JP2014137193A - バーナー - Google Patents

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Abstract

【課題】気化燃料の液化に起因した未燃燃料の生成を抑えることが可能なバーナーを提供することを目的とする。
【解決手段】バーナー20は、基板21によって一方の開口が閉塞された外側筒部30と、外側筒部30の内部空間を含む第1室51に空気を導入する第1の導入口75と、第1室51に連通する第2室52に噴射口62が配置されるとともに当該噴射口62に向けて燃料が流れる燃料通路60のうち、第1室51および第2室52に配設される部分である内部通路61と、内部通路61の外周面を覆う被覆部65と、を備える。
【選択図】図1

Description

本開示の技術は、燃料と空気との混合気を燃焼させるバーナーに関する。
従来から、ディーゼルエンジンの排気通路には、排気に含まれる微粒子(PM:Particulate Matter)を捕捉するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF:Diesel Particulate Filter)が配設されている。こうしたDPFにおいては、微粒子の捕捉機能を保持するために、DPFに捕捉された微粒子が焼却される再生処理が行なわれる。
例えば、特許文献1に記載の排気浄化装置では、DPFの前段にバーナーが配設され、バーナーの燃焼室にて燃焼ガスが生成される。そして、排気通路内の排気に燃焼ガスが供給されることによって、DPFに流入する排気が昇温される。再生処理に用いられるバーナーには、燃焼ガスに含まれる未燃燃料を低減するために、気化した燃料と空気とによって混合気を生成する技術も知られている。
特開2011−185493号公報
しかしながら、気化燃料と空気とによって混合気が生成される場合であっても、空気の温度が気化燃料の温度よりも低い場合があるため、気化燃料が流れる通路と空気との熱交換が進むと、噴射前の気化燃料の温度が低下して気化燃料の液化が進む。結果として、気化燃料の液化分に相当する未燃燃料が依然として燃焼ガスに含まれることとなる。
本開示の技術は、気化燃料の液化に起因した未燃燃料の生成を抑えることが可能なバーナーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するバーナーは、相互に対向する一対の端部を有する筒部と、前記筒部内に空気を導入する空気導入部と、前記筒部内に燃料を供給する燃料供給部と、を備える。また、前記一対の端部のうち基端部が塞がれ、前記一対の端部のうち先端部に前記空気と前記燃料との混合気が出る開口が形成される。そして、前記燃料供給部は、前記基端部から前記筒部内へ延びる管状に形成され、前記燃料供給部の外周面の少なくとも一部を覆う被覆部をさらに備える。
この構成によれば、燃料供給部の外周面の少なくとも一部が被覆部で覆われていることから、被覆部が設けられない構成と比べて、筒部内に導入された空気と燃料供給部との接触する機会が低減される。結果として、燃料供給部内に流れる気化燃料と空気との熱交換が抑えられ、燃料供給部に流れる気化燃料の温度の低下が抑えられる。それゆえに、気化燃料の液化に起因した未燃燃料の増加が抑えられる。
上記バーナーでは、前記被覆部は、前記燃料供給部の外周面における周方向の全体にわたり前記燃料供給部の外周面を覆う筒状に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、燃料供給部の外周面が外周面における周方向の全体にわたり被覆部で覆われることから、外周面における周方向の一部で外周面が露出する構成と比べて、燃料供給部と空気との接触する機会が抑えられる。
上記バーナーでは、前記燃料供給部には、前記筒部内に燃料を噴射する噴射口が前記燃料供給部の先端に形成され、前記被覆部は、前記筒部の前記基端部から前記噴射口側に向けて窄んだスロート部を備えることが好ましい。
この構成によれば、被覆部に当たる空気の一部が、スロート部によって噴射口付近へ案内される。その結果、噴射口から噴射された気化燃料と空気との混合が効率的に行われる。
上記バーナーでは、前記スロート部が、内側スロート部として設定され、前記筒部は、前記筒部の前記基端部を含む基端筒部と、前記筒部の前記先端部を含み前記基端筒部よりも内径が小さい先端筒部と、前記基端筒部における前記先端筒部側の端部と前記先端筒部における前記基端筒部側の端部とを連結して前記基端筒部から前記先端筒部に向けて窄んだ外側スロート部と、を備える。そして、前記空気導入部は、前記基端筒部内に空気を導入し、前記噴射口は、前記先端筒部内に配置されることが好ましい。
この構成によれば、先端筒部では、気化燃料が噴射されるとともに空気導入部から導入された空気の流速が基端筒部よりも高められる。そのため、たとえ噴射された燃料が液化したとしても、その液化した燃料が、空気の流通経路の上流側へ逆流しにくい。すなわち、液化した燃料が空気の流通経路における下流側に導かれやすい。これにより、液化した燃料が燃焼される確率が高められる。また、先端筒部と基端筒部とが外側スロート部によって連結されているため、基端筒部よりも先端筒部で空気の流速を高めることが円滑に実現される。
上記バーナーは、前記内側スロート部と前記外側スロート部との間の隙間は、前記先端筒部に向けて徐々に窄んでいることが好ましい。
この構成によれば、基端筒部から先端筒部に対して空気が流入する過程において、該空気の流れ方向の急激な変化を抑えられることで、空気の流れ方向が維持されやすくなる。その結果、基端筒部から先端筒部に対する空気の流入がさらに円滑に実現される。
本開示の一実施形態におけるバーナーの概略構成を示す概略構成図。 図1における2−2線の断面構造を示す断面図。 図1における3−3線の断面構造を示す断面図。 バーナーの下流側における未燃燃料量を比較した結果の一例を示すグラフ。 空気流通室における燃料の液化量を比較した結果の一例を示すグラフ。
図1〜図5を参照して、本開示におけるバーナーを具体化した一実施形態について説明する。
図1に示されるように、ディーゼルエンジン10(以下、単にエンジン10という。)の排気通路11には、排気中に含まれる微粒子を吸着するディーゼルパティキュレートフィルター12(以下、DPF12という。)が搭載されている。排気浄化装置を構成するDPF12は、例えば多孔質の炭化ケイ素で形成されたハニカム構造を有し、ハニカム構造を構成する柱体の内壁面に排気中の微粒子を捕捉する。そして、このDPF12の前段には、該DPF12に流入する排気を昇温させることでDPF12の再生処理を実行するバーナー20が搭載されている。
バーナー20は、基板21によって基端側の開口が閉塞されて水平方向に延びる円筒状の外側筒部30を備えている。外側筒部30の先端部には、該先端部に固定された環状の噴出し板31によって噴出し口32が形成されている。外側筒部30の内側面には、内径Dを有する円筒状に形成された内側筒部33が、外側スロート部34を介して連結されている。
外側スロート部34は、外側筒部30と内側筒部33との隙間を閉塞しており、内側筒部33と一体形成されている。外側スロート部34は、外側筒部30の内周面に連結されて円環状に形成された鍔部35と、鍔部35と内側筒部33とを連結する縮径部36とから構成されている。鍔部35は、外側筒部30の軸方向において、基板21から距離Lだけ離れている。縮径部36は、鍔部35の内周縁部から噴出し口32に向かって縮径しながら延びる筒状に形成されている。内側筒部33は、縮径部36の筒端から噴出し口32に向けて延びており、噴出し口32側の開口が開放されている。
バーナー20は、内側筒部33の一部が内挿されて水平方向に延びる中間筒部37を備えている。中間筒部37は、内側筒部33と同心の円筒状に形成され、内側筒部33よりも噴出し口32側に突出して、その突出した部分の開口は閉塞板38によって閉塞されている。中間筒部37は、噴出し口32とは反対側の筒端が、外側スロート部34よりも噴出し口32側に配置されており、該筒端が環状の仕切壁部39を介して外側筒部30の内周面に連結されている。
仕切壁部39は、中間筒部37と外側筒部30との隙間を仕切っている。仕切壁部39は、その内周縁部が中間筒部37の外側面の全周にわたって連結され、その外周縁部が外側筒部30の内側面の全周にわたって連結されている。仕切壁部39には、噴出し口32側と噴出し口32の反対側とを連通する連通路40が複数形成されている。仕切壁部39には、上記複数の連通路40を噴出し口32側から覆う金網41が取り付けられている。そして、金網41に対する噴出し口32側には、点火プラグ42の着火部43が配設されている。
バーナー20には、外側筒部30と外側スロート部34とによって囲まれる空間である第1室51と、内側筒部33によって囲まれる空間であって、第1室51に連通する第2室52とが形成されている。また、バーナー20には、内側筒部33よりも噴出し口32側に、中間筒部37と閉塞板38とによって囲まれる空間であって、第2室52に連通する第3室53と、内側筒部33と中間筒部37との間の隙間によって第3室53に連通する第4室54とが形成されている。また、バーナー20には、外側筒部30、仕切壁部39、および、外側スロート部34に囲まれる空間であって、第4室54に連通する第5室55が形成されている。さらに、バーナー20には、外側筒部30と中間筒部37との間の隙間、および、閉塞板38よりも噴出し口32側にて外側筒部30に囲まれる空間であって、仕切壁部39の連通路40を通じて第5室55に連通する燃焼室56が形成されている。
なお、第2室52を流れる流体は、概ね内側筒部33の軸方向に沿って流れ、第2室52における流路断面積S2は、内側筒部33の軸方向と直交する断面であって、内側筒部33の内径Dを有する円によって定められる。一方、第1室51を流れる流体は、外側筒部30の中心に向けて旋回し、第1室51における流路断面積S1は、外側筒部30の内周面に沿った円筒面であって、基板21と鍔部35との距離Lが高さとなる筒面によって定められる。そして、第2室52における流路断面積S2は、第1室51における流路断面積S1よりも小さく設計されている。
基板21には、円管状の燃料通路60が該基板21の中央部分を貫通するように固定されている。燃料通路60には、エンジンに燃料を供給するための燃料ポンプや燃料弁が接続されており、燃料弁を通過した燃料を電気ヒーターで気化させた気化燃料が供給される。燃料通路60のうちで基板21から突出している部分である内部通路61は、基板21から第2室52まで延びており、その筒端には気化燃料を噴射する噴射口62が形成されている。
基板21には、内部通路61の外周面を覆う筒状に形成された被覆部65が固定されている。被覆部65は、金属からなり、内部通路61のうちで噴射口62よりも基板21側の部位までを覆っており、噴射口62に向かって窄んだ内側スロート部66を基板21寄りの部位に備えている。内部通路61と被覆部65との間には、空気層67が形成されている。内側筒部33における径方向において、内側スロート部66は、外側スロート部34が径方向の内側に変位した位置に配置され、且つ、内側スロート部66と外側スロート部34との一部が相互に重なる位置に配置されている。内側スロート部66と外側スロート部34との間の隙間は、内側筒部33に向けて徐々に窄んでいる。
基板21には、外側筒部30が内挿されて水平方向に延びる円筒状に形成された空気供給管68が固定されている。空気供給管68は、噴出し口32とは反対側の開口が基板21によって閉塞され、また、噴出し口32側の筒端では、該空気供給管68と外側筒部30との隙間が環状の閉塞板69によって閉塞されている。空気供給管68には、噴出し口32側の端部に空気供給通路70の下流端が接続されている。空気供給通路70の上流端は、エンジン10の吸気通路13であって排気通路11に配設されるタービン14とともに回転するコンプレッサー15の下流に接続されている。
空気供給通路70には、該空気供給通路70の流路断面積を変更可能な空気弁71が配設されている。空気弁71は、図示されない制御部によって開閉制御される。空気弁71が開状態にあるとき、外側筒部30と空気供給管68との隙間である空気流通室72には、空気供給通路70を通じて吸気通路13を流れる吸気の一部が燃焼用空気として流入する。
図2にも示されるように、空気供給通路70の出口付近には、空気流通室72を流れる燃焼用空気が外側筒部30の周りを旋回する旋回流となるように燃焼用空気を案内する案内部73が配設されている。案内部73は、空気供給管68の内側面に固定されて空気供給通路70の出口を覆うように配設された板状をなしている。案内部73は、空気供給管68に対する固定部分から屈曲されて先端側の部位ほど外側筒部30に近づくように傾斜している。空気供給通路70から流出する燃焼用空気は、案内部73に衝突することで該案内部73に案内される。これにより、空気流通室72には、外側筒部30の周りを旋回する燃焼用空気の旋回流が形成される。
外側筒部30には、空気流通室72の燃焼用空気を第1室51に導入する空気導入部である第1の導入口75が周方向に所定の間隔で形成されている。また、外側筒部30には、空気流通室72の燃焼用空気を燃焼室56に導入するための第2の導入口76が着火部43よりも噴出し口32側に複数形成されている。空気流通室72を流れる燃焼用空気は、その一部が導入口76を通じて燃焼室56に導入され、その残りが導入口75を通じて第1室51に導入される。第1室51に導入される燃焼用空気は、外側筒部30に形成された旋回流生成部としての切り起こし片77によって案内される。
図3に示されるように、切り起こし片77は、各導入口75の開口縁から外側筒部30の周壁の一部を内側へと切り起こしたものである。切り起こし片77は、導入口75を覆うように配設されており、導入口75を通じて第1室51に流入する燃焼用空気を案内することで、第1室51に被覆部65の周りを旋回する旋回流を生成する。また、導入口75から流入した燃焼用空気のうちで外側筒部30の内側面に沿って流れる燃焼用空気は、該導入口75に対する旋回方向の下流に形成されている切り起こし片77によって外側筒部30の中心側の領域へと案内される。本実施形態では、空気流通室72と第1室51とにおいて生成される燃焼用空気の旋回流が同じ方向となるように案内部73および切り起こし片77が形成されている。
上述した構成からなるバーナー20の作用について説明する。
DPF12の再生処理が開始されると、バーナー20は、空気弁71の開状態への制御、燃料通路60への気化燃料の供給、着火部43の駆動を行う。空気弁71が開状態になると、吸気通路13を流れる吸気の一部が燃焼用空気として空気流通室72に流入する。この燃焼用空気は、案内部73に案内されることで、外側筒部30の周りを旋回しながら噴出し口32とは反対側に向かって流れる。
空気流通室72を流れる燃焼用空気は、その一部が導入口76を通じて燃焼室56に導入され、その残りが導入口75を通じて第1室51に導入される。第1室51に導入される燃焼用空気は、切り起こし片77によって、案内部73による旋回の勢いが弱められることなく、むしろ旋回の勢いが強められたうえで被覆部65の周りを旋回しながら外側筒部30の中心側の領域へと向かう。
旋回流となった燃焼用空気は、被覆部65の内側スロート部66によって案内されながら、内側スロート部66と外側スロート部34の縮径部36との隙間を第2室52に向かって流れる。そして、第2室52では、燃焼用空気に内部通路61の噴射口62から気化燃料が噴射されることで、第3室53に向かって流れる混合気が生成される。
第2室52を噴出し口32に向かって流れる混合気は、やがて第3室53にて転回されて、第2室52とは反対方向に向かって第4室54を流れる。そして、混合気は、第5室55にて再び転回されたのち、仕切壁部39の連通路40を通じて燃焼室56に流入する。そして、燃焼室56に流入した混合気が着火部43によって着火されると、燃焼室56には、燃焼中の混合気である火炎Fが生成されるとともに該火炎Fにともなう燃焼ガスが生成される。この火炎Fには、外側筒部30に形成された導入口76から燃焼用空気が供給される。
燃焼室56にて生成された燃焼ガスは、噴出し口32を通じて排気通路11へと供給され排気通路11内の排気と混合されることでDPF12に流入する排気を昇温させる。そして、こうした排気が流入するDPF12では、目標温度まで温度が上昇して該DPF12の捕捉していた微粒子が焼却される。
すなわち、バーナー20では、内部通路61に対する燃焼用空気の吹き付けが被覆部65によって抑えられる。そのため、内部通路61を介した気化燃料と燃焼用空気との熱交換が抑えられることで、内部通路61を流れる気化燃料の温度低下が抑えられる。その結果、気化燃料が液化しにくくなる。
しかも、被覆部65が筒状であることから、内部通路61の外周面はその周方向における全周にわたって覆われる。そのため、内部通路61に対する燃焼用空気の吹き付けが高い確率の下で抑えられる。その結果、内部通路61を流れる気化燃料の温度低下が効率的に抑えられる。
また、燃焼用空気は、噴射口62に向けて窄んでいる内側スロート部66と噴出し口32に向けて窄んでいる縮径部36との間を第2室52に向かって流れる。すなわち、燃焼用空気は、流れ方向の急激な変化が抑えられながら第2室52に向かって流れる。これにより、第2室52では、燃焼用空気の旋回状態が維持されやすくなる。また、第2室52だけでなく第3室53〜第5室55にかけても燃焼用空気が旋回状態に維持されやすくなる。その結果、燃焼用空気の旋回流が維持されにくい場合に比べて、混合気の流通流路が長くなることで燃料と燃焼用空気との混合が効率的に行われる。
また、第2室52の流路断面積S2が第1室51の流路断面積S1よりも小さいため、第2室52では、第1室51よりも速い速度で旋回する燃焼用空気に対して気化燃料が噴射される。そのため、第2室52にて燃料が液化したとしても、その液化燃料が第1室51よりも第3室53に流入しやすい。すなわち、液化燃料が、混合気の流通経路における下流側に導かれやすくなる。その結果、液化燃料が燃焼される確率が高められる。
ところで、燃焼室56にて混合気が燃焼すると、燃焼室56を形成する外側筒部30及び中間筒部37は、該混合気の燃焼熱によって加熱される。そのため、混合気の燃焼開始後に空気流通室72を流れる燃焼用空気は、外側筒部30を介して燃焼熱によって加熱される。こうした加熱によって第1室51には、燃焼用空気が加熱されない場合よりも温度の高い燃焼用空気が導入される。こうした燃焼用空気によって混合気が生成されることで、気化燃料がさらに液化しにくくなる。
しかも、空気流通室72を流れる燃焼用空気は、案内部73によって中間筒部37の周りを旋回している。そのため、空気流通室72を旋回することなく流れる燃焼用空気に比べて、空気流通室72における流通経路が長くなることから、より温度の高い燃焼用空気が第1室51に導入される。
また、中間筒部37が混合気の燃焼熱によって加熱されることで、混合気や液化燃料が、中間筒部37を介して燃焼熱によって加熱される。これにより、混合気に含まれる気化燃料の液化が抑えられるとともに液化燃料が再び気化しやすくなる。その結果、液化燃料が燃焼する確率がさらに高められる。
このようにバーナー20では、燃焼用空気や混合気、液化燃料の加熱が燃焼ガスの排熱を利用して行なわれる。そのため、燃焼用空気や混合気、液化燃料を加熱する加熱部が別途設けられる構成に比べて、簡易な構成の下で気化燃料の液化が抑えられるとともに液化燃料が燃焼されやすくなる。そのうえ、バーナー20の周辺における他の構成要素に対する熱害も抑えられる。
なお、バーナー20は、燃焼熱の一部が燃焼用空気や混合気、液化燃料に吸熱されることになる。しかしながら、気化燃料の液化に起因した未燃燃料が低減されることで、同じ量の燃料が燃料通路60に供給されるという前提の下では、燃焼用空気や混合気、液化燃料が加熱されない場合と同等以上の出力が保持される。
ちなみに、図4および図5は、バーナーに対して行った実験の結果を示すグラフである。実施例のバーナーは、上述したバーナー20である。一方、比較例のバーナーは、バーナー20において、噴射口が第1室51に配置され、且つ内部通路61が被覆部65で覆われていないバーナーである。そして、実施例および比較例のバーナーの各々において、所定時間だけ、温度450℃、0.5g/sの気化燃料を燃料通路60に供給し、温度30℃、流量350L/min、大気圧下の燃焼用空気を空気供給通路70から空気流通室72に供給した。
図4は、バーナーの下流側における未燃燃料量を比較した結果の一例を示すグラフである。図4に示されるように、実施例のバーナー20は、比較例のバーナーよりもバーナーの下流側における未燃燃料が少ないことが確認された。
図5は、実験終了直後に空気流通室にて検出された液状の燃料量である液化量を比較した結果の一例を示すグラフである。図5に示されるように、実施例のバーナー20は、比較例のバーナーよりも空気流通室72に溜まる燃料量が格段に少ないことが確認された。
なお、上記実施形態では、内部通路61によって燃料供給部が構成され、空気供給管68、外側筒部30、導入口75、および、導入口76によって空気導入部が構成されている。また、内側筒部33が先端筒部を構成し、外側筒部30のうち鍔部35と基板21とに挟まれる部分、および、基板21によって基端筒部が構成されている。そして、これら先端筒部および基端筒部と、外側スロート部34とによって筒部が構成されている。
以上説明したように、上記実施形態のバーナー20によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)内部通路61が被覆部65によって覆われていることから、内部通路61に対する燃焼用空気の吹き付けが抑えられる。その結果、内部通路61における気化燃料の温度低下が抑えられることで気化燃料の液化が抑えられる。それゆえに、気化燃料の液化に起因した未燃燃料の増加が抑えられる。
(2)被覆部65が内部通路61の外周面を覆う筒状をなしていることから、内部通路61に対する燃焼用空気の吹き付けが高い確率の下で抑えられる。その結果、内部通路61を流れる気化燃料の温度低下が効率的に抑えられる。
(3)被覆部65が内側スロート部66を有していることから、被覆部65に吹き付けられた燃焼用空気が噴射口62に向かって案内される。その結果、燃料と燃焼用空気との混合が効率的に行われる。
(4)しかも、内側スロート部66と縮径部36との双方が噴出し口32側で窄んでいることで、燃焼用空気は、旋回状態を維持したまま第2室52に流入する。その結果、燃料と燃焼用空気との混合が効率的に行われる。
(5)第2室52における流路断面積S2が第1室51における流路断面積S1よりも小さいことから、第2室52における液化燃料が第1室51よりも第3室53に流入しやすい。その結果、液化燃料が燃焼される確率が高められる。
(6)中間筒部37が混合気の燃焼熱によって加熱されることで、第3室53および第4室54において、気化燃料の液化が抑えられるとともに液化燃料が再び気化しやすくなる。その結果、液化燃料が燃焼される確率がさらに高められる。
(7)外側筒部30が混合気の燃焼熱によって加熱されることで、第1室51に流入する燃焼用空気が加熱される。その結果、気化燃料の液化が抑えられる。
(8)燃焼用空気や混合気、液化燃料の加熱に燃焼ガスの排熱を利用している。その結果、これらを加熱する加熱部を別途設ける場合に比べて、燃焼用空気や混合気、液化燃料を加熱するための構成が簡易なものとなる。
(9)また、バーナー20の周辺への放熱が抑えられることから、該バーナー20の周辺における他の構成要素に対する熱害も抑えられる。
(10)空気流通室72を流れる燃焼用空気は、案内部73に案内されることで中間筒部37の周りを旋回している。そのため、空気流通室72において燃焼用空気が旋回しない場合に比べて、空気流通室72における燃焼用空気の流通経路が長くなることから、より高い温度まで燃焼用空気が加熱される。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・バーナーは、空気供給管68を有さず、且つ、導入口75および導入口76に連通するように外側筒部30に対して空気供給通路70が連結された構成であってもよい。
・中間筒部37の開口を閉塞する閉塞板38は、内側筒部33の周壁に第2室52と第4室54とを連通する貫通孔が形成されているならば、噴出し口32側における内側筒部33の開口を閉塞してもよい。
・バーナーは、内部通路61が被覆部65によって覆われていればよく、中間筒部37、閉塞板38、仕切壁部39を備えていない構成であってもよい。この際、内側筒部33の開口付近に着火部43が配設されることが好ましい。
・被覆部は、直線的に延びる円筒状をなしていてもよい。すなわち、被覆部は、内部通路の外周面を覆う筒状をなしていれば、スロート部が形成されていなくてもよい。
・バーナーにおける筒部は、例えば、外側スロート部34を有さずに先端筒部と基端筒部とが円環板によって連結された多段の円筒形状であってもよいし、直管状であってもよい。また、筒部内における噴射口62の近傍に着火部43が配設されてもよい。
・噴射口62は、外側スロート部34に囲まれた空間に配置されてもよいし、基端筒部内に配置されてもよい。
・被覆部65は、内部通路61の外周面の一部を覆っていればよく、その形状は筒状に限られるものではない。例えば、バーナーの構造や実験等に基づいて内部通路のうちで燃焼用空気が吹き付けられる部位が特定されている場合、被覆部65は、その部位のみを覆う板状であってもよい。なお、こうした板状の被覆部には、該被覆部に衝突した燃焼用空気を該燃焼用空気の流通経路における下流側へ案内するような部位が形成されていることが好ましい。
・被覆部65は、内部通路61の外周面を覆う部材であればよく、金属製に限らず、合成樹脂等で形成されたものであってもよい。
・バーナーは、空気流通室72に燃焼用空気の旋回流を生成する案内部が形成されていない構成であってもよい。こうした構成であっても、燃焼用空気は、外側筒部30を介して燃焼ガスによって加熱される。
・バーナーは、第1室51に燃焼用空気の旋回流を生成する旋回流生成部を備えていない構成であってもよい。
・着火部は、点火プラグに加えてグローヒーター、レーザー点火装置、プラズマ点火装置が適宜搭載された構成であってもよい。また、火炎Fの生成が可能であれば、グローヒーター、レーザー点火装置、プラズマ点火装置、これらのうちの一つのみが搭載された構成であってもよい。
・燃焼用空気は、吸気通路13を流れる吸入空気に限らず、ブレーキの空気タンクに接続された配管を流れる空気や、排気浄化装置用バーナー用のブロワによって供給される空気であってもよい。
・排気浄化装置は、DPF12に限らず、排気ガスを浄化する触媒を備えているものであってもよい。こうした構成によれば、バーナー20によって触媒が昇温されることから、触媒を活性化温度まで早期に昇温させることが可能である。
・排気浄化装置用バーナーの搭載されるエンジンは、ガソリンエンジンであってもよい。
・燃料通路は、燃料弁を通過した燃料を気化させる熱源を搭載していればよく、その熱源は、上記実施形態の電気ヒーターに限らず、例えばパイロットバーナー等、他の熱源であってもよい。また、燃料通路は、電気ヒーター、パイロットバーナー等、二つ以上の熱源が搭載された構成であってもよい。
10…ディーゼルエンジン、11…排気通路、12…ディーゼルパティキュレートフィルター、13…吸気通路、14…タービン、15…コンプレッサー、20…バーナー、21…基板、30…外側筒部、31…噴出し板、32…噴出し口、33…内側筒部、34…外側スロート部、35…鍔部、36…縮径部、37…中間筒部、38…閉塞板、39…仕切壁部、40…連通路、41…金網、42…点火プラグ、43…着火部、51…第1室、52…第2室、53…第3室、54…第4室、55…第5室、56…燃焼室、60…燃料通路、61…内部通路、62…噴射口、65…被覆部、66…内側スロート部、67…空気層、68…空気供給管、69…閉塞板、70…空気供給通路、71…空気弁、72…空気流通室、73…案内部、75…第1の導入口、76…第2の導入口、77…切り起こし片。

Claims (5)

  1. 相互に対向する一対の端部を有する筒部と、
    前記筒部内に空気を導入する空気導入部と、
    前記筒部内に燃料を供給する燃料供給部と、を備え、
    前記一対の端部のうち基端部が塞がれ、
    前記一対の端部のうち先端部に前記空気と前記燃料との混合気が出る開口が形成され、
    前記燃料供給部は、前記基端部から前記筒部内へ延びる管状に形成され、
    前記燃料供給部の外周面の少なくとも一部を覆う被覆部をさらに備える、
    バーナー。
  2. 前記被覆部は、
    前記燃料供給部の外周面における周方向の全体にわたり前記燃料供給部の外周面を覆う筒状に形成されている
    請求項1に記載のバーナー。
  3. 前記燃料供給部には、
    前記筒部内に燃料を噴射する噴射口が前記燃料供給部の先端に形成され、
    前記被覆部は、
    前記筒部の前記基端部から前記噴射口側に向けて窄んだスロート部を備える
    請求項2に記載のバーナー。
  4. 前記スロート部が、内側スロート部として設定され、
    前記筒部は、
    前記筒部の前記基端部を含む基端筒部と、
    前記筒部の前記先端部を含み前記基端筒部よりも内径が小さい先端筒部と、
    前記基端筒部における前記先端筒部側の端部と前記先端筒部における前記基端筒部側の端部とを連結して前記基端筒部から前記先端筒部に向けて窄んだ外側スロート部と、
    を備え、
    前記空気導入部は、前記基端筒部内に空気を導入し、
    前記噴射口は、前記先端筒部内に配置される
    請求項3に記載のバーナー。
  5. 前記内側スロート部と前記外側スロート部との間の隙間は、前記先端筒部に向けて徐々に窄んでいる
    請求項4に記載のバーナー。
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