JP2014143773A - ワイヤハーネス - Google Patents

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健一 三谷
Kazunari Sakura
一成 佐倉
Mitsuru Kurita
充 栗田
Kazuhiro Aso
和裕 麻生
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Abstract

【課題】ワイヤハーネスにおいて、電磁シールド機能を有する電線保護部材をより容易に取り付け可能とすること。
【解決手段】電線保護部材2は、合成樹脂の絶縁層31と導電部材の導電層32とを含む積層構造を有する。電線保護部材2の硬質巻き付き部21は、絶縁電線91〜93に巻き付けられた後に硬化した絶縁層31の第一部分311とそれに積層した導電層32の第一部分321とからなる。電線保護部材2の張出部23は、硬質巻き付き部21から側方へ張り出した板状で硬化した絶縁層31の第二部分312と導電層32の第一部分321に連なっており少なくとも一部が露出面をなす導電層32の第二部分322とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁シールド機能を有する電線保護部材を備えるワイヤハーネスに関する。
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスは、電線に取り付けられた硬質の合成樹脂からなる電線保護部材を備える場合がある。
従来の一般的な電線保護部材は、例えば特許文献1に示されるように、電線が挿入される溝を形成する本体部材、及びその本体部材と組み合わされて本体部材における溝の開口を塞ぐ蓋部材により構成されている。
また、ワイヤハーネスにおいて電磁シールドが必要な場合、シールド電線が用いられることがある。例えば、シールド電線は、絶縁電線と、導線(裸電線)からなるドレイン線と、それら絶縁電線及びドレイン線を束ねるシールド被覆とを有する。このシールド被覆は、ドレイン線に接触する内側層をなす金属箔と非導電性の外側層をなす合成樹脂の外皮との積層構造を有する。ドレイン線は、車両の金属フレームなどの基準電位点に接続される。
また、電磁シールドが必要な場合、特許文献2に示されるように、電線の周囲を覆う筒状の編組線が用いられる場合もある。編組線は、金属製の筐体などを介して基準電位点に接続される。
一方、特許文献2に示されるワイヤハーネスは、絶縁電線と、ドレイン線と、それら絶縁電線及びドレイン線を束ねる電線保護部材とを備える。この電線保護部材は、2枚の金属箔と2枚の合成樹脂シートとを有する。
特許文献2に示されるワイヤハーネスにおいて、2枚の金属箔は、絶縁電線及びドレイン線を挟んで重ねられている。さらに、2枚の合成樹脂シートは、真空成形によって2枚の金属箔を覆う形状に成形されている。特許文献2に示されるワイヤハーネスにおいて、ドレイン線は、車両の金属フレームなどの基準電位点に接続される。
実開平6−60236号公報 特開2006−344398号公報 特開2012−164451号公報
従来、電磁シールド機能を備えたワイヤハーネスが車両に取り付けられる場合、電線保護部材を車両に固定する作業が必要となる。さらに、ドレイン線又は編組線などのシールド用の導体を基準電位点に接続する作業も必要となる。
しかしながら、昨今、車両のワイヤハーネスにおいて、電磁シールド機能を有する電線保護部材をより容易に車両に取り付け可能であることが求められている。
本発明は、ワイヤハーネスにおいて、電磁シールド機能を有する電線保護部材をより容易に取り付け可能とすることを目的とする。
本発明の第1態様に係るワイヤハーネスは、絶縁電線と電線保護部材とを備える。上記電線保護部材は、合成樹脂の絶縁層と導電部材の導電層とを含む積層構造を有し、上記絶縁層が外装をなす状態で上記絶縁電線に巻き付けられて上記絶縁電線の周囲を覆う。さらに上記電線保護部材は、硬質巻き付き部と張出部とを有する。上記硬質巻き付き部は、上記絶縁電線に巻き付けられた後に硬化した上記絶縁層の第一部分と該絶縁層の第一部分に積層した上記導電層の第一部分とからなる。上記張出部は、上記絶縁層の第一部分に連なっており上記硬質巻き付き部から側方へ張り出した板状で硬化した上記絶縁層の第二部分と上記導電層の第一部分に連なっており上記絶縁層の第二部分に積層し少なくとも一部が露出面をなす上記導電層の第二部分とからなる。
本発明の第2態様に係るワイヤハーネスは、第1態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第2態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記電線保護部材は、複数の上記絶縁電線を2つ以上のグループに仕切る状態で複数の上記絶縁電線に巻き付けられている。
本発明の第3態様に係るワイヤハーネスは、第1態様又は第2態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第3態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記電線保護部材の上記張出部は、2重以上に折り畳まれた構造を有する。
本発明の第4態様に係るワイヤハーネスは、第1態様から第3態様のいずれかに係るワイヤハーネスの一態様である。第4態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記電線保護部材における上記絶縁層は合成樹脂の不織布からなり、上記絶縁層の第一部分及び第二部分は、上記不織布が加熱成形により硬化した部分である。
上記の各態様に係るワイヤハーネスにおいて、電線保護部材は、絶縁電線に巻き付けられた状態で硬化した硬質巻き付き部と、その硬質巻き付き部から側方へ張り出した張出部と、を有する。そして、電線保護部材は、絶縁層と導電層とを含む積層構造を有する。
従って、電線保護部材における絶縁電線に巻き付けられた部分(硬質巻き付き部を含む)は、絶縁電線を保護するとともに電磁シールド機能を果たす。そして、後述するように、張出部が基準電位点となる導電性の支持体に固定されるだけで、電磁シールド機能を有する電線保護部材の取り付けが完了する。なお、導電性の支持体は、例えば、車両の金属フレームなどである。
即ち、張出部が導電性の支持体に固定されるだけで、張出部及びそれに連なる硬質巻き付き部が支持体に固定され、その結果、電線保護部材全体が支持体に固定される。当時に、電線保護部材の導電層における絶縁電線を覆う部分が、張出部における導電層(第二部分)の露出面を通じて基準電位点に電気的に接続される。
以上に示されるように、上記の各態様に係るワイヤハーネスが採用されれば、電磁シールド機能を有する電線保護部材の取り付けが容易となる。即ち、電線保護部材を固定する作業と、絶縁電線を覆う導電部材(シールド部材)を基準電位点に接続する作業とを個別に行う必要がない。
ところで、従来、複数の絶縁電線の電磁シールドが、2つ以上のグループごとに個別に施される場合、電磁シールド機能を有する電線保護部材が、絶縁電線のグループごとに設けられる。そのため、絶縁電線のグループの数に比例して、電線保護部材の取り付けに要する工数が増大する。
一方、上記の第2態様において、一連の電線保護部材が、複数の絶縁電線を2つ以上のグループに仕切る状態で複数の絶縁電線に巻き付けられた構造を有する。この場合、絶縁電線のグループの数に関わらず、電線保護部材の取り付けに要する工数は増大しない。即ち、絶縁電線のグループの数に関わらず、電線保護部材の取り付けは容易である。
また、上記の第3態様において、電線保護部材の張出部は、2重以上に折り畳まれた構造を有する。この場合、張出部における絶縁層(第二部分)の厚みが大きくなり、張出部の強度が増す。その結果、電線保護部材を支持体に対して強固に固定することが可能となる。
また、上記の第4態様において、合成樹脂の不織布が電線保護部材の絶縁層として採用されている。この場合、不織布の緩衝性により、電線保護部材が周囲の物と接触して異音を発することを防止できる。
さらに、合成樹脂の不織布が絶縁層として採用される場合、絶縁層の一部のみを硬化させることができ、また、絶縁層を部分ごとに異なる硬さで硬化させることもできる。そのため、要求仕様に応じて部分ごとに異なる硬さの電線保護部材を容易に提供することができる。例えば、電線保護部材における硬質巻き付き部及び張出部以外の特定の部分を曲げやすい柔らかな状態にすることなどが可能である。
本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネス1の斜視図である。 ワイヤハーネス1の正面図である。 ワイヤハーネス1の分解平面図である。 直線に沿って取り付けられたワイヤハーネス1の平面図である。 曲線に沿って取り付けられたワイヤハーネス1の平面図である。 本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネス1Aの斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るワイヤハーネス1Bの平面図である。 本発明の第4実施形態に係るワイヤハーネス1Cの正面図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。以下に示される各実施形態に係るワイヤハーネスは、電線の保護と電磁シールドとが必要な場合に採用され、車両に取り付けられる。
<第1実施形態>
まず、図1〜3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネス1の構成について説明する。ワイヤハーネス1は、複数の絶縁電線を含む電線群90とそれら電線群90の周囲を囲む電線保護部材2とを備えている。
<電線群>
電線群90を構成する絶縁電線91〜93は、導電材料からなる芯線と、芯線の周囲を覆う非導電材料からなる絶縁被覆とにより構成されている。本実施形態における電線群90は、それぞれ電磁シールドの要求仕様が異なる第一絶縁電線91、第二絶縁電線92及び第三絶縁電線93の3種類に分類される。
図1〜3に示される例では、第一絶縁電線91、第二絶縁電線92及び第三絶縁電線93は、それぞれ複数の絶縁電線を含む。しかしながら、第一絶縁電線91、第二絶縁電線92及び第三絶縁電線93のうちの少なくとも1つが、1本の絶縁電線で構成されることも考えられる。
図1,3に示される例では、金属端子81が、第一絶縁電線91及び第二絶縁電線92各々の端部に接続されている。また、コネクタ82が、第三絶縁電線93の端部に接続されている。
第一絶縁電線91は、例えば、高電圧の交流電力系の絶縁電線である。第一絶縁電線91は、他の2種類の絶縁電線に対するノイズ源となりやすい。そのため、第一絶縁電線91は、他の2種類の絶縁電線との間で電磁敵に遮蔽されることが望ましい。
第二絶縁電線92は、例えば、第一絶縁電線91の伝送電力よりは低電圧の交流電力を伝送する動力系の絶縁電線である。第二絶縁電線92は、第一絶縁電線91からノイズを受けやすく、第三絶縁電線93に対するノイズ源となりやすい。そのため、第二絶縁電線92は、他の2種類の絶縁電線との間で電磁敵に遮蔽されることが望ましい。
第三絶縁電線93は、例えば、オーディオ機器の信号を伝送する信号系の絶縁電線である。第三絶縁電線93は、他の2種類の絶縁電線からノイズの影響を受けやすい。そのため、第三絶縁電線93は、他の2種類の絶縁電線との間で電磁敵に遮蔽されることが望ましい。
<電線保護部材>
電線保護部材2は、その元となるシート材3が電線群90に巻き付けられた後に所定の硬化処理が施されることによって得られる。シート材3は、合成樹脂の絶縁層31と導電部材の導電層32とを含む積層構造を有する。従って、電線保護部材2も、合成樹脂の絶縁層31と導電部材の導電層32とを含む積層構造を有する。そして、電線保護部材2は、絶縁層31が外装をなす状態で電線群90に巻き付けられて電線群90の周囲を覆っている。
図3に示されるように、シート材3は、矩形状の基部301と、基部301から側方に延び出た舌片部302とを有する。基部301は、絶縁電線91〜93に巻き付けられる部分である。一方、舌片部302は、絶縁電線91〜93に巻き付けられない部分である。
シート材3の絶縁層31は、元々は柔軟性を有するシート状であるが、所定の硬化処理を施すことによって硬化する。本実施形態における絶縁層31は、合成樹脂の不織布である。
ここで、不織布について説明する。絶縁層31として採用される不織布は、例えば、絡み合う基本繊維とバインダと称される接着樹脂とを含む。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点(例えば、約110[℃]から約150[℃]の融点)を有する熱可塑性樹脂である。このような不織布は、基本繊維の融点よりも低く、かつ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱されることにより、接着樹脂が溶融して基本繊維の隙間に溶け込む。その後、不織布の温度が、接着樹脂の融点よりも低い温度まで下がると、接着樹脂は、周囲に存在する基本繊維を結合した状態で硬化する。これにより、不織布の形状は、加熱前の状態よりも硬くなり、加熱時に型枠によって成形された形状で維持される。
接着樹脂は、例えば、粒状の樹脂又は繊維状の樹脂などである。また、接着樹脂は、芯繊維の周囲を覆うように形成されることも考えられる。このように、芯繊維が接着樹脂で被覆された構造を有する繊維は、バインダ繊維などと称される。芯繊維の材料は、例えば、基本繊維と同じ材料が採用される。
また、基本繊維は、接着樹脂の融点において繊維状態が維持されればよく、樹脂繊維の他、各種の繊維が採用され得る。また、接着樹脂は、例えば、基本繊維の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂繊維が採用される。不織布を構成する基本繊維と接着樹脂との組合せとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)を主成分とする樹脂繊維が基本繊維として採用され、PET及びPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂が接着樹脂として採用されることが考えられる。そのような不織布において、基本繊維の融点は概ね250[℃]であり、接着樹脂の融点は約110[℃]から約150[℃]の間の温度である。
接着樹脂を含む不織布は、熱可塑性樹脂を含む他の部材と密着した状態で加熱されることにより、加熱された部分が他の部材に溶着する。
また、不織布は、ホットプレス成形により成形可能である。ホットプレス成形は、加工対象である不織布を金型などの加熱体の間に挟み込んで加圧しつつ、その不織布を加熱することにより、不織布を加熱体の内面形状に成形することである。
不織布は、ホットプレス成形において、型枠内で約110[℃]から約250[℃]までの範囲内の温度に加熱された後に冷却されると、接着樹脂が溶融して周囲の基本繊維を結合するため、型枠の内面に沿う形状に成形され、加熱体に接触した面が硬化する。
不織布がホットプレス成形によって硬化した部材は、その部材自体ある程度の可撓性を有しているが、ホットプレス成形が施される前の不織布に比べ、一定の形状を保持する硬さが強化される。なお、ホットプレス成形は、加熱成形の一例である。
また、シート材3の導電層32は、柔軟性を有する導電体からなる。例えば、導電層32は、アルミニウム箔などの金属箔である。また、導電層32が金属布などであることも考えられる。
便宜上、図2において、導電層32が、比較的大きな厚みで誇張して描かれている。しかしながら、通常、絶縁層31と導電層32との厚みの差は、図2から把握される厚みの差よりも大きい。
金属布は、金属糸の織物である。金属布は、例えば銅を主成分とする金属の糸が縦方向及び横方向に交差して織られた網目構造を有する生地である。金属布は、導電性及び柔軟性を有する。なお、金属布は、金属糸の生地に樹脂材料からなる柔軟性を有するフィルムが貼り付けられた構造を有する場合もある。
シート材3において、絶縁層31及び導電層32は重なった状態で接合されている。例えば、絶縁層31及び導電層32が、接着剤で接着されていることが考えられる。この場合、接着層が、絶縁層31と導電層32との間に形成されている。また、絶縁層31及び導電層32が、絶縁層31の溶着によって接合されていることも考えられる。なお、以下の説明において、接着層の説明は省略されている。
電線保護部材2は、巻き付き部20と張出部23とを有する。巻き付き部20は、電線群90に巻き付けられた部分である。本実施形態における巻き付き部20は、硬質巻き付き部21と軟質巻き付き部22とを含む。
<電線保護部材の巻き付き部>
巻き付き部20は、絶縁電線91〜93の延伸方向に沿う一辺30が他の部分よりも内側に位置する状態で絶縁電線91〜93に巻き付けられている。シート材3の基部301が、絶縁電線91〜93に巻き付けられることによって巻き付き部20となる。
図2に示されるように、本実施形態の巻き付き部20は、複数の絶縁電線91〜93を2つ以上のグループに仕切る状態で電線群90に巻き付けられている。図2に示される例では、巻き付き部20は、電線群90を第一絶縁電線91、第二絶縁電線92及び第三絶縁電線93の3つのグループに仕切る状態で電線群90に巻き付けられている。
即ち、シート材3の基部301における一辺30からの第一部分領域が、第一絶縁電線91に巻き付けられている。また、基部301における第一部分領域に連なる第二部分領域が、第一部分領域の外側において第二絶縁電線92に巻き付けられている。さらに、基部301における第二部分領域に連なる第三部分領域が、第二部分領域の外側において第三絶縁電線93に巻き付けられている。これにより、第一絶縁電線91、第二絶縁電線92及び第三絶縁電線93は、巻き付き部20によって仕切られる。
そして、硬質巻き付き部21は、絶縁電線91〜93に巻き付けられた後に硬化した絶縁層31の第一部分311と、その絶縁層31の第一部分311に積層した導電層32の第一部分321とからなる。一方、軟質巻き付き部22は、硬化していない、或いは少なくとも硬質巻き付き部21よりも柔軟性の高い状態で硬化した部分である。
絶縁層31が不織布である場合、例えば、金型を用いた加熱成形(ホットプレス成形)が行われた部分が硬質巻き付き部21となり、そうでない部分が軟質巻き付き部22となる。或いは、より高い圧力で圧縮されつつ加熱成形(ホットプレス成形)された部分が硬質巻き付き部21となり、それより低い圧力で圧縮されつつ加熱成形された部分が軟質巻き付き部22となる。従って、軟質巻き付き部22は硬質巻き付き部21よりも太い。
巻き付き部20の絶縁層31は、巻き付き部20の外装を形成している。即ち、巻き付き部20において、導電層32は絶縁電線91〜93に対向する側の面を形成しており、絶縁層31はその反対側の面を形成している。なお、巻き付き部20の絶縁層31には、絶縁層31の第一部分311が含まれる。
図1に示される例では、硬質巻き付き部21は、電線保護部材2における絶縁電線91〜93の延伸方向の両端部の2箇所に形成されている。そのため、巻き付き部20は、粘着テープ又は結束ベルトなどの結束材によって結束されていなくても、電線群90に巻き付いた状態で保持される。
なお、硬質巻き付き部21が、電線保護部材2の3箇所以上に設けられることも考えられる。また、硬質巻き付き部21が、電線保護部材2の1箇所にのみ設けられることも考えられる。但し、この場合、軟質巻き付き部22が、粘着テープ又は結束ベルトなどの結束材によって結束されることが望ましい。
<電線保護部材の張出部>
一方、張出部23は、絶縁層31の第一部分311に連なった絶縁層31の第二部分312と、その絶縁層31の第二部分312に積層した導電層32の第二部分322とからなる。
絶縁層31の第二部分312は、硬質巻き付き部21から側方へ張り出した板状で硬化している。また、導電層32の第二部分322は、導電層32の第一部分321に連なっている。シート材3の舌片部302が張出部23となる。
本実施形態においては、絶縁層31が不織布であるため、張出部23を構成する絶縁層31の第二部分312は、不織布が加熱成形(ホットプレス成形)により板状に硬化した部分である。
また、導電層32の第二部分322は、張出部23の両面のうちの少なくとも一方をなしている。即ち、導電層32の第二部分322は、張出部23の表裏両面のうちの少なくとも一方において露出面をなしている。
また、本実施形態における張出部23は、2重以上に折り畳まれた構造を有する。図2に示される例では、張出部23は、導電層32の第二部分322が外側面をなす状態で2重に折り畳まれた構造を有する。この場合、導電層32の第二部分322は、張出部23の表裏両側において露出面をなす。
また、図1,2に示される例では、固定用の孔231が張出部23に形成されている。張出部23は、孔231に通された金属製のネジなどの導電性の固定具によって支持体に固定される。固定先の支持体は、筐体接地の基準電位点であり、例えば、車両の金属フレームなどである。
図1に示される例では、張出部23は、電線保護部材2における絶縁電線91〜93の延伸方向の両端部の2箇所に形成されている。なお、張出部23が、電線保護部材2の3箇所以上に設けられることも考えられる。
また、一連の硬質巻き付き部21と1つの張出部23とが必ずしも1対1に対応している必要はない。例えば、複数の張出部23が、一連の硬質巻き付き部21に連なって形成されることが考えられる。また、硬質巻き付き部21が、複数箇所に別れて設けられている場合、1つ又は複数の張出部23が、複数箇所の硬質巻き付き部21のうちの一部にのみ形成されることも考えられる。
<ワイヤハーネスの取り付け態様>
次に、図4,5を参照しつつ、ワイヤハーネス1の取り付け態様の2つの例について説明する。図4は、直線に沿って取り付けられたワイヤハーネス1の平面図である。図5は、曲線に沿って取り付けられたワイヤハーネス1の平面図である。
図4,5に示される例では、電線保護部材2における2つの張出部23各々が、金属製のネジ6(ボルト)によって支持体7に固定されている。図4に示される例では、2つの張出部23は、電線保護部材2の巻き付き部20を直線に沿う状態に保持する位置に固定されている。
一方、図5に示される例では、2つの張出部23は、電線保護部材2の軟質巻き付き部22を曲線に沿う状態に保持する位置に固定されている。ワイヤハーネス1の電線保護部材2は、柔軟性を有する軟質巻き付き部22を有している。そのため、図5に示されるように、ワイヤハーネス1を曲線に沿う状態に固定することも可能である。
<第2実施形態>
次に、図6を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネス1Aについて説明する。図6は、ワイヤハーネス1Aの斜視図である。
ワイヤハーネス1Aは、図1〜5に示されたワイヤハーネス1と比較して、軟質巻き付き部22を有していない点のみが異なっている。図6において、図1〜5に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、ワイヤハーネス1Aにおけるワイヤハーネス1と異なる点についてのみ説明する。
ワイヤハーネス1Aも、ワイヤハーネス1と同様に、電線群90と電線群90の周囲を囲む電線保護部材2Aとを備えている。さらに、電線保護部材2Aは、電線群90に巻き付けられた巻き付き部20Aと巻き付き部20Aからその側方へ張り出した張出部23とを備えている。
また、電線保護部材2Aの巻き付き部20Aは、電線保護部材2の巻き付き部20と同様に、電線群90を第一絶縁電線91、第二絶縁電線92及び第三絶縁電線93の3つのグループに仕切る状態で電線群90に巻き付けられている。
しかしながら、電線保護部材2Aの巻き付き部20Aは、全体が硬質巻き付き部21である。この場合、電線保護部材2Aの絶縁層31が不織布であることも考えられるが、絶縁層31が不織布以外の部材からなることも考えられる。
例えば、電線保護部材2Aの絶縁層31が、紫外線硬化樹脂のシート部材が硬化して得られた硬質な部材であることが考えられる。また、電線保護部材2Aの絶縁層31が、湿気硬化樹脂のシート部材が硬化して得られた硬質な部材であることも考えられる。また、電線保護部材2Aの絶縁層31が、熱硬化樹脂のシート部材が硬化して得られた硬質な部材であることも考えられる。
紫外線硬化樹脂は、各種考えられるが、例えば、アクリルレート、不飽和ポリエステル、エポキシ、オキセタン又はビニルエーテルなどを主成分とする樹脂である。また、湿気硬化樹脂は、例えば、一液湿気硬化型ポリウレタン樹脂などである。
電線保護部材2Aの巻き付き部20Aは、それ自体が電線群90を予め定められた経路に沿う形状に保持する機能を有している。図6に示される例では、電線保護部材2Aの巻き付き部20Aは直線に沿って形成されている。
<第3実施形態>
次に、図7を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係るワイヤハーネス1Bについて説明する。図7は、ワイヤハーネス1Bの平面図である。
ワイヤハーネス1Bは、図6に示されたワイヤハーネス1Aと比較して、巻き付き部の形状のみが異なっている。図7において、図1〜6に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、ワイヤハーネス1Bにおけるワイヤハーネス1Aと異なる点についてのみ説明する。
ワイヤハーネス1Bも、ワイヤハーネス1Aと同様に、電線群90と電線群90の周囲を囲む電線保護部材2Bとを備えている。さらに、電線保護部材2Bは、電線群90に巻き付けられた巻き付き部20Bと、巻き付き部20Bの硬質巻き付き部21からその側方へ張り出した張出部23と、を備えている。
さらに、電線保護部材2Bの巻き付き部20Bは、電線保護部材2Aの巻き付き部20Aと同様に、全体が硬質巻き付き部21である。しかしながら、電線保護部材2Bの巻き付き部20Bは、曲線に沿う形状で形成されている。
巻き付き部20Bは、シート材3における電線群90に巻き付けられた基部301が、予め定められた曲がった形状に保持された状態で、所定の硬化処理を施されることによって得られる。電線保護部材2Bの巻き付き部20Bは、それ自体が電線群90を曲線経路に沿う形状に保持する機能を有している。
<第4実施形態>
次に、図8を参照しつつ、本発明の第4実施形態に係るワイヤハーネス1Cについて説明する。図8は、ワイヤハーネス1Cの正面図である。
ワイヤハーネス1Cは、図6に示されたワイヤハーネス1Aと比較して、巻き付き部の構造のみが異なっている。図8において、図1〜7に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、ワイヤハーネス1Cにおけるワイヤハーネス1Aと異なる点についてのみ説明する。
ワイヤハーネス1Cも、ワイヤハーネス1,1Aと同様に、電線群90と電線群90の周囲を囲む電線保護部材2Cとを備えている。さらに、電線保護部材2Cは、電線群90に巻き付けられた巻き付き部20Cと、巻き付き部20Cの硬質巻き付き部21からその側方へ張り出した張出部23と、を備えている。
しかしながら、電線保護部材2Cの巻き付き部20Cは、複数の絶縁電線を一括して束ねる状態で電線群90に巻き付けられている。このような巻き付き部20Cを有する電線保護部材2Cが採用されることも考えられる。
<効果>
ワイヤハーネス1,1A,1B,1Cにおいて、電線保護部材2,2A,2B,2Cは、電線群90(絶縁電線)に巻き付けられた状態で硬化した硬質巻き付き部21と、その硬質巻き付き部21から側方へ張り出した張出部23と、を有する。そして、電線保護部材2,2A,2B,2Cは、絶縁層31と導電層32とを含む積層構造を有する。
従って、電線保護部材2,2A,2B,2Cにおける巻き付き部20,20A,20B,20Cは、電線群90を保護するとともに電磁シールド機能を果たす。そして、図4,5に示される、張出部23が基準電位点となる導電性の支持体7に固定されるだけで、電磁シールド機能を有する電線保護部材2,2A,2B,2Cの取り付けが完了する。
即ち、張出部23が導電性の支持体7に固定されるだけで、張出部23及びそれに連なる硬質巻き付き部21が支持体に固定され、その結果、電線保護部材2,2A,2B,2C全体が支持体7に固定される。当時に、電線群90を覆う導電層32の第一部分321が、張出部23における導電層32の第二部分322の露出面を通じて基準電位点(支持体7)に電気的に接続される。
また、巻き付き部20,20A,20B,20Cにおける張出部23と連なる部分が、硬化処理によって硬化した硬質巻き付き部21である。そのため、張出部23が固定されるだけで、電線保護部材2,2A,2B,2C全体がぐらつくことなくしっかりと固定される。
以上に示されるように、ワイヤハーネス1,1A,1B,1Cが採用されれば、電磁シールド機能を有する電線保護部材2,2A,2B,2Cの取り付けが容易となる。即ち、電線保護部材2,2A,2B,2Cを固定する作業と、電線群90を覆う導電部材(シールド部材)を基準電位点に接続する作業とを個別に行う必要がない。
また、ワイヤハーネス1,1A,1Bにおいて、一連の電線保護部材2,2A,2Bが、電線群90を2つ以上の絶縁電線のグループに仕切る状態で電線群90に巻き付けられた構造を有する。この場合、絶縁電線のグループの数に関わらず、電線保護部材2,2A,2Bの取り付けに要する工数は増大しない。即ち、絶縁電線のグループの数に関わらず、電線保護部材2,2A,2Bの取り付けは容易である。
また、ワイヤハーネス1,1A,1B,1Cにおいて、電線保護部材2,2A,2B,2Cの張出部23は、2重以上に折り畳まれた構造を有する。この場合、張出部23における絶縁層31の第二部分312の厚みが大きくなり、張出部23の強度が増す。その結果、電線保護部材2,2A,2B,2Cを支持体7に対して強固に固定することが可能となる。
また、ワイヤハーネス1において、合成樹脂の不織布が電線保護部材2の絶縁層31として採用されている。この場合、不織布の緩衝性により、電線保護部材2が周囲の物と接触して異音を発することを防止できる。
さらに、合成樹脂の不織布が絶縁層31として採用される場合、絶縁層31の一部のみを硬化させることができ、また、絶縁層31を部分ごとに異なる硬さで硬化させることもできる。そのため、要求仕様に応じて部分ごとに異なる硬さの電線保護部材2を容易に提供することができる。
例えば、電線保護部材2における硬質巻き付き部21及び張出部23以外の特定の部分を曲げやすい柔らかな状態にすることなどが可能である。その結果、図4,5に示されるように、ワイヤハーネス1を多様な経路に沿う状態で取り付けることが可能となる。
また、多少の寸法誤差は、軟質巻き付き部22の変形によって許容される。この点も、電線保護部材2の取り付けの容易性に寄与する。
<その他>
ワイヤハーネス1,1A,1B,1Cにおいて、張出部23は、2重以上に折り畳まれた構造を有する。しかしながら、張出部23が折り畳まれた構造を有さないことも考えられる。
なお、本発明に係るワイヤハーネスは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態を自由に組み合わせること、或いは各実施形態を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
1,1A,1B,1C ワイヤハーネス
2,2A,2B,2C 電線保護部材
3 シート材
6 ネジ
7 支持体
20,20A,20B,20C 巻き付き部
21 硬質巻き付き部
22 軟質巻き付き部
23 張出部
30 電線保護部材(シート材)の一辺
31 絶縁層
32 導電層
81 金属端子
82 コネクタ
90 電線群
91 第一絶縁電線
92 第二絶縁電線
93 第三絶縁電線
231 孔
301 基部
302 舌片部
311 第一部分
312 第二部分
321 第一部分
322 第二部分

Claims (4)

  1. 絶縁電線と、
    合成樹脂の絶縁層と導電部材の導電層とを含む積層構造を有し、前記絶縁層が外装をなす状態で前記絶縁電線に巻き付けられて前記絶縁電線の周囲を覆う電線保護部材と、を備え、
    前記電線保護部材は、
    前記絶縁電線に巻き付けられた後に硬化した前記絶縁層の第一部分と該絶縁層の第一部分に積層した前記導電層の第一部分とからなる硬質巻き付き部と、
    前記絶縁層の第一部分に連なっており前記硬質巻き付き部から側方へ張り出した板状で硬化した前記絶縁層の第二部分と前記導電層の第一部分に連なっており前記絶縁層の第二部分に積層し少なくとも一部が露出面をなす前記導電層の第二部分とからなる張出部と、を有する、ワイヤハーネス。
  2. 請求項1に記載のワイヤハーネスであって、
    前記電線保護部材は、複数の前記絶縁電線を2つ以上のグループに仕切る状態で複数の前記絶縁電線に巻き付けられている、ワイヤハーネス。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスであって、
    前記電線保護部材の前記張出部は、2重以上に折り畳まれた構造を有する、ワイヤハーネス。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤハーネスであって、
    前記電線保護部材における前記絶縁層は合成樹脂の不織布からなり、前記絶縁層の第一部分及び第二部分は、前記不織布が加熱成形により硬化した部分である、ワイヤハーネス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018030233A1 (ja) * 2016-08-09 2018-02-15 株式会社オートネットワーク技術研究所 ワイヤーハーネス

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