JP2014135010A - 透明電極基板の製造方法、デバイスの製造方法およびタッチパネルセンサの製造方法 - Google Patents

透明電極基板の製造方法、デバイスの製造方法およびタッチパネルセンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、樹脂基板を用いる場合において、酸化インジウム錫を含有する低抵抗の透明電極層を形成する透明電極基板の製造方法を提供すること、さらにはエッチング耐性や耐酸性等の耐薬品性を改善することが可能な透明電極基板の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、酸化インジウム錫を含有する透明電極層が形成された樹脂基板を準備する準備工程と、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程とを有することを特徴とする透明電極基板の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化インジウム錫を含有する透明電極層を有する透明電極基板の製造方法に関するものである。
透明基板上に透明電極層が形成された透明電極基板は、例えば、タッチパネルセンサ、カラーフィルタ、液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池等の各種デバイス等、様々な分野で用いられている。近年では、フレキシブル性や軽量性等の観点から、透明基板として樹脂基板を用いることが多くなっている。
従来、透明電極層には、導電性や光透過性に優れることから、ITOと称される酸化インジウム錫が主に使用されている。しかしながら、ITO電極は、シート抵抗が比較的大きいため、例えば、タッチパネルセンサでは感度が低下する、液晶表示素子では輝度ムラや色ムラが発生する、有機EL素子では発光効率が低下し輝度ムラが発生する、太陽電池では発電効率が低下する等の問題がある。この問題は、デバイスの面積が大きくなるにつれて顕著に現れる。
ITO電極の低抵抗化の手法としては、熱処理によりITOを結晶化させる方法が採用されており、例えばオーブンやホットプレートを用いた熱処理や赤外線照射による熱処理が提案されている。また、特許文献1には、レーザーアニール処理によりITO電極を結晶化させ、低抵抗化する方法も提案されている。
さらに、ITO電極の低抵抗化の技術ではないが、特許文献2には、熱処理により半導体層を再結晶化させる方法として、過熱水蒸気による熱処理が提案されている。また、特許文献3には、導電性物質およびバインダーを含有する導電性金属部を過熱蒸気に接触させて、導電性を向上させる方法が提案されている。
特開2011−181904号公報 特開2008−98375号公報 特開2011−76789号公報
しかしながら、一般的に樹脂基板は耐熱性が低いのに対して、オーブンやホットプレートを用いた熱処理や赤外線照射による熱処理では結晶化に要する時間が長いため、樹脂基板に対する熱負荷が大きい、使用可能な樹脂基板が制限される、生産性に乏しい等の問題がある。さらには、加熱時間が長いと、樹脂基板の熱膨張および熱収縮によってITO膜にクラックが発生するという問題も起こる。また、長尺の樹脂基板を用いてロールツーロール方式により熱処理を行う場合には、加熱時間が長いと熱処理装置の全長も長くなり、設備費用がかかる。
また、レーザーアニール処理では、耐熱性の低い樹脂基板も使用可能であり、短時間での熱処理が可能であるが、例えばタッチパネルセンサ等のようにITO電極の厚みが比較的薄い場合には樹脂基板に対して熱負荷がかかるという問題がある。
また、透明電極基板を各種デバイスに用いる場合、デバイスの製造過程において透明電極層が酸にさらされる場合がある。
例えばタッチパネルセンサにおいては、生産性向上のために透明電極層および配線層を一括してパターニングし、酸性溶剤による透明電極層および配線層の選択エッチングを行う場合がある。この場合、ITO電極にはエッチング耐性が求められる。
また、例えば有機薄膜太陽電池においては、光電変換層から透明電極層へ正孔取り出しが容易に行われるように、透明電極層上にバッファー層を形成する場合がある。また、例えば有機EL素子においては、透明電極層から発光層へ正孔注入が容易に行われるように、透明電極層上に正孔注入層を形成する場合がある。これらのバッファー層や正孔注入層には、PEDOT/PSSと称されるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸が使用されることが多い。しかしながら、PEDOT/PSSを含む塗工液は酸性を示すため、ITO電極上にPEDOT/PSSを含む塗工液を塗布してバッファー層や正孔注入層を形成すると、酸によってITO電極が溶解するおそれがある。そのため、この場合、ITO電極には耐酸性が求められる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、樹脂基板を用いる場合において、酸化インジウム錫を含有する低抵抗の透明電極層を形成する透明電極基板の製造方法を提供すること、さらにはエッチング耐性や耐酸性等の耐薬品性を改善することが可能な透明電極基板の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、酸化インジウム錫を含有する透明電極層が形成された樹脂基板を準備する準備工程と、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程とを有することを特徴とする透明電極基板の製造方法を提供する。
本発明において、過熱水蒸気による熱処理では、透明電極層が瞬間的に加熱され、低温かつ短時間で透明電極層を結晶化することができる。したがって、樹脂基板への熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制することができ、また生産性を向上させ、製造コストを削減することができる。
上記発明においては、上記熱処理工程にて、耐薬品性を有する上記透明電極層を形成することが好ましい。例えば透明電極基板をタッチパネルセンサに用いる場合には、透明電極層を結晶化することによりエッチング耐性を有する透明電極層を得ることができ、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層の溶解等を抑制することが可能になる。また、例えば透明電極基板を有機薄膜太陽電池や有機EL素子に用いる場合には、透明電極層を結晶化することにより耐酸性を有する透明電極層を得ることができ、透明電極層上に酸性を示す塗工液を塗布してバッファー層や正孔注入層を形成する際に透明電極層の溶解等を抑制することが可能になる。
また本発明は、樹脂基板と、上記樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを少なくとも有するデバイスの製造方法であって、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程を有することを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。
本発明によれば、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すため、熱処理時間を短縮することができ、樹脂基板への熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制し、低コストで生産性良く低抵抗の透明電極層を形成することが可能である。
さらに本発明は、樹脂基板と、上記樹脂基板上にパターン状に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層と、上記樹脂基板上にパターン状に形成された配線層とを有するタッチパネルセンサの製造方法であって、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程を有することを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法を提供する。
本発明によれば、上述したように、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すため、熱処理時間を短縮することができ、樹脂基板への熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制し、低コストで生産性良く低抵抗の透明電極層を形成することが可能である。また、透明電極層を結晶化することによりエッチング耐性を有する透明電極層を得ることができ、透明電極層および配線層を一括してパターニングする場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層の溶解等を抑制することが可能になる。したがって、高感度のタッチパネルセンサを得ることができる。
本発明においては、過熱水蒸気による熱処理を施すことにより、低温かつ短時間で透明電極層を結晶化させることができ、樹脂基板への熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制しつつ、低コストで生産性良く低抵抗の透明電極層を形成することができるという効果を奏する。
本発明の透明電極基板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のタッチパネルセンサの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のデバイスの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明における過熱水蒸気発生装置の一例を示す模式図である。 本発明のタッチパネルセンサの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明におけるタッチパネルセンサの一例を示す概略平面図である。 本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明のタッチパネルセンサの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明におけるタッチパネルセンサの他の例を示す概略平面図である。
以下、本発明の透明電極基板の製造方法、デバイスの製造方法およびタッチパネルセンサの製造方法について詳細に説明する。
A.透明電極基板の製造方法
まず、本発明の透明電極基板の製造方法について説明する。
本発明の透明電極基板の製造方法は、酸化インジウム錫を含有する透明電極層が形成された樹脂基板を準備する準備工程と、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程とを有することを特徴としている。
本発明の透明電極基板の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(c)は、本発明の透明電極基板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、樹脂基板2上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次に、図1(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。このようにして、図1(c)に示すように、透明電極基板1が得られる。
ここで、一般的に酸化インジウム錫においては、結晶膜は非晶質膜よりもシート抵抗が低く、また結晶膜は非晶質膜よりも耐薬品性に優れている。本発明においては、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより透明電極層を結晶化させるため、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を得ることができる。
また本発明によれば、酸化インジウム錫を含有する透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより、低温かつ短時間で透明電極層を結晶化させることができる。過熱水蒸気による熱処理では、透明電極層のみが瞬間的に加熱されるため、樹脂基板に対する熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制することが可能である。したがって、本発明により製造される透明電極基板を各種デバイスに用いた場合には、高性能のデバイスを得ることができる。また、低抵抗の透明電極層の形成において、生産性を向上させ、製造コストを削減することができる。
図2(a)〜(g)は、本発明の透明電極基板の製造方法を利用したタッチパネルセンサの製造方法の一例を示す工程図である。まず、図2(a)に示すように、樹脂基板2上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次いで、図2(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。次に、図2(c)に示すように、透明電極層3上に配線層11を形成する。続いて、図2(d)に示すように、配線層11上にレジスト層12をパターン状に形成し、レジスト層12をマスクとして配線層11および透明電極層3を一括してエッチングした後、レジスト層12を除去する。これにより、図2(e)に示すように、配線層11および透明電極層3が一括してパターニングされる。次いで、図2(f)に示すように、アクティブエリア以外にレジスト層13をパターン状に形成し、アクティブエリアの配線層11を選択的にエッチングした後、レジスト層13を除去する。これにより、図2(g)に示すように、所望のパターン状に配線層11および透明電極層3が形成される。
本発明においては、上述のように、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより透明電極層を結晶化させるため、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を得ることができる。そのため、本発明の透明電極基板の製造方法を適用してタッチパネルセンサを作製する場合であって、透明電極層および配線層を一括してパターニングする場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層の溶解等を抑制することができ、透明電極層の電気的特性の劣化を抑えることができる。したがって、高感度のタッチパネルセンサを得ることが可能である。
図3(a)〜(e)は、本発明の透明電極基板の製造方法を利用した有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図3(a)に示すように、樹脂基板2上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次いで、図3(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。次に、図3(c)に示すように、透明電極層3上にPEDOT/PSSを含む塗工液等の酸性を示す塗工液を塗布してバッファー層21を形成する。次いで、図3(d)に示すように、バッファー層21上に光電変換層22を形成し、図3(e)に示すように、光電変換層22上に対向電極層23を形成する。このようにして、有機薄膜太陽電池20が得られる。
図4(a)〜(e)は、本発明の透明電極基板の製造方法を利用した有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図4(a)に示すように、樹脂基板2上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次いで、図4(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。次に、図4(c)に示すように、透明電極層3上にPEDOT/PSSを含む塗工液等の酸性を示す塗工液を塗布して正孔注入層31を形成する。次いで、図4(d)に示すように、正孔注入層31上に発光層32を形成し、図4(e)に示すように、発光層32上に対向電極層33を形成する。このようにして、有機EL素子30が得られる。
本発明においては、上述のように、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより透明電極層を結晶化させるため、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を得ることができる。そのため、本発明の透明電極基板の製造方法を適用して有機薄膜太陽電池または有機EL素子を作製する場合であって、透明電極層上に酸性を示す材料を用いてバッファー層または正孔注入層を形成する場合には、酸による透明電極層の溶解等を抑制することができ、透明電極層の電気的特性の劣化を抑えることができる。したがって、発電効率の高い有機薄膜太陽電池または発光効率の高い有機EL素子を得ることが可能である。
このように、本発明の透明電極基板の製造方法を各種デバイスの製造方法に適用することにより、高性能のデバイスを製造することが可能になる。
以下、本発明の透明電極基板の製造方法における各工程について説明する。
1.準備工程
本発明における準備工程は、酸化インジウム錫を含有する透明電極層が形成された樹脂基板を準備する工程である。
以下、樹脂基板および透明電極層の形成方法について説明する。
(1)樹脂基板
本発明に用いられる樹脂基板は、透明電極層を支持するものである。
樹脂基板は光透過性を有するものであり、樹脂基板の光透過性としては透明電極基板の用途等に応じて適宜決定される。
樹脂基板は可撓性を有することが好ましい。可撓性を有する樹脂基板は、加工性に優れており、コスト低減および軽量化に有用であり、種々のデバイスへの適用可能性が広がるからである。
樹脂基板としては、各種デバイスに使用される一般的な樹脂基板を用いることができ、透明電極基板の用途等に応じて適宜選択される。樹脂基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレン、ポリエーテルサルフォン等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等からなる樹脂フィルムを挙げることができる。また、TACフィルムやCOPフィルムを用いてもよい。
樹脂基板の厚みは、透明電極層を支持できる厚みであれば特に限定されるものではなく、透明電極基板の用途等に応じて適宜選択される。例えば透明電極基板をタッチパネルセンサに用いる場合、樹脂基板の厚みは一般的には20μm〜1500μm程度である。
また、必要に応じて、樹脂基板表面には、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の無機膜からなるバリア層や、有機膜からなるアンダーコート層等が形成されていてもよい。
また、樹脂基板表面には断熱層が形成されていてもよい。透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施す際に、断熱層によって熱から樹脂基板を保護することができる。
断熱層の形成材料としては、熱伝導率が低く、耐熱性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、好ましいものとしては、例えば、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等が挙げられる。
断熱層の厚みとしては、過熱水蒸気による熱処理時の熱から樹脂基板を保護することができる厚みであればよく、例えば、0.01μm〜1μm程度で設定することができる。
断熱層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法等の蒸着法や、スピンコート法等の塗布法が挙げられる。
(2)透明電極層の形成方法
透明電極層は酸化インジウム錫を含有するものであり、透明電極層を構成する導電性材料としては酸化インジウム錫が用いられる。
透明電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法であればよく、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。これらの方法では、通常、アモルファス構造を有するITO膜が得られる。
透明電極層の厚みとしては、透明電極基板の用途等に応じて異なるものである。例えば、透明電極基板をタッチパネルセンサに用いる場合、透明電極層の厚みは5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜100nmの範囲内、特に10nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。また例えば、透明電極基板を有機EL素子に用いる場合、透明電極の厚みは100nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、中でも100nm〜300nmの範囲内、特に100nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。透明電極層の厚みが薄いと透明電極層のシート抵抗が大きくなるおそれがあり、一方、透明電極層の厚みが厚いと光透過性が低下するおそれがあるからである。なお、本発明において、過熱水蒸気による熱処理では透明電極層のみが瞬間的に加熱されるため、透明電極層の厚みが薄くとも、樹脂基板への熱負荷を低減することができる。
透明電極層は光透過性を有するものであり、透明電極層の全光線透過率は85%以上であることが好ましく、中でも90%以上、特に92%以上であることが好ましい。透明電極層の全光線透過率が上記範囲であることにより、透明電極基板を種々のデバイスに好適に用いることができるからである。
ここで、全光線透過率は、株式会社村上色彩技術研究所社製 ヘーズ・透過率計 型番:HM-150を用いて、JIS K7361に準拠して測定した値である。
透明電極層は、樹脂基板上に全面に形成してもよく、パターン状に形成してもよい。すなわち、透明電極層をパターニングする場合には、透明電極層のパターニング前に熱処理工程を行ってもよく、透明電極層のパターニング後に熱処理工程を行ってもよい。透明電極層のパターニングおよび熱処理工程の順序は、透明電極基板の用途等に応じて適宜選択される。
2.熱処理工程
本発明における熱処理工程は、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる工程である。
過熱水蒸気の温度としては、透明電極層を結晶化させることが可能な温度であれば特に限定されるものではなく、透明電極層を過熱水蒸気に接触させる時間、透明電極基板の用途、透明電極層の厚み、樹脂基板の耐熱性等に応じて適宜選択される。例えば、透明電極基板をタッチパネルに用いる場合、透明電極層の厚みは上述の範囲内であることから、過熱水蒸気の温度は、130℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、中でも140℃〜180℃の範囲内、特に150℃〜170℃の範囲内であることが好ましい。過熱水蒸気の温度が低いと、透明電極層が結晶化しないおそれがあるからである。また、過熱水蒸気の温度が高いと、樹脂基板に対する熱負荷が大きくなり、また樹脂基板の熱膨張および熱収縮により透明電極層にクラックが発生するおそれがあるからである。
透明電極層を過熱水蒸気に接触させる時間としては、透明電極層を結晶化させることが可能な時間であれば特に限定されるものではなく、過熱水蒸気の温度、透明電極基板の用途、透明電極層の厚み、樹脂基板の耐熱性等に応じて適宜選択される。例えば、透明電極基板をタッチパネルに用いる場合、透明電極層の厚みは上述の範囲内であることから、透明電極層を過熱水蒸気に接触させる時間は、30秒〜10分の範囲内であることが好ましく、中でも30秒〜8分の範囲内、特に30秒〜6分の範囲内であることが好ましい。時間が短いと、透明電極層が結晶化しないおそれがあるからである。また、時間が長いと、樹脂基板に対する熱負荷が大きくなり、また樹脂基板の熱膨張および熱収縮により透明電極層にクラックが発生するおそれがあるからである。
透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施す際には、例えば過熱水蒸気発生装置を用いることができる。
図5は、過熱水蒸気発生装置の一例を示す模式図である。図5に示す過熱水蒸気発生装置50においては、まず、水蒸気生成部51にて水を水蒸気とし飽和させる。飽和水蒸気は、水蒸気生成部51から水蒸気過熱部52に導入され過熱される。ここでは、水蒸気過熱部52として誘導コイルを用いて過熱している。過熱水蒸気は、水蒸気過熱部52からノズル54に導入され、その開口部から樹脂基板2上に形成された透明電極層3表面に放出される。水蒸気過熱部52とノズル54との間には、温度制御部53が設けられ、過熱水蒸気の温度を測定する。その結果に基づきコントローラ55によって水蒸気過熱部52が制御される。温度制御部53としては、例えば熱電対が用いられ、測定温度によって誘導コイルに印加される電流を増減することにより、過熱水蒸気の温度を調整する。
ノズル54はチャンバ56内に配置されており、チャンバ56には透明電極層3が形成された樹脂基板2が搭載されるステージ57が配置されている。このステージ57は、ノズル54に対して相対的に移動可能である。
過熱水蒸気による熱処理での雰囲気としては、過熱水蒸気を発生させることから、通常、過熱水蒸気の雰囲気になる。
透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施す際には、例えば、透明電極層の表面を結晶化させてもよく、透明電極層全体を結晶化させてもよい。中でも、透明電極層全体を結晶化させることが好ましい。透明電極層全体が結晶化されている場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に、透明電極層の非晶質部分が溶解して透明電極層の断面形状が逆テーパー形状になり、透明電極層の密着性が低下するのを防ぐことができるからである。
過熱水蒸気による熱処理によって透明電極層をどの程度まで結晶化するかは、得られる透明電極層のシート抵抗や耐薬品性、樹脂基板の耐熱性等を考慮して適宜調整される。具体的には、透明電極層は、シート抵抗が200Ω/□以下になるまで結晶化することが好ましい。中でも、耐薬品性を有する透明電極層が形成されるように、透明電極層を結晶化することが好ましい。透明電極層の結晶化が不十分であると、所望の導電性や耐薬品性が得られない場合がある。一方、過熱水蒸気の温度を高くする、または、透明電極層を過熱水蒸気に接触させる時間を長くすると、透明電極層の結晶化は進行するが、樹脂基板に対する熱負荷が大きくなり、また樹脂基板の熱膨張および熱収縮により透明電極層にクラックが発生するおそれがある。
ここで、「耐薬品性」とは、透明電極基板を用いて各種デバイスを作製する際に、透明電極層に接する任意の層をパターニングする目的で使用されるエッチング液や、透明電極層に接する任意の層を形成する目的で使用される塗工液等の液体に対する耐性をいう。
また、「耐薬品性を有する」とは、透明電極層が上記液体に接触した際に、透明電極層のシート抵抗に変動がないことを意味する。「透明電極層のシート抵抗に変動がない」とは、上記液体の接触前に対して上記液体の接触後の透明電極層のシート抵抗が30%以上増加しないことをいう。
透明電極層が結晶化されていることは、日立ハイテクノロジーズ社製 超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 SU8020を用いて下記条件にて、HA−BSEと称される高角度反射電子を検出し、結晶コントラストからグレインと称される結晶状態の有無を観察することで確認することができる。
・検出器:Top
・倍率 :25000倍
具体的には、グレインが観察された場合は、透明電極層が結晶化されていると判定する。
熱処理後の透明電極層のシート抵抗としては、透明電極基板の用途等に応じて異なるものである。例えば、透明電極基板をタッチパネルセンサに用いる場合、熱処理後の透明電極層のシート抵抗は200Ω/□以下であることが好ましく、150Ω/□以下であることがより好ましい。熱処理後の透明電極層のシート抵抗が上記範囲であれば、十分な導電性が得られる。
ここで、シート抵抗は、三菱化学株式会社製の表面抵抗計ロレスタMCP四端子プローブを用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、測定した値である。
上述のように、透明電極層をパターニングする場合、熱処理工程は、透明電極層のパターニング前に行ってもよく、透明電極層のパターニング後に行ってもよく、熱処理工程および透明電極層のパターニングの順序は、透明電極基板の用途等に応じて適宜選択される。
例えば、透明電極基板をタッチパネルセンサに用いる場合、図2(a)〜(g)に示す例においては図2(b)に示すように透明電極層3のパターニング前に熱処理工程を行っているが、図2(c)に示すように透明電極層3上に配線層11を形成した後に図示しないが熱処理工程を行ってもよく、図2(e)に示すように透明電極層3および配線層11の一括パターニング後に図示しないが熱処理工程を行ってもよく、図2(g)に示すように配線層11の選択エッチング後に図示しないが熱処理工程を行ってもよい。なお、図2(c)および図2(e)に示すように透明電極層3上に配線層11が形成されている場合においても、配線層には熱伝導性の高い金属材料が好ましく用いられ、配線層の厚みは非常に薄くすることができるため、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことが可能である。
また、これらの熱処理工程は、いずれか一つを行ってもよく、複数を組み合わせて行ってもよい。図2(b)、(c)または(e)に示す段階で熱処理工程を行う場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層の溶解等を抑制することができる。また、図2(b)、(c)または(e)に示す段階で熱処理工程を行い、さらに図2(g)に示す段階で熱処理工程を行う場合には、透明電極層をさらに結晶化させることができる。
3.用途
本発明の透明電極基板の製造方法は、樹脂基板と、樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを少なくとも有するデバイス全般の製造方法に適用することができる。デバイスとしては、例えば、タッチパネルセンサ、カラーフィルタ、液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池、電子ペーパー等を挙げることができる。
中でも、本発明の透明電極基板の製造方法は、タッチパネルセンサの製造方法に好適に用いられる。本発明においては、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を形成することができるため、透明電極層および配線層の選択エッチングが可能であり、透明電極層の電気的特性を維持しつつ、低コストで生産性良く高感度のタッチパネルセンサを製造することができる。
B.デバイスの製造方法
次に、本発明のデバイスの製造方法について説明する。
本発明のデバイス製造方法は、樹脂基板と、上記樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを少なくとも有するデバイスの製造方法であって、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程を有することを特徴とする。
図6(a)〜(h)は、本発明のデバイスの製造方法の一例を示す工程図であり、タッチパネルセンサの製造方法の一例である。まず、図6(a)に示すように、樹脂基板2の両面にそれぞれ酸化インジウム錫を含有する第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bを形成する。通常、これらの第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bは非晶質膜である。次いで、図6(b)に示すように、一方の第1透明電極層3aの表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。続いて、図6(c)に示すように、他方の第2透明電極層3bの表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bは結晶化される。次に、図6(d)に示すように、第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3b上にそれぞれ配線層11a、11bを形成する。続いて、図6(e)に示すように、配線層11a、11b上にそれぞれレジスト層12a、12bをパターン状に形成し、レジスト層12a、12bをマスクとして配線層11a、11bおよび第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bを一括して同時にエッチングした後、レジスト層12a、12bを除去する。これにより、図6(f)に示すように、配線層11a、11bおよび第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bが一括して同時にパターニングされる。次いで、図6(g)に示すように、アクティブエリア以外にレジスト層13a、13bをパターン状に形成し、アクティブエリアの配線層11a、11bを選択的にエッチングした後、レジスト層13a、13bを除去する。これにより、図6(h)に示すように、所望のパターン状に配線層11a、11bおよび第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bが形成される。このようにして、タッチパネルセンサ10が得られる。
図7(a)、(b)は本発明におけるタッチパネルセンサの一例を示す概略平面図であり、図6(h)は図7(a)、(b)のA−A線断面図である。図7(a)、(b)に例示するように、タッチパネルセンサ10においては、樹脂基板2の一方の面に第1透明電極層3aがストライプ状に形成され、第1透明電極層3aの一端に電気的に接続された配線層11aが形成されており、樹脂基板2の他方の面に第2透明電極層3bがストライプ状に形成され、第2透明電極層3bの一端に電気的に接続された配線層11bが形成されている。ストライプ状の第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bは平面視上、互いに略直交する方向に伸長するように配置されている。
図3(a)〜(e)は、本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図であり、有機薄膜太陽電池の製造方法の一例である。なお、図3(a)〜(e)に示す有機薄膜太陽電池の製造方法については、上記「A.透明電極基板の製造方法」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
図4(a)〜(e)は、本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図であり、有機EL素子の製造方法の一例である。なお、図4(a)〜(e)に示す有機EL素子の製造方法については、上記「A.透明電極基板の製造方法」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
図8(a)〜(c)は、本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図であり、カラーフィルタの製造方法の一例である。まず、図8(a)に示すように、樹脂基板2上にパターン状に遮光部41を形成し、遮光部41の開口部にパターン状に着色層42を形成し、着色層42上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次いで、図8(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。このようにして、図8(c)に示すように、カラーフィルタ40が得られる。
図9(a)〜(d)は、本発明のデバイスの製造方法の他の例を示す工程図であり、液晶表示素子の製造方法の一例である。まず、図9(a)に示すように、樹脂基板2上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次いで、図9(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。次いで、図9(c)に示すように、透明電極層3上に配向膜61を形成する。このような樹脂基板2上に透明電極層3および配向膜61が順に積層された透明電極基板を2枚作製する。次に、図9(d)に示すように、2枚の透明電極基板の配向膜61の間に液晶層62を形成する。このようにして、液晶表示素子60が得られる。
本発明によれば、酸化インジウム錫を含有する透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより、低温かつ短時間で透明電極層を結晶化させ、低抵抗の透明電極層を形成することができ、樹脂基板に対する熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制することができる。したがって、高性能のデバイスを得ることが可能である。
また本発明においては、上述のように、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより透明電極層を結晶化させるため、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を得ることができる。そのため、本発明においてタッチパネルセンサを製造する場合であって、透明電極層および配線層を一括してパターニングする場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層の溶解等を抑制することができ、透明電極層の電気的特性の劣化を抑えることができる。したがって、高感度のタッチパネルセンサを得ることが可能である。また、本発明において有機薄膜太陽電池または有機EL素子を製造する場合であって、透明電極層上に酸性を示す材料を用いてバッファー層または正孔注入層を形成する場合には、酸による透明電極層の溶解等を抑制することができ、透明電極層の電気的特性の劣化を抑えることができる。したがって、発電効率の高い有機薄膜太陽電池または発光効率の高い有機EL素子を得ることが可能である。
また本発明において、過熱水蒸気による熱処理では透明電極層のみが瞬間的に加熱されるため、樹脂基板と透明電極層との間に任意の層が形成されている場合であっても、透明電極層の下地層への熱負荷を低減することができる。したがって、種々のデバイスを製造することが可能である。
なお、樹脂基板、透明電極層および熱処理工程については、上記「A.透明電極基板の製造方法」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明におけるデバイスとしては、樹脂基板と、上記樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを少なくとも有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、タッチパネルセンサ、カラーフィルタ、液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池、電子ペーパー等を挙げることができる。
以下、各デバイスについて説明する。なお、タッチパネルセンサについては、後述の「C.タッチパネルセンサの製造方法」に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
1.カラーフィルタ
本発明におけるカラーフィルタは、樹脂基板と、樹脂基板上にパターン状に形成された遮光部と、透明基板上の遮光部の開口部にパターン状に形成された着色層と、着色層上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを有するものである。
本発明においては低抵抗の透明電極層を形成することができるため、本発明におけるカラーフィルタは液晶表示素子や有機EL素子等の表示装置に好適に用いられる。
透明電極層は、カラーフィルタの用途等に応じて、樹脂基板上の全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。透明電極層をパターニングする場合には、透明電極層のパターニング前に熱処理工程を行ってもよく、透明電極層のパターニング後に熱処理工程を行ってもよい。
遮光部および着色層等のカラーフィルタの構成部材としては、一般的なカラーフィルタと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.液晶表示素子
本発明における液晶表示素子は、例えば、2枚の樹脂基板上にそれぞれ酸化インジウム錫を含有する透明電極層および配向膜が順に積層され、配向膜の間に液晶層が挟持されているものである。
本発明においては低抵抗の透明電極層を形成することができるため、輝度ムラや色ムラの発生を抑制することができ、また性能を向上させることができる。
透明電極層は、液晶表示素子の種類や用途等に応じて、樹脂基板上の全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。透明電極層をパターニングする場合には、透明電極層のパターニング前に熱処理工程を行ってもよく、透明電極層のパターニング後に熱処理工程を行ってもよい。
配向膜および液晶層等の液晶表示素子の構成部材としては、一般的な液晶表示素子と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
3.有機EL素子
本発明における有機EL素子は、例えば、樹脂基板と、樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層と、透明電極層上に形成された正孔注入層と、正孔注入層上に形成された発光層と、発光層上に形成された対向電極層とを有するものである。
本発明においては低抵抗かつ耐酸性を有する透明電極層を形成することができる。そのため、発光効率を向上させることができ、また輝度ムラの発生を抑制することができる。また、透明電極層上にPEDOT/PSS等の酸性を示す材料を用いて正孔注入層を形成する場合には、酸による透明電極層の溶解等を抑制することができる。
透明電極層は、有機EL素子の用途等に応じて、樹脂基板上の全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。透明電極層をパターニングする場合には、透明電極層のパターニング前に熱処理工程を行ってもよく、透明電極層のパターニング後に熱処理工程を行ってもよい。
正孔注入層および発光層等の有機EL素子の構成部材としては、一般的な有機EL素子と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
中でも、有機EL素子の製造方法においては、透明電極層上に正孔注入層を形成することが好ましく、正孔注入層は酸性を示す材料を用いて形成することが好ましい。正孔注入層に用いられる酸性を示す材料としては、PEDOT/PSSが好ましい。
4.太陽電池
本発明における太陽電池としては、樹脂基板と、上記樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを少なくとも有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、有機薄膜太陽電池、色素増感型太陽電池、化合物半導体系太陽電池、シリコン系太陽電池等を挙げることができる。各太陽電池の構成としては、一般的な構成とすることができる。
本発明における有機薄膜太陽電池は、例えば、樹脂基板と、樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層と、透明電極層上に形成されたバッファー層と、バッファー層上に形成された光電変換層と、光電変換層上に形成された対向電極層とを有するものである。
本発明においては低抵抗かつ耐酸性を有する透明電極層を形成することができる。そのため、発電効率を向上させることができる。また、透明電極層上にPEDOT/PSS等の酸性を示す材料を用いてバッファー層を形成する場合には、酸による透明電極層の溶解等を抑制することができる。
バッファー層および光電変換層等の有機薄膜太陽電池の構成部材としては、一般的な有機薄膜太陽電池と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
中でも、有機薄膜太陽電池の製造方法においては、透明電極層上にバッファー層を形成することが好ましく、バッファー層は酸性を示す材料を用いて形成することが好ましい。バッファー層に用いられる酸性を示す材料としては、PEDOT/PSSが好ましい。
C.タッチパネルセンサの製造方法
次に、本発明のタッチパネルセンサの製造方法について説明する。
本発明のタッチパネルセンサの製造方法は、樹脂基板と、上記樹脂基板上にパターン状に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層と、上記樹脂基板上にパターン状に形成された配線層とを有するタッチパネルセンサの製造方法であって、上記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、上記透明電極層を結晶化させる熱処理工程を有することを特徴とする。
図6(a)〜(h)は、本発明のタッチパネルセンサの製造方法の一例を示す工程図であり、図7(a)、(b)は本発明におけるタッチパネルセンサの一例を示す概略平面図であり、図6(h)は図7(a)、(b)のA−A線断面図である。なお、図6(a)〜(h)に示すタッチパネルセンサの製造方法および図7(a)、(b)に示すタッチパネルセンサについては、上記「B.デバイスの製造方法」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
図10(a)〜(i)は、本発明のタッチパネルセンサの製造方法の他の例を示す工程図であり図11は本発明におけるタッチパネルセンサの他の例を示す概略平面図であり、図10(i)は図11のB−B線断面図である。なお、図11において絶縁層は省略されている。
まず、図10(a)に示すように、樹脂基板2上に酸化インジウム錫を含有する透明電極層3を形成する。通常、この透明電極層3は非晶質膜である。次いで、図10(b)に示すように、透明電極層3の表面に過熱水蒸気Sを吹き付けて熱処理を行う。この熱処理により、透明電極層3は結晶化される。次に、図10(c)に示すように、透明電極層3上に配線層11を形成する。続いて、図10(d)に示すように、配線層11上にレジスト層12をパターン状に形成し、レジスト層12をマスクとして配線層11および透明電極層3を一括してエッチングした後、レジスト層12を除去する。これにより、図10(e)に示すように、配線層11および透明電極層3が一括してパターニングされる。次いで、図10(f)に示すように、アクティブエリア以外にレジスト層13をパターン状に形成し、アクティブエリアの配線層11を選択的にエッチングした後、レジスト層13を除去する。これにより、図10(g)に示すように、所望のパターン状に配線層11および透明電極層3が形成される。この際、図11に例示するように、樹脂基板2の同一平面上に菱形状の第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bを有する透明電極層3が形成される。また、第1透明電極層3aの一端に電気的に接続された配線11aおよび第2透明電極層3bの一端に電気的に接続された配線11bも同時に形成される。次に、図10(h)に示すように、透明電極層3上に絶縁層15をパターン状に形成する。この際、図11に示すようなX方向に伸長する第1透明電極層3aにおいて、菱形状の部分同士を連結する部分の上に絶縁層(図示なし)を形成する。次に、図10(i)に示すように、絶縁層15上に第2透明電極層(図示なし)を電気的に接続するブリッジ電極16を形成する。これにより、図11に示すように、ブリッジ電極16により第2透明電極層3bがY方向に接続される。このようにして、タッチパネルセンサ10が得られる。
本発明によれば、酸化インジウム錫を含有する透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより、低温かつ短時間で透明電極層を結晶化させ、低抵抗の透明電極層を形成することができ、樹脂基板に対する熱負荷を低減し、透明電極層でのクラックの発生を抑制することができる。したがって、高感度のタッチパネルセンサを得ることが可能である。
また本発明においては、上述のように、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことにより透明電極層を結晶化させるため、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を得ることができる。そのため、透明電極層および配線層を一括してパターニングする場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層の溶解等を抑制することができる。
なお、樹脂基板については、上記「A.透明電極基板の製造方法」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明のタッチパネルセンサの製造方法における熱処理工程および本発明におけるタッチパネルセンサの他の構成について説明する。
1.熱処理工程
本発明における熱処理工程は、透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、透明電極層を結晶化させる工程である。
なお、熱処理工程については、上記「A.透明電極基板の製造方法」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
熱処理工程は、透明電極層のパターニング前に行ってもよく、透明電極層のパターニング後に行ってもよく、また配線層の形成前に行ってもよく、配線層の形成後に行ってもよい。熱処理工程、透明電極層のパターニングおよび配線層の形成の順序は、配線層の形成方法等に応じて適宜選択される。
例えば透明電極層および配線層を一括してパターニングする場合、図6(a)〜(h)に示す例においては図6(b)〜(c)に示すように第1透明電極層3aおよび第2電極層3bのパターニング前に熱処理工程を行っているが、図6(d)に示すように第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3b上に配線層11a、11bを形成した後に図示しないが熱処理工程を行ってもよく、図6(f)に示すように第1透明電極層3aおよび第2電極層3bならびに配線層11a、11bの一括パターニング後に図示しないが熱処理工程を行ってもよく、図6(h)に示すように配線層11a、11bの選択エッチング後に図示しないが熱処理工程を行ってもよい。なお、図6(d)および図6(f)に示すように第1透明電極層3aおよび第2電極層3b上にそれぞれ配線層11a、11bが形成されている場合においても、配線層には熱伝導性の高い金属材料が好ましく用いられ、配線層の厚みは非常に薄くすることができるため、第1透明電極層および第2透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施すことが可能である。
また、これらの熱処理工程は、いずれか一つを行ってもよく、複数を組み合わせて行ってもよい。図6(b)〜(c)、(d)または(f)に示す段階で熱処理工程を行う場合には、第1透明電極層および第2透明電極層ならびに配線層の選択エッチングの際に第1透明電極層および第2透明電極層の溶解等を抑制することができる。また、図6(b)〜(c)、(d)または(f)に示す段階で熱処理工程を行い、さらに図6(h)に示す段階で熱処理工程を行う場合には、第1透明電極層および第2透明電極層をさらに結晶化させることができる。
また、透明電極層および配線層を一括してパターニングする場合には、透明電極層および配線層の選択エッチングを行うことから、熱処理工程は選択エッチング前に行うことが好ましい。一方、スクリーン印刷法等の印刷法により予め配線層をパターン状に形成し、透明電極層および配線層をそれぞれパターン状に形成する場合には、熱処理工程は、透明電極層のパターニング前に行ってもよく、透明電極層のパターニング後に行ってもよく、また配線層の形成前に行ってもよく、配線層の形成後に行ってもよい。配線層の形成後に熱処理工程を行う場合、配線層に銅等の酸化されやすい導電性材料を用いた場合であっても、熱処理の雰囲気は過熱水蒸気の雰囲気であり、無酸素状態にすることができるため、配線層の酸化を防ぐことができる。
また、樹脂基板の一方の面に第1透明電極層を形成し、樹脂基板の他方の面に第2透明電極層を形成する場合、図6(a)〜(h)に示す例においては図6(b)〜(c)に示すように片面ずつ熱処理を施しているが、図示しないが例えば両面にそれぞれ第1透明電極層および第2透明電極層が形成された樹脂基板を搬送ロールを用いて搬送し、両面同時に熱処理を施してもよい。
2.透明電極層
本発明に用いられる透明電極層は、樹脂基板上にパターン状に形成され、酸化インジウム錫を含有するものである。
タッチパネルセンサは、通常、互いに絶縁されている第1透明電極層および第2透明電極層を有している。第1透明電極層および第2透明電極層は少なくともいずれか一方が酸化インジウム錫を含有する透明電極層であり、この酸化インジウム錫を含有する透明電極層に熱処理工程を行えばよい。中でも、第1透明電極層および第2透明電極層の両方が酸化インジウム錫を含有する透明電極層であり、これらの酸化インジウム錫を含有する透明電極層に熱処理工程を行うことが好ましい。
透明電極層のパターン形状としては、タッチパネルセンサとして機能しうる透明電極層のパターン形状を適宜選択することができ、例えば、ストライプ状、菱形状等の任意のパターン形状とすることができる。なお、図11に示す例においては、第1透明電極層3aおよび第2透明電極層3bの端部に配列される電極の形状は、菱形状の略2分の1で切断された形状、つまり三角形状としたが、これは透明電極層と配線層との接続面積を充分に確保するための任意の形状である。
透明電極層の配置としては、タッチパネルセンサにおける一般的な透明電極層の配置と同様とすることができる。例えば、樹脂基板の一方の面に第1透明電極層を形成し、樹脂基板の他方の面に第2透明電極層を形成してもよく、樹脂基板の片面に絶縁層を介して第1透明電極層および第2透明電極層を形成してもよく、第1透明電極層が形成された樹脂基板と第2透明電極層が形成された樹脂基板とを接着層を介して貼り合わせてもよい。
透明電極層のパターニング方法としては、例えばフォトリソグラフィ法が挙げられる。樹脂基板の両面にそれぞれ第1透明電極層および第2透明電極層をパターン状に形成する際、第1透明電極層および第2透明電極層上にそれぞれ光透過性を有さない配線層が形成されている場合には、フォトリソグラフィ法により両面同時にパターニング可能である。この場合、第1透明電極層および第2透明電極層のパターンの位置精度が良好であり、微細なパターンを精度良く形成することができる。
上述したように、透明電極層のパターニング前に熱処理工程を行ってもよく、透明電極層のパターニング後に熱処理工程を行ってもよく、透明電極層のパターニングおよび熱処理工程の順序は、配線層の形成方法等に応じて適宜選択される。
3.配線層
本発明に用いられる配線層は、樹脂基板上にパターン状に形成され、透明電極層に接続されるものである。
配線層は、透明電極層および外部回路間において電気的流通を可能とするものであり、通常、透明電極層からの電流を外部に取り出すためのものであり、タッチパネルセンサにおける取り出し配線や金属配線等を含むものである。
配線層は、一般的には、タッチパネルセンサの使用者から視認されるアクティブエリアの外側に形成される。そのため、配線層を構成する材料は、導電性材料であればよく、光透過性の有無は問わない。具体的には、高い導電性を有する銀や銅等の金属材料が好ましく用いられる。より具体的には、配線層を構成する金属材料としては、金属単体、金属の複合体、金属と金属化合物の複合体、金属合金を挙げることができる。金属単体としては、銀、銅、金、クロム、プラチナ、アルミニウムの単体等を例示することができる。金属の複合体としては、MAMと称されるモリブデン、アルミニウムおよびモリブデンの3層構造体等を挙げることができる。金属と金属化合物の複合体としては、酸化クロムおよびクロムの積層体等を例示することができる。金属合金としては、銀合金や銅合金が汎用される。また、金属合金としては、APCと称される銀、パラジウムおよび銅の合金等を例示することができる。
また、配線層を構成する金属材料には、適宜、樹脂組成物が混在してもよい。
また、スクリーン印刷等の印刷方法により配線層を形成する場合には、配線層の形成材料として、数十nm〜数μmの粒径の銀や銅等の金属粒子と樹脂バインダとを含有し、溶媒を用いて適度に調製された金属粒子含有ペーストが汎用される。樹脂バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン等の単体あるいは混合物が用いられる。
配線層の表面にはUVオゾンや酸素プラズマ等の表面処理等が施されていてもよい。
配線層の配置としては、タッチパネルセンサにおける一般的な配線の配置と同様とすることができる。
配線層の厚みおよび幅は、特に限定されるものではなく、配線層の形成方法等に応じて適宜調整される。例えば、配線層をフォトリソグラフィ法によりパターニングする場合には、厚みは10nm〜500nm程度、幅は5μm〜200μm程度とすることができる。また、配線層をスクリーン印刷等の印刷法によりパターン状に形成する場合には、厚みは5μm〜20μm程度、幅は20μm〜300μm程度とすることができる。
配線層の形成方法としては、タッチパネルセンサにおける一般的な配線層の形成方法と同様とすることができ、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法等が挙げられる。また、スクリーン印刷法等の印刷法により予め配線層をパターン状に形成することもできる。また、配線層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィ法が挙げられる。フォトリソグラフィ法の場合、例えば、まず、樹脂基板上に透明電極層および配線層が順に積層された積層体上にレジスト層を形成し、パターン露光および現像した後、配線層および透明電極層を一括でエッチングし、レジスト層を除去し、次いで、アクティブエリア以外の領域にさらにレジスト層を形成し、アクティブエリア内の透明電極層上に残存する配線層をエッチングする方法が挙げられる。本発明においては、低抵抗かつ耐薬品性を有する透明電極層を形成することができるため、透明電極層および配線層の選択エッチングの際に透明電極層が溶解するのを抑制することができる。
上述したように、配線層の形成前に熱処理工程を行ってもよく、配線層の形成後に熱処理工程を行ってもよく、配線層の形成および熱処理工程の順序は、配線層の形成方法等に応じて適宜選択される。
4.絶縁層
本発明においては、樹脂基板の片面に絶縁層を介して第1透明電極層および第2透明電極層を形成してもよい。絶縁層は、第1透明電極層および第2透明電極層を絶縁するために設けられるものである。
絶縁層としては、タッチパネルセンサにおける一般的な絶縁層と同様することができるので、ここでの説明は省略する。
5.接着層
本発明においては、第1透明電極層が形成された樹脂基板と第2透明電極層が形成された樹脂基板とを接着層を介して貼り合わせてもよい。
接着層としては、タッチパネルセンサにおける一般的な接着層と同様することができるので、ここでの説明は省略する。
6.オーバーコート層
本発明においては、所望のパターン状に形成された透明電極層および配線層上にオーバーコート層を形成してもよい。オーバーコート層は、例えば、タッチパネルセンサの使用時や搬送時、タッチパネルセンサ上に任意の部材を形成する際等に、タッチパネルセンサを保護するために設けられるものである。
オーバーコート層としては、タッチパネルセンサにおける一般的なオーバーコート層と同様することができるので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
(透明電極基板の作製)
まず、樹脂基板として、300mm×400mm、厚み100μmの東レ(株)製のPETフィルム ルミラーT60を準備し、表面を清浄となるよう水洗処理した。次いで、樹脂基板の片面に、ITOを用いてスパッタリング法により厚み30nmの透明電極層を形成した。
次に、日本電熱株式会社製の過熱水蒸気発生装置を用いて、透明電極層に対して過熱水蒸気を吹き付け熱処理を行った。過熱水蒸気の温度および透明電極層を過熱水蒸気に接触させる時間については、下記表1に示す条件とした。
(タッチパネルセンサの作製)
次に、透明電極層上に、銀、パラジウムおよび銅を含むAPC合金を用いて、スパッタリング法により厚み100nmの配線層を形成した。
次いで、配線層上に、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のポジ型感光性材料を塗布して、厚み1μmのレジスト層を形成した。そして、レジスト層上に、透明電極層および配線層のパターンに対応したフォトマスクを配置した。続いて、フォトマスクを介してレジスト層に波長365nm、照射エネルギー100mJ/m2の紫外線を照射し、レジスト層をパターン露光した。その後、フォトマスクを取り除き、レジスト層を現像し、不要なレジスト層を除去した。続いて、パターニングされたレジスト層をマスクにして、透明電極層および配線層を酸性溶剤でエッチングした。その後、レジスト層を除去した。
次に、アクティブエリア以外の領域をレジスト層で覆い、配線層をリン硝酢酸でエッチングし、アクティブエリア内の透明電極層上に残る配線層を除去した。このようにして、所望のパターン状に透明電極層および配線層を形成した。
(評価)
(1)シート抵抗
熱処理前、熱処理後およびリン硝酢酸によるエッチング後の透明電極層について、三菱化学株式会社製の表面抵抗計ロレスタMCP四端子プローブを用い、JIS R1637(ファインセラミックス薄膜の抵抗率試験方法:4探針法による測定方法)に基づき、シート抵抗を測定した。
(2)結晶化
熱処理後の透明電極層について、日立ハイテクノロジーズ社製 超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 SU8020を用いて下記条件にて、HA−BSEと称される高角度反射電子を検出し、結晶コントラストからグレインと称される結晶状態の有無を観察した。
・検出器:Top
・倍率 :25000倍
グレインが観察されなかった場合を「×」、グレインが観察された場合を「○」と判定した。
(3)耐薬品性
透明電極層のリン硝酢酸に対する耐性を確認した。透明電極層がリン硝酢酸に溶解、侵食等されて、リン硝酢酸によるエッチング前に対してリン硝酢酸によるエッチング後の透明電極層のシート抵抗が30%以上増加した場合あるいはシート抵抗が測定不能である場合を「×」と判定した。一方、リン硝酢酸によるエッチング前に対してリン硝酢酸によるエッチング後の透明電極層のシート抵抗が30%以上増加しなかった場合を「○」と判定した。
Figure 2014135010
透明電極層に対して過熱水蒸気による熱処理を行い結晶化させることにより、シート抵抗が低下することが確認された。また、透明電極層を十分に結晶化させることにより、耐薬品性が向上することが確認された。
[比較例1]
透明電極層に対して、過熱水蒸気による熱処理に替えて、オーブンを用いて160℃で20分間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして透明電極基板を作製した。
樹脂基板の変形によって透明電極層にクラックが発生し、シート抵抗を測定不可能であった。
1 … 透明電極基板
2 … 樹脂基板
3 … 透明電極層
3a … 第1透明電極層
3b … 第2透明電極層
11、11a、11b … 配線層
S … 過熱水蒸気

Claims (4)

  1. 酸化インジウム錫を含有する透明電極層が形成された樹脂基板を準備する準備工程と、
    前記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、前記透明電極層を結晶化させる熱処理工程と
    を有することを特徴とする透明電極基板の製造方法。
  2. 前記熱処理工程にて、耐薬品性を有する前記透明電極層を形成することを特徴とする請求項1に記載の透明電極基板の製造方法。
  3. 樹脂基板と、前記樹脂基板上に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層とを少なくとも有するデバイスの製造方法であって、
    前記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、前記透明電極層を結晶化させる熱処理工程を有することを特徴とするデバイスの製造方法。
  4. 樹脂基板と、前記樹脂基板上にパターン状に形成され、酸化インジウム錫を含有する透明電極層と、前記樹脂基板上にパターン状に形成された配線層とを有するタッチパネルセンサの製造方法であって、
    前記透明電極層に過熱水蒸気による熱処理を施し、前記透明電極層を結晶化させる熱処理工程を有することを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法。
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