JP2014138431A - 整流子電動機およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】整流子電動機の信頼性向上のために、スロット内の電機子巻線をワニスで固着させることが一般的に行われているが、整流子アンダーカット部へワニスが浸透して不良になったり、その不良を低減するために渡り線部に十分なワニスが塗布されずに回転時の遠心力によって電線が破断するなどの課題があった。
【解決手段】少なくとも整流子下部の渡り線部にコイル固着用ワニスよりも高粘度の塗布材を塗布することで、整流子アンダーカット部へのワニスの浸透を抑制でき、信頼性を向上させた整流子電動機を提供できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気絶縁性ワニスでコイルを固着させた電機子を有する整流子電動機において、少なくとも整流子下部の渡り線部に前記ワニスよりも高粘度の塗布材を塗布した整流子電動機およびその製造方法に関するものである。
整流子電動送風機の側面部分断面図を図1に示す。モータ部32とファン部31から構成され、モータ部32の1は整流子2、電機子巻線22を有する電機子で、モータのシャフト3の両端に軸受4が圧入され、この軸受4をファン側ブラケット5と整流子側ブラケット6にて支持している。カーボンブラシ8を内蔵した金属からなるブラシホルダー7は整流子側ブラケット6にて保持されている。界磁9は界磁巻線23を備えている。
従来、このような構造の整流子電動送風機に組み込まれる回転電動機の界磁、あるいは電機子のコイルを固着するために、ワニスを塗布することは一般的に行われている。ワニスを塗布する主な目的は、電動機回転時において電線が動くことによる振動や音を抑制したり、電線同士が擦れることによる絶縁皮膜劣化に起因する絶縁性低下を防止したりすることである。そのため、ワニス塗布はスロット内の電線同士およびスロットと電線を十分に固着させることが重要である。
また、特に掃除機用ブロワモータなどでは4万回転/分以上の高速回転で駆動しているため、整流子と電機子巻線をヒュージングなどで接続している部分(フック部)および渡り線には大きな遠心力がかかり、渡り線のワニス塗布が不十分な場合には、ワニスが外れたり、電線が破断したりする場合がある。そのため、この整流子下部のコイルを十分ワニスで固定することが重要である。
しかしながら、この部分にワニスを塗布する際、整流子片間のアンダーカット部に毛細管現象によってワニスが浸透して通電不良やスパークなどの原因となることが多く、整流子下部を十分にワニスで固定することが困難であった。
このアンダーカット部へのワニス浸透を抑制する方法として、例えば特許文献1、2が提案されている。特許文献1では、整流子のアンダーカットをフック部近辺で整流子の外周側へずらすことによって、ワニスがアンダーカット部へ浸透しないようにする方法である。特許文献2では、渡り線部分を紐で複数周巻き付けることで、渡り線を固定するとともに、ワニスが整流子のアンダーカット部へ浸透しないようにする方法である。
特開平9−252564号公報 特開2008−160970号公報
上述した特許文献1では、アンダーカットを施していない部分の高さは整流子銅子片の高さと同等が最高であり、粘度が低く浸透性の高いワニスが多く塗布された場合は、その高さを超えてアンダーカット部へワニスが浸透する可能性があり、十分な効果が得られない。また、アンダーカットを施していない部分を長くすることも効果的であるが、整流子寸法を大きくしたり、ブラシとの接触部を小さくしたりする必要があるため、他特性やモ
ータ全体の大きさへの影響が生じる。
特許文献2でも、ワニスは紐に吸収されるためある程度効果はあるが、多くのワニスが塗布された場合や浸透性の高いワニスが使用された場合はアンダーカット部へワニスが浸透する可能性があり、十分な効果が得られない。また、紐を巻き付ける工数が増加するため、生産コストアップにつながる。
本来ワニスの目的は、スロット内の電線同士およびスロットと電線を十分に固着させることであり、浸透性の高いワニスが適しているため、僅かでもアンダーカット部に浸透すると、すぐに毛細管現象により広がっていく。そのため、上記特許文献の方法では不十分なことが多い。
以上のことから、本発明では、整流子下部の渡り線部にコイル固着用ワニスよりも高粘度の塗布材を塗布して、整流子アンダーカット部へのワニスの浸透を抑制するとともに、渡り線の固着をより強固にして、渡り線破断などの不良を低減することを目的とする。
電気絶縁性ワニスでコイルを固着させた電機子を有する整流子電動機において、少なくとも整流子下部の渡り線部に前記ワニスよりも高粘度の塗布材を塗布した整流子電動機により、かかる従来の課題を解決できる。
なお、塗布材がチクソトロピック性を有するものであることが好ましい。また、塗布材が少なくとも中空ガラスビーズ、および熱可塑性樹脂を添加した低粘度樹脂液であることが好ましい。さらに、その低粘度樹脂液が不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが好ましい。
なお、前記中空ガラスビーズの粒径が1〜30μmの範囲であること、前記熱可塑性樹脂が飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。
上記整流子電動機を製造する方法において、上記ワニスでコイルを固着する工程よりも以前に、シャフトを中心に電機子を自転させながら、整流子下部の渡り線部に塗布材を滴下あるいは押出塗布する工程を有することで、かかる従来の課題を解決できる。
本発明では、整流子下部の渡り線部にコイル固着ワニスよりも高粘度の塗布材を塗布することにより、粘度が小さく浸透性の高いコイル固着ワニスが整流子アンダーカット部へ浸透することを抑制できる。また、渡り線をより強固に固着できるため、高速回転による渡り線破断などの不良を低減できる。
整流子電動送風機の側面部分断面図 本発明の実施の形態1における整流子電動機の電機子概略図
以下、本発明を更に詳しく説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明に用いられるワニスは、通常、電機子コイル固着用に用いられる液状ワニスであればよく、コイル電線同士やスロットと電線の隙間に十分浸透できる粘度を有し、電線な
どを安定して固定化できるワニスが好ましい。例えば、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、本発明に用いられる塗布材は、上記ワニスよりも高粘度のものが好ましい。浸透性のよい低粘度のものでは、塗布時に整流子アンダーカット部へ浸透し易く不良になりやすい。そのため、チクソトロピック性を有するものが好ましい。なお、チクソトロピック性を付与するために、低粘度樹脂液にシリカや中空ガラスビーズを添加したものを塗布材として用いることが好ましい。チクソトロピック性を付与する効果が大きいものとして、例えば微粒子シリカが挙げられる。
また、整流子下部の渡り線を完全に覆い、コイル固着ワニスが整流子アンダーカット部へ浸透することを抑制するために十分な厚さまで高粘度塗布材を塗布することが好ましいが、塗布材の比重が大きい場合、回転時の遠心力が大きくなり、塗布材が剥離したり、それに伴う渡り線の破断などが懸念される。そのため、塗布材にチクソトロピック性を付与しながら比重を小さくできるものとして、中空ガラスビーズを添加することが好ましい。
なお、チクソトロピック性を付与するためには、できるだけ小さな中空ガラスビーズが好ましく、塗布材の粘度調整や塗布材攪拌/混合性などの観点も考慮すると、その粒径は1〜30μmの範囲が好ましい。この範囲よりも粒径が小さな場合は、塗布材の粘度が大きくなり過ぎ、取扱いが困難になり、塗布自体が困難になる可能性がある。また、この範囲よりも粒径が大きな場合は、チクソトロピック性を付与できなくなり、整流子アンダーカット部への塗布材の流れ込みが発生して不具合の原因となる可能性がある。
さらに、上記のように塗布材を厚くした場合、硬化後や使用中の温度変化などでクラックが発生しやすくなり、回転中に塗布材が剥離することが考えられる。そこで、熱可塑性樹脂を添加した低粘度樹脂液を塗布材に用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、塗布材の硬化時の収縮を小さくして、クラック発生を抑制できるものであればどのようなものでも構わない。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、飽和ポリエステル樹脂、あるいはSBSなどのエラストマーが挙げられる。その中でも、低粘度樹脂液との相溶性や融点なども考慮すると、飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
また、低粘度樹脂液としては、コイル固着ワニスとの接着性や作業効率などを考慮すると、コイル固着ワニスと同一のものが好ましいが、もちろん異なる樹脂でも構わない。低粘度樹脂液としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
なお、低粘度樹脂液と熱可塑性樹脂および中空ガラスビーズの混合には、塗布材の粘度によって適当な混合方法を用いればよい。例えば、羽根式撹拌混合機、バンバリーミキサー、ロール、遊星型混合機など、どのような混合機を用いても良い。
また、特性や信頼性に悪影響を及ぼさない範囲であれば、中空ガラスビーズ以外の無機充填材、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラスパウダー、酸化チタンなどの金属酸化物、あるいはガラス繊維やチタン酸カリウム繊維などの繊維状物質、酸化ステアリン酸アミドやオレイン酸アミドなどの滑剤、酸化防止剤、難燃剤、耐候剤なども塗布材に添加してもかまわない。
本発明の整流子電動機の製造方法では、コイル固着用ワニスでコイルを固着する工程よりも以前に、シャフトを中心にして自転させながら整流子下部の渡り線部に高粘度の塗布材を滴下あるいは押出塗布する。この塗布材は、整流子アンダーカット部へ浸透はしないが、渡り線隙間には浸透して固着できるような塗布条件を設定する必要がある。
その条件は、塗布材の粘度、およびチクソトロピック性で決定される。例えば、粘度が小さい場合、電機子を予熱しておくことで塗布材温度を急激に上昇させて低粘度で浸透性の高い状態をできるだけ短くして、渡り線は固着できるが、整流子アンダーカット部へは浸透しない条件とすることができる。
また、例えば、粘度もチクソトロピック性も大きな場合、電機子予熱を行わずに室温の状態で塗布した後、恒温槽内で徐々に加熱することで、加温による粘度低下状態を長時間保ち、その間に渡り線部に浸透させ、次に整流子アンダーカット部へ浸透しようとする頃には、チクソトロピック性により急激に粘度上昇して、アンダーカット部への浸透を抑制する条件とする。
なお、整流子アンダーカット部への浸透は不具合になることは勿論、渡り線間への浸透が不十分な場合には、その隙間を通じてコイル固着用ワニスが流れて整流子アンダーカット部へ浸透する可能性があるため、渡り線間に十分浸透させ固着する必要がある。
電機子予熱温度や塗布ノズル位置、塗布量、塗布時間、電機子自転回転数などの塗布条件、その後の硬化条件(硬化温度、硬化時間)で、最適な状態になるように調整を行うが、この調整以外に、例えば、塗布部分のみの温度を調整できるような部分加熱方法を加えても構わない。
この部分加熱する方法として、ヒータなどを整流子フック部などに接触させて加熱する方法や、非接触で加熱する方法があるが、電機子は自転しているため、非接触で加熱する方法が好ましい。例えば、熱風を照射する方法、赤外線を照射する方法、レーザを照射する方法、高周波加熱する方法などが挙げられる。
特に熱風を照射する方法は、塗布材の浸透方向に対して逆方向から照射することで、部分加熱すると同時に風力により塗布材の整流子アンダーカット部への浸透を抑制する効果も付加されるため、より好ましい。なお、どの加熱方法においても、急速に、かつできるだけ部分的に加熱することが必要であるため、赤外線を照射する方法では、ハロゲンランプヒータを用いる方法が好ましい。
なお、塗布時に、電機子を自転させることにより、塗布した塗布材がゲル化開始前に垂れることを抑制するとともに、均一に塗布材を渡り線部に浸透させることができる。また、シャフトを自転軸としているため、シャフトを中心に対称に塗布できるため、軸荷重のアンバランスが生じにくいという特徴もある。
この自転速度は、塗布材が垂れない程度であればよい。なお、塗布終了後、硬化加熱時も自転させていても、勿論かまわない。また、塗布材の整流子アンダーカット部への浸透を抑制するために、電機子の自転軸を傾斜させて塗布させても、勿論かまわない。
塗布方法は、塗布材の粘度によって、滴下塗布あるいは押出塗布が選択できる。粘度が大きく滴下塗布が困難な場合は、押出塗布することが好ましい。
また、粘度が大きな場合は、塗布材を予めゲル化開始温度以下に加温して粘度を低下させた状態で塗布してもかまわない。
なお、高粘度の塗布材を渡り線部に塗布した後、この塗布材を加熱硬化後に、コイル固着用ワニスを塗布して電機子巻線を固着してもよいが、塗布材が完全に硬化する前、少なくともゲル化して殆ど流動性が消失した時点以降ならば、いつでもコイル固着用ワニスを塗布してもかまわない。コイル固着用ワニスを塗布する際に、電機子を予熱することが必
要な場合などは、塗布材がゲル化して電機子がまだ加熱された状態で、コイル固着用ワニスを塗布した方が、電機子予熱工程を省略することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図2は、第1の実施の形態における整流子電動機の電機子概略図を示すものである。積層コア41に形成されたスロット内部に、絶縁紙をはさんで、電線がコイル状に巻回してある。整流子下部にある渡り線部には高粘度塗布材42が塗布されている。また、電機子巻線22はコイル固着用ワニスで固定されている。
以下に、具体的な実施の一例を示す。塗布材は、エポキシ樹脂であるサンユレック製GRS−827を用いた。なお、この塗布材の粘度は、23℃で23Pa・sでチクソトロピック性を有している。
コイル固着用ワニスは、不飽和ポリエステルである日立化成工業製WP2851を100重量部、硬化剤CT48を2重量部混合した樹脂液を用いた。なお、このワニスの粘度は25℃で0.5Pa・sである。
また、電機子は、厚み20mm、外径40mmで22スロットを有する積層鉄芯コアに、直径0.5mmの電線を巻回し、片側に直径20mm、高さ18mmの整流子を配した電機子を用いた。なお、コイルエンド部の高さは、整流子側で約10mm、ファン側で約7mmであった。
この電機子のシャフトを水平より5°傾けて整流子側を上に向けて回転治具に取付け、自転速度25回転/分で回転させながら、渡り線部分に上記塗布材を押出滴下した。その電機子を回転させたまま、120℃の恒温槽に入れて30min硬化させた。硬化後の塗布材は、整流子アンダーカット部へは全く浸透せず、渡り線は固着されていた。
次に、この電機子を130℃に予熱した後、シャフトを水平に回転治具に取付け、自転速度25回転/分で回転させながら、整流子側コイルエンド部、およびファン側コイルエンド部に上記ワニスを滴下した。
滴下ノズルは、φ1.5mmで、ワニス滴下位置は、整流子側はコア端より約2mm整流子寄りの位置とコア端と整流子端のほぼ中央部の2箇所、ファン側はコア端より約2mm離れたコイルエンドの1箇所とした。なお、塗布はチュービングポンプを用いた滴下塗布を行った。その電機子を回転させたまま、140℃の恒温槽に入れて30min硬化させた。
その結果、コアスロット内へのワニスの浸透は全て完全に浸透してコイルは固着されており、整流子アンダーカット部へのワニスの浸透は全くみられなかった。
また、比較のために塗布材を塗布しない状態で上記と同条件でワニスを塗布した場合、全ての整流子アンダーカット部においてワニスの浸透、付着が発生した。
なお、塗布材として上記ワニスを使用した場合、渡り線部の塗布において、全ての整流子アンダーカット部で塗布材の浸透、付着が発生した。このことから、塗布材は通常コイル固着ワニスに使用されるレベルの粘度のものでは浸透性が大きく、整流子アンダーカッ
ト部への浸透が発生することが判った。
塗布材として、低粘度樹脂液に中空ガラスビーズと熱可塑性樹脂を添加したものを用いて、電機子、およびコイル固着用ワニスは実施例1と同様のものを用いた。
なお、低粘度樹脂液として、実施例1のコイル固着用ワニスである日立化成工業製WP2851とCT48の混合液を用いた。また、熱可塑性樹脂として飽和ポリエステルをスチレンに溶解したディーエイチマテリアル製サンドーマPB987を、中空ガラスビーズとして、粒径範囲は2〜25μmで平均12μmの中空ガラスビーズAを用いた。なお、サンドーマPB987の飽和ポリエステルの含有量は65%である。
まず、WP2851 75重量部に、CT48 2重量部、サンドーマPB987 25重量部を混合して、羽根式撹拌混合機にて撹拌/混合した。次に、この樹脂液に中空ガラスビーズAを55重量部添加して塗布材を作成した。なお、混合には自転・公転する遊星型混合機を用いた。
電機子を130℃に予熱しておき、シャフトを水平より5°傾けて整流子側を上に向けて回転治具に取付け、自転速度25回転/分で回転させながら、渡り線部分に上記塗布材を滴下した。その電機子を回転させたまま、140℃の恒温槽に入れて30min硬化させた。硬化後の塗布材は、整流子アンダーカット部へは全く浸透せず、渡り線は固着されていた。
次に、この電機子を130℃に予熱した後、コイル固着用ワニスを塗布した。塗布条件などは実施例1と同様にした。
その結果、コアスロット内へのワニスの浸透は全て完全に浸透してコイルは固着されており、整流子アンダーカット部へのワニスの浸透は全くみられなかった。
実施例2の中空ガラスビーズAを、粒径範囲5〜45μmで平均粒径30μmの中空ガラスビーズB、粒径範囲10〜50μmで平均粒径35μmの中空ガラスビーズC、あるいは、粒径範囲20〜80μmで平均粒径50μmのガラスビーズAに変更して、他は実施例2と同条件で作成した塗布材を用いて、実施例2と同条件で塗布を行った。
その中で、整流子アンダーカット部へ塗布材の浸透がみられなかったものについて、実施例2と同条件で、コイル固着用ワニスを塗布した。なお、コイル固着用ワニスは実施例2と同じものを用いた。
その結果を表1に示す。
この結果より、充填材の平均粒径が30μm以下では、塗布材は整流子アンダーカット部へ浸透せず、以降のコイル固着用ワニス塗布においても、ワニスの整流子アンダーカット部への浸透を抑制できるが、充填材の平均粒径が30μmを超えると塗布材が整流子アンダーカット部へ浸透し始めることが判った。
本発明は、簡便な方法で整流子アンダーカット部へのワニス浸透を抑制でき、従来のワニスの滴下塗布装置をそのまま使用でき、従来のワニス塗布工程に1工程を追加するだけで導入することができる。
また、ワニス塗布などの条件は従来のまま変更する必要がないため、製造条件なども変更・調整する必要がなく容易に導入可能であり、産業上有効である。
1 電機子
2 整流子
3 シャフト
4 軸受
5 ファン側ブラケット
6 整流子側ブラケット
7 ブラシホルダー
8 カーボンブラシ
9 界磁
10 エアーガイド
11 インペラ
12 ケーシング
13 スペーサー
14 座金
15 ナット
16 吸気管
22 電機子巻線
23 界磁巻線
31 ファン部
32 モータ部
41 積層コア
42 高粘度塗布材

Claims (7)

  1. 電気絶縁性ワニスでコイルを固着させた電機子を有する整流子電動機において、少なくとも整流子下部の渡り線部に前記ワニスよりも高粘度の塗布材を塗布したことを特徴とする整流子電動機。
  2. 、塗布材がチクソトロピック性を有するものであることを特徴とする請求項1記載の整流子電動機。
  3. 塗布材が少なくとも中空ガラスビーズ、および熱可塑性樹脂を添加した低粘度樹脂液であることを特徴とする請求項1または2に記載の整流子電動機。
  4. 低粘度樹脂液が不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂の少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項3記載の整流子電動機。
  5. 中空ガラスビーズの粒径が1〜30μmの範囲であることを特徴とする請求項3または4に記載の整流子電動機。
  6. 熱可塑性樹脂が飽和ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項3〜5のいづれか1項に記載の整流子電動機。
  7. 電気絶縁性ワニスでコイルを固着させた電機子を有する整流子電動機を製造する方法であって、前記ワニスでコイルを固着する工程よりも以前に、シャフトを中心に電機子を自転させながら、整流子下部の渡り線部に塗布材を滴下あるいは押出塗布する工程を有することを特徴とする整流子電動機の製造方法。
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