JP2014137111A - クリップの挿し込み構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】クリップ孔に対するアンカー部のセンターリングが可能であっても、このクリップ孔の形成を簡便にするクリップの挿し込み構造を提供すること。
【解決手段】パネル部材30に形成された長孔状のクリップ孔34に対して取付部材10に回転可能に取り付けられているクリップ20のアンカー部24が挿し込まれると、このクリップ孔24の向かい合う長辺の両縁に、このアンカー部24に形成された一対の弾性爪26、26が係合することで取付部材10をパネル部材30に取り付け可能となっており、一対の弾性爪26、26をクリップ孔34に係合させた取り付け状態からクリップ孔34に対してクリップ20を略90°回転させると、この取り付け状態を解消できる。クリップ孔34の四隅は、挿し込まれるクリップ20のアンカー部24がクリップ孔34の長手方向の中央に位置決めされるように、R状34aに形成されている。
【選択図】図10

Description

本発明は、クリップの挿し込み構造に関し、詳しくは、取付部材をパネル部材に取り付けるためのクリップの挿し込み構造に関する。
例えば、車両用ドアにおいては、パネル部材であるインナーパネルとアウターパネルとの間の空間に各種の機器や機構が配線類と共に組込まれている。これらの機器等は、インナーパネルに開けられた作業用のサービスホールを利用して組込まれる。そして、サービスホールは、組込み作業の完了後に取付部材であるカバー部材によって塞がれる。 このような構造の一例が、本出願時において、未公開となっている特許文献1に開示されている。この技術では、図11(A)に示すように、カバー部材に回動可能に取り付けたクリップのアンカー部124をインナーパネルのクリップ孔134に挿し込んでいくと、挿し込んだアンカー部124の一対の弾性爪126、126がクリップ孔134の長辺側の両縁に係合する。そのため、サービスホールを塞いだ状態となるようにインナーパネルにカバー部材を取り付けることができる。なお、インナーパネルからカバー部材を取り外す場合、クリップをカバー部材に対して略90°回動させればよい。すると、図11(B)に示すように、挿し込んだアンカー部124の一対の弾性爪126、126とクリップ孔134の長辺の両縁との係合が解消するため、インナーパネルからカバー部材を取り外すことができる。
特願2012−177971号
しかしながら、上述した特許文献1の技術(「従来の第1の形態」と記す)では、図11からも明らかなように、インナーパネルのクリップ孔134は長孔状に形成されている。そのため、挿し込んだアンカー部124の一対の弾性爪126、126とクリップ孔134の長辺の両縁とを係合させるとき、このアンカー部124をクリップ孔134の長手方向の中央に位置決め(センターリング)しておかなければいけないという問題が発生していた。なぜなら、図12(A)に示すように、このセンターリングが行われていないと、カバー部材をインナーパネルから取り外すとき、図12(B)に示すように、一方の弾性爪126がクリップ孔134の一方側の短辺の縁に引っ掛かった状態となり、インナーパネルからカバー部材を取り外すことができなくなる(機器や機構のメンテナンスができなくなる)からである。この問題を解消するために、図13(A)、図13(B)に示すように、挿し込んだアンカー部124の一対の弾性爪126、126とクリップ孔134の長辺の両縁とを係合させるとき、このアンカー部124をセンターリングするためにクリップ孔134の四隅を突出させる形態(四隅に突起134aを設ける形態であり、「従来の第2の形態」と記す)が考案された。しかしながら、この考案では、クリップ孔134の形状が複雑になってしまうという新たな問題が発生していた。このように複雑になると、例えば、クリップ孔134をパンチで打ち抜いて形成する場合、この打ち抜きのパンチが破損してしまうことが懸念されていた。
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、クリップ孔に対するアンカー部のセンターリングが可能であっても、このクリップ孔の形成を簡便にするクリップの挿し込み構造を提供することである。
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、パネル部材に形成された長孔状のクリップ孔に対して取付部材に回転可能に取り付けられているクリップのアンカー部が挿し込まれると、このクリップ孔の向かい合う長辺の両縁に、このアンカー部に形成された一対の弾性爪が係合することで取付部材をパネル部材に取り付け可能となっており、一対の弾性爪をクリップ孔に係合させた取り付け状態からクリップ孔に対してクリップを略90°回転させると、この一対の弾性爪の係合が解消することで、この取り付け状態を解消できるクリップの挿し込み構造であって、クリップ孔の四隅は、挿し込まれるクリップのアンカー部がクリップ孔の長手方向の中央に位置決めされるように、R状に形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、取付部材に取付けられたクリップのアンカー部をパネル部材のクリップ孔に挿入すると、アンカー部の四隅とクリップ孔の四隅(四隅のR状の基端部位)とが略干渉した状態となるため、アンカー部がクリップ孔の長手方向の中央に位置決めされることとなる。したがって、従来の第2の形態の説明と同様に、クリップ孔に対するアンカー部のセンターリングを行うことができる。このようにセンターリングを行うことができても、従来の第2の形態とは異なり、クリップ孔の四隅をR状に形成するだけでよいため、クリップ孔の形状が複雑になることがない。結果として、クリップ孔を簡便に形成できる。
実施の形態におけるカバー部材の外形を表した平面図。 図1の一部を拡大して表した斜視図。 図1のA−A矢視方向の拡大断面図。 実施の形態におけるクリップを表した斜視図。 同じくクリップを表した正面図。 同じくクリップを表した側面図。 同じくクリップを表した平面図。 同じくクリップを表した底面図。 実施の形態のカバー部材をインナーパネルに取付けた状態の断面図。 実施の形態のクリップとクリップ孔との関係を表した模式図。 従来の第1の形態のクリップとクリップ孔との関係を表した模式図。 図11の問題を説明する模式図。 従来の第2の形態のクリップとクリップ孔との関係を表した模式図。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜10を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、「パネル部材」が「インナーパネル」であり、「取付部材」が「カバー部材」である形態を説明する。図1および図9に示されている車両用ドアのインナーパネル30は、アウターパネル(図示省略)との間の空間に対する各種の機器や機構の組込み、またはメンテナンスを行うための複数もしくは単数のサービスホール32を有する。このサービスホール32は、その防水性、防音性および防塵性を保つためにカバー部材10によって塞がれる。また、インナーパネル30には、サービスホール32の周囲において4個のクリップ孔34が開けられている(図1)。これらのクリップ孔34は長方形で、後述するクリップ20のアンカー部24が結合される。また、これらクリップ孔34の四隅は、挿し込まれるクリップ20のアンカー部24がクリップ孔34の長手方向の中央に位置決めされるように、R状に(R部34a)形成されている(図10参照)。なお、図1において仮想線で示されているインナーパネル30は、カバー部材10よりも図面の手前側に位置しており、かつ、その外形は便宜的に示したもので、実際の形状とは異なる。
カバー部材10は樹脂製の成形品であり、図9においてインナーパネル30と対向する外側の面には、インナーパネル30の各クリップ孔34と対応する箇所(四隅)においてクリップ20を取付けるための座部12がそれぞれ一体に成形されている(図1)。これらの座部12は、ドアの下方側が開放された形状になっており、その前面部にはクリップ20の基部22を取付けるための取付け孔12bがそれぞれ設けられている。この取付け孔12bは、丸孔形状で座部12の下側に向けてスリットで開放されている。また、座部12における前面部の表面には、複数個(4個)の凸部12cが設けられている。これらの凸部12cは、後述のように座部12に取付けられたクリップ20の軸線回りの回転を規制する。
カバー部材10は、各座部12と対応する箇所において両面に貫通する工具用孔14を有する。これらの工具用孔14は、座部12の取付け孔12bと同軸線上に位置しているとともに、座部12とは反対の所定の工具を挿入することができる。所定の工具を挿入することができる。なお、カバー部材10における外側面の周囲には、インナーパネル30との間のシール機能を果たすためのエプトシーラー16が設けられている。
クリップ20は樹脂製であり、図4〜図8で示す外観形状をしている。このクリップ20の構成は、カバー部材10の座部12に取付ける基部22と、インナーパネル30のクリップ孔34に結合するアンカー部24とに大別される。基部22は、平面形状が長方形の第1フランジ22aと、平面形状が円形の第2フランジ22bと、これらの間に位置する円柱形の頸部22cと、皿22dの端面側に設けられた皿22dとを有する。そして、皿22dが位置する側の基部22の端面中心には、六角レンチ等の工具を使用することができる工具差込み部22eが設けられている(図8)。第1フランジ22aと第2フランジ22bとの間隔は、座部12の前面部の板厚よりも僅かに大きい寸法に設定されている。また、頸部22cの外径は、座部12の取付け孔12bの内径よりも僅かに小さい寸法に設定されている。
クリップ20のアンカー部24は、インナーパネル30のクリップ孔34に対して挿入可能な角柱形状をしているとともに、一対の弾性爪26を有する。アンカー部24の外形は、図10(A),(B)で示すように平断面における一方の対角線上の二箇所に円弧部27を有する形状になっていると共に、もう一方の対角線上の二箇所に略角部28を有する形状となっている。そこで、クリップ孔34に挿入されたアンカー部24を、図10(A)の状態から左右いずれか一方向(図面では反時計回り方向)へ略90°回転させて図10(B)の状態にすることができる。両弾性爪26は、図10(B)で示すようにクリップ孔34に対してその長辺と平行に位置した状態では自由に通過でき、図10(A)で示すように短辺と平行に位置した状態では挿入のみ可能である。つまり、両弾性爪26がクリップ孔34に対して図10(A)で示す状態で挿入されると、両弾性爪26はクリップ孔34に対して押し撓められながら通過した後、長辺側の孔縁に係合し、そのままではクリップ孔34からアンカー部24を抜取ることが不能となる。
つづいて、インナーパネル30のサービスホール32をカバー部材10で塞ぐ手順について説明する。まず、カバー部材10の各座部12にクリップ20をそれぞれ取付ける。具体的には、座部12の取付け孔12bに対し、スリットを通じてクリップ20における基部22の頸部22cを図面(図1、2等)の下方から差込む。これにより、座部12における前面の表側に第1フランジ22aが位置し、内側に第2フランジ22bが位置する(図9)。このときの第1フランジ22aは、座部12において図面(図1、2等)の上下に2個ずつ配置された凸部12cの間に位置している。これにより、座部12に対するクリップ20の軸線回りの回転が規制され、クリップ20は図9で示す回転位置、つまりアンカー部24の両弾性爪26がクリップ孔34の短辺と平行な位置に保持される。また、座部12にクリップ20が取付けられた状態では、基部22の皿22dがカバー部材10の工具用孔14を被っている(図9)。これにより、工具用孔14の防水性はもちろんのこと、防音性および防塵性能が確保されている。
つぎに、カバー部材10の各座部12に取付けられたクリップ20のアンカー部24をインナーパネル30の各クリップ孔34に挿入する。すると、図10(A)に示すように、アンカー部24の略角部28とクリップ孔34の隅(R部34aの基端部位)とが略干渉した状態となるため、アンカー部24がクリップ孔34の長手方向の中央に位置決めされることとなる。この挿入により、前述のようにアンカー部24の両弾性爪26がクリップ孔34を通過した後、長辺側の孔縁に係合する。その結果、カバー部材10がインナーパネル30に対してサービスホール32を塞いだ状態で取付けられる(図9)。なお、インナーパネル30に取付けられたカバー部材10のエプトシーラー16は、インナーパネル30の表面に押付けられてカバー部材10とインナーパネル30との間のシールを果たしている。
ドア内部に組込まれている機器類のメンテナンスなどに際しては、カバー部材10をインナーパネル30から取外してサービスホール32を開放することが必要となる。その場合には、ドアトリムボード(図示省略)を外した後、カバー部材10の工具用孔14から挿入した六角レンチ等の工具をクリップ20の工具差込み部22eに嵌め合わせる。この工具によってクリップ20をその軸線回りに回転操作すると、基部22の第1フランジ22aが座部12の凸部12cを乗り越えるとともに、前述のようにアンカー部24を図10(A)の状態から左右いずれか一方向へほぼ90°回転させることができる。これにより、図10(B)で示すようにアンカー部24の両弾性爪26がインナーパネル30のクリップ孔34に対してその長辺と平行に位置する。そこで、アンカー部24をクリップ孔34から抜取り、カバー部材10をインナーパネル30から取外す。
インナーパネル30のサービスホール32をカバー部材10で塞いだ状態において、ドア内部に入ってきた雨水などは、カバー部材10とインナーパネル30との間のエプトシーラー16を通過してカバー部材10の工具用孔14に向かって落下することがある。しかしながら、この落下する水は図9において点線の矢印で示すように座部12の外面12aに沿って落下方向が変えられ、工具用孔14に向かうことなくドアの下部から外へ排出される。また、工具用孔14はクリップ20における基部22の皿22dによってシールされていることから、この工具用孔14の防水性はもちろんのこと、防音性および防塵性が保持され、車内側への水の浸入、あるいは騒音や塵埃が入り込むことが防止される。
本発明の実施例に係るクリップの挿し込み構造は、上述したように構成されている。この構成によれば、クリップ孔34の四隅は、R状に形成されている。そのため、カバー部材10の各座部12に取付けられたクリップ20のアンカー部24をインナーパネル30の各クリップ孔34に挿入すると、アンカー部24の四隅(2箇所の円弧部27、27と2箇所の略角部28、28)とクリップ孔34の四隅(四隅のR部34aの基端部位)とが略干渉した状態となるため、アンカー部24がクリップ孔34の長手方向の中央に位置決めされることとなる。したがって、従来の第2の形態の説明と同様に、クリップ孔34に対するアンカー部24のセンターリングを行うことができる。このようにセンターリングを行うことができても、従来の第2の形態とは異なり、クリップ孔34の四隅をR状に形成するだけでよいため、クリップ孔34の形状が複雑になることがない。結果として、クリップ孔34を簡便に形成できる。
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、「パネル部材」が「インナーパネル」であり、「取付部材」が「カバー部材」である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「パネル部材」、「取付部材」は各種の物が考えられる。
10 カバー部材(取付部材)
20 クリップ
24 アンカー部
26 弾性爪
30 インナーパネル(パネル部材)
34 クリップ孔
34a R部

Claims (1)

  1. パネル部材に形成された長孔状のクリップ孔に対して取付部材に回転可能に取り付けられているクリップのアンカー部が挿し込まれると、このクリップ孔の向かい合う長辺の両縁に、このアンカー部に形成された一対の弾性爪が係合することで取付部材をパネル部材に取り付け可能となっており、一対の弾性爪をクリップ孔に係合させた取り付け状態からクリップ孔に対してクリップを略90°回転させると、この一対の弾性爪の係合が解消することで、この取り付け状態を解消できるクリップの挿し込み構造であって、
    クリップ孔の四隅は、挿し込まれるクリップのアンカー部がクリップ孔の長手方向の中央に位置決めされるように、R状に形成されていることを特徴とするクリップの挿し込み構造。






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