JP6136467B2 - 光ファイバ用ガラス母材の製造方法、光ファイバ用ガラス母材、光ファイバおよび光ファイバの光学特性の計算方法 - Google Patents

光ファイバ用ガラス母材の製造方法、光ファイバ用ガラス母材、光ファイバおよび光ファイバの光学特性の計算方法 Download PDF

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本発明は、光ファイバ用ガラス母材の製造方法、光ファイバ用ガラス母材、光ファイバおよび光ファイバの光学特性の計算方法に関する。
特許文献1のように、コアが純シリカでクラッドがフッ素添加ガラスとされた光ファイバが知られている。また、フッ素添加した箇所がディプレスト構造となっており、ディプレスト部の屈折率分布が傾斜している構造も知られている。
また、特許文献2のように、プリフォームの状態で屈折率分布をプリフォームアナライザにより測定し、FEM法により理論カットオフ波長を求めることが知られている。この理論カットオフ波長を求め、これが所望の範囲内となるように、プリフォームの外側にガラス微粒子を堆積させる際のコアクラッド比率や、線引き張力などの製造条件を決定し、光ファイバを製造している。
特許第4080164号公報 特開2001−281094号公報
ところで、特許文献2に記載の計算方法を、特許文献1のような光ファイバに用いて理論カットオフ波長を求めた際、実測したカットオフ波長が理論カットオフ波長からずれる現象が散見された。このため、この理論カットオフ波長を用いて光ファイバを製造しても、製造した光ファイバの光学特性が、所望の光学特性とはならず、ばらついてしまっていた。
そこで、本発明は、光学特性のばらつきの少ない光ファイバ用ガラス母材の製造方法、光ファイバ用ガラス母材、光ファイバおよび光ファイバの光学特性の計算方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできる本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法は、
純シリカからなるコア部と、
前記コア部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく、内周側から外周側に向かって小さくなる屈折率分布を有するディプレスト部と、
前記ディプレスト部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく前記ディプレスト部の屈折率より大きい屈折率を有するジャケット部と、を備えた光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、
前記ディプレスト部の最内周と最外周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔP、前記前記ジャケット部とディプレスト部の最内周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔGとしたとき、
0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%となるように、前記ディプレスト部の屈折率および前記ジャケット部の屈折率の少なくとも一方を制御することを特徴とする。
本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法において、
前記製造方法は、
前記コア部と、中空円筒状の前記ディプレスト部を形成し、
前記コア部を前記ディプレスト部の孔へ挿入して一体化して中間体を形成し、
前記中間体の外周にガラス微粒子を付着させることで前記ジャケット部を前記中間体の外周に形成して多孔質ガラス母材を得て、
前記多孔質ガラス母材を透明化させて光ファイバ用ガラス母材を得る光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、
前記ジャケット部のフッ素添加濃度、もしくは前記ディプレスト部のフッ素添加濃度を調整し、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%となるように、前記ディプレスト部の屈折率および前記ジャケット部の屈折率の少なくとも一方を制御してもよい。
本発明の光ファイバ用ガラス母材は、
純シリカからなるコア部と、
前記コア部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく、内周側から外周側に向かって小さくなる屈折率分布を有するディプレスト部と、
前記ディプレスト部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく前記ディプレスト部の屈折率より大きい屈折率を有するジャケット部と、を備え、
前記ディプレスト部の最内周と最外周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔP、前記前記ジャケット部とディプレスト部の最内周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔGとしたとき、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%とされていることを特徴とする。
本発明の光ファイバは、
純シリカからなるコア領域と、
前記コア領域の周囲に設けられ、前記コア領域よりも低い屈折率を有するクラッド領域と、を有し、
前記クラッド領域は、前記コア領域と隣接し、内周側から外周側に向かって小さくなる屈折率分布を有するディプレスト層と、前記ディプレスト層の外周に設けられたジャケット層と、を備え、
前記ディプレスト層は、前記ジャケット層よりも屈折率が低く、
前記ディプレスト層の最内周と最外周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔP、前記ジャケット層と前記ディプレスト層の最内周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔGとしたとき、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%とされていることを特徴とする。
本発明の光ファイバの光学特性の計算方法は、
純シリカからなるコア部と、
前記コア部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく、内周側から外周側に向かって小さくなる屈折率分布を有するディプレスト部と、
前記ディプレスト部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく前記ディプレスト部の屈折率より大きい屈折率を有するジャケット部と、を備えた光ファイバ用ガラス母材の屈折率分布を測定し、前記光ファイバ用ガラス母材から得られる光ファイバの光学特性の予測値を計算する方法であって、
前記ディプレスト部の最内周と最外周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔP、前記ジャケット層と前記ディプレスト層の最内周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔGとしたとき、(ΔP+ΔG)の大きさに応じ、FEM計算を用いた計算により算出した光学特性の計算値に所定値を補正することを特徴とする。
本発明の光ファイバの光学特性の計算方法において、ΔGおよびΔPが、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%を満たす際に、光学特性の前記計算値に一定の所定値を加える、もしくは減ずることにより補正してもよい。
本発明によれば、光学特性のばらつきの少ない光ファイバ用ガラス母材の製造方法、光ファイバおよび光ファイバの光学特性の計算方法が提供される。
(a)は本発明の実施形態に係る光ファイバの断面図であり、(b)は光ファイバの屈折率分布を示す図である。 本発明の実施形態に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法を説明する図である。 (a)は本発明の実施形態に係る光ファイバ用ガラス母材の断面図であり、(b)はその屈折率分布を示す図である。 (ΔP+ΔG)とカットオフ波長のずれ量の関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法、光ファイバおよび光ファイバの光学特性の計算方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
(光ファイバ)
まず、本実施形態に係る光ファイバについて説明する。
図1の(a)は、本発明の一実施形態に係る光ファイバ1の断面図である。図1の(a)に示すように、光ファイバ1は、中心にコア領域2を有し、その外周にクラッド領域5を有する。クラッド領域5は、コア領域2の外周に位置するディプレスト層3と、ディプレスト層3の外周に位置するジャケット層4を有する。
コア領域2は、ゲルマニウムを含まない石英ガラスであり、実質的に純石英であるが、製造の過程で塩素やフッ素等が微量に含まれていてもよい。クラッド領域5は、フッ素が添加された石英ガラスであり、コア領域2よりも低い屈折率を有している。
また、各部の具体的な大きさの一例として、コア領域2の直径d1は9.6μm、ディプレスト層3の直径d2は48μm、ジャケット層4の直径d3は125μmとすることができる。
図1の(b)は、光ファイバ1の断面における屈折率分布を示す模式図である。図1の(b)に示したように、光ファイバ1において中心のコア領域2の屈折率n2が最も大きく、その周囲のクラッド領域5の屈折率は、コア領域2の屈折率n2よりも小さい。また、コア領域2の屈折率n2は径方向によらず略一様である。
また、クラッド領域5におけるジャケット層4の屈折率n4は、コア領域2の屈折率n2よりも小さく、ディプレスト層3の屈折率n3よりも大きい。また、ジャケット層4の屈折率n4は径方向によらず略一様である。
クラッド領域5におけるディプレスト層3の屈折率は、コア領域2に隣接するディプレスト層3の最内周における屈折率n3aから、ジャケット層4に隣接するディプレスト層3の最外周における屈折率n3bにかけて、略一様に低下するように傾斜されている。
ディプレスト層3の最外周における屈折率n3bは、ディプレスト層3の最内周における屈折率n3aよりも小さく、ジャケット層4の屈折率n4よりも小さい。なお各部の屈折率として例えば、コア領域2(純シリカ)の屈折率n2に対して、ディプレスト層3の最内周における屈折率n3aの比屈折率差Δn3aは−0.345%、ディプレスト層3の最外周における屈折率n3bの比屈折率差Δn3bは−0.376%、ジャケット層4の屈折率n4の比屈折率差Δn4は−0.256%とすることができる。
ここで、光ファイバ1は、ディプレスト層3の最内周の純シリカに対する比屈折率差とディプレスト層3の最外周の純シリカに対する比屈折率差との差分(Δn3a−Δn3b)をΔP、ジャケット層4との純シリカに対する比屈折率差とディプレスト層3の最内周の純シリカに対する比屈折率差との差分(Δn4−Δn3a)をΔGとしたとき、次の式(1)の関係を満たすように形成されている。
0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%…(1)
(光ファイバ用母材の製造方法)
次に、上記光ファイバ1の母材である光ファイバ用ガラス母材の製造方法を説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法を説明する図である。
まず図2の(a)に示すように、光ファイバ1のコア領域2となるコア材10を用意する。このコア材10が、光ファイバ用ガラス母材のコア部となる。コア材10を作製するには、例えば、VAD法により純シリカのガラス微粒子堆積体を作製し、これを塩素雰囲気下で脱水および焼結し、透明化した後、所望の外径となるように延伸する。なお、コア材10は、純シリカからなるが、ごく微量の塩素などの不純物を含んでいてもよい。
また図2の(b)に示す、中心に軸方向に貫通する孔を有する円筒状のディプレストパイプ材20を用意する。このディプレストパイプ材20が光ファイバ用ガラス母材のディプレスト部となる。
このディプレストパイプ材を作製するには、まず、ディプレストパイプ材の出発材料として、例えば、VAD法により純シリカのガラス微粒子堆積体を作製する。VAD法では、反応容器内に吊り下げた出発棒に対してガラス微粒子生成用バーナによりガラス微粒子を堆積させる。
続いて、このガラス微粒子堆積体に脱水処理を施す。更に、ガラス微粒子堆積体に、フッ素原料ガス(例えばSiF、CF、SFなど)と不活性ガス(ヘリウム等)の雰囲気で焼結処理を施す。この焼結処理において、加熱された部分のガラス微粒子間に雰囲気中のフッ素がガラス微粒子堆積体に混入する。これにより、ディプレストパイプ材20の屈折率が下げられる。
焼結処理によってガラス微粒子堆積体が透明なガラス体となる。さらに、この透明なガラス体の中心軸の部分を穿孔して、ディプレストパイプ材20とすることができる。
なお、ディプレストパイプ材20の焼結処理において、ガラス微粒子堆積体とヒータとを相対移動させて焼結させる。このとき、フッ素がディプレストパイプ材20の内側まで浸透するのに時間が掛かることから、屈折率分布は内周側から外周側に向かって小さくなる。この傾斜の傾きは、フッ素濃度や相対移動速度を調整することにより調整することができ、ΔPを制御することが可能である。
上記のようにしてディプレストパイプ材20を作製したら、このディプレストパイプ材20の中心の孔21にコア材10を挿入する。この状態で、ディプレストパイプ材20を加熱してコラプスすることによりコア材10とディプレストパイプ材20を一体化する。これにより、光ファイバ1のコア領域2となるコア部とディプレスト層3となるディプレスト部を有する中間体30が形成される。
そして図2の(d)に示したように、この中間体30の外周にガラス微粒子を付着させて、スス堆積部41が中間体30の外周に形成された多孔質ガラス母材40を得る。例えば、OVD法により純シリカのガラス微粒子を中間体の外周に堆積させ径方向に堆積体を成長させると、スス堆積部41を形成することができる。
次にこの多孔質ガラス母材40に脱水処理および焼結処理を施して多孔質ガラス母材40を透明化し、図2の(e)に示したような光ファイバ用ガラス母材50を得る。このときの焼結処理は、フッ素原料ガスと不活性ガスの雰囲気で行う。多孔質ガラス母材40が焼結されると、スス堆積部41が透明化してジャケット部53が形成される。また、フッ素がスス堆積部41に浸透し、フッ素を混入させながらスス堆積部41を焼結すると、ジャケット部53の屈折率を低下させることができる。本実施形態では、この多孔質ガラス母材40の焼結工程において、ΔGを制御している。
以上の工程により、光ファイバ用ガラス母材50が得られる。光ファイバ用ガラス母材50のうち、コア材10からなる部位がコア部51、ディプレストパイプ材20からなる部位がディプレスト部52である。
このようにして製造された光ファイバ用ガラス母材50を、線引き装置によって線引きすることにより、光ファイバ1が得られる。光ファイバ用ガラス母材50のうち、コア部51が光ファイバ1のコア領域2となり、ディプレスト部52が光ファイバ1のディプレスト層3、ジャケット部53が光ファイバ1のジャケット層4となる。
(光ファイバ用ガラス母材の光学特性の計算方法)
次に、図3を用いて光ファイバ用ガラス母材50の光学特性の計算方法について説明する。図3の(a)は光ファイバ用ガラス母材50の断面図であり、図3の(b)はその屈折率分布を示す図である。
上述した製造方法において、多孔質ガラス母材40を焼結する前に、ディプレスト部52の最内周と最外周との比屈折率差の差分ΔP(図3の(b)参照)と、ジャケット部53とディプレスト部52の最内周の比屈折率差の差分ΔG(図3の(b)参照)との和(ΔP+ΔG)の値を設定しておく。そして、これから得られる光ファイバのΔGおよびΔPが、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%の関係を満たすように、ΔGとΔPを制御しながら光ファイバ用ガラス母材50を製造する。
本実施形態においては、このように設定した(ΔP+ΔG)に基づいて、ジャケット部53とディプレスト部52の最内周との比屈折率差の差分ΔG、ディプレスト部52の最内周と最外周との比屈折率差の差分ΔPが所望の値となるように、多孔質ガラス母材40またはディプレストパイプ材20の焼結条件を設定している。例えば、ジャケット部53の屈折率は、ジャケット部53のフッ素添加量に影響を受ける。そこで本実施形態では、ジャケット部53のフッ素添加量を制御している。フッ素添加量は、多孔質ガラス母材40の焼結時の焼結条件によって制御することができる。
焼結条件とは、例えば、焼結時の炉内やヒータの温度、その昇温速度や降温速度、処理時間、ヒータと多孔質ガラス母材40との相対移動速度、ヒータと多孔質ガラス母材40との離間距離、フッ素原料ガスと不活性ガスの流量(流量比)、炉内圧力などである。これらのうち、本実施形態においては、ヒータの温度を調整することにより、ジャケット部53の屈折率を制御している。
このように、本実施形態に係る光ファイバ用ガラス母材50の製造方法によれば、ディプレスト部52の最内周と最外周の比屈折率差の差分ΔPと、ジャケット部53とディプレスト部52の最内周の比屈折率差の差分ΔGとの関係が、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%となるように、ΔGおよびΔPの少なくとも一方が制御されている。
光ファイバ1の光学特性は、光ファイバ用ガラス母材50の屈折率分布を弱導波近似し、スカラー波動方程式下記(2)式を有限要素法(FEM法)を用いて解くことにより予測できる。
(2)
なお、式中のrは光ファイバ用ガラス母材50の半径、Φ(r)は電界分布、kは伝搬定数であって波長λの光の波数、nは屈折率、mはLPm1伝搬モードの次数、βは伝搬モードの位相定数である。屈折率分布n(r)は、光ファイバ用ガラス母材50の屈折率をプリフォームアナライザで測定することにより得ることができる。また式(2)において、伝搬定数kの解の有無の境界となるλcが、光ファイバ1の理論カットオフ波長となる(特許文献2参照)。
図4は、(ΔP+ΔG)の値と、上記式(2)から算出されたカットオフ波長と実際のカットオフ波長のずれ量Δλcの関係を示すグラフである。図4の横軸は上述の製造方法により得られた(ΔP+ΔG)の値である。図4の縦軸は、上記式(2)から得られたカットオフ波長の計算値と実際に測定して得られたカットオフ波長とのずれ量Δλcである。ここでカットオフ波長は、光ファイバの光学特性を示す指標の一つとして挙げている。
図4のように、本発明者らは、上述式(2)の計算から導かれる計算値は、実際に測定した実測値から一定の関係性を持ってずれていることを発見した。そこで、計算値に修正を加えて、より実測値に近い値を予測することを検討した。以下の説明では、上述の式(2)により得られる値を計算値、実際に測定して得られた値を実測値、計算値を修正した値を予測値と呼ぶ。
まず本発明者らは、図4に示すように、(ΔP+ΔG)の値の範囲によって、ずれ量Δλcの挙動が異なることに着目した。すなわち、(ΔP+ΔG)が一定の値(0.12%)以下の範囲(以降の説明では比例領域と呼ぶ)では、ずれ量Δλcは値(ΔP+ΔG)の増加に伴って一様に増えている。一方、(ΔP+ΔG)が一定の値(0.12%)より大きい範囲(以降の説明では飽和領域と呼ぶ)では、ずれ量Δλcは値(ΔP+ΔG)によらず一定値cを示している。
ΔP+ΔG≦0.12%:比例領域
ΔP+ΔG>0.12%:飽和領域
そこで本発明者らはカットオフ波長を予測する際に、(ΔP+ΔG)を領域ごとに区分けして、以下のようにカットオフ波長の予測値を算出した。
比例領域(ΔP+ΔG≦0.12%)の場合:
予測値=計算値+a(ΔG+ΔP)+b…(3)
(a,bは任意の整数)
飽和領域(ΔP+ΔG>0.12%)の場合
予測値=計算値+c…(4)
このように、本実施形態に係る光ファイバの光学特性の計算方法によれば、ΔGとΔPの大きさに応じて、FEM計算を用いた計算により算出したカットオフ波長の計算値に、所定値を補正して、予測値を算出している。特に、ΔGおよびΔPが0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%を満たす際には、カットオフ波長の計算値に一定の所定値cを補正している。これにより、より実測値に近い予測値を予測できる。
また、上述した本実施形態に係る光ファイバ用ガラス母材の製造方法においては、ΔP+ΔGが0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%となるように、ΔPおよびΔGの少なくとも一方を制御している。このように(ΔP+ΔG)をこの値の範囲内とするように制御することにより、図4に示したように、(ΔP+ΔG)の値にかかわらずカットオフ波長のずれ量は一定値cとなる。したがって、焼結条件などが変動して(ΔP+ΔG)が変動しても、カットオフ波長の所望の値からのずれ量は変動しない。したがって、光学特性の目標値からの変動が少ない光ファイバを提供することができる。
上述の本実施形態とは異なり、計算値を補正しないで、式(2)で求めた(ΔP+ΔG)の計算値のみに基づいて焼結条件を決定し、光ファイバを製造したところ、光ファイバの不良率は20%であった。これに対して、上述の実施形態に係る製造方法により光ファイバを製造したところ、光ファイバの不良率は0%であった。
なお、(ΔP+ΔG)を0.25%より大きくした場合には、カットオフ波長の測定波形に異常が生じるため、正しいカットオフ波長が測定できず、品質の安定した光ファイバを製造することができないため、現実的ではない。
なお、本発明の光ファイバその製造方法、および光学特性の計算方法について実施形態の例を用いて説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、上述の実施形態では光ファイバ用ガラス母材の製造工程でΔGを制御する例を主に挙げて説明したが、ΔPを制御してもよい。ΔPを制御するためには、ディプレスト部52中のフッ素の量を制御する。このために、ディプレスト部52を備えたディプレストパイプ材20を焼結する際に、その焼結条件を制御する。
ΔPを制御する例においては、例えば中間体の焼結条件として、中間体とヒータとの相対移動速度を制御することができる。例えば、中間体とヒータとの相対移動速度を低速に設定すると、ディプレスト部52の比屈折率差の差分ΔPが小さくなる。これは、相対移動速度が小さくなると、ヒータによって軸方向の同一位置近傍を加熱する時間が長くなり、ディプレスト部52の内周端までフッ素が十分に浸透して焼結され、内周側と外周側とのフッ素濃度の差が小さくなるからであると考えられる。
一方、中間体とヒータとの相対移動速度を高速に設定すると、ディプレスト部52の比屈折率差の差分ΔPが大きくなる。これは、相対移動速度が大きくなると、ヒータによって軸方向の同一位置近傍を加熱する時間が短くなり、ディプレスト部52の内周端までフッ素が十分に浸透せずに焼結され、内周側と外周側とのフッ素濃度の差が大きくなるからであると考えられる。
また、上述の計算方法の説明では、光ファイバ1の光学特性を示す指標としてカットオフ波長を算出する例を挙げて説明したが、本発明はこの例に限られない。式(2)を用いて、他の光学特性を表す指標であるAeff、MFDなどを算出してもよい。
1:光ファイバ、2:コア領域、3:ディプレスト層、4:ジャケット層、5:クラッド領域

Claims (2)

  1. 純シリカからなるコア部と、
    前記コア部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく、内周側から外周側に向かって小さくなる屈折率分布を有するディプレスト部と、
    前記ディプレスト部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく前記ディプレスト部の屈折率より大きい屈折率を有するジャケット部と、を備えた光ファイバ用ガラス母材の屈折率分布を測定し、前記光ファイバ用ガラス母材から得られる光ファイバの光学特性の予測値を計算する方法であって、
    前記ディプレスト部の最内周と最外周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔP、前記ジャケットと前記ディプレストの最内周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔGとしたとき、(ΔP+ΔG)の大きさに応じて前記予測値を補正する計算式を選択し、FEM計算を用いた計算により算出した光学特性の計算値を前記計算式で補正することを特徴とする、光ファイバの光学特性の計算方法。
  2. 純シリカからなるコア部と、
    前記コア部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく、内周側から外周側に向かって小さくなる屈折率分布を有するディプレスト部と、
    前記ディプレスト部の外周に設けられ、前記コア部の屈折率より小さく前記ディプレスト部の屈折率より大きい屈折率を有するジャケット部と、を備えた光ファイバ用ガラス母材の屈折率分布を測定し、前記光ファイバ用ガラス母材から得られる光ファイバの光学特性の予測値を計算する方法であって、
    前記ディプレスト部の最内周と最外周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔP、前記ジャケット部と前記ディプレスト部の最内周の純シリカに対する比屈折率差の差分をΔGとしたとき、(ΔP+ΔG)の大きさに応じ、FEM計算を用いた計算により算出した光学特性の計算値に所定値を補正し、
    ΔGおよびΔPが、0.12%≦ΔP+ΔG≦0.25%を満たす際に、光学特性の前記計算値に一定の所定値を加える、もしくは減ずることにより補正することを特徴とする、光ファイバの光学特性の計算方法。
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