JP2014137883A - 二次電池および二次電池製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄厚化を図ると共に、正極および負極等の変形や破損を回避する。
【解決手段】シート状の正極3aおよび負極3bと、正極3aおよび負極3bを相互に絶縁する絶縁シート3cとが積層された電極部3が電解液8と共に電池容器2内に収容され、かつ正極3aおよび負極3bと共に電解液8に接するように参照極4が電池容器2内に配設され、電池容器2は、導電性材料で形成された支持体11の内面に絶縁性材料で形成された絶縁層12bが形成されて構成されると共に、電池容器2には、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向で電極部3に対向する支持体11の内面における一部が絶縁層12bから露出させられて支持体11の内面に参照極形成領域2aが形成され、参照極4は、支持体11の参照極形成領域2aにおける支持体11および絶縁層12bの合計厚の範囲内に形成された電極層42を備えて構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、正極、負極および参照極を有する二次電池、およびそのような二次電池を製造する二次電池製造方法に関するものである。
今日では、継ぎ足し充電を行っても電池性能が低下せず、エネルギー密度が高いことから、各種の電子機器や電気機械の電源としてリチウムイオン二次電池が広く使用されている。しかしながら、リチウムイオン二次電池では、過充電したとき(充電完了後に正極および負極の間に電圧を印加し続けたり、充電に際して正極および負極の間に過剰に高い電圧を印加したりしたとき)に、電解液中の金属リチウムが負極の表面に析出することがある。この場合、負極の表面に金属リチウムが析出した状態では、充放電時に電極および電解液の間を移動可能なリチウムイオンの量が減少して電池容量が減少するだけでなく、針状に析出した金属リチウムによって電極間が短絡されて発火する危険性がある。したがって、リチウムイオン二次電池の充電に際しては、過充電を招くことのないように(負極の表面に金属リチウムを析出させることのないように)細心の注意を払う必要がある。
この場合、電池電圧(正極および負極の間の電位差)が過剰に高くなることのないようにモニタリングしながら充電を行うことにより、金属リチウムの析出をある程度は回避することができる。しかしながら、充電完了と判断する電池電圧を低い電圧に規定して充電を行ったとしても、充電時に印加する電圧値や、負極の構成材料によっては、リチウムイオンに対する負極の電位(以下、「対リチウム負極電位」ともいう)が過剰に低い電位となったときに、負極の表面に金属リチウムが析出することがある。したがって、このような析出が生じるのを回避するために、充電中に対リチウム負極電位を正しく測定する必要があるが、正極および負極の間の電位差をモニタリングしたとしても、この対リチウム負極電位を特定することができないため、対リチウム負極電位が過剰に低い電圧となることのないように充電時間や充電電圧を管理することができない。
一方、特開2012−79582号公報には、正極、負極、参照極および対極の4つのシート状の電極が電極セパレータを挟んで相互に絶縁された状態で積層された積層体を備え、この積層体が電解質含有層(例えば電解液)と共に外装体内に収容されて構成された二次電池が開示されている。この二次電池では、正極および負極の劣化度合いの診断(具体的には、正極および負極の各々の抵抗値の測定)を目的として、参照極および対極の2つの電極が配設されている。この場合、出願人は、この従来の二次電池において、参照極と負極との間の電位差を測定することにより、上記の対リチウム負極電位を特定することができ、この電位差(対リチウム負極電位)をモニタリングしつつ充電を行うことで、上記の金属リチウムの析出を回避できる可能性があることを見いだした。
具体的には、従来の二次電池では、リチウム金属で参照極が形成されている。したがって、この二次電池では、参照極の標準電極電位が、金属イオンが析出した状態の負極の電位とほぼ等しくなる。このため、充電に際して参照極と負極との間の電位差をモニタリングして、十分な電位差が生じるように(参照極と負極との間の電位差(対リチウム負極電位))が規定値を下回ることのないように)充電時間や充電電圧を管理することで、負極の表面に金属リチウムが析出するのを回避することが可能となる。
特開2012−79582号公報(第4−11頁、第1−2図)
ところが、従来の二次電池には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の二次電池では、正極および負極に加えて参照極および対極の2つの電極が設けられている。また、この従来の二次電池の構成によれば、参照極および負極の間の電位差、すなわち、リチウムイオン電位に対する負極の電位(対リチウム負極電位)を測定することが可能となっている。
この場合、従来の二次電池では、正極および負極が互いにほぼ同じ大きさの(ほぼ同じ面積で同じ外形の)矩形状に形成されると共に、参照極が、正極および負極よりも小さい(面積が狭い)矩形状に形成されている。このため、従来の二次電池では、正極、負極および参照極などの電極が積層された積層体に、参照極が存在する領域(正極および負極に対して参照極が積層方向で重なっている領域:以下、「領域1」ともいう)と、参照極が存在しない領域(参照極が正極および負極に対して参照極が積層方向で重なっていない領域:以下、「領域2」ともいう)とが生じている。
この結果、従来の二次電池では、上記の積層体における領域1よりも領域2の方が薄厚となっている。したがって、従来の二次電池では、上記の積層体の厚み方向(各電極の積層方向)にこれを圧縮する外力が加わったときに、領域1と領域2との境界部位の近傍において正極や負極に大きなストレスが加わることとなる。このため、従来の二次電池では、上記の両領域の境界部位の近傍において正極や負極の変形を招き易く、最悪の場合には、正極や負極の電極層が破断するおそれがあるという問題点が存在する。
また、従来の二次電池では、充放電能力とは無関係な参照極を正極および負極と共に積層しているため、上記の積層体の厚みが厚くなっている。このため、従来の二次電池には、その薄厚化が困難となっているという問題点も存在する。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、薄厚化を図ると共に、正極および負極等の変形や破損を回避し得る二次電池、およびそのような二次電池を製造し得る二次電池製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の二次電池は、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極および前記負極を相互に絶縁する絶縁シートとが積層された電極部が電解液と共に容器体内に収容され、かつ前記正極および前記負極と共に前記電解液に接するように参照極が前記容器体内に配設された二次電池であって、前記容器体は、導電性材料で形成された支持体の少なくとも内面に絶縁性材料で形成された内面側絶縁層が形成されて構成されると共に、当該容器体には、前記正極、前記負極および前記絶縁シートの積層方向で前記電極部に対向する前記支持体の前記内面における一部が前記内面側絶縁層から露出させられて当該支持体の当該内面に参照極形成領域が形成され、前記参照極は、前記支持体の前記参照極形成領域における前記支持体および前記内面側絶縁層の合計厚の範囲内に形成された電極層を備えて構成されている。
また、請求項2記載の二次電池は、請求項1記載の二次電池において、前記支持体は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の少なくとも一方で形成され、前記電極層は、前記支持体における前記参照極形成領域に対するリチウムイオンのドープによって当該支持体の前記内面に形成されている。
さらに、請求項3記載の二次電池は、請求項1または2記載の二次電池において、前記容器体は、前記支持体の外面に絶縁性材料で形成された外面側絶縁層が形成されて構成されると共に、当該容器体には、前記支持体の前記外面における一部が前記外面側絶縁層から露出させられて、当該支持体を介して前記参照極に電気的に接続するための接続部が形成されている。
また、請求項4記載の二次電池製造方法は、シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極および前記負極を相互に絶縁する絶縁シートとが積層された電極部が電解液と共に容器体内に収容され、かつ前記正極および前記負極と共に前記電解液に接するように参照極が前記容器体内に配設された二次電池を製造する二次電池製造方法であって、前記正極、前記負極および前記絶縁シートを積層して前記電極部を形成すると共に、導電性材料で形成された支持体の少なくとも内面に絶縁性材料で形成された内面側絶縁層が形成された前記容器体における当該支持体の当該内面において、前記正極、前記負極および前記絶縁シートの積層方向で前記電極部に対向する領域の一部を当該内面側絶縁層から露出させて当該支持体の当該内面に参照極形成領域を形成し、かつ当該参照極形成領域における前記支持体および前記内面側絶縁層の合計厚の範囲内に電極層を形成することによって前記参照極を形成する。
さらに、請求項5記載の二次電池製造方法は、請求項4記載の二次電池製造方法において、アルミニウムおよびアルミニウム合金で形成された前記支持体における前記参照極形成領域に対するリチウムイオンのドープによって当該支持体の前記内面に前記電極層を形成する。
また、請求項6記載の二次電池製造方法は、請求項4または5記載の二次電池製造方法において、絶縁性材料で形成された外面側絶縁層が外面に形成された前記支持体における当該外面の一部を当該外面側絶縁層から露出させることによって、当該支持体を介して前記参照極に電気的に接続するための接続部を形成する。
請求項1記載の二次電池では、正極、負極および絶縁シートの積層方向で電極部に対向する支持体の内面における一部に設けた参照極形成領域に、支持体および内面側絶縁層の合計厚の範囲内で形成した電極層を備えて参照極が形成されている。また、請求項4記載の二次電池製造方法では、正極、負極および絶縁シートの積層方向で電極部に対向する支持体の内面における一部に参照極形成領域を設けると共に、支持体および内面側絶縁層の合計厚の範囲内で参照極形成領域に電極層を形成して参照極を形成する。
したがって、請求項1記載の二次電池、および請求項4記載の二次電池製造方法によれば、電極部内に参照極が存在しない分だけ電極部を薄厚化することができ、また、支持体および内面側絶縁層の合計厚の範囲内で電極層を形成して参照極を形成した分だけ参照極を十分に薄厚化することができるため、二次電池の厚みを十分に薄厚化することができると共に、電極部(正極および負極等の積層体)の厚みが均一となることで正極や負極に対して局所的なストレスが加わる事態を回避することができ、これにより、正極や負極の変形や破損を回避して電池特性を良好な状態に維持することができる。
請求項2記載の二次電池では、支持体における参照極形成領域に対するリチウムイオンのドープによって支持体の内面に形成された電極層を備えて参照極が形成されている。また、請求項5記載の二次電池製造方法では、支持体における参照極形成領域に対するリチウムイオンのドープによって支持体の内面に電極層を形成して参照極を形成する。したがって、請求項2記載の二次電池、および請求項5記載の二次電池製造方法によれば、参照極を容易に形成することができる結果、二次電池の製造コストを十分に低減することができるだけでなく、電極層を十分に薄厚化することができるため、二次電池の厚みを一層薄厚化することができる。
請求項3記載の二次電池では、支持体の外面における一部が外面側絶縁層から露出させられて接続部が形成されている。また、請求項6記載の二次電池製造方法では、支持体の外面における一部を外面側絶縁層から露出させて接続部を形成する。したがって、請求項1記載の二次電池、および請求項4記載の二次電池製造方法によれば、参照極形成領域に形成した参照極(電極層)を外部装置に接続するためのリード線等を別途設けることなく、支持体を介して参照極(電極層)を外部装置に接続することができるため、リード線等が不要となる分だけ、二次電池の厚みを一層薄厚化することができる。
リチウムイオン二次電池1の構成を示す断面図である。 電極部3、正極端子5、負極端子6および参照極端子7の外観斜視図である。 電池容器2を透過させた状態のリチウムイオン二次電池1の平面図である。 リチウムイオン二次電池1における参照極4の形成部位の断面図である。 リチウムイオン二次電池1における支持体11と参照極端子7との接続部位の切断部端面図である。 参照極4の形成方法について説明するための断面図である。 参照極4の形成方法について説明するための他の断面図である。
以下、二次電池および二次電池製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1,3に示すリチウムイオン二次電池1は、「二次電池」の一例であって、電池容器2、電極部3、参照極4、正極端子5、負極端子6、参照極端子7および電解液8を備えて構成されている。
電池容器2は、「容器体」に相当し、図4に示すように、支持体11の外面に絶縁層12aが形成され、かつ支持体11の内面に絶縁層12bが形成されたラミネートフィルムによって袋状に形成されている。支持体11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金やステンレス鋼等の導電性を有する金属材料(「導電性材料」の一例:本例では、一例として、アルミニウム)によって厚み40μm程度の薄膜状に形成されている。また、絶縁層12aは、「外面側絶縁層」に相当し、電池容器2の物理的な強度を確保しつつ、支持体11を絶縁保護するために、ポリプロピレンやポリエチレン等の絶縁性材料で厚み30μm程度の薄膜状に形成されている。さらに、絶縁層12bは、「内面側絶縁層」に相当し、絶縁層12aと相まって電池容器2の物理的な強度を確保しつつ、支持体11を絶縁保護するために、ポリプロピレンやポリエチレン等の絶縁性材料で厚み30μm程度の薄膜状に形成されている。
この場合、図4に示すように、本例のリチウムイオン二次電池1では、支持体11の内面における一部(電池容器2内に収容された状態の電極部3に対向する領域の一部)が絶縁層12bから露出させられて支持体11の内面に参照極形成領域2aが形成され、この参照極形成領域2aに参照極4が形成されている。また、図5に示すように、本例のリチウムイオン二次電池1では、支持体11の外面における一部が絶縁層12aから露出させられて、支持体11を介して参照極4に電気的に接続するための接続部2bが形成され、この接続部2bに参照極端子7が接続されている。
電極部3は、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層体で構成されている。具体的には、図2に示すように、本例のリチウムイオン二次電池1では、一例として、正極3a、絶縁シート3c、負極3bおよび絶縁シート3cをこの順で積層した積層体を複数個(一例として3個)積層することにより、図1に示すように、全体として平板状に形成されている。なお、図1においては、リチウムイオン二次電池1の内部構造に関する理解を容易とするために、正極3aを一点鎖線で示すと共に、負極3bを二点鎖線で示し、かつ、絶縁シート3cを破線で示している。また、本例の電極部3では、正極3aと絶縁シート3cとの間、負極3bと絶縁シート3cとの間、正極3aと電池容器2との間、および絶縁シート3cと電池容器2(参照極4)との間に電解液8が含浸可能な隙間が設けられているが、図1,4においては、この隙間を誇張して大きく図示している。
この場合、図4に示すように、正極3aは、一例として、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属(導体)で構成された支持体21の表面に、コバルト、ニッケルおよびマンガンなどの遷移金属のリチウム含有酸化物やカーボンなどの導電助材と結着剤とを混合した塗液を塗布して硬化させることで電極層22が形成されて、全体としてシート状に形成されている。また、負極3bは、銅やニッケル等の金属(導体)で構成された支持体31の表面に、粒状(鱗片状、繊維状、球状、疑似球状、塊状および粉状)のグラファイト(黒鉛)や非晶質炭素などと結着剤とを混合した塗液を塗布して硬化させることで電極層32が形成されて、全体としてシート状に形成されている。さらに、絶縁シート3cは、正極3aおよび負極3bを相互に絶縁すると共に電解液8を補液するシート体であって、ポリオレフィン樹脂等の絶縁性材料で形成された多孔性シートで構成されている。
この場合、図1〜3に示すように、本例のリチウムイオン二次電池1では、正極3aおよび負極3bが互いに同じ大きさ(同じ広さ)の平面視矩形状に形成されると共に、絶縁シート3cが正極3aおよび負極3bよりもやや大きい平面視矩形状に形成されて、正極3a,負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向において正極3aおよび負極3bの全域が重なるように電極部3が形成されている。また、本例のリチウムイオン二次電池1では、上記の支持体21の一部を電極部3の側方に向けて延出させることで接続部21a(タブ:正極接続部)が形成されると共に、上記の支持体31の一部を電極部3の側方に向けて延出させることで接続部31a(タブ:負極極接続部)が形成されている。この場合、接続部21a,31aの延出方向(引き出し方向)は同じ向きとなっている。
参照極4は、電池容器2の支持体11における上記の参照極形成領域2aに形成されている。具体的には、前述したように、本例のリチウムイオン二次電池1では、電池容器2の支持体11における、電極部3の正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向(電極部3の厚み方向)で電極部3に対向する領域の一部を絶縁層12bから露出させることで参照極形成領域2aが形成されており、一例として、この参照極形成領域2a内の支持体11にリチウムイオンをドープすることによって支持体11の内面に電極層42(図4,7参照)が形成されて、電極層42からなる薄膜状の参照極4が電池容器2(支持体11)と一体的に形成されている。これにより、本例のリチウムイオン二次電池1では、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向において、参照極4が、正極3a(正極3aにおける電極層22の形成領域)、および負極3b(負極3bにおける電極層32の形成領域)とは重ならない構成が採用されている。
また、本例のリチウムイオン二次電池1では、電池容器2内において正極端子5が接続部21aに接続されると共に、負極端子6が接続部31aに接続されている。さらに、本例のリチウムイオン二次電池1では、上記の支持体11の一部を絶縁層12aから露出させることで接続部2b(参照極接続部)が形成されると共に、電池容器2外において参照極端子7が接続部2bに接続されている。
したがって、本例のリチウムイオン二次電池1では、後述する充電に際して、正極端子5、負極端子6および参照極端子7を図示しない充電回路に接続することにより、正極端子5および負極端子6を介して正極3aおよび負極3b間に充電電圧を印加しつつ、正極端子5および参照極端子7を介して正極3aおよび参照極4の間の電位差を測定し、かつ負極端子6および参照極端子7を介して負極3bおよび参照極4の間の電位差を測定することが可能となっている。また、電源としての使用に際しては、正極端子5および負極端子6を電力供給対象にそれぞれ接続することにより、正極3aおよび負極3bの間の電位差に応じた電力を電力供給対象に供給することが可能となっている。
このリチウムイオン二次電池1の製造に際しては、まず、正極3aおよび負極3bをそれぞれ製作する。具体的には、支持体21の一面に電極層22を形成するための塗料を塗布して硬化させることで電極層22を形成して正極3aを製作し、支持体31の一面に電極層32を形成するための塗料を塗布して硬化させることで電極層32を形成して負極3bを製作する。次いで、正極3a、絶縁シート3c、負極3bおよび絶縁シート3cをこの順で積層した積層体を複数(一例として3つ)積層することにより、電極部3を製作する。続いて、電極部3における各正極3aの接続部21a上に正極端子5を載置した状態において、各接続部21aおよび正極端子5を超音波溶接によって一体化しつつ、これらを電気的に相互に接続すると共に、各負極3bの接続部31a上に負極端子6を載置した状態において、各接続部31aおよび負極端子6を超音波溶接によって一体化しつつ、これらを電気的に相互に接続する。
次いで、参照極4を製作する。具体的には、まず、図6に示すように、電池容器2を形成するためのラミネートフィルムにおける絶縁層12bの形成面(電池容器2の内面となる一面)において参照極形成領域2aを形成すべき領域を対象とする剥離処理を実行して絶縁層12bから支持体11を露出させて、参照極形成領域2aを形成する。同様にして、ラミネートフィルムにおける絶縁層12aの形成面(電池容器2の外面となる一面)において接続部2bを形成すべき領域を対象とする剥離処理を実行して絶縁層12aから支持体11を露出させて、接続部2bを形成する。この場合、上記の「剥離処理」としては、一例として、参照極形成領域2aや接続部2bを形成すべき領域の外縁に沿って絶縁層12aを選択的に接断した状態においてラミネートフィルムを加熱することで支持体11から絶縁層12aを剥離する処理や、ラミネートフィルムにおける参照極形成領域2aや接続部2bを形成すべき領域にレーザーを照射して絶縁層12aを選択的に除去することで支持体11から剥離する処理などを実施することができる。
次いで、参照極形成領域2a内の支持体11にリチウムイオンをドープすることにより、支持体11の表面(内面)に電極層42を形成する。この際には、一例として、ラミネートフィルムにおける参照極形成領域2a内の支持体11と、電極層42形成用の電極(一例として、正極3aの電極層22と同様に形成した電極:以下、「形成用電極」ともいう)との間に電極層42形成用の電解液を滴下した状態において、形成用電極を正極とし、かつ、ラミネートフィルムの支持体11を負極として直流電圧を印加することにより、電解液中のリチウムイオンを支持体11の表面に注入させる。これにより、図7に示すように、リチウムイオンがドープされた部位が電極層42となって電池容器2に参照極4が一体的に形成される。
この場合、出願人は、支持体11の厚み方向の全体にリチウムをドープした状態では支持体11の強度が低下することを見いだした。したがって、支持体11の厚みのうちの50%以下、好ましくは、10%以下の範囲内にリチウムイオンをドープするのが好ましい。一方、支持体11に対するリチウムイオンのドープ量が少な過ぎると、支持体11に形成される電極層42が「参照極」として十分に機能しないおそれがある。したがって、支持体11の厚みのうちの1%以上、好ましくは、5%以上の範囲内にリチウムイオンをドープするのが好ましい。
なお、上記のような電極層42の形成方法に代えて、後述するように、参照極形成領域2aが形成されたラミネートフィルムによって電極部3を包み込むようにして電池容器2を形成し、かつ電池容器2内に電解液8を注入した状態において、電極部3の正極3aを正極とし、かつ電池容器2の支持体11を負極として正極3aおよび支持体11の間に直流電圧を印加することで支持体11に電解液8中のリチウムイオンをドープさせて参照極形成領域2aに電極層42を形成する方法を採用することもできる。しかしながら、このような方法を採用した場合には、電解液8中のリチウムイオンの減少、すなわち、リチウムイオン二次電池1の電池容量の減少を招くため、前述したように、電極層42形成用の電解液を用いて支持体11に電極層42を形成しておくのが好ましい。
次いで、参照極4を形成したラミネートフィルム上に電極部3を載置した後に、この電極部3を包み込むようにしてラミネートフィルムを折り返す。この際には、形成した参照極形成領域2aが、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向で電極部3と対向するようにラミネートフィルムを折り返す。続いて、正極端子5および負極端子6の引き出し部位を除いて電極部3の外縁に沿ってラミネートフィルム(絶縁層12b)を熱溶着によって封止する。これにより、袋状の電池容器2が形成される。次いで、形成した袋状の電池容器2における開口部位から規定量の電解液8を注入した後に、電池容器2の開口部位を正極端子5および負極端子6に密着させるようにして熱溶着によって封止する。続いて、同様にして、電池容器2の接続部2b上に参照極端子7を載置した状態において、接続部2bおよび参照極端子7をレーザー溶接によって一体化しつつ、これらを電気的に相互に接続する。これにより、リチウムイオン二次電池1が完成する。
このリチウムイオン二次電池1を対象とする充電に際しては、正極端子5、負極端子6および参照極端子7を図示しない充電回路に接続する。次いで、各電極3a,3b,4の電位差をモニタリングしつつ、正極3aおよび負極3bの間に充電電圧を印加する。具体的には、正極端子5および負極端子6の間の電位差(すなわち、正極端子5に接続されている正極3aと、負極端子6に接続されている負極3bとの間の電位差)、参照極端子7および正極端子5の間の電位差(すなわち、支持体11を介して参照極端子7に接続されている参照極4と正極3aとの間の電位差)、並びに参照極端子7および負極端子6の間の電位差(すなわち、参照極4と負極3bとの間の電位差)をそれぞれモニタリングしつつ、正極端子5(正極3a)および負極端子6(負極3b)の間に充電電圧を印加する。
この際に、充電電圧の印加によってリチウムイオン二次電池1が満充電状態に近付くにつれ、正極3aおよび負極3bの間の電位差が徐々に大きくなる。したがって、正極3aおよび負極3bの間の電位差をモニタリングすることにより、リチウムイオン二次電池1が満充電状態となったか否かを特定することができる。
一方、出願人は、金属リチウムと、リチウムイオンをドープして形成した電極層42との電位差が0.1V程度の極く小さな差であることを確認している。このため、過充電に起因して負極3bの表面に金属リチウムが析出したときには、リチウムイオンをドープして形成した電極層42を有する参照極4と、金属リチウムが析出した負極3bとの間の電位差が小さくなる。したがって、参照極4および負極3bの間の電位差(対リチウム負極電位)をモニタリングして、測定された電位差が、予め規定された電位差まで低下した時点において、正極3aおよび負極3bの間への充電電圧の印加を停止させたり、正極3aおよび負極3bの間へ印加する充電電圧の電圧値を低下させたりすることにより、負極3bの表面への金属リチウムの析出量を最小限に止めることができる。
さらに、過充電に起因して許容量を超えるイオンが正極3aから放出されたときには、リチウムイオンをドープして形成した電極層42を有する参照極4と、リチウムイオンが放出された正極3aとの間の電位差が大きくなる。したがって、参照極4および正極3aの間の電位差(対リチウム正極電位)をモニタリングして、測定された電位差が、予め規定された電位差まで上昇した時点において、正極3aおよび負極3bの間への充電電圧の印加を停止させたり、正極3aおよび負極3bの間へ印加する充電電圧の電圧値を低下させたりすることにより、許容量を超えるイオンが正極3aから放出される事態を回避することができる。
この場合、本例のリチウムイオン二次電池1では、上記の対リチウム負極電位や対リチウム正極電位を測定するための参照極4(電極層42)が、支持体11および絶縁層12bの合計厚の範囲内で参照極形成領域2aにに形成されている。また、前述したように、本例のリチウムイオン二次電池1では、正極3aおよび負極3bが互いに同じ大きさ(同じ広さ)の矩形状に形成されると共に、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方法において正極3aおよび負極3bの全域が重なるように電極部3が形成されている。
このため、図1に示すように、このリチウムイオン二次電池1では、正極端子5、負極端子6および参照極端子7の配設部位を除いて、全体の厚みがほぼ均一となっている。したがって、このリチウムイオン二次電池1では、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向(リチウムイオン二次電池1の厚み方向)において外力が加わったとしても、電極部3(正極3aおよび負極3b)の全域にほぼ均等に力が加わることとなる。これにより、正極3aや負極3bに対して局所的なストレスが加わる事態が回避される。
このように、このリチウムイオン二次電池1では、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向で電極部3に対向する支持体11の内面における一部に設けた参照極形成領域2aに、支持体11および絶縁層12bの合計厚の範囲内で形成した電極層42を備えて参照極4が形成されている。また、このリチウムイオン二次電池1の製造方法では、正極3a、負極3bおよび絶縁シート3cの積層方向で電極部3に対向する支持体11の内面における一部に参照極形成領域2aを設けると共に、支持体11および絶縁層12bの合計厚の範囲内で参照極形成領域2aに電極層42を形成して参照極4を形成する。
したがって、このリチウムイオン二次電池1、およびリチウムイオン二次電池1の製造方法によれば、電極部3内に参照極4が存在しない分だけ電極部3を薄厚化することができ、また、支持体11および絶縁層12bの合計厚の範囲内で電極層42を形成して参照極4を形成した分だけ参照極4を十分に薄厚化することができるため、リチウムイオン二次電池1の厚みを十分に薄厚化することができると共に、電極部3(正極3aおよび負極3b等の積層体)の厚みが均一となることで正極3aや負極3bに対して局所的なストレスが加わる事態を回避することができ、これにより、正極3aや負極3bの変形や破損を回避して電池特性を良好な状態に維持することができる。
また、このリチウムイオン二次電池1では、支持体11における参照極形成領域2aに対するリチウムイオンのドープによって支持体11の内面に形成された電極層42を備えて参照極4が形成されている。さらに、このリチウムイオン二次電池1の製造方法では、支持体11における参照極形成領域2aに対するリチウムイオンのドープによって支持体11の内面に電極層42を形成して参照極4を形成する。したがって、このリチウムイオン二次電池1、およびリチウムイオン二次電池1の製造方法によれば、参照極4を容易に形成することができる結果、リチウムイオン二次電池1の製造コストを十分に低減することができるだけでなく、電極層42を十分に薄厚化することができるため、リチウムイオン二次電池1の厚みを一層薄厚化することができる。
また、このリチウムイオン二次電池1では、支持体11の外面における一部が絶縁層12aから露出させられて接続部2bが形成されている。さらに、このリチウムイオン二次電池1の製造方法では、支持体11の外面における一部を絶縁層12aから露出させて接続部2bを形成する。したがって、このリチウムイオン二次電池1、およびリチウムイオン二次電池1の製造方法によれば、参照極形成領域2aに形成した参照極4(電極層42)を外部装置に接続するためのリード線等を別途設けることなく、支持体11を介して参照極4(電極層42)を外部装置に接続することができるため、リード線等が不要となる分だけ、リチウムイオン二次電池1の厚みを一層薄厚化することができる。
なお、「二次電池」の構成、およびその製造方法は、上記のリチウムイオン二次電池1の構成やその製造方法に限定されない。例えば、「リチウムイオン二次電池」において「支持体および内面側絶縁層の合計厚の範囲内」で「参照極形成領域」に「参照極(電極層)」を形成する構成および製造方法を例に挙げて説明したが、例えば、「ニッケル水素二次電池」等の各種の「二次電池」において「支持体および内面側絶縁層の合計厚の範囲内」で「参照極形成領域」に「参照極(電極層)」を形成する構成および製造方法を採用した場合においても、上記のリチウムイオン二次電池1、およびその製造方法と同様の効果を奏することができる。
また、支持体11にリチウムイオンをドープして電極層42を形成する例について説明したが、「支持体」における「参照極形成領域」に、「電極層」を形成するための導体層を別途形成し、この導体層にリチウムイオンをドープすることで「電極層」を形成することもできる。さらに、「電極層」の形成方法は、リチウムイオンのドープに限定されず、一例として、参照極形成領域2a内の支持体11に、リチウム、またはリチウム合金などを分散させた塗液を塗布して硬化させることで支持体11および絶縁層12bの合計厚の範囲内に「電極層」を形成することもできる。また、平面視矩形上の正極3aおよび負極3bを有する電極部3を備えた構成について説明したが、「正極」や「負極」の平面形状は「矩形状」に限定されない。
1 リチウムイオン二次電池
2 電池容器
2a 参照極形成領域
2b 接続部
3 電極部
3a 正極
3b 負極
3c 絶縁シート
4 参照極
5 正極端子
6 負極端子
7 参照極端子
8 電解液
11 支持体
12a,12b 絶縁層
21 支持体
21a 接続部
22 電極層
31 支持体
31a 接続部
32 電極層
42 電極層

Claims (6)

  1. シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極および前記負極を相互に絶縁する絶縁シートとが積層された電極部が電解液と共に容器体内に収容され、かつ前記正極および前記負極と共に前記電解液に接するように参照極が前記容器体内に配設された二次電池であって、
    前記容器体は、導電性材料で形成された支持体の少なくとも内面に絶縁性材料で形成された内面側絶縁層が形成されて構成されると共に、当該容器体には、前記正極、前記負極および前記絶縁シートの積層方向で前記電極部に対向する前記支持体の前記内面における一部が前記内面側絶縁層から露出させられて当該支持体の当該内面に参照極形成領域が形成され、
    前記参照極は、前記支持体の前記参照極形成領域における前記支持体および前記内面側絶縁層の合計厚の範囲内に形成された電極層を備えて構成されている二次電池。
  2. 前記支持体は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の少なくとも一方で形成され、
    前記電極層は、前記支持体における前記参照極形成領域に対するリチウムイオンのドープによって当該支持体の前記内面に形成されている請求項1記載の二次電池。
  3. 前記容器体は、前記支持体の外面に絶縁性材料で形成された外面側絶縁層が形成されて構成されると共に、当該容器体には、前記支持体の前記外面における一部が前記外面側絶縁層から露出させられて、当該支持体を介して前記参照極に電気的に接続するための接続部が形成されている請求項1または2記載の二次電池。
  4. シート状の正極と、シート状の負極と、前記正極および前記負極を相互に絶縁する絶縁シートとが積層された電極部が電解液と共に容器体内に収容され、かつ前記正極および前記負極と共に前記電解液に接するように参照極が前記容器体内に配設された二次電池を製造する二次電池製造方法であって、
    前記正極、前記負極および前記絶縁シートを積層して前記電極部を形成すると共に、導電性材料で形成された支持体の少なくとも内面に絶縁性材料で形成された内面側絶縁層が形成された前記容器体における当該支持体の当該内面において、前記正極、前記負極および前記絶縁シートの積層方向で前記電極部に対向する領域の一部を当該内面側絶縁層から露出させて当該支持体の当該内面に参照極形成領域を形成し、かつ当該参照極形成領域における前記支持体および前記内面側絶縁層の合計厚の範囲内に電極層を形成することによって前記参照極を形成する二次電池製造方法。
  5. アルミニウムおよびアルミニウム合金で形成された前記支持体における前記参照極形成領域に対するリチウムイオンのドープによって当該支持体の前記内面に前記電極層を形成する請求項4記載の二次電池製造方法。
  6. 絶縁性材料で形成された外面側絶縁層が外面に形成された前記支持体における当該外面の一部を当該外面側絶縁層から露出させることによって、当該支持体を介して前記参照極に電気的に接続するための接続部を形成する請求項4または5記載の二次電池製造方法。
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JP2016220279A (ja) * 2015-05-14 2016-12-22 ローム株式会社 充電制御装置、充電制御方法、およびバッテリーパック
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