JP2012115019A - ワイヤハーネス - Google Patents

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Tomohiro Shimada
友宏 嶋田
Yukihiro Shirafuji
幸裕 白藤
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Abstract

【課題】保護部材が装着された部分の電線からアース線を容易に引き出すことが可能なワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス1は、電線束3とアース機構8との周囲を、不織材料40を加熱プレスすることによって構成された保護部材10が覆っている。アース機構8は、コネクタ5とバスバー6とで構成されており、電線束3が含むアース線21とバスバー6の一端とがコネクタ5で接続されている。バスバー6の他端は車体に対して接続可能な車体接続部64を備えている。車体接続部64を介して、ネジ止めされることにより、ワイヤハーネス1と車体とが接続される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワイヤハーネスに関する。
自動車に代表される車両にはモータ、ファン、それらの制御を行う電子制御ユニット、各種センサ、スイッチなどの様々な電装機器が搭載されている。これらの各電装機器を電気的に接続するために、電線で構成されたワイヤハーネスが車両の各部に配設されている。ワイヤハーネスに関しては、設置対象部位の周囲の部材との接触から部分的に電線を保護することが求められることがある。
又、ワイヤハーネスを構成する電線はアース線を含んでいる場合がある。アース線の一端が車体と電気的に接続されることで、アース線の他端が接続された電装機器等がアースされる。
保護部材が電線に取り付けられたワイヤハーネスのアース接続構造が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、断面凹形状のケースと、ケースの開口を閉鎖する蓋とを備えたプロテクタが開示されている。そして、ケース内にワイヤハーネスを構成する幹線を収容するとともに、支線のみをケースから引出した状態で、蓋をケースに被せてロック係止している。
特開2002−010438号公報
ところで、プロテクタ取付部分に近い位置で支線をアース接続しようとする場合、仮に、樹脂の金型成型品に、支線を引出すための構造を成型しようとすると、金型構造が複雑になってしまう。
そこで、特許文献1に記載のワイヤハーネスのように、支線を、幹線のうちプロテクタが取り付けられていない部分で分岐させることを前提とすると、支線を、幹線のうちプロテクタが取り付けられていない部分で分岐させて長寸に亘って取り回す必要がある。そうすると、支線の取り回し作業等が面倒となる。あるいは、本来ならば、プロテクタが幹線の広い範囲を一括して覆うことができる場合であっても、プロテクタを分割して幹線に取り付け、分割されたプロテクタ間で支線を分岐させることも考えられる。しかしながら、この場合、プロテクタが設けられていない部分の幹線は保護されないこととなる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、保護部材が装着された部分の電線からアース線を容易に引き出すことが可能なワイヤハーネスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明に係るワイヤハーネスは、アース線を含む複数の電線と、不織材料を加熱プレスすることによって構成され、前記複数の電線を覆う保護部材と、車体接続部を有し、前記アース線が前記保護部材の内側で接続されると共に前記車体接続部を車体に対して接続可能な位置に配設した状態で、前記保護部材と一体化されている、アース機構と、を備える。
第2の発明に係るワイヤハーネスは、第1の発明に係るワイヤハーネスであって、前記保護部材は、前記不織材料が前記電線を覆った状態で前記不織材料の少なくとも一部分と他の少なくとも一部分とを加熱プレスによって接合することにより構成され、前記アース機構の少なくとも一部が、前記不織材料のうち加熱プレスによって接合された部分間に挟み込まれている。
第3の発明に係るワイヤハーネスは、第1又は第2の発明に係るワイヤハーネスであって、前記アース機構が金属板状のバスバーを含む。
第4の発明に係るワイヤハーネスは、第1ないし第3の発明に係るワイヤハーネスであって、前記電線は複数の前記アース線を有しており、前記アース機構が、一端に前記車体接続部を有する導電性部材と、前記導電性部材の他端が接続される導電性部材接続部と前記複数のアース線が接続される電線接続部とを有するコネクタと、を備え、前記複数のアース線を前記導電性部材に共通接続するように構成されている。
第5の発明に係るワイヤハーネスは、第4の発明に係るワイヤハーネスであって、前記導電性部材の他端部は、複数に分岐する分岐端部を有し、前記複数の分岐端部がそれぞれ前記導電性部材接続部に接続されることで、前記コネクタ内で、前記複数の分岐端部がそれぞれ、前記電線接続部に接続された前記複数のアース線の先端に設けられた端子に接続される。
第1の発明によれば、アース機構は、アース線が保護部材の内側で接続されると共に車体接続部を車体に対して接続可能な位置に配設した状態で、保護部材と一体化されている。つまり、保護部材が装着された部分の電線からアース線を容易に引き出すことが可能である。
第2の発明によれば、前記アース機構の少なくとも一部が、前記不織材料のうち加熱プレスによって接合された部分間に挟込まれているため、アース機構を保護部材の内側から外側に、より容易に引出すことができる。
第3の発明によれば、アース機構が金属板状のバスバーを含むため、保護部材内部でアース機構の位置決めを行い易い。
第4の発明によれば、アース機構は、コネクタと導電性部材とを備えている。コネクタで、電線接続部に接続された複数のアース線は導電性部材接続部に接続された導電性部材に共通接続されている。このため、複数のアース線各々がアース接続のために車体に接続される手間を省くことができる。
第5の発明によれば、導電性部材の他端部が電線接続部に接続された複数のアース線の先端に設けられた端子に接続されるため、比較的少ない部品点数で複数のアース線をバスバーに共通接続して、アース接続できる。
第1の実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。 接続前のアース線、コネクタ、バスバーの斜視図である。 接続前のアース線、コネクタ、バスバーの側面図である。 接続後のアース線、コネクタ、バスバーの側面図である。 加熱プレス装置の側面図である。 第2の実施形態に係るワイヤハーネスが備えるアース線、コネクタ、バスバーの側面図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<1.第1の実施形態>
図1に示される第1の実施形態に係るワイヤハーネス1は、電線束3と、不織材料40で構成された保護部材10と、アース機構8であるコネクタ5及び導電性部材を備える。
最初に、電線束3について説明する。図1に示されるように、電線束3は複数の電線2が束ねられた構造である。電線2は、線状の導体である心線に、樹脂などの絶縁体で構成された絶縁被覆による被覆が施された構造である。このような電線2の両端に、接続端子が取り付けられている。電線2に取り付けられた接続端子がコネクタ5等を介して各電装機器に接続されることによって、ワイヤハーネス1が各電装機器と接続される。電線束3に用いられる電線2の形態は、断面が円形状、またはフラットケーブルなどの他の形態も考えられる。また、他の光ケーブルが電線2に沿って配設されていてもよい。
このような電線束3にアース線21が含まれている。アース線21は、接続された電装機器等の接地に用いられる電線である。電線束3は、アース線21を単数、又は複数含んでいてよいが、本実施形態では、複数のアース線21が含まれているものとする。
図2〜4を用いて、アース機構8であるコネクタ5、及び導電性部材であるバスバー6の接続について説明する。なお、図2では、保護部材10の縁部43の部分を2点鎖線で表している。
コネクタ5は、例えば樹脂材料などで構成された四角柱状の形状をしている。コネクタ5の一端部には、複数のアース線21が接続される電線接続部51が設けられている。電線接続部51は、アース線21の先端に取付けられたアース線端子22を挿入接続可能に構成されている。より具体的には、電線接続部51は、挿入接続されたアース線端子22を一定位置で保持可能な電線接続口51aを有している。ここでは、接続対象として複数のアース線21を想定しているため、電線接続部51は、並列状に配設された複数の電線接続口51aを有している。なお、アース線端子22としては、先端部に筒部を有するメス端子等を用いるとよい。複数の電線接続口51aは、挿入接続された複数のアース線端子22を並列状態で保持できるように、アース線端子22毎に区切られている。もっとも、各アース線端子22は相互に接触していてもよいため、各端子収容室が完全に壁等によって区切られている必要はない。また、電線接続口51aは、挿入接続された複数のアース線端子22をその挿入方向に位置決めするため、アース線端子22と係止可能な凹凸構造を有しているとよい。例えば、端子収容室の内側に向って延出する爪部(ランスとも呼ばれる)が形成され、アース線端子22が挿入接続されると当該爪部がアース線端子22に係止する構成とすればよい。もっとも、電線接続口51aが1つだけ設けられた構成であってもよい。
コネクタ5のうち電線接続部51が設けられた一端部と反対側の他端部には、導電性部材接続部である導電性部材接続部52が設けられている。導電性部材接続部52は、後述するバスバー6の他端部を挿入接続可能に構成されている。ここでは、バスバー6の他端部は、分岐する複数の分岐端部61bを有しているため、導電性部材接続口52aは、当該各分岐端部61bに対応して複数の導電性部材接続口52aを有している。
各導電性部材接続口52aは、上記各電線接続口51aにも対応して設けられている。より具体的には、各導電性部材接続口52aは、対応する電線接続口51aの奥側延長上に形成され、導電性部材接続口52aとこれに対応する電線接続口51aとは互いに連通している。このため、分岐端部61bを導電性部材接続口52aに挿入接続すると、分岐端部61bの先端部が電線接続口51a内にも達する。これにより、電線接続口51a内で、アース線端子22と分岐端部61bとを相互に機械的、電気的に接続できるようになる。なお、導電性部材接続口52aは単数設けられた構造であっても構わない。
本実施の形態では、導電性部材が、単数の、金属製の板状部材であるバスバー6で構成されている。バスバー6は、鉄、又は銅などの金属で構成され、より具体的には、金属板を打抜き、屈曲加工等することによって形成された部材である。図2に示されるように、本実施形態に係るバスバー6は、一端から他端に向けて、車体接続部64、中継配線部63、分岐部61を有する。
分岐部61は、バスバー6の一端に設けられた分岐構造であり、より具体的には、分岐基部61aから複数の分岐端部61bが分岐する構成とされている。各分岐端部61bは、分岐基部61aから上記導電性部材接続口52aに対応する間隔で並列状に延出しており、各分岐端部61bを対応する各導電性部材接続口52aに一括して挿入できるようになっている。
また、分岐基部61aは、上記各分岐端部61bの基端部に設けられている。そして、各分岐端部61bは、本分岐基部61aにて共通する単一の導電路にまとめられて、アース接地されることになる。換言すれば、バスバー6の一端は分岐構造であるため、各アース線21を流れてきた電流は、バスバー6の各分岐端部61bを通って分岐基部61aで合流することとなる。つまり複数のアース線21は、バスバー6に共通に接続されている。なお、バスバー6とアース線21のアース線端子22とは必ずしも直接接続されていなくてもよい。例えば、バスバー6とアース線21との間に設けられて、バスバー6とアース線21とを電気的に接続させる中継端子55がコネクタ5の内部に設けられていても構わない。
また、ここでは、分岐基部61aは、分岐端部61bに対して屈曲(ここでは、略垂直に屈曲)している。そして、各分岐基部61aを各導電性部材接続口52a内に挿入した状態で、分岐基部61aがコネクタ5の導電性部材接続口52aの開口縁部に当接し、導電性部材接続口52aに対する分岐端部61bの位置決めを図り、特に、分岐端部61bがそれ以上導電性部材接続口52aの内部に進入することを防止できる。
車体接続部64は、車体に対して接続可能な部分である。ここでは、車体接続部64は、切り欠きを有する環状構造、より具体的には、C字状に形成された部分である。この車体接続部64は、車体と接続可能な位置、ここでは、保護部材10から露出した位置、或は、保護部材10を車体に取付ける際に、取付用の部材が接触可能な位置に設けられている。そして、このような車体接続部64の環状部分に取付用の部材としてネジ部材100が挿通されて、車体に対してネジ止めされることで、アース線21が車体に接続される。車体接続部64のより具体的な配設位置については後述する。
中継配線部63は、保護部材10内の分岐部61と保護部材10の外周側の車体接続部64との間に配設された長尺部材であり、それらの分岐部61と車体接続部64とを電気的に接続する部分である。中継配線部63は、後述する保護部材10の形状等に応じて、分岐部61と保護部材10とを電気的に接続する経路を形成できるように適宜折り曲げられている。
このような複数のアース線21を含む電線束3の一部、コネクタ5、バスバー6の外周を、保護部材10が覆っている。保護部材10は、加熱プレスされた不織材料40で構成されている。具体的に、保護部材10は、2枚の不織材料40が、電線束3、コネクタ5及びバスバー6を挟み込むようにして加熱プレスされることで形成される。つまり、アース機構8が保護部材10と一体化している。
不織材料40は、絡み合う基本繊維とバインダと称される接着樹脂とを含んでいる。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点(例えば、110℃〜150℃程度)を有する樹脂である。このような不織材料40は、基本繊維の融点よりも低く、かつ接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱されることにより、接着樹脂が溶融して基本繊維の隙間に溶け込む。その後、不織材料40の温度が接着樹脂の温度よりも低い温度まで下がると、接着樹脂は、周囲に存在する基本繊維を結合した状態で硬化する。これにより、不織材料40の形状は、加熱前の状態よりも硬くなり、加熱時に型枠によって成型された形状で維持される。
接着樹脂は、例えば、粒状の樹脂又は繊維状の樹脂などである。また、接着樹脂は、芯繊維の周囲を覆うように形成されることも考えられる。このように、芯繊維が接着樹脂で被覆された構造を有する繊維は、バインダ繊維などと称される。芯繊維の材料は、例えば基本繊維と同じ材料が採用される。
また、基本繊維は、接着樹脂の融点で繊維状態が維持されればよく、樹脂繊維の他に各種の繊維が採用され得る。また、接着樹脂は、例えば、基本繊維の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂が採用される。不織材料を構成する基本繊維と接着樹脂との組み合わせとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)を主成分とする樹脂繊維が基本繊維として採用され、PET及びPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂が接着樹脂として採用されることが考えられる。このような不織材料では、基本繊維の融点は概ね250℃であり、接着樹脂の融点は110℃〜150℃程度である。このような不織材料40は、型枠内で110℃〜250℃程度の温度に加熱されることによって、接着樹脂が溶融して周囲の基本繊維を結合し、型枠の内面に沿う形状に成型される。そして、加熱後は冷却されることによって、不織材料40は成型された形状を維持したままで硬化する。
保護部材10の内部において、コネクタ5は、電線接続口51aに対するアース線端子22の挿入方向が電線束3の延在方向に直交する面と一致する向きに設けられている。
2枚の不織材料40の両側縁部は、電線束3を挟む2箇所で加熱プレスによって接合されている。そのうちの一方の縁部43は、他方の縁部よりも大きく外方に延出しており、本保護部材10を車体に取付ける際の取付片として供されるようになっている。また、この縁部43には、厚み方向に貫通するネジ挿通孔45が設けられている。車体接続部64の内周縁部がネジ挿通孔45の周縁部周りに配設されるように、車体接続部64が本縁部43に配置されており、バスバー6の車体接続部64がネジ挿通孔45によって外部に露出されている。なお、車体接続部64は必ずしもネジ挿通孔45から外部に露出していなくてもよい。バスバー6の車体接続部64が配置される接合された不織材料40の外面に目印が設けられていて、不織材料40の外側から車体接続部64の中心位置が認識できるのであれば、車体接続部64は不織材料40の内部に埋め込まれた形態であってもよい。つまり、車体接続部64は、保護部材10から露出した位置、或は、保護部材10を車体に取付ける際に、当該取付用の部材が接触可能な位置に設けられていればよい。
また、この縁部43では、バスバー6の一部である中継配線部63が、不織材料40の加熱プレスによって接合された部分間に挟み込まれている。つまり、当該中継配線部63のうち不織材料40の加熱プレスによって接合された部分間に挟み込まれている部分が、保護部材10内の分岐部61と保護部材10の外周側の車体接続部64とを中継接続している。
また、バスバー6の分岐部61がコネクタ5に接続されるとともに、バスバー6の車体接続部64が保護部材10の縁部43で挟み込まれているため、分岐部61及び車体接続部64をコネクタ5及びネジ挿通孔45の位置に配置させるために、中継配線部63が折り曲げられている(図2参照)。ここでは、直線状の細帯状部分を、電線2の延在方向に沿って延びる部分と、その部分に対して略垂直姿勢で縁部43の重ね合せ目に向けて延びる部分と、その部分からネジ挿通孔45の部分に向けて略L字状に曲りつつ、縁部43の重ね合せ面に沿って延びる部分とを有するように、折曲げることで、中継配線部63が形成されている。このような中継配線部63は、金属板等で形成されているため、これを折曲げることで、平面内で折曲げた形態にも3次元的に折曲げた形態にも容易に形成することができ、しかも、当該折曲げ形状を比較的容易に維持できる。
続いて、ワイヤハーネス1の作製方法について説明する。ワイヤハーネス1は、アース線21を含む電線束3、コネクタ5及びバスバー6を不織材料40で挟み込み、加熱プレスを行うことによって作製される。加熱プレス装置90は、一例として図5に示される構造である。このように、加熱プレス装置90は下型ユニット91と上型ユニット95とを備えている。
下型ユニット91は、下型部材92とヒータ93とを備える。下型部材92は、熱伝導性に優れた金属などによって構成された長尺状の部材である。下型部材92の上方及び長手方向の両端が開口する溝状に形成され、長手方向に直交する内側断面の形状は、矩形状である。この下型部材92の矩形状部分が、保護部材10の下方部分の形状を形作る。
上型ユニット95は、上型部材96とヒータ97とを備える。上型部材96は、熱伝導性に優れた金属などの材料によって形成される長尺部材である。上型部材96が備える、下面に向かって押しつけるプレス面は平面である。
ヒータ93,97は、それぞれ上型部材96及び下型部材92に埋設されている。ヒータ93,97が下型部材92及び上型部材96を介して、不織材料40を基本繊維の融点よりも低く、かつ接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱する。なお、不織材料40の縁部43をより強固に加工できるように、ヒータ93,97が加熱プレス装置90の両端に設けられた形態であっても構わない。これによって、コネクタ5、及び電線束3が高温にさらされなくてすむとともに、保護部材10として不織材料40の表面を硬化させることができる。なお、ヒータ93,97は必ずしも上型部材96及び下型部材92に埋設されていなくてもよい。上型部材96及び下型部材92の外面に熱伝達可能であれば、ヒータ93,97は、どのような設置形態であっても構わない。
このような加熱プレス装置90で、下型部材92に不織材料40を載置し、載置された不織材料40の上にアース線21を含む電線束3を載置する。そして、アース線21およびバスバー6をコネクタ5に取り付け、コネクタ5の車体接続部64が不織材料40の縁部43に事前に設けられているネジ挿通孔45に重なるようにして一定の位置に配置させる。そして、他方の不織材料40を、事前に設けられているネジ挿通孔45が重なるように配置させてから、加熱プレス装置90による加熱プレスが行われる。このようにして、車体接続部64が縁部43内の一定位置及び姿勢で配置される。そして、この結果、バスバー6が挿入接続されるコネクタ5とコネクタ5に接続されるアース線21と、についても保護部材10の内側で一定の位置に配置できる。
加熱プレス条件は、加熱温度、プレス時間、プレス圧力などで設定される。一般的に加熱温度が高い程、プレス時間が長い程、プレス圧力が大きい程、冷却後の保護部材10の硬さはより硬くなる。このようにして、保護部材10に覆われたワイヤハーネス1が作製される。
作製されたワイヤハーネス1は、例えば、車体が備えるリンフォース99などのアース対象部材にアース接続される。導電性を有するネジ部材100が、ネジ挿通孔45より外部に露出した車体接続部64に挿通されて、リンフォース99にネジ止めされる。つまり、車体接続部64が、車体に対して接続可能な位置に配設されている。このとき、ネジ部材100と車体接続部64とが必ず接触している。従って、アース線21を流れてきた電流が、バスバー6及びネジ部材100を介してリンフォース99へと流れ、アースされる。なお、車体接続部64は環状構造を有する必要はなく、ネジ部材100と接触して車体に取り付けられるのであればどのような形状であってもよい。このようにして、ワイヤハーネス1のアース接続構造が設けられる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤハーネス1は、車体に対して接続可能な車体接続部64を有し、アース線21が保護部材10の内側で接続された状態でアース機構8が保護部材10に一体化されている。つまり、保護部材10が装着された部分のアース線21から車体接続部64を介して、アース対象となる車体の部材にアース接続を行うことができる。従って、アース接続のために保護部材10が未装着の部分を電線2に設ける必要がなく、保護すべき電線2の位置に保護部材10を確実に取り付けることができる。また、車体接続部64が保護部材10と一体化されているため、車体接続部64とともに保護部材10も車体に対して固定されることとなる。つまり、車体接続部64のアース接続が行われるとともに、ワイヤハーネス1と車体との固定も可能となる。また、アース対象部材から離れた位置からアース線21を引き出し、長寸に渡って取り回す必要がないため、アース線21の省線化を図ることができる。また、アース機構8は保護部材10の内部でアース線21に接続されているとともに、アース機構8と保護部材10とが一体化しているため、アース機構8を固定するために、テープ巻きなどでとアース線21との位置を固定する作業を別個に行う必要がない。
また、本実施形態に係るワイヤハーネス1の保護部材10は、不織材料40を加熱プレスすることによって構成されているため、保護部材10が装着された部分の電線2からアース線21を容易に引き出すことができる。
具体的には、アース機構8の少なくとも一部が、不織材料40のうち、加熱プレスによって接合された部分間に挟み込まれている。つまり、不織材料40を接合するための加熱プレス作業を行うことで、複雑な構造を保護部材10に設けることなく、アース線21が外側に引き出されるための構造を設けることができる。従って、アース機構8を保護部材10の内側から容易に外側に引き出すことができる。
また、アース機構8が、複数のアース線21を接続できるコネクタ5とコネクタ5に接続される導電性部材とで構成されている場合、複数のアース線21を導電性部材に共通接続できる。つまり、複数のアース線21各々をアース接続する必要がないため、アース接続の手間を省くことができる。
また、導電性部材が、一端が複数に分岐していて、分岐端部61b各々が導電性部材接続部に接続される、金属板状のバスバー6であれば、バスバー6の先端部が、複数のアース線21とコネクタ5内で接続される。このため、コネクタ5内でアース線21とバスバー6とを電気的に接続するため、コネクタ5が中継端子55を備える必要がない。つまり、コネクタ5を構成する部品点数を削減することができる。
上記実施形態を前提とする変形例に係るワイヤハーネスについて説明する。なお、上記実施形態にて説明したものと同じ構成要素については、同一符号を参照しその説明を省略し、上記実施形態のワイヤハーネス1と異なる点についてのみ説明するものとする。
上記実施形態では、アース機構8がコネクタ5とバスバー6とで構成されていたが、アース機構が、金属板材を打抜き屈曲加工したバスバーのみで構成されていてもよい。つまり、バスバー6が複数のアース線21と直接的に接続されていてもよい。バスバー6とアース線21との接続は、ハンダ付け、又はネジ止めなどにより行われるとよい。アース機構がバスバー6のみで構成されていることによって、本変形例に係るワイヤハーネスは、保護部材の内部でのアース機構の位置決めを容易に行うことができる。
また、アース機構の全体が電線によって構成されていてもよい。この場合、電線とアース線21との接続は、例えば、電線の端部に取付けられたネジ止用の端子と、アース線21の端部に取付けられたネジ止用の端子とをネジ止めによって接続する構成、両者の導体同士をハンダ付け等によって接続する構成を採用することができる。また、電線と車体との接続構成については、例えば、電線の他端に設けられたネジ止用の端子を、車体にネジ止めする構成等を採用することができる。
また、導電性部材がバスバー6ではなく、両端に端子が設けられた電線などであっても構わない。この場合、例えば、当該電線の一端側の端子を上記コネクタ5に挿入することで、当該電線とアース線21とを接続するとよい。あるいは、電線接続口51aに接続されたアース線21と電気的に接続可能な端子台が導電性部材接続口52aに設けられており、電線端部のネジ止用の端子が当該端子台とネジ止めされることで、導電性部材である電線とアース線21とが電気的に接続されていてもよい。また、電線と車体との接続構成については、上記と同様に、例えば、電線の他端に設けられたネジ止用の端子を、車体にネジ止めする構成等を採用することができる。
<2.第2の実施形態>
次に、図6を参照しつつ、第2の実施形態に係るワイヤハーネス1bについて説明する。なお、以下の実施形態で、第1の実施形態にて示された構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されており、第1の実施形態のワイヤハーネス1と異なる点についてのみ説明するものとする。
上記実施形態では、バスバー6の一端に、分岐基部61aから複数の分岐端部61bが分岐する分岐部61が設けられており、各分岐端部61bは、分岐基部61aにて共通する単一の導電路にまとめられていたが、このような形態には限られない。アース機構8であれば、どの部分が共通する単一の導電路にまとめられても構わない。
図6では、複数のアース線21が、コネクタ5の内部に設けられている中継端子55にて、共通する単一の導電路にまとめられている。中継端子55は、中継端子基部55aから複数の突接続部55bが突設された構造である。中継端子55はコネクタ5内に設けられており、中継端子基部55aの一方の面が各電線接続口51aの奥側の開口端部に、他方の面が導電性部材接続口52aの奥側の開口端部に、それぞれ接している。
各突接続部55bは中継端子基部55aの一方の面に設けられている。つまり、電線接続口51aの奥側から入口側方向に向かって突き出すようにして、各突接続部55bが各電線接続口51a内に配置されている。
また、導電性部材接続口52aの奥側の開口端部は、突接続部55bが設けられていない中継端子基部55aの他方の面に接している。中継端子基部55aの他方の面には、導電性部材接続口52aに向けて突出する筒部が設けられていることが好ましい。そして、導電性部材であるバスバー6bが導電性部材接続口52aに挿入されると、バスバー6bの先端が前記筒部に挿入されて、バスバー6bと中継端子55とが電気的に接続されるようになっている。
各アース線21が各電線接続口51aに挿入されることによって、アース線端子22が、対応する各突接続部55bに接続される。このため、各突接続部55bが、中継端子基部55aにて共通する単一の導電路にまとめられる。換言すれば、各アース線21を流れてきた電流は、突接続部55bを通って中継端子基部55aで合流することとなる。従って、バスバー6bの他端をアース接続することで、中継端子基部55aに流れた電流は、バスバー6bを介してアース接地されることとなる。つまり、複数のアース線21が、バスバー6bに共通に接続されている。
このように、本実施形態に係るワイヤハーネス1bは、コネクタ5に設けられた中継端子55を共通の導電路とする形態である。このため、上記第1の実施形態と同様に、アース線21が複数であっても、各アース線21をアース接続する手間を省くことができる。また、バスバー6bは、バスバー6の分岐構造のように複雑な構造を有する必要がなく、当該バスバー6bを容易に形成することができる。
1,1b ワイヤハーネス
2 電線
3 電線束
5 コネクタ
6 バスバー
8 アース機構
10 保護部材
21 アース線
40 不織材料
64 車体接続部

Claims (5)

  1. アース線を含む複数の電線と、
    不織材料を加熱プレスすることによって構成され、前記複数の電線を覆う保護部材と、
    車体接続部を有し、前記アース線が前記保護部材の内側で接続されると共に前記車体接続部を車体に対して接続可能な位置に配設した状態で、前記保護部材と一体化されたアース機構と、
    を備えるワイヤハーネス。
  2. 請求項1に記載のワイヤハーネスであって、
    前記保護部材は、前記不織材料が前記電線を覆った状態で前記不織材料の少なくとも一部分と他の少なくとも一部分とを加熱プレスによって接合することにより構成され、
    前記アース機構の少なくとも一部が、前記不織材料のうち加熱プレスによって接合された部分間に挟込まれている、ワイヤハーネス。
  3. 請求項1又は2に記載のワイヤハーネスであって、
    前記アース機構が金属板状のバスバーを含むワイヤハーネス。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のワイヤハーネスであって、
    前記電線は複数の前記アース線を有しており、
    前記アース機構が、一端に前記車体接続部を有する導電性部材と、前記導電性部材の他端が接続される導電性部材接続部と前記複数のアース線が接続される電線接続部とを有するコネクタと、を備え、前記複数のアース線を前記導電性部材に共通接続するように構成されている、ワイヤハーネス。
  5. 請求項4に記載のワイヤハーネスであって、
    前記導電性部材の他端部は、複数に分岐する分岐端部を有し、
    前記複数の分岐端部がそれぞれ前記導電性部材接続部に接続されることで、前記コネクタ内で、前記複数の分岐端部がそれぞれ、前記電線接続部に接続された前記複数のアース線の先端に設けられた端子に接続される、ワイヤハーネス。
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