JP2014136173A - 基材への透明導電膜コーティング方法と透明導電膜コーティング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材が単葉又は連続ものであり、コーターロールとドクターロールの双方又はドクターロールがロール表面に親水性DLC膜が成膜されたものであり、ドクターロール又はドクターブレードをコーターロールに接触させて、コーターロールの外周面に塗布される塗液を薄く均し、塗液は粘性が小さく、液状であり、水溶性又は有機溶媒可溶性であり、常温で乾燥する性質の液状のコーティング剤に、透明で導電性に優れている透明導電材の一又は二以上が混入されたものであり、コーターロールの外周面に塗布された前記塗液を、コーターロールの回転により、移送中の前記基材にコーティングする方法である。この場合、常温、大気圧下においてコーティングすることができる。
【選択図】図1
Description
本発明の基材への透明導電膜コーティング方法(以下、単に「コーティング方法」という。)は、コーターロールの外周面に塗布される塗液を当該コーターロールと接触するドクターロール又はドクターブレードで薄く均し、コーターロールを回転させることにより、コーターロールの外周面に薄く均された前記塗液を、移送中の前記基材にコーティングする方法である。前記塗液には粘性が小さく、液状であり、水溶性又は有機溶媒可溶性であり、常温で乾燥する性質の液状のコーティング剤(機能性コーティング剤を含む)に、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、銀ナノワイヤー、導電性ポリマー、酸化亜鉛等々の透明で、導電性に優れている透明導電材の一又は二以上含まれたものを使用する。前記コーティングは常温、大気圧下において行うことができる。
本発明の透明導電膜コーティング装置(以下、単に「コーティング装置」という。)は、ドクターロールと、コーターロールと、塗液供給装置を備え、塗液供給装置から供給されてコーターロールに塗布される塗液をドクターロール又はドクターブレードとコーターロールとの接触により薄く均し、当該コーターロールの回転により、移送中の基材に前記コーターロール表面の塗液をコーティングする塗液コーティング装置であり、コーターロールとドクターロールの双方又はいずか一方がロール表面に親水性DLC膜が成膜されたものであり、前記ドクターロール又はドクターブレードがコーターロールと接触して、コーターロールの外周面に塗布される塗液を薄く均すことができ、前記塗液は、粘性が小さく、液状であり、水溶性又は有機溶媒可溶性であり、常温で乾燥する性質の液状のコーティング剤に、透明で導電性に優れている透明導電材の一又は二以上が混入されたものであり、前記コーターロールの回転により、当該コーターロール表面の前記塗液を、常温、大気圧の環境下において、ガラス、樹脂、カーボン、金属等の各種材質製であり、単葉又は連続であるフィルム、シート、板等の平物の基材にコーティングできるようにしたものである。
本発明のコーティング方法は次のような効果がある。
1.コーティング剤に透明導電材の一又は二以上が含まれている塗液を使用するので、透明で、導電性に優れた透明導電膜を備えたフィルム、シート、板等を得ることができる。
2.コーターロールとドクターロールの双方又はいずれか一方のロールに、表面に親水性DLCが成膜されているものを使用するので、塗液がドクターロールに馴染み易く、広がり易くなり、μm〜nm単位の薄さの透明導電膜をコーティングすることができる。
3.コーターロールとドクターロールの双方又はいずれか一方のロール表面に、マイクロメータ(μm)単位の超極細な溝で彫刻が施され、その彫刻ロールの表面にDLC膜が成膜されたDLC膜付き彫刻ロールを使用すると、塗料が彫刻ロールに馴染み易くなって、基材の表面に全般にμm〜nm単位の薄さの透明導電膜をコーティングすることができる。
4.コーティング剤は粘性が小さく、液状であり、水溶性又は有機溶媒可溶性であり、常温で乾燥する性質のコーティング剤であるため、基材に形成された膜が迅速(数十秒程度)に乾燥するので、強制乾燥が不要となり、高速で連続してコーティング作業ができ、成膜の生産性が向上する。また、ビッカース硬度9H前後の透明導電膜がコーティングされるため傷付きにくくなるため、太陽光発電機用のパネルに使用する場合、耐候性に優れたものとなる。光透過度80〜96%程度で屈折率の小さなコーティング膜が得られるため、太陽光発電機のフロントパネルに使用すれば太陽光の無駄が減少し、太陽光を有効活用できる。水の接触角3°〜10°以下の透明導電膜が得られるため、水が流れ易く、水垢などが付きにくく、耐候性のあるパネルが得られる。
5.基材が連続もの(例えばフィルム)の場合は、ロール状に巻かれているフィルムを巻き取り装置で巻き取りながら連続走行させ、コーターロールを連続回転させながらコーティングできるので作業性が良い。
6.コーターロールの回転速度を、基材がコーターロールを通過する間に1回転以下にすれば、透明導電膜に塗りムラ、厚さムラ等の縞ができず、均一厚の透明導電膜をコーティングすることができる。
7.塗液を冷却すれば、昇温による膜厚のバラつきを防止でき、均一厚の成膜ができる。
8.コーターロールが基材に対して線接触であり、基材表面に追従しながら塗料がコーティングされるため、薄膜、均一厚の透明導電膜が得られる。
9.基材の厚さに応じてコーターロールと基材間の間隔を調整するので、基材の厚さに応じてコーティング膜厚を調節することができる。
本発明のコーティング装置は次のような効果がある。
1.コーターロールとドクターロールの双方又はいずれか一方の表面に親水性DLCが成膜されているので、コーティング剤に透明導電材の一又は二以上が含まれている塗液を使用して、基板に、透明で、導電性に優れた透明導電膜をコーティングすることができる。ドクターロールの耐摩耗性が向上し、それらロールが長持ちする。また、コーターロール、ドクターロールの交換頻度が少なくなるためメンテナンスが容易であり、経済的でもある。ちなみに、ゴム又はニッケル/クロムメッキを用いた一般的なドクターロールの場合は、これら材質は表面エネルギーが大きく(表面張力が大きく)、ドクターロールとコーターロールの接触による摩擦で発生する摩擦熱や外気温により塗液温度の上昇が懸念されるが、本発明では、それらロールの表面エネルギーが低下して親水性が向上し、ドクターロールとコーターロ−ル間における摩擦が低減し、塗液の昇温も少ない。
2.コーターロールとドクターロールが、ロール表面にμm単位の超極細な溝で、格子状、ハニカム状、曲線状、斜行線状等の各種形状の彫刻が施された彫刻ロールの場合は、塗液が溝内に入り易くなってコーターロールの表面全般に拡散し易くなり、コーターロールへ塗布される塗液が薄く均一化され、μm〜nm単位の薄さの透明導電膜を基材全面に均一にコーティングすることができる。また、溝内に空気だまりが生じにくく、気泡が溜まりにくいので、基材にコーティングされるコーティング膜にピンホールなどができにくい。
3.連続基板(例えば、フィルム)をセットするセット部と、コーティング済みの連続基材(例えば、フィルム)を巻き取る巻取り部があるため、ロールトゥーロール(Roll to Roll)でコーティングでき、作業性が向上する。
4.冷却機能を備えている場合は、塗液を直に、又はドクターロールとコーターロールの双方又は一方を冷却しながらコーティングできるため、長時間連続してコーティング作業をしても塗液の昇温を防止でき、昇温による膜厚のバラつきを防止でき均一厚の成膜ができる。
本発明のコーティング方法では、各種コーティング装置を使用して、基材に透明導電膜をコーティングすることができるが、図1に示すコーティング装置を使用する場合を一例として以下に説明する。
本発明のコーティング装置は、図1に示すように、ガイドロール1と、ドクターロール2と、コーターロール3と、バックアップロール4を備えている。このコーティング装置では基材5がガイドロール1の回転により矢印方向(図1の左側)に移送され、バックアップロール4の上まで移送されてくると、その基材5の上面にコーターロール3で前記した塗液6が塗布されるようにしてある。このコーティング装置は常温、大気圧の環境に設置して使用することができる。14はドクターブレードであり、ドクターロール2に塗布された塗液6均一厚に均すためのものである。
2 ドクターロール
3 コーターロール
4 バックアップロール
5 基材
6 塗液
7 塗液供給装置
8 温度センサ
9 板厚センサ
10 連続フィルムの原反
11 セット部
12 連続フィルム
13 巻取り部
14 ドクターブレード
15 塗布装置
Claims (14)
- コーターロールに塗布される塗液(機能性塗料を含む:以下同じ。)を、コーターロールの回転により、移送中の基材の表面に薄膜をコーティングする方法において、
基材が、単葉又は連続ものであり、
コーターロールとドクターロールの双方又はいずれか一方が、ロール表面に親水性DLC膜が成膜されたものであり、
ドクターロール又はドクターブレードをコーターロールに接触させて、コーターロールの外周面に塗布される塗液を薄く均し、
前記塗液は粘性が小さく、液状であり、水溶性又は有機溶媒可溶性であり、常温で乾燥する性質の液状のコーティング剤(機能性コーティング剤を含む)に、透明で導電性に優れている透明導電材の一又は二以上を含むものであり、
コーターロールの外周面に薄く塗布された前記塗液を、コーターロールの回転により、移送中の基材にコーティングして透明導電膜を成膜する、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
フィルム状の連続基材を巻き取り装置で巻き取りながら連続走行させ、コーターロールを連続回転させて、連続基材の表面と裏面の双方又はいずれか一方にコーティングする、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1又は請求項2記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
コーティング剤への透明導電材の混入量が1%前後である、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
コーティング剤が、SiO2を1.0〜3.0%含むものである、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
コーターロールとドクターロールの双方又は少なくともドクターロールは、ロール表面にマイクロメータ(μm)単位の超極細溝で彫刻が施され、その彫刻ロールの表面に親水性DLC膜が成膜されたロールを使用する、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
コーターロールの回転速度を、基材が単葉の場合は、コーターロールの下を通過する間に1回転以下の回転とする、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
塗液を直に冷却するか又はドクターロールとコーターロールの双方又はいずれか一方を冷却することにより間接的に冷却する、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基材への透明導電膜コーティング方法において、
移送される基材の厚さを計測し、その計測結果に応じてコーターロールの高さを調節することにより、コーターロールと基材の間隔を調節して、基材へコーティングされる透明導電膜の膜厚を調節する、
ことを特徴とする基材への透明導電膜コーティング方法。 - ドクターロールとドクターブレードの双方又はいずれか一方と、コーターロールと、塗液供給装置を備え、塗液供給装置から供給されてコーターロールにコーティングされる塗液をコーターロールとドクターロール又はドクターブレードとの接触により薄く均し、当該コーターロールの回転により、移送中の基材に前記コーターロール表面の塗液をコーティングする透明導電膜コーティング装置において、
コーターロールとドクターロールの双方又はいずれか一方が、ロール表面に親水性DLC膜が成膜されたものであり、
前記ドクターロール又はドクターブレードはコーターロールと接触して、コーターロールの外周面に塗布される塗液を薄く均すことができ、
前記塗液は、粘性が小さく、液状であり、水溶性又は有機溶媒可溶性であり、常温で乾燥する性質の液状のコーティング剤に、透明で導電性に優れている透明導電材の一又は二以上が混入されたものであり、
前記コーターロールの回転により、当該コーターロール表面の前記塗液を、常温、大気圧の環境下において、単葉又は連続である基材に塗布できる、
ことを特徴とする透明導電膜コーティング装置。 - 請求項9記載の透明導電膜コーティング装置において、
コーターロールとドクターロールの双方又は少なくともドクターロールは、ロール表面にμm単位の超極細溝で彫刻が施され、その彫刻ロールの表面に親水性DLC膜が成膜された親水性DLC膜付き彫刻ロールである、
ことを特徴とする透明導電膜コーティング装置。 - 請求項9又は請求項10記載の透明導電膜コーティング装置において、
連続基材を回転自在にセット可能なセット部と、コーティング済みの基材を巻取り可能な巻取り部を備えた、
ことを特徴とする透明導電膜コーティング装置。 - 請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の透明導電膜コーティング装置において、
塗料供給装置が塗料冷却機能を備えた、
ことを特徴とする透明導電膜コーティング装置。 - 請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の透明導電膜コーティング装置において、
ドクターロールとコーターロールの双方又はいずれか一方に冷媒通路を設け、冷媒通路を流れる冷媒によりそれらロールを冷却して塗料を冷却できる、
ことを特徴とする透明導電膜コーティング装置。 - 請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の透明導電膜コーティング装置において、
塗液の温度を計測する温度計を設け、その計測結果に基づいて、塗料を冷却できるようにした、
ことを特徴とする透明導電膜コーティング装置。
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