JP2014140886A - 圧延ロール - Google Patents

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Hiroyuki Tanaka
宏幸 田中
Mitsuhiro Takatsuki
満広 高月
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Abstract

【課題】高負荷領域で使用される場合でもシャフトに対するスリップを十分に防止することが可能な圧延ロールを提供することを目的としている。
【解決手段】シャフト11の外周部に内周部3が嵌合されて軸線O回りに回転させられる環状または筒状のロール本体1を備え、このロール本体1の内周部3は、軸線Oに直交する断面において、軸線Oを中心とする正多角形の各角部が、この角部に交差する正多角形の二つの辺に接する凹曲線によって形成された形状とされて、周方向に隣接する角部における凹曲線の間には正多角形の辺の直線部が残されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸線回りに回転させられるシャフトの外周部に内周部が嵌合されて固定され、熱間圧延等に用いられる圧延ロールに関するものである。
このような圧延ロールとして、本発明の発明者等は、超硬合金からなる外側リング部であって、特許文献1においては内周部の断面形状が略楕円形とされているものを、また特許文献2においては内周面が周方向に沿って滑らかに起伏する凹凸面とされたものを提案している。これらの圧延ロールは、シャフトの外周部にキー嵌合する超硬合金以外の材質からなる内側リングの外周部に嵌合させられて固定され、内周部の断面が非円形状であるのでシャフトに対するスリップを防止できるとされている。
特開昭60−24208号公報 特開昭60−24209号公報
しかしながら、このような特許文献1、2に記載の圧延ロールでも、低負荷領域で使用される場合にはスリップは防げるものの、高負荷領域で使用される場合にはシャフトに対するスリップを十分に防止することが困難となる。これは、内周部の断面が特許文献1のように楕円形であっても、特許文献2のように滑らかに起伏する凹凸状であっても、曲線だけで構成されているので、内側リングの外周部に十分な接触面積で嵌合させることが困難となって、部分的に線接触に近い状態で嵌合することになるためである。
本発明は、このような背景の下になされたもので、高負荷領域で使用される場合でもシャフトに対するスリップを十分に防止することが可能な圧延ロールを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、シャフトの外周部に内周部が嵌合されて軸線回りに回転させられる環状または筒状のロール本体を備え、このロール本体の上記内周部は、上記軸線に直交する断面において、該軸線を中心とする正多角形の各角部が、この角部に交差する上記正多角形の二つの辺に接する凹曲線によって形成された形状とされて、周方向に隣接する角部における上記凹曲線の間には上記辺の直線部が残されていることを特徴とする。
このように構成された圧延ロールでは、ロール本体の内周部の断面が略正多角形とされて、周方向に隣接する角部における上記凹曲線の間には、正多角形の辺の直線部が残されているので、この直線部を形成する平面によってロール本体の内周部をシャフトの外周部に十分な接触面積の面接触で嵌合させることができる。このため、シャフトに対する嵌合強度の向上を図って、高負荷領域においてもスリップの発生を十分に防ぐことが可能となる。
その一方で、ロール本体内周部の断面がなす正多角形は、その各角部が、この角部に交差する上記正多角形の二つの辺に接する凹曲線によって形成された形状とされているので、シャフトに嵌合した際や圧延加工時にこの角部に応力が集中するのを避けることができる。従って、このような応力集中によって角部からロール本体が割損してしまうのを防ぐこともでき、長期に亙って安定した圧延加工を行うことが可能となる。
ここで、ロール本体の内周部の断面がなす上記正多角形は、正三角形、正方形、正五角形、および正六角形のうちいずれか一つであるのが望ましい。正七角形以上であると、各角部を凹曲線によって結んだときに断面が円形に近くなって、シャフトに対するスリップを十分に防止することができなくなるおそれがあり、また辺の直線部の長さを確保して多角形状を維持するために凹曲線部分を短くすると、割損が生じ易くなるおそれがある。
以上説明したように、本発明によれば、ロール本体の内周部を、接触面積を確保しつつ面接触でシャフト外周部に嵌合させることができ、高負荷領域で圧延加工を行う場合でもシャフトに対するスリップを十分に防止することが可能となる。
シャフトに取り付けられた本発明の第1、第2の実施形態のロール本体の軸線に沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態を示す、図1におけるZZ断面図(ロール本体の軸線に直交する断面図)である。 本発明の第2の実施形態を示す、図1におけるZZ断面図(ロール本体の軸線に直交する断面図)である。
図1および図2は本発明の第1の実施形態を示すものであり、また図1は図3とともに本発明の第2の実施形態を示すものでもあり、これら第1、第2の実施形態において共通する部分には同一の符号を配してある。第1、第2の実施形態においてロール本体1は、超硬合金等の硬質材料により環状または筒状に形成され、その外周部は軸線Oを中心とした円筒面状とされるとともに、異形棒鋼を圧延加工する場合など必要に応じて凹溝状のカリバー部2が外周部を軸線O回りに周回するように形成される。
このような第1、第2の実施形態の圧延ロールは、図1に示すように圧延装置のシャフト11に同軸に取り付けられて軸線O回りに回転させられることにより、ロール本体1の外周部によって圧延加工を行う。シャフト11は、鋼材等のロール本体1よりは低硬度の金属材料により形成されて、一端部(図1において左側の端部)に円板状のフランジ部12が一体に形成されるとともに、他端部(図1において右側の端部)には雄ネジ部13が形成されている。第1、第2の実施形態のロール本体1は、その内周部3がシャフト11に嵌合させられた上で、上記雄ネジ部13にナット14がねじ込まれることによりフランジ部12との間に挟み込まれて固定される。
そして、このロール本体1の内周部3は、軸線Oに直交する断面において図2および図3に示すように、軸線Oを中心とした正多角形の各角部が、この角部に交差する上記正多角形の二つの辺に接する凹曲線によって形成された形状とされて、周方向に隣接する角部における上記凹曲線の間には上記辺の直線部が残されている。
ここで、図2に示す第1の実施形態では、内周部3は、正方形の4つの角部が、これらの角部に交差する二辺に接する凹曲線によって形成された断面形状とされている。また、図3に示す第2の実施形態では、内周部3は、正六角形の6つの角部が、これらの角部に交差する二辺に接する凹曲線によって形成された形状とされている。
これら第1、第2の実施形態において、上記角部に交差する二つの辺に接する凹曲線は円弧であり、その半径Rは、第1、第2の実施形態それぞれにおいて等しくされている。さらに、この円弧の半径Rは、上記正多角形に内接する円の直径Dに対して0.05×D≦R≦0.15×Dの範囲とされている。このため、例えば第1の実施形態では、内周部3がなす正方形の辺の部分に、長さLが0.7×D≦L≦0.9×Dの範囲の直線部が残されることになる。
このようなロール本体1の内周部3が嵌合するシャフト11の外周部は、軸線Oに直交する断面において、軸線Oを中心とした正多角形の各角部が、この角部に交差する正多角形の二つの辺に接する凸曲線によって形成された形状とされて、周方向に隣接する角部における凸曲線の間には上記辺の直線部が残されたものとされている。第1、第2の実施形態のロール本体1の内周部3は、このようなシャフト11の外周部に直接嵌合させられている。
従って、第1の実施形態のロール本体1が嵌合するシャフト11の断面は、正方形の各角部が円弧等の凸曲線で形成された形状とされる。また、第2の実施形態のロール本体1が嵌合するシャフト11の断面は、正六角形の各角部が円弧等の凸曲線で形成された形状とされる。なお、ロール本体1の内周部3とシャフト11の外周部とのクリアランスは5μm以下とされている。
このように構成された圧延ロールにおいては、ロール本体1の内周部3が軸線Oに直交する断面において、正多角形の辺の部分に直線部が残されるように角部が凹曲線で形成されているので、上記直線部を形成する平面が内周部3に形成されることになり、このロール本体1が嵌合するシャフト11にも同様の平面が形成されて、これらの平面同士の面接触によってロール本体1がシャフト11に固定される。このため、ロール本体1の内周部3のシャフト11外周部への接触面積を大きく確保してシャフト11に対する嵌合強度を向上させることができ、高負荷領域で圧延加工を行う場合でもスリップの発生を十分に防止することができる。
また、ロール本体1の内周部3の断面がなす正多角形は、その各角部が、該角部に交差する正多角形の二つの辺に接する凹曲線によって形成された形状とされており、角部がそのままとされている場合のように上記二つの辺が角度をもって交差することはない。従って、ロール本体1をシャフト11に嵌合して固定する際や圧延加工中に、このような断面で二つの辺が角度をもって交差した角部に応力集中が生じることもなく、ロール本体1が超硬合金のような硬くて脆い材質であっても、角部からロール本体1に割損が生じるのを防ぐことができる。
さらに、ロール本体1の内周部3の断面がなす正多角形が、第1の実施形態では正方形とされ、第2の実施形態では正六角形とされていて、正七角形未満の正多角形とされている。このため、角部を上記二つの辺に接する凹曲線で結んだときに内周部3の断面が円形に近くなってしまうのを防いで、シャフト11に対するスリップを一層確実に防止することができる。
ただし、このロール本体1の内周部3の断面がなす正多角形が正三角形であると、凹曲線によって結ばれていても正三角形の各角部の位置と各辺の中点の位置とでロール本体1の内周部3と外周部との間の肉厚が大きく異なってしまい、ロール本体1の剛性が部分的に変化して安定した圧延加工を行うことができなくなったり、各角部が鋭角であるために割損が生じ易くなったりするおそれがある。このため、ロール本体1の内周部3の断面がなす正多角形は、第1の実施形態のような正方形、または第2の実施形態のような正六角形、あるいは正五角形とされるのがより望ましい。
さらにまた、上記第1、第2の実施形態では、ロール本体1の内周部3の断面がなす正多角形の各角部において上記二つの辺に接する凹曲線は円弧とされており、この円弧の半径Rが、上記正多角形に内接する円の直径Dに対して0.05×D≦R≦0.15×Dの範囲とされている。このため、一層確実にロール本体1の割損を防ぎつつシャフト11との接触面積を確保してスリップを防止するとともに、安定した圧延加工を行うことが可能となる。
すなわち、上記円弧の半径Rが上記正多角形の内接円の直径Dに対して0.05×D未満と小さくなると、角部に過度の応力集中が発生してロール本体1の割損を招きやすくなるおそれが生じる。その一方で、半径Rが上記内接円の直径Dに対して0.15×Dを上回るほど大きいと、直線部が短くなって断面が円形に近づいてスリップを十分に防止することができなくなったり、シャフト11からロール本体1に回転トルクを確実に伝達することができなくなったりするおそれが生じる。
なお、これら第1、第2の実施形態ではこのように上記凹曲線が円弧とされているが、例えば楕円弧のような曲率半径が変化する凹曲線であってもよい。ただし、その場合でも曲率半径は上述の範囲であるのが望ましい。
また、シャフト11は、第1、第2の実施形態のロール本体1の内周部3の断面と上記クリアランスの範囲で略等しい断面形状とされているが、例えば角部の部分は、内周部3の断面がなす角部の円弧の半径Rよりもやや大きな半径とされていてもよく、場合によっては面取りされていてもよい。
1 ロール本体
3 ロール本体1の内周部
11 シャフト
O ロール本体1の軸線
R 凹曲線(円弧)の半径
D 正多角形に内接する円の直径
L 直線部の長さ

Claims (2)

  1. シャフトの外周部に内周部が嵌合されて軸線回りに回転させられる環状または筒状のロール本体を備え、このロール本体の上記内周部は、上記軸線に直交する断面において、該軸線を中心とする正多角形の各角部を、この角部に交差する上記正多角形の二つの辺に接する凹曲線によって結んだ形状とされて、周方向に隣接する角部における上記凹曲線の間には上記辺の直線部が残されていることを特徴とする圧延ロール。
  2. 上記正多角形は、正三角形、正方形、正五角形、および正六角形のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の圧延ロール。
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