JPH09195843A - エンジンのノッキング検出装置とエンジン制御装置 - Google Patents

エンジンのノッキング検出装置とエンジン制御装置

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JPH09195843A
JPH09195843A JP8002677A JP267796A JPH09195843A JP H09195843 A JPH09195843 A JP H09195843A JP 8002677 A JP8002677 A JP 8002677A JP 267796 A JP267796 A JP 267796A JP H09195843 A JPH09195843 A JP H09195843A
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knocking
engine
value
correction
signal
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JP8002677A
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Masahiro Sato
正博 佐藤
Yoshinori Murao
欣則 村尾
Yoshihiko Akagi
好彦 赤城
Masakatsu Fujishita
政克 藤下
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Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Supercharger (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ノッキング制御装置の統一化を実現し、ノッキ
ング制御における適合作業の簡素化を図る。 【解決手段】燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態セ
ンサと、該燃焼状態センサの出力信号に含まれる単数又
は複数の周波数成分を分析する周波数分析手段と、該周
波数分析手段の分析結果に基づきノッキング強度を演算
するノッキング強度演算手段と、該ノッキング強度演算
結果と予め設定しておいたノッキング検出用所定値とに
基づきノッキングを検出するノッキング検出手段とを備
えたエンジンのノッキング検出装置において、前記周波
数分析手段に用いる燃焼状態センサからの入力信号の取
り込み値の入力レベルを調整する補正手段を備えるか、
前記周波数分析手段による分析結果に基づきノッキング
強度演算手段によるノッキング強度、もしくは、ノッキ
ングを検出するためのノッキング検出用所定値のうち少
なくとも1つに演算結果レベル調整用の補正手段を備え
てなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのノッキ
ング検出装置に関し、特に、エンジンのノッキングを検
出する装置を備えたエンジンの点火時期等の制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンのノッキングは、燃焼室内の端
末部の未燃ガスの自己発火により燃焼室内のガスが振動
を起こし、該振動が機関本体に伝わる現象である。そし
て、前記ノッキング現象は、エンジンの発生エネルギの
損失(出力低下)やエンジン各部への衝撃、さらには、
燃費の低下等を招くため、できるだけ回避するのが望ま
しく、そのためには、ノッキングの発生を正確に検出す
ることが不可欠である。
【0003】前記ノッキングの発生の検出手段として
は、エンジンに付設した振動検出センサの出力信号の中
から5〜12kHzの範囲の単一の共鳴周波数成分だけ
をバンドパスフィルタを用いて分離し、その出力の積分
値がバックグランドレベルより大きくなったか否でノッ
キングの発生を検出するするもの(特開昭58ー455
20号公報)、あるいは、複数の共鳴周波数成分を取り
出してノッキングの検出を行うもの(特開平3ー474
49号公報)等が提案されている。
【0004】また、センサの信号を直接マイコンに取り
込み、マイコン内で高速フーリエ変換などの周波数分析
処理で、ノッキングの特徴周波数でのノッキング強度を
演算し、これによりノッキングの有無を検出するもの
(特開平6−108915号公報)も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで。前述した複
数の共鳴周波数成分を取り出してノッキングの検出を行
う手段、特に、該共鳴周波数成分の取り出しを主にマイ
コンのソフトウエアで実行しようとした場合、センサか
らの入力信号(マイコンのA/D変換器への入力)は、
その上限がマイコンの基準電位(電圧)に制限されるこ
とになる。
【0006】センサからの入力信号は、エンジンのフリ
クション、材質、水路等の構造、排気量、センサ取り付
け位置等によって、エンジン機種毎にその出力レベルは
様々であり、ノッキングを正確に検出するためには、機
種別に、センサ信号の入力倍率(ハードウエアのゲイ
ン)を設定する必要があった。また、前記センサからの
信号は、シールド線(電気的なノイズ分を入力ラインに
誘導させないように入力ラインの周囲をグランド電位0
Vで被覆した線)で制御装置に伝達されるが、このシー
ルド線は長さに比例した静電容量を持ち、長くなれば入
力信号の出力ピーク値は低下してしまう特性を有してい
る。開発当初は実車形状(エンジンルームレイアウト、
ハーネスレイアウト)が確定しておらず、実車と同一の
ハーネスは使うことができない。これを補うために、適
合時には予め長めのシールド線を用い、実車に適応する
場合は、シールド線の変動分(短縮分)を制御装置内で
コンデンサ容量として装着し、適合時と同等の性能を確
保していた。ノッキング検出をノッキング成分とバック
グランドレベルとの差で求めている場合、適合作業で設
定したノッキング判定しきい値との絶対値の関係が崩れ
てしまうので、特に、問題となっている。
【0007】前記のような手法では、適合工数の増加
(確認回数の増大)を来すと共に、エンジンを開発する
ための大きな疎外要因となっている。更に、近年、価格
競争を打開する為の低コスト化が益々進み、その手法は
材料費の低減のみでなく、調整作業の廃止(低減)の動
きも出てきている。この流れは、制御装置の基準電圧調
整作業、および、センサ信号を取り込むためのA/D変
換器は、基準電圧によって取り込みのレンジ幅が変動し
てしまう(基準電圧が低ければ、最大値が制限され、基
準電圧が高ければA/D変換分解能が粗くなってしま
う)ことになり、正確なA/D変換を疎外する危険性が
あるとの問題点があった。
【0008】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的とするところは、ノッキング
制御をエンジン機種によらない統一化を実現し、ノッキ
ング制御における適合作業の簡素化を図ると共に、製造
コストを低減しても、従来と同等のノッキング検出性能
を可能にしたエンジンのノッキング検出装置及び該検出
装置を備えたエンジンの制御装置を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本発明の係るエンジンのノッキング検出装置は、燃焼室
内の燃焼状態を検出する燃焼状態センサと、該燃焼状態
センサの出力信号に含まれる単数又は複数の周波数成分
を分析する周波数分析手段と、該周波数分析手段の分析
結果に基づきノッキング強度を演算するノッキング強度
演算手段と、該ノッキング強度演算結果と予め設定して
おいたノッキング検出用所定値とに基づきノッキングを
検出するノッキング検出手段とを備え、前記周波数分析
手段に入力される燃焼状態センサの出力信号の取り込み
値の入力レベルを調整する補正手段を備えたことを特徴
としている。
【0010】また、本発明に係る他の態様としてのノッ
キング検出装置は、前記周波数分析手段による分析結果
に基づきノッキング強度演算手段によるノッキング強
度、もしくは、ノッキングを検出するためのノッキング
検出用所定値のうち少なくとも1つに演算結果レベル調
整用の補正手段を備えたことを特徴としている。更に、
本発明ノッキング検出装置の具体的態様として、前記レ
ベル調整用の補正手段が、エンジン機種別に特有なセン
サ出力状態量に応じて設定する補正係数を用いてレベル
調整を行うこと、エンジンに装備してある燃焼状態セン
サ信号取り込み用ハーネスの静電容量に応じて設定する
補正係数を用いてレベル調整を行うこと、及び、ノッキ
ング検出装置の基準電位ばらつき量に応じて設定する補
正係数を用いてレベル調整を行うことを特徴としてい
る。
【0011】更にまた、本発明の前記レベル調整用の補
正手段は、ノッキング検出手段に定電圧を印加すること
により基準電圧のばらつき量を算出する算出手段を備え
ることを特徴とし、前記レベル調整用の補正係数は、車
両電源を切断しても記憶値を保持可能な記憶手段により
記憶されることを特徴としている。本発明のエンジン制
御装置への態様としては、前記エンジンのノッキング検
出装置の検出結果に基づきエンジンの点火時期、燃料噴
射量と噴射タイミング、もしくは、排出ガス再循環量を
制御することを特徴としている。
【0012】前述の如く構成された本発明に係るエンジ
ンのノッキング検出装置は、周波数分析手段に入力され
る燃焼状態センサからの出力信号の取り込み値の入力レ
ベルを調整する補正手段を備え、前記周波数分析手段に
よる分析結果、ノッキング強度演算手段によるノッキン
グ強度、ノッキングを検出するためのノッキング検出用
所定値のうち少なくとも1つを補正する演算結果レベル
調整用の補正手段を備えたことによって、エンジンのノ
ッキング制御を、エンジン機種によらない統一化の実現
を可能とし、ノッキング制御における適合作業の簡素化
が図れると共に、製造コストが低減しても従来と同等の
ノッキング検出性能の実現ができる。
【0013】更に、本発明では、レベル調整用の補正手
段が、エンジン機種別に予め設定されている補正係数を
用いてレベル調整を行い、ノッキング検出用定数の適合
状態時に暫定的にエンジンに装備してある燃焼状態セン
サ信号取り込み用ハーネスと実際に車両に装備されるハ
ーネスとの静電容量差に相当する補正係数を用いてレベ
ル調整を行い、あるいは、ノッキング検出装置の基準電
位のばらつきを計測、記憶する基準電位計測手段を備え
て計測された基準電位ばらつき量に応じて設定される補
正係数を用いてレベル調整を行うことで、より厳密が前
記エンジンのノッキング検出と該検出に基づく点火時
期、燃料噴射量と噴射タイミング、もしくは、排出ガス
再循環量等のエンジン制御が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の一実
施の形態について説明する。始めに、本実施の形態にお
けるノッキングの発生の有無の判定の原理について説明
すると、エンジンの振動には多くの振動成分が含まれて
おり、例えば、ピストンの摩擦、クランク軸の回転、弁
の作動などによる振動成分などがある。該振動成分は、
エンジン状態、エンジン構造などによっても変化する。
エンジンにノッキングが発生すると、ノッキングに特有
な振動が発生する。ノッキングの発生の有無の判定は、
振動センサが検出するエンジンの全体の振動からノッキ
ングに特有な振動を分離することによってなされる。
【0015】以下、本実施の形態の中心となるノッキン
グの検出手段について詳細に説明する。本実施の形態に
おいては、振動センサの出力に含まれる複数の共鳴周波
数成分を複合的に用いたものをすべてノック指数と定義
する。図1は、エンジンのノッキング周波数モード、即
ち、ノッキング発生時にエンジン特有の周波数に現れる
パワースペクトル(ノッキング成分)に関するDrap
erの法則を示している。エンジンのノッキング共鳴振
動周波数は、音速に比例し、エンジンのシリンダ径に反
比例する。音速は燃焼速度のことであり、これは燃焼温
度などにより変化する。共鳴振動周波数は5個の共鳴振
動モードに分かれ、ノッキングのパワースペクトルは、
図1に示すようにf10〜f11の周波数帯域の分布に
なる。
【0016】ノッキングが発生している場合は、ノッキ
ングが発生していない場合に対して、各々の共鳴周波数
成分、すなわち、周波数毎の振動強度(パワースペクト
ル)が大きくなり、ノッキングの発生によって各共鳴周
波数帯での振動強度が大きくなる。ノッキングの有無の
判定には、ノッキングの有り無しにおける振動強度のシ
グナルとノイズの比(S/N比)で求める比率方式と、
ノッキングの有り無しにおける振動強度の差(S−N)
で求める差分方式とに分別できる。本実施の形態は両者
への適応が可能であるが、実施の形態の例としては差分
方式を用いたノッキング検出方式を主として説明する。
なお、前記のノック指数を求めるための各検出周波数毎
のノッキング無し時の振動強度(バックグランドレバ
ル)は、過去に検出したノック周波数成分を基に平均化
処理して作成している。
【0017】図2は、本実施の形態の点火装置を含むエ
ンジン及びエンジン制御装置の全体構成図である(図2
には、EGR装置、過給装置を記載していない)。エン
ジン7のシリンダ7aには、吸気管6と排気管8とが接
続配置されると共に、前記シリンダ7aの上部のヘッド
部7bには、点火プラグ15、吸気弁7c、及び、排気
弁7dが配備されている。エアクリーナ1の入口部より
吸い込まれた空気は、ダクト3、絞弁を有するスロット
ルのセンサ5、及び、吸気管6を通りエンジン7のシリ
ンダ7a内に吸入される。吸入空気量は、ダクト3に設
けられた熱線式空気流量計2によって検出され、該検出
信号は、コントロールユニット9に入力されるている。
【0018】一方、燃料は、燃料タンク(図示省略)か
ら吸入管6に配置されたインジェクタ16で噴射され、
該吸入管6内の吸入通路で吸入空気と混合され、エンジ
ン7のシリンダ7a内に供給される。該混合気は、エン
ジン7内のシリンダ7a内のピストン7eで圧縮され、
前記点火プラグ15により着火されて爆発後に、排気管
8から排出される。排気管8には、排気センサ11が設
けられており、該排気センサ11での検出信号はコント
ロールユニット9に入力される。
【0019】前記点火コイル13で発生した高電圧は、
分配器14によって各気筒に分配され、点火プラグ15
に供給される。機種によっては分配器方式ではなく点火
プラグに直接点火コイルを搭載したダイレクト点火シス
テムDIS方式でも良い。エンジン7の回転状態は、ク
ランク角センサ12によって検出され、クランク角セン
サ12は1回転毎の絶対位置を示すRef信号、及び、
該絶対位置からの所定角度移動した位置を示すPOS信号
を出力する。Ref信号及びPOS信号は、コントロール
ユニット9に入力される。エンジン7には振動を検出す
る燃焼状態センサの一つである振動センサ17を取りつ
けており、該振動センサ17の検出信号は、同様に、コ
ントロールユニット9に入力される。
【0020】コントロールユニット9は、前記各センサ
からの信号に基づいて燃料供給量及び点火時期等を演算
し、インジェクタ16及び点火コイル13に制御信号を
出力する。図3は、コントロールユニット9の構成概念
図である。コントロールユニット9は、CPU20、A
/D変換器21、ROM22、入力I/O23、RAM
24、DPRAM25、出力I/O26、及び、バス3
7で構成される制御用ブロック34と、CPU29、ポ
ート27、タイミング回路28、A/D変換器30、R
OM31、RAM32、クロック33、オペレーショナ
ル回路38、増幅率切り替え回路39、及び、バス36
で構成されるノッキング検出用ブロック35とに分けら
れる。ここで、CPU20とCPU29のデータの交換
は、デュアルポートRAMであるDPRAM25を通じ
てなされる。
【0021】熱線式流量計2によって検出された吸入空
気量Qa は、A/D変換器21によってディジタル値に
変換され、CPU20に取りこまれる。また、クランク
角センサ12によって検出されるRef信号及びPOS信
号は、入力I/O23を通じてCPU20に取り込まれ
る。CPU20は、ROM22に保持しているプログラ
ムに従って演算処理し、演算結果は、出力I/O26に
燃料噴射量を意味する燃料噴射時間信号Ti 、点火時期
信号θign としての各々のアクチュエータに伝えられ
る。演算処理中の必要なデータ保持は、RAM24によ
ってなされる。
【0022】一方、タイミング回路28は、オペレーシ
ョン回路38が上死点(Top DeadCenter)を示すTD
C信号を発生すると、CPU20がポート27に入力し
た内容に従って、クロック33の発生する周期信号を分
周してサンプリング信号を発生する。サンプリング信号
が発生すると、A/D変換器30は、振動センサ17の
出力信号をディジタル値に変換する。
【0023】また、A/D変換器の前段でセンサ出力を
一定電圧範囲内に収めるために増幅率切り替え回路39
にて検出信号を増幅処理を行っている。ノッキングを検
出するための振動センサ17は、従来のものは13KH
z付近で共振するが、本実施の形態では、少なくとも1
8〜20KHzまでの共鳴周波数成分を得るために、1
8KHz以上で共振するものを用いている。
【0024】CPU29は、ROM31に保持している
プログラムに従いサンプリングされたディジタル値をR
AM32に格納すると共に、後述する本実施の形態のフ
ローチャートによって格納したデータに基づいて周波数
分析し、ノッキングの発生の有無の判定をする。ノッキ
ングの発生の有無の判定結果は、DPRAM25を介し
てCPU20に伝えられる。
【0025】次に、CPU20による本実施の形態の要
旨とする制御手段を反映しない基本的な点火時期の演算
動作を図4のフローチャートを用いて説明する。該フロ
ーチャートの動作は、一定時間周期、例えば、10mse
c毎に起動される。ステップ201では、RAM24内
に設定された所定のレジスタからエンジン回転数N及び
吸入空気量Qを読みこむ。ステップ202では、単位回
転数あたりの吸入空気量Q/Nを演算し、更にQ/Nか
ら燃料噴射時間幅Ti を算出し、燃料供給のためにRO
M22内に保持している基本点火時期マップから基本点
火時期θbaseを求める。ステップ203で後に示す図1
のフローチャートにより判定したノックフラグ(knockf
lag )の内容によってノッキングの発生の有無の判定を
する。ノッキングが発生していれば、ステップ213に
進み、該ステップ213で点火時期θadv から所定の遅
角量Δθret を減算する。なお、この減算によって点火
時期が遅角(リタード)される。ステップ214で、ノ
ッキング発生により、遅角させた点火時期を所定の回
転、例えば、50と比較すること(ステップ205)
で、リカバーするベースを決定する。カウントデータA
を初期化してステップ208に進む。
【0026】一方、ステップ203でノッキングが発生
していないと判定されれば、ステップ204で、カウン
トデータAを1つカウントアップする。カウントデータ
Aはノッキング発生により遅角された点火時期θadv を
進角量Δθadv だけリカバーする時間になったかを判定
するために用いられる。ステップ205で、カウントデ
ータAが所定値50に等しくなったか否かを判断する。
該図4に示すフローは10msec 毎に起動されるので、
カウントデータAが50に等しくなるときは、カウント
データAが初期化されてから0.5秒が経過したときで
あり、0.5秒経過毎にリカバーされる。ステップ20
5で、カウントデータAが50に等しくなっていなけれ
ばステップ206に進む。ステップ206で、遅角値θ
adv に所定の進角量 Δθadv 加算する。この加算によ
り点火時期がリカバーされることになる。
【0027】次に、ステップ208で基本点火時期θba
seに前記のごとく求めた点火時期θadvを加えることに
より点火時期θignを演算する。ステップ209で、エ
ンジン回転数N及び単位回転数当たりの吸入空気量Q/
Nに応じて、最大進角値θresを求める。最大進角値
θres は、ROM31内に格納されている最大進角
値マップから読みだすことによってなされる。ステップ
210では、点火時期θign が最大進角値θres を超え
たかを判断する。超えていなければステップ211に進
む。最大進角値θres を超えていると、進角しすぎてい
るので、ステップ211で最大進角値θresを点火時期
θignとする。
【0028】最後に点火時期θign が設定された後に、
ステップ212でエンジン状態に応じて、ディレイ時間
td ,サンプリング点数ns ,分周比ts をポート27
に出力する。なお、分周比ts によって振動センサの出
力のディジタル値のサンプリング周期が決まり、サンプ
リング点数ns によってサンプリング点数が決まる。
【0029】このようにして複数の共鳴周波数成分から
ノッキングを検出して点火時期を制御することで、機関
のノッキングを回避することが可能となる。図5は、本
実施の形態の制御概念を示した制御ブロック図である。
該図5の制御ブロックは、コントロールユニット9内に
燃焼状態センサ(以下、振動センサと云う)17からの
信号を入力し、その後の演算処理にてノッキングを検出
し、点火制御等のエンジン制御に反映させる概念図であ
る。
【0030】コントロールユニット9内の制御ブロック
において、信号入力手段50は、A/D変換器等を含む
ものであり、実際にマイコン処理として行われるのは、
周波数分析手段51以降の処理である。前記振動センサ
17からの信号は、信号入力手段50でデジタル値に変
換され、該デルタル値化された前記センサ入力値は、周
波数分析手段(FFT等)51でノッキングの周波数成
分の分析がなされ、ノッキング強度演算手段52でノッ
キング強度が算出される。ノッキング検出手段53では
前記算出されたノッキング強度と予めメモリ内に記憶さ
れているノッキング検出用所定値54とを比較してノッ
キングか否かを判定し、該判定によりノッキングと判定
されたならば、エンジンの制御手段55によって、該エ
ンジンの運転状態が調整される。
【0031】前記エンジンの具体的な運転状態の調整
は、点火時期、燃料噴射の量とタイミング、及び、EG
R等の調整である。エンジンの基本点火時期は、予めメ
モリ内に記憶されている点火時期データから求められ、
該基本的点火時期とノッキングに基づく遅角とによって
実際の点火時期が決定され、点火装置13、14、15
に出力される。同様に、燃料制御系では、燃料噴射量と
噴射タイミングが調整補正され、EGR制御系ではEG
Rの制御量(EGR率)が調整され、過給圧制御系では
過給圧が調整される。
【0032】本実施の形態の特徴とするところは、符号
56〜63で示されている各制御手段を備えたことであ
り、該各制御手段を設けたことの技術概念は、エンジン
機種毎に設定されていた信号入力ハードウエアゲイン
(増幅回路)の統合、信号入力ハーネス長による静電容
量の影響を補正するためのコンデンサ容量の統一、マイ
コンの基準電圧の個別ばらつきの排除である。前記各制
御手段の具体的な制御は、前記ノッキング強度を演算す
る演算パラメータ(A/D変換値、周波数成分値、ノッ
キング強度、ノッキング検出用所定値)に前記技術概念
の各事項を各々実行するために補正をかけることであ
る。
【0033】本実施の形態は、前記各補正を前記どの演
算パラメータにかけるかによって、二系統(第1の系統
と第2の系統)に分けることができる。即ち、入力A/
D値に補正をかける場合(第1の系統)とマイコン内で
のノッキング検出値に補正をかける場合(第2の系統)
の二系統であり、実施に当たっては、前記二系統の内で
いずれかの系統の補正制御を行えば、前記技術概念が達
成できるものである。本実施の形態の制御ブロックで
は、第1制御手段56で前記二系統を切り換え制御する
かのように示されているが、該第1制御手段56は二の
実施例があることを明示的に示したものであり、一つの
実施例における一連の制御中に前記二系統の切り換えを
行う手段があることを意味するものではない。
【0034】本実施の形態の前記第1の系統は、信号入
力手段50で振動センサ17の出力信号のA/D変換結
果を入力レベル調整手段58からの出力信号に基づいて
補正をするものである。A/D変換値への補正は、A/
D変換値の個々に対して行われるものであり、例えば、
32回のA/D変換値を用いて周波数分析を行う場合に
は、32個のA/D変換値の全てに対して補正を行うこ
とになる。
【0035】本実施の形態の前記第2の系統は、周波数
分析手段51以降の各手段51、52、53の演算パラ
メータに、ノッキング検出値補正手段59からの信号に
基づいて補正をするものである。周波数分析手段51で
の補正は、FFT分析結果(後述の周波数成分fi)
に、ノッキング強度演算手段52での補正は、ノッキン
グ強度Sに各々補正し、また、ノッキング検出用所定値
54の補正も行う。
【0036】但し、前記3つの補正は、何れか1つを実
行すれば良いものであり、例えば、ノッキング検出用所
定値の補正を行えば、他の手段51、52での演算パラ
メータの補正を行う必要はない。即ち、本実施の形態の
制御ブロックの第2の制御手段57は、第1の制御手段
56と同様に、具体的な3つの補正例があることを明示
的に示したものであり、一つの実施例の実施における一
連の制御中に前記3つの補正を切り換える手段があるこ
とを意味するものではない。
【0037】前記二系統の4つの補正における各種の補
正係数は、メモリ60内にエンジン機種別補正係数6
1、センサハーネス静電容量別補正係数62、及び、基
準電圧バラツキ量別補正係数63として各々記憶されて
いる。第2の制御手段57も前記メモリ60内に記憶さ
れているものであるが、本実施の形態の説明において
は、敢えて、区別して記載した。
【0038】前記図5の制御ブロック図における具体的
制御内容は図6〜8のフローチャート等により説明す
る。次に、本実施の形態によるノッキング発生の有無の
判定処理動作の1例を図6の制御フローに基づいて説明
する。図6のフローチャートは、爆発サイクル毎に実行
されるもので、CPUに割込みをかけて起動される。
【0039】割り込みスタートが開始されると、ステッ
プ101で振動センサ17からの出力信号がA/D変換
器で変換されたA/D変換値が取り込まれる。ステップ
102は、振動センサ17の入力値の入力レベルを調整
する補正手段であり、補正係数GHは別途説明すること
にするが、補正計数GHはメモリから読み出され、A/
D値の個々に乗算することでレベル調整を実施する。
【0040】次に、ステップ103では、前ステップ1
02で補正が行われた振動センサ17の信号のA/D値
を周波数分析するステップであり、この周波数分析は高
速フーリェ変換やウォルシフーリェ変換といった手法に
よって行われる。その後、ステップ104のSNi演算
処理へ進み、振動強度を表わすS−N値を選択周波数毎
に求める。
【0041】つまり、複数の選択周波数(f1……fi
)、本実施の形態ではf1……f8と、これに対応し
た周波数のバックグラウンドレベル(BGL1……BG
Li )、本実施の形態ではBGL1……BGL8より、
各周波数毎のS−N値SNi =fi−BGLi を求め
る。従って、本実施の形態では、SN1=f1−BGL
1,……,SN8=f8−BGL8が求められる。
【0042】次に、ステップ105で、これら選択され
た周波数のうちS−N値が大きい順にm個、本実施の形
態では、5個を抽出してノック強度を求める。このノッ
ク強度を求める式は例えば、 で表わされるようにS−N値を加算して求められる。
【0043】ステップ106では、ノック判定のための
所定値(予めメモリ内に記憶させておいたものをエンジ
ン運転状態に応じて読み出して用いるノッキング判定用
しきい値)とステップ105で算出されたノック強度が
比較され、ステップ105で算出されたノック強度が所
定値より大きいと判断されるとノッキングが生じたとし
てステップ124でノッキングが検出される。
【0044】その後、ステップ125でノッキング発生
を示すノックフラグに“1”をセットする。このノック
フラグは別に起動される点火制御タスクで用いられる。
一方、ステップ106でノック強度が所定値より小さい
と判断されると、ステップ120に進み、該ステップ1
20でノッキングが生じていないとして各バックグラウ
ンドレベルBGLi が予め定めた限界値、ここではバッ
クグランドレベルの下限リミッタBGLMTi より大き
いかどうかが判断する。本実施の形態ではBGL1……
BGL8に対してBGLMT1……BGLMT8が比較
される。
【0045】ステップ120でバックグラウンドレベル
が下限リミッタBGLMTi より大きいと判断、つま
り、正常のバックグラウンドレベルと判断されるとステ
ップ121に進み、該ステップ121でバックグラウン
ドレベルBGLi の更新が行われる。該バックグラウン
ドレベルBGLi の更新は、選択された周波数の振動強
度をフィルタ処理して求められる。具体的には各々の選
択された周波数毎にBGLi=BGLi×(1−α)+f
i×αで求められる。
【0046】逆に、ステップ120でバックグラウンド
レベルBGLi が下限リミッタBGLMTi より小さい
と判断、つまり、異常バックグラウンドレベルと判断さ
れると、ステップ122でリミッタ値をセットして次回
(該当気筒の次点火タイミングにおけるノッキング検出
処理)のノッキング成分検出のステップ104のBGL
i として用いる。ステップ121、122で求められた
BGLiは、RAM32にストアされ、次回のSNi演
算のBGLiに用いる。
【0047】次に、ステップ123ではノックフラグを
“0”にセットする。以上の処理で、ノック検出のルー
チンが終了するが、このルーチンでセットされたノック
フラグが点火制御タスクで使用されることになる。以上
のようにして得られたノック発生の信号は、前記点火制
御タスクで使用される。
【0048】次に、第2の実施の形態のノッキング発生
有無の判定処理動作を図7のフローを用いて、第3の実
施の形態を図8のフローを用いて説明する。第2の実施
の形態の特徴は、前記第1の実施の形態に対してレベル
調整を周波数分析後のノッキング成分SNiに対して行
うことにあり、第3の実施の形態は前記の第の1実施の
形態に対してレベル調整をノッキング強度に対して行う
ことにある。
【0049】理論的に言って、周波数分析誤差などの影
響で前記第1の実施の形態と同一になるとは言えない
が、ノッキング強度演算値が略同一になることより、C
PU演算負荷を大幅に削減する簡易的なレベル調整手段
としての価値は高い。また、第2の実施の形態に関して
は、周波数分析結果自体を直接補正しても良く、更に、
第3の実施の形態に関しては、ノッキング判定しきい値
を補正しても良く、この場合、図8のステップ109は
削除し、ステップ110の”GS”は”G”に置換、”
判定所定値”は”判定所定値/GH”に置換される。
【0050】まず、第2の実施の形態のフローについて
図7に基づき説明する。フローがスタートすると、ステ
ップ101で、振動センサ17からの出力信号のA/D
変換器で変換されたA/D変換値が取り込まれて、ステ
ップ103に進む、ステップ103は振動センサ17の
出力信号のA/D値を周波数分析するステップであり、
該周波数分析は高速フーリェ変換、もしくは、ウォルシ
フーリェ変換といった手法で行われる。
【0051】その後、ステップ104のSNi演算処理
へ進み、振動強度を表わすS−N値を選択周波数毎に算
出する。該ステップは第1の実施の形態と同様に実行
し、SN1=f1−BGL1,……,SN8=f8−B
GL8が求められる。ステップ107では、前記ステッ
プ104で求められたSNiをレベル調整するステップ
であり、GHはメモリから読み出され、SNiの個々に
乗算することでレベル調整を実施し、GSNiを算出す
る。補正係数GHは別途説明する。
【0052】次に、ステップ108で、GSNiの大き
い順に加算(本実施の形態では5個)して、ノッキング
強度Sを演算する。以下のステップ106の以降におい
ては、第1の実施の形態と同様の処理が実行される。次
に、図8のフローに基づいて第3の実施の形態について
の説明する。
【0053】ステップ101〜105については、前記
第1と第2の実施の形態と同一処理を行うものであの
で、ステップ109以降の処理について説明する。ステ
ップ109では、前ステップ105で算出したノッキン
グ強度Sに対してレベル調整の補正を実施する。GHは
メモリから読み出され、Sに乗算することでレベル調整
を行い、GSを算出する(補正係数GHは別途説明す
る)。
【0054】ステップ110では、ノック判定のための
所定値(予めメモリ内に記憶させておいたものをエンジ
ン運転状態に応じて読み出して用いるノッキング判定用
しきい値)と前記ステップ109で算出されたノック強
度GSが比較され、ステップ109で算出されたGSが
所定値より大きいと判断されると、ステップ124に進
み、ノッキングが生じたとしてノッキングが検出され
る。一方、ステップ110でノック強度が所定値より小
さいと判断されると、ノッキングが生じていないとして
ステップ120に進み、第1と第2の実施の形態と同様
の以降のステップの処理が行われ、バックグラウンドレ
ベル等が算出される。
【0055】そこで、前記の説明中に表記されているレ
ベル調整の補正手段に関しての説明を以下に行う。レベ
ル調整の必要性としては、次の3項目が挙げられる。1
つ目の補正は、車種(エンジン機種)別のセンサの信号
入力ゲイン(ハードウエア)を統一するための補正、2
つ目の補正は、ノッキング適合時のハーネス長と実車ハ
ーネス長との差を補正するコンデンサ容量を全機種で統
一するための補正、3つ目の補正は、ノッキング検出装
置の基準電圧ばらつきの補正である。
【0056】まず、1つ目の補正から説明する。振動セ
ンサ17からの入力信号は、エンジンのフリクションや
材質、水路などの構造、排気量、センサ取り付け位置な
どによってエンジン機種毎にその出力レベルは様々であ
る。振動センサ17からの信号は、基準電圧VCCの1
/2であるVCC/2の電位を中心に振動し、その運転
状態(ここではエンジン回転数)に応じて上昇してい
く。図9は、センサ信号の最小値と最大値をプロットし
たチャートとして示し、更に、各エンジン毎に出力され
るセンサ信号の電圧レベルをエンジン機種毎にA〜Cで
示している。本チャートは、全機種同一の入力ゲインで
の計測結果であり、信号レベルは、A>B>Cの順で大
きいことになる。機種によらず、低エンジン回転数側で
のA/D分解能もある程度確保する必要があるため(周
波数分析を正確に実行するため)、全ての機種が振幅a
程度になることが望ましい。
【0057】しかし、現状では、このために信号入力回
路のゲインを機種毎に設定(適合)を必要とし、このこ
とは適合作業の増加、制御装置の電子回路(部品)種類
増加による管理工程コストの上昇などがあり望ましいも
のではない。即ち、制御装置のハードウエア適合は手間
がかかり、これらの作業は極力避けたいことを意味す
る。
【0058】本実施の形態は、前記点を解決するための
ものであって、まず、制御装置におけるゲインを設定す
るための電子回路定数は、全機種同一とし、信号レベル
が飽和(オーバーフロー)しないようなダイナミックレ
ンジを確保するためのハードウエアのゲイン設定として
おくものである。次に、制御を行う最大エンジン回転数
でのセンサ信号の大きさ(a,b,c)を計測し、図1
0に示すように、エンジン機種別の補正係数(Ha、H
b、Hc)を机上で検討し、エンジン機種毎の制御装置
(コントロールユニット)内のメモリに記憶させてお
く。前記補正係数は、前記の図6、7、8のフローチャ
ートでの補正係数として用いられる。
【0059】この様な補正係数を用いることで、信号入
力のハードウエアゲインを統一することができる。ここ
で、全機種で同一ゲインに統一するためには、エンジン
群の中で一番大きく出力する機種に合わせてゲインを設
定し、高出力側で基準電圧VCCのオーバーフローに対
する余裕代を保持すると共に、低出力時は信号振幅が分
解能を確保するための余裕代を持つことが必須条件であ
る。高出力、低出力時の余裕代を両立できない場合は、
ゲイン統合のためにエンジン群を分離しその分離された
エンジン群でゲインを統合したり、図3に示した増幅率
切替え回路39でのゲイン切替え回転数を変更し、信号
出力レベルを見かけ上低下させてゲイン統合を行うなど
の手法が考えられる。
【0060】次に、2つ目の補正について説明する。振
動センサ17からの信号は、電気的なノイズ分を入力ラ
イン上に誘導させないように入力ラインの周囲をグラン
ド電位(0V)で被覆した線、即ち、シールド線で制御
装置に伝達される。しかし、このシールド線は、長さに
比例した静電容量を持ち、長くなれば入力信号の出力ピ
ーク値が、低下してしまう特性を有している。
【0061】開発当初は、実車レイアウト(エンジンル
ームレイアウト、ハーネスレイアウト等)が確定してお
らず、実車と同一のハーネスは使うことは困難である。
現状ではこれを補うために、図11(A)に示すよう
に、適合時には、予め長めのシールド線L(静電容量は
図11のC1)を用い、図11(B)に示すように実車
に適応する場合はシールド線L’の変動分(短縮分:L
−L’=l)に相当する静電容量分(図10のC1+C
3−C1’)を制御装置内のコンデンサ容量C3’とし
て装着し、図12に示すように、適合時と同等の性能を
確保していた。特に、ノッキング検出をノッキング成分
とバックグランドレベルとの差で求めている場合、適合
作業で設定したノッキング判定しきい値との絶対値の関
係が崩れてしまうので非常に問題となる。
【0062】前記問題をソフト的に補正するためには、
ハーネス短縮分のセンサ出力上昇分を補正する補正係数
を、図13に示すように、制御装置(コントロールユニ
ット)内のメモリにテーブルデータ又は変換式として記
憶させておき、ハーネス変動分を、更に、メモリに入力
し、変動分に相当する補正係数を演算することで、実現
可能になる。但し、メモリ容量の削減、CPU演算負荷
軽減を考慮し、机上で補正係数を検討し、制御装置(コ
ントロールユニット)内のメモリに記憶させておいても
良い。
【0063】次に、3つ目の補正について説明する。製
品価格の引き下げ対応として、低コスト化を図っている
が、その手法として、材料費の低減のみでなく、各種制
御のハードウエア調整作業(製品完成後の電気的特性の
調整)の廃止(調整箇所の低減、無調整化)の動きも出
てきている。前記の動くの流れは、エンジン制御装置の
マイコン基準電圧の微調整(0.5%以下の調整作業)
作業の簡略化にも及んで来ている。該簡略化によって基
準電圧の制御装置(コントロールユニット)の個別ばら
つきが、増大することになり、ノッキング制御のための
センサ取り込み(A/D変換)精度が個別に変動してし
まうことになる。これによって、周波数分析結果の絶対
値が変動することが予想でき、前記差分方式の場合のノ
ッキング判定では、判定結果に大きく影響を与えること
になる。
【0064】図14は、基準電圧が変動したときのA/
D変換可能な最大入力電圧(絶対値)を示す。基準電圧
VCCが±α変化した時、当然A/D変換可能な最大入
力電圧はそれぞれβ、γ分変動することになる。振動セ
ンサ17からのノッキング信号は、エンジンの振動のみ
で決まるので、入力振幅は取りつけばらつき、センサ特
性ばらつきなどを無視(この場合無関係)して考えれ
ば、VCCには無関係で一定となる。センサ信号は強い
ノッキングほど大きくなるため、VCC−αの時(図中
でγ低下した時)に強いノッキングが入力されると最大
値が頭打ち(オーバーフロー)し、センサ信号がVCC
の電位でカットされるため、この部分で信号のエッジが
でき、正確な周波数分析処理が不可能になる。よって、
このVCCのばらつきを考慮して入力ゲインは小さくす
る必要がある。この場合、信号振幅が小さくなるのでA
/D分解能を得にくい傾向になる。
【0065】次に、前記小さくしたゲインでの入力信号
を基準としてVCCが+αとなった場合を考える。基準
電圧が上がったためオーバーフローの影響はなくなる
が、以下のA/D変換分解能が問題になってくる。A/
D変換は、VCCを有効ビット長で除算し、最小分解能
(LSB)が決定する。例えば、5.12Vフルレンジ
の入力を10ビットA/D変換器でA/D変換した場合
のLSBは LSB=5.12v/(2^10)=5m
v になる。
【0066】ここでVCCが+5%ばらついたと仮定す
ると LSB=5.25mV になり、3Vの信号が入
力した場合、VCCのばらつきがなければA/D変換値
は600(258Hex)、VCC+5%であれば、A
/D変換値は571(23BHex)であり、A/D変
換結果は5%減少してしまうことになる。周波数分析処
理は、入力信号電圧を各周波数成分値に振り分けるもの
であるため、A/D値の変動はノッキング強度へ影響す
ることになる。これはノッキング判定を差分方式で実行
する場合の判定しきい値とのアンマッチを招くことにな
るので避ける必要がある。
【0067】本実施の形態は、VCCの変動によるA/
D変換精度を確保するために、図15に示す補正係数で
A/D変換値(周波数成分、ノッキング強度、又は、判
定しきい値)を補正することを主眼とするものである。
該図15は、VCC変化に対する補正係数を示したもの
で、VCCが+α%変動した場合の補正係数をHβ、V
CCが−α%変動した場合の補正係数をHγとする。
【0068】これにより、コントロールユニット毎のV
CCのばらつきの影響を補正することができる。この補
正に関し、VCCばらつき分を如何に測定するかを図1
7を用いて説明する。コントロールユニット内にはVC
Cがばらついているかを判別するための、比較電源は持
ち合わせていないので、該比較電源は、外部装置50と
して持つことにし、この比較はコントロールユニットの
製造完成後の工程で実施される。
【0069】外部装置50から比較電圧VCMPを出力
し、マイコンでこの値をA/D変換にて入力しADcm
pとする。コントロールユニットでは予めVCCがばら
ついていない時のVCMPに相当するステップ140の
データADvccを設定しておく。ステップ141で
は、ADvcc、ADcmpを比較し差分を算出する。
算出された差分は、ステップ142にて差の値に応じて
予め設定されている変換テーブルから補正係数に換算さ
れる。
【0070】また、ステップ142にて直接ADvcc
とADcmpを比較して補正係数を算出する場合は、ス
テップ141の差分算出手段は必要は無い。各種補正手
段について3種類の説明を行ったが、前記補正手段によ
る補正係数に基づく総補正係数は、図16に示すフロー
チャートによって算出される。まず、ステップ130で
GH1(実施の形態中のHa〜Hb)を読み出す。次
に、ステップ131でGH2(実施の形態中ではHl)
を、ステップ132ではGH3(実施例ではHβ〜H
γ)を読み出す。
【0071】そして、GH1〜3をステップ133で乗
算し、最終的な補正係数GHを求め、これを前記ノッキ
ングの検出フローに使用する。以上、本発明の実施の形
態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限
定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発
明の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更
ができるものである。
【0072】例えば、前記GH、GH1、GH2、GH
3は、バッテリ電圧を切断しても(バッテリ端子を抜い
ても)消去されず、記憶値を保持可能なメモリ内に記憶
して、バッテリ交換時や電源の瞬停などでも補正値が反
映できるようにすることができる。但し、GH3に関し
ては、製品完成後に補正値を書き換えることになるの
で、製品完成後でも書換可能なメモリ(EEP−ROM
など)にしておく必要がある。
【0073】最後に、本発明は、メモリ内の補正値がノ
イズ等の外乱や書換エラー等の処理エラー等により、デ
ータ破壊された場合には、不敵な値を読み出すことにな
り、正確な補正ができなくなることは明らかである。こ
の対応としては、メモリの破損チェックを実行し破壊さ
れていた場合には、別に定められている固定値を用いる
ことにする(補正値に上、下限リミッタを付けてもよ
い)。破損チェックは、メモリ内のサム値をチェックす
る、特定アドレスデータをチェックする等の手段を用い
る。固定値は、各々の補正手段毎にあらかじめ設定され
ており、メモリ破損時は、各々の固定値に代替し、ノッ
ク検出に対する安全性を確保する。
【0074】また、この場合、外部通信装置やランプ等
で運転者、サービス者等に破損を知らせる機能を持ち合
わせることも有効である。
【0075】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明によるエンジンのノッキング検出装置は、ノッキング
制御のエンジン機種によらない統一化が実現でき、該ノ
ッキング制御における適合作業の簡素化を図ることがで
きると共に、製造コスト低減時においても、従来と同等
のノッキング検出性能を確保することが可能であるため
に、エンジンのノッキングからの保護の効果と共に、制
御装置の製造コストの低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンに発生する共鳴振動周波数の説明図。
【図2】本発明の一実施の形態のエンジン全体のシステ
ム構成図。
【図3】図2のエンジン制御装置(コントロールユニッ
ト)の構成図。
【図4】エンジン制御装置の点火演算を示す基本的フロ
ーチャート。
【図5】図3のエンジン制御装置の制御ブロック図。
【図6】図3のエンジン制御装置の制御フローチャー
ト。
【図7】本発明の第2の実施の形態のフローチャート。
【図8】本発明の第3の実施の形態のフローチャート。
【図9】エンジン機種毎のセンサ信号を示す図。
【図10】第1の補正係数GH1を示す図。
【図11】車両ハーネスの静電容量を示すモデル図。
【図12】ハーネス線長差による補正コンデンサを示す
図。
【図13】第2の補正係数GH2を示す図。
【図14】基準電圧ばらつきによるA/D変換最大入力
を示す図。
【図15】第3の補正係数GH3を示す図。
【図16】総補正係数GHを算出するフローチャート。
【図17】基準電圧ばらつき測定の一例を示す図。
【符号の説明】
1. エアクリーナ 2. 熱線式空気流量計 3. ダクト 5. スロットルセンサー 6. 吸気管 7. エンジン 8. 排気管 9. コントロールユニット 11.空燃比を測る空燃比センサ 12.クランク角センサー 13.点火コイル 14.ディストリビュータ 15.点火プラグ 16.燃料噴射弁 17.振動センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02M 25/07 550 F02M 25/07 550Z F02P 5/152 F02P 5/15 D 5/153 (72)発明者 赤城 好彦 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 藤下 政克 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態
    センサと、該燃焼状態センサの出力信号に含まれる単数
    又は複数の周波数成分を分析する周波数分析手段と、該
    周波数分析手段の分析結果に基づきノッキング強度を演
    算するノッキング強度演算手段と、該ノッキング強度演
    算結果と予め設定しておいたノッキング検出用所定値と
    に基づきノッキングを検出するノッキング検出手段とを
    備えたエンジンのノッキング検出装置において、 前記周波数分析手段に入力される燃焼状態センサの出力
    信号の取り込み値の入力レベルを調整する補正手段を備
    えたことを特徴とするエンジンのノッキング検出装置。
  2. 【請求項2】 燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態
    センサと、該燃焼状態センサの出力信号に含まれる単数
    又は複数の周波数成分を分析する周波数分析手段と、該
    周波数分析手段の抽出結果に基づきノッキング強度を演
    算するノッキング強度演算手段と、該ノッキング強度の
    演算結果と予め設定しておいたノッキング検出用所定値
    とに基づきノッキングを検出するノッキング検出手段を
    備えたエンジンのノッキング検出装置において、 前記周波数分析手段による分析結果に基づくノッキング
    強度演算手段によるノッキング強度、もしくは、ノッキ
    ングを検出するためのノッキング検出用所定値のうち少
    なくとも1つに演算結果レベル調整用の補正手段を備え
    たことを特徴とするエンジンのノッキング検出装置。
  3. 【請求項3】 前記レベル調整用の補正手段は、エンジ
    ン機種別に特有なセンサ出力状態量に応じて設定する補
    正係数を用いてレベル調整を行うことを特徴とする請求
    項1又は2に記載のエンジンのノッキング検出装置。
  4. 【請求項4】 レベル調整用の補正手段は、エンジンに
    装備してある燃焼状態センサ信号取り込み用ハーネスの
    静電容量に応じて設定する補正係数を用いてレベル調整
    を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジ
    ン制御装置。
  5. 【請求項5】 前記レベル調整用の補正手段は、ノッキ
    ング検出装置の基準電位ばらつき量に応じて設定する補
    正係数を用いてレベル調整を行うことを特徴とする請求
    項1又は2に記載のエンジンのノッキング検出装置。
  6. 【請求項6】 前記レベル調整用の補正手段は、ノッキ
    ング検出手段に定電圧を印加することにより基準電圧の
    ばらつき量を算出する算出手段を備えることを特徴とす
    る請求項5に記載のエンジンのノッキング検出装置。
  7. 【請求項7】 前記レベル調整用の補正係数は、車両電
    源を切断しても記憶値を保持可能な記憶手段により記憶
    されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項
    に記載のエンジンのノッキング検出装置。
  8. 【請求項8】 前記レベル調整用の補正手段は、補正係
    数を記憶するメモリの異常判別手段を持ち、判別結果が
    異常であると判断した場合には、補正係数を前記補正手
    段に応じた固定値に固定することを特徴とする請求項1
    〜7のいずれか一項に記載のノッキング制御装置。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至8のいずれか一項に記
    載のエンジンのノッキング検出装置の検出結果に基づき
    エンジンを制御することを特徴とするエンジンの制御装
    置。
  10. 【請求項10】 前記エンジンの制御は、エンジンの点
    火時期、燃料噴射量と噴射タイミング、排出ガス再循環
    量、もしくは、過給圧を制御するものであることを特徴
    とする請求項9に記載のエンジンの制御装置。
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