JP2014140801A - 粒子製造装置及び粒子製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子を噴射造粒法で製造するに際し、安定した液滴形成を行う粒子製造装置の提供。
【解決手段】少なくとも1つの吐出孔から粒子組成液を吐出して液滴化する液滴吐出手段と、上記液滴を固化する固化手段と、を有する粒子の製造装置であって、前記粒子組成液は、粒子化成分が溶媒に溶解もしくは分散してなるものであるか、または粒子化成分が溶融したものであり、前記液滴吐出手段に連通する粒子組成液の流路に、構造コンプライアンスが1.0×10−7〜1.0×10−10[m/Pa]の構造部分備えたことを特徴とする粒子製造装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、粒子の製造装置、粒子の製造方法及び電子写真用トナーに関するものである。
従来、電子写真記録方法に基づく複写機、プリンター、ファックス、およびそれらの複合機に使用される静電荷像現像用トナーの製造方法としては粉砕法のみであったが、近年では重合法と呼ばれる、水系媒体中でトナー粒子形成する工法が広く行なわれ、粉砕法を凌駕する勢いである。重合法により製造されたトナーは「重合トナー」、または国によっては「ケミカルトナー」と呼ばれている。
重合法はトナー粒子形成時、あるいはその過程においてトナー原材料の重合反応を伴うことから、このように称される。各種重合方法が実用化されており、懸濁重合、乳化凝集、ポリマー懸濁(ポリマー凝集)、エステル伸長反応等がある。
重合法で得られたトナーは総じて、粉砕法で得られたトナーに比べ、小粒径のものが得易い、粒径分布が狭い、形状が球形に近いといった特徴によって、これを用いることで電子写真方式での画像は高画質を得やすい利点がある。しかしその反面、重合過程に長時間を必要とし、さらに固化終了後に溶媒とトナー粒子とを分離し、その後洗浄・乾燥を繰り返す必要が有り、多くの時間と、多量の水、エネルギーを必要とするという欠点がある。
そのため、トナーの原材料成分を有機溶媒に溶解または分散した液体(以下トナー組成液)を、様々なアトマイザを用いて粒子化した後に乾燥させて粉体状のトナーを得る噴射造粒法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。この方法によれば、水を用いる必要が無いため、洗浄や乾燥といった工程を大幅に削減することができるため、重合法の欠点を回避することができる。
特許文献1〜3に示されたトナーの製造方法においては、ノズルからノズル径に対応した液滴を放出するものである。この方法ではトナー組成液を噴霧した後において、形成された液滴が乾燥する前に液滴同士が合着し、その状態のまま溶媒が乾燥してトナーが得られるため、結果として得られるトナーの粒度分布の広がりが避けられず、粒径分布としては満足のいくものでなかった。
このような課題に対して、本出願人が提案した特許文献4に記載されている噴射造粒によるトナー製造方法は、多量の洗浄液、溶媒と粒子の分離の繰り返しが不要で、非常に製造効率が高く、かつ省エネルギーで、粒径分布の狭いトナーを製造できる。
しかしながら、これらの方法では、トナー成分の溶解または分散液を多数の液柱共鳴液室を介して吐出孔より一度に噴射させた場合、送液流路内部の慣性力による液の振動で液室内部の圧力が長周期で変動する。この圧力変動が大きいと吐出孔から液が滲みだす現象(オーバーシュート)が生じ、吐出することができなくなってしまうため、吐出量が十分に確保できない問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、安定した液滴形成が可能な噴射造粒法による粒子製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴は以下のとおりである。
少なくとも1つの吐出孔から粒子組成液を吐出して液滴化する液滴吐出手段と、上記液滴を固化する固化手段と、を有する粒子の製造装置であって、前記粒子組成液は、粒子化成分が溶媒に溶解もしくは分散してなるものであるか、または粒子化成分が溶融したものであり、前記液滴吐出手段に連通する粒子組成液の流路に、構造コンプライアンスが1.0×10−7〜1.0×10−10[m/Pa]の構造部分備えたことを特徴とする粒子製造装置。
本発明の噴射造粒法を用いる粒子製造装置によれば、初期正常吐出率が高く、安定して液滴を形成することができるので、粒子の生産性を向上させることができる。
液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。 吐出口の断面図である。 N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 N=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。 液滴吐出の様子を示す図である。 駆動周波数と液滴吐出速度周波数特性を示す特性図である。 粒子製造装置の概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 本発明における液滴吐出工程へ粒子組成液を導入するための経路を示す図である。 本発明における液滴吐出工程へ粒子組成液を導入するための経路を示す図である。 実施例1における液滴吐出後の圧力変動を図13に示す。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明の粒子製造装置の一例を以下、図1〜図10を用いて説明する。本発明の粒子の製造装置は液滴吐出手段と液滴固化捕集手段とを含む。それぞれ下記で解説する。
[液滴吐出手段]
本発明で用いる液滴吐出手段は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられ、膜振動タイプの液滴吐出手段は例えば特開2008−292976号公報に、液振動タイプの液滴吐出手段は特開2010−102195号公報にそれぞれ記載されている。
液滴の粒径分布を狭くし、粒子の生産性を確保するためには、例えば、液滴化液柱共鳴を利用することができる。液滴化液柱共鳴では、複数の吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された吐出孔から液体を吐出する。
[液柱共鳴吐出手段]
液滴吐出手段の好ましい例としては液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段を挙げることができる。以下ではこの液柱共鳴吐出手段について説明する。
図1に液柱共鳴液滴吐出手段11を示す。液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
本発明では粒子を形成する成分を含んだ液を粒子組成液という。粒子組成液は吐出手段より吐出されるものであり、吐出させる条件下で液体であればよい。この粒子組成液は得ようとしている粒子を形成する成分(粒子化成分)が溶媒に溶解もしくは分散してなるものであるか、または粒子化成分が溶融したものである。以下では、粒子がトナーである場合には「粒子組成液」を「トナー組成液」という場合がある。
粒子組成液14は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、粒子組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。
この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。
定在波の腹となる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過した粒子組成液14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内の粒子組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給される粒子組成液14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内に粒子組成液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内に粒子組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過する粒子組成液14の流量が元に戻る。
液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、金属やセラミックス、シリコンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。また、図1に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図2に示す液柱共鳴液室18の幅Wは、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが望ましい。更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されているほうが好ましい。その範囲に限定はないが、100〜2000個の液柱共鳴液室18が備えられた1つの液滴形成ユニットであれば操作性と生産性が両立でき、もっとも好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18と連通している。
また、液柱共鳴液滴吐出手段11における振動発生手段20は所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が望ましい。弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。圧電体は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが望ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が望ましい。
更に、吐出孔19の開口部の直径は、1[μm]〜40[μm]の範囲であることが望ましい。1[μm]より小さいと、形成される液滴が非常に小さくなるため粒子を得ることができない場合があり、また粒子の構成成分として顔料などの固形微粒子が含有された構成の場合吐出孔19において閉塞を頻繁に発生して生産性が低下する恐れがある。また、40[μm]より大きい場合、液滴の直径が大きく、これを乾燥固化させて、所望の粒子粒子径3〜6μmを得る場合、溶媒で粒子組成を非常に希薄な液に希釈する必要がある場合があり、一定量の粒子を得るために乾燥エネルギーが大量に必要となってしまい、不都合となる。また、図2からわかるように、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することは、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
吐出孔19の断面形状は図1等で開口部の径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
図3に吐出孔19の取りうる断面形状を示す。(a)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜41が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
(b)は吐出孔19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度44は適宜変更することができる。(a)と同様のこのノズル角度によって薄膜41が振動したときの吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、その範囲60〜90°が好ましい。60°以下は液に圧力がかかりにくく、さらに薄膜41の加工もし難いため好ましくない。ノズル角度44が90°である場合は(c)が相当するが出口に圧力がかかりにくくなるため、90°が最大値となる。90°以上は孔12の出口に圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。
(d)は(a)と(b)を組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室内の粒子組成液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質である粒子組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・(式1)
の関係にある。
また、図1の液柱共鳴液室18において固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとする。そして、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80[μm])は連通口の高さh2(=約40[μm])の約2倍あり当該端部が閉じている固定端と等価であるとする。このような両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の式2で表現される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数)
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも上記式2が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式1と上記式2より、
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
と導かれる。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図4にN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図5にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来は疎密波(縦波)であるが、図4及び図5のように表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図3の(a)からわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4及び図5のような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波のパターンは変動し、上記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れる。この場合には、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。例えば、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]と、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれる。このように同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出孔の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出孔の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4の(b)及び図5の(a)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出孔側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい構成である。
また、吐出孔の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば吐出孔の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離をLeとする。このとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出孔19において連続的に液滴吐出が発生するのである。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出孔19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。また、吐出孔19は1つの液柱共鳴液室18に1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましい。具体的には、2〜100個の間であることが好ましい。
100個を超えた場合、100個の吐出孔19から所望の液滴を形成させようとすると、振動発生手段20に与える電圧を高く設定する必要が生じ、振動発生手段20としての圧電体の挙動が不安定となる。また、複数の吐出孔19を開孔する場合、吐出孔間のピッチは20[μm]以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。吐出孔間のピッチが20[μm]より小さい場合、隣あう吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率が高くなり、粒子の粒径分布悪化につながる。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図6を用いて説明する。なお、同図において、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、同図において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上である。このため図6では、液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図6の(a)は液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。
また、図6の(b)は液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a),(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6の(c)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
そして、図6の(d)に示すように、吐出孔19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18への粒子組成液14の充填が始まる。その後、図6の(e)に示すように、吐出孔19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、粒子組成液14の充填が終了する。そして、再び、図6の(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔19から液滴21が吐出される。
このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生する。そして、圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。この一例は、図1において液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置し、駆動周波数を340[kHz]のサイン波で行った吐出をレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を図7に示す。同図からわかるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現していた。また、図8は駆動周波数290[kHz]〜395[kHz]の同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。同図からわかるように、第一〜第四のノズルにおいて駆動周波数が340[kHz]付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっていた。この結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340[kHz]において、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図8の特性結果から、第一モードである130[kHz]においての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340[kHz]においての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
[液滴固化]
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させた粒子組成液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明の粒子(又はトナー)を得ることが出来る。
[液滴固化手段]
液滴を固化させるには、液滴噴射後、搬送気流中で液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。
[固化粒子捕集手段]
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
図9は、本発明の粒子の製造方法を実施する装置一例の断面図である。粒子製造装置1は、主に、液滴吐出手段2及び乾燥捕集ユニット60を含んで構成されている。
液滴吐出手段2には、粒子組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されている粒子組成液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内の粒子組成液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、粒子組成液14を随時液滴吐出手段2に供給できる。液供給管16にはP1、乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、粒子組成液1が孔12から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流(搬送気流)101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、固化粒子捕集手段62によって捕集される。
[搬送気流]
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流101は図10に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と垂直方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することが出来る。あるいは図示していないが角度を持っていても良く、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図10に示すように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用を期待して付与しても良い。
搬送気流101は特に気流の状態として限定されることは無く層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流101を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いても良い。また、搬送気流101の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。またチャンバー61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流101は液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61に付着することを防止することに用いても良い。
[二次乾燥]
図8で示された乾燥捕集手段によって得られた粒子に含まれる残留溶媒量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。溶媒が粒子中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等の粒子特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において溶媒が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
[送液部の弾性部材]
本発明においては、送液部の流路に構造コンプライアンスが1.0×10−7〜1.0×10−10[m/Pa]の構造部分を有するようにする。
構造部分が前記の構造コンプライアンス値を有するようにするには前記構造部分が弾性部材からなる部分を有することが好ましい。弾性部分は、送液管路の一部に設けられ、その壁面の一部分が薄膜となり、弾性体として機能することが望ましいが、構造コンプライアンスが1.0×10−6〜1.0×10−12[m/Pa]の範囲であればどのような形態でも構わない。
<構造コンプライアンスの定義>
コンプライアンスとは、液体の持つ圧縮の度合いを表したものであり、単位圧力あたりの体積変位量と定義されるものであり、単位は[m/Pa]である。
構造コンプライアンスとは、ある容器に液体を密閉し、これを圧縮した時の単位圧力あたりの体積変位量であるが、このとき、容器の変形による体積変化を含むものを構造コンプライアンスと定義する。
<構造コンプライアンスの計測方法>
構造コンプライアンスの測定方法について以下述べる。
まず、対象となる容器や配管にシリンジを用いて対象液体を充填し、更に加圧する。
系の一部に圧力センサー(キーエンス製AP10−S/AP−V80)を配置し、所定圧力時のシリンジの変化量を読み取り、体積を測定する。
構造コンプライアンスを大きくする方法としては、以下の(1)〜(3)の方法が実施可能である。
(1)流路の全体または一部分を、強度の低い薄膜材料から構成することで、薄膜の撓みを利用して構造コンプライアンスを大きくする。
上記薄膜の材料としては、アルミニウムやSUS、ニッケルなどの金属、PETなどの樹脂フィルムなどを用いることができ、使用する液体への耐薬品性などを考慮して選択することができる。有機材料の場合は樹脂フィルムが溶解してしまうことがあるため、金属材料が好適である。
(2)流路の全体または一部分を、蛇腹のような屈曲部を有する形態とし、伸縮可能にすることで構造コンプライアンスを大きくする。
(3)流路の一部に圧縮性をもつ部材を設ける。圧縮性をもつ部材としてはシリコーン樹脂などの弾性部材があげられる。
上記のような構造コンプライアンスを大きくする手段のいずれを用いても、本発明の課題の達成は可能であるが、本発明の実施例においては、前記(1)の方法を用いた。
前記(1)の方法によって構造コンプライアンスを大きくするための流路の一例を図11及び図12に示す。
図11に示したものは、構造体部分を直方体形状としたものであり、図11(a)は流路に沿った縦断面図であり、図11(b)は図11(a)におけるA−A断面図である。
構造体部分の壁面の一部には長方形の膜を70が設けられている。図11(a)に示されるように、この例では、構造コンプライアンスを大きくする構造部分の流路の断面積を前後の流路の断面積よりも大きくしている。この様な構造とすることが粒子組成液の圧力変動幅を小さくする観点からは好ましい。
実施例で用いたものは、この断面図において流路深さDを3mmとした。流路の壁面厚Eは2mmであり、直方体形状の構造体部分の材料はSUSとした。
構造コンプライアンスを大きくする構造部分の流路の断面積を前後の流路の断面積よりも大きくした場合、弾性部分を有する部材への導入口は、下部に設けられ、吐出部材2への排出口は上部に配置されることが、充填時に空気を残存させないような構造として好ましい。また、液の存在する空間の内部には鋭角な部分を形成しないような構造も、充填時に空気を残存させないような構造として好ましい。
弾性部分は、所望の構造コンプライアンスを与える形状、材質であり、かつ液に対して化学的に耐性のあるものであればどのようなものでも構わない。構造コンプライアンスを大きくしたい場合、ヤング率の小さな樹脂性の薄膜が好ましいが、この場合化学的に耐性の高い部材または高い材質でコーティングされた部材が好ましい。例えばPTFEなどである。
また、機械的強度を保つために金属部材を使用することも可能である。金属部材の一例として、SUS404、アルミ、ニッケルなどが上げられる。
薄膜は、長方形の場合流路長手方向が1〜10cm、短手方向が0.5〜1cmであった。この形状は円形でも正方形でもどのような形状でもよい。
薄膜の厚さは0.05〜1mmの範囲であることが、機械的強度を保ち、かつ構造コンプライアンスを1.0×10−6〜1.0×10−12[m/Pa]の範囲に保つのに好適である。
上記の例では弾性部分を有する空間は、上記のように吐出部材2の上流側にあることが好ましいが、吐出工程の後に配置しても、機能を発揮することができる。
図12に示したものは、弾性部分を有する構造部分を吐出部材の後に設置した例である。
この構造部分の構成は図11に示したものと同じものであるが、図11に示したものにおける導入口に相当する部分が吐出部材に連通し、排出口に相当する部分は盲管となっている。
また、弾性部分を有する空間はポンプやフィルター等の圧力を変動させる要素の下流側であればどこに設けても良いが、吐出部材の近傍に設けることがより好ましい。
次にトナーについて説明する。
本発明は、粒子の製造方法に関するものであるが、この粒子を電子写真用のトナーとして使用することも可能である。以下にトナーとしての説明を記載する。当然、成分を適切に選ぶことにより、他の粒子の製造も行うことができる。
本発明のトナーは少なくとも樹脂を含有し、必要に応じて、着色剤、ワックス、帯電調整剤、添加剤およびその他の成分を含有する。
次にトナーについて説明する。
本発明で用いる「トナー組成液」について説明する。トナー組成液は上記トナー成分が溶媒に溶解又は分散した状態の液体である。
トナー材料としては、上記のトナー組成液を調製することが出来れば、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
〔樹脂〕
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができる。結着樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
結着樹脂の性状としては溶媒に溶解することが望まく、この特徴を除けば従来公知の性能を持っていることが望ましい。
〔結着樹脂の分子量分布〕
結着樹脂のGPC(ゲルパーメンテーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100[%]となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
次にトナーについて説明する。
〔結着樹脂の酸価〕
結着樹脂の酸価が0.1〜50[mgKOH/g]を有する樹脂を60[質量%]以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、JIS K−0070に準じて測定したものである。
〔磁性体〕
本発明で使用できる磁性体としては、従来電子写真トナーに用いられる公知のものを使用することが出来る。磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100部に対して、磁性体10〜200部が好ましく、20〜150部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2[μm]が好ましく、0.1〜0.5[μm]がより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
〔着色剤〕
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15[質量%]が好ましく、3〜10[質量%]がより好ましい。
本発明により得られるトナーで用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチは顔料を予め分散させるためのものであり、顔料の充分な分散が得られていれば用いなくても良い。マスターバッチは一般的に顔料と樹脂とを高せん断をかけることで樹脂中に顔料を硬度に分散させたものである。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することが出来る。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100部に対して、0.1〜20部が好ましい。
マスターバッチ製造時に顔料の分散性を高めるために分散剤を用いてもよい。分散剤は顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、従来公知の分散剤を用いることができ、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10[質量%]の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1[質量%]未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10[質量%]より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100部に対して1〜200部であることが好ましく、5〜80部であることがより好ましい。1部未満であると分散能が低くなることがあり、200部を超えると帯電性が低下することがある。
<ワックス>
本発明で用いるトナー組成液は、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有する。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができる。ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスの融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140[℃]であることが好ましく、70〜120[℃]であることがより好ましい。70[℃]未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140[℃]を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100部に対し、0.2〜20部が好ましく、0.5〜10部がより好ましい。
本発明では、DSC(ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー)において測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/min]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
<溶媒>
溶媒としては、結着樹脂を溶解し、着色剤、離型剤等の分散体を安定に分散できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー組成液を気相中で液滴化し乾燥してトナーを製造する場合に用いられるため、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。乾燥の観点から、溶媒の沸点は100℃以下が、乾燥速度が速く、好ましい。
溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の粒子組成液の固形分濃度は液滴化が正常にできれば、制限はない。ただし、粒子組成液の固形分濃度は、低い方が好ましく、30%以下が好ましい。さらに好ましくは、5〜20%である。
液滴吐出開始後に、溶媒から、粒子組成液に変更するため、溶液粘度、液の音速、液の表面張力などの物性の変化が少ない方が、吐出条件を大きく変える必要がなく、好ましいため、粒子組成液の固形分濃度は低い方が好ましい。ただし、粒子組成液の固形分濃度があまり低すぎると、乾燥エネルギーなどが増大して、生産面での効率が低下して好ましくない。
本発明に係るトナーには、他の添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でその表面をシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
前記添加剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、等公知のものを使用できる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理剤により、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自身の劣化を防止することができる。前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが好適に挙げられる。
前記外添剤の一次粒子径としては、5[nm]〜2[μm]であることが好ましく、5[nm]〜500[nm]であることがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合としては、トナーの0.01〜5[重量%]であることが好ましく、0.01〜2.0[重量%]であることがより好ましい。
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1[μm]のものが好ましい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下で示す「部」は部を表す。
まず、実施形態で用いた溶解乃至分散液の処方を示す。
なお、噴射条件は後述の通りである。
<スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液の調製>
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂1部に対し、酢酸エチル9部を混合させ、樹脂を完全に溶かし、スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液を調製した。なお、スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の質量平均分子量は4.5万、ガラス転移温度は59℃であった。
<着色剤分散液の調製>
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20部、顔料分散剤2部を、酢酸エチル78部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、1μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通過させ、サブミクロン領域まで分散させた分散液を調製した。
<カルナバワックス分散液の調製>
カルナバワックス(東亜化成株式会社製)1部、酢酸エチル4部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌しカルナバワックスを溶解させた後、急冷してカルナバワックスの微粒子を析出させた。このカルナバワックス分散液を直径0.1μmのジルコニアビーズを充填したスターミルLMZ06(アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散し、カルナバワックスの平均粒径が0.3μm、最大粒径が0.8μm以下になるように調整した。前記カルナバワックスの粒径測定には、マイクロトラック社製のNPA150を用いた。
<トナー組成液の調製>
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の溶解液1000部、着色剤分散液25部、カルナバワックス分散液50部、及び酢酸エチル80部を混合した。この混合液を目開き1μmのフィルターを通し、固形分が10%のトナー組成液を調整した。
<トナー製造装置>
図9に示される構成のトナー製造装置1を用い、トナーの製造を行った。
トナー製造装置1の各構成物のサイズ・条件を以下に示す。
(トナー捕集部)
チャンバ61の内径はφ400mm、高さは2000mmの円筒形で垂直に固定されており、上端部と下端部が絞られており、搬送気流導入口の径はφ50mm、搬送気流出口の径はφ50mmである。液滴吐出手段2はチャンバ61内上端より300mmの高さでチャンバ61の中央に配置されている。合一防止気流は10.0m/s、40℃の窒素とした。
(液柱共鳴液滴吐出手段)
液滴吐出手段としては図1に示す構造の液柱共鳴液滴吐出手段を用いた。
液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を1つ配置したものを用いた。なお、吐出ユニットは、液柱共鳴室が1,280個集積したものを用いた。
機械的振動手段に与えるサイン波駆動信号発生源はNF社ファンクションジェネレーターWF1973を用い、ポリエチレン被覆のリード線で振動発生手段に接続した。この時の駆動周波数は液共鳴周波数に合わせて330[kHz]となる。
<粒度分布の評価方法>
得られたトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5mL添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は、装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。なお、本測定法は、粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
トナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出し、得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めた。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(Dn)で除したD4/Dnを用いた。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
[実施例1]
(トナー組成液)
貯留部13に収容したトナー組成液14をスターラー攪拌しながら−90kPaに減圧し、脱気処理を済ませた。
(弾性体を有する構造部分)
弾性体を有する構造部分としては図11に示される構造のものを用いた。
図11(b)に示される断面図において流路深さDを3mmとした。流路の壁面厚Eは2mmとし直方体形状の構造体部分の材料をSUSとした。
弾性部分としては、幅1cm×長さ8cm、厚さ50μmのアルミ製薄板を用いた。このときの、弾性部分の構造コンプライアンスは5.4x10−8[m/Pa]であった。
(液滴吐出−液滴固化)
駆動電圧を10.0Vとし、周波数を330kHzとした。
吐出したトナー組成液をチャンバー内で乾燥固化して、トナー粒子をサイクロン捕集機で捕集した。トナー貯蔵容器よりトナーを取り出し、実施例1のトナーを得た。
液流動の安定性を評価するために、吐出工程2と弾性部分を有する空間の中間に、液圧力を計測する圧力センサー(キーエンス製 AP10−S/AP−V80)を挿入した。
吐出開始の際、全1,280個の液柱共鳴流路全ての機械的振動手段を駆動させ、全吐出孔より同時に液滴を吐出開始したが、流路内の圧力変動はオーバーシュートすることなく、安定に吐出開始することができた。このときの圧力変動を図13に示す。
実施例1のトナー粒子について粒径を測定した。重量平均粒径(D4)は5.3μm、個数平均粒径(Dn)は4.9μm、D4/Dnは1.08であった。
[実施例2]
アルミ製薄板の厚みを100μmとし、かつ、図12に示すように弾性部分を有する空間を、吐出工程の後に設置したことを除いては実施例1と同様にしてトナーを作製した。
得られたトナー粒子について粒径を測定したところ、重量平均粒径(D4)は5.3μm、個数平均粒径(Dn)は5.0μm、D4/Dnは1.07であった。
[実施例3〜6]
弾性部分の材料として表1に示すものを用いたことを除いては実施例1と同様にしてソナーを作製した。
得られたトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)、D4/Dnを表1に示す。
[比較例1]
トナー組成液の導入経路に弾性部分を有する空間を設けなかったことを除いては実施例1と同様にしてソナーを作製した。
得られたトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)、D4/Dnを表1に示す。
[比較例2]
弾性部分の材料として表1に示すものを用いたことを除いては実施例1と同様にしてソナーを作製した。
得られたトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)、D4/Dnを表1に示す。
表1に、各実施例と比較例の弾性部分の形態、材質、構造コンプライアンスの数値を掲載する。また、吐出安定性を評価するために圧力測定をした結果、オーバーシュートした場合の圧力の最大値、10秒後に吐出している割合、参考に、粒子径測定の結果を掲載する。
以上のように、実施例1〜6は、初期正常吐出率が高く、良好な吐出が得られている。
また、弾性部分を有する空間を設けなかった比較例1では吐出不良の増大により微小な液滴が放出され、それが乾燥捕集されることによって微小粒子が増大したものと推測される。
また、比較例1、2では構造コンプライアンスが本件発明で規定する数値範囲外であったため、オーバーシュートによって吐出不良がおこり、10秒後における吐出可能なノズル数の割合が少なくなっている。
1:トナー製造装置
2:液滴吐出手段
6:トナー組成液供給口
7:トナー組成液流路
8:トナー組成液排出口
9:弾性板
10:液柱共鳴液滴吐出ユニット
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:トナー組成液収容部
14:トナー組成液
15:液循環ポンプ
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴流路
19:吐出孔
20:振動発生手段
21:液滴
24:ノズル角度
60:乾燥捕集手段
61:チャンバー
62:固化粒子捕集手段
63:固化粒子貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
70:膜
71:粒子組成液流路
P1:液圧力計
P2:チャンバー内圧力計
特許第3786034号公報 特許第3786035号公報 特開昭57−201248号公報 特開2006−293320号

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの吐出孔から粒子組成液を吐出して液滴化する液滴吐出手段と、上記液滴を固化する固化手段と、を有する粒子の製造装置であって、前記粒子組成液は、粒子化成分が溶媒に溶解もしくは分散してなるものであるか、または粒子化成分が溶融したものであり、
    前記液滴吐出手段に連通する粒子組成液の流路に、構造コンプライアンスが1.0×10−7〜1.0×10−10[m/Pa]の構造部分備えたことを特徴とする粒子製造装置。
  2. 前記構造部分の構造コンプライアンスが1.0×10−8〜1.0×10−9[m/Pa]であることを特徴とする請求項1に記載の粒子製造装置。
  3. 前記構造部分が液体流路の配管の一部に設けられた配管部分であり前記配管部分の壁面の一部分が、金属薄膜で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子製造装置。
  4. 前記構造部分が液体経路の流路の一部に設けられた配管部分であり前記配管部分の壁面の一部分が、樹脂薄膜で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子製造装置。
  5. 前記液滴吐出手段が、吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の液体に、機械的振動手段によって振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された上記吐出孔から上記液体を吐出して液滴化するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子製造装置。
  6. 前記定在波の腹となる領域の少なくとも一つに対して、複数の上記吐出孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の粒子製造装置。
  7. 液滴吐出手段が、複数の液柱共鳴流路が100〜1,300本を並列させたユニットで構成され、前記ユニットの直前に、前記構造部分が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粒子製造装置。
  8. 少なくとも1つの吐出孔から粒子組成液を吐出して液滴化する液滴吐出工程と、上記液滴を固化する固化工程と、を有するトナーの製造方法であって、前記粒子組成液は、微粒子化成分が溶媒に溶解もしくは分散してなるものであるか、または微粒子化成分が溶融したものであり、前記液滴吐出工程を行う吐出手段に連通する流路が構造コンプライアンスが1.0×10−7〜1.0×10−10[m/Pa]の構造部分を備えていることを特徴とする粒子の製造方法。
  9. 前記粒子が電子写真用トナーであることを特徴とする請求項8に記載の粒子の製造方法。
  10. 請求項8に記載の製造方法により得られる電子写真用トナー。
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