JP2014137741A - 交通評価装置、コンピュータプログラム及び交通評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】視覚的な違和感を与えることなく個々の模擬車両の挙動を再現することができる交通評価装置、コンピュータプログラム及び交通評価方法を提供する。
【解決手段】交通シミュレータ10は、車両の移動モデルを表す計算式に基づいて演算を行うシミュレータエンジン部11、交通評価指標推定部12、補正交通量算出部13、補正出発交通量生成部14、補正到着交通量生成部15、仮想リンク生成部16、走行順序特定部17、記憶部18、交通評価指標算出部19などを備える。
【選択図】図4
【解決手段】交通シミュレータ10は、車両の移動モデルを表す計算式に基づいて演算を行うシミュレータエンジン部11、交通評価指標推定部12、補正交通量算出部13、補正出発交通量生成部14、補正到着交通量生成部15、仮想リンク生成部16、走行順序特定部17、記憶部18、交通評価指標算出部19などを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、複数の模擬車両の走行により交通評価指標を算出する交通評価装置、該交通評価装置を実現するためのコンピュータプログラム及び前記交通評価装置による交通評価方法に関する。
交通規制等による影響を事前に評価する手段として交通シミュレータへの期待が高まっており、様々な技術開発が行われている。このような交通シミュレータは、入力データとしては、例えば、それぞれの車両に対して、道路網を構成するリンク上の起点(出発地)及び終点(目的地)を定めた起終点情報、車両の走行速度、加速減速特性、信号情報などの交通情報が所与として取り扱われている。道路網は、複数のリンク(例えば、交差点と交差点とを繋ぐ道路で上り及び下りの2つの方向を有する)とリンク同士が交差する点であるノード(例えば、交差点)などで構成される。
交通シミュレータの目的は、例えば、工事、事故又は災害などによる交通規制、道路の新設、交差点の改良などの交通環境変化後の影響を事前に評価又は推定することである。そして、交通シミュレータは、予め車両の移動モデル、すなわち、車両の挙動を模した計算式を内包しており、上述の入力データを当該計算式に当てはめることにより、単独交差点、路線及び市街地などの道路網における渋滞長、旅行時間などの交通評価指標、あるいは排ガスに含まれる二酸化炭素などの環境指標を算出する。
このような交通シミュレータには、巨視的モデル(macroscopic model)と微視的モデル(Microscopic model)とがある。巨視的モデルは、駐車車両又は車線変更などの個々の車両の細かな走行状態を省略して個々の車両の挙動を簡素化又は単純化する。これにより、シミュレーションの計算量を軽くし、都道府県内全域、全国など、道路網の広範囲な交通状況を再現して、高速道路開通、震災など交通状況の変化による影響が広範囲に及ぶ状況を評価することを目的としている。
一方、微視的モデルは、駐車車両又は車線変更などの個々の車両の細かな走行状態を把握して個々の車両の挙動をできるだけ忠実に再現する。これにより、交差点の形状を改良した場合など、道路網の局所的な交通状況を評価することを目的としている。また、近年では、交通シミュレータの処理能力、計算能力が向上してきており、微視的モデルにおいても、例えば、50〜100個の交差点、あるいはそれ以上の広範囲な道路網を対象としたシミュレーションが可能になっている。
交通シミュレータでは、シミュレーションの対象となる道路網が広範囲になると、個々の車両の起終点情報が必要となる。従って、微視的モデルにおいても、道路網が広範囲になると巨視的モデルと同様に個々の車両の起終点情報を設定する必要がある。例えば、起終点情報を用いた交通評価装置が開示されている(特許文献1参照)。
特許文献1の交通評価装置などの場合、渋滞長又は交通量などの交通評価指標の実測値とシミュレーションの結果得られた推定値との誤差、すなわち実測値とシミュレーションの再現結果とを同等にするため、例えば、50秒経過の都度、当該誤差に相当する台数の車両をリンクへ放出又はリンクから回収する補正処理を行っている。
巨視的モデルにおいては、渋滞長又は交通量の変化を道路地図上で色分けして表示するなど、個々の車両の挙動までは表示されない。このため、上述のような、50秒経過の都度、車両の放出又は回収処理を瞬時に行ったとしてもシミュレータの表示上の違和感はない。しかし、微視的モデルにおいては、個々の車両の挙動を忠実に再現する必要があるため、従来の補正処理を用いた場合、シミュレータの表示画面上で突然車両が出現し、あるいは消滅することになり、視覚的な違和感を与えるという問題がある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、視覚的な違和感を与えることなく個々の模擬車両の挙動を再現することができる交通評価装置、該交通評価装置を実現するためのコンピュータプログラム及び前記交通評価装置による交通評価方法を提供することを目的とする。
第1発明に係る交通評価装置は、個別の起終点情報を有する複数の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて道路網を構成する1又は複数のリンクを走行させることにより交通評価指標を算出する交通評価装置において、前記交通評価指標の評価対象リンクでの実測に基づく実測交通評価指標を取得する取得手段と、前記複数の模擬車両を走行させて前記評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定する推定手段と、前記取得手段で取得した実測交通評価指標及び前記推定手段で推定した推定交通評価指標に基づいて、前記起終点情報に依拠しない補正交通量を算出する算出手段と、該算出手段で算出した補正交通量を、前記交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成する生成手段と、該生成手段で補正交通量を生成して前記交通評価指標を算出する交通評価指標算出手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る交通評価装置は、第1発明において、前記評価対象リンクに1又は複数の前記評価非対象リンクを接続してあり、前記生成手段は、前記評価非対象リンクで補正出発交通量を放出し、又は該評価非対象リンクで補正到着交通量を回収するようにしてあることを特徴とする。
第3発明に係る交通評価装置は、第1発明又は第2発明において、前記算出手段は、所定の周期で補正交通量を算出するようにしてあり、前記算出手段が、任意の周期で補正交通量を算出した場合、該周期の1周期前を新たな処理時点とすべく制御する処理時点制御手段を備え、前記生成手段は、前記新たな処理時点から1周期が経過するまでの間に、前記補正交通量を生成するようにしてあることを特徴とする。
第4発明に係る交通評価装置は、第3発明において、前記生成手段は、前記新たな処理時点から1周期が経過するまでの間に、前記補正交通量を複数回に分けて生成するようにしてあることを特徴とする。
第5発明に係る交通評価装置は、第3発明又は第4発明において、前記生成手段は、所定の周期で補正交通量を生成するようにしてあり、前記処理時点制御手段で処理時点を制御した場合に、前記交通評価指標を算出すべく複数の模擬車両を走行させる第1走行手段と、前記処理時点制御手段で処理時点を制御することなく、前記交通評価指標を算出すべく複数の模擬車両を走行させる第2走行手段と、同一時点に走行させる模擬車両が複数存在するとき、該模擬車両の走行順序を特定する特定情報を生成する特定情報生成手段とを備え、前記第1走行手段及び第2走行手段は、同一時点に走行させる模擬車両が複数存在する場合、前記周期毎に同一の特定情報を用いて複数の模擬車両を走行させるようにしてあることを特徴とする。
第6発明に係る交通評価装置は、第1発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記補正交通量の多少に応じて、前記評価非対象リンクの数を決定する決定手段を備えることを特徴とする。
第7発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、個別の起終点情報を有する複数の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて道路網を構成する1又は複数のリンクを走行させることにより交通評価指標を算出するステップを実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記複数の模擬車両を走行させて前記交通評価指標の評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定するステップと、前記評価対象リンクでの実測交通評価指標及び推定交通評価指標に基づいて、前記起終点情報に依拠しない補正交通量を算出するステップと、算出した補正交通量を、前記交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成するステップと、前記補正交通量を生成して前記交通評価指標を算出するステップとを実行させることを特徴とする。
第8発明に係る交通評価方法は、個別の起終点情報を有する複数の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて道路網を構成する1又は複数のリンクを走行させることにより交通評価指標を算出する交通評価装置が行う交通評価方法において、前記交通評価指標の評価対象リンクでの実測に基づく実測交通評価指標を取得するステップと、前記複数の模擬車両を走行させて前記評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定するステップと、取得された実測交通評価指標及び推定された推定交通評価指標に基づいて、前記起終点情報に依拠しない補正交通量を算出するステップと、算出された補正交通量を、前記交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成するステップと、前記補正交通量を生成して前記交通評価指標を算出するステップとを含むことを特徴とする。
第1発明、第7発明及び第8発明にあっては、取得手段は、交通評価指標の評価対象リンクでの実測に基づく実測交通評価指標を取得する。交通評価指標は、例えば、渋滞長、旅行時間、交通量、待ち行列長などである。また、交通評価指標に、排ガスに含まれる二酸化炭素などの環境指標を含めることもできる。リンクは、道路網内の交差点同士を繋ぐ道路であり、上り及び下りの2方向を有する。また、評価対象リンクは、交通評価指標を算出する対象となるリンクであり、個々の模擬車両をそれぞれの起終点情報に基づいて走行させた場合に、模擬車両が走行する可能性のあるリンクである。評価対象リンクは、起終点情報に基づく走行経路となる可能性のあるリンクである。実測交通評価指標は、例えば、交通評価装置への入力データとして取得することができ、例えば、評価対象リンクに対応する道路での実際の交通評価指標などを予め実測して求めておくことができる。なお、評価対象リンクを単にリンクとも称する。
推定手段は、複数の模擬車両を走行させて前記評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定する。推定手段は、個々の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて走行させた場合に、評価対象リンクにおける交通評価指標を推定する。なお、実測交通評価指標及び推定交通評価指標をそれぞれ実測値及び推定値とも称する。算出手段は、取得した実測交通評価指標及び推定した推定交通評価指標に基づいて、当該評価対象リンクでの起終点情報に依拠しない補正交通量を算出する。補正交通量は、実測交通評価指標(実測値)と推定交通評価指標(推定値)との誤差(差分)であり、補正値、補正台数等とも称する。
生成手段は、算出した補正交通量を、交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成する。交通評価指標手段は、補正交通量を生成して交通評価指標を算出する。補正交通量を生成するとは、補正交通量に相当する補正台数の車両を、評価非対象リンクを用いて生成することである。評価非対象リンクとは、評価対象リンクとは異なるリンクであり、交通評価指標の評価対象となっていないリンクであり、仮想リンクとも称する。すなわち、評価非対象リンク(仮想リンク)は、シミュレーションの対象となっていない道路(細街路など)、店舗の駐車場、建物の駐車場の出入口などを想定したものである。補正交通量を生成する場合に評価非対象リンクを用いるので、シミュレータ上では、リンクに車両が突然現れ、あるいは突然消滅するようなことはなく、例えば、評価非対象リンクと見立てた細街路又は駐車場などから車両が出てきたように表現することができ、あるいは細街路又は駐車場などへ車両が入っていくように表現することができ、視覚的な違和感を与えることなく個々の車両の挙動を再現することができる。
第2発明にあっては、評価対象リンクに1又は複数の評価非対象リンクを接続してある。なお、評価非対象リンクの接続箇所は、適宜設定することができ、シミュレーションの対象となっていない実際の道路に相当する位置に設けてもよく、評価対象リンクの上流側、中間点、下流側に設けてもよく、評価対象リンクに対応する道路に沿って建物又は店舗等がある場合には、建物又は店舗の位置に駐車場への出入口として設けることもできる。なお、評価対象リンクに一端を接続した評価非対象リンクの他端はどこにも繋がっていないようにすることができる。
生成手段は、評価非対象リンクで補正出発交通量を放出し、又は評価非対象リンクで補正到着交通量を回収する。補正交通量を、(実測交通評価指標−推定交通評価指標)に相当する交通量とした場合、補正交通量が正である場合、すなわち、実測値が推定値より大きい場合、実測値と推定値との誤差がゼロ又は最小になるように、当該誤差に相当する補正交通量を補正出発交通量として評価非対象リンクへ放出する。補正交通量を放出するとは、補正交通量に相当する台数の車両を放出することである。また、補正交通量が負である場合、すなわち、推定値が実測値より大きい場合、推定値と実測値との誤差がゼロ又は最小になるように、当該誤差に相当する補正交通量を補正到着交通量として評価非対象リンクから回収する。補正交通量を回収するとは、補正交通量に相当する台数の車両を回収することである。
起終点情報に依拠しない補正交通量を、補正出発交通量として評価非対象リンクから放出し、あるいは補正到着交通量として評価非対象リンクから回収するので、微視的モデルにおいて、個々の車両の挙動を再現することができるとともに、個々の車両の挙動がシミュレータの表現上又は視覚上において違和感を与えることを防止することができる。
第3発明にあっては、算出手段は、所定の周期で補正交通量を算出する。所定の周期は、例えば、50秒であるが、これに限定されない。すなわち、算出手段は、任意の評価対象リンクで実測値と推定値との誤差に相当する補正交通量を所定の周期で算出する。処理時点制御手段は、任意の周期で補正交通量が算出された場合、当該周期の1周期前を新たな処理時点とすべく制御する。例えば、所定の周期をTとし、時刻tで補正交通量が算出された場合、シミュレータ上の時刻が、時刻tから時刻(t−T)となるように制御する。すなわち、処理時点制御手段は、シミュレータ上で、時刻tを1周期Tだけ元に戻す機能を有する。そして、生成手段は、新たな処理時点(t−T)から1周期Tが経過するまでの間に、すなわち時刻t(=t−T+T)までの間に補正交通量を生成する。これにより、例えば、任意の時刻tで補正交通量を算出した場合、時刻を1周期Tだけ元に戻して補正交通量を周期Tの間に生成するので、時刻tで算出された補正交通量に基づいて、時刻tで補正交通量を生成することができ、補正交通量を算出する都度、その時点で交通評価指標が補正されることになり、補正交通量の算出と交通評価指標の補正とのタイミングがずれることによる違和感を防止することができる。
第4発明にあっては、生成手段は、新たな処理時点(t−T)から1周期Tが経過するまでの間に、すなわち時刻t(=t−T+T)までの間に補正交通量を複数回に分けて生成する。複数回に分けることにより、1回当たりに生成する補正交通量を少なくすることができ、1回の補正交通量が多くなり過ぎることを抑制して違和感を防止することができる。
第5発明にあっては、生成手段は、所定の周期で補正交通量を生成する。所定の周期は、例えば、50秒であるが、これに限定されない。すなわち、生成手段は、所定の周期で、算出した補正交通量に相当する補正台数の車両を、評価非対象リンクを用いて生成する。第1走行手段は、処理時点制御手段で処理時点を制御した場合において、交通評価指標を算出するときに複数の車両を模擬走行させる。すなわち、第1走行手段は、任意の周期で補正交通量を算出した後に、当該周期の1周期前を新たな処理時点として、現状の再現を行うべく補正交通量を生成して模擬車両の走行を行う。第2走行手段は、処理時点制御手段で処理時点を制御することなく、交通評価指標を算出する場合に複数の模擬車両を走行させる。すなわち、第2走行手段は、補正交通量は既知として、補正による再現が正しく行われたかを確認すべく現状の再現を再度行うべく補正交通量を生成して交通評価指標を算出する際の模擬車両の走行を行う。
特定情報生成手段は、同一時点に走行させる模擬車両が複数存在するとき、当該複数の模擬車両の走行順序を特定する特定情報を生成する。特定情報は、例えば、初期値(シード)を元にコンピュータ上で擬似的に発生させる乱数であり、初期値を同じにした場合、同じ乱数列を得ることができる。同じ乱数列を発生させることにより、複数の模擬車両の走行順序を一義的に決定することができ、複数の模擬車両を同一時点で走行させる場合、一義的に走行順位を特定することができるので、模擬車両の走行状態を正しく再現することができる。そして、第1走行手段及び第2走行手段は、同一時点に走行させる模擬車両が複数存在する場合、周期毎に同一の特定情報を用いて複数の模擬車両を走行させる。これにより、第1走行手段による現状再現時と、第2走行手段による現状再現時とで周期毎に同じ特定情報を用いるので、模擬車両の走行挙動の再現性を高めることができ、現状の再現を正しく行うことができる。
第6発明にあっては、決定手段は、補正交通量(例えば、補正出発交通量又は補正到着交通量)の多少に応じて、評価非対象リンクの数を決定する。例えば、評価対象リンク毎に予め評価非対象リンク(仮想リンク)を設定しておく。そして、任意の評価対象リンクに対する補正出発交通量が多い場合、すなわち放出する補正車両の台数が多い場合には、車両を放出する評価非対象リンクの数が多くなるように決定(又は選択)する。また、任意の評価対象リンクに対する補正到着交通量が多い場合、すなわち回収する補正車両の台数が多い場合には、車両を回収する評価非対象リンクの数が多くなるように決定(又は選択)する。これにより、1つの評価非対象リンクから放出又は回収する車両の数を均等化又は少なくすることができ、一層違和感を与えることを防止することができる。
本発明によれば、視覚的な違和感を与えることなく個々の模擬車両の挙動を再現することができる。
以下、本発明に係る交通評価装置、該交通評価装置を実現するためのコンピュータプログラム及び前記交通評価装置による交通評価方法の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る交通評価装置の一例である交通シミュレータにおける車両挙動の例を示す模式図である。
本実施の形態の交通シミュレータは、複数の模擬車両の走行により交通評価指標を算出して出力する。なお、本実施の形態では、簡便のため模擬車両を単に車両と称する。交通評価指標とは、例えば、渋滞長、旅行時間、交通量、待ち行列長などである。また、交通評価指標に、排ガスに含まれる二酸化炭素などの環境指標を含めることもできる。交通シミュレータには、入力データとして、例えば、それぞれの車両についてのリンク上の起点(出発地)及び終点(目的地)を定めた起終点情報、車両の走行速度、車両の加速減速特性、信号情報、交通評価指標の実測値などの情報が与えられる。
交通シミュレータは、予め車両の移動モデル、すなわち、車両の挙動を模した計算式を内包しており、上述の入力データを当該計算式に当てはめることにより、複数の車両を模擬的に走行させる。そして、単独交差点、路線及び市街地などの道路網における渋滞長、旅行時間、交通量、待ち行列長などの交通評価指標を算出する。交通シミュレータは、実測による得られた実測交通評価指標と、交通シミュレータが算出した推定交通評価指標との差分(誤差)をリンク単位で補正することにより、交通評価指標の再現性を向上させる。道路網は、複数のリンク(例えば、交差点と交差点とを繋ぐ道路で上り及び下りの2つの方向を有する)とリンク同士が交差する点であるノード(例えば、交差点)などで構成される。図1では、道路網の一部として3つのノードと2つのリンクとを例示している。
図2はシミュレーションゾーンの一例を示す模式図である。図2に示すように、シミュレーションゾーンは、複数のゾーンに分割されている。図2の例では、シミュレーションゾーンは、便宜上、ゾーンA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、Lの12のゾーンで分割されているが、図2の例に限定されるものではない。複数のゾーンのうち、シミュレーションネットワークの端点リンク群で構成されているゾーンA、B、C、F、G、J、K、Lは境界ゾーンと称される。一方、シミュレーションネットワーク内のリンク群で構成されるリンクD、E、H、Iは内ゾーンと称される。境界ゾーンを起点及び終点(例えば、ゾーンAを起点とし、ゾーンLを終点)とする車両を外々交通と称する。また、境界ゾーンを起点とし内ゾーンを終点(例えば、ゾーンAを起点とし、ゾーンIを終点)とする車両を外内交通と称する。また、内ゾーンを起点及び終点(例えば、ゾーンDを起点とし、ゾーンIを終点)とする車両を内々交通と称する。さらに、内ゾーンを起点とし境界ゾーンを終点(例えば、ゾーンDを起点とし、ゾーンLを終点)とする車両を内外交通と称する。また、各ゾーンの大きさは、個々の車両の起終点情報が細かいほど小さくすることが可能であり、例えば、5km四方の大きさとすることができる。
なお、本実施の形態では、簡便のため評価対象リンクを単にリンクと称し、評価対象ノードを単にノードと称する。評価対象リンクは、交通評価指標を算出する対象となるリンクであり、個々の車両をそれぞれの起終点情報に基づいて走行させた場合に、車両が走行する可能性のあるリンクである。リンク(評価対象リンク)は、起終点情報に基づく走行経路となる可能性のあるリンクである。
図3は起終点情報の一例を示す模式図である。図3Aに示す起終点情報は、起点から出発して終点に到着させる車両の台数を任意の起点及び終点に対応させてマトリクス状に纏めたものであり、車両の出発時刻毎に(例えば、15分毎)表したものである。図3の例では、時刻7:15から7:30までの間に、ゾーンAを出発してゾーンBへ向かう車両が3台であることを示す。同様に、時刻7:15から7:30までの間に、ゾーンAを出発してゾーンCへ向かう車両が5台であることを示す。ゾーンAを起点とし、ゾーンD〜Lを終点とする車両についても同様である。なお、図3Aの例では、簡便のため、ゾーンA、Bを起点とする車両だけを例示し、他のゾーンC〜Lを起点とする車両の台数は割愛している。また、図3Bは、道路地図とシミュレーションゾーンとを対応させて例示した模式図であり、ゾーンAを起点とし、ゾーンB〜Lを終点とする車両の台数を図3Aの起終点情報に基づいて模式的に図示したものである。そして、各車両を起終点情報及び車両の移動モデル(経路選択モデル)に基づいて模擬走行させることにより、個々の車両の起点から終点までの走行経路等の車両の挙動を求めることができる。なお、起終点情報は、図3の例に限定されるものではない。また、車両の出発時刻の間隔は、15分に限定されるものではない。
図4は本実施の形態に係る交通評価装置の一例としての交通シミュレータ10の構成例を示すブロック図である。交通シミュレータ10は、車両の移動モデルを表す計算式に基づいて演算を行うシミュレータエンジン部11、交通評価指標推定部12、補正交通量算出部13、補正出発交通量生成部14、補正到着交通量生成部15、仮想リンク生成部16、走行順序特定部17、記憶部18、交通評価指標算出部19などを備える。
図4に示すように、交通シミュレータ10には、入力データとして、例えば、車両の走行速度、加速減速特性、車両の起点終点情報、実測渋滞長、実測交通量、信号情報などのデータが与えられる。なお、図4には例示していないが、実測旅行時間(実測交通量から算出された旅行時間も含む)、待ち行列長の実測値も入力データとして交通シミュレータ10に提供することができる。
交通シミュレータ10は、入力データを用いて、交通評価指標である各リンクの渋滞長(推定渋滞長)、車両の旅行時間、交通量、待ち行列台数(待ち行列長)などを算出して出力する。なお、交通評価指標に環境汚染物質(二酸化炭素など)の排出量(例えば、環境指標)を含めることもできる。
交通シミュレータには、巨視的モデルと微視的モデルを用いたものがあるが、本実施の形態の交通シミュレータ10は、巨視的モデルの中でも個々の車両の表現が可能なモデル及び微視的モデルに相当する。微視的モデルは、駐車車両又は車線変更などの個々の車両の細かな走行状態を把握して個々の車両の挙動をできるだけ忠実に再現する場合に使用される。巨視的モデルの中でも個々の車両を扱えるモデルは、駐車車両又は車線変更などの車両挙動を省略し、加減速、走行、停止で挙動を再現することで計算機の計算負荷を軽くして、より広範囲の道路網を対象とする場合に使用される。交通シミュレータ10は、交差点の形状を改良した場合など、道路網の局所的な交通状況を評価することを目的とする。
交通評価指標推定部12は、推定手段としての機能を有し、複数の車両を走行させることにより、道路網内の任意の評価対象リンクでの交通評価指標を推定する。交通評価指標推定部12は、例えば、渋滞長、旅行時間、交通量、待ち行列長などの推定値を算出する。
補正交通量算出部13は、算出手段としての機能を有し、入力データとして取得した任意のリンクでの実測交通評価指標及び交通評価指標推定部12で推定した当該リンクでの推定交通評価指標に基づいて、当該リンクでの起終点情報に依拠しない補正交通量を算出する。補正交通量は、実測交通評価指標(実測値)と推定交通評価指標(推定値)との誤差(差分)であり、補正値、補正台数等とも称する。
図5は本実施の形態の交通シミュレータ10により算出される補正交通量の一例を示す模式図である。図5の例では、2つのリンク1、2が繋がっている。リンク1では、実測交通評価指標が推定交通評価指標よりも大きく、リンク2では、推定交通評価指標が実測交通評価指標よりも大きい場合を示す。補正交通量は、例えば、(実測交通評価指標−推定交通評価指標)に相当する交通量とすることができる。この場合、図5のリンク1では補正交通量は正となり、リンク2では補正交通量は負となる。
補正出発交通量生成部14及び補正到着交通量生成部15は、生成手段としての機能を有する。補正出発交通量生成部14は、補正交通量算出部13で算出した補正交通量が正である場合、すなわち(実測交通評価指標−推定交通評価指標)に相当する交通量が正である場合、起終点情報に依拠しない補正出発交通量を、交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成する。また、補正到着交通量生成部15は、補正交通量算出部13で算出した補正交通量が負である場合、すなわち(実測交通評価指標−推定交通評価指標)に相当する交通量が負である場合、起終点情報に依拠しない補正到着交通量を、交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成する。なお、評価非対象リンクにおいて、補正出発交通量だけを生成してもよく、あるいは補正到着交通量だけを生成してもよく、両者を生成することもできる。
補正出発交通量及び補正到着交通量を纏めて補正交通量と称する。補正出発交通量又は補正到着交通量を生成するとは、補正交通量に相当する補正台数の車両を、評価非対象リンクを用いて生成することである。なお、評価非対象リンクは、評価対象リンクとは異なる仮想のリンクであるが、その詳細は後述する。
次に、本実施の形態の評価非対象リンクを使用しない場合に補正交通量を生成するとき、すなわち補正交通量に応じた車両をリンクへ放出する際又はリンクから回収する際の問題点について説明する。以下の説明では、交通評価指標の一例として渋滞長を用いる。
図6は渋滞長を補正するために車両をリンクに放出する様子を示す模式図である。図6Aは渋滞長を推定した時点の様子を示し、図6Bは補正時、すなわち車両を放出した時点の様子を示す。図6Aに示すように、任意のリンク(評価対象リンク)において、渋滞長の推定値が実測値よりも小さいとする。交通シミュレータは、推定値を実測値に合せるべく、実測渋滞長と推定渋滞長との差分に相当する台数の車両(図6Bにおいて、模様を付した車両)を瞬時に放出する。
図7は渋滞長を補正するために車両をリンクから回収する様子を示す模式図である。図7Aは渋滞長を推定した時点の様子を示し、図7Bは補正時、すなわち車両を回収した時点の様子を示す。図7Aに示すように、任意のリンク(評価対象リンク)において、渋滞長の実測値が推定値よりも小さいとする。交通シミュレータは、推定値を実測値に合せるべく、推定渋滞長と実測渋滞長との差分に相当する台数の車両(図7Bにおいて、破線で示す車両)を瞬時に回収する。
図8は巨視的モデルを用いた交通シミュレータの表示画面の一例を示す模式図である。巨視的モデルを用いた交通シミュレータでは、個々の車両の細かな走行状態を省略して個々の車両の挙動を簡素化又は単純化することにより、シミュレーションの計算量を軽くし、都道府県内全域、全国など、道路網の広範囲な交通状況を再現するとともに評価することを目的とする。このため、巨視的モデルを用いた交通シミュレータの表示画面は、図8に示すように、個々の車両の挙動は画面上に表示せず、道路網の広範囲を、例えば、5分単位、1時間単位等で表示する。したがって、図6B又は図7Bのように、車両が突然出現し、あるいは突然消滅したとしても、人目にはつかず違和感を与えることはない。
しかし、微視的モデルを用いた交通シミュレータ10の場合には、個々の車両の挙動をできるだけ忠実に再現することを目的とするため、例えば、50秒程度の周期で車両を放出又は回収した場合、図6B又は図7Bのように、車両が突然出現し、あるいは突然消滅した場合には違和感を与える。また、微視的モデルでは、例えば、0.1秒、1秒、2秒など、さらに短い周期で交通量を補正する場合もあり、このような短い周期で補正を行うときには、一層違和感を与えることになる。また、巨視的モデルにおいても、個々の車両を表現する場合は、同様に違和感を与えることになる。
そこで、本実施の形態の交通シミュレータ10では、補正交通量を生成するとき、すなわち補正交通量に応じた車両をリンクへ放出する際又はリンクから回収する際には、評価対象リンクとは異なる評価非対象リンクを用いる。以下、評価非対象リンクについて説明する。なお、本実施の形態では、評価非対象リンクをリンク(評価対象リンク)と区別すべく仮想リンクと称する。
図9は本実施の形態の仮想リンクの一例を示す模式図である。図9の例では、リンク(評価対象リンク)を実線で示し、仮想リンクを破線で示す。仮想リンクとは、評価対象リンクとは異なるリンクであり、交通評価指標の評価対象となっていないリンクである。仮想リンクは、シミュレーションの対象となっていない道路(細街路など)、店舗の駐車場、建物の駐車場の出入口などを想定したものである。
仮想リンク生成部16は、仮想リンクを生成する。仮想リンクは、一端を評価対象リンクに接続し、他端は何処にも接続されていない。また、仮想リンクとリンクとの交点は、仮想交差点として表現することもできる。仮想リンクの長さは、例えば、50〜100m程度の長さとすることができるが、仮想リンクの長さは適宜設定することができ、リンク(評価対象リンク)上の点(長さゼロ)として表現することもできる。
なお、仮想リンクの評価対象リンクへの接続箇所は、適宜設定することができ、シミュレーションの対象となっていない実際の道路に相当する位置に設けてもよく、評価対象リンクの上流側、中間点、下流側に設けてもよく、評価対象リンクに対応する道路に沿って建物又は店舗等がある場合には、建物又は店舗の位置に駐車場への出入口として設けることもできる。
図10は仮想リンクを用いた場合の渋滞長を補正するために車両をリンクに放出する様子を示す模式図である。図10は、図6Bの場合に対応する。図10に示すように、車両を放出する場合、すなわち起終点情報に依拠しない補正出発交通量を生成する場合、放出する車両が存在する位置又はその近傍の仮想リンクを決定又は選択し、当該仮想リンクから車両が出てきたように放出することができる。
図11は仮想リンクを用いた場合の渋滞長を補正するために車両をリンクから回収する様子を示す模式図である。図11は、図7Bの場合に対応する。図11に示すように、車両を回収する場合、すなわち起終点情報に依拠しない補正到着交通量を生成する場合、回収する車両が存在する位置又はその近傍の仮想リンクを決定又は選択し、当該仮想リンクへ車両が入るように回収することができる。
図12は本実施の形態の交通シミュレータ10による簡易的な表示例を示す模式図である。図12に示すように、評価対象のリンク(道路)に複数の仮想リンクを接続した構成となっている。この例では、シミュレーションの評価対象となっていない細街路(実際の道路)、ビルの駐車場の出入口、店舗の駐車場の出入口など、車両が出入りしても極めて自然な印象を与えるものを仮想リンクとして見立てている。なお、細街路又は駐車場などは、簡単に描かれていれば、図12の例に限定されるものではない。
図13は本実施の形態の交通シミュレータ10による視覚的な表示例を示す模式図である。図13の例では、例えば、道路及び建物などを3D表示とし、実際の状況に近づけるとともに一層視覚的に表現したものである。図13の例においても、シミュレーションの評価対象となっていない細街路(実際の道路)、ビルの駐車場の出入口、店舗の駐車場の出入口など、車両が出入りしても極めて自然な印象を与えるものを仮想リンクとして見立てている。
上述のとおり、補正交通量を生成する場合、すなわち補正出発交通量として車両をリンクへ放出する場合、あるいは補正到着交通量として車両をリンクから回収する場合に、仮想リンクを用いるので、シミュレータ上では、リンクに車両が突然現れ、あるいは突然消滅するようなことはなく、例えば、仮想リンクと見立てた細街路又は駐車場などから車両が出てきたように表現することができ、あるいは細街路又は駐車場などへ車両が入っていくように表現することができ、視覚的な違和感を与えることなく個々の車両の挙動を再現することができる。
また、上述の例では、補正出発交通量生成部14は、仮想リンクから補正出発交通量をリンクへ放出する。すなわち、補正交通量を、(実測交通評価指標−推定交通評価指標)に相当する交通量とした場合、補正交通量が正である場合、すなわち、実測値が推定値より大きい場合、実測値と推定値との誤差がゼロ又は最小になるように、当該誤差に相当する補正交通量を補正出発交通量として仮想リンクへ放出する。補正交通量を放出するとは、補正交通量に相当する台数の車両を放出することである。
また、補正到着交通量生成部15は、補正到着交通量をリンクから仮想リンクへ回収する。補正交通量が負である場合、すなわち、推定値が実測値より大きい場合、推定値と実測値との誤差がゼロ又は最小になるように、当該誤差に相当する補正交通量を補正到着交通量として仮想リンクから回収する。補正交通量を回収するとは、補正交通量に相当する台数の車両を回収することである。
上述のように、起終点情報に依拠しない補正交通量を、補正出発交通量として仮想リンクから放出し、あるいは補正到着交通量として仮想リンクから回収するので、巨視的モデルの中でも個々の車両を扱うモデル及び微視的モデルにおいて、個々の車両の挙動を再現することができるとともに、個々の車両の挙動がシミュレータの表現上又は視覚上において違和感を与えることを防止することができる。
仮想リンク生成部16は、決定手段としての機能を有し、補正交通量(例えば、補正出発交通量又は補正到着交通量)の多少に応じて、仮想リンクの数を決定する。例えば、リンクに接続される仮想リンクを予め設定しておく。そして、任意のリンクに対する補正出発交通量が多い場合、すなわち放出する補正車両の台数が多い場合には、車両の放出に使用する仮想リンクの数を増やす。この場合、仮想リンクの数を決定してもよく、予め決定された仮想リンクから所要の仮想リンクを選択するようにしてもよい。
また、任意のリンクに対する補正到着交通量が多い場合、すなわち回収する補正車両の台数が多い場合には、車両を回収する仮想リンクの数が多くなるように決定又は選択する。これにより、1つの仮想リンクから放出又は回収する車両の数を均等化又は少なくすることができ、一層違和感を与えることを防止することができる。
次に、車両の放出又は回収のタイミングについて説明する。交通シミュレータ10の補正処理の周期をTとする。周期Tは、例えば、50秒とすることができるが、これに限定されるものではない。すなわち、交通シミュレータ10は、周期Tの間に補正値(補正交通量)を計算し、次の周期Tの間に補正を実行する(車両の放出、回収の実施を完了する)。
図14は本実施の形態の交通シミュレータ10による補正処理の様子の一例を示す模式図である。図14Aは、時刻tにおいて、補正値(補正交通量)の計算を完了した場合の様子を示す。図14Bは、時刻tからΔt(<T)だけ経過した時点を表し、補正処理の途中(補正中)の様子を示す。図14Cは、次の周期、すなわち時刻(t+T)において、補正値(補正交通量)の計算を完了した場合の様子を示す。また、図14は、交通評価指標として渋滞長の例を示す。
図14Aに示すように、時刻tにおいて、渋滞長の実測値が推定値より大きく、例えば、実測値と推定値との差分が、5台分の車両に相当するとする。なお、渋滞長の長さをL、車長をR、車頭間隔をDとすると、渋滞長Lの中で渋滞中の車両の台数Nは、N={L/(R+D)}で求めることができる。すなわち、図14Aの場合、時刻tにおいて、5台の車両をリンクへ放出する必要があると判断したとする。
微視的モデルを用いた交通シミュレータ10で、違和感なく車両をリンクへ放出するには、瞬時にすべての車両を放出するのではなく、周期Tの間で徐々に放出することが望ましい。図14Bでは、時刻tから時刻(t+T)までの間に5台の車両を放出することになる。なお、図14Bの例では、時刻(t+Δt)において、5台中の2台の車両が放出された状態を示す。ここで、Δt<Tである。
そして、図14Cに示すように、時刻(t+T)においては、5台すべての車両の放出が完了するとともに、時刻(t+T)での補正後の渋滞長の推定値と、渋滞長の実測値とを比較して、実測値と推定値との差分に相当する補正値の計算を完了する。
すなわち、周期Tの間で補正交通量に相当する台数の車両を時間の経過とともに徐々に放出又は回収することにより、車両の挙動についての違和感を与えることを防止することができる。
しかし、図14Cに示すように、時刻(t+T)においては、時刻tから時刻(t+T)までの間に渋滞長の実測値は変化しているため、常に補正が周期Tの時間だけ遅れて表現されることになる。以下、この点についてさらに説明する。
図15は交通シミュレータ10による車両の放出及び回収のタイミングの第1例を示す説明図である。図15に示すように、補正処理の周期をTとする。周期Tは、例えば、50秒である。図15に示すように、時刻(t−T)から時刻tまでの間において、実測値と推定値とに基づいて時刻tでの補正値を計算する。そして、時刻tから時刻(t+T)までの間で、時刻tで計算された補正値を用いて補正を実施する(すなわち、車両の放出又は回収を行う)。
同様に、時刻tから時刻(t+T)までの間において、実測値と推定値とに基づいて時刻(t+T)での補正値を計算する。そして、時刻(t+T)から時刻(t+2T)までの間で、時刻(t+T)で計算された補正値を用いて補正を実施する(すなわち、車両の放出又は回収を行う)。このように、第1例では、常に補正が周期Tの時間だけ遅れて表現されることになる。以下、補正の遅れを改善する第2例について説明する。
シミュレータエンジン部11は、処理時点制御手段としての機能を有し、任意の周期、例えば、時刻(t−T)から時刻tまでの間で補正交通量が算出された場合、当該周期の1周期前を新たな処理時点とすべく制御する。例えば、補正処理の周期をTとし、時刻tで補正交通量が算出された場合、シミュレータ上の時刻が、時刻tから時刻(t−T)となるように制御する。すなわち、シミュレータエンジン部11は、シミュレータ上で、時刻tを1周期Tだけ元に戻す機能を有する。
そして、補正出発交通量生成部14及び補正到着交通量生成部15は、新たな処理時点(t−T)から1周期Tが経過するまでの間に、すなわち時刻t(=t−T+T)までの間に補正交通量を生成する。
図16は交通シミュレータ10による車両の放出及び回収のタイミングの第2例を示す説明図である。図16に示すように、時刻(t−T)から時刻tまでの間において、実測値と推定値とに基づいて時刻tでの補正値を計算する。そして、処理時点制御を行って時刻tを1周期Tだけ元に戻し、時刻tを(t−T)とする。次に、時刻tから時刻(t+T)までの間で、時刻tで計算された補正値を用いて補正を実施する(すなわち、車両の放出又は回収を行う)。上述の第2例では、時刻tで計算した補正値に基づく補正の実施は、時刻tを時刻(t−T)に戻し、時刻(t−T)から時刻tまでの間で行うことになる。
図17は交通シミュレータ10による処理時点制御を行った場合の補正処理の様子の一例を示す模式図である。図17Aは、時刻tにおいて、補正値(補正交通量)の計算を完了した場合の様子を示す。図17Bは、処理時点制御を行い、時刻tを時刻(t−T)に戻して、時刻(t−T)からΔt(<T)だけ経過した時点を表し、補正処理の途中(補正中)の様子を示す。図17Cは、次の周期、すなわち時刻t(=t−T+T)において、補正値(補正交通量)の計算を完了した場合の様子を示す。また、図17は、交通評価指標として渋滞長の例を示す。
図17Aに示すように、時刻tにおいて、渋滞長の実測値が推定値より大きく、例えば、実測値と推定値との差分が、5台分の車両に相当するとする。すなわち、図17Aの場合、図14Aの場合と同様に、時刻tにおいて、5台の車両をリンクへ放出する必要があると判断したとする。
図17Bでは、図14Bの場合と異なり、処理時点制御を行い、時刻tを時刻(t−T)に戻して、時刻(t−T)から時刻tまでの間に5台の車両を放出することになる。なお、図17Bの例では、時刻(t−T+Δt)において、5台中の2台の車両が放出された状態を示す。
そして、図17Cに示すように、時刻tにおいては、5台すべての車両の放出が完了する。補正後の時刻tでは、渋滞長の推定値と、渋滞長の実測値とは等しくなっている。これにより、任意の時刻tで補正交通量を算出した場合、時刻を1周期Tだけ元に戻して補正交通量を周期Tの間に生成するので、時刻tで算出された補正交通量に基づいて、時刻tで補正交通量を生成することができ、補正交通量を算出する都度、その時点で交通評価指標が補正されることになり、補正交通量の算出と交通評価指標の補正とのタイミングのずれ、すなわち補正の遅れが発生しないので、車両の挙動について視覚的な違和感を与えない表現が可能となる。
時刻t(=t−T+T)までの間に補正交通量を複数回に分けて生成することにより、1回当たりに生成する補正交通量を少なくすることができ、1回の補正交通量が多くなり過ぎることを抑制して違和感を防止することができる。なお、補正交通量が違和感を与えるほど多くなければ、時刻tまでの間に1回だけ補正交通量を生成してもよい。
次に、交通シミュレータ10で車両を走行させる場合の乱数による制御について説明する。シミュレーションでは、運転者の挙動特性、車線変更の判断、起点から車両を発生させる際の順序、交差点での右折及び左折のタイミング判断など、車両の動作が確率で決定される場面において、乱数列が用いられる。乱数列とは、初期値(シード)を元にコンピュータ上で擬似的に発生させた乱数(数値列)のことであり、同じ初期値を与えることにより、同じ乱数列が得られる。このため、再現性を重視するシミュレーションでは、乱数列が用いられる。
図18は車両の走行順序を決定する場面の一例を示す説明図であり、図19は乱数列の一例を示す説明図である。図18に示すように、交差点で交差する道路上に4方向に走行する車両が存在するとする。車両A1〜A8は、図18において左方向へ走行し、車両B1〜B8は、図18において上方向へ走行し、車両C1〜C5は、図18において右方向へ走行し、車両D1〜D4は、図18において下方向へ走行している。なお、車両の走行は、例えば、0.1秒の周期で、1台、1台を1周期分だけ前方へ移動させることにより行われる。
図18において、車両A1、B1、C1、D1の前方には車両が存在しないので、車両A1、B1、C1、D1のいずれも走行させることができる。このような場合に、車両の走行順序を決定するために乱数列を用いる。図19Aに示すように、乱数(数値)を1、2、3、4とし、乱数1〜4に対して、走行させる車両をA1、B1、C1、D1と対応付ける。そして、図19Bに示すような乱数列(2、3、1、4)が得られた場合、最初の乱数2に対応する車両B1を最初に移動させる。図18に示すように、車両B1を移動させると、車両B2〜B4が順次移動する。仮に交差点において、信号が無く、車両B5が左折を希望し、車両A5が直進を希望する場合には、車両B5も車両A5も移動することができないので、次の周期へ移ることになる。
また、図19Bに示した乱数列とは異なる乱数列として、例えば、(1、3、4、2)が得られた場合には、最初の乱数1に対応する車両A1を最初に移動させることになる。図18の例では、車両A1を移動させると、車両A2〜A4が順次移動する。仮に交差点において、信号が無く、車両B5が左折を希望し、車両A5が直進を希望する場合には、車両B5も車両A5も移動することができるので、この時に再度乱数を発生させて、車両B5又は車両A5のいずれを先に移動させるかを決定する。
上述の例では、乱数列(2、3、1、4)と乱数列(1、3、4、2)の場合について説明したが、図18に示すように、全く同じ交通状態でも、車両B1が先に移動するのか、車両A1が先に移動するのか、すなわち同一時点で走行可能な車両が複数存在する場合、いずれの車両が最初に移動するかによって、その後の各車両の走行状態が異なる。
また、別の例として、例えば、乱数列(0.3、0.7、0.4、…)が得られた場合に、乱数が0.5以上である場合に車線変更を行うと規定したときには、乱数列の乱数(数値)が1個ずれると、車線変更の有無が変化することになる。このように、乱数列が仮に1個ずれると、車両の挙動に変化が生じることになる。
交通シミュレータ10では、交通評価指標算出部19により現状再現の計算(シミュレーション)を2回行うことを想定している。1回目のシミュレーションでは、図16で例示したように、1周期T毎に、補正値の計算と補正の実施とを反復させる。2回目のシミュレーションでは、反復処理は行わず、すなわち補正値の計算は行わず、1回目のシミュレーションで計算した補正値で交通評価指標が正しく補正されたかを確認するために補正値を使用して現状再現を行う。
上述の図16で例示したように、本実施の形態の交通シミュレータ10において、処理時点制御を行った場合には、時刻tにおいて補正値計算を行った後、時刻tを時刻(t−T)に戻して、補正を実施するので、1つの周期Tでシミュレーション計算を2回繰り返して行うことになる。このため、1回目のシミュレーションでは、例えば、時刻t(正確には時刻(t−T)から時刻tまで)において補正計算を行ったときに5001〜10000番目の乱数列を使い、時刻tを時刻(t−T)に戻して、補正を実施したときには、10001番目以降の乱数を使用することになる。一方、2回目のシミュレーションでは、補正値の計算は行わないので、同じ乱数列を使用した場合、補正を実施したときには、5001〜10000番目の乱数列を使うことになる。つまり、1回目のシミュレーションで補正を実施する際の乱数列の数値と、2回目のシミュレーションで補正を実施する際の乱数列の数値とが異なるという事態になる。本実施の形態では、かかる事態を回避するためいくつかの方法を用いることができる。
図20は交通シミュレータ10の乱数制御の第1例を示す説明図である。図20Aは、1回目のシミュレーションによる現状再現時の様子を示し、図20Bは2回目のシミュレーションによる現状再現時の様子を示す。図20Aでは、周期T毎に、補正値の計算を行い、時刻を1周期分だけ戻して補正の実施を行う、すなわち、周期T毎に計算を2回反復する。そして、乱数列を2つ用意して、補正値の計算時には、乱数列2を使用し、補正実施時には乱数列1を用いる。
図20Bに示すように、2回目のシミュレーションでは、乱数列1を用いて補正の実施を行う。1回目及び2回目のシミュレーションにおいて、補正を実施する際には、いずれも乱数列1を使用するので、乱数列の数値がずれるということはない。
図21は交通シミュレータ10の乱数制御の第2例を示す説明図である。図21Aは、1回目のシミュレーションによる現状再現時の様子を示し、図21Bは2回目のシミュレーションによる現状再現時の様子を示す。図21Aでは、周期T毎に、補正値の計算を行い、時刻を1周期分だけ戻して補正の実施を行う、すなわち、周期T毎に計算を2回反復する。そして、各周期Tでの補正値の計算、及び補正の実施において、異なる乱数列1、2、3、4、5、6、…を使用する。
図21Bに示すように、2回目のシミュレーションでは、1回目のシミュレーションにおいて、周期毎に補正の実施に用いた乱数列と同じ乱数列1、3、5…を使用するので、乱数列の数列の数値がずれるということはない。
図22は交通シミュレータ10の乱数制御の第3例を示す説明図である。図22Aは、1回目のシミュレーションによる現状再現時の様子を示し、図22Bは2回目のシミュレーションによる現状再現時の様子を示す。図22Aでは、1つの乱数列1を用い、任意の周期で補正の実施を終了したときの乱数列の状態を記憶する。例えば、ある周期で状態S1を記憶した場合、その次の周期で補正を実施する場合には、乱数列1の状態S1から再開する。
また、図22Bに示すように、2回目のシミュレーションにおいても、同じ乱数列1を用い、周期毎に1回目のシミュレーションで記憶した状態と同じ状態から再開して補正の実施を行う。これにより、乱数列の数列の数値がずれるということはない。
走行順序特定部17は、特定情報生成手段としての機能を有し、同一時点に走行させる模擬車両が複数存在するとき、当該複数の模擬車両の走行順序を特定する特定情報を生成する。特定情報は、例えば、初期値(シード)を元にコンピュータ上で擬似的に発生させる乱数からなる乱数列であり、初期値を同じにした場合、同じ乱数列を得ることができる。同じ乱数列を発生させることにより、複数の模擬車両の走行順序を一義的に決定することができ、複数の模擬車両を同一時点で走行させる場合、一義的に走行順位を特定することができるので、模擬車両の走行状態を正しく再現することができる。
シミュレータエンジン部11は、第1走行手段及び第2走行手段としての機能を有する。シミュレータエンジン部11は、現状再現のための1回目のシミュレーションにおいて、処理時点制御を行った場合において、交通評価指標を算出するときに複数の車両を模擬走行させる。すなわち、シミュレータエンジン部11は、任意の周期で補正交通量を算出した後に、当該周期の1周期前を新たな処理時点として、現状の再現を行うべく補正交通量を生成して模擬車両の走行を行う。
また、シミュレータエンジン部11は、現状再現のための1回目のシミュレーションにおいて、処理時点制御を行うことなく、交通評価指標を算出する場合に複数の模擬車両を走行させる。すなわち、シミュレータエンジン部11は、補正交通量は既知として、補正による再現が正しく行われたかを確認すべく現状の再現を再度行うべく補正交通量を生成して交通評価指標を算出する際の模擬車両の走行を行う。
そして、シミュレータエンジン部11は、1回目のシミュレーション及び2回目のシミュレーションにおいて、補正を実施する際に、同一時点に走行させる模擬車両が複数存在する場合、周期毎に同一の乱数列を用いて複数の模擬車両を走行させる。これにより、1回目のシミュレーションによる現状再現時と、2回目のシミュレーションによる現示再現時とで周期毎に同じ乱数列を用いるので、模擬車両の走行挙動の再現性を高めることができ、現状の再現を正しく行うことができる。
次に、本実施の形態の交通シミュレータ10の動作について説明する。図23は本実施の形態の交通シミュレータ10の処理手順を示すフローチャートである。交通シミュレータ10は、補正周期(例えば、50秒)が経過したか否かを判定し(S11)、補正周期を経過した場合(ステップS11でYES)、すなわち、前回の補正のタイミングから50秒経過した場合、実測交通評価指標を取得し(S12)、推定交通評価指標を算出する(S13)。補正周期でない場合(S11でNO)、交通シミュレータ10は、後述のステップS18の処理行う。
交通シミュレータ10は、実測交通評価指標と推定交通評価指標との差分である誤差が正であるか否かを判定し(S14)、誤差が正である場合(S14でYES)、補正出発交通量を仮想リンクから放出し(S15)、後述のステップS18の処理行う。
交通シミュレータ10は、誤差が正でない場合(S14でNO)、誤差が負であるか否かを判定し(S16)、誤差が負である場合(S16でYES)、補正到着交通量を仮想リンクへ回収し(S17)、後述のステップS18の処理行う。交通シミュレータ10は、誤差が負でない場合(S16でNO)、後述のステップS18の処理行う。
交通シミュレータ10は、起点(出発地)から車両を放出し、終点(目的地)で車両を回収し(S18)、信号灯器の信号灯色を、例えば、0.1秒進め、車両の移動モデルに従って車両を走行させ(S19)、シミュレーション周期(例えば、0.1秒)を終了する。上述の図23で例示した処理は、シミュレーション周期(例えば、0.1秒)経過の都度繰り返し行われる。
図24は本実施の形態の交通シミュレータ10を実現するコンピュータの一例を示す模式図である。図24に示すように、上述の交通シミュレータ10は、CPU、RAMなどを備えた汎用コンピュータ100を用いて実現することもできる。すなわち、図23に示すような、各処理手順を定めたコンピュータプログラムを記録媒体110に記録しておき、当該記録媒体110をコンピュータ100に備えられたRAMにロードし、プログラムコードをCPUで実行することにより、コンピュータ100上で交通シミュレータ10を実現することができる。なお、図23に示すような、各処理手順を定めたコンピュータプログラムは、記録媒体110に代えて、インターネットなどのネットワーク200を介してダウンロードすることもできる。
上述の実施の形態では、所定の周期T(例えば、50秒)で補正処理を行い、より具体的には、図16に例示するように、補正値の計算を行った後に時刻を1周期分だけ戻して補正を実施するという反復処理を行うものであった。一方で、所定の周期Tを、例えば、0.5などの1秒以下の如く短くすることにより、図16で例示したような反復処理を省略することもできる。例えば、周期を1秒以下にした場合、実測交通評価指標と推定交通評価指標との誤差に相当する補正交通量が、車両1台分程度に相当するものであるときは、車両1台分の誤差(補正交通量)が得られた時点で、車両を仮想リンクから放出、あるいは仮想リンクへ回収するようにしてもよい。車両1台分の差異は、微視的モデルにおいて、シミュレーション結果又は車両の挙動の見え方などに違和感を与えるものではないからである。この場合には、1回目のシミュレーションで反復処理が実施されないので、1回目と2回目のシミュレーションで乱数列の乱数がずれることもないので、図20乃至図22で例示した乱数制御の処理を省くことができる。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 交通シミュレータ
11 シミュレータエンジン部
12 交通評価指標推定部
13 補正交通量算出部
14 補正出発交通量生成部
15 補正到着交通量生成部
16 仮想リンク生成部
17 走行順序特定部
18 記憶部
19 交通評価指標算出部
11 シミュレータエンジン部
12 交通評価指標推定部
13 補正交通量算出部
14 補正出発交通量生成部
15 補正到着交通量生成部
16 仮想リンク生成部
17 走行順序特定部
18 記憶部
19 交通評価指標算出部
Claims (8)
- 個別の起終点情報を有する複数の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて道路網を構成する1又は複数のリンクを走行させることにより交通評価指標を算出する交通評価装置において、
前記交通評価指標の評価対象リンクでの実測に基づく実測交通評価指標を取得する取得手段と、
前記複数の模擬車両を走行させて前記評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定する推定手段と、
前記取得手段で取得した実測交通評価指標及び前記推定手段で推定した推定交通評価指標に基づいて、前記起終点情報に依拠しない補正交通量を算出する算出手段と、
該算出手段で算出した補正交通量を、前記交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成する生成手段と、
該生成手段で補正交通量を生成して前記交通評価指標を算出する交通評価指標算出手段と
を備えることを特徴とする交通評価装置。 - 前記評価対象リンクに1又は複数の前記評価非対象リンクを接続してあり、
前記生成手段は、
前記評価非対象リンクで補正出発交通量を放出し、又は該評価非対象リンクで補正到着交通量を回収するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の交通評価装置。 - 前記算出手段は、
所定の周期で補正交通量を算出するようにしてあり、
前記算出手段が、任意の周期で補正交通量を算出した場合、該周期の1周期前を新たな処理時点とすべく制御する処理時点制御手段を備え、
前記生成手段は、
前記新たな処理時点から1周期が経過するまでの間に、前記補正交通量を生成するようにしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通評価装置。 - 前記生成手段は、
前記新たな処理時点から1周期が経過するまでの間に、前記補正交通量を複数回に分けて生成するようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の交通評価装置。 - 前記生成手段は、
所定の周期で補正交通量を生成するようにしてあり、
前記処理時点制御手段で処理時点を制御した場合に、前記交通評価指標を算出すべく複数の模擬車両を走行させる第1走行手段と、
前記処理時点制御手段で処理時点を制御することなく、前記交通評価指標を算出すべく複数の模擬車両を走行させる第2走行手段と、
同一時点に走行させる模擬車両が複数存在するとき、該模擬車両の走行順序を特定する特定情報を生成する特定情報生成手段と
を備え、
前記第1走行手段及び第2走行手段は、
同一時点に走行させる模擬車両が複数存在する場合、前記周期毎に同一の特定情報を用いて複数の模擬車両を走行させるようにしてあることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の交通評価装置。 - 前記補正交通量の多少に応じて、前記評価非対象リンクの数を決定する決定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の交通評価装置。
- コンピュータに、個別の起終点情報を有する複数の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて道路網を構成する1又は複数のリンクを走行させることにより交通評価指標を算出するステップを実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
前記複数の模擬車両を走行させて前記交通評価指標の評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定するステップと、
前記評価対象リンクでの実測交通評価指標及び推定交通評価指標に基づいて、前記起終点情報に依拠しない補正交通量を算出するステップと、
算出した補正交通量を、前記交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成するステップと、
前記補正交通量を生成して前記交通評価指標を算出するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 個別の起終点情報を有する複数の模擬車両を、それぞれの起終点情報に基づいて道路網を構成する1又は複数のリンクを走行させることにより交通評価指標を算出する交通評価装置が行う交通評価方法において、
前記交通評価指標の評価対象リンクでの実測に基づく実測交通評価指標を取得するステップと、
前記複数の模擬車両を走行させて前記評価対象リンクでの推定交通評価指標を推定するステップと、
取得された実測交通評価指標及び推定された推定交通評価指標に基づいて、前記起終点情報に依拠しない補正交通量を算出するステップと、
算出された補正交通量を、前記交通評価指標の評価非対象リンクを用いて生成するステップと、
前記補正交通量を生成して前記交通評価指標を算出するステップと
を含むことを特徴とする交通評価方法。
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