JP2014139114A - 光ファイバ母材、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空孔付き光ファイバの長手方向に垂直な断面において、空孔の位置ズレを抑制することが可能な光ファイバ母材、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス部34に少なくとも1つ以上の空孔33を有する光ファイバ母材30Aであって、光ファイバ母材30Aの長手方向に垂直な面において光ファイバ母材30Aの中心と空孔33との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材30Aの外径が長手方向に変化し、かつ長手方向に沿って光ファイバ母材30Aの外径と空孔位置の比が一定であることを特徴とする。また、この光ファイバ母材30Aを線引きして、光ファイバ300を製造する。
【選択図】図9

Description

本発明は、光ファイバ母材、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法に関する。
空孔付き光ファイバは、導波方向に対して連続した空孔を複数有する光ファイバであり、その空孔により、従来の光ファイバでは実現できない光学特性を有することが知られている。このような空孔付き光ファイバは、総称してホーリーファイバ(Holey Fiber、HF)とも呼ばれている。ホーリーファイバは、その導波構造によって、フォトニック結晶ファイバ(Photonic Crystal Fiber、PCF)や空孔アシストファイバ(Hole−Assisted Fiber、HAF)などの種類がある。
空孔付き光ファイバは、空孔が設けられた光ファイバ母材(空孔付きプリフォーム)を線引きすることによって得られる。空孔付きプリフォームは、例えば、光ファイバ母材に対して、ドリルによる穿孔加工を行うことによって孔開するドリル法などの孔開方法によって得られる(例えば、特許文献1〜4参照)。
さらに、空孔付き光ファイバは、空孔内面の粗さや空孔中の洗浄度合いが損失に影響するため、空孔付きプリフォームの段階で、空孔内の平滑化処理、脱水処理、エッチング処理などが行われ、その後、線引き工程まで空孔内への水および不純物混入を防止するために、空孔末端が封止される。空孔付き光ファイバの線引きは、空孔付きプリフォームの一端から、空孔内を加圧し、その圧力を制御しながら行われる。これにより、所望の空孔径を有する空孔付き光ファイバが得られる(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−293562号公報 特開2003−206149号公報 特開2010−173917号公報 米国特許第8181487号明細書
空孔付きプリフォームにおいて、長手方向と垂直な断面内における空孔の位置は、線引き後の光ファイバの光学特性に大きく影響することが知られている。したがって、所望の光学特性を有する空孔付き光ファイバを製造するためには、光ファイバ母材の断面において、予め定められた適正な位置であって、光ファイバ母材の長手方向に対して鉛直に、貫通孔を形成する必要がある。
光ファイバ母材に対する貫通孔の形成工程においては、ドリルによる穿孔加工により、穿孔工具であるドリルツールを回転させながら、光ファイバ母材の軸方向に沿って、貫通孔を形成する。
図1(a)に示すように、穿孔加工に用いられる穿孔装置40は、回転体のスピンドル41と、穿孔加工に用いられるドリルツール42と、光ファイバ母材43を把持する把持部44とから概略構成されている。また、ドリルツール42は、図1(b)に示すように、中空のパイプ45と、その先端部に設けられ、円筒状のダイヤモンド砥粒が付着している砥石部46とを備えている。砥石部46の外径は、光ファイバ母材43の外径、線引き後の光ファイバの空孔の設計外径および光ファイバの外径に応じて決定されるが、約1.5〜15mmである。
空孔付き光ファイバの生産性の向上およびコストの低減を図るためには、より長い空孔付きプリフォームを作製する必要があり、光ファイバ母材の長さとドリルツールの長さも長くしなければならない。しかしながら、石英は脆性材料のため、硬いが非常に脆く、壊れやすい材料であるので、その加工長に制限がある。例えば、現状の穿孔装置では、直径2mmの空孔を穿孔する場合は長さ200mm程度、直径4mmの空孔を穿孔する場合は長さ400mm程度の加工長が限界であった(特許文献2、3)。空孔の加工長に限界が生じる理由は、空孔の直径が小さくなる程、穿孔加工に使用するドリルツール、例えば、先端にダイヤモンド粒子を埋め込んだ、パイプ状のドリルツールの剛性に限界があり、加工長が長くなると、空孔の直進性が失われ、そして、光ファイバ断面における空孔位置の設計からズレが生じてしまい、加工精度が保てなくなるからである。
また、特許文献3には、空孔付き光ファイバの低コスト化を図るため、ドリル法により、最初に1本の短い光ファイバ母材に空孔を形成し、次に、空孔を形成した母材を数本に延伸・切断し、次に、それぞれの延伸・切断した母材の外側に、ジャケット法やOVD法等により、石英ガラスを堆積して、数本の空孔付きプリフォームを作製し、最後に、それぞれの空孔付きプリフォームにダミー石英管を溶接し、空孔内を加圧しながら線引きする方法が記載されている。
しかしながら、この方法では、穿孔加工後に、空孔を形成した母材の延伸・切断工程、および、それぞれの空孔付きプリフォームとダミー石英管との溶接工程が必要となる。このため、1本の長尺母材から空孔形成と線引きを行う製造方法より低コスト化を図るのは難しいと思われる。
このような光ファイバ母材における空孔の加工ズレを低減するためには、加工条件を最適化する必要がある。しかしながら、加工条件を最適化するだけでは、光ファイバ母材の長手方向において、貫通孔の位置ズレがゼロにならない。例えば、光ファイバ母材の長手方向において、貫通孔の位置ズレが起きると、貫通孔を形成する光ファイバ母材の加工終了端面で、空孔位置が所望の位置からかけ離れ、所望の光学特性が得られなくなり、穿孔工程における製造歩留まりが悪くなってしまう。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光ファイバ母材の長手方向に垂直な断面における屈折率プロファイルが異なることによって、穿孔加工した空孔位置が、光ファイバ母材の長手方向において、屈折率プロファイルが傾斜している領域にてずれる傾向があることを見出した。すなわち、加工条件を最適化するだけでは、空孔の位置ズレを改善するには限界があることを見出した。
ここで、光ファイバ母材の屈折率プロファイルと、光ファイバ母材における空孔の加工ズレとの関係を説明する。
例えば、図2に示す屈折率プロファイルを有する光ファイバ母材では、コア部1の周囲を囲むクラッド部2に、屈折率プロファイルが変化している領域(屈折率プロファイルが平坦でない領域)2aが存在する。この領域2aでは、図2に示すように、純粋石英ガラスに対するクラッド部2の比屈折率差Δは、光ファイバ母材の中心側から外側に向かって(径方向において、半径Rが大きくなる方向に向かって)増加している。この領域2aに対して、ドリルによる穿孔加工により空孔を形成すると、空孔の位置(孔開位置)が光ファイバ母材の長手方向において、屈折率が低い部分側から屈折率が高い部分側に、すなわち、光ファイバ母材の径方向において、光ファイバ母材の中心側よりも外側にずれる傾向にある。
また、図3に示す屈折率プロファイルを有する光ファイバ母材では、コア部11の周囲を囲むクラッド部12に、屈折率プロファイルが変化している領域(屈折率プロファイルが平坦でない領域)12aが存在する。この領域12aでは、図3に示すように、純粋石英ガラスに対するクラッド部12の比屈折率差Δは、光ファイバ母材の中心側から外側に向かって(径方向において、半径Rが大きくなる方向に向かって)減少している。この領域12aに対して、ドリルによる穿孔加工により空孔を形成すると、空孔の位置(孔開位置)が光ファイバ母材の長手方向において、屈折率が低い部分側から屈折率が高い部分側に、すなわち、光ファイバ母材の径方向において、光ファイバ母材の外側よりも中心側にずれる傾向にある。
なお、図2または図3に示すような屈折率プロファイルを有する光ファイバ母材において、クラッド部2,12に、屈折率プロファイルが変化している領域2a,12aが存在する理由は、光ファイバ母材を製造する際に、クラッド部2,12にフッ素または塩素を添加したことによって、クラッド部2,12の屈折率が僅かに低下したからである。
そして、図4に示す屈折率プロファイルを有する光ファイバ母材では、コア21の周囲を囲むクラッド部22は、屈折率プロファイルが平坦になっている。本発明者等は、このように屈折率プロファイルが平坦なクラッド部22に対して、ドリルによる穿孔加工により空孔を形成すると、空孔の位置が光ファイバ母材の長手方向に対して鉛直になることを見出した。
しかしながら、実際に光ファイバ母材を作製する際に、光ファイバの分散特性等の光学特性を調整するため、クラッド部にフッ素や塩素を添加することが多い。よって、クラッド部の屈折率が平坦な屈折率プロファイルを形成することが難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、空孔付き光ファイバの長手方向に垂直な断面において、空孔の位置ズレを抑制することが可能な光ファイバ母材、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を有する光ファイバ母材であって、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材の外径が長手方向に変化し、かつ長手方向に沿って光ファイバ母材の外径と空孔位置の比が一定であることを特徴とする光ファイバ母材を提供する。
また、本発明は、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材の外径が、後工程で空孔を形成したときに長手方向に変化する空孔位置に比例する、所定の変化曲線に沿って長手方向に変化するように、前記光ファイバ母材を延伸する延伸工程と、前記延伸工程により延伸された前記光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、を含むことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法を提供する。
また、本発明は、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材の外径が、後工程で空孔を形成したときに長手方向に変化する空孔位置に比例する、所定の変化曲線に沿って長手方向に変化するように、前記光ファイバ母材を延伸する延伸工程と、前記延伸工程により延伸された前記光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、前記空孔形成工程を経た前記光ファイバ母材を線引きする線引き工程と、を含むことを特徴とする光ファイバの製造方法を提供する。
また、本発明は、光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、前記空孔が形成された光ファイバ母材の外径が、長手方向に変化する空孔位置に比例して、長手方向にテーパ状に変化するように、前記光ファイバ母材の外周を研磨する外周研磨工程と、を含むことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法を提供する。
また、本発明は、光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、前記空孔が形成された光ファイバ母材の外径が、長手方向に変化する空孔位置に比例して、長手方向にテーパ状に変化するように、前記光ファイバ母材の外周を研磨する外周研磨工程と、前記外周研磨工程を経た前記光ファイバ母材を線引きする線引き工程と、を含むことを特徴とする光ファイバの製造方法を提供する。
本発明によれば、空孔付き光ファイバの長手方向に垂直な断面において、空孔の位置ズレを抑制することが可能になる。
(a)穿孔装置、及び(b)ドリルツールの一例を示す概略図である。 傾斜率K>0の屈折率プロファイルの一例を示す模式図である。 傾斜率K<0の屈折率プロファイルの一例を示す模式図である。 傾斜率K=0の屈折率プロファイルの一例を示す模式図である。 空孔付き光ファイバ母材の一例を示す断面図である。 傾斜率K>0の場合に傾斜率Kの定義を説明する模式図である。 傾斜率K<0の場合に傾斜率Kの定義を説明する模式図である。 空孔位置ズレ量と母材外径変化量の定義を説明する模式図である。 傾斜率K>0の場合の製造方法の第1実施形態を説明する模式図である。 傾斜率K<0の場合の製造方法の第1実施形態を説明する模式図である。 傾斜率K>0の場合の製造方法の第2実施形態を説明する模式図である。 傾斜率K<0の場合の製造方法の第2実施形態を説明する模式図である。 K=+0.11%/mmの場合の空孔位置ズレ量の一例を示すグラフである。 K=−0.11%/mmの場合の空孔位置ズレ量の一例を示すグラフである。
本発明の光ファイバおよびその製造方法、光ファイバ母材の製造方法の実施形態について説明する。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。なお、以下の説明では、光ファイバ母材を単に「母材」ともいう。
本発明は、上記の問題点を解決することができ、空孔付き光ファイバの長手方向において、空孔を適正な位置に形成し、なおかつ均一に保つ方法を提供する。
本発明者らの検討によれば、光ファイバ母材の長手方向に垂直な断面における屈折率プロファイルが傾斜している領域に形成した空孔は、光ファイバ母材の長手方向において位置がずれる傾向があることが分かった。
そして、本発明は、少なくとも1つ以上の空孔を有する光ファイバ母材の外径が長手方向に変化し、かつ長手方向に沿って光ファイバ母材の外径と空孔位置の比が一定である(すなわち、光ファイバ母材の外径が、空孔位置に比例する)ことを特徴とする。また、この光ファイバ母材を線引きして光ファイバを製造する。
光ファイバ母材の外径を長手方向に変化させることによって、空孔形成工程において、空孔位置が光ファイバ母材の長手方向に変化し、ズレが生じても、一定の光ファイバ径に線引きされた空孔付き光ファイバは、長手方向に空孔位置が均一で適正なものとすることができる。
光ファイバ母材の外径を長手方向に変化させる工程は、空孔形成工程の前と後のいずれにも行うことができる。光ファイバ母材の外径を長手方向に変化させる方法としては、光ファイバ母材を延伸する方法、光ファイバ母材の外周を研磨する方法等が挙げられる。
図5に示すように、空孔33を有する光ファイバ母材30Aを製造するには、まず、中心部分にコア部31を有し、その周囲にクラッド部32を有する光ファイバ母材を作製した後、クラッド部32に空孔33を形成する。ここでは、6個の空孔33を有する光ファイバ母材30Aを例示するが、本発明はこれに限定されるものではなく、空孔の数、空孔の配列は異なっていてもよい。
コア部31は、ゲルマニウム(Ge)などのドーパントが添加された石英ガラスから構成されている。また、クラッド部32は、フッ素(F)、塩素(Cl)などのドーパントが添加されたドーパント添加領域を有する石英ガラスから構成されている。
光ファイバ母材では、コア部31の屈折率をn、クラッド部32の屈折率をnとすると、n<nの関係をなしている。
光ファイバ母材の作製には、VAD(Vapor phase Axial Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの一般的な光ファイバ母材の製造方法を適用することができる。ここで、作製した光ファイバ母材の段階では、空孔は形成されていない。
光ファイバ母材は、例えば、図6または図7に示すように、コア部31の周囲を囲むクラッド部32のドーパント添加領域に、屈折率プロファイルが僅かに変化している(屈折率プロファイルが平坦でない)領域32aが存在する屈折率プロファイルを有してもよい。
空孔33を形成する孔開位置における光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kを、式(1)で定義する。
K=(ΔR_out−ΔR_in)/D (1)
ここで、ΔR_outは、孔開位置の外側における光ファイバ母材の比屈折率差であり、ΔR_inは、孔開位置の内側における光ファイバ母材の比屈折率差であり、Dは、光ファイバ母材の空孔直径である。孔開位置の外側および内側は、光ファイバ母材の半径方向により規定される。なお、以下の説明では、単に「傾斜率K」ともいうが、いずれも空孔位置(孔開位置)における値を意味する。
図6に示す屈折率プロファイルの場合、領域32aでは、純粋石英ガラスに対するクラッド部32のドーパント添加領域の比屈折率差Δは、光ファイバ母材の中心側から外側に向かって僅かに増加している。このとき、クラッド部32のドーパントがフッ素などの屈折率を下げるドーパントである場合、ドーパント添加濃度が、光ファイバ母材の中心側から外側に向かって僅かに減少していてもよい。
また、図7に示す屈折率プロファイルの場合、領域32aでは、純粋石英ガラスに対するクラッド部32のドーパント添加領域の比屈折率差Δは、光ファイバ母材の中心側から外側に向かって僅かに減少している。このとき、クラッド部32のドーパントがフッ素などの屈折率を下げるドーパントである場合、クラッド部32のドーパント添加濃度が、光ファイバ母材の中心側から外側に向かって僅かに増加していてもよい。
上述したように、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光ファイバ母材の長手方向に垂直な断面における屈折率プロファイルが異なることによって、穿孔加工した空孔位置が、光ファイバ母材の長手方向において、屈折率プロファイルが傾斜している領域にてずれる傾向があることを見出した。そこで、本発明では、光ファイバ母材に空孔を形成する前または後に、所定の工程を設ける。
その説明のため、ここで、空孔位置ズレ量ΔRおよび母材外径変化量ΔDを、図8に示すように定義する。図8では、光ファイバ母材の両端にある空孔形成開始側の端面と空孔形成終了側の端面をそれぞれ左右に並べて示す。実際の光ファイバ母材においては、2つの端面は互いに平行である。
空孔位置は、光ファイバ母材の中心位置(光ファイバ母材の長手方向に垂直な断面または端面の中心)と空孔の中心位置との距離と定義する。R21は空孔形成開始側の空孔位置であり、R22は空孔形成終了側の空孔位置である。
また、母材外径について、D21は空孔形成開始側の母材外径であり、D22は空孔形成終了側の母材外径である。
空孔位置ズレ量ΔRおよび母材外径変化量ΔDは、それぞれ式(2)および式(3)で定義する。
空孔位置ズレ量ΔR=R22−R21 (2)
母材外径変化量ΔD=D22−D21 (3)
傾斜率K>0の場合は、空孔位置ズレ量ΔR>0となる傾向がある。このため、母材外径変化量ΔD>0となるような空孔付き光ファイバ母材を作製することが好ましい。
また、空孔位置ズレ量ΔRは、光ファイバ母材が長いほど大きくなる傾向がある。しかも、空孔位置ズレ量ΔRの変化傾向は二次関数的であり、例えば図9(c)や図11(c)に示すように、空孔形成開始側(図の上側)では空孔がほぼ垂直に形成されても、空孔形成終了側(図の下側)では空孔の曲がりが大きくなる傾向がある。このため、光ファイバ母材30Aの外周面35の形状は、円錐面(傾斜が一定で、光ファイバ母材の中心軸を含む断面が直線状)にするよりも、空孔位置のズレの変化に合わせた曲面とすることが好ましい。
傾斜率K<0の場合は、空孔位置ズレ量ΔR<0となる傾向がある。このため、母材外径変化量ΔD<0となるような空孔付き光ファイバ母材を作製することが好ましい。
また、空孔位置ズレ量ΔRは、光ファイバ母材が長いほど小さくなる(空孔位置ズレ量の絶対値|ΔR|が大きくなる)傾向がある。しかも、空孔位置ズレ量ΔRの変化傾向は二次関数的であり、例えば図10(c)や図12(c)に示すように、空孔形成開始側(図の上側)では空孔がほぼ垂直に形成されても、空孔形成終了側(図の下側)では空孔の曲がりが大きくなる傾向がある。このため、光ファイバ母材30Aの外周面35の形状は、円錐面(傾斜が一定で、光ファイバ母材の中心軸を含む断面が直線状)にするよりも、空孔位置のズレの変化に合わせた曲面とすることが好ましい。
なお、図9〜12では、光ファイバ母材の径に対する長さ比を、実際に比べて短くするほか、光ファイバ母材の空孔位置のズレを実際よりも大きく強調して、模式的に図示している。このため、空孔やコアなどの径も、必ずしも実際の寸法を反映しているものではない。光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(断面および端面)において、母材の中心から空孔の中心までの距離が、母材径に比例して変化することが好ましい。空孔径は、母材径に比例しても比例しなくてもよい。例えば、図9(c)、図10(c)、図11(c)、図12(c)に示すような空孔付き光ファイバ母材30Aにおいて、空孔33の直径が母材の長手方向で略一定でもよい。この場合、母材径が大きい部分ほど、線引きの際に延伸倍率が大きくなるので、図9(d)、図10(d)、図11(d)、図12(d)に示すような空孔付き光ファイバ300における空孔303の直径が母材の長手方向で一定でなくてもよい。
(第1実施形態)
第1実施形態においては、光ファイバ母材の外径が、後工程で空孔を形成したときに長手方向に変化する空孔位置に比例する、所定の変化曲線に沿って長手方向に変化するように、光ファイバ母材を延伸した後、光ファイバ母材に空孔を形成する。こうして得られた空孔付き光ファイバ母材を線引きして、空孔付き光ファイバを製造する。
前述した光ファイバ母材の屈折率プロファイルにおける傾斜率Kの正負によって、空孔位置のズレ傾向が異なるため、それぞれ説明する。
(1)傾斜率K>0の場合(空孔位置が空孔形成終了側で外側にずれている場合)
傾斜率K>0の場合、図9(c)に示すように、空孔を形成したときに、空孔位置が空孔形成開始側(図の上側)と比べて、空孔形成終了側(図の下側)では光ファイバ母材の半径方向の外側に向かってずれている。この場合、外径が均一である別の光ファイバ母材(試験用の光ファイバ母材)を用いて、光ファイバ母材の長手方向における空孔位置のズレ変化曲線を測定する。ズレ変化曲線は、外径が均一の空孔付き光ファイバ母材に対し、サイドビュア測定法等の空孔位置測定方法により求めることができる。試験用の光ファイバ母材は、製造用の光ファイバ母材と同一の材料から形成され、同一の屈折率プロファイルを有する。両者の長さ及び外径も同一であることが好ましい。
次に、図9(a)に示すように、外径が均一である製造用の光ファイバ母材30を延伸して、外径が長手方向に変化するように、テーパ状に延伸する(延伸工程1A)。延伸後の光ファイバ母材は、長手方向における空孔位置のズレ変化曲線と比例する外径変化曲線を有する。
図9(b)に示す延伸後の光ファイバ母材30Bの場合、上から下に向かって延伸することにより、下側で外径が細くなる外径変化曲線を有する。この光ファイバ母材30Bを上下逆さまにすることにより、上側で外径が細くなる外径変化曲線を有する光ファイバ母材が得られる。
図9(c)に示すように、光ファイバ母材の外径が小さい端面から外径が大きい端面に向けて、光ファイバ母材のガラス部34に空孔33を形成する(空孔形成工程1B)。こうして形成された空孔付き光ファイバ母材30Aは、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(端面または断面)における空孔の中心位置と母材外径との比を、光ファイバ母材の長手方向で一定に保つことができる。
最後に、テーパ形状の空孔付き光ファイバ母材30Aを全長で一定の光ファイバ径に線引きする(線引き工程1C)。これにより、図9(d)に示すように、線引き後の空孔付き光ファイバ300において、空孔303の位置が光ファイバの長手方向で一定になることができる。
(2)傾斜率K<0の場合(空孔位置が空孔形成終了側で内側にずれている場合)
傾斜率K<0の場合、図10(c)に示すように、空孔を形成したときに、空孔位置が空孔形成開始側(図の上側)と比べて、空孔形成終了側(図の下側)では光ファイバ母材の半径方向の内側(中心側)に向かってずれている。この場合、外径が均一である別の光ファイバ母材(試験用の光ファイバ母材)を用いて、光ファイバ母材の長手方向における空孔位置のズレ変化曲線を測定する。ズレ変化曲線は、外径が均一の空孔付き光ファイバ母材に対し、サイドビュア測定法等の空孔位置測定方法により求めることができる。試験用の光ファイバ母材は、製造用の光ファイバ母材と同一の材料から形成され、同一の屈折率プロファイルを有する。両者の長さ及び外径も同一であることが好ましい。
次に、図10(a)に示すように、外径が均一である製造用の光ファイバ母材30を延伸して、外径が長手方向に変化するように、テーパ状に延伸する(延伸工程1A)。延伸後の光ファイバ母材は、長手方向における空孔位置のズレ変化曲線と比例する外径変化曲線を有する。
図10(b)に示す延伸後の光ファイバ母材30Bの場合、上から下に向かって延伸することにより、下側で外径が細くなる外径変化曲線を有する。
図10(c)に示すように、光ファイバ母材の外径が大きい端面から外径が小さい端面に向けて、光ファイバ母材のガラス部34に空孔33を形成する(空孔形成工程1B)。こうして形成された空孔付き光ファイバ母材30Aは、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(端面または断面)における空孔の中心位置と母材外径との比を、光ファイバ母材の長手方向で一定に保つことができる。
最後に、テーパ形状の空孔付き光ファイバ母材30Aを全長で一定の光ファイバ径に線引きする(線引き工程1C)。これにより、図10(d)に示すように、線引き後の空孔付き光ファイバ300において、空孔303の位置が光ファイバの長手方向で一定になることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態においては、光ファイバ母材に空孔を形成した後、空孔が形成された光ファイバ母材の外径が、長手方向に変化する空孔位置に比例して、長手方向にテーパ状に変化するように、光ファイバ母材の外周を研磨する。こうして得られた空孔付き光ファイバ母材を線引きして、空孔付き光ファイバを製造する。
前述した光ファイバ母材の屈折率プロファイルにおける傾斜率Kの正負によって、空孔位置のズレ傾向が異なるため、それぞれ説明する。
(1)傾斜率K>0の場合(空孔位置が空孔形成終了側で外側にずれている場合)
傾斜率K>0の場合、図11(a)に示す光ファイバ母材30に空孔を形成したとき(空孔形成工程2A)に、図11(b)に示すように、空孔位置が空孔形成開始側(図の上側)と比べて、空孔形成終了側(図の下側)では光ファイバ母材の半径方向の外側に向かってずれている。
ガラス部34に空孔33を形成した光ファイバ母材30Cの長手方向における空孔位置のズレ変化曲線を求める。ズレ変化曲線は、外径が均一の空孔付き光ファイバ母材30Cに対し、サイドビュア測定法等の空孔位置測定方法により求めることができる。
次に、光ファイバ母材の外周面35に対し、円筒外削やファイアーポリッシュ等の火炎研磨や機械研磨等の方法により、図11(c)に示すように、空孔付光ファイバ母材の長手方向で、空孔形成開始側の光ファイバ母材の外径が、空孔形成終了側の光ファイバ母材の外径よりも小さくなるテーパ状に、変化させる(外周研磨工程2B)。こうして形成された空孔付き光ファイバ母材30Aは、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(端面または断面)における空孔の中心位置と母材外径との比を、光ファイバ母材の長手方向で一定に保つことができる。
最後に、テーパ形状の空孔付き光ファイバ母材30Aを全長で一定の光ファイバ径に線引きする(線引き工程2C)。これにより、図11(d)に示すように、線引き後の空孔付き光ファイバ300において、空孔303の位置が光ファイバの長手方向で一定になることができる。
(2)傾斜率K<0の場合(空孔位置が空孔形成終了側で内側にずれている場合)
傾斜率K<0の場合、図12(a)に示す光ファイバ母材30に空孔を形成したとき(空孔形成工程2A)に、図12(b)に示すように、空孔位置が空孔形成開始側(図の上側)と比べて、空孔形成終了側(図の下側)では光ファイバ母材の半径方向の内側(中心側)に向かってずれている。
ガラス部34に空孔33を形成した光ファイバ母材30Cの長手方向における空孔位置のズレ変化曲線を求める。ズレ変化曲線は、外径が均一の空孔付き光ファイバ母材30Cに対し、サイドビュア測定法等の空孔位置測定方法により求めることができる。
次に、光ファイバ母材の外周面35に対し、円筒外削やファイアーポリッシュ等の火炎研磨や機械研磨等の方法により、図12(c)に示すように、空孔付光ファイバ母材の長手方向で、空孔形成開始側の光ファイバ母材の外径が、空孔形成終了側の光ファイバ母材の外径よりも大きくなるテーパ状に、変化させる(外周研磨工程2B)。こうして形成された空孔付き光ファイバ母材30Aは、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(端面または断面)における空孔の中心位置と母材外径との比を、光ファイバ母材の長手方向で一定に保つことができる。
最後に、テーパ形状の空孔付き光ファイバ母材30Aを全長で一定の光ファイバ径に線引きする(線引き工程2C)。これにより、図12(d)に示すように、線引き後の空孔付き光ファイバ300において、空孔303の位置が光ファイバの長手方向で一定になることができる。
(空孔を形成する方法)
光ファイバ母材の軸方向に、ドリル法等により光ファイバ母材を貫通する空孔を形成する方法について、より詳しく説明する。
穿孔加工に用いられる穿孔装置40およびドリルツール42としては、上述したように、図1に示すものが例示できる。
ドリルツール42は、中空のパイプ45と、パイプ45の先端に設けられた切削部(砥石部)46とから概略構成されている。パイプ45は円筒状の形状をしており、パイプ45の外径は、空孔の直径よりも僅かに小さくなっている。また、パイプ45の貫通孔と切削部46の貫通孔は繋がっている。これにより、ドリルツール42の貫通孔を通じて、切削部46の先端から空孔内に液体を導入することができる。
切削部46がガラス部の途中まで進んでいる状態では、ガラス部の空孔が貫通していないため、切削部46の先端から流出する液体は、行き場を失って、切削部46と空孔の内壁面との間を逆流して、空孔の空孔形成開始側から排出される。したがって、空孔が光ファイバ母材を貫通するまでは、切削部とガラス部との摩擦により温度が過度に上昇することが、この液体の流れにより防止され、さらに穿孔により生じるガラス屑が液体と共に空孔形成開始側から排出される。
空孔の形成後は、空孔の内表面に対して、公知の方法により、研磨やエッチング加工を施すことにより、空孔の内表面を平滑化することが好ましい。
(空孔付き光ファイバ)
図9〜12の(d)に示すような空孔付き光ファイバ300は、空孔付き光ファイバ母材30Aを線引きすることにより、製造される。空孔付き光ファイバ母材30Aを線引きする方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法が用いられる。ガラス部304に配置される空孔303の直径を制御するため、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことが好ましい。また、線引き後の空孔付き光ファイバ300は、公知の手法により、外周面305の上を各種樹脂で被覆することが好ましい。
空孔付き光ファイバ300は、中心部分にコア301を有し、その周囲にクラッド302を有し、クラッド302内に、コア301と平行に設けられた空孔303を有する。空孔付き光ファイバ300におけるコア301および空孔303の配置は、空孔付き光ファイバ母材30Aにおけるコア部31および空孔33の配置と同様である。図9〜12に示す例では、コア301を中心とする同心円上に、6個の空孔303が等間隔に配置されている。
また、クラッド302は、ドーパントが添加されたドーパント添加領域を有し、クラッド302のドーパント添加領域における、屈折率プロファイルが平坦あるいは僅かに変化している領域において、光ファイバの長手方向に沿在するとともに、コア301を中心とする同心円上に、ほぼ等間隔に配置されるように、複数の空孔303が設けられている。
空孔付き光ファイバ300では、空孔付き光ファイバ母材30Aの屈折率プロファイルが維持されるので、コア301の屈折率をn11、クラッド302の屈折率をn12とすると、n12<n11の関係をなしている。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上述の実施形態では、空孔付き光ファイバの一例として、空孔アシストファイバ(Hole−Assisted Fiber、HAF)を説明したが、他には、マルチコアファイバ、パンダファイバ等のドリル孔開法による空孔形成がある光ファイバ母材、光ファイバ母材の製造方法、光ファイバの製造方法にも、本発明を適用することができる。
また、本発明は、他のホーリーファイバ(Holey Fiber、HF)として、フォトニック結晶ファイバ(Photonic Crystal Fiber、PCF)等にも適用することができる。
また、本発明は、中心部分にコア部を有しない光ファイバ母材や、中心部分にコアを有しない空孔付き光ファイバにも適用することができる。
また、第1実施形態において、光ファイバ母材の外径が所定の変化曲線に沿って長手方向に変化するようにする工程としては、光ファイバ母材を延伸する延伸工程に限られない。
空孔を有しない光ファイバ母材の外径が長手方向にテーパ状に変化するように、光ファイバ母材の外周を研磨する外周研磨工程を、延伸工程の代わりに行い、その後、外径が長手方向に変化した光ファイバ母材のガラス部に空孔を形成する空孔形成工程を行うことができる。
これにより、上述の実施形態と同様に、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(端面または断面)における空孔の中心位置と母材外径との比を、光ファイバ母材の長手方向で一定に保つことができる。また、線引き後の空孔付き光ファイバにおいて、空孔の位置が光ファイバの長手方向で一定になることができる。
空孔付き光ファイバ母材を得た後、その母材外径から光ファイバの外径まで1工程で線引きにより外径を縮小する代わりに、2工程以上をかけて外径を段階的に縮小することもできる。
例えば、光ファイバ母材の外径が長手方向に変化し、かつ長手方向に沿って光ファイバ母材の外径と空孔位置の比が一定である空孔付き光ファイバ母材を延伸することにより、外径が均一の空孔付き光ファイバ母材とし、さらに線引きして外径が均一の空孔付き光ファイバを製造することができる。例えば、空孔付き光ファイバ母材の外径が大きい場合、一度に線引きする代わりに、より小さい適当な外径まで延伸した後に線引きを行うことで、線引きが容易になる。
上述の実施形態では、傾斜率K>0の場合は、空孔位置ズレ量ΔR>0となる傾向があるから、母材外径変化量ΔD>0とし、傾斜率K<0の場合は、空孔位置ズレ量ΔR<0となる傾向があるから、母材外径変化量ΔD<0とすることについて説明した。空孔の位置ズレが起きる要因としては、ガラスに含まれるドーパント等の不純物の影響などにより、材料の切削されやすさが相違することなどが考えられる。もし、条件により、傾斜率Kと空孔位置ズレ量ΔRとの関係が、上述の実施形態とは反対であったとしても、空孔位置ズレ量ΔRと母材外径変化量ΔDとの関係を上述の実施形態と同様にすればよい。これにより、上述の実施形態と同じく、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面(端面または断面)における空孔の中心位置と母材外径との比を、光ファイバ母材の長手方向で一定に保つことができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(第1実施形態の実施例および比較例)
VAD法等を用いて光ファイバ母材を作製する工程において、ガラス母材のコア付近から外周側まで、クラッド部にフッ素や塩素の添加により、クラッド部における比屈折率差の傾斜率Kが正と負の母材をそれぞれ2本作製した。
傾斜率Kが正の光ファイバ母材を用いて実施例1および比較例1を実施し、傾斜率Kが負の光ファイバ母材を用いて実施例2および比較例2を実施した。
実施例1,2と比較例1,2のまとめを表1に示す。
Figure 2014139114
(実施例1)
中心部分にコアを有し、その周囲にクラッド部を有し、傾斜率Kが正の値である光ファイバ母材を作製した。光ファイバ母材の外径は120mm、長さは700mmであった。また、コア部は、ゲルマニウム(Ge)が添加された石英ガラスから構成され、クラッド部は、フッ素(F)が添加されたドーパント添加領域を有する石英ガラスから構成されていた。
光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kは、上述した式(1)により求めた。ここでは、後述するように外径が100mm程度に延伸したとき(空孔形成時)の空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2825%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを0.0485%とした。その結果、傾斜率Kは0.11%/mmであった。
図13のグラフは、K=+0.11%/mmの光ファイバ母材の長手方向における空孔位置ズレ量の変化を実測した一例を示す。
図13に示す近似多項式は、y=6×10−7−0.0002x+0.0138、決定係数(相関係数Rの2乗)R=0.99である。ここで、yは空孔位置ズレ量[mm]を表し、xは加工長[mm]を表す。
空孔位置ズレ量は、長さ(加工長)がそれぞれ200mm、400mm、600mm、800mm、1000mmの光ファイバ母材を用意して所定の位置に空孔を形成し、上述した式(2)の空孔位置ズレ量ΔRに従って、空孔形成開始側と空孔形成終了側との間で空孔位置の差(R22−R21)を測定することにより求めることができる。別の方法としては、長さが1000mmの光ファイバ母材を用意して所定の位置に空孔を形成し、光ファイバ母材の長手方向における空孔形成開始端からの距離が200mm、400mm、600mm、800mmであるそれぞれの位置で光ファイバ母材を切断して、空孔形成開始側と切断面との間で空孔位置の差を測定することにより求めてもよい。
空孔位置は、母材中心および空孔の位置を、光学顕微鏡等の測定器を用いて測定した。加工長が0mmの場合は、空孔位置ズレ量も0mmである。
空孔が形成されていない光ファイバ母材を加熱炉にて加熱し、図13に示す空孔位置ズレ量を考慮して、光ファイバ母材の外周面がテーパ状に変化するように延伸した。延伸開始側の光ファイバ母材の外径は106.3mm、延伸終了側の光ファイバ母材の外径は100.0mm、延伸後の光ファイバ母材の長さは1000mmであった。表2に、テーパ延伸後の光ファイバ母材の外径を示す。
Figure 2014139114
テーパ延伸の母材外径を決める手順を、以下のように説明する。
1)光ファイバ母材の傾斜率Kが正の値であることから、図9に示す工程で行う。つまり、延伸終了端の母材端面を、空孔形成開始端とする。
2)延伸終了端の母材外径を100mm、空孔形成開始端の空孔位置を8.0mmに設定する場合、母材外径と空孔位置の比として、100/8.0により12.5を得る。
3)図13に示す空孔位置ズレ量を考慮して、各母材長での空孔位置を推測する。
4)各母材長で母材外径と空孔位置の比が空孔形成開始端と同じになるように、各母材長での母材外径を計算して、延伸した母材の外径とする。
次に、テーパ延伸した光ファイバ母材の外径が小さい端(テーパ延伸の終了端)を空孔形成開始端とし、外径が大きい端(テーパ延伸の開始端)を空孔形成終了端として、ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
表3に、実施例1で空孔形成後に実測した空孔位置の測定結果を示す。テーパ延伸によって、母材の空孔形成開始端と空孔形成終了端において、母材外径と空孔位置の比が同じに保たれることが分かった。
Figure 2014139114
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表4に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)がほぼ0であることが分かった。
Figure 2014139114
(比較例1)
実施例1と同様にして、クラッド部の空孔位置における比屈折率差の傾斜率Kが正の値である光ファイバ母材(空孔無し、外径120mm、長さ700mm)を得た。
光ファイバ母材を加熱炉にて通常の延伸方法で、つまり母材全長において一定の母材外径となるように加熱延伸した。延伸後の光ファイバ母材の外径は100mm、長さは1000mmであった。
実施例1と同様にして、光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kを算出した。外径が100mm程度に延伸した後(空孔形成時)の空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2825%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを0.0485%とした。その結果、傾斜率Kは0.11%/mmであった。
次に、均一外径で延伸した光ファイバ母材を、ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
表5に、比較例1で空孔形成後に実測した空孔位置の測定結果を示す。通常延伸では、母材の空孔形成開始端と空孔形成終了端において、空孔位置の加工ズレにより、母材外径と空孔位置の比が大きく変わってしまったことが分かった。
Figure 2014139114
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表6に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)が0.65μmであり、許容範囲を大きく超えてしまったことが分かった。
Figure 2014139114
空孔付き光ファイバにおける空孔位置ズレ量Δrの許容範囲は、−0.4μm以上+0.4μm以下の範囲内としている。Δrが+0.4μmを超えた場合、空孔付き光ファイバの線引き終了端における零分散波長が設計値よりも長波長側にシフトしていて、国際規格ITU−T G657の規格値を満たさなくなってしまう。一方、Δrが−0.4μm未満の場合、空孔付き光ファイバの線引き終了端における零分散スロープが国際規格ITU−T G657の規格値を超えてしまう。
すなわち、実施例1の場合は、空孔付き光ファイバにおける空孔位置ズレ量Δrが−0.4μm以上+0.4μm以下の許容範囲内となり、空孔付き光ファイバの波長分散特性がITU−T G657の規格値を満たすことが確認された。
(実施例2)
中心部分にコアを有し、その周囲にクラッド部を有し、傾斜率Kが負の値である光ファイバ母材を作製した。光ファイバ母材の外径は120mm、長さは700mmであった。また、コア部は、ゲルマニウム(Ge)が添加された石英ガラスから構成され、クラッド部は、フッ素(F)が添加されたドーパント添加領域を有する石英ガラスから構成されていた。
光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kは、上述した式(1)により求めた。ここでは、後述するように外径が100mm程度に延伸したとき(空孔形成時)の空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2761%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを−0.6012%とした。その結果、傾斜率Kは−0.11%/mmであった。
図14のグラフは、K=−0.11%/mmの光ファイバ母材の長手方向における空孔位置ズレ量の変化を実測した一例を示す。測定方法は実施例1と同様である。
図14に示す近似多項式は、y=−6×10−7+0.0001x−0.0082、決定係数(相関係数Rの2乗)R=0.99である。ここで、yは空孔位置ズレ量[mm]を表し、xは加工長[mm]を表す。
空孔が形成されていない光ファイバ母材を加熱炉にて加熱し、図14に示す空孔位置ズレ量を考慮して、光ファイバ母材の外周面がテーパ状に変化するように延伸した。延伸開始側の光ファイバ母材の外径は100.0mm、延伸終了側の光ファイバ母材の外径は93.9mm、延伸後の光ファイバ母材の長さは1000mmであった。表7に、テーパ延伸後の光ファイバ母材の外径を示す。
Figure 2014139114
テーパ延伸の母材外径を決める手順を、以下のように説明する。
1)光ファイバ母材の傾斜率Kが負の値であることから、図10に示す工程で行う。つまり、延伸開始端の母材端面を、空孔形成開始端とする。
2)延伸開始端の母材外径を100mm、空孔形成開始端の空孔位置を8.0mmに設定する場合、母材外径と空孔位置の比として、100/8.0により12.5を得る。
3)図14に示す空孔位置ズレ量を考慮して、各母材長での空孔位置を推測する。
4)各母材長で母材外径と空孔位置の比が空孔形成開始端と同じになるように、各母材長での母材外径を計算して、延伸した母材の外径とする。
次に、テーパ延伸した光ファイバ母材の外径が大きい端(テーパ延伸の開始端)を空孔形成開始端とし、外径が小さい端(テーパ延伸の終了端)を空孔形成終了端として、ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
表8に、実施例2で空孔形成後に実測した空孔位置の測定結果を示す。テーパ延伸によって、母材の空孔形成開始端と空孔形成終了端において、母材外径と空孔位置の比が同じに保たれることが分かった。
Figure 2014139114
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表9に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)がほぼ0であることが分かった。
Figure 2014139114
(比較例2)
実施例2と同様にして、クラッド部の空孔位置における比屈折率差の傾斜率Kが負の値である光ファイバ母材(空孔無し、外径120mm、長さ700mm)を得た。
光ファイバ母材を加熱炉にて通常の延伸方法で、つまり母材全長において一定の母材外径となるように加熱延伸した。延伸後の光ファイバ母材の外径は100mm、長さは1000mmであった。
実施例2と同様にして、光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kを算出した。外径が100mm程度に延伸した後(空孔形成時)の空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2761%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを−0.6012%とした。その結果、傾斜率Kは−0.11%/mmであった。
次に、均一外径で延伸した光ファイバ母材を、ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
表10に、比較例2で空孔形成後に実測した空孔位置の測定結果を示す。通常延伸では、母材の空孔形成開始端と空孔形成終了端において、空孔位置の加工ズレにより、母材外径と空孔位置の比が大きく変わってしまったことが分かった。
Figure 2014139114
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表11に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)が−0.70μmであり、許容範囲を大きく超えてしまったことが分かった。
Figure 2014139114
実施例1,2および比較例1,2の結果により、実施例1,2のように光ファイバ母材の長手方向における母材外径をテーパ状に延伸することによって、空孔形成工程で空孔位置のズレが生じても、線引きした光ファイバの長手方向で空孔位置が一定な位置を保つことが確認された。
(第2実施形態の実施例および比較例)
VAD法等を用いて光ファイバ母材を作製する工程において、ガラス母材のコア付近から外周側まで、クラッド部にフッ素や塩素の添加により、クラッド部における比屈折率差の傾斜率Kが正と負の母材をそれぞれ2本作製した。
傾斜率Kが正の光ファイバ母材を用いて実施例3および比較例3を実施し、傾斜率Kが負の光ファイバ母材を用いて実施例4および比較例4を実施した。
実施例3,4と比較例3,4のまとめを表12に示す。
Figure 2014139114
(実施例3)
中心部分にコアを有し、その周囲にクラッド部を有し、傾斜率Kが正の値である光ファイバ母材を作製した。光ファイバ母材の外径は100mm、長さは1000mmであった。また、コア部は、ゲルマニウム(Ge)が添加された石英ガラスから構成され、クラッド部は、フッ素(F)が添加されたドーパント添加領域を有する石英ガラスから構成されていた。
光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kは、上述した式(1)により求めた。クラッド部のドーパント領域形成部に形成する空孔の直径D1を3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2825%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを0.0485%とした。その結果、傾斜率Kは0.11%/mmであった。
次に、光ファイバ母材の傾斜率Kが正の値であることから、空孔位置が母材外側にずれることを予測して、空孔形成開始端の空孔位置を7.5mmに設定する。ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
図13のグラフは、K=+0.11%/mmの光ファイバ母材の長手方向における空孔位置ズレ量の変化を実測した一例を示す。
図13に示す近似多項式は、y=6×10−7−0.0002x+0.0138、決定係数(相関係数Rの2乗)R=0.99である。ここで、yは空孔位置ズレ量[mm]を表し、xは加工長[mm]を表す。
空孔位置ズレ量は、空孔を形成した後に、母材を切断することなく、サイドビュア測定方法により、母材の途中の位置の空孔位置を測定ことにより求めた。
この光ファイバ母材を、外周研磨装置にて、図13に示す空孔位置ズレ量を考慮して、光ファイバ母材の外周面がテーパ状に変化するように外周研磨した。外周研磨後の空孔形成開始側の光ファイバ母材の外径は93.8mm、空孔形成終了側の光ファイバ母材の外径は100.0mmであった。表13に、外周研磨後の光ファイバ母材の外径を示す。
Figure 2014139114
こうして、外周研磨によって、光ファイバ母材の長手方向において、母材外径と空孔位置の比が同じに保つことができた。
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表14に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)がほぼ0であることが分かった。
Figure 2014139114
(比較例3)
実施例3と同様にして、クラッド部の空孔位置における比屈折率差の傾斜率Kが正の値である光ファイバ母材(空孔無し、外径100mm、長さ1000mm)を得た。
実施例3と同様にして、光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kを算出した。実施例3と同じく、空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2825%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを0.0485%とした。その結果、傾斜率Kは0.11%/mmであった。
次に、実施例3と同様に、空孔形成開始端の空孔位置を7.5mmに設定し、ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
表15に、比較例3で空孔形成後に実測した空孔位置の測定結果を示す。母材の空孔形成開始端と空孔形成終了端において、空孔位置の加工ズレにより、母材外径と空孔位置の比が大きく変わってしまったことが分かった。
Figure 2014139114
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表16に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)が0.65μmであり、許容範囲を大きく超えてしまったことが分かった。
Figure 2014139114
空孔付き光ファイバにおける空孔位置ズレ量Δrの許容範囲は、−0.4μm以上+0.4μm以下の範囲内としている。Δrが+0.4μmを超えた場合、空孔付き光ファイバの線引き終了端における零分散波長が設計値よりも長波長側にシフトしていて、国際規格ITU−T G657の規格値を満たさなくなってしまう。一方、Δrが−0.4μm未満の場合、空孔付き光ファイバの線引き終了端における零分散スロープが国際規格ITU−T G657の規格値を超えてしまう。
すなわち、実施例3の場合は、空孔付き光ファイバにおける空孔位置ズレ量Δrが−0.4μm以上+0.4μm以下の許容範囲内となり、空孔付き光ファイバの波長分散特性がITU−T G657の規格値を満たすことが確認された。
(実施例4)
中心部分にコアを有し、その周囲にクラッド部を有し、傾斜率Kが負の値である光ファイバ母材を作製した。光ファイバ母材の外径は100mm、長さは1000mmであった。また、コア部は、ゲルマニウム(Ge)が添加された石英ガラスから構成され、クラッド部は、フッ素(F)が添加されたドーパント添加領域を有する石英ガラスから構成されていた。
光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kは、上述した式(1)により求めた。クラッド部のドーパント領域形成部に形成する空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2761%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを−0.6012%とした。その結果、傾斜率Kは−0.11%/mmであった。
次に、光ファイバ母材の傾斜率Kが負の値であることから、空孔位置が母材内側にずれることを予測して、空孔形成開始端の空孔位置を8.0mmに設定する。ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
図14のグラフは、K=−0.11%/mmの光ファイバ母材の長手方向における空孔位置ズレ量の変化を実測した一例を示す。測定方法は実施例3と同様である。
図14に示す近似多項式は、y=−6×10−7+0.0001x−0.0082、決定係数(相関係数Rの2乗)R=0.99である。ここで、yは空孔位置ズレ量[mm]を表し、xは加工長[mm]を表す。
この光ファイバ母材を、外周研磨装置にて、図14に示す空孔位置ズレ量を考慮して、光ファイバ母材の外周面がテーパ状に変化するように外周研磨した。外周研磨後の空孔形成開始側の光ファイバ母材の外径は100.0mm、空孔形成終了側の光ファイバ母材の外径は93.9mmであった。表17に、外周研磨後の光ファイバ母材の外径を示す。
Figure 2014139114
こうして、外周研磨によって、光ファイバ母材の長手方向において、母材外径と空孔位置の比が同じに保つことができた。
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表18に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)がほぼ0であることが分かった。
Figure 2014139114
(比較例4)
実施例4と同様にして、クラッド部の空孔位置における比屈折率差の傾斜率Kが負の値である光ファイバ母材(空孔無し、外径100mm、長さ1000mm)を得た。
実施例4と同様にして、光ファイバ母材の屈折率プロファイル(半径方向の屈折率分布)の傾斜率Kを算出した。実施例4と同じく、空孔の直径Dを3.0mm、孔開位置の内側における比屈折率差ΔR_inを−0.2761%、孔開位置の外側における比屈折率差ΔR_outを−0.6012%とした。その結果、傾斜率Kは−0.11%/mmであった。
次に、実施例4と同様に、空孔形成開始端の空孔位置を8.0mmに設定し、ドリルによる穿孔加工により、光ファイバ母材の長手方向に沿って、コア部を中心とする円周上に、図5に示すように等間隔に6個の空孔(空孔直径3.0mm、長さ1000mm)を貫通孔として形成し、空孔付き光ファイバ母材を得た。
表19に、比較例4で空孔形成後に実測した空孔位置の測定結果を示す。母材の空孔形成開始端と空孔形成終了端において、空孔位置の加工ズレにより、母材外径と空孔位置の比が大きく変わってしまったことが分かった。
Figure 2014139114
この空孔付き光ファイバ母材を一定のファイバ径(光ファイバの外径)に線引きした。ここでファイバ径は125μmとした。線引きする際に、空孔内に不活性ガス等のガスを流すことにより、一定の空孔直径を制御することができた。線引き開始端と線引き終了端の空孔中心位置の測定結果を表20に示す。光ファイバの線引き開始端と線引き終了端の空孔位置ズレ量(空孔中心位置の差)が−0.70μmであり、許容範囲を大きく超えてしまったことが分かった。
Figure 2014139114
実施例3,4および比較例3,4の結果により、空孔形成工程で空孔位置のズレが生じても、実施例3,4のように外周研磨により、光ファイバ母材の長手方向における母材外径をテーパ状に変化させることによって、線引きした光ファイバの長手方向で空孔位置が一定な位置を保つことが確認された。
1A…延伸工程、1B…空孔形成工程、1C…線引き工程、2A…空孔形成工程、2B…外周研磨工程、2C…線引き工程、30…空孔無し光ファイバ母材、30A…空孔付き光ファイバ母材、31…コア部、32…クラッド部、33…空孔、34…ガラス部、35…光ファイバ母材の外周面、300…空孔付き光ファイバ、301…コア、302…クラッド、303…空孔、304…ガラス部、305…光ファイバの外周面。

Claims (5)

  1. ガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を有する光ファイバ母材であって、光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材の外径が長手方向に変化し、かつ長手方向に沿って光ファイバ母材の外径と空孔位置の比が一定であることを特徴とする光ファイバ母材。
  2. 光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材の外径が、後工程で空孔を形成したときに長手方向に変化する空孔位置に比例する、所定の変化曲線に沿って長手方向に変化するように、前記光ファイバ母材を延伸する延伸工程と、
    前記延伸工程により延伸された前記光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  3. 光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、光ファイバ母材の外径が、後工程で空孔を形成したときに長手方向に変化する空孔位置に比例する、所定の変化曲線に沿って長手方向に変化するように、前記光ファイバ母材を延伸する延伸工程と、
    前記延伸工程により延伸された前記光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、
    前記空孔形成工程を経た前記光ファイバ母材を線引きする線引き工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバの製造方法。
  4. 光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、
    光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、前記空孔が形成された光ファイバ母材の外径が、長手方向に変化する空孔位置に比例して、長手方向にテーパ状に変化するように、前記光ファイバ母材の外周を研磨する外周研磨工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  5. 光ファイバ母材のガラス部に少なくとも1つ以上の空孔を形成する空孔形成工程と、
    光ファイバ母材の長手方向に垂直な面において光ファイバ母材の中心と空孔との距離を空孔位置と定義するとき、前記空孔が形成された光ファイバ母材の外径が、長手方向に変化する空孔位置に比例して、長手方向にテーパ状に変化するように、前記光ファイバ母材の外周を研磨する外周研磨工程と、
    前記外周研磨工程を経た前記光ファイバ母材を線引きする線引き工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019034865A (ja) * 2017-08-14 2019-03-07 株式会社フジクラ 光ファイバ母材の製造方法
CN111399112A (zh) * 2019-01-02 2020-07-10 朗美通经营有限责任公司 具有可变吸收能力的光纤
US11808970B2 (en) 2019-01-02 2023-11-07 Lumentum Operations Llc Optical fiber with variable absorption

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