以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した印刷材供給システムについて説明する。
A.第1実施形態:
A−1.印刷材供給システムの全体構成:
図1は、印刷材供給システム10の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交するXYZ軸が描かれている。図1のXYZ軸は他の図のXYZ軸に対応している。これ以降に示す図についても必要に応じてXYZ軸を付している。印刷材供給システム10は、カートリッジ20と、印刷装置としてのプリンター50とを備える。印刷材供給システム10では、プリンター50のホルダー60に、利用者によってカートリッジ20が着脱可能に装着される。
印刷材供給システム10のカートリッジ20は、内部に印刷材としてのインクを収容する。カートリッジ20に収容された印刷材としてのインクは、後述する印刷材供給口及び印刷材供給管を介してヘッド540に供給される。本実施形態では、プリンター50のホルダー60には、複数のカートリッジ20が着脱可能に装着される。本実施形態では、6色(ブラック、イエロ、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアンおよびライトシアン)のインクに対応して6種類のカートリッジ20が1つずつ、すなわち合計6つのカートリッジ20がホルダー60に装着される。
他の実施形態では、ホルダー60に装着されるカートリッジの数は、6つ以下であっても良いし、6つ以上であっても良い。他の実施形態では、カートリッジ20のインクの種類は、6色以下であっても、6色以上であっても良い。他の実施形態では、1色のインクに対応して2つ以上のカートリッジ20がホルダー60に装着されても良い。カートリッジ20およびホルダー60の詳細構成については後述する。
印刷材供給システム10のプリンター50は、個人向けの小型インクジェットプリンターである。プリンター50は、ホルダー60の他、制御部510と、ホルダー60を有するキャリッジ520と、を備える。キャリッジ520はヘッド540を備える。プリンター50は、ホルダー60に装着されたカートリッジ20から後述する印刷材供給管を介してヘッド540にインクを流通させ、紙やラベルなどの印刷媒体90に対してヘッド540からインクを吐出(供給)する。これにより、ヘッド540を用いて文字、図形および画像などのデータを印刷媒体90に印刷する。
プリンター50の制御部510は、プリンター50の各部を制御する。プリンター50のキャリッジ520は、ヘッド540を印刷媒体90に対して相対的に移動可能に構成されている。プリンター50のヘッド540は、ホルダー60に装着されたカートリッジ20からのインクを印刷媒体90に吐出するインク吐出機構を備える。制御部510とキャリッジ520との間はフレキシブルケーブル317を介して電気的に接続されており、ヘッド540のインク吐出機構は、制御部510からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、キャリッジ520には、ヘッド540と共にホルダー60が構成されている。このように、ヘッド540を移動させるキャリッジ520上のホルダー60にカートリッジ20が装着されるプリンター50のタイプは、「オンキャリッジタイプ」とも呼ばれる。他の実施形態では、キャリッジ520とは異なる部位に、不動のホルダー60を構成し、ホルダー60に装着されたカートリッジ20からのインクを、フレキシブルチューブを介してキャリッジ520のヘッド540に供給しても良い。このようなプリンターのタイプは、「オフキャリッジタイプ」とも呼ばれる。
本実施形態では、プリンター50は、キャリッジ520と印刷媒体90とを相対的に移動させて印刷媒体90に対する印刷を実現するための主走査送り機構および副走査送り機構を備える。プリンター50の主走査送り機構は、キャリッジモーター522および駆動ベルト524を備え、駆動ベルト524を介してキャリッジモーター522の動力をキャリッジ520に伝達することによって、キャリッジ520を主走査方向に往復移動させる。プリンター50の副走査送り機構は、搬送モーター532およびプラテン534を備え、搬送モーター532の動力をプラテン534に伝達することによって、主走査方向に直交する副走査方向に印刷媒体90を搬送する。主走査送り機構のキャリッジモーター522、および副走査送り機構の搬送モーター532は、制御部510からの制御信号に基づいて動作する。
本実施形態では、印刷材供給システム10の使用状態(「使用姿勢」ともいう。)において、印刷媒体90を搬送する副走査方向(前後方向)に沿った軸をX軸とし、キャリッジ520を往復移動させる主走査方向(左右方向)に沿った軸をY軸とし、重力方向(上下方向)に沿った軸をZ軸とする。なお、印刷材供給システム10の使用状態とは、水平な面に設置された印刷材供給システム10の状態であり、本実施形態では、水平な面はX軸およびY軸に平行な面(XY平面)である。
本実施形態では、副走査方向(前方向)を+X軸方向、その逆方向(後方向)を−X軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かう方向(上方向)を+Z軸方向、その逆方向(下方向)を−Z軸方向とする。本実施形態では、+X軸方向側(前側)が印刷材供給システム10の正面となる。本実施形態では、印刷材供給システム10の右側面から左側面に向かう方向を+Y軸方向(左方向)、その逆方向を−Y軸方向(右方向)とする。本実施形態では、ホルダー60に装着された複数のカートリッジ20の配列方向はY軸に沿った方向(左右方向,「単に「Y軸方向」とも呼ぶ。)である。なお、X軸に沿った方向(前後方向)を「X軸方向」とも呼び、Z軸に沿った方向(上下方向)を「Z軸方向」とも呼ぶ。
A−2.カートリッジ20をホルダー60に装着した構成:
図2および図3は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を示す斜視図である。図4は、カートリッジ20が装着されたホルダー60を示す上面図である。図2〜図4には、ホルダー60に1つのカートリッジ20が、設計された装着位置に正しく装着された状態を図示している。なお、「設計された装着位置に正しく装着された状態」とは、後述するカートリッジ側端子群の各端子が、プリンター50の接点機構の端子群の対応する各端子にそれぞれ接触する位置にカートリッジ20が位置する状態をいう。
図2及び図3に示すように、プリンター50のホルダー60は、5つの壁部601,603,604,605,606を有する。これら5つの壁部によって形成された凹部が、カートリッジ収容室602(「カートリッジ装着部602」とも呼ぶ)となる。また、カートリッジ収容室602は、仕切り壁607によって、各カートリッジ20を受け入れ可能な複数のスロット(装着空間)に分割されている。このような仕切り壁607は、スロットにカートリッジ20を挿入する際のガイドとして機能するが、省略することも可能である。各スロットに、印刷材供給管640と、接点機構70と、レバー80と、第2の装置側規制部620と、第3の装置側規制部としての突起部636が設けられている。各スロットの一側面(+Z軸方向側面;上面)は開口しており、この開口した一側面(上面)を介して、カートリッジ20をホルダー60に着脱する。
カートリッジ20は、レバー80と第2の装置側規制部620によって係止され、後述する印刷材供給口が印刷材供給管640に接続されることで、ホルダー60に装着される。この状態を「カートリッジ20がホルダー60に装着された状態」、または「装着状態」とも呼ぶ。印刷材供給管640は、カートリッジ20の印刷材供給口に接続されることによって、カートリッジ20に収容された印刷材としてのインクをヘッド540へと流通させる。印刷材供給管640は、+Z軸側に位置する先端部(「接続端部」とも呼ぶ。)642と、−Z軸側に位置する基端部645とを有する。基端部645は、底壁部601に設けられる。先端部642は、カートリッジ20の印刷材供給口に接続される。印刷材供給管640の中心軸CはZ軸と平行である。中心軸Cに沿って基端部645から先端部642に向かう方向は、+Z軸方向となる。
図2に示すように、印刷材供給管640の周囲には、弾性部材648が設けられている。弾性部材648は、装着状態においてカートリッジ20の印刷材供給口の周囲を密閉する。これにより、弾性部材648は、印刷材供給口から周囲にインクが漏出することを防止する。装着状態において、弾性部材648は、カートリッジ20に対して、+Z軸方向の成分を含む付勢力を加える。
また装着状態では、カートリッジ20の後述する回路基板に設けられた端子群と接点機構70とが電気的に接続されることで、カートリッジ20とプリンター50との間で各種情報の伝達が行なわれる。
図5は、図4のF4−F4断面図である。なお、突起部636の図示は省略している。プリンター50の印刷材供給管640は、カートリッジ20の印刷材供給口280に接続することによって、印刷材流路282を介して印刷材収容部200のインクをヘッド540へと供給する。
本実施形態では、印刷材供給管640の先端部642には、カートリッジ20からのインクを濾過する多孔体フィルター644が設けられている。多孔体フィルター644としては、例えば、ステンレスメッシュ、ステンレス不織布などを用いることができる。他の実施形態では、印刷材供給管640の先端部642から多孔体フィルターを省略しても良い。
プリンター50の接点機構70は、印刷材供給管640よりも+X軸方向側に設けられ、カートリッジ20の回路基板40に設けられた端子群と電気的に接続可能に構成されている。装着状態のカートリッジ20は、接点機構70の端子から回路基板40に対して、+Z軸方向の成分を含む付勢力Ptを受ける。また、装着状態のカートリッジ20は、弾性部材648から印刷材供給口280に対して、+Z軸方向の付勢力Psを受ける。
カートリッジ20の着脱に利用されるレバー80は、+Z軸方向側の端部に操作部830を有し、−Z軸方向側の端部に第1の装置側規制部810を有する。装着状態において、第1の装置側規制部810(詳細には後述する第1の装置側係止面)は、所定の係止位置である第1係止位置810Lで第1のカートリッジ側規制部210に係止可能に構成されている。第1係止位置810Lは、回路基板40に設けられた端子群と接点機構70とが接触する位置よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に位置する。第1の装置側規制部810は、第1のカートリッジ側規制部210に係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への動きを規制する。
レバー80は、操作部830と第1の装置側規制部810との間の位置を軸800cとして回動する。レバー80の回転軸800cは、第1係止位置810Lよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に位置する。
レバー80の操作部830は、利用者がホルダー60からカートリッジ20を取り外す際に利用される。カートリッジ20を取り外す際、利用者は操作部830を−X軸方向に押す。このとき、操作部830には+X軸方向側から−X軸方向側に向かう力Pr(「操作力Pr」とも呼ぶ。)が付与される。すると、レバー80が軸800cを中心として回動し、第1の装置側規制部810が第1係止位置810Lから+X軸方向に移動する。これにより、第1の装置側規制部810による第1のカートリッジ側規制部210の係止が解除され、ホルダー60からカートリッジ20を取り外すことが可能になる。
側壁部604には、第2の装置側規制部620が設けられている。第2の装置側規制部620は、第2係止位置620Lで第2のカートリッジ側規制部220を係止可能に構成されている。本実施形態では、第2の装置側規制部620はホルダー60の側壁部604に形成された貫通孔である。第2係止位置620Lは、印刷材供給管640よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置する。第2の装置側規制部620は、第2のカートリッジ側規制部220を係止することによって、カートリッジ20の+Z軸方向への動きを規制する。このように、装着状態において、カートリッジ20は+X軸方向の端部と−X軸方向の端部の両側で、+Z軸方向への動きを規制されている。
第2のカートリッジ側規制部220と第2の装置側規制部620とが接触する第2係止位置620Lは、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際の回転支点となる。つまり、第2係止位置620Lを中心として、Z軸およびX軸に平行な平面に沿ってカートリッジ20を回転させながら、カートリッジ20の着脱が行われる。すなわち、第2のカートリッジ側規制部220および第2の装置側規制部620は、カートリッジ20の着脱時にカートリッジ20の回転支点として機能する。ホルダー60に対するカートリッジ20の着脱動作の詳細については後述する。
図5に示すように、装着状態では、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも距離Dzだけ−Z軸方向側に位置する。そのため、ホルダー60からカートリッジ20に対する付勢力Ps,Ptによって、第1のカートリッジ側規制部210と第1の装置側規制部810との係止が外れる可能性を低減できる。これにより、設計された装着位置にカートリッジ20を安定して保持することができる。
図6は、第1係止位置810Lにおいてレバー80がカートリッジ20から受ける力を示す説明図である。図6(A)には、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置する場合に、第1係止位置810Lにおいてレバー80がカートリッジ20から受ける力F1を図示した。図6(B)には、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも+Z軸方向側に位置する場合に、第1係止位置810Lにおいてレバー80がカートリッジ20から受ける力F2を図示した。図6(A)の力F1、および図6(B)の力F2は、同じ大きさの力である。
図6(A)および図6(B)には、第1係止位置810L、第2係止位置620Lおよび回転軸800c(「回動中心800c」とも呼ぶ。)について、X軸およびZ軸上における相互の位置関係を概略的に図示した。図6(A)と図6(B)との間の位置関係は、第2係止位置620LのZ軸上の位置が異なる点を除き同様である。図6(A)および図6(B)における円弧RT1は、回転軸800cを中心として第1係止位置810Lを回転させた回転軌跡である。図6(A)および図6(B)における円弧RT2は、第2係止位置620Lを中心として第1係止位置810Lを回転させた回転軌跡である。
図6(A)に示すように、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置するため、第1係止位置810Lにおいて円弧RT2の接線方向に作用する力F1は、+X軸成分および+Z軸成分を含む方向に作用する。力F1を円弧RT1の接線方向に分解した力をF1tとし、力F1を円弧RT1の半径方向に分解した力をF1rとする。
図6(B)に示すように、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも+Z軸方向側に位置するため、第1係止位置810Lにおいて円弧RT2の接線方向に作用する力F2は、−X軸成分および+Z軸成分を含む方向に作用する。力F2を円弧RT1の接線方向に分解した力をF2tとし、力F2を円弧RT1の半径方向に分解した力をF2rとする。
図6(A)と図6(B)との対比からも明らかなように、第1係止位置810L、第2係止位置620Lおよび回転軸800cの相互の位置関係から、力F1と力F2との関係が「F1=F2」であっても、円弧RT1の接線方向の力関係は「F1t<F2t」となり、円弧RT1の半径方向の力関係は「F1r>F2r」となる。すなわち、図6(A)の方が図6(B)よりも、カートリッジ20からレバー80の回転軸800cに向かう力が大きくなると共に、回転軸800cを中心として+Y軸方向から見て時計回りにレバー80を回転させる力が小さくなる。そのため、第1係止位置810Lが第2係止位置620Lよりも−Z軸方向側に位置する場合の方が、+Z軸方向側に位置する場合よりも、第1のカートリッジ側規制部210と第1の装置側規制部810との係止が外れる可能性を低減できる。なお、いずれの場合においても、第1係止位置810Lが外れる方向である+X軸方向への力は作用しないため、第1のカートリッジ側規制部210と第1の装置側規制部810との係止とが外れる可能性を低減できる。
A−3.カートリッジ20の詳細構成:
図7は、カートリッジ20の構成を示す斜視図である。図8は、カートリッジ20の底面図である。図9は、図8のF8−F8断面図である。図10は、回路基板40の詳細構成を示す説明図である。図10(A)は、図9の矢視F9から回路基板40を見た図である。図10(B)は、図10(A)の矢視F10から回路基板40を見た図である。本実施形態では、装着状態にあるカートリッジ20に対するX軸、Y軸およびZ軸をカートリッジ上の軸とする。本実施形態では、装着状態において+X軸方向側がカートリッジ20の正面となる。なお、図8に示した平面Ycは、カートリッジ20のY軸方向の長さである幅の中央を通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面(ZX平面)である。また、図8に示した平面CXは、中心軸Cを通り、かつ、Z軸およびX軸に平行な平面(ZX平面)である。
図7に示すように、カートリッジ20は、インクを収容する印刷材収容部200と、外殻22と、印刷材供給口280と、回路基板40と、第1のカートリッジ側規制部210とを備える。カートリッジ20をホルダー60に装着する際の装着方向SDは、−Z軸方向(本実施形態では、鉛直下向き方向)である。ここで、実際にカートリッジ20をホルダー60に挿入する際に、カートリッジ20の状態は、常に一定であるとは限らない。カートリッジ20をホルダー60に装着しようとする途中の段階では、カートリッジ20の状態をZ軸に対して傾ける場合もある。しかしながら、装着される直前及び装着された状態では、印刷材供給口280がZ軸に平行な中心軸Cを持つ印刷材供給管640を受け入れ、カートリッジ20の状態は印刷材供給管640によって規制されることになる。よって、カートリッジ20はホルダー60に対して−Z軸方向に装着されるということができる。
外殻(「カートリッジ本体」とも呼ぶ。)22は、カートリッジ20の印刷材収容部200を含む内部空間を区画規定する。また、外殻22はカートリッジ20の外壁面の少なくとも一部を構成する。外殻22はポリプロピレン(PP)等の合成樹脂により形成されている。カートリッジ20は、側面が合同な形状を有する角柱形状である。また、カートリッジ20は、概形が略直方体形状であるとも言える。なお、外殻22の一部は、樹脂製フィルムにより形成されていても良い。
カートリッジ20の長さ(X軸方向の長さ)、幅(Y軸方向の長さ)、高さ(Z軸方向の長さ)は、長さ、高さ、幅の順に大きい。カートリッジ20の長さ、幅、高さの大小関係は任意に変更可能であり、例えば、高さ、長さ、幅の順に大きくても良いし、高さ、長さ、幅がそれぞれ等しくても良い。
カートリッジ20の外殻22は、第1壁201と、第2壁202と、第3壁203と、第4壁204と、第5壁205と、第6壁206と、接続壁209とを有する。接続壁209は、第7壁207と第8壁208(図9)とを有する。第1〜第8壁201〜208は、カートリッジ20の印刷材収容部200を含む内部空間を規定する。なお、以下の説明で、符号201〜208は、カートリッジの外殻22を構成する壁の、特に外表面(第1〜第8面201〜208)を意味するものとしても利用する。第1〜第8壁の外表面(第1〜第8面)201〜208は、概ね平面である。概ね平面とは、面全域が完全に平坦である場合と、面の一部に凹凸を有する場合を含む。つまり、面の一部に多少の凹凸があっても、カートリッジ20の外殻を構成する面や壁が把握できるような場合を含む。第1〜第8面201〜208の平面視における外形は、いずれも長方形である。
ここで、第1面(第1壁)201を底面(底壁)とも呼び、第2面(第2壁)202を上面(上壁)とも呼び、第3面(第3壁)203を正面(前壁)とも呼び、第4面204(第4壁)を背面(後壁)とも呼び、第5面205(第5壁)を左側面(左壁)とも呼び、第6面(第6壁)206を右側面(右壁)とも呼ぶ。
第1面201と第2面202は、Z軸方向において対向する。第1面201は、−Z軸方向側に位置する。第2面202は、+Z軸方向側に位置する。第3面203と第4面204は、X軸方向において対向する。第3面203は、+X軸方向側に位置する。第4面204は、−X軸方向側に位置する。第5面205と第6面206は、Y軸方向において対向する。第5面205は、+Y軸方向側に位置する。第6面206は、−Y軸方向側に位置する。
本実施形態では、−Z軸方向側に位置する第1面201は、装着状態において底面となる面である。第1面201は、装着状態において水平な面となる。すなわち、第1面201は、X軸及びY軸に平行で、Z軸に垂直な面(XY平面)である。
+Z軸方向側に位置する第2面202は、装着状態において上面となる面である。第2面は、第1面201と対向する。また、第2面202は、第1面202に平行な面である。すなわち、第2面202はX軸及びY軸に平行で、Z軸に垂直な面である。第2面202は装着状態において水平な面(XY平面)である。
+X軸方向側に位置する第3面203は、装着状態において側面となる面である。第3面203は、第1面201と第2面202と直角に交わる面である。第3面203はY軸及びZ軸に平行で、X軸に垂直な面(YZ平面)である。また、第3面203の各辺のうち、最も−Z軸方向側に位置する辺290を「第1辺290」とも呼び、最も+Z軸方向側に位置する辺291を「第2辺291」とも呼ぶ。なお、本明細書では、2つの面が「交わる」とは、2つの面が相互に交差し実際に交わる状態と、一方の面の延長面が他方の面に交わる状態と、相互の延長面が交わる状態と、のいずれかの状態であることを意味する。
−X軸方向側に位置する第4面204は、装着状態において側面となる面である。第4面204は、第1面201と第2面202に直角に交わる面である。また、第4面204は、第3面203に平行な面である。第4面204は、Y軸及びZ軸に平行で、X軸に垂直な面(YZ平面)である。
+Y軸方向側に位置する第5面205と−Y軸方向側に位置する第6面206は、装着状態において側面となる面である。第5面205と第6面206は、それぞれ、第1〜第4面201〜204に直角に交わる面である。第5面205と第6面206は、X軸及びZ軸に平行で、Y軸に垂直な面(XZ平面)である。また、第6面206は、第5面205に平行な面である。
図9に示すように、接続面209は、第1面201と第3面203とを繋ぐ面である。接続面209のうち第7面207は、第1面201と直角に交わる面である。第7面207は、Y軸及びZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207は、第1面201に対し立設された面である。すなわち、第7面207は第1面201から+Z軸方向に延びる面である。また、第7面207は第8面208に対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。第8面208は、第7面207と第3面203とを繋ぐ面である。第8面208は+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208は、第1面201及び第3面203に対して傾斜した面である。第8面208は、第5面205及び第6面206と直角に交わる面である。第8面208は、XY平面及びYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。また、第8面208には、第8面208から外方に向かって突出した基板設置部208Tが設けられている。
上記の第1〜第6面201〜206の関係から以下のようなことが言える。すなわち、第1と第2面201,202が対向する方向がZ軸方向であり、第3と第4面203,204が対向する方向がX軸方向であり、第5と第6面205,206が対向する方向がY軸方向である。
図7に示すように、回路基板40は、第8面208の基板設置部208Tに設けられている。回路基板40の表面408は、第8面208と同様、+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜している。表面408は、第1面201及び第3面203に対して傾斜した面である。表面408は、第5面205及び第6面206と直角に交わる面である。表面408は、XY平面及びYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。すなわち、表面408は「傾斜面408」とも呼ぶことができる。表面408には、接点機構70(図2)に設けられた装置側端子群と接触するカートリッジ側端子群400が設けられている。
ここで、第7面207や表面408は、カートリッジ20の外表面の一部を構成する。また、第7面207や表面408は、カートリッジ20の外表面の一部を構成する第1面201と第3面203とを繋ぐカートリッジ側コーナー部265(単に「コーナー部265」ともいう。)の一部を構成する。理解の容易のために、図9において、コーナー部265を太線で表している。また、第3面203及びコーナー部265は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において、後述するホルダー60の第1の装置側側壁部603(図14)に対向する。よって、第3面203及びコーナー部265を「第1の対向外壁面」とも呼ぶ。また、第4面204は、装着状態において、後述するホルダー60の第2の装置側側壁部604(図15)に対向する。よって、第4面203を「第2の対向外壁面」とも呼ぶ。
図10(A)に示すように、回路基板40の+Z軸方向側の端部にはボス溝401が形成され、回路基板40の−Z軸方向側の端部にはボス孔402が形成されている。カートリッジ20に設置された状態の回路基板40は、ボス溝401およびボス孔402を用いてカートリッジ20の第8面208に固定されている。本実施形態では、ボス溝401およびボス孔402は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycと交わる位置に設けられている。他の実施形態では、ボス溝401およびボス孔402の少なくとも一方を回路基板40から省略して、接着剤を用いて回路基板40を第8面208に固定しても良いし、第8面208側に設けた係合爪(図示しない)を用いて回路基板40を固定しても良い。
図10(A)及び(B)に示すように、回路基板40は、表面408に設けられたカートリッジ側端子群400と、裏面409に設けられた記憶装置420とを有する。表面408及び裏面409は平面である。平面である表面408のうち、カートリッジ20に取り付けられた状態において、最も+Z軸方向側に位置する部分(一辺)を基板端部405とも呼ぶ。
カートリッジ側端子群400は、9つの端子431〜439からなる。記憶装置420は、カートリッジ20のインクに関する情報(例えば、インク残量やインク色)等を格納する。
図10(A)に示すように、9つのカートリッジ側端子431〜439はそれぞれ略矩形状に形成され、装着方向SDと略垂直な列を2列形成するように配置されている。略垂直な列は、カートリッジ20の幅方向(Y軸方向)に延びる列である。2つの列のうち、装着方向SDの奥側の列を第1の端子列R1(下側列R1)と呼び、装着方向SDの手前側の列を第2の端子列R2(上側列R2)とも呼ぶ。すなわち、第1の端子列R1と第2の端子列R2とは、Z軸方向の位置が異なる。詳細には、第1の端子列R1は、第2の端子列R2よりも−Z軸方向側に位置する。各端子431〜439のそれぞれの中央部には、接点機構70に接触する接触部cpが存在する。上記の第1と第2の端子列R1,R2は複数の接触部cpによって形成される列であると考えることもできる。
各端子431〜439は、機能(用途)からそれぞれ以下のように呼ぶことができる。また、後述するプリンター50側の端子との区別を明確にするために、各名称の前に「カートリッジ側」を付して呼ぶこともできる。例えば、「接地端子437」は「カートリッジ側接地端子437」と呼ぶこともできる。
<第1の端子列R1>
(1)装着検出端子(第1の端子)435
(2)電源端子436
(3)接地端子437
(4)データ端子438
(5)装着検出端子(第2の端子)439
<第2の端子列R2>
(6)装着検出端子(第3の端子)431
(7)リセット端子432
(8)クロック端子433
(9)装着検出端子(第4の端子)434
第1の端子列R1を形成する端子435〜439の各接触部cpと、第2の端子列R2を形成する端子431〜434の各接触部cpは、互い違いに配置されている。詳細には、各接触部cpはいわゆる千鳥状に配置されている。
4つの装着検出端子431,434,435,439は、接点機構70に設けられた対応する装置側端子との電気的接触の良否を検出することで、カートリッジ20がホルダー60の設計された装着位置に正しく装着されたか否かをプリンター50によって検出するために用いられる。よって、4つの装着検出端子431,434,435,439は、「装着検出端子群」とも呼ぶことができる。本実施形態では、4つのカートリッジ側端子431,434,437,439は、回路基板40の内部で相互に電気的に接続されており、カートリッジ20がホルダー60に装着された際に、接地端子437を通じてプリンター50側の接地ライン(図示しない)に電気的に接続される。なお、4つの装着検出端子431,434,435,439を用いた検出方法については後述する。
他の5つのカートリッジ側端子432,433,436,437,438は、記憶装置420用の端子である。よって、5つの端子432,436,437,438は、「メモリー端子群」とも呼ぶことができる。
リセット端子432は、記憶装置420に対するリセット信号RSTの供給を受け付ける。クロック端子433は、記憶装置420に対するクロック信号SCKの供給を受け付ける。電源端子436は、記憶装置420に対する電源電圧VDD(例えば、定格3.3V)の供給を受け付ける。接地端子437は、記憶装置420に対する接地電圧VSS(0V)の供給を受け付ける。データ端子438は、記憶装置420に対するデータ信号SDAの供給を受け付ける。
装着検出端子群の1つである第1の端子435は、カートリッジ側端子群400のうちで最も+Y軸方向側に位置する第1の外側部分435Pを含む。装着検出端子群の1つである第2の端子439は、カートリッジ側端子群400のうちで最も−Y軸方向側に位置する第2の外側部分439Pを含む。装着検出端子群の1つである第3の端子431は、第2の端子列R2のうちで最も+Y軸方向側に位置する第3の外側部分431Pを含む。装着検出端子群である第4の端子434は、第2の端子列R2のうちで最も−Y軸方向側に位置する第4の外側部分434Pを含む。
カートリッジ側端子群400を構成する端子の接触部cpのうち、Y軸方向において中央に設けられる接触部cpを有する接地端子437は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycと交わる位置に設けられている。そして、残りの端子431〜436,438,439の接触部cpは、この平面Ycと接地端子437との交線を軸として線対称となる位置に設けられている。接地端子437は、カートリッジ20がホルダー60に装着される際、他のカートリッジ側端子431〜436,438,439による接点機構70との接触に先立って、接点機構70に接触するように構成されている。これによって、ホルダー60から回路基板40に最初に加わる付勢力が、カートリッジ20のY軸方向の幅の中心に発生する。よって、回路基板40に加わる付勢力がカートリッジ20をY軸方向に傾かせる力として働く作用を抑制し、設計された装着位置へのカートリッジ20の装着を可能にする。また、接地端子437が他のカートリッジ側端子431〜436,438,439よりも先にホルダー60の接点機構70に接触するため、カートリッジ20側に意図しない高電圧が印加された場合であっても、接地端子437の接地機能によって、高電圧による不具合を軽減することができる。
本実施形態では、接地端子437は、他のカートリッジ側端子431〜436,438,439よりもZ軸に沿った方向に長く形成されている。これによって、接地端子437と、ホルダー60の接点機構70との接触をより確実に行うことができる。他の実施形態では、回路基板40における全てのカートリッジ側端子431〜439が互いに同じ大きさで形成されていても良い。
図9に示すように、印刷材供給口280は第1面201から−Z軸方向側に突出して設けられている。印刷材供給口280は、印刷材流路282を介して印刷材収容部200と連通している。印刷材供給口280はプリンター50の印刷材供給管640が接続されて、印刷材収容部200のインクをヘッド540に流通させる。すなわち、印刷材供給口280は外部に向かって開口し、印刷材収容部200のインクを外部に流通させる。
また、印刷材供給口280は、第1面201のうち第3面203よりも第4面204に近い部分に設けられている。すなわち、X軸方向について、印刷材供給口280の外表面と第3面203との距離は、印刷材供給口280の外表面と第4面204との距離よりも大きい。
印刷材供給口280の先端は、開口している。この開口によって形成される面(開口面)288は、装着状態において水平な面である。すなわち、開口面288はX軸及びY軸に平行な面(XY平面)である。
印刷材供給口280の内側には、開口面288から+Z軸方向側の内側に発泡体樹脂284が配置されている。詳細には、発泡体樹脂284は印刷材流路282と接して配置されている。本実施形態では、カートリッジ20の工場出荷時は、印刷材供給口280の開口面288は、キャップまたはフィルムなどの封止部材(図示しない)で封止されている。ホルダー60に対するカートリッジ20の装着時に、開口面288を封止する封止部材(図示しない)は、カートリッジ20から取り外される。
本実施形態では、印刷材供給口280は、印刷材供給管640の中心軸Cを中心として−Z軸方向に突出しているが、他の実施形態では、印刷材供給口280の中心が印刷材供給管640の中心軸Cから外れていても良い。本実施形態では、−Z軸方向から見た印刷材供給口280の開口面288は、X軸およびY軸にそれぞれ平行な軸に対して線対称の外郭を有するが、他の実施形態では、非対称の外郭であっても良い。本実施形態では、Z軸方向から見た開口面288の形状は、長方形の角を丸めた形状であるが、他の実施形態において、正円、楕円、長円、正方形、長方形などの形状であっても良い。
図7に示すように、第1のカートリッジ側規制部210は、第3面203に設けられている。第1のカートリッジ側規制部210は、印刷材供給口280および回路基板40よりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に設けられている。第1のカートリッジ側規制部210は、レバー80(図2)に係止されることで装着状態におけるカートリッジ20の動きを規制する。第1のカートリッジ側規制部210は、第3面203から+X軸方向(外方)に突出する突起である。Z軸方向の位置に関して、第1のカートリッジ側規制部210は、第2辺291よりも第1辺290に近い側に設けられている。本実施形態では、第1のカートリッジ側規制部210は、第1辺290と隣接している。
第1のカートリッジ側規制部210は、Y軸方向(幅方向)に延びる第1の部分212と、第1の部分212から+Z軸方向(鉛直上方向)に延びる第2の部分214と、第1の部分212から−Z軸方向(鉛直下方向)に延びる第3の部分215とを備える。第1の部分212は、レバー80と協働して装着状態におけるカートリッジ20の動きを規制する。第2の部分214は、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、第1の部分212をレバー80の正しい部位で係止するために設けられている。
第1の部分212は、第1当接部としての第1のカートリッジ側係止面211と、第2当接部としての第2のカートリッジ側係止面213とを有する。第1のカートリッジ側係止面211は、+Z軸方向を向いた面である。第2のカートリッジ側係止面213は、+X軸方向を向いた面である。第3の部分215は、第1の部分212と第1辺290に接する。
カートリッジ20は、さらに、第4面204に設けられた第2のカートリッジ側規制部220と、第3面203に設けられた突出部260と、第7面207に設けられた第3のカートリッジ側規制部250とを備える。
第2のカートリッジ側規制部220は、第4面204から−X軸方向側に突出するように設けられた突起である。第2のカートリッジ側規制部220は、ホルダー60の貫通孔である第2の装置側規制部620(図3)に挿入される。利用者は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際に、カートリッジ20を、第2の装置側規制部620(図3)に挿入した第2のカートリッジ側規制部220付近を中心として回動させる。つまり、第2の装置側規制部620は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際のガイドとして機能する。これによって、ホルダー60に対するカートリッジ20の着脱を容易に行うことができる。また、カートリッジ20の装着状態において、第2のカートリッジ側規制部220は第2の装置側規制部620に係止され、装着状態におけるカートリッジ20の動きを規制する。第2のカートリッジ側規制部220は、印刷材供給口280および回路基板40よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に設けられている。
また、突出部260は第3面203の、第1のカートリッジ側規制部210よりも+Z軸方向側となる位置に設けられている。本実施形態では、突出部260は第3面203のうち、第2辺291を含む最も+Z軸方向側(最も上側)に位置する部分に設けられている。
第3のカートリッジ側規制部250は、第7面207のY軸方向の両側から+X軸方向に突出する1対の突出部材(規制壁)である。1対の突出部材250は、その間に突起部636(図2)を受け入れることで、突起部636と協働して装着状態におけるY軸方向の動きを規制する。
図11は、カートリッジ20の背面図である。図11を用いて、第2のカートリッジ側規制部220の詳細について説明する。第2のカートリッジ側規制部220は、第1の規制係止部としての第1の規制係止面222と、傾斜面224と、第1の規制側面226と、第2の規制側面228とを有する。
第1の規制係止面222は、+Z軸方向を向いた面であり装着状態において水平な面となる。第1の規制係止面222は、ホルダー60からカートリッジ20を回転させて取り外す際に、第2の装置側規制部620(図3)と接触して回転支点を形成する。
また、第1の規制係止面222は、装着状態において第2の装置側規制部620に係止されることで、装着状態におけるカートリッジ20の+Z軸方向への動きを規制する。第1の規制係止面222は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycを横切る位置に、かつこの平面Ycに対して垂直に設けられている。図5に示したように、カートリッジ20の装着状態において、カートリッジ20はホルダー60から+Z軸方向の成分を含む付勢力Ps,Ptを受ける。そして、このような付勢力Ps,Ptによって、第1の規制係止面222は第2の装置側規制部620に押し付けられる。このとき、第2の装置側規制部620は第1の規制係止面222とY軸方向に平行に接触する。よって、装着状態においてカートリッジ20がX軸を中心として傾く可能性を低減できる。
傾斜面224は、第1の規制係止面222に接続され、+Z軸方向と−X軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜する。これによって、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、第1の規制係止面222を第2の装置側規制部620へと円滑に誘導することができる。
第1の規制側面226は第2のカートリッジ側規制部220の−Y軸方向側の側面を形成する。第2の規制側面228は第2のカートリッジ側規制部220の+Y軸方向側の側面を形成する。第1の規制側面226は、−Y軸方向を向いた平面である。第2の規制側面228は、+Y軸方向を向いた平面である。第1と第2の規制側面226,228は、それぞれX軸方向とZ軸方向に平行な平面である。第1と第2の規制側面226,228は、カートリッジ20の装着状態において、第2の装置側規制部620と干渉することでカートリッジ20のY軸方向の動きを規制する。
図12は、カートリッジ20の正面図である。図12を用いて、第1のカートリッジ側規制部210の説明を更に行なう。第1のカートリッジ側規制部210は、平面Ycを横切る位置に設けられている。さらに、第1のカートリッジ側係止面211は、平面Ycを横切る位置、かつこの平面Ycに対して垂直に設けられている。
第1のカートリッジ側係止面211は、Y軸方向(幅方向)について(カートリッジ20を第3面203側から−X軸方向に向って見たとき)、第1の外側部分435Pと第2の外側部分439Pの間の範囲40Yの外側には位置することなく、範囲40Yの内側に位置している。本実施形態では、第1のカートリッジ側係止面211を含む第1のカートリッジ側規制部210が範囲40Yの外側に位置することなく、範囲40Yの内側に位置している。すなわち、第1の外側部分435Pを含む第1仮想線435PLと第2の外側部分439Pを含む第2仮想線439PLとに挟まれた領域の内側に第1のカートリッジ側規制部210が位置する。第1仮想線435PLと第2仮想線439PLはそれぞれZ軸方向に沿って延びる直線である。
図13は、カートリッジ20の左側面図である。図13を用いて、カートリッジ20の各部材の位置関係について説明する。ここで、第3面203と傾斜面408とが交わる部分を交差部分295と呼ぶ。交差部分295はY軸方向に平行な線となる。本実施形態では、交差部分295は第3面203を−Z軸方向側に延長した面上に位置する。すなわち、交差部分295は、第3面203よりも−Z軸方向側に位置する。また、第3面203のうち、Z軸方向の長さの中点を中点203Pとする。
第1のカートリッジ側規制部210は、交差部分295に近接している。別の視点で述べると、第1のカートリッジ側規制部210は、基板端部405に近接している。これにより、第1のカートリッジ側規制部210をカートリッジ側端子群400により近づけることができる。つまり、第1のカートリッジ側規制部210は、第3面203のうち第2辺291よりも第1辺290側、すなわち中点203Pから第1辺290までの範囲に設けることが好ましい。特に、第1のカートリッジ側規制部210は、第1辺290側に偏した位置に設けることが好ましい。
また、第1のカートリッジ側規制部210のうち、特にカートリッジ側端子群400の位置を規制するのに有効な部分は第1のカートリッジ側係止面211である。そこで、第1のカートリッジ側係止面211をカートリッジ側端子群400と出来るだけ近づけることが好ましい。第1のカートリッジ側規制部210のうち第3の部分215を省略し、第1の部分212を第1辺290と接して配置すれば、第1のカートリッジ側係止面211を交差部分295あるいは基板端部405により近づけることができる。
また、図13には、第3のカートリッジ側規制部250のX軸方向における範囲250Xと、傾斜面408のX軸方向における範囲408Xとを示している。この図から理解できるように、X軸方向について(カートリッジを第1面201側から+Z軸方向に向って見たとき)、第3のカートリッジ側規制部250の一部分は、傾斜面408と重なる。
A−4.ホルダー60の詳細構成:
A−4−1.ホルダー60の全体構成:
図14および図15は、ホルダー60の構成を示す斜視図である。図16は、ホルダー60の構成を示す上面図である。図17は、図16のF16−F16断面図である。なお、図17では図14〜16に示した突起部636の図示を省略している。
先に説明したとおり、プリンター50のホルダー60は、カートリッジ20を受け入れる凹形状のカートリッジ収容室602を規定する壁面として、5つの壁部601,603,604,605,606を有する。5つの壁部601,603,604,605,606をまとめて、「収容室形成壁部600」と呼ぶ。本実施形態では、5つの壁部601,603,604,605,606は、樹脂製の板状部材で形成されている。本実施形態では、5つの壁部601,603,604,605,606は、合成樹脂により形成されている。本実施形態では、5つの壁部601,603,604,605,606は、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)を用いて形成されている。
壁部601は凹形状のカートリッジ収容室602の底面を規定する。壁部603,604,605,606はそれぞれ、凹形状のカートリッジ収容室602の側面を規定する。壁部601を「装置側底壁部601」とも呼ぶ。壁部603を「第1の装置側側壁部603」とも呼ぶ。壁部604を「第2の装置側側壁部604」とも呼ぶ。壁部605を「第3の装置側側壁部605」とも呼ぶ。壁部606を「第4の装置側側壁部606」とも呼ぶ。
壁部601上には、X軸方向に沿って、印刷材供給管640と装置型端子群を備えた接点機構70が配列されている。印刷材供給管604は壁部604側に、接点機構70は壁部603側に設けられている。印刷材供給管640は、壁部603よりも壁部604に近い側に設けられている。接点機構70は、印刷材供給管640よりも壁部603側に設置されている。
壁部601のうち、印刷材供給管640の周囲には、弾性部材648が設けられている。図5に示したように、弾性部材648は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態でカートリッジ20の印刷材供給口280の周囲を密閉することによって、印刷材供給口280から周囲へのインクの漏出を防止する。弾性部材648は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態で、カートリッジ20の印刷材供給口280を押し返す方向(+Z軸方向)に付勢力Psを発生させる。
図14〜16に示したように、カートリッジ収容室602を挟んで壁部601と対向する側(上面側)は開口OPとなっている。カートリッジ20がホルダー60に対し着脱される際に、開口OPをカートリッジ20が通過する。
壁部603は、壁部601の+X軸方向側に立設されている。本実施形態では、壁部603の最も+X軸方向側に、外壁603Wが設けられている。外壁603Wは、プリンター50の使用状態において、ホルダー60の正面を構成する。外壁603Wは、複数のカートリッジ20が装着された際のカートリッジ20の配列方向(Y軸方向)に沿って延びる。また、壁部603には、カートリッジ20の着脱に利用されるレバー80が設けられている。レバー80は、保持部材690を介して壁部603に回動可能に固定されている。言い換えれば、レバー80は、壁部603の一部を構成する保持部材690に固定されている。レバー80の回転軸は、Y軸方向に平行である。
保持部材690は、側壁部603と底壁部601と交差するコーナー部(装置側コーナー部)600C(図17)に設けられている。
図5に示すように、レバー80の+Z軸方向側の端部には、操作部830が設けられている。この操作部830を、利用者が+X軸方向側から−X軸方向側に向かって押す(つまり、利用者による操作力Prが操作部830に付与される)と、レバー80は、回転軸を中心として+Y軸方向から見て反時計回りに回動する。これにより、レバー80はX軸方向とZ軸方向に平行な平面(XZ平面)上を回動する。
レバー80は、収容室形成壁部601,603,604,605,606とは別体である。レバー80は、合成樹脂により形成されている。本実施形態では、ポリアセタール(POM)を用いて形成されている。レバー80は、カートリッジ20を係止できる程度の剛性を有する。例えば、装着状態においてレバー80がカートリッジ20から受ける力(例えば、14.4N)によっては変形がほとんど生じない程度の剛性を有することが好ましい。例えば、カートリッジ20から14.4Nの外力が加えられた場合に、変形が0.5mm以下程度であることが好ましい。また、レバー80は、弾性変形を有する部分を有さないことが好ましい。これにより、カートリッジ20の装着状態において、カートリッジ20から受ける力によって、レバー80が大きく変形する可能性を低減でき、カートリッジ側端子群400と接点機構70の装置側端子群との電気的な接続を安定して図ることができる。このように、レバー80を収容室形成壁部601,603,604,605,606とは別体とすることで、レバー80を形成する材料の選択の自由度を向上できる。
再び図14〜17に戻って説明する。壁部604は、壁部601の−X軸方向側に立設されている。壁部604は、カートリッジ収容室602を挟んで壁部603に対向している。本実施形態では、壁部604は、プリンター50の使用状態においてホルダー60の背面を構成する。壁部604は、複数のカートリッジ20が装着された際のカートリッジ20の配列方向(Y軸方向)に沿って延びる。壁部604には、第2の装置側規制部620が設けられている。第2の装置側規制部620はX軸方向に貫通する貫通孔である(図17)。なお、第2の装置側規制部620は、カートリッジ収容室602を向いて開口した凹部であっても良い。
図5に示したとおり、第2の装置側規制部620は、第2のカートリッジ側規制部220と係合可能に設けられている。そして、第2の装置側規制部630は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際のガイドとして機能する。また、第2の装置側規制部620は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において、第2のカートリッジ側規制部220を係止する。具体的には、第2の装置側規制部620は、印刷材供給管640よりも+Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置する第2係止位置620Lで、第2のカートリッジ側規制部220を係止する。本実施形態では、第2の装置側規制部620は、第2のカートリッジ側規制部220を受け入れ可能な大きさの貫通孔であり、装置側係止面622を有する。装置側係止面622は、−Z軸方向を向いた平面であり、第2のカートリッジ側規制部220の第1の規制係止面222(図11)を係止する。装置側係止面622の+X軸方向側の端部624は、カートリッジ20をホルダー60から取り外す際に、第2のカートリッジ側規制部220が接触することで、カートリッジ20を取り外す際の回転支点となる。
図17に示したとおり、ホルダー60の第2の装置側側壁部604には、第2の装置側規制部620よりも+Z軸方向側に、空間部670が設けられている。空間部670は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する時に第2の装置側規制部620付近を回転支点としてカートリッジ20を回転させるための空間を形成する。本実施形態では、空間部670は、+Z軸方向に向かって第2の装置側側壁部604を−X軸方向に段階的に低くした段差部である。他実施形態では、空間部670は、+Z軸方向に向かって壁部604を−X軸方向に連続的に低くした傾斜面であっても良い。
図14〜16に示したとおり、壁部605は、壁部601の−Y軸方向側に立設されている。本実施形態では、壁部605は、プリンター50の使用状態においてホルダー60の右側面を構成する。壁部605は、壁部603,604に接続されている。また、壁部605は、X軸方向に沿って延びており、カートリッジ20の配列方向(Y軸方向)と交わる。
壁部606は、壁部601の+Y軸方向側に立設されている。壁部606は、カートリッジ収容室602を挟んで壁部605と対向している。本実施形態では、壁部606は、プリンター50の使用状態においてホルダー60の左側面を構成する。壁部606は、壁部603,604に接続されている。また、壁部606は、X軸方向に沿って延びており、カートリッジ20の配列方向(Y軸方向)と交わる。
上記の壁部601,603〜606の関係から以下のようなことが言える。すなわち、壁部601に垂直な方向がZ軸方向であり、壁部603と壁部604とが対向する方向がX軸方向であり、壁部605と壁部606とが対向する方向がY軸方向である。また、壁部601と開口OPとが対向する方向がZ軸方向であるとも言える。
さらに、ホルダー60の壁部601と壁部603とが交差するコーナー部600Cには、接点機構70が設けられている。接点機構70は、印刷材供給管640よりも壁部603側に設置されている。接点機構70は、カートリッジ側端子群400の各端子431〜439(図10)に対応して接触する複数の装置側端子と、複数の装置側端子を保持する端子台とを有する。
A−4−2.接点機構70の詳細構成:
図18は接点機構70を示す斜視図である。図18は、ホルダー60から取り外した状態の接点機構70を図示している。
接点機構70は、端子台709と、端子台709に保持された装置側端子731〜739とを有する。装置側端子731〜739は、電気伝導性を有する弾性部材であり、外力を受けて装置側傾斜面708からの突出した部分が変位する。装置側端子731〜739は、電気伝導性を有する弾性部材である。装置側端子731〜739は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態で、カートリッジ20の回路基板40を押し返す方向(+Z軸方向と−X軸方向の成分を含む方向)に付勢力Ptを発生させる。すなわち、カートリッジ20によって装置側傾斜面708から突出している装置側端子731〜739が装置側傾斜面708側に押し込まれることで、その反力によって付勢力Ptを発生させる。
9つの装置側端子731〜739は、9つのカートリッジ側端子431〜439にそれぞれ対応する位置に設けられている。よって、装置側端子731を「装着検出端子(第3の端子)731」とも呼ぶ。また、装置側端子732を「リセット端子732」とも呼ぶ。また、装置側端子733を「クロック端子733」とも呼ぶ。また、装置側端子734を「装着検出端子(第4の端子)734」とも呼ぶ。また、装置側端子735を「装着検出端子(第1の端子)436」とも呼ぶ。また、装置側端子736を「電源端子736」とも呼ぶ。また、装置側端子737を「接地端子737」とも呼ぶ。また、装置側端子739を「装着検出端子(第2の端子)739」とも呼ぶ。さらに、カートリッジ側の端子との区別を明確にするために、上記の各名称の前に「装置側」を付して呼ぶこともできる。例えば、「接地端子737」は「装置側接地端子737」と呼ぶこともできる。また、9つの装置側端子731〜739は装置側端子群700を構成する。
9つの装置側端子731〜739は、Z軸方向の位置が異なる第1の装置側端子列と第2の装置側端子列とを構成する。第1の装置側端子列は5つの装置側端子735〜739からなる。第2の装置側端子列は4つの装置側端子731〜734からなる。第1の装置側端子列は、第2の装置側端子列よりも−Z軸方向側に位置する。なお、装置側端子の個数は、9つに限るものではなく、回路基板40の構成に合わせて、任意の個数に変更可能であり、9つ以下であっても良いし、9つ以上であっても良い。
9つの装置側端子731〜739のうちY軸方向の中央に位置する装置側接地端子737は、接地ライン(図示しない)に電気的に接続されている。装置側接地端子727が装置側傾斜面708から突出する高さは、他の装置側端子731〜736,738,739よりも高い。これによって、装置側接地端子737は、他の装置側端子731〜736,738,739よりも先にカートリッジ20の回路基板40に接触する。
なお、本実施形態では、プリンターの組み立てを容易に行えるよう、装置側端子731〜739を端子台709に保持して接点機構70をユニット化した状態でホルダー60に組み込んでいる。しかし、端子台709による接点機構70のユニット化は、必須ではない。ホルダーの底面壁部601や外壁603Wに装置側端子731〜739を組み込める構造を一体的に形成しておき、そこに装置側端子731〜739を組み込むようにしても良い。すなわち、端子台709は必須ではない。
A−4−3.レバー80の詳細構成:
図19は、レバー80の外観斜視図である。図20は、軸部850をX軸とZ軸に平行な面(XZ平面,Y軸に垂直な面)で切断した断面である。図21は、レバー80の幅方向(Y軸方向)の中央部分を通ってX軸とZ軸に平行な面(XZ平面,Y軸に垂直な面)で切断した断面である。なお、図21は、カートリッジ20が設計された装着位置に正しくホルダー60に装着された状態における、レバー80の断面の状態を示している。
図19及び図21に示すように、レバー80は、操作部830と、一対の軸部850と、案内部820と、第1の装置側規制部810と、を有する。レバー80は、一端(+Z軸方向の端部)に操作部830を有し、他端(−Z軸方向の端部に)第1の装置側規制部810を有する。また、レバー80は、操作部830と装置側規制部810との間に回転軸800cを有している。つまり、レバー80は、操作部830と装置側規制部810との間の位置を軸800cとして回動する。
操作部830は、レバー80のうち利用者によって外力が加えられる部分である。図21に示すように、操作部830は、レバー80の+Z軸方向の端部に設けられる。また、操作部830は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において回転軸800cよりも+Z軸方向側に位置する。また、操作部830は、ホルダー60の第1の装置側側壁部603(図15)よりも+Z軸方向側に位置する。
操作部830は、操作面835と操作部対向面831とを有する。操作面835は、カートリッジ20をホルダー60から取り外す際に、利用者によって+X軸方向側から−X軸方向側に外力(図5の符号Pr)が加えられる面である。操作部対向面831は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において、カートリッジ20に対向する面である。
図19に示すように、レバー80の両端のほぼ中間の位置には、一対の軸部850が設けられる。一対の軸部850は、レバー80の回転軸800cを形成する。回転軸800cはY軸方向(カートリッジ20の配列方向)に平行である。一対の軸部850のうちの一方の軸部850a(「第1の軸部850a」とも呼ぶ。)は、レバー80の+Y軸方向側の外表面893から、+Y軸方向に突出している。また、一対の軸部850のうちの他方の軸部850b(「第2の軸部850b」とも呼ぶ。)は、レバー80の−Y軸方向側の外表面891から、−Y軸方向に突出している。ここで、外表面891,893は側面891,893とも呼ぶことができる。レバー80が一対の軸部850を有することで、後述する保持部材を用いて容易に回転軸800cを形成できる。
本実施形態では、一対の軸部850は、内側円弧面852と、外側円弧面854と、半径側面856,858とを有する。各面852,854,856,858は、軸部850の周方向の面を構成する。ここで、内側円弧面852を「第1の曲面852」とも呼び、外側円弧面854を「第2の曲面854」とも呼ぶ。内側円弧面852と外側円弧面854の中心は回転軸800cとなる。内側円弧面852は、外側円弧面854よりも第2の装置側側壁部604側(−X軸方向側)に位置する。
図20に示すように、内側円弧面852は、X軸とZ軸に平行な断面において、回転軸800cを中心とした半径R1aの円弧を形成する。外側円弧面854は、X軸とZ軸に平行な断面において、回転軸800cを中心とした半径R2aの円弧を形成する。半径R1aは半径R2aよりも小さい。上記のように、軸部850は、周方向を構成する面852として、中心を同一とする外側円弧面854と外側円弧面854よりも第2の装置側側壁部604側に位置する内側円弧面852とを有する。これにより、回転軸800cを、カートリッジ20に干渉させることなく、カートリッジ収容室602のうちカートリッジ20が位置する部分により近い側に位置させることができる。これにより、第1の係止位置810Lからのずれを抑制して、第1の装置側規制部810によってカートリッジ20を係止できる。すなわち、回転軸800cがカートリッジ20から離れた位置にある場合、設計された装着位置に正しくカートリッジ20が装着された場合におけるレバー80の姿勢からレバー80がずれた場合、第1の装置側規制部810がZ軸方向により大きく変位する。これに対して、回転軸800cをカートリッジ20により近い側に位置させることで、設計された装着位置に正しくカートリッジ20が装着された場合におけるレバー80の姿勢からレバー80がずれた場合でも、第1の装置側規制部810のZ軸方向における変位量を低減できる。よって、第1係止位置810Lからのずれをより低減してカートリッジ20を係止できる。また、外側円弧面854の半径R2aを内側円弧面852の半径R1aよりも大きくすることで、軸部850の強度低下を抑制できる。「所定の係止位置(第1係止位置)810L」とは、設計上理想的な位置として設定された装着位置にカートリッジ20が装着された場合における、第1の装置側係止面811(第1の装置側規制部810の第1の部分)と第1のカートリッジ側係止面211(第1のカートリッジ側規制部210の第1当接部)との当接位置をいう。
第1の装置側規制部810は、装着状態におけるカートリッジ20を係止し、カートリッジ20の動きを規制する部分である。図21に示すように、第1の装置側規制部810は、レバー80の−Z軸方向の端部に設けられる。また、第1の装置側規制部810は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態において回転軸800cよりも−Z軸方向側に位置する。
図21に示すように、第1の装置側規制部810は、第1のカートリッジ側規制部210(図5参照)を、2つの部分によって係止する。すなわち、第1の装置側規制部810は、第1の部分(第1の装置側規制部)としての第1の装置側係止面811と、溝部815と、第2の部分(第2の装置側規制部)としての第2の装置側係止面813と、を有する。本実施形態では、第1の装置側規制部810の2つの装置側係止面811,813は、相互に交わる位置関係にある。
第1の装置側係止面811は、回転軸800cを中心とした円弧を形成する曲面である。すなわち、第1の装置側係止面811は、X軸とZ軸に平行な断面(XZ平面に平行な断面,Y軸に垂直な断面)において、回転軸800cを中心とした円弧形状となる。これにより、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、第1の装置側係止面811をスムーズに所定の係止位置810Lまで移動させてカートリッジ20を係止できる。また、カートリッジ20をホルダー60から取り外す際に、第1の装置側係止面811によるカートリッジ20の係止をスムーズに解除できる。すなわち、カートリッジ20をホルダー60に着脱する際の動作をスムーズに行なうことができる。
また、第1の装置側係止面811は、所定の係止位置(第1係止位置)810Lに位置する場合において、X軸方向について回転軸800cと近接した位置にある。言い換えれば、本実施形態では、第1の装置側係止面811は、所定の係止位置(第1係止位置)810Lに位置する場合において、回転軸800cの真下近傍に位置する。詳細には、第1の装置側係止面811は、所定の係止位置(第1係止位置)810Lに位置する場合において、回転軸800cよりもやや−X軸方向側に位置する。これにより、所定の係止位置810Lにおいて、第1の装置側係止面811は、装着状態でカートリッジ20が装置側端子群700や弾性部材648から受ける+Z軸方向の力に対して垂直に近い角度で交わる面を形成できる。本実施形態では、所定の係止位置において、曲面である第1の装置側係止面811に接する平面は略水平となる。これにより、装着状態におけるカートリッジ20の第1のカートリッジ側係止面211と第1の装置側係止面811との係止が外れる可能性を低減できる。別の観点で見れば、以下のことが言える。すなわち、X軸方向の位置に関して、第1係止位置810Lは回転軸800cよりも−X軸方向であって、回転軸800cに近接した位置にあることが好ましい。これにより、第1の装置側係止面811に接する平面を略水平にできると共に、装着状態においてカートリッジ20から第1の装置側係止面811に対して+X軸方向の力が加えられることを防止できる。また、X軸方向について、第1係止位置810Lを回転軸800cに近接させることで、第1のカートリッジ側係止面211と第1の装置側係止面811との実際の係止位置が第1係止位置810Lから若干ずれた場合でも、Z軸方向の係止位置のずれを抑制できる。すなわち、ホルダー60に対するカートリッジ20のZ軸方向のずれを抑制し、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的な接続を良好に図ることができる。例えば、第1係止位置810Lは、レバー80をX軸とZ軸に平行な面で切断した断面において、回転軸800cを通るZ軸方向に平行な直線と、回転軸800cと第1係止位置810Lとを結ぶ直線との成す角度Aが15°以下が好ましく、10°以下がより好ましく、5°以下がより一層好ましい。また、角度Aは1°以上であることが好ましい。
図19に示すように、案内部820は、操作部830と第1の装置側規制部810との間に、+Z軸方向の端部から−Z軸方向の端部に亘って形成されている。案内部820は、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、カートリッジ20のY軸方向の動きを制限しながら第1のカートリッジ側規制部210(図12)を第1の装置側規制部810まで導く。これにより、案内部820を利用して容易にカートリッジ20を設計された正しい装着位置に装着できる。
案内部820は、Y軸方向に沿って形成された案内底壁面821と、案内底壁面821から−X軸方向に立設された一対の案内壁部860とによって構成された、凹部である。案内底壁面821と一対の案内壁部860によって、突起である第1のカートリッジ側規制部210を受け入れる凹部を容易に形成できる。一対の案内壁部860は、+Y軸方向側に設けられた第1の案内壁部860aと、−Y軸方向側に設けられた第2の案内壁部860bとによって構成される。第1の案内壁部860aの外表面893には、軸部850aが、第2の案内壁部860bの外表面893には、軸部850bが設けられている。
案内壁部860a,860bの間隔(壁部860aと壁部860bの内表面間の距離)は、カートリッジ20のY軸方向の長さよりも小さく、第1のカートリッジ側規制部210(図12)のY軸方向の長さよりも大きい。カートリッジ20をホルダー60に装着する際には、案内部820に第1のカートリッジ側規制部210を受け入れて、一対の案内壁部860a,860bによってカートリッジ20のY軸方向の動きを規制しながら、また、案内底壁面821によってカートリッジ20のZ軸方向の動きを規制しながら、第1のカートリッジ側規制部210を第1の装置側規制部810まで容易かつ確実に導くことができる。
案内底壁面821のうち、第1の装置側規制部810側には、第1のカートリッジ側規制部210の第2の部分214(図12)を受け入れるための溝部870を有する。溝部870は、案内底壁面821よりも+X軸方向に窪んだ形状である。また、溝部870は案内底壁面821の案内底壁面821の+Z軸方向の途中の部分から−Z軸方向の端部に亘って形成されている。
また、レバー80は、ホルダー60に設けられた場合に、自重により第1の装置側係止面811が第1係止位置810Lに移動可能なように構成されている。すなわち、保持部材690によって軸部850が保持された場合に、第1の装置側係止面811が回転軸800cよりも−X軸方向側になるようにレバー80は傾いた状態となる(図21)。この状態にするためには、例えば、レバー80の重心を回転軸800cよりも−Z軸方向側かつ−X軸方向側に位置させることで実現できる。また例えば、レバー80の重心を回転軸800cよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に位置させることで実現できる。
A−4−4.保持部材690の詳細構成:
図22は、保持部材690の分解斜視図とレバー80の斜視図である。レバー80は、保持部材690に保持されることによって、ホルダー60に対して回動可能に組み付けられている。図22には、保持部材690の全体ではなく、1つのレバー80を保持するための一部分の構成を図示した。保持部材690は、第1の保持部材650と第2の保持部材680との組み合わせで構成される。保持部材690は、合成樹脂により形成されている。本実施形態では、保持部材690はABS樹脂を用いて形成されている。
第1の保持部材650は、一対の立設部651と、貫通孔658とを備える。また、本実施形態では、保持部材650には、第3の装置側規制部としての突起部636が形成されている。
第1の保持部材650の一対の立設部651は、レバー80を間に受け入れ可能な間隔を相互に置いて立設されている。一対の立設部651には、レバー80の軸部850を受け入れ可能な軸受部654がそれぞれ形成されている。本実施形態では、一対の立設部651には、第2の保持部材680に係合する係合孔656がそれぞれ形成されている。
第2の保持部材680は、一対の立設部681と、貫通孔688とを備える。本実施形態では、第2の保持部材680には、弾性部材682が形成されている。
第2の保持部材680の一対の立設部681は、第1の保持部材650の一対の立設部651と同じ間隔を相互に置いて立設されている。一対の立設部681には、レバー80の軸部850が軸受部654から外れないように軸受部654を封鎖する封鎖面684がそれぞれ形成されている。本実施形態では、一対の立設部681には、第1の保持部材650の係合孔656に係合する係合凸部686がそれぞれ形成されている。
レバー80をホルダー60に組み付ける際には、第1の保持部材650の一対の立設部651の各軸受部654に、レバー80の各軸部850をそれぞれ嵌め込むことによって、レバー80を一対の立設部651の間に設置する。その後、保持部材650,680同士を係合させることによって、レバー80の軸部850が嵌め込まれた各軸受部654を、保持部材680の各封鎖面684で封鎖する。その後、貫通孔658,688を用いて保持部材650,680をホルダー60の壁にネジ等によって固定することで、レバー80をホルダー60に対して回動可能に組み付けることができる。
図23は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態におけるレバー80付近の構造を示す断面図である。この図を参照して、レバー80の軸部852と、保持部材の軸受け部654との関係を説明する。図23には、カートリッジ20を係止するレバー80を、装置側係止面811を通りX軸およびZ軸に平行な平面で切断した断面を図示した。図23には、レバー80の軸部850を投影した形状を破線で図示し、軸受部654と封鎖面684を投影した形状を二点鎖線で図示した。
この図からわかるように、軸部850の内側円弧面852および外側円弧面854が軸受部654に接触することによって、レバー80の回転軸800cが位置決めされる。+Y軸方向から見て反時計回りにレバー80が回動し続けると、軸部850の半径側面856が軸受部654に当接することによって、+Y軸方向から見て反時計回りのレバー80の回転が制限される。+Y軸方向から見て時計回りにレバー80が回動し続けると、軸部850の半径側面858が封鎖面684に当接することによって、+Y軸方向から見て時計回りのレバー80の回転が制限される。これによって、レバー80の安定した回動を実現し、設計された装着位置にカートリッジ20を安定した状態で保持することができる。
弾性部材682は、レバー80が回動する際に、レバー80の回転軸800cよりも−Z軸方向側に位置する係止背面部880に当接する。これによって、弾性部材682は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際におけるレバー80の回動領域を制限する。また、弾性部材682は、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、レバー80の係止背面部880と当接して弾性変形することにより、背面部880を−X軸方向の成分を含む方向に押圧する。これによって、レバー80の第1の装置側規制部810を所定の係止位置(第1係止位置)810Lまでより確実に移動させることができる。
A−5.ホルダー60に対するカートリッジ20の着脱動作:
図24〜図27は、カートリッジ20をホルダー60に対して装着する際の動作(装着動作)を示す説明図である。図24〜図27は、図5及び図17に対応する断面図である。図24〜図27の順で時系列となっている。
カートリッジ20をホルダー60に装着する際には、図24に示すように、ホルダー60の上面からカートリッジ20を挿入する。そして、カートリッジ20を第2のカートリッジ側規制部220側からホルダー60の内部へと−Z軸方向に移動させつつ、第2のカートリッジ側規制部220を第2の装置側規制部620に挿入する。図24に示す状態では、カートリッジ20の第1のカートリッジ側規制部210は、ホルダー60側のレバー80にある第1の装置側規制部810の+Z軸方向側に位置する。
次に、図24に示す状態から、第2の装置側規制部620に挿入されている第2のカートリッジ側規制部220を回転支点として、+Y軸方向から見て時計回りに、つまり、第3壁203側をホルダー60の底壁部601に向って押し込むようにカートリッジ20を回転させる。すると、図25に示すように、第1のカートリッジ側規制部210は、レバー80の案内部820、すなわち、図19に示した一対の案内壁部860a,860b及び案内底壁面821によって、Y軸及びX軸方向の動きが制限されながら、−Z軸方向に進む。
さらに、図25に示す状態から、カートリッジ20の第3壁203側を押し込むように回転させると、第1のカートリッジ側規制部210がさらに−Z軸方向側に押し込まれる。すると、図26に示すように、レバー80は、第1のカートリッジ側規制部210によって−X軸方向に押されて、+Y軸方向から見て反時計回りに回転する。その際、レバー80は、弾性部材682に当接して、+Y軸方向から見て時計回りにレバー80を押し戻す方向への付勢力を弾性部材682から受ける。この付勢力は、−X軸方向の成分を含む外力である。つまり、レバー80の回動領域は、弾性部材682によって制限される。レバー80が弾性部材682に当接して付勢される状態は、図26に示す状態から、カートリッジ20をさらに押し込んで、第1のカートリッジ側規制部210がレバー80の案内部820を乗り越えるまで維持される。
さらに、図26に示す状態から、カートリッジ20の第3壁203側を押し込むように回転させて、第1のカートリッジ側規制部210がレバー80の案内部820を乗り越えると、図27に示すように、第1のカートリッジ側規制部210が−X軸方向側に移動するようにレバー80が回転する。これにより、第1の装置側規制部810が、第1係止位置810Lに移動して第1のカートリッジ側規制部210を係止する。詳細には、右下の拡大図に示すように、第1の装置側規制部810の第1の装置側係止面811(第1の部分)と、第1のカートリッジ側規制部210の第1のカートリッジ側係止面211(第1当接部)とが当接することで、カートリッジ20の+Z軸方向への動きが規制される。また、詳細には、第1の装置側規制部810の第2の装置側係止面813(第2の部分)と、第1のカートリッジ側規制部210の第2のカートリッジ側係止面213(第2当接部)とが当接することで、カートリッジ20の+X軸方向側への動きが規制される。カートリッジ20の印刷材供給口280が印刷材供給管640と接続し、第2のカートリッジ側規制部220と第2の装置側規制部620とが係合し、第1のカートリッジ側規制部210と第1の装置側規制部810とが係合することで、カートリッジ20のホルダー60への装着が完了する。また、設計された装着位置に正しくカートリッジが装着されることで、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700が電気的に接続され、カートリッジ20とプリンター50との間で信号の伝達が行なわれる。
本実施形態では、図23及び図27に示したとおり、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態では、弾性部材682はレバー80に当接しておらず外力を加えていない構成となっている。こうすることで、レバー80が外力により塑性変形する可能性を低減でき、第1係止位置810Lから第1の装置側規制部810がずれる可能性を低減できる。よって、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的な接続をさらに安定して図ることができる。
なお、弾性部材682は、カートリッジ20がホルダー60に装着された状態においてレバー80と当接し、−X軸方向の成分を含む方向に力を加えるように構成しても良い。すなわち、弾性部材682は、レバー80の位置に拘わらず常時、レバー80に対し−X軸方向の成分を含む方向に力を加えても良い。これにより、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、第1の装置側規制部810を第1係止位置810Lに勢いよく移動させることができる。これにより、第1の装置側規制部810によってカートリッジ20を係止できたことを利用者に感知させるクリック感をより強く生じさせることができる。
なお、他の実施形態では、弾性部材682を省略しても良い。これによって、部品点数を削減することができる。
次に、カートリッジ20をホルダー60から取り外す際の動作を説明する。カートリッジ20をホルダー60から取り外す際には、利用者は操作部830を−X軸方向に押す。つまり、操作部830に対して、−X軸方向成分を含む方向に外力Pr(図5)を加える。すると、レバー80は、回転軸800cを中心に第1の装置側規制部810を+X軸方向成分を含む方向に移動させる。同時に、第1のカートリッジ側係止面211が、図23に示す矢印Y22の方向へ回転移動する。これにより、第1の装置側規制部810と第1のカートリッジ側規制部210との係止が外れ、カートリッジ20の第3面203側の+Z軸方向への動きの規制が解除される。カートリッジ20の+Z軸方向への動きの規制が解除されると、接点機構70からの付勢力Ptによってカートリッジ20の第3面203側が+Z軸方向側に移動する。すなわち、図27に示す状態から、図26に示す状態となる。図26に示す状態から、第2の装置側規制部620に挿入されている第2のカートリッジ側規制部220を支点として、+Y軸方向から見て反時計回りに、つまり、第3壁203側をホルダー60の底壁部601から引き離すように回転させて、図25の状態、さらには、図24の状態とする。このとき、利用者は突出部260に−X軸方向成分を含む外力を加えることで、カートリッジ20を回転させることが可能である。このような操作に伴い、+Y軸方向側から見て、第3面203側が反時計回りに移動し第3面203側がさらに+Z軸方向側に移動する。最後に、カートリッジ20の第3面203側を利用者が摘まんで第2のカートリッジ側規制部220を第2の装置側規制部620から引き抜くことで、ホルダー60からカートリッジ20を取り外すことができる。
ここで、図27の拡大図に示すように、レバー80の操作部830には、操作部対向面831が設けられている。操作部対向面831は、装着状態にあるカートリッジ20をホルダー60から取り外す際に利用者が操作部830を押すと、突出部260に接触する。操作部対向面831は、−X軸方向及び+Z軸方向成分を有する方向を向いて傾斜している。レバー80が回転軸800cを中心に矢印Y27を向く方向に回転すると、突出部260に操作部対向面831が接触し、−X軸方向及び+Z軸方向成分を有する方向Yhに突出部260を押圧する。こうすることで、例えば、カートリッジ20をホルダー60から取り外しやすくなる。特に、カートリッジ20がホルダー60の部材に引っ掛かり、第1のカートリッジ側係止面211を第1係止位置810Lから+X軸方向に移動させてもカートリッジ20が+Z軸方向側に移動しないような場合であっても、操作部対向面831と突出部260を利用してカートリッジ20の第3面203側を+Z軸方向に移動させることができる。
A−6.装着検出端子を用いた装着検出方法:
図28は、第1実施形態におけるカートリッジ20の回路基板40とプリンター50との電気的構成を示すブロック図である。プリンター50は、表示パネル590と、電源回路580と、主制御回路570と、サブ制御回路550とを備えている。表示パネル590は、利用者にプリンター50の動作状態や、カートリッジ20の装着状態などの各種の通知を行うための表示部である。表示パネル590は、例えば、プリンター50の外部から視認可能な操作部(図示せず)に設けられる。電源回路580は、第1の電源電圧VDDを生成する第1電源581と、第2の電源電圧VHVを生成する第2電源582とを有している。第1の電源電圧VDDは、ロジック回路に用いられる通常の電源電圧(定格3.3V)である。第2の電源電圧VHVは、ヘッド540(図1)を駆動してインクを吐出させるために用いられる高い電圧(例えば定格42V)である。これらの電圧VDD、VHVは、サブ制御回路550に供給され、また、必要に応じて他の回路にも供給される。主制御回路570は、CPU571と、メモリー572とを有している。サブ制御回路550は、メモリー制御回路551と、装着検出回路552とを有している。なお、主制御回路570と、サブ制御回路550とを含む回路を、「制御回路」と呼ぶことも可能である。
カートリッジの回路基板40(図10)に設けられた9つの端子のうち、リセット端子432と、クロック端子433と、電源端子436と、接地端子437と、データ端子438は、記憶装置420に電気的に接続されている。記憶装置420は、アドレス端子を持たず、クロック端子433から入力されるクロック信号SCKのパルス数と、データ端子から入力されるコマンドデータとに基づいてアクセスするメモリセルが決定され、クロック信号SCKに同期して、データ端子438よりデータを受信し、もしくは、データ端子438からデータを送信する不揮発性メモリーである。クロック端子433は、サブ制御回路350から記憶装置420にクロック信号SCKを供給するために用いられる。電源端子436と接地端子437には、プリンター50から記憶装置を駆動するための電源電圧(例えば定格3.3V)と接地電圧(0V)がそれぞれ供給されている。この記憶装置420を駆動するための電源電圧は、第1の電源電圧VDDから直接与えられる電圧か、第1の電源電圧VDDから生成されるもので第1の電源電圧VDDよりも低い電圧でもよい。データ端子438は、サブ制御回路550と記憶装置420との間で、データ信号SDAをやり取りするために用いられる。リセット端子432は、サブ制御回路550から記憶装置420にリセット信号RSTを供給するために用いられる。4つの装着検出端子431,434,435,439は、カートリッジ20の回路基板40(図3)内で配線を介して互いに接続されており、また、すべて接地されている。例えば、装着検出端子431,434,435,439は、接地端子437と接続されることによって接地される。但し、接地端子437以外の経路で接地するようにしてもよい。この説明からも理解できるように、装着検出端子431,434,435,439は、メモリー端子のうちの一部(又は記憶装置420)に接続されていても良いが、接地端子437以外のメモリー端子や記憶装置420に接続されていないことが好ましい。特に、装着検出端子がメモリー端子や記憶装置に全く接続されていなければ、装着検査信号以外の信号や電圧が装着検出端子に印加されないので、装着検出をより確実に行える点で好ましい。なお、図28の例では4つの装着検出端子431,434,435,439は配線により接続されているが、これらを接続する配線の一部を抵抗に置き換えてもよい。
図28において、装置側端子731〜739と、回路基板40のカートリッジ側端子431〜439とを接続する配線経路には、配線名SCK,VDD,SDA,RST,OV1,OV2,DT1,DT2が付されている。これらの配線名のうち、記憶装置用の配線経路のものは、信号名と同じ名称が使用されている。
図29は、回路基板40と装着検出回路552との接続状態を示している。回路基板40の4つの装着検出端子431,434,435,439は、対応する装置側端子731,734,735,739を介して装着検出回路552に接続されている。また、回路基板40の4つの装着検出端子431,434,435,439は接地されている。装置側端子731,734,735,739と装着検出回路552とを接続する配線は、プルアップ抵抗を介してサブ制御回路550内の電源電圧VDD(定格3.3V)にそれぞれ接続されている。
図29の例では、回路基板40の4つの装着検出端子431,434,435,439のうちの3つの端子431,434,435は、対応する装置側端子731,734,735と良好な接続状態にある。一方、4番目の装着検出端子439は、対応する装置側端子739と接触不良の状態にある。接続状態が良好な3つの装置側端子731,734,735の配線の電圧はLレベル(接地電圧レベル)になり、一方、接続状態が不良である装置側端739の配線の電圧はHレベル(電源電圧VDDレベル)となる。従って、装着検出回路552は、これらの各配線の電圧レベルを調べることによって、4つの装着検出端子731,734,735,739のそれぞれについて、接触状態の良否を判定することが可能である。
回路基板40の4つの装着検出端子431,434,435,439の各接触部cpは、記憶装置用の端子432,433,436,437,438の接触部cpの第1領域400Pの外側に配置されている。4つの装着検出端子431,434,435,439の各接触部cpは、第1領域400Pよりも外側に配置されている。また、4つの装着検出端子431,434,435,439の接触部cpは、第1領域400Pを包含する4角形の第2領域400Tの4隅に配置されている。第1領域400Pの形状は、5つの記憶装置用の端子432,433,436,437,438の接触部cpを包含する最も面積の小さな4角形とすることが好ましい。第2領域400Tの形状は、カートリッジ側端子群431〜439の接触部cpのすべてを包含する最も面積の小さな4角形とすることが好ましい。
4つの装着検出端子431,434,435,439の接触状態がすべて良好な場合には、カートリッジ20に大きな傾きが無く、記憶装置用の端子432,433,436,437,438の接触状態も良好である。一方、4つの装着検出端子431,434,435,439のうちの1つ以上の端子の接触状態が不良である場合には、カートリッジに大きな傾きがあり、記憶装置用の端子432,433,436,437,438のうちの1つ以上の端子の接触状態も不良である可能性がある。装着検出回路552は、4つの装着検出端子431,434,435,439のうちの1つ以上の接触状態が不良である場合には、表示パネル390にその未装着状態を示す情報(文字や画像)を表示して利用者に通知することが好ましい。
なお、記憶装置用の端子の接触部cpの集合領域400Pの周囲の四隅全部に装着検出端子の接触部cpを設けた理由は、カートリッジ20をホルダー60に装着した状態においても、カートリッジ20がある程度傾く自由度があるために、カートリッジ20の回路基板40と、ホルダー60の接点機構70とが相互に傾く場合があるからである。例えば、カートリッジ20が傾いて、回路基板40の上側列R2の端子群431〜444(その接触部群)が下側列R2の端子群435〜439(その接触部群)よりも接点機構70から離れると、上側列R1の端子群431〜434の接触が不良となる可能性がある。また、カートリッジ20が傾いて、回路基板40の下側列R1の端子群435〜439が上側列R2の端子群431〜434よりも接点機構70から離れると、回路基板40の上側列R2の5つの端子435〜439の接触が不良となる可能性がある。また、カートリッジ20が傾いて、図10における回路基板40の左端が右端よりも接点機構70から離れると、回路基板40の左側にある端子431,432,435,436,437の接触が不良となる可能性がある。逆に、回路基板40の右端が左端よりも接点機構70から離れると、回路基板40の右側にある端子433,434,437,438,439の接触が不良となる可能性がある。このような接触不良が生じると、記憶装置420からのデータの読み出しや、記憶装置420へのデータの書き込み時にエラーが発生する可能性がある。そこで、上述のように、メモリー端子432,433,436,437,438の接触部cpの集合領域400Pの外側周囲の四隅に配置されている4つの装着検出端子431,434,435,439の接触部cpの接触状態がすべて良好か否かを確認するようにすれば、このような傾きに起因する接触不良及び記憶装置のアクセスエラーを防止することが可能である。
A−7.本実施形態の効果A−7−1.特許文献1〜3との比較
特許文献1〜3と比較した場合の本実施形態の効果を、図27を参照しながら説明する。
本実施形態の印刷材供給システム10では、ホルダー60にレバー80を設け、カートリッジ20に第1のカートリッジ側規制部210を設けている。カートリッジ側規制部210は、レバーの回転軸800cよりも−Z軸方向側に設けられている。このような構成により、本実施形態では、カートリッジにレバーを設けている特許文献1や2のように、レバーの回転軸と操作部との間にホルダーとの係合部を設ける必要が無い。したがって、レバーとカートリッジの側面との間にそれほど大きな間隔は必要ない。すなわち、本実施形態では、レバー80とカートリッジの第3面203との距離を小さくでき、X軸方向のサイズを小さくできる。しかも、レバーの長さを短くできるため、Z軸方向のサイズも小さくできる。よって、プリンター50及び印刷材供給システム10を、非常に小型化することが可能である。また、カートリッジ20を輸送したり販売したりする場合にカートリッジを梱包する際に用いられる梱包材の大きさをも小型化することができるため、輸送コストや部品コストの低減も可能である。なお、このような効果は、単に特許文献3のように、レバーをカートリッジではなくプリンターのホルダー側に設けただけでは得ることはできない。レバー80の回転軸800cを操作部830と第1の装置側規制部810との間に設けたり、カートリッジ側規制部210をレバー80の回転軸800cよりも−Z軸方向側に設けたりすることで、はじめて得られるものである。
また、本実施形態の印刷材供給システム10では、レバーの長さを短くでき、また、第1のカートリッジ側規制部210の形状も小さく単純な構成(本実施形態では突起)とすることができる。よって、特許文献1や2に比べて、レバー80及びカートリッジ側規制部210の剛性を高くできる。しかも、レバー80及びカートリッジ側規制部210(カートリッジ20)の材料として、比較的剛性の高い材料を選択できる。よって、レバー80やカートリッジ側規制部210の塑性変形の可能性を、極めて低く抑えることが可能となる。よって、装着状態におけるカートリッジ20をホルダー60内の正確な位置に保持し続けることが可能となり、カートリッジ側端子431〜439と、装置側端子731〜739の接触状態を、正常な状態に維持することができ、導通不良を低減することが可能となる。なお、本実施形態によれば、カートリッジ側規制部210の形状を小さく単純なものとすることができるため、カートリッジ20を輸送、販売する際に梱包(特に、梱包材の内部が減圧された状態にするような梱包)を行う際、特許文献1や2のカートリッジのようにレバーの塑性変形に配慮する必要がなく、利用者の利便性を向上できる。特に、このような効果を得るには、本実施形態のように、第1のカートリッジ側規制部210を突起とすることが好ましい。
さらに、本実施形態の印刷材供給システム10では、カートリッジ側規制部210を、レバー80の回転軸800cよりも−Z側に設けている。先に述べたとおり、装置側端子731〜739は、カートリッジ20の装着状態において、回路基板40を押し返す方向(+Z軸方向と−X軸方向の成分を含む方向)に付勢力Ptを発生させる。よって、装着状態20におけるカートリッジ20は、+Z軸方向に移動しようとする。しかし、本実施形態の印刷材供給システム10では、レバー80の回転軸800cがカートリッジ側規制部210よりも−Z軸方向に設けられているため、このような動きをレバー80によって+Z軸方向側から−Z軸方向側へ封じ込めることができる。
しかも、本実施形態では、カートリッジ側規制部210が、レバー80の回転軸800cよりも−Z軸方向側かつ−X軸方向側に設けられている。よって、カートリッジ20が+Z軸方向に移動しようとしたとき、レバー80には図5の矢印Mで示したような回転モーメントが発生する。このモーメントは、装置側規制部810によって、カートリッジ側規制部210を、さらに−X軸方向へ強く押し付けようとするように作用する。また、このモーメントは、付勢力PtのX軸方向成分によって、カートリッジ20が−X軸方向に移動しようとする動きに、レバーの装置側規制部810の動きを合わせるようにも作用する。よって、装着状態におけるカートリッジ20には、装置側底面壁部601及び第2の装置側側壁部604に押し付けられるような力が作用する。従って、本実施形態では、カートリッジ20がホルダー60から外れにくい。また、カートリッジ側端子431〜439と、装置側端子731〜739の接触状態を、正常な状態に維持することができ、導通不良を低減することが可能となる。
なお、図27に示したとおり、第1のカートリッジ側規制部210は、第1の装置側規制部810の第1の部分811と当接することでカートリッジの20の+Z軸方向への動きを規制する第1のカートリッジ側係止面211と、第1の装置側規制部810の第2の部分812と当接することでカートリッジ20の+X軸方向への動きを規制する第2のカートリッジ側係止面213を有する。これにより、図5の矢印Mで示したような回転モーメントをより確実に発生させることができ、カートリッジ側端子431〜439と装置側端子731〜739との導通不良をより確実に低減できる。
さらに、図12に示したように、本実施形態では、第1のカートリッジ側規制部210が第2の部分214を有している。この第2の部分214によって、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、第1の装置側規制部810よりも−Z軸方向側に第1のカートリッジ側規制部210が位置して係止される可能性を低減できる。すなわち、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に、利用者がカートリッジ20をホルダー60に対して図27の状態よりもさらに−Z軸方向側に押し込んでしまう可能性がある。このような場合でも、第2の部分214が、レバー80の第2の装置側係止面813に接触することで、第1の装置側規制部810よりも第1のカートリッジ側規制部210が−Z軸方向側に位置することを抑制できる。これにより、意図しない係止位置で、第1のカートリッジ側係止部210が第1の装置側規制部810に係止される可能性を低減できる。
A−7−2.カートリッジ装着状態における外力の影響の抑制
図30は、カートリッジ20の装着状態において、カートリッジ20が受ける外力を説明するための図である。プリンター50が印刷等を行う際にはホルダー60及びカートリッジ20は主走査方向(Y軸方向、カートリッジ20の幅方向)に移動する。すなわち、カートリッジ20は、幅方向の外力(慣性力)を受けることになる。カートリッジ20が外力を受けることで、カートリッジ20は印刷材供給口280(図27)及び印刷材供給管640を中心に幅方向成分(Y軸方向成分)を含む回転方向に回転しようとする場合がある。具体的には、第3面203側は矢印YR1の向きに回転し、第4面204側は矢印YR2の向きに回転しようとする場合がある。また、カートリッジ20の第2面202側は矢印YR3側に回転しようとする場合がある。矢印YR1及び矢印YR2の向きは、Z軸を中心としたY軸方向(幅方向)を含む回転方向である。また、矢印YR3はX軸を中心としたY軸方向(幅方向)を含む回転方向である。
矢印YR3の向きにカートリッジ20が動こうとすると、カートリッジ20の第5面205側と第6面206側のいずれか一方が+Z軸方向側に浮き上がろうとする。しかしながら、先に説明したとおり、このような+Z軸方向への動きは、レバー80によって封じ込められる。特に、本実施形態では、図13に示したように、第1のカートリッジ側規制部220が交差部分295に近接している。言い換えれば、第1のカートリッジ側規制部220は、回路基板40の基板端部405に近接している。すなわち、カートリッジ側端子群400にできる限り近づけるように、第1のカートリッジ側規制部220を配置している。第1のカートリッジ側規制部220がレバー80に係止されることで、第1のカートリッジ側規制部220の近傍は、外力を受けても位置が変動しにくい。このように位置変動が非常に小さい場所にカートリッジ側端子群400が設けられていることにより、カートリッジ側端子群400の各端子431〜439のホルダー60に対する位置ずれを効率よく抑制できる。よって、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的な接続を安定して図ることができる。なお、このような効果をより確実に得るためには、Y軸方向(幅方向)について(カートリッジ20を第3面203側から−X軸方向に向って見たとき)、第1のカートリッジ側規制部220(特に、第1のカートリッジ側係止面211)は、第1の外側部分435Pと第2の外側部分439Pとの間に少なくともその一部が位置するようにすることが好ましい。
また、図7に示したように、本実施形態では、カートリッジ20のコーナー部265が、第1面201から+Z軸方向に延びる段差面(第7面)207を有している。第7面207は、傾斜面(第8面)208に対して−X軸方向側かつーZ軸方向側に位置している。そして、第7面207に第3のカートリッジ側規制部250が設けられている。一方、図2、図14〜16に示したように、カートリッジ装着部60には、第3の装置側規制部(突起部)636が設けられている。第3のカートリッジ側規制部250は、突起部636と接触する。これにより印刷材供給管640及び印刷材供給口280を中心とした第3面203側の幅方向の動きをより抑制できる。なお、本実施形態のように、第3のカートリッジ側規制部250は、第7面207から+X軸方向に突出する1対の突出部材とし、その間に突起部636を受け入れるように構成されることが好ましい。このような構成とすることで、簡単な構造で、印刷材供給管640及び印刷材供給口280を中心とした第3面203側の幅方向の動きを確実に抑制することが可能となる。
また、図13に示したとおり、本実施形態では、X軸方向について(カートリッジ20を第1面201側から+Z軸方向に向って見たとき)、回路基板40の表面408と第3のカートリッジ側規制部250が一部において重なるように配置されている(図13)。よって、カートリッジ20の矢印YR1方向への動きをより一層抑制でき、カートリッジ側端子群400のホルダー60に対する動き(ずれ)をより抑制することができる。
ここで、カートリッジ20が受ける幅方向の外力として主走査方向への移動に伴う慣性力を挙げたが、カートリッジ20が受ける外力はこれに限られない。例えば、先に述べたオフキャリッジタイプのプリンターでは、印刷ヘッドのみが主走査方向に移動し、不動のホルダー60に装着されたカートリッジ20は主走査方向に移動しない。しかし、このようなオフキャリッジタイプのプリンターでも、カートリッジ20に外力を受ける場合がある。具体的には、オフキャリッジタイプのプリンターにおいて、印刷ヘッドが主走査方向に移動すること等より生じる振動などを受けてカートリッジ20に外力(慣性力)が作用するような場合がある。
A−7−3.カートリッジ装着状態におけるカートリッジ20の傾きの低減
図12に示したように、本実施形態では、第1のカートリッジ側規制部210は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycを横切るように設けられている。図5に示したように、カートリッジ20の装着状態において、カートリッジ20はホルダー60から+Z軸方向の成分を含む付勢力Ps,Ptを受ける。そして、このような付勢力Ps,Ptによって、第1のカートリッジ側規制部210は、レバー80に設けられた第1の装置側規制部810に押し付けられる。これにより、装着状態において、外力によりカートリッジ20がX軸やZ軸を中心としてがたついた場合でも、第1のカートリッジ側規制部210の平面Ycと交わる位置付近の位置は、ほとんど動かない。
ここで、第1のカートリッジ側規制部210は、交差部分295に近接している。あるいは、第1のカートリッジ側規制部210は、基板端部405に近接しているとも言える。カートリッジ側端子群400に極めて近い位置に、動きが少ない第1のカートリッジ側規制部210を設けることで、カートリッジ側端子群400と接点機構70との電気的な接続を安定して図ることができる。
また、第1のカートリッジ側規制部210のうち、特にカートリッジ側端子群400の位置を規制するのに有効な部分は第1のカートリッジ側係止面211である。そこで、第1のカートリッジ側係止面211をカートリッジ側端子群400と出来るだけ近づけることが好ましい。第1のカートリッジ側規制部210のうち第3の部分215を省略し、第1の部分212を第1辺290と接して配置すれば、第1のカートリッジ側係止面211を交差部分295、あるいは基板端部405により近づけることができる。そうすれば、カートリッジ側端子群400と接点機構70との電気的な接続を、より安定して図ることができる。
さらに、本実施形態では、図10に示したとおり、カートリッジ側端子群400を構成する各端子の接触部cpのうち、Y軸方向において中央に設けられる接触部cpを有する端子437が、平面Ycと交わる位置に設けられている。そして、残りの端子431〜436,438,439の接触部cpは、この平面Ycと接地端子437との交線を軸として線対称となる位置に設けられている。平面Ycは、第1のカートリッジ側規制部210の位置が固定されているため、特に動きが少ない。カートリッジ端子群400は、このように動きの少ない平面Yc上、及びその近傍に配置されていることになる。カートリッジ側端子群400に極めて近い位置に第1のカートリッジ側規制部210を設けることに加え、平面Yc上やその近傍に端子群400を配置することによって、カートリッジ側端子群400と接点機構70との電気的な接続を、さらに安定して図ることが可能となる。
A−7−4.カートリッジ装着状態におけるカートリッジ20の傾きの微調整
本実施形態では、第1のカートリッジ側規制部210(厳密には第1のカートリッジ側係止面211)が、Y軸方向について、カートリッジ側端子群400のうちで最も+Y軸方向側に位置する第1の外側部分435Pとカートリッジ側端子群400のうちで最も−Y軸方向側に位置する第2の外側部分439Pの間の範囲40Yの外側には位置することなく、範囲40Yの内側に位置する。これにより、ホルダー60にカートリッジ20を装着した後に、装置側端子群700から+Z軸方向成分の力をカートリッジ側端子群400が受けることで、カートリッジ20の傾きを微調整できる。すなわち、カートリッジ側端子群400が設けられた傾斜面408が向く方向を微調整できる。これにより、例えば、各装置側端子731〜739の装置側傾斜面708からの位置、第1のカートリッジ側規制部210の第1のカートリッジ側係止面211の水平度などが、製造上の誤差によってばらついた場合でも、傾斜面408が向く方向を微調整することで、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的な接続を安定して図ることができる。
図31は、傾斜面408が向く方向の微調整について説明するための図である。なお、カートリッジ20の姿勢が微調整された後の位置にあるカートリッジ20は破線で示されている。例えば、装置側端子群700のうちの装着検出端子731が設計された位置よりも装置側傾斜面708(図18)から+Z軸方向側に突出していた場合を考える。この場合、傾斜面408は装着検出端子731から+Z軸方向成分を含む方向に力Phを受ける。ここで、第1のカートリッジ側係止面211が範囲40Yに位置することで、カートリッジ20のX軸を中心とした回転をより許容できる。すなわち、力Phを傾斜面408が受けることで、カートリッジ20の姿勢を微調整できる。図31の場合は、カートリッジ20は第6面206側に傾いた姿勢になるように微調整される。
A−7−5.第2のカートリッジ側規制部220に関する効果
また、カートリッジ20は、第4面204に第2のカートリッジ側規制部220を有する(図27)。これにより、カートリッジ20の+X軸方向の両側から+Z軸方向への動きを規制でできる。これにより、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的な接続をさらに安定して図ることができる。
また、本実施例では、第2のカートリッジ側規制部220は、第4面204から−X軸方向側に突出するように設けられた突起である。そして、第2のカートリッジ側規制部220は、ホルダー60の貫通孔である第2の装置側規制部620(図3)に挿入される。利用者は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際に、カートリッジ20を、第2の装置側規制部620(図3)に挿入した第2のカートリッジ側規制部220付近を中心として回動させる。つまり、第2の装置側規制部620は、カートリッジ20をホルダー60に対して着脱する際のガイドとして機能する。これにより、ホルダー60に対するカートリッジ20の着脱を容易に行うことができる。また、第2のカートリッジ側規制部220を突起とすることで、第2のカートリッジ側規制部を第4面に容易に形成できる。
A−7−6.突出部260に関する効果
図27に示すように、本実施形態では、カートリッジ20は第3面203の、第1のカートリッジ側規制部210よりも+Z軸方向側に、突出部260を有する。そして、カートリッジ装着部60に装着されたカートリッジ20を取り外す際、レバー80の操作部830に+X軸方向側から−X軸方向側へと力を加えることで、操作部830が突出部260と接触して、+Z軸方向成分を含む成分を有する方向Yhに突出部260を押圧する、つまり、突出部260に+Z軸方向成分の力を加えることができるようにしている。これにより、操作部830を利用してカートリッジ20をホルダー60から容易に取り外すことができる。特に、カートリッジ20がホルダー60の部材に引っ掛かり、第1のカートリッジ側係止面211を第1係止位置810Lから+X軸方向に移動させてもカートリッジ20が+Z軸方向側に移動しないような場合であっても、突出部260を利用してカートリッジ20の第3面203側を+Z軸方向に容易に移動させることができる。
なお、本実施形態では、上記のように操作部830によって突出部260に外力を直接加えているが、突出部260には、必ずしも操作部830による外力が加えられる必要はない。操作部830を回転させれば、第1の装置側規制部810と第1のカートリッジ側規制部210との係止が外れ、カートリッジ20の第3面203側の+Z軸方向への動きの規制が解除される。カートリッジ20の+Z軸方向への動きの規制が解除されると、接点機構70からの付勢力Ptによってカートリッジ20の第3面203側が+Z軸方向側に移動する。このとき、カートリッジ20の突出部260も方向Yhへ移動する。その後、利用者は、方向Yhへ移動した突出部260の付近を手でつまむ等して、容易にカートリッジ20をホルダー60から取り外すことができる。すなわち、操作部830によって突出部260に外力を直接加えなくても、突出部260を有していれば、カートリッジ20をホルダー60から取り外す際の操作性を向上できる。
A−7−7.印刷材供給口280の位置に関する効果
図27に示すように、本実施形態では、第1面201のうち第3面203よりも第4面204に近い部分に印刷材供給口280を設けている。すなわち、X軸方向について、印刷材供給口280の外表面と第3面203との距離は、印刷材供給口280の外表面と第4面204との距離よりも大きい。一方、カートリッジ側端子群400は、第3面203と隣接する表面408に設けられている。すなわち、印刷材供給口280は、カートリッジ側端子群400から離れた位置に設けられている。これにより、カートリッジ側端子群400にインクが付着する可能性を低減できる。よって、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との接触不良の発生を抑制できる。
A−7−8.接地端子437に関する効果
本実施形態では、図10に示すように、カートリッジ側端子群400を構成する端子の接触部cpのうち、Y軸方向において中央に設けられる接触部cpを有する接地端子437は、カートリッジ20の幅(Y軸方向の長さ)の中央を通る平面Ycと交わる位置に設けられている。そして、接地端子437は、カートリッジ20がホルダー60に装着される際、他のカートリッジ側端子431〜436,438,439による接点機構70との接触に先立って、接点機構70に接触するように構成されている。これによって、ホルダー60から回路基板40に最初に加わる付勢力が、カートリッジ20のY軸方向の幅の中心に発生する。よって、回路基板40に加わる付勢力がカートリッジ20をY軸方向に傾かせる力として働く作用を抑制し、設計された装着位置へのカートリッジ20の装着を可能にする。また、接地端子437が他のカートリッジ側端子431〜436,438,439よりも先にホルダー60の接点機構70に接触するため、カートリッジ20側に意図しない高電圧が印加された場合であっても、接地端子437の接地機能によって、高電圧による不具合を軽減することができる。
A−7−9.第1の装置側係止面811の形状に関する効果
また、図21に示すように、第1の装置側係止面811は、X軸とZ軸に平行な断面において回転軸800cを中心とした円弧形状となる曲面である。これにより、カートリッジ20をホルダー60に着脱する際の動作をスムーズに行なうことができる。また、第1の装置側係止面811を曲面とすることで、カートリッジ20をホルダー60に装着する際に弾性部材648(図27)によって、+Z軸方向側へと押し戻される量を小さくできる。これにより、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的接触を良好に図ることができる。
図32は、効果の1つを説明するための図である。図32の上下方向がZ軸方向となる。また、紙面上側が+Z軸方向、紙面下側が−Z軸方向となる。図32(A)〜(C)は、第1の装置側係止面811が曲面である場合の、カートリッジの装着態様を示す図である。図32(D)〜(F)は、第1の装置側係止面811tが平面である場合の、カートリッジの装着態様を示す図である。図32(A)〜(C)はこの順で時系列であり、図32(D)〜(F)はこの順で時系列である。
図32(A)に示すように、カートリッジ20をホルダー60に装着する際には、第1のカートリッジ側規制部210が案内底壁面821に当接しながら−Z軸方向側に移動する。図32(B)に示すように、案内底壁面821よりも第1のカートリッジ側規制部210が−Z軸方向側に移動すると第1の装置側係止面811が矢印Y32の方向へ移動する。この際、利用者がカートリッジ20を−Z軸方向側に強く押し込んだ場合、第1のカートリッジ側規制部210は第1の装置側係止面811よりも−Z軸方向側に位置する。そして、利用者がカートリッジ20から手を離すと、弾性部材648や装置側端子群700の付勢力Ps,Ptによって、カートリッジ20が+Z軸方向側へ押し上げられる。図32(C)に示すように、第1の装置側係止面811が曲面である場合、カートリッジ20の第1のカートリッジ側規制部210が押し上げられる量はD1となる。
一方、図32(D)〜(F)に示すように、第1の装置側係止面811tが平面である場合、第1の装置側係止面811tが押し上げられる量はD2となる。ここで、D1はD2よりも小さい値となる。
すなわち、本実施形態では、第1の装置側係止面811が曲面であることから、第1の装置側係止面811tが平面である場合に比べ、装着状態において第1の装置側係止面811がより−Z軸方向側に位置できる。これにより、第1のカートリッジ側規制部210が押し上げられる量を小さくできる。
また、本実施形態では、第1の装置側係止面811は、所定の係止位置810Lに位置する場合において、X軸方向について回転軸800cと近接した位置にある(図21)。これにより、第1係止位置810Lから実際の係止位置がX軸方向にずれた場合でも、第1の装置側係止面811のZ軸方向の移動距離を低減できる。これにより、ホルダー60に対するカートリッジ20のZ軸方向のずれを抑制できる。
A−7−10.その他の効果
また、本実施形態では、装着状態において、レバー80の回転軸800cは第1係止位置810Lよりも+Z軸方向側かつ+X軸方向側に位置する(図27)。また、レバー80の第1の装置側係止面811は−X軸方向側に移動することでカートリッジ20との係止が外れる(図27)。すなわち、係止が外れる方向(+X軸方向成分を含む方向)と、カートリッジ20からレバー80に加わる力によって第1の装置側規制部810が移動する方向(−X軸方向成分を含む方向)とがX軸方向成分について逆向きである。よって、装着状態において、第1のカートリッジ側規制部210と第1の装置側係止面811との係止が外れる可能性を低減できる。よって、カートリッジ側端子群400と装置側端子群700との電気的な接続を安定して図ることができる。
また、第1の装置側規制部810は、カートリッジ20の+X軸方向側への動きを規制する第2の装置側係止面813を有する(図27)。これにより、装着状態において、第1の装置側規制部810がカートリッジ20からの付勢力Ptによって−X軸方向成分を含む方向に移動することを防止できる。これにより、第1のカートリッジ側規制部210と第1の装置側係止面811との係止が外れる可能性をさらに低減できる。
また、本実施形態では、プリンター50の第2の装置側側壁部604は、第2のカートリッジ側規制部220を係止することでカートリッジ20の+Z軸方向への動きを規制する第2の装置側規制部620を有する。これにより、カートリッジ20の+X軸方向の両側から+Z軸方向への動きを規制できる。これにより、カートリッジ側端子群400の各端子のカートリッジ装着部60に対する位置ずれをさらに抑制でき、カートリッジ端子群400と装置側端子群700との電気的な接続をさらに安定して図ることができる。また、第2の装置側規制部620が凹部又は貫通孔によって形成されることで、突起である第2のカートリッジ側規制部220を受け入れる第2の装置側規制部620を容易に形成できる。
また、本実施形態では、装着状態において、操作部対向面831が−X軸方向及び+Z軸方向の成分を有する方向を向いて傾斜している。詳細には、突出部260に操作部対向面831が接触した状態において、操作部対向面831が−X軸方向及び+Z軸方向n成分を有する方向を向いて傾斜している。これにより、操作部830は突出部260に対して+Z軸方向への外力を容易に加えることができる。
B.第2実施形態:
図33は第2実施形態のプリンター50aを説明するための図である。図33は、第1実施形態の図17の断面に相当する。第1実施形態のプリンター50との違いは、保持部材690aが弾性部材682を有さない点である。その他の印刷材供給システム10の構成は第1実施形態のプリンター50と同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。また、プリンター50aに装着されるカートリッジ20の構成は第1実施形態と同様の構成である。
図33に示すように、保持部材690aは弾性部材を有さず、レバー80を−X軸方向の成分を含む方向に付勢しない。しかしながら、レバー80は、自重によって第1の装置側係止面811が第1係止位置810Lに位置するように構成されているため、カートリッジ20の第1のカートリッジ側係止面211をレバー80の第1の装置側係止面811によって係止できる。
上記第2実施形態のプリンター50aは、第1実施形態のプリンター50が奏する効果に加え、保持部材690aが弾性部材を有さないことから、保持部材690aが破損する可能性を低減できる。また、保持部材690aが弾性部材を有さないことから、部品点数を低減でき、プリンター50aの製造コストを抑えることができる。
C.第3実施形態:
図34は、第3実施形態のカートリッジ20bの外観斜視図である。第1実施形態のカートリッジ20(図7)との違いは、カートリッジ20bの寸法である。その他のカートリッジの構成については第1実施形態と同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。また、第3実施形態のプリンターのうち、ホルダー60とホルダー60に設けられた部材(例えば、レバー80)は同様の構成である。
カートリッジ20bは、第1実施形態のカートリッジ20よりも寸法が大きく、多くの量のインクを内部に収容できる。カートリッジ20bは、大判の用紙(A2〜A0サイズ等)の印刷を実行可能な大型インクジェットプリンターのカートリッジ装着部に装着できる。大型インクジェットプリンターのカートリッジ装着部にカートリッジ20bを装着する際の、装着方向SDは−Z軸方向となる。本実施形態では、−Z軸方向は水平方向となる。カートリッジ装着部にカートリッジ20bが装着された状態では、X軸方向が鉛直方向となる。詳細には、+X軸方向が鉛直上方向となり、−X軸方向が鉛直下方向となる。
D.カートリッジの構成に関する変形例:
図35〜37に、カートリッジの構成に関する変形例を示す。印刷材供給システム10の構成は第1実施形態のプリンター50と同様の構成である。また、第1実施形態のカートリッジ20と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
D−1.カートリッジの外形の変形例
図35は、他の実施形態におけるカートリッジの形状を示す概念図である。図35(A)に示すカートリッジ20cの外殻22cは、楕円形又は長円形の側面を有している。また、カートリッジ20cは、その正面側に第1のカートリッジ側規制部210と、回路基板40とを有する。また、カートリッジ20cの底面側には、印刷材供給口280が形成されており、背面側には第2のカートリッジ側規制部220が形成されている。なお、このカートリッジ20cを正面側から見ると、一定の幅を有している。このカートリッジ20cでも、第1と第2のカートリッジ側規制部210,220と、回路基板40と、印刷材供給口280とが、プリンター50の対応する部材と接続するように構成されていれば、図7に示したカートリッジ20と互換性を確保することが可能である。
図35(B)に示すカートリッジ20dは、図7と同様に略直方体形状を有している。図7のカートリッジ20との大きな差異は、第8面208が、第3面203の下端に連続して設けられていない点である。図35(C)及び図35(D)に示すカートリッジ20e,20fは第7面を有さない点で図7のカートリッジ20と異なる。図35(E)に示すカートリッジ20gでは、回路基板40が、第8面208にバネを介して取り付けられている。図35(F)に示すカートリッジ20hでは、第8面208に相当する面208hが可動となっており、この面208hに回路基板40が設けられている。これらのカートリッジ20c〜20gにおいても、第1と第2のカートリッジ側規制部210,220と、回路基板40と、印刷材供給口280とがプリンター50の対応する部材と接続するように構成されており、図7に示したカートリッジ20と互換性を確保することが可能である。
図35に示した各種の例から理解できるように、カートリッジの外形の形状には、様々な変形例が考えられる。カートリッジの外形の形状が略直方体以外の形状を有している場合にも、例えば図35(A)及び(D)に点線で示したように、略直方体の6つの面、すなわち、図7,8に示した底面201(第1面)、上面202(第2面)、正面203(第3面)、背面204(第4面)、左側面205(第5面)、及び右側面206(第6面)、を仮想的に考えることが可能である。本明細書において、「面」(プレーン)という用語は、このような仮想的な面(仮想面、非実在面とも呼ぶ)と、図7や図8に記載したような実在面と、の両方を包含した意味で使用することができる。また、「面」という用語は、平面と曲面の両方を包含した意味で使用される。
D−2.アダプターを使用したカートリッジ
図36は、アダプターを使用したカートリッジ20iの構成を示す斜視図である。このカートリッジ20iは、印刷材収容部200を有する収容部材200iと、アダプター299とに分離できる。利用者は、収容部200内の印刷材が無くなったら、収容部材200iを新しいものに交換するか、そこに印刷材を補給する。アダプター299は再利用することができる。このカートリッジ20iは、第1実施形態のカートリッジ20(図7参照)と互換性を有するものである。
カートリッジ20iの外殻22iは、収容部材200iの外殻と、アダプター299iの外殻との組み合わせによって構成される。収容部材200iは、インクを収容する印刷材収容部200と印刷材供給口に印刷材を供給するための印刷材流路282と発泡体樹脂284とを有している。収容部材200iは、カートリッジ20iの第2面202に相当する第2面202iを備えている。また、収容部材200iは、カートリッジ20iの第1面201、第3〜第8面203〜208にそれぞれ対応する第1面201i、第3面203i、第4面204i、第5面(図示省略)、第6面206i、第7面207i、及び第8面208iを備えている。第1面201iと第2面202iは、Z軸方向において対向しており、第1面201iが−Z軸方向側、第2面202iが+Z軸方向側に位置する。第3面203iと第4面204は、X軸方向において対向しており、第3面203iが+X軸方向側、第4面204iが−X軸方向側に位置する。第5面(図示省略)と第6面206iは、Y軸方向において対向しており、第5面(図示省略)が+Y軸方向側、第6面206iが−Y軸方向側に位置する。また、第7面207i及び第8面208iによって、第1面201iと第3面203iとを繋ぐ接続面が形成される。第7面207iは、第1面201iと直角に交わる面である。第7面207iは、Y軸及びZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207iは、第1面201iに対し立設された面である。すなわち、第7面207iは第1面201iから+Z軸方向に延びる面である。また、第7面207iは第8面208iに対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。第8面208iは、第7面207iと第3面203iとを繋ぐ面である。第8面208iは+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208iは、第1面201i及び第3面203iに対して傾斜した面である。第8面208iは、第5面205i及び第6面206iと直角に交わる面である。第8面208iは、XY平面及びYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。
アダプター299は、カートリッジ20jの第1面201、第3面203、第4面204、第5面205、第6面206、第7面207、及び第8面208に相当する面を備えている。そして、カートリッジ20iの第2面202に相当する面は、開口202となっている。アダプター299の内部には、収容部材200iを受け入れる空間が形成されている。また、アダプター200の第1面201には、印刷材供給口280が設けられている。なお、その他の部分については、変形例も含め、第1実施形態のカートリッジ20(図7)と同様に構成される。上記のように、収容部材200iとアダプター299とによってカートリッジ20iを構成しても良い。
図37は、アダプターを使用した他の形態におけるカートリッジ20jの構成を示す斜視図である。このカートリッジ20jは、印刷材収容部200を有する収容部材200jと、アダプター299jとに分離できる。利用者は、収容部200内の印刷材が無くなったら、収容部材200jを新しいものに交換するか、そこに印刷材を補給する。アダプター299jは再利用することができる。このカートリッジ20jは、第1実施形態のカートリッジ20(図7参照)と互換性を有するものである。
カートリッジ20jの外殻22jは、収容部材200jの外殻と、アダプター299jの外殻との組み合わせによって構成される。収容部材200jは、インクを収容する印刷材収容部200と印刷材供給口280とを有している。収容部材200jは、カートリッジ20jの第2面202及び第6面206にそれぞれ相当する第2面202j及び第6面206jを備えている。また、収容部材200jは、カートリッジ20jの第1面201、第3面203、第4面204、及び第5面205、第7面207、及び第8面208にそれぞれ対応する第1面201j、第3面203j、第4面204j、及び第5面(図示省略)、第7面207j、及び第8面208jを備えている。第1面201jと第2面202jは、Z軸方向において対向しており、第1面201jが−Z軸方向側、第2面202jが+Z軸方向側に位置する。第3面203jと第4面204jは、X軸方向において対向しており、第3面203jが+X軸方向側、第4面204jが−X軸方向側に位置する。第5面(図示省略)と第6面206jは、Y軸方向において対向しており、第5面(図示省略)が+Y軸方向側、第6面206jが−Y軸方向側に位置する。また、第7面207j及び第8面208jによって、第1面201jと第3面203jとを繋ぐ接続面が形成される。第7面207jは、第1面201jと直角に交わる面である。第7面207jは、Y軸及びZ軸に平行な面(YZ平面)である。段差面としての第7面207jは、第1面201jに対し立設された面である。すなわち、第7面207jは第1面201jから+Z軸方向に延びる面である。また、第7面207jは第8面208jに対して−X軸方向側かつ−Z軸方向側に位置する。第8面208jは、第7面207jと第3面203jとを繋ぐ面である。第8面208jは+X軸方向と−Z軸方向の成分を含む方向を向いて傾斜した斜面である。第8面208jは、第1面201j及び第3面203jに対して傾斜した面である。第8面208jは、第5面205j及び第6面206jと直角に交わる面である。第8面208jは、XY平面及びYZ平面に対して傾斜しており、XZ平面に対して直角に交わる。
アダプター299jは、カートリッジ20jの第1面201、第3面203、第4面204、及び第5面205に相当する面を備えている。そして、カートリッジ20jの第2面202及び第6面206に相当する面は、開口となっている。アダプター299の内部には、収容部材200iを受け入れる空間が形成されている。また、アダプター200は、第1面201の一部に開口を有する。収容部材200jに設けられた印刷材供給口280は、アダプター299jの第1面201に設けられた開口から露出して、印刷材供給管640(図2等参照)と接続する。なお、第1実施形態(図7参照)と比較して、本実施形態のカートリッジ20jでは、第1のカートリッジ側規制部210の形状が簡略化されているが、第1実施形態と同様の形状としても良い。また、第3面203及び第4面204の高さ(Z軸方向の長さ)は、第1実施形態の第3面203及び第4面204と比較して低く(短く)なっているが、第1実施形態と同じような高さ(長さ)としても良い。さらに、突出部260が省略されているが、第1実施形態と同様に突出部260を設けても良い。なお、その他の部分については、変形例も含め、第1実施形態のカートリッジ20(図7)と同様に構成される。上記のように、収容部材200jとアダプター299jとによってカートリッジ20jを構成しても良い。
図38は、アダプターを使用したさらに他の実施形態におけるカートリッジ20kの構成を示す斜視図である。このカートリッジ20kは、アダプター299kと、外部タンク200Tと、チューブ200Lと、補助アダプター200Sとを備える。アダプター299kは、図37の実施形態で説明したアダプター299jと同様の構成である。外部タンク200Tには、印刷材が収容される。外部タンク200Tは、図1に示すプリンター50の外部に置かれる。補助アダプター200Sは、印刷材供給口280kを備える。チューブ200Lは、外部タンク200Tから補助アダプター200Sへ印刷材を供給する。外部タンク200Tと補助アダプター200Sとチューブ200Lは、インクを収容する収容部材200kとして機能する。つまり図中に点線で示したように、本実施形態のカートリッジ20kは、収容部材200kを有するとみなすことができる。よって、本実施形態のカートリッジ20kも、図36や図37の実施形態におけるカートリッジ20i及び20jと同様、収容部材200kとアダプター299jとに分離できる。利用者は、タンク200T内の印刷材が無くなったら、タンク200Tを新しいものに交換するか、そこに印刷材を補給する。アダプター299kは再利用することができる。このカートリッジ20jは、第1実施形態のカートリッジ20(図7参照)と互換性を有するものである。
カートリッジ20kの外殻22kは、この仮想的な収容部材200kの外殻と、アダプター299kの外殻との組み合わせによって構成される。仮想的な収容部材200kの構成及びアダプター299kの構成は、変形例も含め、図37のカートリッジ20jと同様である。なお、その他の構成については、変形例も含め、第1実施形態のカートリッジ20(図7)と同様に構成される。上記のように、収容部材200kとアダプター299kとによってカートリッジ20kを構成しても良い。
E.レバーの変形例:
上記の実施形態では、レバー80とは別体で弾性部材682を設けていたが(図22)、レバー80自体を弾性変形できる部材としても良い。図39及び図40を用いて、レバーの他の実施形態について説明する。
図39は、レバー80aを説明するための図である。図39(A)は、レバー80aの第1の外観斜視図である。図39(B)は、レバー80aの第2の外観斜視図である。上記第1実施形態のレバー80との違いは腕部890を新たに設け、レバー80aを弾性変形可能にした点である。また、レバー80aは、レバー80と操作部830aの形状が異なる。また、レバー80aは溝部870を備えていない。その他の構成については第1実施形態のレバー(図19)と同一である。レバー80aは、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成される。
図40は、カートリッジ20がホルダー60aに装着された状態を示す図である。なお、本実施形態のカートリッジ20の第1のカートリッジ側規制部210aは、第2の部分214(図12)は省略されている。また、軸部850は第1の装置側側壁部603に取り付けられている。腕部890は、軸部850を中心にレバー80aが回転した際に、第1の装置側側壁部603の一部分である突起部603tに当接し、弾性変形する。
F.カートリッジ側端子群の変形例:
図41は、回路基板の端子形状の変形例を示す図である。これらの基板40c〜40eは、図10(A)に示した基板40と端子431〜439の表面形状が異なるだけである。図41(A),(B)の基板40c,40dは、個々の端子の形状が略長方形ではなく、不規則的な形状を有している。図41(C)の基板40eでは、9つの端子431〜439が一列に配列されており、また、装着検出端子435,439がその両端に配置されている。また、装着検出端子431,434は、それぞれ装着検出端子435と電源端子436との間、装検出端子439とデータ端子438との間に配置されている。これらの基板40c〜40eにおいても、各端子431〜439に対応する装置側端子との接触部cpの配置は、図10(A)の基板400と同じである。このように、個々の端子の表面形状としては、接触部cpの配置が同一である限り、種々の変形が可能である。
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G−1.第1変形例:
上記実施形態では、第4面204に突起の第2のカートリッジ側規制部220を設けていたが特にこれに限定されるものではなく、第4面204側がホルダー60の第2の装置側側壁部604に係止される構成であれば良い。例えば、第4面204の外表面自体を第2の装置側側壁部604に当接させて係止させても良い。また、例えば、第4面204にゴムなどの弾性部材を設け、第2の装置側側壁部604と弾性部材との摩擦によって第4面204側の+Z軸方向側への動きを規制しても良い。この場合、第2の装置側側壁部604の第2の装置側規制部620(図15)は省略できる。
また、第2のカートリッジ側規制部220は突起であったが、これに限定されるものではなく、凹形状であっても良い。この場合、第2の装置側側壁部604の第2の装置側規制部620は突起となる。また、カートリッジ20の第2面202のうち第4面204側を−Z軸方向側へと押し付ける部材をホルダー60に設けても良い。例えば、ホルダー60にスライド可能な棒状部材を設け、カートリッジ20をカートリッジ収容室602に収容した後に、棒状部材によってカートリッジ20の第2面202のうち第4面204側を押さえ付けても良い。
G−2.第2変形例:
上記実施形態では、第1のカートリッジ側係止面211は範囲40Yに位置していたが(図12)、範囲40Yの外側まで延びて配置されていても良い。
G−3.第3変形例:
本発明は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置及びその液体収容容器にも適用することができる。例えば、以下のような各種の液体噴射装置及びその液体収容容器に適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレー等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置
(5)精密ピペットとしての試料噴射装置
(6)潤滑油の噴射装置
(7)樹脂液の噴射装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する液体噴射装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置
なお、「液滴」とは、液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。
G−4.第4変形例:
また、本発明は以下の変形態様としても実施できる。
・第1の変形態様:
印刷材を収容するカートリッジを着脱可能に装着する印刷装置であって、
前記カートリッジを複数配列させて受け入れる凹形状のカートリッジ収容室であって、底面と前記底面に対向する開口とを有するカートリッジ収容室と、
前記底面に配置され、前記カートリッジに接続されて前記カートリッジの前記印刷材を流通させる印刷材供給管と、
前記カートリッジの端子群であるカートリッジ側端子群に接触し、前記カートリッジに対し前記底面側から前記開口側に押上げるように力を加える装置側端子群と、
前記底面側を下側とし、前記開口側を上側とした場合に、前記印刷材供給管に対して前記装置側端子群が位置する側と同じ側で、かつ、前記装置側端子群よりも上側に位置するレバーであって、前記カートリッジの着脱に利用されるレバーと、を備え、
前記レバーは、
前記カートリッジの配列方向に平行な回転軸によって回動するように構成され、
前記レバーは、前記回転軸よりも下側に位置し、前記カートリッジを係止することで前記カートリッジの開口側への動きを規制する第1の装置側係止部であって、前記カートリッジから離れる方向へ移動することで前記係止を解除可能な第1の装置側係止部を有し、
前記第1の装置側係止部と前記カートリッジとの係止位置は、前記回転軸よりも下側で、かつ、前記印刷材供給管側に位置する、印刷装置。
・第2の変形態様:
印刷材を収容するカートリッジを着脱可能に装着する印刷装置であって、
前記カートリッジを収容するカートリッジ収容室であって、カートリッジを着脱する際に通過する開口を有するカートリッジ収容室と、
前記カートリッジ収容室の1つの面である第1面に設けられた印刷材供給管であって、前記カートリッジに接続される印刷材供給管と、
前記カートリッジの端子群に接触し、前記カートリッジを押上げるように力を加える装置側端子群と、
前記カートリッジに対して前記装置側端子群と同じ側で、かつ、前記装置側端子群に比べ前記開口に近い位置に設けられたレバーと、を備え、
前記レバーは、
前記カートリッジの配列方向に平行な回転軸によって回動するように構成され、
前記レバーは、前記カートリッジを係止することで前記カートリッジの動きを規制する第1の装置側係止部であって、前記カートリッジから離れる方向へ移動することで前記係止を解除可能な第1の装置側係止部を有し、
前記第1の装置側係止部と前記カートリッジとの係止位置は、前記回転軸よりも前記装置側端子群側で、かつ、前記印刷材供給管側に位置する、印刷装置。
・第1の変形態様又は第2の変形態様に記載の印刷装置によれば、カートリッジが前記印刷装置に装着された装着状態において、カートリッジがレバーに対し、回転軸を中心として係止が解除される方向とは反対側の方向に回動するように外力を加える。これにより、カートリッジと前記第1の装置側係止部との係止が外れる可能性を低減できる。よって、カートリッジ端子群と装置側端子群との電気的な接続を安定して図ることができる。
上記第1と第2の変形態様に加え、発明を解決するための手段の各適用例に記載の要件を第1と第2の変形態様に加えても良い。