広く使用され、例えば、エナメル線用ワニス、耐熱塗料、防錆塗料、基材保護膜等として使用されている。
ポリアミドイミド樹脂の一般的な製造法については公知(例えば、特許文献1参照)であり、従来のポリアミドイミド樹脂は、ジフェニルメタンジイソシアネートと無水トリメリット酸を材料に使用し、大量のポリアミドイミド樹脂を連続的かつ安価に製造できるという工業的に優れたイソシアネート法により製造されている。
このような、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れたポリアミドイミド樹脂の合成には、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が用いられている。アミド系溶媒はポリアミドイミド樹脂を非常に良く溶解し、高沸点、低凝固点であることから非常に取り扱い易い溶媒である(例えば、特許文献2参照)。
しかし、上記アミド系溶媒は、ヨーロッパ圏において、生殖毒性があるとの報告があり、ヨーロッパを中心に塗布膜、構造物中の残存溶媒の取り扱いを含めアミド系溶媒の取り扱いに注意する必要がある。特に、ヨーロッパでは、アミド系溶媒を使用しない動きがある。
このようなアミド系溶媒に関する課題を解決するために、アミド系溶媒に代わる溶媒が種々検討されているが、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れた高分子量のポリアミドイミド樹脂を合成することができない状況である。
特公昭44−19274号公報 特開平10−265670号公報
耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れたポリアミドイミド樹脂の合成には、環境、人体への配慮からN−メチルピロリドン(NMP)等アミド系溶媒を用いないことが求められている。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、環境、人体へ悪影響を与え難い溶媒を用い、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れたポリアミドイミド樹脂を提供することを目的としている。
本発明は、以下に関する。
1.アルキレングリコールアルキルエーテル溶媒中で、(1)ジイソシアネート化合物と、(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体とを重合させて得られるポリアミドイミド樹脂の合成方法。
2.前記(1)成分及び(2−a)成分に、さらに(2−b)ジカルボン酸化合物又はジオール化合物の少なくとも1以上を重合成分として加える項1記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
3.前記(1)成分及び(2−a)成分に、さらに(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体を重合成分として加える項1又は2記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
4.前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶媒が、下記化学式(A)で示す構造のものである項1乃至3の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
Figure 2014144996
(式中、R1は水素、または炭素数が1から4の飽和炭化水素基を示す。R2、R3は水素、炭素数が1から10の飽和炭化水素基、フェニル基、またはベンジル基を示す。R2及びR3は、同一でも、異なっていてもよいが同時に水素にはならない。nは、1から10の整数を示す。)
5.前記化学式(A)において、R1が、水素、または炭素数が1から2の飽和炭化水素基であり、R2、R3が水素、炭素数が1から6の飽和炭化水素基、フェニル基またはベンジル基であり、R2及びR3は、同一でも、異なっていてもよいが同時に水素にはならず、nが1から5である項4記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
6.前記(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体が、化学式(B)で示される化合物のうちの何れか1種以上である項1乃至5の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
Figure 2014144996
(ただし、式(I)中、Xは単結合、−CH2−、−CO−、―SO2―、又は−O−を示す。)
7.前記(1)成分が、化学式(C)で示される化合物のうちの何れか1種以上である項1乃至6の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
Figure 2014144996
(ただし、式中、Xは単結合、−O−、又は−CH2−を示す。)
8.項1乃至7の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法によって得られるポリアミドイミド樹脂。
9.前記ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が5,000〜75,000である項8記載のポリアミドイミド樹脂。
10.項1乃至7の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法によって得られるポリアミドイミド樹脂を、アルキレングリコールアルキルエーテルを含む溶媒に溶解したワニス。
11.前記アルキレングリコールアルキルエーテルが上記化学式(A)で示す構造のものである項10記載のワニス。
12.前記化学式(A)においてR1が、水素、または炭素数が1から2の飽和炭化水素基であり、R2、R3が水素、炭素数が1から6の飽和炭化水素基、フェニル基、またはベンジル基であり、R2及びR3は、同一でも、異なっていてもよいが同時に水素にはならず、nが1から5である項11記載のワニス。
13.項1乃至7の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法によって得られるポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、1種類以上の硬化剤を1〜100質量部含有するポリアミドイミド樹脂組成物。
14.前記硬化剤が多官能型エポキシ化合物である項13記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
本発明によれば、環境、人体へ悪影響が少ない溶媒を使用し、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れたポリアミドイミド樹脂及びポリアミド樹脂組成物を提供することが可能となった。
本発明のポリアミドイミド樹脂の合成方法は、アルキレングリコールアルキルエーテル溶媒中で、ジイソシアネート化合物と酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体などとを重合させるものである。
本発明で用いるアルキレングリコールアルキルエーテル溶媒としては、アルキレングリコールのアルキルエーテルばかりでなく、アルキレングリコールが複数個縮合したポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶媒でもよく、また、アルキルエーテルについては、モノアルキルエーテルであってもジアルキルエーテルであってもよい。なお、ここでいう「アルキル」は、いわゆる炭化水素基を意味するもので、アルキル基の他、アリール基およびアラルキル基も含まれるものである。このようなアルキレングリコールアルキルエーテルとしては、なかでも下記の化学式(A)で示されるものが好ましいものとしてあげられる。
Figure 2014144996
式中のR1は水素、または炭素数が1から4の飽和炭化水素基であり、R2、R3は水素、炭素数が1から10の飽和炭化水素基、フェニル基、またはベンジル基である。ここで、R2及びR3は、同一であっても、異なっていてもよいが、同時に水素となることはなく、いわゆるジオールは含まれない。なお、nは、1から10の整数である。
1の炭素数が1から4の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル、プロピル基(各異性体を含む、以下同様)、ブチル基があげられるが、これらのうち、メチル基、エチル基が、溶解性の点で、好ましく、また、R2およびR3の炭素数が1から10の飽和炭化水素基としては、炭素数が1から6であるいわゆる低級飽和炭化水素が、溶解性の点から好ましく、炭素数が1から4のものがより好ましいものである。なお、nとしては、1から5であることが、樹脂組成物を硬化させる際の揮発性の点で好ましく、1から3であることがより好ましい。
このような化学式(A)で表されるアルキレングリコールアルキルエーテルのうち、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのモノエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジペンチルエーテル、エチレングリコールジヘキシルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、エチレングリコールジベンジルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールメチルプロピルエーテル、エチレングリコールブチルメチルエーテル、エチレングリコールブチルエチルエーテル、エチレングリコールエチルプロピルエーテル、エチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジペンチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジベンジルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエチルエーテルなどのジエーテル類が、好ましいものとしてあげられる。
これらのうちでも、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどが、溶解性の点で特に好ましいものである。これらの溶媒は、必要に応じて単独又は2種以上混合して用いられる。
また、使用量としては、得られるポリアミドイミド樹脂に対して、通常、20〜80質量部の範囲で用いられる。
なお、上記の溶媒のうちモノエーテル類は水酸基を含むため、イソシアネート基と反応し、ウレタン結合となるが、この反応は可逆的反応であり、不可逆的反応のポリアミドイミド化反応との平衡/競争反応となるため、溶媒として用いることができ、これらの溶媒は溶解性が高く、ポリアミドイミド化反応に好適なものであった。
本発明で用いる(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体としては、例えば一般式(I)及び(II)で示す化合物を使用することができ、イソシアネートまたはアミノ基と反応する酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体であればよく、特に制限はない。耐熱性、コスト面等を考慮すれば、トリメリット酸無水物が特に好ましい。これらの酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
Figure 2014144996
(ただし、式(I)中、Xは単結合、−CH2−、−CO−、―SO2―、又は−O−を示す。)
本発明で用いる(2−b)成分のジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸を使用することができる。機械的特性のバランスの観点からアジピン酸が特に好ましい。これらのジカルボン酸は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
本発明で用いる(2−b)成分のジオール化合物としては、例えば、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビフェニルジオール、ビスフェノールA、ナフタレンジオール、芳香族ポリカーボネートジオール、芳香族ポリカーボネートジオール−クロロギ酸二エステル等の芳香族ポリカーボネートジオールの誘導体など芳香族ジオール化合物、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、脂肪族ポリカーボネートジオール、脂肪族ポリカーボネートジオール−クロロギ酸二エステル等の脂肪族ポリカーボネートジオールの誘導体など脂肪族ジオール化合物が挙げられる。これらのジオール化合物は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
脂肪族ポリカーボネートジオール又はそれらの誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種類以上のモノマを共重合させることがより好ましい。
脂肪族ポリカーボネートジオール又はその誘導体の量が脂肪族ポリカーボネートジオールを含まないポリアミドイミド樹脂に対して、脂肪族ポリカーボネートジオールが1モル%から50モル%であると、従来のポリアミドイミド樹脂と比較して加工性及び密着性が向上するとともに、耐溶剤性にも優れるものが得られることから好ましいものとなる。
加工性及び密着性を向上させ、かつ耐溶剤性を保持するためには、脂肪族ポリカーボネートジオール又はその誘導体の量を5〜30モル%とすることがより好ましい。
本発明になるポリアミドイミド樹脂を重合するために使用しうる脂肪族ポリカーボネートジオール類としては、例えば、ダイセル化学(株)製、商品名PLACCEL CD−205、205PL、205HL、210、210PL、210HL、220、220PL、220HLとして市販されているものが挙げられ、これらを単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いる(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体としては、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらの化合物は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
また、上記の化合物以外にも、必要に応じ、ヒドロキシナフトエ酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシビフェニルカルボン酸、1,2−アミノドデカン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グルコン酸、乳酸、フマル酸、DL−リンゴ酸、キシリトール、D−ソルビトール、DL−アラニン等を用いてもよい。
本発明で用いる(1)ジイソシアネート化合物としては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、3,3′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。機械的特性の引張り強度と弾性率の観点から芳香族系を使用することが好ましく、このようなものとしては、例えば前記化学式(C)で示した各化合物があげられ、これらのうちでもコストを考慮すると4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとトリレンジイソシアネートが特に好ましい。これらのジイソシアネート化合物は、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
前記(1)ジイソシアネート化合物からなる成分と、(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体と、必要により加える(2−b)ジカルボン酸化合物又はジオール化合物、及び(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体からなる群から選ばれる成分の合計との使用量は、生成されるポリアミドイミド樹脂の分子量、架橋度の観点から、(2)成分である(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体と、(2−b)ジカルボン酸化合物又はジオール化合物、及び(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体からなる群から選ばれ成分との総量1.0モルに対して(1)ジイソシアネート化合物からなる成分の量を0.8〜1.1モルとすることが好ましく、0.95〜1.08モルとすることがより好ましく、特に1.0〜1.08モル使用されることが好ましい。
本発明において、(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体に加えて、(2−b)ジカルボン酸化合物又はジオール化合物を用いる場合、両者の配合割合(2−a)/(2−b)は、当量比で0.95/0.05〜0.50/0.50とすることが好ましく、0.85/0.15〜0.60/0.40とすることがより好ましく、0.75/0.25〜0.65/0.35とすることが特に好ましい。この範囲であると、塗膜の柔軟性と耐熱性とに優れたポリアミドイミド樹脂が得られるため好ましいものとなる。
また、(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体に加えて、(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体を用いる場合、両者の配合割合(2−a)/(2−c)は、当量比で0.95/0.05〜0.50/0.50とすることが好ましく、0.85/0.15〜0.60/0.40とすることがより好ましく、0.75/0.25〜0.65/0.35とすることが特に好ましい。この範囲であると、塗膜の強度が優れたポリアミドイミド樹脂が得られるため好ましいものとなる。
なお、(2−b)ジカルボン酸化合物又はジオール化合物と(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体とを両方用いる場合には、両者の配合割合(2−b)/(2−c)は、当量比で0.95/0.05〜0.50/0.50とすることが好ましく、0.85/0.15〜0.60/0.40であることがより好ましい。
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂は例えば次の製造法で得ることができる。
1.(2−a)成分及び必要に応じて(2−b)成分や(2−c)成分と、ジイソシアネート成分(1)とを一度に使用し、反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
2.(2−b)成分と、ジイソシアネート成分(1)の過剰量とを反応させて末端にイソシアネート基を有するアミドオリゴマーを合成した後、酸成分(2−a)及び必要に応じて(2−c)成分を追加反応しポリアミドイミド樹脂を得る方法。
3.(2−a)成分及び必要に応じて(2−c)成分の過剰量と、ジイソシアネート成分(1)を反応させて末端に酸又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、(2−b)成分を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を得る方法。
なお、上記の反応において、反応温度としては、一般に、80〜180℃程度の温度で行うことが好ましい。
このようにして得られたポリアミドイミド樹脂は、数平均分子量が5,000から75,000のものが好ましい。数平均分子量が5,000未満では塗膜の強度が低下する傾向があり、75,000を超えると、塗料として適切な濃度で溶媒に溶解した時に粘度が高くなり、塗装時の作業性が劣る傾向がある。これらの観点から、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は10,000から40,000とすることがより好ましく、15,000から30,000とすることがさらに好ましい。
なお、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、樹脂合成時にサンプルリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより上記範囲に管理される。
以上のようにして得られるポリアミドイミド樹脂は、反応終了後メタノールやアセトンなどの貧溶媒中に投入し、析出させて固形状の樹脂とすることもできるし、得られたポリアミドイミド樹脂を反応に用いたアルキレングリコールアルキルエーテル溶媒に溶解させた状態のワニスとすることもできる。なお、ここで溶解させる溶媒としては、ポリアミドイミド樹脂を溶解できるものであれば、いずれも用いることができるが、本発明の目的からいって、アミド系溶媒ではなく、上記のアルキレングリコールアルキルエーテル溶媒を用いることが好ましいものである。
本発明で得られるポリアミドイミド樹脂は、通常、十分な耐溶剤性を得るために、加熱硬化時における樹脂同士の重合反応及び架橋反応を促進させる目的で、多官能型エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、メラミン化合物、ポリエステル化合物等の硬化剤を配合し、ポリアミドイミド樹脂組成物として用いることが好ましい。
硬化剤としては、本発明で得られるポリアミドイミド樹脂との反応性及び得られる塗膜特性から、特に多官能型エポキシ化合物の併用が好ましい。
多官能型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型、アミン型、アルコール型、ビフェニル型、エステル型等特に制限はなく、複数のものを同時に併用することができる。これらのうちでも、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型を用いることが好ましい。
多官能型エポキシ化合物等の硬化剤の配合量は、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して1〜100重量部とすることが好ましい。
硬化剤の量をこの範囲とすることが、重合反応及び架橋反応の促進効果が十分に得られ、得られる塗膜の耐溶剤性に優れるものが得られる点で好ましく、3〜30重量部とすることがより好ましい。
以上のようにして得られる本発明のポリアミドイミド樹脂及びポリアミドイミド組成物は、γ―ブチロラクトン等の極性溶媒、アルキレングリコールアルキルエーテル溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物類、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル化合物類などの溶媒に溶解され、適当な粘度に調整してワニスないしは塗料とすることができる。ワニスないし塗料とする場合、一般に固形分は10〜50重量%とされる。
本発明のポリアミドイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂組成物を塗膜成分として含有するワニスないし塗料には、通常、前記の溶媒に加え、必要に応じ、揺変性付与剤、顔料、充填材、硬化促進剤、重合禁止剤、等を配合することができる。
揺変性付与剤としては、例えば、微粒子シリカ、有機ベントナイト、有機高分子微粒子等が挙げられる。
顔料、充填材としては、例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレーシリカ等が挙げられる。
本発明で得られるポリアミドイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂組成物を塗膜成分としてなるワニスないし塗料は、被塗物に塗布、硬化させて、被塗物表面に塗膜を形成することができる。
特に本発明のポリアミドイミド樹脂の合成方法は、従来のポリアミドイミド樹脂の合成方法と比較して、環境、人体への悪影響を与え難いアルキレングリコールアルキルエーテル溶媒を用いポリアミドイミド樹脂合成し、優れた加工性及び密着性を有する柔軟な塗膜を形成することができ、かつ耐溶剤性を保持することができることから、高加工性、高密着性及び高耐溶剤性の要求される多種多様な用途において多大な有益性を有している。
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むことは言うまでもない。
実施例1
無水トリメリット酸288.2g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート375.4g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル1290.9gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して120℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して140℃まで上げ、加熱開始から6時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は32.0重量%で、粘度(25℃)は2.6Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000であった。
なお、数平均分子量はGPCを用い、次の条件にて測定し、標準ポリスチレンに換算した値として算出した。
機種:日立 L6000
検出器:日立 L4000型UV
波長:270nm
データ処理機:ATT 8
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5×2
カラムサイズ:8mmφ×300mm
溶媒:DMF/THF=1/1(リットル)+リン酸0.06M+臭化リチウム0.06M
試料濃度:5mg/1ml
注入量:5μl
圧力:49kgf/cm2(4.8×106Pa)
流量:1.0ml/min
実施例2
無水トリメリット酸288.2g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート187.7g、トリレンジイソシアネート130.6g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル1180.0gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して120℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して140℃まで上げ、加熱開始から6時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は31.5重量%で、粘度(25℃)は1.8Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は20,000であった。
実施例3
無水トリメリット酸288.2g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート187.7g、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルビフェニル198.2g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル1310.9gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して120℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して140℃まで上げ、加熱開始から6時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は31.2重量%で、粘度(25℃)は5.7Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は27,000であった。
実施例4
無水トリメリット酸430.3g、アジピン酸140.3g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート800.8g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル2809.9gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら130℃を保持し、このまま7時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は29.8重量%で、粘度(25℃)は2.9Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は30,000であった。
実施例5
無水トリメリット酸312.8g、アジピン酸99.4g、イソフタル酸20.2g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート577.7g、トリレンジイソシアネート27.5gをジエチレングリコールモノメチルエーテル2668.3gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して110℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら110℃を保ち、加熱開始から8時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は27.0重量%で、粘度(25℃)は1.3Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は20,000であった。
実施例6
無水トリメリット酸216.1g、セバシン酸75.8g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート367.9g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル1280.9gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して120℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して140℃まで上げ、加熱開始から6時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は31.6重量%で、粘度(25℃)は8.3Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は40,000であった。
実施例7
無水トリメリット酸430.3g、1,6−ヘキサンジオール113.4g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート800.8g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル2755.0gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら130℃を保持し、このまま7時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は30.1重量%で、粘度(25℃)は2.6Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は32,000であった。
実施例8
無水トリメリット酸434.9g、ピロメリット酸無水物10.1g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート578.1g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル3850.0gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら130℃を保持し、このまま7時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は19.2重量%で、粘度(25℃)は8.1Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は25,000であった。
実施例9
無水トリメリット酸352.8g、イソフタル酸76.8g、ピロメリット酸無水物2.5g、アジピン酸140.3g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート800.8g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル2749.9gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら130℃を保持し、このまま7時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は25.2重量%で、粘度(25℃)は3.3Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は21,000であった。
比較例1
無水トリメリット酸167.1g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート222.1g、N−メチル−2−ピロリドン808.4gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら2時間かけて徐々に昇温して130℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら130℃を保持し、このまま6時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2h)は29.3重量%で、粘度(25℃)は4.0Pa・sであった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は25,000であった。
試験例1
実施例1から9、及び比較例1で得られたポリアミドイミド樹脂をガラス基板の上に塗布して機械的特性を、アルミニウム基板A1050P(1.0×50×150mm、(株)パルテック製)の上に塗布して鉛筆硬度と密着性をそれぞれ測定した。
[機械的特性]
実施例1から9、及び比較例1で得られたポリアミドイミド樹脂を塗布した基板を80℃で10分間予備乾燥させた後、250℃で30分間加熱硬化し、塗膜厚が5ヶ所の平均値が20μm、幅10mm、長さが60mmの塗膜を得た。得られた塗膜を、引張試験機(島津製作所製オートグラフAGS−5kG)を用いてチャック間長さ20mm、引張速度5mm/分の条件で引張試験を行い、機械的特性(強度、弾性率および伸び率)を求めた。
[鉛筆硬度]
実施例1から9、及び比較例1で得られたポリアミドイミド樹脂を塗布した基板を80℃で10分間予備乾燥させた後、250℃で30分間加熱硬化し、塗膜厚が5ヶ所の平均値が20μmの塗膜を得た。この塗膜を鉛筆で削り、傷発生時の鉛筆の硬さを記録した。
[密着性]
実施例1から9、及び比較例1で得られたポリアミドイミド樹脂を塗布した基板を80℃で10分間予備乾燥させた後、250℃で30分間加熱硬化し、塗膜厚が5ヶ所の平均値が20μmの塗膜を得た。この塗膜を1mm四方のマスを10×10マス作製し、粘着テープ(ニチバン製)にて5回剥離を行い、残ったマス目の数を数えた。
結果を表1に示す。
Figure 2014144996
実施例10
実施例1で得られたポリアミドイミド樹脂溶液30gを200mlの三角フラスコに秤取り、ジエチレングリコールモノメチルエーテル70gで希釈し希釈溶液を準備した。次に、アセトン750g及び精製水750gを2Lビーカーに入れた後、ビーカー内の溶液を攪拌機でよく混合する。溶液を攪拌機で攪拌しながら、準備した希釈溶液100gを2Lビーカー内に徐々に滴下すると、溶液中に、樹脂が析出した。析出した樹脂をろ過により回収した後、回収した樹脂を70℃の乾燥機中で96時間乾燥して樹脂粉体を得た。
樹脂粉体中に残存する、残存NMP量はガスクロマトグラフィーを用い測定した。その結果を表2に示した。なお、ガスクロマトグラフィーの測定条件を以下に記載する。
機種:GLサイエンス GC−4000
Carrier gas:ヘリウム 5.0mL/min
検出器:FID
カラム:TC−WAX polyethylene Glycol
カラムサイズ:0.53mmφ×30m
温度 injection:250℃
Detector :250℃
Oven :60℃(5min)→15℃/min→220℃
比較例2
比較例1で得られたポリアミドイミド樹脂溶液30gを200mlの三角フラスコに秤取り、N−メチル−2−ピロリドン70gで希釈し希釈溶液を準備した。次に、アセトン750g及び精製水750gを2Lビーカーに入れた後、ビーカー内の溶液を攪拌機でよく混合する。溶液を攪拌機で攪拌しながら、準備した希釈溶液100gを2Lビーカー内に徐々に滴下すると、溶液中に、樹脂が析出した。析出した樹脂をろ過により回収した後、回収した樹脂を70℃の乾燥機中で96時間乾燥して樹脂粉体を得た。次いで、実施例10と同様にして、樹脂粉体中に残存するNMP量を測定した。その結果を表2に示した。
Figure 2014144996
表1より実施例1から9で得られた、ポリアミドイミド樹脂から作製された塗膜は、比較例1で得られたポリアミドイミド樹脂から作製された塗膜と比較して、機械的特性の引張り強度、弾性率及び伸び率が同程度の値を示すことが分かった。また、樹脂粉体中に残存するNMP量は、実施例10では、検出限界以下であったが、比較例2では1000ppmと大きな値を示した。本発明はポリアミドイミド樹脂の合成にNMPのようなアミド系溶媒以外の溶媒を用いポリアミドイミド樹脂を合成でき、塗膜の機械特性や鉛筆硬度、密着性などは従来の溶媒を用いた場合に比べて同等ないしは同等以上の性能を有するものであり、粉体中にNMP等のアミド溶媒を含まない合成方法が可能となることが分かる。

Claims (14)

  1. アルキレングリコールアルキルエーテル溶媒中で、(1)ジイソシアネート化合物と、(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体とを重合させて得られるポリアミドイミド樹脂の合成方法。
  2. 前記(1)成分及び(2−a)成分に、さらに(2−b)ジカルボン酸化合物又はジオール化合物の少なくとも1以上を重合成分として加える請求項1記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
  3. 前記(1)成分及び(2−a)成分に、さらに(2−c)酸無水物基を2個有する4価のカルボン酸誘導体を重合成分として加える請求項1又は2記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
  4. 前記アルキレングリコールアルキルエーテル溶媒が、下記化学式(A)で示す構造のものである請求項1乃至3の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
    Figure 2014144996
    (式中、R1は水素、または炭素数が1から4の飽和炭化水素基を示す。R2、R3は水素、炭素数が1から10の飽和炭化水素基、フェニル基、またはベンジル基を示す。R2及びR3は、同一でも、異なっていてもよいが同時に水素にはならない。nは、1から10の整数を示す。)
  5. 前記化学式(A)において、R1が、水素、または炭素数が1から2の飽和炭化水素基であり、R2、R3が水素、炭素数が1から6の飽和炭化水素基、フェニル基またはベンジル基であり、R2及びR3は、同一でも、異なっていてもよいが同時に水素にはならず、nが1から5である請求項4記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
  6. 前記(2−a)酸無水物基を有する3価のカルボン酸誘導体が、化学式(B)で示される化合物のうちの何れか1種以上である請求項1乃至5の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
    Figure 2014144996
    (ただし、式(I)中、Xは単結合、−CH2−、−CO−、―SO2―、又は−O−を示す。)
  7. 前記(1)成分が、化学式(C)で示される化合物のうちの何れか1種以上である請求項1乃至6の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法。
    Figure 2014144996
    (ただし、式中、Xは単結合、−O−、又は−CH2−を示す。)
  8. 請求項1乃至7の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法によって得られるポリアミドイミド樹脂。
  9. 前記ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が5,000〜75,000である請求項8記載のポリアミドイミド樹脂。
  10. 請求項1乃至7の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法によって得られるポリアミドイミド樹脂を、アルキレングリコールアルキルエーテルを含む溶媒に溶解したワニス。
  11. 前記アルキレングリコールアルキルエーテルが上記化学式(A)で示す構造のものである請求項10記載のワニス。
  12. 前記化学式(A)においてR1が、水素、または炭素数が1から2の飽和炭化水素基であり、R2、R3が水素、炭素数が1から6の飽和炭化水素基、フェニル基、またはベンジル基であり、R2及びR3は、同一でも、異なっていてもよいが同時に水素にはならず、nが1から5である請求項11記載のワニス。
  13. 請求項1乃至7の何れか一項記載のポリアミドイミド樹脂の合成方法によって得られるポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、1種類以上の硬化剤を1〜100質量部含有するポリアミドイミド樹脂組成物。
  14. 前記硬化剤が多官能型エポキシ化合物である請求項13記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
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