JP2009209904A - 可変動弁エンジンの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の気筒のうち吸入空気量及び機械圧縮比に関してばらつきのある気筒を特定し、この特定した気筒における吸入空気量のばらつき量を気筒別吸入空気量ばらつきUairとして演算するとともに、この気筒における機械圧縮比のばらつき量を気筒別機械圧縮比ばらつきUcmpとして演算する。算出した吸入空気量及び機械圧縮比の各気筒別ばらつきUair,Ucmpに応じ、可変動弁装置又は点火プラグに対する制御指令を出力し、特定した気筒における吸気弁のバルブタイミングを変更するか又は点火プラグによる点火時期を変更する。
【選択図】 図9
Description
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置を備える可変動弁エンジンの構成を示している。
エンジン1の本体(シリンダ)は、シリンダブロック11上にシリンダヘッド12を載置するとともに、このシリンダブロック11に対し、シリンダヘッド12を図示しないヘッドボルトにより固定して構成される。シリンダブロック11には、ピストン13が上下に往復自在に挿入されており、このピストン13の冠面とシリンダヘッド12の下面とに挟まれた空間として燃焼室14が形成される。シリンダヘッド12には、燃焼室14に連通させて吸気及び排気のための各ポート(吸気ポート、排気ポート)15,16が形成されており、吸気ポート15には、吸気弁17が、排気ポート16には、排気弁18が夫々設置されている。吸気弁17は、図示しない弁スプリングにより閉方向に付勢されるとともに、吸気動弁装置19により開方向に駆動されることで、吸気ポート15を開閉する。排気弁18は、図示しない弁スプリングにより閉方向に付勢されるとともに、排気動弁装置20により開方向に駆動されることで、排気ポート16を開閉する。本実施形態では、吸気弁17のバルブタイミングを可変とする一方、排気弁18のバルブタイミングを一定としており、吸気動弁装置19として吸気弁17の作動角及びリフト量を連続的に変更可能に構成された可変型の動弁装置(VEL:Continuous Variable Event and Lift)を採用することで、吸気弁17の閉時期を変更可能としている。また、本実施形態では、エンジン1の機械圧縮比を変化させるための可変機構(VCR:Variable Compression Ratio)を採用している。図2は、この可変圧縮比機構の構成を示している。本実施形態に係る可変圧縮比機構は、アクチュエータ25によりコントロールシャフト26を回転させ、コントロールシャフト26と第1のリンク27との連結部cの位置を変化させることで、第2のリンク28の姿勢が変化し、これにより上死点におけるピストン13の位置が変化して、上死点及び下死点におけるピストン13の位置により定められるエンジン1の機械圧縮比が変化するものである。以上に加え、シリンダヘッド12には、吸気ポート15内に噴孔が位置するように燃料噴射弁21が設置されるとともに、燃焼室14の上部略中央にプラグギャップが位置するように点火プラグ22が設置されている。
図3は、本実施形態に係るエンジン制御の基本ルーチンのフローチャートである。このルーチンは、始動完了後の通常運転時において、ECU101により所定の時間毎に実行される。
S102では、図6に示すフローチャートに従って気筒別機械圧縮比ばらつきUcmpを演算する。
S105では、吸気動弁装置19又は点火プラグ22に対し、補正制御量に応じた制御指令を出力して、吸気作動角θiv又は点火時期Tigを変更する。
S201では、エンジン1の運転状態としてアクセル操作量APOを読み込む。
S204では、算出した吸気作動角θiv及び作動中心角CNT、ならびにエンジン回転数NEに基づいて1気筒当たりの実際の吸入空気量(以下「気筒別実吸入空気量」という。)Qairを算出する。気筒別実吸入空気量Qairの算出は、工場出荷時等に確認されたリフト特性(又は吸入空気量)の、気筒毎のばらつきを反映のうえ、図5に示す傾向を持たせて気筒別に予め設定されたマップからの検索により行う。この図5のマップにおいて、気筒別実吸入空気量Qairは、概して吸気作動角θivが大きいときほど、作動中心角CNTが大きいときほど大きな値に設定されている。ECU101は、気筒別実吸入空気量Qairのマップをエンジン回転数NE毎に有しており、実際のエンジン回転数NEに対応するマップを選択して、気筒別実吸入空気量Qairを算出する。本実施形態では、工場出荷時等に事前に確認された気筒毎のばらつきを反映させて気筒別実吸入空気量Qairを算出したが、気筒別実吸入空気量Qairとしてセンサ等により検出される実際の吸入空気量を用いてもよい。
S301では、エンジン1の運転状態としてアクセル操作量APO及びエンジン回転数NEを読み込む。
S303では、アクセル操作量APO及びエンジン回転数NEに基づいて各気筒の実際の機械圧縮比(以下「気筒別実機械圧縮比」という。)Rcmpを算出する。気筒別実機械圧縮比Rcmpの算出は、アクセル操作量APO及びエンジン回転数NEに対応させて割り付けたマップ(図7)からの検索によりコントロールシャフト26の回転角Asftを算出するとともに、算出した回転角Asftを、工場出荷時等に確認された機械圧縮比の、気筒毎のばらつきを反映のうえ、実際の機械圧縮比Rcmpに換算することにより行う。図8は、コントロールシャフト26の回転角Asftと機械圧縮比Rcmpとの関係を示しており、機械圧縮比Rcmpへの換算のため、テーブルデータとして(気筒毎のばらつきを反映させて)気筒毎に予め作成され、ECU101に記憶される。気筒別実機械圧縮比Rcmpは、エンジン回転数NEが低く、かつエンジン1に対する要求トルク(アクセル操作量APO)が高い低回転高負荷域で小さな値に設定される。なお、可変圧縮比機構を備えておらず、機械圧縮比が一定である場合は、目標圧縮比tRcmpに設計上の機械圧縮比を設定するとともに、気筒別実機械圧縮比Rcmpに生産時等に実測により得られる機械圧縮比を設定する。気筒別実機械圧縮比Rcmpにエンジン1の運転状態に応じたばらつきが生じる場合は、気筒別実機械圧縮比Rcmpの演算にエンジン1の運転状態が反映されるとよい。本実施形態では、工場出荷時等に事前に確認された気筒毎のばらつきを反映させて気筒別実機械圧縮比Rcmpを算出したが、気筒別実機械圧縮比Rcmpとしてセンサ等により検出される実際の機械圧縮比を用いてもよい。
S402では、i番気筒の気筒別吸入空気量ばらつきUairを読み込む。
S403では、i番気筒の気筒別機械圧縮比ばらつきUcmpを読み込む。
S406では、制御対象として点火プラグ22による点火時期Tigを選択し、制御対象判別フラグFを2に設定する。
S408では、変数iに1を加算してS402へ戻り、S402〜407の処理を繰り返す。
S502では、制御対象判別フラグFが1であるか否かを判定する。1であるときは、S503へ進み、1でないときは、S504へ進む。
S504では、制御対象判別フラグFが2であるか否かを判定する。2であるときは、S505へ進み、2でないときは、S506へ進む。
S506では、変数iが気筒数nに達しているか否かを判定する。nに達しているときは、このルーチンのリターンし、達していないときは、S507へ進む。
図11は、吸気作動角補正ルーチンのフローチャートであり、本実施形態において、このルーチンは、図10に示す補正制御量演算ルーチン(S503)のサブルーチンとして実行される。
S602では、読み込んだ吸気作動角θivに基づいて、i番気筒の気筒別機械圧縮比ばらつきUcmp分だけその気筒の実圧縮比を補正し得る吸気作動角θivの補正量(以下「作動角補正量」という。)dθivを演算する。吸気作動角θivを吸気弁17の閉時期IVCに換算すれば、補正後の閉時期IVC2は、補正前の閉時期IVC1、ならびに気筒別機械圧縮比ばらつきUcmp、燃焼室14の容積Vf及びシリンダボアの内径φcに基づいて下式(1)により算出することができる。ECU101は、吸気弁17の閉時期を算出したIVC2とするための作動角補正量dθivを算出する。なお、下式(1)において、f(IVC)は、吸気弁17の閉時期IVCに対するピストン位置の関数である。
S603では、算出した作動角補正量dθivを吸気作動角θivに加算することにより吸気作動角θivを補正して、吸気弁17のバルブタイミングを変更する。
図12は、点火時期補正ルーチンのフローチャートであり、本実施形態において、このルーチンは、図10に示す補正制御量演算ルーチン(S505)のサブルーチンとして実行される。
S702では、読み込んだノックレベルLkncが所定の値L1以上であるか否かを判定する。所定の値L以上であるときは、S703へ進み、所定の値L1よりも小さいときは、S704へ進む。
S704では、ノックレベルLkncが所定の値L1よりも小さいか否かを判定する。所定の値L1より小さいときは、S705へ進み、所定の値L1以上であるときは、このルーチンをリターンする。
本実施形態においては、図9に示すフローチャートのS401,407及び408の処理により「気筒特定手段」としての機能が、図4に示すフローチャート全体の処理及び図9に示すフローチャートのS402の処理により「吸入空気量ばらつき演算手段」としての機能が、図6に示すフローチャート全体の処理及び図9に示すフローチャートのS403の処理により「機械圧縮比ばらつき演算手段」としての機能が、図9に示すフローチャートのS404〜406の処理により「制御指令出力手段」としての機能が、図12に示すフローチャートのS701の処理により「ノックレベル検出手段」としての機能が実現される。
本実施形態では、気筒毎の吸入空気量にばらつきが生じた場合に、気筒別吸入空気量ばらつきUair及び気筒別機械圧縮比ばらつきUcmpを算出し、算出した各気筒別ばらつきの符合(正、負)の組み合わせに応じて吸気弁17のバルブタイミング(吸気作動角θiv)又は点火プラグ22による点火時期Tigを変更することとしたので、単に吸入空気量に生じたばらつきのみを考慮する場合と比較して、実際の圧縮比が高くなり過ぎることによるノッキングの発生や、実際の圧縮比が低くなり過ぎることによる熱効率の低下を回避しながらばらつきを解消することができる。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る気筒別ばらつき調整ルーチンのフローチャートである。本実施形態に係るエンジン制御は、図3に示す基本ルーチンに従って行うことができ、この図13に示す気筒別ばらつき調整ルーチンと図6に示すルーチンとで、本実施形態に係る制御対象選択ルーチンを構成する。
S802では、読み込んだアクセル操作量APO等により図14に示すマップを参照して、エンジン1の運転状態が属する領域(低圧縮比基準域A又は高圧縮比基準域B)を判定する。低圧縮比基準域Aに属するときは、S803へ進み、高圧縮比基準域Bに属するときは、S804へ進む。
S804では、基準気筒として、気筒別機械圧縮比ばらつきUcmpが最も大きいx番気筒を特定する。
S806では、i番気筒の気筒別吸入空気量ばらつきUair(i)を読み込む。
S807では、i番気筒の気筒別機械圧縮比ばらつきUcmp(i)を読み込む。
Ucmp(i)=Ucmp(i)−Ucmp(x) ・・・(3b)
S809では、変数iが気筒数n(本実施形態では、4)に達しているか否かを判定する。nに達しているときは、このルーチンをリターンし、達していないときは、S810へ進む。
以後、換算後の気筒別吸入空気量ばらつきUair及び気筒別機械圧縮比ばらつきUcmpに基づいて図9〜12に示すフローチャートに従って制御対象を選択し、補正制御量を演算する。
Claims (10)
- 複数の気筒を備える可変動弁エンジンの制御装置であって、
前記複数の気筒のうち吸入空気量及び機械圧縮比に関してばらつきのある気筒を特定する気筒特定手段と、
前記気筒特定手段により特定した気筒における吸入空気量のばらつき量を気筒別吸入空気量ばらつきとして演算する吸入空気量ばらつき演算手段と、
前記特定した気筒における機械圧縮比のばらつき量を気筒別機械圧縮比ばらつきとして演算する機械圧縮比ばらつき演算手段と、
前記吸入空気量ばらつき演算手段及び機械圧縮比ばらつき演算手段により算出した吸入空気量及び機械圧縮比の各気筒別ばらつきに応じ、前記特定した気筒における吸気弁のバルブタイミング又は点火プラグによる点火時期を変更するための制御指令を出力する制御指令出力手段と、を含んで構成される可変動弁エンジンの制御装置。 - 前記制御指令出力手段は、前記算出した気筒別吸入空気量ばらつき及び気筒別機械圧縮比ばらつきの符合の組み合わせに応じ、前記特定した気筒における吸気弁のバルブタイミングを変更するか又は点火プラグによる点火時期を変更するための制御指令を選択的に出力する請求項1に記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 前記制御指令出力手段は、吸入空気量が多い側にばらついた場合又は機械圧縮比が高い側にばらついた場合の吸入空気量及び機械圧縮比の各気筒別ばらつきの符合を夫々正としたときに、前記算出した気筒別吸入空気量ばらつき及び気筒別機械圧縮比ばらつきの符合が一致する場合に、前記特定した気筒における吸気弁のバルブタイミングの変更によりこれらのばらつきを減少させる請求項2に記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 前記制御指令出力手段は、吸入空気量が多い側にばらついた場合又は機械圧縮比が高い側にばらついた場合の吸入空気量及び機械圧縮比の各気筒別ばらつきの符合を夫々正としたときに、前記算出した気筒別吸入空気量ばらつき及び気筒別機械圧縮比ばらつきの符合が相違する場合に、前記特定した気筒における点火時期の変更によりこれらのばらつきを減少させる請求項2又は3に記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 前記制御指令出力手段は、ノッキングの大きさを示すノックレベルを検出するノックレベル検出手段を備え、吸入空気量が多い側にばらついた場合又は機械圧縮比が高い側にばらついた場合の吸入空気量及び機械圧縮比の各気筒別ばらつきの符合を夫々正としたときに、前記算出した気筒別吸入空気量ばらつき及び気筒別機械圧縮比ばらつきの符合が相違する場合に、前記特定した気筒における点火時期を前記ノックレベル検出手段により検出したノックレベルに応じて進角又は遅角させる請求項2又は3に記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 前記吸気弁のバルブタイミング又は点火プラグによる点火時期に関する基準とする、エンジンの運転状態に応じた気筒を基準気筒として特定する基準気筒特定手段を更に含んで構成され、
前記吸入空気量ばらつき演算手段は、前記特定した気筒の前記基準気筒特定手段により特定した基準気筒に対する吸入空気量のばらつき量として、前記気筒別吸入空気量ばらつきを演算し、
前記機械圧縮比ばらつき演算手段は、前記特定した気筒の前記基準気筒特定手段により特定した基準気筒に対する機械圧縮比のばらつき量として、前記気筒別機械圧縮比ばらつきを演算する請求項1〜5のいずれかに記載の可変動弁エンジンの制御装置。 - 前記基準気筒特定手段は、エンジンの運転状態が低回転高負荷側の領域として予め設定された第1の領域にある場合に、気筒別機械圧縮比ばらつきが最も小さい気筒を前記基準気筒として特定する一方、エンジンの運転状態が前記第1の領域以外の領域として予め設定された第2の領域にある場合に、気筒別機械圧縮比ばらつきが最も大きい気筒を前記基準気筒として特定する請求項6に記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 前記吸入空気量ばらつき演算手段は、エンジンの実際の吸入空気量の、目標吸入空気量に対するばらつき量として前記気筒別吸入空気量ばらつきを演算するものであり、前記実際の吸入空気量を、吸気弁のバルブタイミングを変更するための可変動弁装置の作動状態及びエンジンの運転状態に対応させて予め設定された値として演算する請求項1〜7のいずれかに記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 前記機械圧縮比ばらつき演算手段は、エンジンの実際の機械圧縮比の、目標機械圧縮比に対するばらつき量として前記気筒別機械圧縮比ばらつきを演算するものであり、前記実際の機械圧縮比を、エンジンの運転状態に対応させて予め設定された値として演算するか又は実際の機械圧縮比を検出可能に配設された圧縮比センサからの出力に基づいて検出する請求項1〜8のいずれかに記載の可変動弁エンジンの制御装置。
- 複数の気筒のうち吸入空気量及び機械圧縮比に関してばらつきのある気筒を特定し、
特定した気筒における吸入空気量の基準吸入空気量に対するばらつきを気筒別吸入空気量ばらつきとして演算し、
特定した気筒における機械圧縮比の基準機械圧縮比に対するばらつきを気筒別機械圧縮比ばらつきとして演算し、
算出した吸入空気量及び機械圧縮比の各気筒別ばらつきの符合の組み合わせに応じ、特定した気筒における吸気弁のバルブタイミングを変更して前記ばらつきを減少させるか、又はノックレベルが所定の低ノックレベルを維持するように、特定した気筒における点火時期を変更する可変動弁エンジンの制御方法。
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