JP2014137007A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒内圧センサを備え、運転期間中の経年変化により生じる機械圧縮比の変化を推定できる内燃機関を提供する。
【解決手段】内燃機関は、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積を変化させることにより機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、筒内圧センサとを備える。ノッキングが発生した時の燃焼室内の気体の圧力を取得し、燃焼室内の気体の圧力振動の信号から高周波圧力振動の信号を抽出し、高周波圧力振動の圧力信号に含まれる振動成分の強度が最大になる周波数に基づいて実際の機械圧縮比を推定する。
【選択図】図8

Description

本発明は、内燃機関に関する。
内燃機関の燃焼室では、空気および燃料の混合気が圧縮された状態で燃焼する。混合気を圧縮するときの圧縮比は、出力されるトルクおよび燃料消費量に影響を与えることが知られている。圧縮比を高くすることにより出力されるトルクを大きくしたり、燃料消費量を少なくしたりすることができる。一方で、圧縮比を高くしすぎると、ノッキング等の異常燃焼が生じることが知られている。従来の技術においては、運転期間中に圧縮比を変更できる内燃機関が知られている。圧縮比を変更する機構としては、ピストンが上死点に到達した時の燃焼室の容積を変化させる可変圧縮比機構が知られている。
特開2009−008016号公報においては、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を具備する火花点火式の内燃機関が開示されている。この内燃機関では、各気筒における機械圧縮比のばらつきをなくすために燃焼室の内壁面上に肉盛部が形成されており、エンジンの組立時にピストンが上死点に位置するときの各気筒の燃焼室の容積が同一となるように関連する肉盛部の一部が削除されることが開示されている。
特開2006−226133号公報は、制御軸の回転角によって圧縮比を可変とする可変圧縮比機構において、制御軸の回転を規制するストッパを最高圧縮比側に設けた可変圧縮比装置が開示されている。そして、ストッパに突き当てた状態で制御軸の回転角を検出する圧縮比センサの出力を読み取り、この出力に基づいてセンサ出力を補正するための補正値を学習することが開示されている。
特開2007−92610号公報には、可変圧縮比機構と、シリンダブロックの側面に取り付けられたノックセンサと、ノックセンサの出力値に基づいて内燃機関の気筒においてノッキングが発生したことを検出するECU(Electronic Control Unit)とを備える内燃機関が開示されている。この内燃機関では、ノッキングの発生が検出された場合に、圧縮比の変更動作中の少なくとも一部の期間には、点火時期を変化させる制御を禁止することが開示されている。
特開2009−008016号公報 特開2006−226133号公報 特開2007−092610号公報
ノッキング等の異常燃焼は、所望の燃焼の伝播とは異なる燃焼が生じることにより発生する。異常燃焼が生じることにより気筒内の気体が振動し、所定の周波数を有する圧力波が生じる。この結果、シリンダブロックを含む機関本体が振動する。異常燃焼の検出においては、機関本体に取り付けたノックセンサにより機関本体の振動を検出することができる。または、燃焼室の圧力を直接的に検出する筒内圧センサにより、異常燃焼の発生を検出することができる。
ところで、可変圧縮比機構の制御においては、実際の機械圧縮比を正確に把握することが好ましい。内燃機関の製造時においては、実際の機械圧縮比が所望の値になるように、機械圧縮比を検出するためのセンサの出力値を適合することができる。また、実際の機械圧縮比に応じて点火時期等の制御パラメータを適合することができる。
内燃機関の運転を継続すると経年変化が生じる。例えば、燃焼室の壁面にデポジットなどの堆積物が堆積し、燃焼室の容積が変化する場合がある。ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積を変化させることにより機械圧縮比を変化させる可変圧縮比機構においては、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積が経年変化により変化する場合がある。実際の機械圧縮比が製造時に推定される機械圧縮比から逸脱すると、製造時において設定した適合パラメータが最適ではなくなり、この結果、所望の出力を得ることができなかったり燃料消費量が増大したりする。
上記の特開2009−008016号公報においては、製造時に気筒毎の機械圧縮比のばらつきに対して、ピストンの冠面に形成した肉盛部の一部を削除することが開示されている。ところが、このような製造方法を採用しても、内燃機関の運転に伴って生じる経年変化によって、機械圧縮比の誤差やばらつきが生じてしまう。特に、機械圧縮比が低い状態よりも機械圧縮比が高い状態の方が、燃焼室の容積のばらつきの影響が大きくなる。
本発明は、筒内圧センサを備え、運転期間中の経年変化により変化する機械圧縮比を推定できる内燃機関を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関は、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積を変化させることにより機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、気筒内の圧力振動を取得する筒内圧センサと、気筒内の圧力振動を解析する振動解析装置とを備える。異常燃焼が発生した時の燃焼室内の気体の圧力振動には、燃焼室の高さ方向に共鳴して燃焼室の高さに依存する周波数を有する高周波圧力振動が含まれている。振動解析装置は、異常燃焼が発生した時の燃焼室内の気体の圧力を取得し、燃焼室内の気体の圧力振動の信号から高周波圧力振動の信号を抽出し、高周波圧力振動に含まれる振動成分の強度が最大になる周波数に基づいて実際の機械圧縮比を推定する。
上記発明においては、燃焼室における点火時期を変更する点火時期変更装置を備え、点火時期変更装置は、実際の機械圧縮比に基づいて点火時期を補正することが好ましい。
上記発明においては、振動解析装置は、高周波圧力振動に基づいて異常燃焼の発生時期を検出可能に形成されており、高周波圧力振動の強度が最大になる周波数と筒内圧センサの共振周波数とが予め定められた範囲内に近接した場合には、高周波圧力振動に基づく実際の機械圧縮比の推定を禁止することが好ましい。
本発明によれば、筒内圧センサを備え、運転期間中の経年変化により変化する機械圧縮比を推定することができる。
実施の形態における内燃機関の概略図である。 実施の形態の内燃機関において、機械圧縮比が高圧縮比の時のシリンダブロックおよびクランクケースの部分の概略断面図である。 実施の形態の内燃機関において、機械圧縮比が低圧縮比の時のシリンダブロックおよびクランクケースの部分の概略断面図である。 実施の形態の内燃機関において、クランク角度に対する燃焼室の高さの関係を示すグラフである。 異常燃焼が発生したときの気筒内の圧力振動の周波数と強度との関係を説明するグラフである。 実施の形態におけるクランク角度に対する燃焼室の高さ方向の振動の共鳴周波数のグラフである。 実施の形態におけるクランク角度に対するバンドパスフィルタの出力値のグラフである。 実施の形態における第1の運転制御のフローチャートである。 実施の形態の第1の運転制御における点火時期の補正を説明するグラフである。 実施の形態における第2の運転制御のフローチャートである。
図1から図10を参照して、実施の形態における内燃機関について説明する。本実施の形態においては、車両に配置されている火花点火式の内燃機関を例に取り上げて説明する。
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、ピストン3が配置されている。ピストン3は、シリンダブロック2の内部で往復運動する。燃焼室5は、それぞれの気筒ごとに形成されている。
シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は吸気ポート7の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、排気ポート9の端部に配置され、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。吸気弁6は、吸気カム51が回転することにより開閉する。排気弁8は、排気カム52が回転するようことにより開閉する。また、シリンダヘッド4には、点火装置としての点火プラグ10が固定されている。点火プラグ10は、燃焼室5にて燃料と空気の混合気を点火するように形成されている。
本実施の形態における内燃機関は、気筒内の圧力を検出するための筒内圧センサ61を含む。筒内圧センサ61は、燃焼室5の内部の気体の圧力振動を取得する。筒内圧センサ61は、シリンダヘッド4に固定されている。筒内圧センサ61は、ピストン3が移動する方向と交差する燃焼室5の頂面に配置されている。また、本実施の形態における筒内圧センサ61は、点火プラグ10の近傍に配置されている。すなわち、筒内圧センサ61は、燃焼室5の頂面の中央部分に配置されている。
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5に燃料を供給するための燃料噴射弁11を備える。燃料噴射弁11は、電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ29を介して燃料タンク28に接続されている。燃料タンク28内に貯蔵されている燃料は、燃料ポンプ29によって燃料噴射弁11に供給される。
各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気ダクト15を介してエアクリーナ(図示せず)に連結されている。吸気ダクト15の内部には、吸入空気量を検出するエアフローメータ16が配置されている。吸気ダクト15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。一方、各気筒の排気ポート9は、対応する排気枝管19に連結されている。排気枝管19は、排気処理装置21に連結されている。本実施の形態における排気処理装置21は、三元触媒20を含む。排気処理装置21は、排気管22に接続されている。
本実施の形態における内燃機関は、電子制御ユニット31を備える。本実施の形態における電子制御ユニット31は、デジタルコンピュータを含む。電子制御ユニット31は、双方向バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36および出力ポート37を含む。
エアフローメータ16の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。アクセルペダル40には、負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41は、要求負荷を検出する要求負荷検出器として機能する。負荷センサ41は、アクセルペダル40の踏込量に応じた出力電圧を発生する。この出力電圧は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。筒内圧センサ61は、燃焼室5の圧力に応じた出力信号を発生する。筒内圧センサ61の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力されている。
クランク角センサ42は、クランクシャフトが、例えば所定の角度を回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスは入力ポート36に入力される。クランク角センサ42の出力により、機関回転数を検出することができる。また、クランク角センサ42の出力により、クランク角度を検出することができる。機関排気通路において、排気処理装置21の下流には、排気処理装置21の温度を検出する温度検出器としての温度センサ43が配置されている。温度センサ43の出力信号は、対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
電子制御ユニット31の出力ポート37は、それぞれの対応する駆動回路39を介して燃料噴射弁11および点火プラグ10に接続されている。本実施の形態における電子制御ユニット31は、燃料噴射制御や点火時期制御を行うように形成されている。電子制御ユニット31は、点火時期を変更する点火時期変更装置として機能する。また、出力ポート37は、対応する駆動回路39を介して、スロットル弁18を駆動するステップモータ17および燃料ポンプ29に接続されている。これらの機器は、電子制御ユニット31により制御されている。
本実施の形態における内燃機関は、可変動弁機構を備える。可変動弁機構は、吸気弁6の開閉時期を変更する可変バルブタイミング装置53を含む。本実施の形態における可変バルブタイミング装置53は、吸気カム51を支持するカムシャフトに接続されている。可変バルブタイミング装置53は、電子制御ユニット31により制御されている。
本実施の形態における内燃機関は、可変圧縮比機構を備える。本発明においては、ピストンの任意の位置におけるピストンの冠面とシリンダヘッドとに囲まれる気筒内の空間を燃焼室と称する。内燃機関の圧縮比は、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積等に依存して定まる。本実施の形態における可変圧縮比機構は、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積を変化させることにより圧縮比を変更するように形成されている。
図2に、本実施の形態における内燃機関の可変圧縮比機構の第1の概略断面図を示す。図2は、可変圧縮比機構により高圧縮比になったときの概略図である。図3に、本実施の形態における内燃機関の可変圧縮比機構の第2の概略断面図を示す。図3は、可変圧縮比機構により低圧縮比になったときの概略図である。図2および図3は、ピストン3が上死点に到達した状態を示している。
図1から図3を参照して、本実施の形態における内燃機関は、クランクケース79を含む支持構造物と、支持構造物の上側に配置されているシリンダブロック2とが相対移動する。本実施の形態における支持構造物は、可変圧縮比機構を介してシリンダブロック2を支持している。また、本実施の形態における支持構造物は、クランクシャフトを回転可能に支持している。ピストン3は、コネクティングロッド23を介してクランクシャフトに支持されている。
シリンダブロック2の両側の側壁の下方には複数個の突出部80が形成されている。突出部80には、断面形状が円形のカム挿入穴が形成されており、カム挿入穴の内部には円形カム86が回転可能に配置されている。クランクケース79には、複数個の突出部82が形成されている。突出部82には、断面形状が円形のカム挿入穴が形成されており、カム挿入穴の内部には円形カム88が回転可能に配置されている。シリンダブロック2の突出部80は、クランクケース79の突出部82同士の間に嵌合する。
シリンダブロック2の突出部80に挿入されている円形カム86と、クランクケース79の突出部82に挿入されている円形カム88とは、偏心軸87を介して互いに連結されている。複数の円形カム86と複数の円形カム88とが、偏心軸87を介して連結されることにより、カムシャフト84,85が構成されている。本実施の形態においては、一対のカムシャフト84,85が形成されている。本実施の形態における可変圧縮比機構は、一対のカムシャフト84,85を互いに反対方向に回転させる回転装置を含む。円形カム88は、カムシャフト84,85の回転軸線と同軸状に配置されている。円形カム86は、カムシャフト84,85の回転軸線に対して偏心している。また、偏心軸87は、カムシャフト84,85の回転軸線に対して偏心している。
図2を参照して、それぞれのカムシャフト84,85上に配置されている円形カム88を、矢印97に示すように互いに反対方向に回転させると、偏心軸87が円形カム88の上端に向けて移動する。シリンダブロック2を支持している円形カム86は、カム挿入孔の内部において、矢印96に示すように円形カム88と反対方向に回転する。シリンダブロック2は、矢印98に示すように、クランクケース79から離れる向きに移動する。
図3に示されるように偏心軸87が円形カム88の上端まで移動すると、円形カム88の中心軸が偏心軸87よりも下方に移動する。図2および図3を参照して、クランクケース79とシリンダブロック2との相対位置は、円形カム86の中心軸と円形カム88の中心軸との距離によって定まる。円形カム86の中心軸と円形カム88の中心軸との距離が大きくなるほど、シリンダブロック2はクランクケース79から離れる向きに移動する。シリンダブロック2がクランクケース79から離れる向きに移動するほど、燃焼室5の容積が大きくなる。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、クランクケース79に対してシリンダブロック2が相対的に移動することにより、ピストン3が上死点に到達したときの燃焼室5の容積が可変に形成されている。本実施の形態においては、下死点から上死点までのピストンの行程容積とピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積のみから定まる圧縮比を機械圧縮比と言う。機械圧縮比は、吸気弁の閉弁時期に依存せずに、(機械圧縮比)=(ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積+ピストンの行程容積)/(ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積)にて示される。
本実施の形態における内燃機関は、クランクケース79に対するシリンダブロック2の相対的な位置を検出する相対位置センサ89を備える。相対位置センサ89の出力により、ピストン3が上死点に位置しているときのシリンダブロック2に対するピストン3の相対位置を取得することができる。相対位置センサ89の出力は、電子制御ユニット31に入力される。
図2に示す状態では、燃焼室5の容積が小さくなっており、吸入空気量が常時一定の場合には圧縮比が高くなる。この状態は、機械圧縮比が高い状態である。これに対して、図3に示す状態では、燃焼室5の容積が大きくなっており、吸入空気量が常時一定の場合には圧縮比が低くなる。この状態は、機械圧縮比が低い状態である。このように、本実施の形態における内燃機関は、運転期間中に圧縮比を変更することができる。たとえば、内燃機関の運転状態に応じて、可変圧縮比機構により圧縮比を変更することができる。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、電子制御ユニット31に制御されている。本実施の形態において、カムシャフト84,85を回転させるモータは、対応する駆動回路39を介して出力ポート37に接続されている。
更に、本実施の形態における内燃機関は、吸気弁の閉弁時期を変化させる可変動弁機構を備える。吸気弁の閉弁時期を変化させることにより、燃焼室に吸入される吸入空気量を変化させることができる。吸気弁の閉弁時期は、ピストンが下死点から上死点に移動する期間内にて変化させることができる。本実施の形態における内燃機関では、機械圧縮比の他に燃焼室における実際の圧縮比である実圧縮比が設定される。実圧縮比は、吸気弁の閉弁時期に依存する。実圧縮比は、(実圧縮比)=(ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積+吸気弁が閉じている期間にピストンが移動する容積)/(ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積)にて設定される。内燃機関の制御としては、所定の運転範囲において負荷が変化しても実圧縮比を一定する制御を行うことができる。たとえば、負荷が大きくなるほど、機械圧縮比を低くする制御を行うと共に、吸気弁の閉弁時期を早くする制御を行うことができる。
本実施の形態の内燃機関は、異常燃焼の発生を検出することができる。異常燃焼は、例えば、点火栓の点火部から順に火炎が広がる燃焼が生じているときに、所望の燃焼の伝播とは異なる燃焼が生じることにより発生する。異常燃焼には、ノッキング現象が含まれる。本実施の形態においては、筒内圧センサ61により燃焼室5の圧力振動を取得し、異常燃焼が発生しているか否かを判別する。
図2および図3を参照して、可変圧縮比機構によりクランクケース79に対してシリンダブロック2の相対的な位置が変化すると、燃焼室5の高さHが変化する。本発明では、ピストン3が移動する方向の燃焼室5の長さを燃焼室5の高さHと称する。図2および図3に示す例では、燃焼室5の頂面が傾斜しており、ピストン3の冠面と燃焼室5の頂面との距離が最も大きくなる部分を燃焼室5の高さHと称する。
図4に、機械圧縮比を変化させたときのクランク角度に対する燃焼室の高さHの関係を示す。横軸のクランク角度は、ピストン3が圧縮上死点に到達した位置を0°にしている。図4には、機械圧縮比を変化させたときの複数のグラフが記載されている。機械圧縮比ε1が最も大きく機械圧縮比ε5が最も小さくなっている(ε1>ε2>ε3>ε4>ε5)。それぞれの機械圧縮比ε1〜ε5において、クランク角度が0°以上180°の範囲内では、クランク角度CAが大きくなるほど燃焼室5の高さHが大きくなる。また、それぞれの機械圧縮比ε1〜ε5を比較したときに、機械圧縮比が大きくなるほど、燃焼室5の高さHは小さくなる。本実施の形態の内燃機関では、機械圧縮比を変更すると、燃焼室5の直径は変化せずに燃焼室5の高さHが変化する。
ところで、ピストン3の所定の位置において異常燃焼が発生すると圧力波が生じる。圧力波は、例えば音速で伝播されて燃焼室5の内部に広がる。このときに、燃焼室5の内部において、燃焼室5の形状に依存した気体の圧力振動が生じている。
図5に、異常燃焼が発生したときの燃焼室5の内部における圧力振動の周波数と振動の強度との関係を説明するグラフを示す。横軸は振動の周波数であり、縦軸は振動の強度である。異常燃焼が発生したときに筒内圧センサ61により検出される振動には、低周波側の圧力振動VL1,VL2と高周波側の圧力振動VHbが含まれる。低周波側の圧力振動VL1,VL2の周波数は、たとえば3kHz以上15kHz以下であり、高周波側の圧力振動VHbの周波数は、たとえば10kHz以上100kHz以下である。本実施の形態における筒内圧センサ61は、高周波側の圧力振動VHbを検出可能に形成されている。筒内圧センサ61は、たとえば20kHz以上80kHz以下の高い周波数の圧力振動を測定可能に形成されている。
ここで、発明者らは、高周波側の圧力振動VHbの周波数は、燃焼室5の高さHに依存することを見出した。高周波側の圧力振動VHbは、燃焼室5の高さ方向に共鳴する振動であると推定される。これに対して低周波側の圧力振動VL1,VL2は、燃焼室5の径方向に共鳴する振動であると推定される。なお、図5には、低周波側の圧力振動として径方向の1次の共鳴の圧力振動VL1および2次の共鳴の圧力振動VL2を記載しているが、さらに高次の振動も生じ得る。また、図5に示す例では、高周波側の圧力振動VHbの強度は、低周波側の圧力振動VL1,VL2の強度よりも小さいことが分る。異常燃焼の発生は、低周波側の圧力振動VL1,VL2および高周波側の圧力振動VHbのいずれを用いても検出することができる。
燃焼室5の内部の気体の圧力振動の周波数は、機関本体1が有する固有振動数には直接的に関係せずに、圧力波が発生したときの燃焼室5の形状等に依存する。また、異常燃焼が発生したときの圧力振動には、燃焼室5の高さ方向に共鳴する高周波側の圧力振動VHbが含まれる。本発明では、この高周波側の圧力振動を、高周波圧力振動と称する。高周波圧力振動は、燃焼室の高さ方向に共鳴する振動と考えられ、前述の通り高い周波数を有する。これに対して、燃焼室の径方向に共鳴すると考えられる低周波側の圧力振動を、低周波圧力振動と称する。
図6に、クランク角度に対する燃焼室5における高周波圧力振動の共鳴周波数を説明するグラフを示す。縦軸は、燃焼室5の高さ方向に振動の節が並ぶ圧力波の共鳴周波数である。すなわち、燃焼室5の高さ方向の振動の共鳴周波数である。それぞれの機械圧縮比ε1〜ε5において、クランク角度CAが大きくなるほど燃焼室5の高さHが大きくなるために、燃焼室5における共鳴周波数は小さくなる。また、複数の機械圧縮比ε1〜ε5において、機械圧縮比が大きくなるほど共鳴周波数は高くなる。
本実施の形態における内燃機関は、筒内圧センサ61により取得した圧力振動の解析を行う振動解析装置を備える。本実施の形態においては、電子制御ユニット31が振動解析装置として機能する。振動解析装置は、設定された周波数帯域の圧力振動の信号を通過させるフィルタを備える。本実施の形態においては、フィルタを通過した信号の結果に基づいて異常燃焼の発生を検出する。
フィルタとしてはバンドパスフィルタ(BPF)を用いることができる。バンドパスフィルタは、設定された周波数帯域の振動を抽出することができる。本実施の形態のバンドパスフィルタは、圧力振動の信号を通過させる周波数帯域を変更できるように形成されている。バンドパスフィルタに設定された周波数帯域の範囲内の圧力振動の信号はバンドパスフィルタを通って抽出される。一方で、設定された周波数帯域の範囲外の圧力振動の信号はバンドパスフィルタにより除去または減衰される。このように、バンドパスフィルタは、所望の周波数帯域の圧力振動の信号を抽出し、その他の周波数帯域の圧力振動の信号を排除することができる。
図7に、バンドパスフィルタから出力される圧力振動の信号の出力のグラフを示す。図7は、高周波圧力振動を含む周波数帯域にて圧力振動の信号を抽出したグラフである。縦軸の出力値は、たとえば燃焼室の内部の圧力振動の振幅に対応する。バンドパスフィルタの出力値がゼロの場合には、バンドパスフィルタの周波数帯域内の圧力振動が生じていないことを示す。また、バンドパスフィルタの出力値が大きくなると、バンドパスフィルタの周波数帯域内の圧力振動が大きくなっていることを示す。高周波圧力振動を抽出するための高周波用バンドパスフィルタの周波数帯域としては、20kHz以上90kHz以下の範囲を例示することができる。
ところで、運転期間中の実際の機械圧縮比は、ピストン3が上死点に到達したときのシリンダブロック2におけるピストン3の位置により推定することができる。このために、クランクケース79に対するシリンダブロック2の相対位置を検出する相対位置センサ89の出力により、実際の機械圧縮比を推定することができる。または、偏心軸87を含むカムシャフト84,85の回転位置を検出するセンサなどを取り付けることにより、実際の機械圧縮比を推定することができる。
ところが、燃焼室の容積は、内燃機関の使用により経年変化して変化する場合がある。たとえば、燃焼室の壁面にデポジット等の堆積物が付着した場合には、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積が小さくなる場合がある。図5を参照して、燃焼室の容積が変化すると、高周波圧力振動の発生する周波数も変化する。たとえば、所定の機械圧縮比における高周波圧力振動VHbが所定の経年変化により高周波側に移動し、高周波圧力振動VHxになる。
本実施の形態の振動解析装置は、高周波圧力振動の信号を解析することにより、実際の機械圧縮比を推定する。所定のクランク角度における燃焼室5の高さが変化すると、異常燃焼により生じる高周波圧力振動の振動成分の強度が最大になる周波数が変化する。高周波圧力振動に含まれる振動成分の強度に基づいて実際の機械圧縮比を推定する。更に、本実施の形態においては、実際の機械圧縮比に基づいて点火時期の補正を行う。
図8に、本実施の形態における内燃機関の第1の運転制御のフローチャートを示す。本実施の形態における内燃機関の振動解析装置は、筒内圧センサ61により取得される圧力値を予め定められた間隔毎に記憶している。
ステップ101においては、高周波圧力振動が含まれる高周波帯域の信号を抽出し、その他の周波数帯域の信号を排除する。本実施の形態においては、高周波用バンドパスフィルタにより所定の周波数帯域の圧力振動の信号を抽出する。この結果、たとえば図7に示す高周波圧力振動の信号を得ることができる。
次に、ステップ102においては、異常燃焼が生じているか否かを判別する。本実施の形態においては、ノッキング現象が生じているか否かを判別する。本実施の形態においては、フィルタにより抽出した所定の周波数帯域の圧力振動の強度に基づいてノッキングの発生の有無を判別する。
図7を参照して、バンドパスフィルタの出力値に対する判定値MVAが予め定められている。図8を参照して、ステップ102においては、バンドパスフィルタの出力値が判定値MVAを超えているか否かを判別する。ステップ102においてバンドパスフィルタの出力値が予め定められた判定値以下である場合には、ノッキングが発生していないと判別することができる。この場合には、第1の運転制御を終了する。一方で、ステップ102において、バンドパスフィルタの出力値が予め定められた判定値MVAを超えている場合には、ノッキングが発生していると判別することができる。この場合には、ステップ103に移行する。
なお、異常燃焼の発生の判別は任意の方法にて行うことができる。たとえば、バンドパスフィルタを用いずに筒内圧センサにより得られた全ての周波数帯域の圧力振動の信号に基づいて、異常燃焼の発生の有無を判別しても構わない。または、低周波側の圧力振動VL1,VL2等をバンドパスフィルタにより抽出して、異常燃焼の発生の有無を判別しても構わない。更には、バンドパスフィルタの出力値の正側に判定値を設定するのではなく、負側に判定値を設けても構わない。この場合には、バンドパスフィルタの出力値が負側の判定値未満になったときに、異常燃焼が発生していると判別することができる。
次に、ステップ103においては、高周波圧力振動を含むノッキングが発生したクランク角度を取得する。図7を参照して、振動解析装置は、バンドパスフィルタの出力値のうち強度が最大のクランク角度CA1を取得する。クランク角度CA1をノッキングが発生したクランク角度として設定する。このように、ノッキングの発生時期を検出する。ノッキングが発生した時期の検出としては、この形態に限られず、任意の制御を採用することができる。
図8を参照して、次に、ステップ104においては、更に周波数解析を行うための圧力振動の信号を取得するクランク角度の範囲SCAを設定する。図7を参照して、本実施の形態においては、ノッキングが発生したクランク角度CA1に対して、予め定められたクランク角度の幅を加算および減算した範囲を、圧力振動の信号を取得するクランク角度の範囲SCAに設定する。圧力振動の信号を取得するクランク角度の範囲としては、この形態に限られず、適合等により予め設定された範囲を用いても構わない。
図8を参照して、次に、ステップ105においては、圧力振動の信号を取得するクランク角度の範囲SCA内の圧力値を取得する。圧力振動の信号を取得する場合に、本来必要なクランク角度の区間よりも大きなクランク角度の区間にて圧力振動を取得すると、ノイズも多く取得してしまう。この結果、高周波圧力振動の周波数解析の精度が低下してしまう。
本実施の形態においては、バンドパスフィルタの出力値に対して、更に、高周波圧力振動が大きく生じている区間を特定し、この区間の圧力振動の信号のみを抽出している。この制御を行なうことにより、本来必要な周波数帯域の圧力振動の信号を抽出することができて、ノイズの影響を低減することができる。なお、バンドパスフィルタの出力値全体に対して次のステップの周波数解析を行なっても構わない。
次に、ステップ106においては、周波数解析を行なう。高周波圧力振動には、様々な周波数の振動成分が含まれている。本実施の形態においては、高速フーリエ変換解析(FFT解析)を行なうことにより、それぞれの周波数に対する振動成分の強度を算出する。このような周波数解析を行なうことになり、図5に示すように高周波圧力振動VHbの周波数に対する振動成分の強度を算出することができる。
次に、ステップ107においては、燃焼室5の高さ方向における共鳴周波数を検出する。高周波圧力振動に含まれる周波数のうち、最も強度が大きくなる周波数を共鳴周波数として検出することができる。図5を参照して、例えば、高周波圧力振動VHxの強度のグラフが取得された場合には、高周波圧力振動VHxの強度が最大になる周波数を共鳴周波数RFxとして推定することができる。
図8を参照して、次に、ステップ108においては、実際の機械圧縮比εxを推定する。燃焼室の高さに基づいて実際の機械圧縮比を推定する。図6を参照して、ノッキングが発生したクランク角度CA1および共鳴周波数RFxに基づいて、実際の機械圧縮比εxを推定することができる。例えば、ノッキングが発生したクランク角度CA1と、共鳴周波数RFxとを関数にする機械圧縮比εxの値を、予め電子制御ユニット31に記憶させておくことができる。
このように、クランク角度CA1および共鳴周波数RFxに基づいて、実際の機械圧縮比εxを推定することができる。運転により経年変化が生じて燃焼室の形状が変化し、燃焼室の容積が変化した場合にも実際の機械圧縮比εxを推定することができる。特に、本実施の形態における運転制御では、燃焼室の高さが変化する経年変化に起因する機械圧縮比の変化を精度良く検出することができる。
図8を参照して、ステップ109においては、推定した実際の機械圧縮比に基づいて点火時期の補正を行なう。
図9に、第1の運転制御における点火時期の補正を説明するグラフを示す。横軸は機械圧縮比を示し、縦軸は点火時期を示している。グラフには、燃料消費量が最小となる点火時期を示すMBT(Minimum advance for Best Torque)線が示されている。MBT線では、機械圧縮比が大きくなるほど点火時期を遅角している。ここでの例では、製造時における点火時期の初期設定値として、機械圧縮比εbに対して点火時期Tbが設定されている。ここで、内燃機関の経年変化等により、実際の機械圧縮比が、矢印121に示すように、機械圧縮比εbから機械圧縮比εxに移行したとする。この場合には、点火時期Tが、MBT線から離れた位置になってしまう。
このために、本実施の形態の制御では、点火時期TをMBT線の近傍に移動させる補正を行なう。すなわち、機械圧縮比εbから機械圧縮比εxへの機械圧縮比の変化に伴って、矢印122に示すように点火時期を補正する。たとえば、実際の機械圧縮比εxが製造時の初期の機械圧縮比εbよりも小さくなっている場合には、燃焼速度が遅くなっている。この場合には、点火時期を進角させることにより、燃料消費量を抑制することができる。または、実際の機械圧縮比εxが製造時の初期の機械圧縮比εbよりも大きくなっている場合には、点火時期を遅角する補正を行うことができる。このように、本実施の形態においては、実際の機械圧縮比に応じて点火時期を変更することにより、燃料消費量を抑制することができる。
本実施の形態の第1の運転制御においては、複数の気筒のそれぞれに対して、個別に点火時期を設定することができる。運転期間中の実際の機械圧縮比が製造時における機械圧縮比と異なる場合には、例えば、実際の機械圧縮比を推定するための相対位置センサの出力値等を補正することができる。しかしながら、本実施の形態における可変圧縮比機構は、クランクケース79に対してシリンダブロック2全体が移動するために、それぞれの気筒ごとに相対位置センサの出力の補正を行なうことは困難である。一方で、点火時期を補正することにより、それぞれの気筒ごとに燃焼室5の容積に応じて補正することができる。また、この場合には、それぞれの気筒毎に筒内圧センサを配置し、それぞれの気筒ごとに実際の機械圧縮比を推定し、点火時期の補正を行うことができる。それぞれの気筒の燃焼室5の経年変化に応じて点火時期を補正することができる。
次に、本実施の形態における第2の運転制御について説明する。筒内圧センサ61は、種類および大きさに応じて共振周波数を有する。また、筒内圧センサ61の共振周波数は、内部構造等にも依存する。筒内圧センサ61は小さな装置であり、共振周波数Fsは、たとえば40kHz以上100kHz以下である。図5を参照して、筒内圧センサ61の共振周波数Fsは、低周波圧力振動VL1,VL2の周波数よりも大きく、高周波圧力振動VHbの周波数と一致する場合が生じ得る。筒内圧センサ61の共振周波数Fsが高周波圧力振動の周波数と一致した場合には、筒内圧センサ61が共振する。特に機械圧縮比が高い状態、すなわち、燃焼室5の高さHが小さくなる状態において、筒内圧センサ61の共振周波数が高周波圧力振動の共鳴周波数と一致する。筒内圧センサ61が機械共振すると、この機械共振の振動も検出されてしまう。
そこで、本実施の形態の第2の運転制御においては、高周波圧力振動の強度が最大になる周波数が筒内圧センサの共振周波数に近接する場合には、機械圧縮比の推定を禁止する制御を行う。更に、高周波圧力振動の強度が最大になる周波数が筒内圧センサの共振周波数に近接する場合には、異常燃焼の発生の有無の判別を高周波圧力振動に基づく判別から低周波圧力振動に基づく判別に切替える制御を行う。
図10に、本実施の形態における第2の運転制御のフローチャートを示す。第2の運転制御においては、高周波圧力振動を抽出するための高周波用バンドパスフィルタと低周波振動を抽出するための低周波用バンドパスフィルタとを切替える制御を行う。低周波用バンドパスフィルタは、低周波振動が含まれる低周波帯域の信号を抽出するフィルタである。
ステップ111においては、現在のバンドパスフィルタに基づいて所定の周波数帯域の圧力振動を抽出する。バンドパスフィルタとしては、高周波用バンドパスフィルタまたは低周波用バンドパスフィルタが設定されており、所定の周波数帯域の圧力振動を抽出する。
次に、ステップ112においては、現在のバンドパスフィルタにより抽出された圧力振動の信号に基づいてノッキングの発生の有無を判別する。高周波用バンドパスフィルタを用いている場合には第1の運転制御と同様に判別することができる。低周波用バンドパスフィルタを用いている場合も第1の運転制御と同様に、ノッキングの発生を判別するための判定値を予め設定しておくことができる。バンドパスフィルタの出力値と判定値とを比較することにより、ノッキングの発生の有無を判別することができる。
次に、ステップ113においては、現在のバンドパスフィルタが高周波用バンドパスフィルタか否かを判別する。現在のバンドパスフィルタが高周波用バンドパスフィルタである場合には、ステップ103に移行する。現在のバンドパスフィルタが高周波用バンドパスフィルタでない場合には、低周波用バンドパスフィルタが設定されている。この場合には、ステップ114に移行する。
ステップ114においては、使用するバンドパスフィルタを高周波用バンドパスフィルタに切替える。更に、ステップ115においては、高周波用バンドパスフィルタにより高周波圧力振動の信号を抽出し、ステップ103に移行する。
ステップ103からステップ107までは、第1の運転制御におけるステップ103からステップ107までと同様である。
次に、ステップ116においては、周波数解析を行なった結果、強度が最大になる振動成分の周波数である共鳴周波数と、筒内圧センサ61の共振周波数との差を比較する。本実施の形態では、この燃焼室の高さ方向の振動の共鳴周波数と、筒内圧センサ61の共振周波数との差の大きさ(絶対値)が、予め定められた判定値よりも大きいか否かを判別する。共鳴周波数と筒内圧センサ61の共振周波数との差の大きさが、予め定められた判定値以下の場合には、燃焼室の高さ方向の振動の共鳴周波数と、筒内圧センサ61の共振周波数とが近接していると判別することができる。このために、筒内圧センサ61の共振が生じる虞が有り、高周波圧力振動に対する影響が大きくなると判別することができる。この場合には、ステップ117に移行する。
ステップ117においては、バンドパスフィルタを高周波用バンドパスフィルタから低周波用バンドパスフィルタに切替える制御を行なう。次回のステップ111,112のノッキングの発生の有無の検出では低周波用バンドパスフィルタを用いる。このように、燃焼室5の高さ方向の共鳴周波数と、筒内圧センサ61の共振周波数とが近接している場合には、ステップ108の実際の機械圧縮比の推定を禁止している。
ステップ116において、共鳴周波数と筒内圧センサ61との差の大きさが、予め定められた判定値よりも大きい場合には、燃焼室の高さ方向の共鳴周波数が筒内圧センサ61の共振周波数から離れていると判別することができる。または、筒内圧センサ61の共振が発生していないと判別することができる。この場合には、ステップ108に移行する。
ステップ108,109は、第1の運転制御のステップ108,109と同様であり、実際の機械圧縮比を推定した後に点火時期の補正を行なう。
本実施の形態の第2の運転制御においては、燃焼室の高さ方向の振動の共鳴周波数が筒内圧センサの共振周波数と近接したことを検出し、高周波圧力振動に基づく機械圧縮比の推定を禁止する制御を行なっている。この制御を行なうことにより、燃焼室の高さ方向の共鳴周波数を検出する場合に筒内圧センサの共振の影響を抑制することができる。振動解析装置によりFFT解析を行った後に共鳴周波数を推定する場合に、筒内圧センサの共振の影響を抑制することができる。
また、第2の運転制御においては、燃焼室の高さ方向の共鳴周波数と、筒内圧センサの共振周波とが近接している場合には、高周波圧力振動に基づいたノッキングの発生の判別を禁止する制御を行なっている。この制御を行なうことにより、ノッキングの発生の判断の際に、筒内圧センサの共振の影響を抑制することができる。ノッキングが発生していない状態で、筒内圧センサの共振の影響によりノッキングが発生していると誤判断することを抑制できる。
本実施の形態の内燃機関においては、燃焼室5の圧力を直接的に検出している。特に、燃焼室5の頂面の中央部に筒内圧センサ61を配置している。異常燃焼に起因する圧力振動は、シリンダブロック2やシリンダヘッド4を含む機関本体1に伝播される。シリンダブロック2の側面に振動を検出するセンサが配置されている場合には、燃焼室5の圧力振動が機関本体1を介して検出される。このときに検出される振動は機関本体1の固有振動数に影響を受ける。これに対して、本実施の形態においては、気筒内の圧力を取得しているために、機関本体1の固有振動数の影響を抑制することができて、より正確に燃焼室5の気体の圧力振動を取得することができる。
本実施の形態においては、所定の周波数帯域を通過させるフィルタとしてバンドパスフィルタを用いているが、この形態に限られず、筒内圧センサの圧力信号のうち所定の周波数帯域の圧力信号を抽出できる任意のフィルタを採用することができる。また、フィルタとしては、電子制御ユニット31と筒内圧センサ61との間に、所定の周波数帯域の圧力信号を抽出する装置を配置しても構わない。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、クランクケースに対してシリンダブロックを相対的に移動することにより機械圧縮比を変更しているが、この形態に限られず、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の高さを変更可能な任意の可変圧縮比機構を採用することができる。
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。また、上記の制御においては、作用や機能が同一の範囲内で適宜ステップの順序を変更することができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。
2 シリンダブロック
3 ピストン
4 シリンダヘッド
5 燃焼室
10 点火プラグ
31 電子制御ユニット
42 クランク角センサ
61 筒内圧センサ
79 クランクケース
87 偏心軸
89 相対位置センサ

Claims (3)

  1. ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積を変化させることにより機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、
    気筒内の圧力振動を取得する筒内圧センサと、
    気筒内の圧力振動を解析する振動解析装置とを備え、
    異常燃焼が発生した時の燃焼室内の気体の圧力振動には、燃焼室の高さ方向に共鳴して燃焼室の高さに依存する周波数を有する高周波圧力振動が含まれており、
    振動解析装置は、異常燃焼が発生した時の燃焼室内の気体の圧力を取得し、燃焼室内の気体の圧力振動の信号から高周波圧力振動の信号を抽出し、高周波圧力振動に含まれる振動成分の強度が最大になる周波数に基づいて実際の機械圧縮比を推定することを特徴とする、内燃機関。
  2. 燃焼室における点火時期を変更する点火時期変更装置を備え、
    点火時期変更装置は、実際の機械圧縮比に基づいて点火時期を補正する、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 振動解析装置は、高周波圧力振動に基づいて異常燃焼の発生時期を検出可能に形成されており、高周波圧力振動の強度が最大になる周波数と筒内圧センサの共振周波数とが予め定められた範囲内に近接した場合には、高周波圧力振動に基づく実際の機械圧縮比の推定を禁止する、請求項1または2に記載の内燃機関。
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