JP2014142330A - 圧力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することができる圧力センサを提供する。
【解決手段】圧力センサ1を、キャビティ10が形成され少なくとも一部が断熱素材からなるセンサ本体3と、センサ本体3に片持ち状に支持された状態でキャビティ10内外の差圧に応じて撓み変形するカンチレバー4と、で構成する。
【選択図】図2

Description

この発明は、圧力差に基づいて、微細な圧力変動を検出する圧力センサに関する。
従来、圧力変動を検出する圧力センサ(差圧センサ)として、たとえば、透孔又は凹部を有する基板と、通気孔を有する収納容器と、収納容器内に配設され、透孔又は凹部内で振動可能に基板に片持ち支持された圧電素子と、を具備した圧力センサが知られている(特許文献1参照)。
この圧力センサによれば、通気孔を介して収納容器内に伝わる圧力変動と、この圧力変動に遅れて追従する透孔又は凹部内部の圧力との差に応じて圧電素子が振動する。その結果、上記圧力センサは、圧電素子に生ずる電圧変化に基づいて、収納容器に伝わる圧力変動を検出することが可能とされる。
特開平4−208827号公報
ところで、上記従来技術に係る圧力センサは、その用途に応じて、一定の性能を維持できるよう要求される。ここで、圧力センサの基本性能を決定する要因としては、圧電素子の形状、透孔又は凹部の容積、圧電素子と透孔又は凹部との隙間の形状、透孔又は凹部内部と外部との間を出入りする流量、圧電素子の電気機械結合係数等が考えられる。
ところが、圧力センサの使用環境においては、期待される性能を発揮できない場合が往々にしてある。例えば、外気の温度が変化する場合があげられる。つまり、外気の温度が変化すると、凹部又は透孔内部の空気と外気との間の出入りが小さいため、外気の温度変化は、凹部又は透孔を構成する部材を介してのみ熱伝達される。このため、凹部又は透孔内部の空気は、外気に遅れて温度変化する。そして、当該凹部又は透孔内部の空気は、伝達された熱エネルギーにより温度変化し、膨張もしくは収縮する。
この時、空気の熱膨張率は、凹部又は透孔を構成する部材よりはるかに大きく、また、凹部又は透孔内部と外気との空気流動量は非常に小さい。つまり、伝達された熱エネルギーによる空気の膨張もしくは収縮により、凹部又は透孔内部の圧力が上昇もしくは減少する。その結果、凹部又は透孔内部の圧力と外気との間に差圧が発生し、当該差圧の影響によりセンサの出力が変動する。したがって、センサの出力は、圧力変動が生じなくとも、周囲の温度変化によって変動する虞がある。
つまり、従来技術に係る圧力センサでは、上記温度変化によるセンサ出力の変動を、圧力変動としてとらえてしまうという課題があった。また、従来技術に係る圧力センサでは、圧力変動と温度変化が同時に発生した場合も、圧力変動分のみを分離して検出できないという課題があった。
そこで本発明は、温度変化のある環境下においても圧力変動を正確に検出することができる圧力センサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の圧力センサの第1の特徴は、圧力変動を電気信号に変換して出力する圧力センサであって、キャビティと、該キャビティの内部と外部とを連通する連通開口と、が形成されたセンサ本体と、基端部から先端部に向けて延びる板状に形成され、前記基端部が前記連通開口の内壁に片持ち状に支持され、前記キャビティの内部と外部との圧力差に応じて撓み変形するカンチレバーと、前記カンチレバーの撓み変形に応じた変位を測定する変位測定部と、前記キャビティ外部の温度変化による前記電気信号の変動を除去する温度補償部とを備えることを要旨とする。
かかる特徴によれば、温度変化による電気信号の変動を除外でき、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第2の特徴は、前記温度補償部は、前記センサ本体に断熱素材を含むことを要旨とする。
さらに、本発明の圧力センサの第3の特徴は、前記温度補償部は、前記キャビティと前記センサ本体との境界に設けられた高比熱材料層を有することを要旨とする。
かかる特徴によれば、外気の温度が変化しても、キャビティ内への熱エネルギーの伝達量が小さくなり、キャビティ内部の温度変化が緩やかになる。このため、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第4の特徴は、前記温度補償部は、予め定めた遮断周波数以下の前記電気信号を遮断するフィルタを備えることを要旨とする。
かかる特徴によれば、温度補償部のフィルタ以外の構成で除去できなかった特定帯域の温度変化による影響を、フィルタにより除外することができる。このため、温度変化にある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第5の特徴は、前記温度補償部は、前記センサ本体周囲の温度変化を検出する温度検出部を有することを要旨とする。
かかる特徴によれば、圧力センサ周囲に生じる温度変化を測定できるため、温度変化の有無を検知でき、温度変化がある場合の電気信号の変動を分離できる。温度変化がある場合の電気信号の変動を排除することで、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第6の特徴は、前記温度検出部は、前記キャビティ内部に設けられ当該キャビティ内部の温度を検出することを要旨とする。
かかる特徴によれば、温度変化による電気信号変動の主因であるキャビティ内部の温度変化を検出することで、キャビティ内部の圧力変動を算出できる。温度変化による変位測定部からの出力信号の変動を排除できるため、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第7の特徴は、前記温度検出部は、前記キャビティ内部に設けられ当該キャビティ内部の温度を検出する第1の温度検出部と、前記キャビティ外部に設けられ当該キャビティ外部の温度を検出する第2の温度検出部と、を含むことを要旨とする。
かかる特徴によれば、圧力センサ周囲の温度変化とキャビティ内の温度変化を同時に検出でき、キャビティ内の温度変化を予測することができる。このため、電気信号の変動を予測できるため、温度変化による変動をあらかじめ除外でき、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第8の特徴は、前記温度補償部は、前記温度検出部が検出した温度変化を表す出力信号に基づいて、前記変位測定部より取得する出力信号に所定の演算処理を施し、当該演算処理された出力信号を前記電気信号として出力する出力制御部を備えることを要旨とする。
かかる特徴によれば、圧力センサ周囲に生じる温度変化を測定でき、さらに温度変化の状況に応じて変位測定部からの出力信号を出力制御部で演算処理することができる。このため、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第9の特徴は、前記温度補償部は、前記カンチレバー近傍に設置されたピエゾ抵抗素子を有することを要旨とする。
かかる特徴によれば、カンチレバーの変位検出部からの出力が温度変化により変動する影響を除外できる。このため、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第10の特徴は、前記温度補償部は、前記キャビティ内部の温度変化を低減する温度制御部を有することを要旨とする。
かかる特徴によれば、温度変化による電気信号変動の主因であるキャビティ内部の温度変化を低減できるため、電気信号の変動を低減できる。このため、温度変化のある環境下でも、温度変化の影響を低減して圧力変動を検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第11の特徴は、前記温度制御部は、前記センサ本体に設けられ、前記温度検出部の出力信号に基づいて前記センサ本体の温度を制御する温度制御素子を有することを要旨とする。
かかる特徴によれば、外気の温度変化により追従して変化するセンサ本体(キャビティ内部)の温度を一定に制御できるため、温度変化のある環境下でも圧力変動を正確に検出することが可能となる。
さらに、本発明の圧力センサの第12の特徴は、前記温度制御素子は、前記キャビティ内部の温度を制御することを要旨とする。
かかる特徴によれば、外気の温度が変化した場合であっても、温度制御素子が直接キャビティ内部の温度を制御するので、キャビティ内部の温度を容易に一定に保つことができる。
さらに、本発明の圧力センサの第13の特徴は、前記センサ本体の筐体は、少なくとも前記温度制御素子の設けられる箇所が線膨張率5×10-5(/K)以下、且つ、熱伝導率0.2(W/(m・K))以上の材料からなり、前記温度制御素子は、前記筐体の温度を制御することを要旨とする。
かかる特徴によれば、センサ本体の筐体が上記の如く高熱伝導性の材料で構成されるので、温度制御素子が筐体の温度を制御する際、熱エネルギーが筐体を経てキャビティへと効率よく伝達できる。また、筐体は低熱膨張材でもあるため、筐体の温度変化による熱膨張が小さく、キャビティの容積変化を非常に小さくすることができる。
本発明に係る圧力センサによれば、温度変化によるセンサの出力を圧力変動と誤認することなく、温度変化のある環境下でも微細な圧力変動を正確に検出することが可能となる。
本発明の第一の実施形態に係る圧力センサの平面図である。 図1に示すA−A線に沿った圧力センサの断面図である。 図1に示す圧力センサの出力の一例を示す図であり、(A)はキャビティ内外の圧力の時間変化を、(B)は圧力センサの出力の時間変化を、それぞれ表す。 図1に示す圧力センサの動作の一例を示す図であり、(A)は初期状態を、(B)はキャビティ外部の圧力が内部の圧力より高圧な場合を、(C)はキャビティ内外の圧力が等圧に戻った場合を、それぞれ表す。 図1に示す圧力センサ周囲に温度変化が生じた場合の出力の一例を示す図であり、(A)はキャビティ内外の温度の時間変化を、(B)は圧力センサの出力の時間変化を、それぞれ表す。 図1に示す圧力センサの第1の変形例を示す平面図である。 図1に示す圧力センサの第2の変形例を示す図であり、(a)は平面図を、(b)はA−A線に沿った断面図を、それぞれ示す。 図7に示すカンチレバー周囲における電気回路を示す説明図である。 本発明の第一の実施形態に係る圧力センサのカンチレバー周囲の構造の変形例を示す説明図である。 本発明の第二の実施形態に係る圧力センサの断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る圧力センサの変形例を示す断面図である。 本発明の第三の実施形態に係る圧力センサの断面図である。 本発明の第三の実施形態に係る圧力センサの他の例を示す断面図である。 本発明の第四の実施形態に係る圧力センサの断面図である。
以下、本発明に係る圧力センサの実施形態について図面を参照して説明する。
「第一の実施形態」
(全体構成)
図1は本発明の第一の実施形態に係る圧力センサ1の構成を示す平面図である。図2は、図1中に示すA−A線に沿った圧力センサ1の断面図である。
本実施形態の圧力センサ1は、所定の周波数帯域の圧力変動を検出するセンサである。圧力センサ1は、例えば図1及び図2に示すように、SOI基板2と、センサ本体3と、を一体的に固定した形状からなる。当該圧力センサ1は、さらに、センサ本体3の上部に形成されたカンチレバー4と、カンチレバー4に接続され当該カンチレバー4の変位を測定するための変位測定部5と、を備える。
センサ本体3は、例えば、凹状のくぼみ(凹部)によって上部が開口した箱型の形状からなる。当該センサ本体3には、凹部の内部と外部とを貫通する連通開口11が形成される。さらに、センサ本体3は、気密性のフィルムで覆われた発泡断熱素材(例えば発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等)、もしくは断熱素材(例えばセラミックス等)で構成される。この発泡断熱素材や断熱素材で構成されたセンサ本体3は、後述する温度補償部6として機能する。
カンチレバー4は、例えば、シリコン支持層2a、シリコン酸化膜等の酸化層2b、及びシリコン活性層2cを熱的に張り合わせたSOI基板2の一部を用いて形成される。具体的には、カンチレバー4は、平板状のシリコン活性層2cより、図1に示す平面視コ字状に形成されたギャップ13を切り出すことで形成される。その結果、カンチレバー4は、SOI基板2によってセンサ本体3の周壁部3a上に固定された基端部4aを固定端とし、先端部4bを自由端とする片持ち梁構造を呈する。また、カンチレバー4の基端部4aには、カンチレバー4が撓み変形しやすいよう、平面視コ字状の貫通孔15が形成される。なお、この貫通孔15の形状は、上記コ字状に限定されるものではなく、カンチレバー4の撓み変形を容易にする適宜の形状への変更が可能である。
当該カンチレバー4は、センサ本体3に形成された凹部の上面を覆うように配置される。つまり、カンチレバー4は、上記凹部の上面のうちギャップ13を除いた箇所を閉塞した状態にする。そのため、カンチレバー4で上面を覆われた凹部内部は、キャビティ(空気室)10として機能する。ここで、キャビティ10の内部と外部との連通は、ギャップ13及び貫通孔15を経由して行われるため、ギャップ13及び貫通孔15は連通開口11として機能する。そして、当該連通開口11によるキャビティ10内外での空気の流動によって、カンチレバー4は、基端部4aを中心としてキャビティ10の内部と外部との圧力差に応じた撓み変形が可能となる。
変位測定部5は、カンチレバー4の基端部4a上面に備わるピエゾ抵抗20と、ピエゾ抵抗20の上部に接続された配線部21と、カンチレバー4の変位を検出する検出回路22と、を含んで構成される。
ピエゾ抵抗20は、該カンチレバー4の撓み量(変位量)に応じて電気抵抗値が変化する抵抗素子であり、図1におけるカンチレバー4の短手方向について、貫通孔15を挟んだ両側に対となって配置される。これら一対のピエゾ抵抗20は、導電性材料からなる配線部21を介して相互に電気的に接続される。この配線部21およびピエゾ抵抗20を含む全体的な形状は、平面視U字状となる。また、ピエゾ抵抗素子20には、該ピエゾ抵抗20の電気抵抗値変化に基づいてカンチレバー4の変位を検出する検出回路22が接続される。
上記構成よりなる変位測定部5において、検出回路22を通じてピエゾ抵抗20に所定電圧が印加されると、電圧印加に起因する電流は、貫通孔15を回り込むようにして一方のピエゾ抵抗20から配線部21を経由して他方のピエゾ抵抗20に流れる。そのため、検出回路22は、カンチレバー4の変位(撓み変形)に応じて変化するピエゾ抵抗20の電気抵抗値変化を電気的な出力信号として取り出すことが可能である。したがって、変位測定部5は、この出力信号(センサ出力)に基づいて、カンチレバー4の変位を測定できるので、キャビティ内部と外部との圧力差(差圧)を検出することが可能となる。
なお、上記ピエゾ抵抗20は、例えばリン等の不純物をイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成される。また、双方のピエゾ抵抗20は配線部21のみで電気的に導通するよう形成される。そのため、配線部21以外でピエゾ抵抗20双方が導通しないよう、カンチレバー4の周囲のシリコン活性層2cをエッチングして細溝16が形成される。
(圧力センサの動作)
まず、上述した圧力センサ1の微小な圧力変動を検出する動作について、図3及び図4を用いて説明する。
初めに、図3(A)に示す期間Aのように、キャビティ10外部の圧力(以下、外圧Pout)と、キャビティ10内部の圧力(以下、内圧Pin)との圧力差がゼロである場合には、図4(A)に示すように、カンチレバー4は撓み変形しない。
ここで、図3(A)に示す時刻t1以降の期間Bのように、例えば外圧Poutがステップ状に上昇すると、キャビティ10の外部と内部との間に差圧が生じるので、図4(B)に示すように、カンチレバー4はキャビティ10内部に向けて撓み変形する。
すると、カンチレバー4の撓み変形に応じてピエゾ抵抗20に歪が生じ、電気抵抗値が変化するので、図3(B)に示すように、圧力センサ1の出力信号が増大する。
また、外圧Poutの上昇以降、ギャップ13を介してキャビティ10の外部から内部へと空気が流動する。そのため、図3(A)に示すように、内圧Pinは時間の経過とともに、外圧Poutよりも遅れながら、かつ外圧Poutの変動よりも緩やかな応答で上昇する。
その結果、内圧Pinが外圧Poutに徐々に近づくので、キャビティ10の外部と内部との圧力が均衡状態になり始め、カンチレバー4の撓みが徐々に小さくなる結果、図3(B)に示すように圧力センサ1の出力信号は徐々に低下する。
そして、図3(A)に示す時刻t2以降の期間Cのように、内圧Pinが外圧Poutに等しくなると、図4(C)に示すように、カンチレバー4の撓み変形が解消されて元の状態に復帰し、図3(B)に示すように、圧力センサ1の出力信号が再びゼロになる。
このように、圧力センサ1は、カンチレバー4の変位に基づいた出力信号の変動をモニタすることで、キャビティ外部の圧力変動を検出することができる。
特に、SOI基板2のシリコン活性層2cを利用して、半導体プロセス技術によりカンチレバー4を形成できる。このため、従来の圧電素子に比べて薄型化(例えば、数十〜数百nm)し易い。したがって、圧力センサ1は、微小な圧力変動の検出を精度よく行うことができる。
次に、外気が温度変化した場合の圧力センサ1の動作について、図5を用いて説明する。ここで、外気の圧力変動はなく、外圧Poutは一定とする。
なお、図5(A)において、外気の温度をTout、キャビティ10内部の温度をTin、センサ本体3に断熱素材を使用しない場合のキャビティ10内部空気の温度をTin’とする。また、図5(B)において、本発明の圧力センサ1の出力を実線で、断熱素材を使用しない場合の圧力センサ1(以下、従来の圧力センサ)の出力を破線で示す。
まず、従来の圧力センサ1の動作について説明する。
図5の時刻t3において、外気の温度Toutがステップ状に上昇すると、従来の圧力センサにおけるキャビティ10内部の温度Tin’は、Toutの変化に遅れて上昇する。この時のTin’の上昇は、センサ本体3を経由した熱伝導もしくは輻射によるものである。外圧力Poutは一定であり、外気とキャビティ10間の空気移動がなく、対流による熱エネルギーの移動が発生しないためである。
そして、Tin’の上昇により、キャビティ10内の空気は熱膨張する。キャビティ10の容積は一定であり、連通開口11を経由した外気とキャビティ10間の空気移動は微小量に制限されているため、キャビティ内圧Pinが急峻に上昇する。すると、このキャビティ内圧Pinの上昇によりキャビティ10内と外気との間に差圧が発生する。その結果、従来の圧力センサでは、カンチレバー4が撓んで大きなセンサ出力が生ずる。その後、連通開口11を介した空気移動により、発生した差圧は徐々に解消され、やがてゼロに戻る(時刻t4’)。以上により、従来の圧力センサでは、外圧Poutが一定であるにも関わらず、圧力センサ1から大きな出力が発生してしまう(図5(B)破線参照)。
一方、センサ本体3を断熱素材で構成した圧力センサ1の場合、図5(A)に示すように、キャビティ内温度Tinは、時刻t3以降緩やかに上昇する。すると、キャビティ内圧Pinも、キャビティ内温度Tinの上昇にしたがって緩やかに上昇する。したがって、外気の温度変化による圧力センサ1の出力変動は、従来の圧力センサによる出力変動よりも小さくすることができる(図5(B)実線参照)。そのため、圧力センサ1では、断熱素材からなるセンサ本体3そのものが、外気温の温度変化による出力変動を抑えるための温度補償部6として機能するといえる。
「第1の変形例」
次いで、圧力センサ1の第1の変形例について、図6を用いて説明する。
上述した外気の温度変化による圧力センサ1の出力変動は、本変形例のように構成することで、さらに小さくすることも可能である。例えば、圧力センサ1は、図6に示すように、検出回路22に検出周波数をフィルタリングする出力制御部62が接続され、当該出力制御部62の出力を圧力センサ1の出力として用いる。この時、温度補償部6は、断熱素材で構成されたセンサ本体3と出力制御部62とで構成される。
ここで、出力制御部62は、例えば、ハイパスフィルタで構成され、フィルタの遮断周波数が圧力センサ1の検出周波数帯域の下限以下に設定される。したがって、このような構成によれば、図5(B)の実線で示した圧力センサ1の出力は一層平坦化され、外気の温度によるセンサ出力の変動をさらに小さくできる。
「第2の変形例」
次いで、圧力センサ1の第2の変形例について、図7〜図9を用いて説明する。
カンチレバー4の基端部4aに備えられたピエゾ抵抗20は、加わる応力同様に、温度や光によっても電気抵抗が変化することが知られている。このため、ピエゾ抵抗20自体の温度変化によって電気抵抗値が変化することで、カンチレバー4が変形したと誤認する虞がある。
そこで、本変形例に係る圧力センサ1では、図7に示すように、ピエゾ抵抗20自体を温度補償する構成を設ける。なお図7(b)は、図7(a)に図示したA−A線における断面を示す。
圧力センサ1は、図7に示すように、圧力変動を検出するカンチレバー4の近傍に、温度検出用カンチレバー41を備える。温度検出用カンチレバー41は、圧力変動の検出に用いるカンチレバー4と同様にピエゾ抵抗20aが形成される。ここで、図7(b)に示すように、ピエゾ抵抗20aは、温度検出用カンチレバー41の底面にある酸化層2b及びシリコン支持層2aを取り除かない構成とする。また、温度検出用カンチレバー41には、ピエゾ抵抗20や他の素子と導通を防止するため、シリコン活性層2cのみを取り除いて構成した細溝16を設ける。したがって、温度検出用カンチレバー41は、上記構成によって、表裏(上下)の差圧によって変形せず、キャビティ10内部の温度変化のみによりピエゾ抵抗20aの電気抵抗値が変化することとなる。
そのため、圧力センサ1は、圧力と温度により電気抵抗値が変化するピエゾ抵抗20と、温度のみにより電気抵抗値が変化するピエゾ抵抗20aと、を用いて、温度変化による電気抵抗値の変化のみを排除できる。具体的には、ピエゾ抵抗20,20a、抵抗素子Rを用いて、図8に示すようなホイートストンブリッジ回路を構成する。当該ホイートストンブリッジ回路の出力は、ピエゾ抵抗20と20aとの差分値を示すので、圧力変動によるカンチレバー4の撓み情報を示す電気抵抗値の変化のみを取り出すことが可能となる。
なお、ピエゾ抵抗20の温度補償を行うためのピエゾ抵抗20aの構造は上記に限らない。例えば、図9に示すように、貫通孔15に囲まれた部分にピエゾ抵抗20aを設ける構成でもよい。ここで、図9(a)に示すピエゾ抵抗20aは、貫通孔15に囲まれた部分をハーフエッチング等により薄肉化し、ここに当該ピエゾ抵抗20aを不純物のドーピング等を行い、その後配線部21及び細溝16を設けることで形成される。
図9(a)中に示すA−A線での断面の一例目として図9(b)を、二例目として図9(c)を示す。一例目の図9(b)には、ピエゾ抵抗20aの底面の酸化層2b及びシリコン支持層2aを除去した構成を示す。二例目の図9(c)にはピエゾ抵抗20a背面構造を残した構成を示す。いずれの構造でも温度による抵抗値変化のみを検出することが可能だが、図9(b)に示す構造ではピエゾ抵抗20aの体積が小さく時間応答に優れる反面、小さいながらもピエゾ抵抗20aに加わる圧力の影響を受ける。図9(c)に示す構造ではピエゾ抵抗20aに加わる圧力の影響を排除できるものの、時間応答が遅れるという特性を示す。圧力センサ1の仕様に応じて設計時に選択することが可能である。
以上により、本実施形態や変形例に係る圧力センサ1によると、キャビティ10内部の温度変化を小さくできるため、外気の温度が変化してもセンサ出力の変動を最小限にとどめることが可能となる。
なお、上記実施形態や変形例では、センサ本体3に断熱素材を適用した構成を示したが、センサ本体3の凹部内部に高比熱材料を敷設してもよい。高比熱材料としては、例えば、ポーラス状もしくは表面を粗面化した金属膜、細線の金属綿、水分を含んだ高吸水性ポリマー、蓄熱素材があげられる。このような素材をセンサ本体3の凹部内部に設けることで、センサ本体3を通じて伝達される熱エネルギーを高比熱材料が吸収するので、キャビティ10内部の温度は、一定に保たれる。したがって、上記実施形態や変形例同様に、圧力センサ1は、外気の温度変化によるセンサ出力の変動を減少させることが可能となる。
また、カンチレバー4の撓みを検出するピエゾ抵抗20は、蛇行する細い金属配線や圧電薄膜であってもよい。蛇行する金属配線は、カンチレバー4の基端部4bに加わる応力に応じて、電気抵抗値が変化する。また、圧電薄膜は、カンチレバー4の基端部4bに加わる応力に応じて起電力が発生する。このような電気抵抗値変化や起電力を検出することで、カンチレバー4の変位を検出することが可能である。
そして、本実施形態の圧力センサ1は、以下の各種用途に適用することができる。例えば、自動車用ナビゲーション装置に適用することが可能である。この場合、例えば圧力センサ1を利用して高低差に基づく圧力差を検出できるので、高架道路と高架下道路とを正確に判断してナビゲーション結果に反映させることができる。
また、携帯用ナビゲーション装置に適用することも可能である。この場合、例えば圧力センサ1を利用して高低差に基づく圧力差を検出できるので、ユーザが建物内の何階に位置しているのかを正確に判別してナビゲーション結果に反映させることができる。さらに、空調制御されたビル出入り等で生じる温度変化でも、圧力変動と誤認せず、昇降等も正確に検出することが可能となる。
さらには、室内の圧力変動を検出することが可能であるので、例えば、建物や自動車の扉開閉を検出する防犯装置に適用することも可能である。空調の稼働状態の変化による温度変化が生じても開閉動作と誤認することなく、安定した検出が可能となる。
このように、圧力センサ1を各種用途に適用することが可能であるが、本実施形態の圧力センサ1によれば、用途適用時に生じる不測の温度変化が加わっても、センサ出力の変動を最小限にとどめることが可能となる。
「第二の実施形態」
以下、本発明に係る第二の実施形態の圧力センサ1について、図10を用いて説明する。なお、第二の実施形態に係る圧力センサ1のうち第一の実施形態に係る圧力センサ1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る圧力センサ1が第一の実施形態に係る圧力センサ1と異なる点は、キャビティ10内部に温度検出部61及び出力制御部62を備えることである。また、センサ本体3は、SOI基板2と、電子基板3dと、断熱素材で構成された蓋部3fと、から構成される。さらに、温度補償部6は、温度検出部61と、出力制御部62と、蓋部3fと、から構成される。
温度検出部61は、キャビティ10内部の温度を検出する素子であり、測温抵抗素子であるサーミスタや白金抵抗測温素子、又は熱電対素子等を用いて構成する。
出力制御部62は、電子基板3d上に設けられた配線3eを通じて、温度検出部61と変位測定部5各々と接続される。出力制御部62は、マイクロプロセッサなどの半導体集積回路から構成され、温度検出部61と変位測定部5各々の出力に基づいて算出された信号を出力する。当該出力制御部62の出力は、圧力センサ1の圧力変動を示す電気信号として、配線3eを通じてセンサ外部へ伝送される。
(外気温の変化時の圧力センサの出力動作)
次いで、外気の温度が変化した場合の、圧力センサ1の出力動作について説明する。
外気の温度が変化した場合、センサ本体3を経由して熱が伝達され、外気の温度に遅れてキャビティ10内部の温度が変化する。ここで、キャビティ10内部の温度変化は、温度検出部61により検出される。すると、温度検出部61から検出される温度情報は、出力制御部62へと伝達される。その際、キャビティ10内部の温度変化によってキャビティ10内部の空気が膨張し、外気とキャビティ内との間に差圧が発生することで、カンチレバー4が撓む。このカンチレバー4の撓み量は、変位測定部5により信号へと変換され、出力制御部62に入力される。そして、出力制御部62は、温度検出部61から入力される温度情報に基づいて、変位測定部5から取得したカンチレバー4の撓み情報を演算処理し、圧力変動情報として出力する。当該圧力変動情報が圧力センサ1の出力を示す電気信号である。
ここで、出力制御部62の処理について具体的に説明する。出力制御部62は、入力された温度情報が一定値のまま予め定めた時間中変化しないと判断する場合、撓み情報をそのまま(特段の演算処理を行うことなく)出力する。したがって、撓み情報が外気の圧力変動情報と等しくなる。
一方、出力制御部62は、入力された温度情報が時間的に変化すると判断した場合、入力された温度情報と圧力センサ1の固有特性に基づいて、温度変化による撓み情報分を算出する。そして、出力制御部62は、変位測定部5の撓み情報から算出した温度変化による撓み情報を減算するという演算処理を施した後、当該演算処理された撓み情報を圧力変動情報として出力する。ここで、演算処理に関わる圧力センサ1の固有特性には、外気とキャビティ10内との差圧によるカンチレバー4の撓み、カンチレバー4の撓み量(例えば先端部4bでの変位)と変位測定部5から取得する撓み情報との関係、外気とキャビティ10内との差圧とギャップ13を経て移動する空気流量との関係、センサ本体3の熱伝達率及び熱膨張率、キャビティ10内の空気の温度膨張係数等があげられる。
このように、圧力センサ1は、キャビティ10内部の温度情報に基づいて、当該温度情報が時間的に変化する場合、カンチレバー4の撓み情報に対して上述の演算処理を施すことで、外気の温度が変化しても圧力センサ1から出力される電気信号が変動せず、温度変化の影響を排除することが可能となる。
なお、上述の圧力センサ1では、センサ本体3を構成する蓋部3fを断熱素材で構成したが、断熱素材で構成しなくともよい。具体的には、上述したように、センサ本体3の熱伝達率と膨張率を予め測定しておき、出力制御部62は、当該測定値と入力された温度情報とに基づいて、撓み情報の演算処理を行った上で出力する。この時の出力は、上記の圧力センサ1から出力される電気信号と同等であるため、上記構成と同様に、外気の温度変化による電気信号への影響を排除することが可能となる。
また、上述の圧力センサ1では、一体の温度検出部61をキャビティ10内部に設けた構成を示したが、温度検出部61を複数設けた構成でも外気の温度変化による影響を排除することは可能である。当該圧力センサ1の一例を図11に示す。図11に示す圧力センサ1が上述の実施形態の構成と異なるのは、温度検出部61a(第1の温度検出部)をキャビティ10内部に、温度検出部61b(第2の温度検出部)をキャビティ10外部に設けた点である。
このような構成とすることで、温度検出部61aはキャビティ内部の温度を検出し、温度検出部61bは外気の温度を検出することができる。そのため、出力制御部62は、外気の温度変動を検出することで、その後に発生するキャビティ10内部の温度変化を予測できる。つまり、出力制御部62は、この予測情報を元に、変位測定部5から出力される撓み情報の変化を予測してより正確な演算処理を実行できるため、外気の温度変化の影響を排除することが可能になる。
さらに、前述の出力制御部62による演算処理で用いた圧力センサ1の固有特性値のうち、熱に関わる特性値をあらかじめ測定しなくても、外気の温度変化による影響を排除できる。例えば、出力制御部62に学習機能を有する制御を行なわせる構成である。一定圧力かつ温度変化する環境に圧力センサ1を予め設置しておき、温度検出部61aおよび61bの温度情報、変位測定部5の撓み情報を元にして、加わる温度変化でどの程度の撓み情報が変化するか、出力制御部62を学習させておく。そのため、実動作における出力制御部62は、温度変化による撓み情報の変化を判別でき、温度変化による影響のみを排除することができる。したがって、出力制御部62が圧力センサ1の製造時の公差による特性値のばらつきを補正するため、ユーザは、圧力センサ1の固有特性を製造時に個別測定することが不要になる。同時に外気の温度変化による圧力センサ1の出力変動を抑制することが可能となる。
「第三の実施形態」
以下、本発明に係る第三の実施形態の圧力センサ1について、図12及び図13を用いて説明する。第三の実施形態に係る圧力センサ1のうち、第一及び第二の実施形態に係る圧力センサと同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る圧力センサ1が第一及び第二の実施形態に係る圧力センサと異なる点は、温度検出部61に加えて温度制御部63を設けることである。温度制御部63は、温度制御素子63aと温度制御回路63bから構成される。また、センサ本体3は、SOI基板2及び電子基板3d、断熱素材(例えばセラミックス等)からなる蓋部3fで構成される。なお、温度補償部6は、温度検出部61及び温度制御部63から構成される。
温度制御部63は、キャビティ10内部の温度を制御する機能を有する。温度制御部63を構成する温度制御素子63aは、電熱素子やペルチェ素子等からなる。温度制御回路63bは、温度検出部61からの温度情報に基づいて、温度制御素子63aの動作を制御する信号を出力するための制御回路である。
ここで、温度制御素子63aが電熱素子からなる場合の構成を図12に示す。ここで、電熱素子とは、例えば、金属細線に電流を印加した際のジュール熱で発熱するヒータ(電熱線)などである。温度制御素子63aは、キャビティ10内部に配置される。また、温度制御回路63bは、基板3d上に配置された温度検出部61からの温度情報に基づいて、温度制御素子63aの温度制御を実行するための信号を生成する。温度制御回路63bがこの信号を温度制御素子63aに通電(出力)することで、温度制御素子63aは入力された信号(電流)に応じて発熱する。この発熱により、キャビティ10内部の温度は、外気より高い一定温度に保たれる。 一方、温度制御素子63aとしてペルチェ素子を用いた場合の構成を図13に示す。温度制御素子63aは、蓋部3fの表裏に貫通するよう設けられる。上述の電熱素子を用いた構成と同様、温度制御回路63bは、温度検出部61からの温度情報に基づく温度制御素子63aの温度制御を実行するための信号を生成し、温度制御素子63aに入力する。温度制御素子63aは、この信号に基づき、キャビティ10内部の温度が一定となるよう、キャビティ10内外方向に熱移動を行う。これにより、キャビティ内部の温度を一定に保つ制御が可能となる。
さらに、図13に示すように、温度制御素子63aの両面各々にはヒートシンク7が設けられる。キャビティ10内部のヒートシンク7により、温度制御素子63aの熱エネルギーをキャビティ10内部へ効率よく伝達することができる。また、キャビティ10外部のヒートシンク7により、キャビティ10内部の温度制御時に移動する熱エネルギーをキャビティ10外部へ効率よく移動させることができる。このため、キャビティ10内部の温度制御を効率よく行うことが可能となる。
なお、キャビティ10内部のヒートシンク7を設置しない構成でも、キャビティ10内部の温度制御は実現可能である。
次に、温度制御部63の機能について説明する。
温度制御部63は、圧力センサ1の外気の温度が変化した場合、キャビティ10内部に設けられた温度検出部61の温度情報を元に、温度制御回路63bから制御信号を出力し、温度制御素子63aの駆動を制御する。具体的には、温度制御部63は、外気の温度がどのように変化しようとも、キャビティ10内部の温度が一定となるよう温度制御素子63aを制御する。
具体的には、例えば、外気の温度が低下すると、外気の熱エネルギーは蓋部3fや電子基板3d等を経由して、キャビティ10内部の空気から外気へと伝達される。つまり、キャビティ10内部の熱エネルギーが外気に奪われるため、キャビティ10内部の空気温度は低下する。この際、温度検出部61は、キャビティ10内部の温度低下を検出し、この温度低下に基づく温度情報を温度制御回路63bへ出力する。すると、温度制御回路63bは、入力した温度情報を元に、キャビティ内部10の温度制御を実行するための制御信号を生成し、温度制御素子63aへと当該制御信号を入力する。ここで、制御信号は、外気の温度低下によるキャビティ10内部の温度低下を抑制するために、キャビティ10内部の温度が上昇するよう、温度制御素子63aを発熱させるための信号である。したがって、温度制御素子63aは、入力された制御信号により、キャビティ10側の表面で発熱することで、キャビティ10内部の温度低下を抑制する。そのため、キャビティ10内部の温度変化は非常に小さくなり、キャビティ10内部の空気はほとんど膨張や収縮しない。つまり、カンチレバー4には差圧による外力が発生しないので、カンチレバー4は撓まない。したがって、外気の温度が変化しても、変位測定部5から出力される撓み情報は変動せず、外気の圧力変動の情報のみを出力することが可能となる。
「第四の実施形態」
以下、本発明に係る第四の実施形態の圧力センサ1について、図14を用いて説明する。第四の実施形態に係る圧力センサ1のうち、第一から第三いずれかの実施形態に係る圧力センサと同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る圧力センサ1が第一から第三いずれかの実施形態に係る圧力センサと異なる点は、温度検出部61、出力制御部62、温度制御部63を設け、かつセンサ本体3の筐体である蓋部3fを低熱膨張・高熱伝導率材料から構成したことである。温度制御部63は、第三の実施形態と同様、温度制御素子63aと温度制御回路63bから構成される。
温度制御部63を構成する温度制御素子63aは、例えばペルチェ素子からなる。温度制御回路63bは、温度検出部61からの温度情報に基づいて、温度制御素子63aの動作を制御する信号を出力するための制御回路である。
蓋部3fは低熱膨張・高熱伝導率材料により構成する。ここで、低熱膨張・高熱伝導率材料とは、例えば、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックスとアルミもしくは銅との複合材、タングステンもしくはモリブデンと銅との複合材、炭素粒子もしくは炭素繊維と金属との複合材等であり、線膨張係数が5×10-5(/K)以下、且つ、熱伝導率が0.2(W/(m・K))以上の材料からなる。
温度制御素子63aは、低熱膨張・高熱伝導率材料からなる蓋部3fの外気と接する面側に設けられる熱電変換素子である。ここで、第三の実施形態と同様に、温度制御回路63bは、キャビティ10内部に設けられた温度検出部61からの温度情報に基づくの信号(温度制御素子63aの温度制御を実行するための信号)を生成し、温度制御素子63aに入力する。すると、温度制御素子63aは、この入力信号に基づき、蓋部3fの温度が一定となるよう熱移動を行う。これにより、蓋部3fは高い熱伝導率材料であるため、温度制御素子63aの熱エネルギーが高速に伝達され、キャビティ10内部の温度を一定に保つ制御が可能となる。
さらに、温度制御素子63aの蓋部3fとの設置面と対向面側には、ヒートシンク7が設けられる。これにより、蓋部3fの温度制御時に移動する熱エネルギーを外気へ効率よく移動させることができる。このため、蓋部3fの温度制御を効率よく行うことが可能となる。
次に、温度制御部63の機能について説明する。
温度制御部63は、圧力センサ1の外気の温度が変化した場合、キャビティ10内部に設けられた温度検出部61の温度情報を元に、温度制御回路63bから制御信号を出力し、温度制御素子63aの駆動を制御する。具体的には、温度制御部63は、外気の温度がどのように変化しようとも、蓋部3fの温度が一定となるよう温度制御素子63aを制御する。温度制御素子63aの熱エネルギーは、高熱伝導率材である蓋部3fを経てキャビティ10内部へと効率よく伝達される。このためキャビティ10内部の温度変化は非常に小さくなり、キャビティ10内部の空気はほとんど膨張や収縮しない。また、蓋部3fは低熱膨張材でもあるため、蓋部3fの温度変化による熱膨張が小さく、キャビティ10内部の容積の変化が非常に小さい。
以上により、外気の温度変化によって、外気とキャビティ10内部には差圧が発生しないため、カンチレバー4は撓まない。したがって、外気の温度が変化しても、変位測定部5から出力される撓み情報は変動せず、外気の圧力変動の情報のみを出力することが可能となる。
さらに、温度制御部63の制御動作にも関わらず、キャビティ10内部の温度が変化する場合、温度検出部61の温度情報に基づいて、変位測定部5の撓み情報を出力制御部62が演算処理して出力する。これにより、キャビティ10内部の温度制御範囲を逸脱するような温度変化が加わっても、温度変化に影響されない正確な圧力変動情報を出力することが可能となる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
また、上述した各実施形態を適宜組み合わせて採用することも可能である。
1 圧力センサ
2 SOI基板
2a シリコン支持層
2b 酸化層
2c シリコン活性層
3 センサ本体
3a 周壁部
3d 電子基板
3e 配線
3f 蓋部
4 カンチレバー
4a 基端部
4b 先端部
5 変位測定部
6 温度補償部
7 ヒートシンク
10 キャビティ
11 連通開口
13 ギャップ
15 貫通孔
16 細溝
20 ピエゾ抵抗
21 配線部
22 検出回路
41 温度検出用カンチレバー
61 温度検出部
62 出力制御部
63 温度制御部
63a 温度制御素子
63b 温度制御回路

Claims (13)

  1. 圧力変動を電気信号に変換して出力する圧力センサであって、
    キャビティと、該キャビティの内部と外部とを連通する連通開口と、が形成されたセンサ本体と、
    基端部から先端部に向けて延びる板状に形成され、前記基端部が前記連通開口の内壁に片持ち状に支持され、前記キャビティの内部と外部との圧力差に応じて撓み変形するカンチレバーと、
    前記カンチレバーの撓み変形に応じた変位を測定する変位測定部と、
    前記キャビティ外部の温度変化による前記電気信号の変動を除去する温度補償部と、
    を備えたことを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記温度補償部は、前記センサ本体に断熱素材を含むことを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  3. 前記温度補償部は、前記キャビティと前記センサ本体との境界に設けられた高比熱材料層を有することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
  4. 前記温度補償部は、予め定めた遮断周波数以下の前記電気信号を遮断するフィルタを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の圧力センサ。
  5. 前記温度補償部は、前記センサ本体周囲の温度変化を検出する温度検出部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の圧力センサ。
  6. 前記温度検出部は、前記キャビティ内部に設けられ当該キャビティ内部の温度を検出することを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
  7. 前記温度検出部は、前記キャビティ内部に設けられ当該キャビティ内部の温度を検出する第1の温度検出部と、前記キャビティ外部に設けられ当該キャビティ外部の温度を検出する第2の温度検出部と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の圧力センサ。
  8. 前記温度補償部は、前記温度検出部が検出した温度変化を表す出力信号に基づいて、前記変位測定部より取得する出力信号に所定の演算処理を施し、当該演算処理された出力信号を前記電気信号として出力する出力制御部を備えることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の圧力センサ。
  9. 前記温度補償部は、前記カンチレバー近傍に設置されたピエゾ抵抗素子を有することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の圧力センサ。
  10. 前記温度補償部は、前記キャビティ内部の温度変化を低減する温度制御部を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の圧力センサ。
  11. 前記温度制御部は、前記センサ本体に設けられ、前記温度検出部の出力信号に基づいて前記センサ本体の温度を制御する温度制御素子を有することを特徴とする請求項10に記載の圧力センサ。
  12. 前記温度制御素子は、前記キャビティ内部の温度を制御することを特徴とする請求項11に記載の圧力センサ。
  13. 前記センサ本体の筐体は、少なくとも前記温度制御素子の設けられる箇所が線膨張率5×10-5(/K)以下、且つ、熱伝導率0.2(W/(m・K))以上の材料からなり、前記温度制御素子は、前記筐体の温度を制御することを特徴とする請求項11に記載の圧力センサ。
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