JP2014134491A - 電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】電線の取り付け位置に起因する電流測定精度のばらつきを抑制可能な電流センサを提供すること。
【解決手段】電線(5)を挿通する挿通孔(H1)が設けられた基板(11)と、挿通孔を囲むように基板に配置された複数の磁電変換素子(12)と、挿通孔に電線を固定する固定部材(16)と、を備え、固定部材は、隣り合う2個の磁電変換素子の配置点(P1,P2)のそれぞれと挿通孔内の基準点(O)とを通る2本の直線(L1,L2)のなす角度の4分の1の角度で2本の直線の一方が他方に向けて基準点を支点として回転されてなる基準直線(L3,L4)上に、電線の中心点(O2)が位置付けられるように電線を固定することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、被測定電流によって生じる誘導磁界に基づいて電流値を算出可能な電流センサに関する。
電気自動車やハイブリッドカーなどにおけるモータ駆動技術の分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、大電流を非接触で測定可能な電流センサが求められている。このような電流センサとして、被測定電流によって生じる磁界の変化を複数の磁電変換素子で検出する電流センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載される電流センサは、電線を挿入される挿通孔の設けられた基板と、この挿通孔の周囲を囲むように所定の間隔で配置された4個の磁電変換素子とを備えている。この電流センサにおいては、挿通孔に挿入された電線を流れる被測定電流からの誘導磁界に応じて各磁電変換素子から信号が出力される。この出力信号の合計値に基づいて、被測定電流の電流値は算出される。
特開2006−322706号公報
ところで、電流センサに対する電線の取り付け位置が理想的な取り付け位置からずれると、磁電変換素子の受ける磁界は変動して電流測定精度は低下してしまう。この現象は、電線を囲むように複数の磁電変換素子が配置された特許文献1の電流センサでも同様に発生する。このため、例えば、特許文献1に記載される電流センサにおいて、挿通孔より径の小さな電線を用いる場合などには、電流センサに対する電線の取り付け位置にばらつきが生じ易くなって、目的とする電流測定精度を得ることができなくなる恐れがあった。
このような電流センサにおいて、電線の取り付け位置のばらつきに起因する電流測定精度の低下を防ぐには、挿通孔の周囲に配置される磁電変換素子を増やして電線の位置ずれに対する許容度を高めれば良い。しかしながら、この方法は、多数の磁電変換素子を必要とするので、製造に係るコストや電流センサのサイズの制約などから現実的ではないという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電線の取り付け位置に起因する電流測定精度の低下を抑制可能な電流センサを提供することを目的とする。
本発明の電流センサは、電線を挿通する挿通孔が設けられた基板と、前記挿通孔を囲むように前記基板に配置された複数の磁電変換素子と、前記挿通孔に前記電線を固定する固定部材と、を備え、前記固定部材は、隣り合う2個の前記磁電変換素子の配置点のそれぞれと前記挿通孔内の基準点とを通る2本の直線のなす角度の4分の1の角度で前記2本の直線の一方が他方に向けて前記基準点を支点として回転されてなる基準直線上に、前記電線の中心点が位置付けられるように前記電線を固定することを特徴とする。
この構成によれば、電線は、隣り合う2個の磁電変換素子の配置点のそれぞれと基準点とを通る2本の直線のなす角度の4分の1の角度方向に延びる基準直線に沿って固定されるので、電線の取り付け位置に起因する電流センサの出力変動を小さくして電流測定精度の低下を抑制できる。
本発明の電流センサにおいて、前記基準点は、3個以上の前記磁電変換素子の配置点から距離の等しい点でも良い。また、前記基準点は、前記挿通孔の中心点でも良い。
本発明の電流センサにおいて、偶数個の前記磁電変換素子を備えることが好ましい。この構成によれば、磁電変換素子の出力のバランスを取り易くなるので、電流測定精度のばらつきをより容易に抑制できる。
本発明の電流センサにおいて、前記複数の磁電変換素子は、等間隔に配置されることが好ましい。この構成によれば、磁電変換素子の出力のバランスを取り易くなるので、電流測定精度のばらつきをより容易に抑制できる。
本発明の電流センサは、4個の前記磁電変換素子を備え、前記2本の直線のなす角度の4分の1の角度は、22.5度であっても良い。また、6個の前記磁電変換素子を備え、前記2本の直線のなす角度の4分の1の角度は、15度であっても良い。また、8個の前記磁電変換素子を備え、前記2本の直線のなす角度の4分の1の角度は、11.25度であっても良い。
本発明の電流センサにおいて、前記基板を収容する筐体を備え、前記固定部材は、前記筐体に固定される結束バンドであることが好ましい。この構成によれば、結束バンドにより、電流センサに対して電線を適切な位置に固定できる。
本発明の電流センサにおいて、前記挿通孔は、前記基準直線上に角部を有することが好ましい。この構成によれば、基準直線上に角部を有する挿通孔の形状で電線をガイドして適切な位置に固定できる。
本発明によれば、電線の取り付け位置に起因する電流測定精度の低下を抑制可能な電流センサを提供できる。
実施の形態1に係る電流センサの構成例を示す模式図である。 実施の形態1に係る電流センサの構成例を示す機能ブロック図である。 実施の形態1に係る電流センサにおいて、電線の取り付け位置と電流センサの出力との関係を説明するための図である。 電線を取り付けるための取り付け構造を含む電流センサの外観形状を示す斜視図である。 電線を取り付けられた状態の電流センサの外観形状を示す平面図である。 実施の形態2に係る電流センサの構成例を示す模式図である。 実施の形態2に係る電流センサにおいて、電線の取り付け位置と電流センサの出力との関係を説明するための図である。 実施の形態3に係る電流センサの構成例を示す模式図である。 実施の形態3に係る電流センサにおいて、電線の取り付け位置と電流センサの出力との関係を説明するための図である。 実施の形態4に係る電流センサの構成例を示す模式図である。
非接触で電流を測定する電流センサでは、電線と電流センサとの位置関係がずれると電流測定精度は大きく低下してしまう。電流センサ内の磁電変換素子が受ける誘導磁界の強さは、誘導磁界の発生源である被測定電流からの距離に依存するためである。磁電変換素子と電線との距離が小さくなれば磁電変換素子の受ける誘導磁界は強くなるので、実際の測定値は理想的な測定値(理想値)に対して正方向にずれる。一方、磁電変換素子と電線との距離が大きくなれば磁電変換素子の受ける誘導磁界は弱くなるので、実際の測定値は理想値に対して負方向にずれる。
これは、複数の磁電変換素子が電線を囲むように配置される電流センサにおいても同様である。すなわち、理想値の得られる基準点から、ある磁電変換素子に向かって電線が移動されると、実際の測定値は理想値から正方向にずれる。一方、隣り合う2個の磁電変換素子の中間点に向かって電線が移動されると、実際の測定値は理想値から負方向にずれる。
本発明者はこの点に着目し、複数の磁電変換素子が電線を囲むように配置される電流センサにおいて、電線の取り付け位置を、正負のずれが相殺される方向に制限すれば、電線の取り付け位置がばらついたとしても、実際の測定値と理想値とのずれを小さく抑えることができるのではないかと考えた。そして、この着想に基づき本発明を完成させた。すなわち、本発明の骨子は、隣り合う2個の磁電変換素子の中間点に向かう方向と、2個の磁電変換素子の一方に向かう方向との間の方向に電線の取り付け位置を制限することである。言い換えれば、隣り合う2個の磁電変換素子の配置点のそれぞれと基準点とを通る2本の直線のなす角度の4分の1の角度方向に延びる基準直線上に電線の取り付け位置を制限することである。
ここで、基準点とは、理想的な測定値の得られる位置をいい、例えば、3個以上の磁電変換素子の配置点から距離の等しい点である。基準直線の延びる4分の1の角度方向とは、厳密に2本の直線のなす角度の4分の1の角度方向である必要はなく、十分な効果を得ることのできる±12分の1の角度程度の誤差範囲は許容される。4分の1の角度方向から12分の1の角度程度ずれても、電線のずれによる電流測定値の変動量を最大値の半分以下にできる。以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る電流センサ1の構成例を示す模式図である。なお、図1では、説明の便宜上、電流センサ1の構成の一部のみを示している。図1に示すように、電流センサ1は、略平坦な主面S1を有する基板11を備えている。基板11には、主面S1に開口部を有し、電線5の挿通される挿通孔H1が設けられている。主面S1には、挿通孔H1を囲むように4個の磁電変換素子12(12a〜12d)が配置されている。なお、特に言及しない場合、各構成要素の配置などは、主面S1に対して垂直な方向から見た状態で説明する。
基板11は、各種の電子部品を実装可能なプリント基板であり、主面S1には、後述する接続関係を満たす複数の配線(不図示)が設けられている。基板11に設けられた挿通孔H1は、略円形の外周形状を有している。なお、本実施の形態では、略円形の挿通孔H1を設けた矩形状の基板11を示しているが、基板11の構成は特に限定されない。例えば、基板11は、挿通孔H1の一部を開放するように切り欠かれていても良い。また、基板11は、矩形状でなくても良く、挿通孔H1は、略円形でなくても良い。
4個の磁電変換素子12は、略円形の挿通孔H1を囲むように互いに略等間隔に配置されている。具体的には、4個の磁電変換素子12は、それぞれ、円C1に沿って略等間隔に配置されている。円C1の中心点は、挿通孔H1の中心点O1と一致している。すなわち、4個の磁電変換素子12は、いずれも中心点O1から等しい距離に配置されている。ただし、磁電変換素子12の数及び配置点は特に限定されない。磁電変換素子12は、少なくとも挿通孔H1に挿通される電線5を囲むように配置されていれば良い。なお、磁電変換素子12としては、例えば、磁気抵抗効果素子やホール素子などを用いることができる。
図2は、本実施の形態に係る電流センサ1の構成例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、磁電変換素子12a,12bは互いに接続されており、電線5を流れる被測定電流に応じて第1のセンサ出力信号Out1が得られるようになっている。また、磁電変換素子12c,12dは互いに接続されており、電線5を流れる被測定電流に応じて第2のセンサ出力信号Out2が得られるようになっている。
磁電変換素子12a,12bと、磁電変換素子12c,12dとは、演算回路である差動アンプ13の2個の入力端にそれぞれ接続されている。このため、4個の磁電変換素子12からの2系統のセンサ出力信号(第1のセンサ出力信号Out1、第2のセンサ出力信号Out2)は、差動アンプ13にそれぞれ入力される。差動アンプ13は、2系統のセンサ出力信号を差動演算して電流センサ1の出力信号Outを生成する。生成された電流センサ1の出力信号Outは、差動アンプの出力端から外部に出力される。
このように構成された電流センサ1において、電線5の取り付け位置が理想的な取り付け位置である中心点O1からずれると、電流測定精度は低下してしまうことがある。図3は、電線5の取り付け位置と電流センサ1の出力との関係を説明するための図であり、図3Aは、電流センサ1を想定したシミュレーションモデルを示し、図3Bは、そのシミュレーション結果を示す。ここでは、図3Aに示すように、各磁電変換素子12からの距離が等しい点(挿通孔H1の中心点O1)を、電線5の取り付け位置の基準点Oとして、電線5の位置ずれ方向及び位置ずれ量と電流センサ1の出力変動との関係をシミュレーションした。基準点Oから各磁電変換素子12までの距離は10mmとした。位置ずれ方向は、図3Aに示すX軸となす角度で表した。
図3Bに示すように、基準点OからX軸方向(X軸となす角度が0度の方向)に向かって電線5がずれる場合、すなわち、磁電変換素子12aと磁電変換素子12bとの中間点に向かって電線5がずれる場合、位置ずれ量が大きくなると、出力は負方向に変動する。一方で、X軸と45度の角度をなす方向に向かって電線5がずれる場合、すなわち、磁電変換素子12aに向かって電線5がずれる場合、位置ずれ量が大きくなると、出力は正方向に変動する。このような出力変動が起こるのは、電流センサ1の出力信号Outにおいて、電線5に近い磁電変換素子12の影響が強く表れるためである。
そこで、本実施の形態の電流センサ1では、出力の負方向の変動と正方向の変動とが相殺されるような方向に電線5の取り付け位置を制限する。具体的には、隣り合う2個の磁電変換素子12a,12bの配置点P1,P2のそれぞれと基準点Oとを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度方向に延びる基準直線L3,L4上に電線を固定する。この4分の1の角度方向は、図3に示すモデルにおいてX軸と22.5度の角度をなす方向に相当する。図3Bに示すように、22.5度の角度方向に沿って電線5がずれても、電流センサ1の出力は殆ど変化しない。よって、電線5の取り付け位置をこの方向に延びる基準直線L3,L4上に制限すれば、電流測定精度の低下を抑制できる。
すなわち、本実施の形態の電流センサ1では、図1に示すように、隣り合う2個の磁電変換素子12a,12bの配置点P1,P2のそれぞれと挿通孔H1の中心点O1(基準点O)とを通る2本の直線L1,L2のなす角度(90度)の4分の1の角度(22.5度)で、直線L1を直線L2に向けて中心点O1を支点に回転させてなる基準直線L3上、又は、直線L2を直線L1に向けて中心点O1を支点に回転させてなる基準直線L4上に、電線5の中心点O2が位置付けられるように電線5を固定する。
図4は、電線5を取り付けるための取り付け構造を含む電流センサ1の外観形状を示す斜視図であり、図5は、電線5を取り付けられた状態の電流センサ1の外観形状を示す平面図である。図4及び図5に示すように、電流センサ1は、基板11を収容する筐体14(14a,14b)を備えている。筐体14には、基板11の挿通孔H1に対応する位置に略円形の挿通孔H2が設けられている。挿通孔H2の径は、挿通孔H1の径と略等しくなっている。この挿通孔H2には、被測定電流の流れる電線5が挿通される。
挿通孔H2の外周近傍には、筐体14aの主面S2から外向きに突出された柱状部15が設けられている。柱状部15は、挿通孔H2と等しい曲率で湾曲された湾曲側面15aを有している。この湾曲側面15aは、挿通孔H2の外周と接するように形成されており、挿通孔H2に挿通された電線5が当接される。また、柱状部15は、湾曲側面15aに隣接する側面15b,15cを有している。側面15b,15cには、柱状部15を貫通する貫通孔H3の開口部が形成されている。
図5に示すように、挿通孔H2に電線5が挿通された状態で、柱状部15の貫通孔H3(図5において不図示、図4参照)には、電線5の取り付け位置を制限するための結束バンド(固定部材)16が挿通される。結束バンド16は、湾曲側面15aに対して電線5を押しつけるように貫通孔H3に留められている。このように、電線5を、結束バンド16で湾曲側面15aに押し付けるように固定することで、電線5の取り付け位置を制限できる。
具体的には、電線5は、結束バンド16による押し付け方向に応じて決定される直線L5に沿って中心点O2が位置付けられるように固定される。このため、直線L5と、上述した基準直線L3,L4とを一致させるように結束バンド16による押し付け方向を設定することで、中心点O2を基準直線L3,L4に沿って位置付けるように電線5を固定できる。なお、直線L5上における中心点O2の位置は、円柱状の電線5の径に応じて決定される。
以上のように、本実施の形態の電流センサ1では、結束バンド(固定部材)16によって、隣り合う2個の磁電変換素子12a,12bの配置点P1,P2のそれぞれと挿通孔H1内の中心点O1(基準点O)とを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度で2本の直線L1,L2の一方が他方に向けて中心点O1(基準点O)を支点として回転されてなる基準直線L3,L4上に、電線5の中心点O2が位置付けられるように電線5を固定するので、電線5の取り付け位置に起因する電流センサ1の出力変動を小さくして電流測定精度の低下を抑制できる。
本実施の形態に係る構成は、他の実施の形態に係る構成と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる構成の電流センサ2について説明する。図6は、本実施の形態に係る電流センサ2の構成例を示す模式図である。なお、電流センサ2の構成の多くは、電流センサ1の構成と共通している。このため、電流センサ1と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態の電流センサ2は、挿通孔H1を囲む6個の磁電変換素子22(22a〜22f)を備えている。6個の磁電変換素子22は、それぞれ、円C2に沿って略等間隔に配置されている。円C2の中心点は、挿通孔H1の中心点O1と一致している。
本実施の形態の電流センサ2においても、出力の負方向の変動と正方向の変動とが相殺されるような方向に電線5の取り付け位置を制限する。図7は、電線5の取り付け位置と電流センサ1の出力との関係を説明するための図であり、図7Aは、電流センサ2を想定したシミュレーションモデルを示し、図7Bは、そのシミュレーション結果を示す。ここでは、図7Aに示すように、各磁電変換素子22からの距離が等しい点(挿通孔H1の中心点O1)を、電線5の取り付け位置の基準点Oとして、電線5の位置ずれ方向及び位置ずれ量と電流センサ2の出力変動との関係をシミュレーションした。基準点Oから各磁電変換素子22までの距離は10mmとした。位置ずれ方向は、図7Aに示すX軸となす角度で表した。
図7Bに示すように、基準点OからX軸方向(X軸となす角度が0度の方向)に向かって電線5がずれる場合、すなわち、磁電変換素子22bに向かって電線5がずれる場合、位置ずれ量が大きくなると、出力は正方向に変動する。一方で、X軸と30度の角度をなす方向に向かって電線5がずれる場合、すなわち、磁電変換素子22aと磁電変換素子22bとの中間点に向かって電線5がずれる場合、位置ずれ量が大きくなると、出力は負方向に変動する。これらに対し、X軸と15度の角度をなす方向に向かって電線5がずれる場合、すなわち、2個の磁電変換素子22a,22bの配置点P1,P2のそれぞれと基準点Oとを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度方向に向かって電線5がずれる場合、出力は殆ど変動しない。
このように、6個の磁電変換素子22を備える本実施の形態の電流センサ2においても、電線5を、隣り合う2個の磁電変換素子22a,22bの配置点P1,P2のそれぞれと挿通孔H1内の中心点O1(基準点O)とを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度方向に延びる基準直線L3,L4上に固定することで、電線5の取り付け位置に起因する電流センサ2の出力変動を小さくして電流測定精度の低下を抑制できる。
本実施の形態に係る構成は、他の実施の形態に係る構成と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる構成の電流センサ3について説明する。図8は、本実施の形態に係る電流センサ3の構成例を示す模式図である。なお、電流センサ3の構成の多くは、電流センサ1の構成と共通している。このため、電流センサ1と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
図8に示すように、本実施の形態の電流センサ3は、挿通孔H1を囲む8個の磁電変換素子32(32a〜32h)を備えている。8個の磁電変換素子32は、それぞれ、円C3に沿って略等間隔に配置されている。円C3の中心点は、挿通孔H1の中心点O1と一致している。
本実施の形態の電流センサ3においても、出力の負方向の変動と正方向の変動とが相殺されるような方向に電線5の取り付け位置を制限する。図9は、電線5の取り付け位置と電流センサ1の出力との関係を説明するための図であり、図9Aは、電流センサ3を想定したシミュレーションモデルを示し、図9Bは、そのシミュレーション結果を示す。ここでは、図9Aに示すように、各磁電変換素子32からの距離が等しい点(挿通孔H1の中心点O1)を、電線5の取り付け位置の基準点Oとして、電線5の位置ずれ方向及び位置ずれ量と電流センサ3の出力変動との関係をシミュレーションした。基準点Oから各磁電変換素子32までの距離は10mmとした。位置ずれ方向は、図9Aに示すX軸となす角度で表した。
図9Bに示すように、基準点OからX軸方向(X軸となす角度が0度の方向)に向かって電線5がずれる場合、すなわち、磁電変換素子32aと磁電変換素子32bとの中間点に向かって電線5がずれる場合、位置ずれ量が大きくなると、出力は負方向に変動する。一方で、X軸と22.5度の角度をなす方向に向かって電線5がずれる場合、すなわち、磁電変換素子32aに向かって電線5がずれる場合、位置ずれ量が大きくなると、出力は正方向に変動する。これらに対し、X軸と11.25度の角度をなす方向に向かって電線5がずれる場合、すなわち、2個の磁電変換素子32a,32bの配置点P1,P2のそれぞれと基準点Oとを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度方向に向かって電線5がずれる場合、出力は殆ど変動しない。
このように、8個の磁電変換素子32を備える本実施の形態の電流センサ3においても、電線5を、隣り合う2個の磁電変換素子32a,32bの配置点P1,P2のそれぞれと挿通孔H1内の中心点O1(基準点O)とを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度方向に延びる基準直線L3,L4上に固定することで、電線5の取り付け位置に起因する電流センサ3の出力変動を小さくして電流測定精度の低下を抑制できる。
本実施の形態に係る構成は、他の実施の形態に係る構成と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる構成の電流センサ4について説明する。図10は、本実施の形態に係る電流センサ4の構成例を示す模式図である。なお、電流センサ4の構成の多くは、電流センサ1の構成と共通している。このため、電流センサ1と共通する構成についての詳細な説明は省略する。
図10に示すように、本実施の形態の電流センサ4は、主面S3に開口部を有する矩形状の挿通孔H4の設けられた基板41を有している。挿通孔H4の周囲には、8個の磁電変換素子42(42a〜42h)が配置されている。8個の磁電変換素子42は、それぞれ、円C4に沿って略等間隔に配置されている。円C4の中心点は、挿通孔H4の中心点O3と一致している。
本実施の形態の電流センサ4においても、出力の負方向の変動と正方向の変動とが相殺されるような方向に電線5の取り付け位置は制限される。具体的には、電線5は、隣り合う2個の磁電変換素子42a,42bの配置点P1,P2のそれぞれと挿通孔H4内の中心点O3とを通る2本の直線L1,L2のなす角度の4分の1の角度方向に延びる基準直線L3上に固定される。
本実施の形態の電流センサ4において、挿通孔H4は、基準直線L3に沿って配置された角部Aを形成する2本の辺B,Cを有している。挿通孔H4内において円柱状の電線5を角部Aに向かって押し付けることで、電線5の側面は、2本の辺B,Cに当接される。つまり、電線5は、中心点O2が基準直線L3上に位置付けられるようにガイドされる。このように、角部Aを有する形状の挿通孔H4を設けることで、電線5の取り付け位置を適切に制限できる。電線5の押し付けは、例えば、板ばねなどの付勢部材を用いて行われる。スポンジなどの弾性部材を挿通孔H4に詰めることで、電線5を押しつけても良い。すなわち、板ばねなどの付勢部材やスポンジなどの弾性部材を、電線5を固定する固定部材として用いることができる。
なお、本実施の形態では、基板41に角部Aを有する形状の挿通孔H4を設けているが、実施の形態1において示すような筐体に、角部を有する形状の挿通孔を設けても良い。また、挿通孔H4の形状は、矩形状に限定されず、角部Aと、角部Aを挟む2本の辺B,Cとを有する多角形状であれば良い。角部Aは、基準直線L4上に設けられても良い。
本実施の形態に係る構成は、他の実施の形態に係る構成と適宜組み合わせて実施することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態では、偶数個の磁電変換素子を備える電流センサを示しているが、電流センサは、奇数個の磁電変換素子を備えていても良い。なお、偶数個の磁電変換素子を備える構成では、磁電変換素子の出力のバランスを取り易くなるので、電流測定精度のばらつきを容易に抑制できる。
また、上記実施の形態では、複数の磁電変換素子が等間隔に配置された電流センサを示しているが、複数の磁電変換素子は、等間隔に配置されていなくても良い。その場合、電線の取り付け位置を決定するための基準点は、基板の挿通孔の中心点、又は、3個以上の磁電変換素子の配置点から距離の等しい点とすることが好ましい。なお、基板の挿通孔の形状が非対称の場合など、挿通孔の中心点を適切に決定できない場合には、3個以上の磁電変換素子の配置点から距離の等しい点を基準点として用いれば良い。
また、上記実施の形態では、円柱状の電線5を用いる場合について示しているが、本発明は、角柱状の電線を用いる場合にも同様に適用できる。この場合、電線の形状に応じて、挿通孔の形状などを変更しても良い。
また、電流センサに用いられる複数の磁電変換素子は、それぞれ、一の素子で構成されていても良いし、複数の素子を含んでも良い。例えば、2個又は4個の磁気抵抗効果素子を含む磁電変換素子を用いることができる。この場合には、適切な出力が得られるように、複数の磁電変換素子の接続関係を適切に設定すれば良い。
さらに、上記実施の形態における各素子の接続関係、大きさなどは、発明の趣旨を変更しない限りにおいて適宜変更することが可能である。また、上記実施の形態に示す構成、方法などは、適宜組み合わせて実施することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。
本発明の電流センサは、電線の取り付け位置に起因する電流測定精度の低下を抑制できるので、例えば、任意の径の電線を取り付け可能な電流センサとして有用である。
1,2,3,4 電流センサ
5 電線
11 基板
12,12a,12b,12c,12d,22,22a,22b,22c,22d,22e,22f,32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,42,42a,42b,42c,42d,42e,42f,42g,42h 磁電変換素子
13 差動アンプ
14,14a,14b 筐体
15 柱状部
15a 湾曲側面
15b,15c 側面
16 結束バンド(固定部材)
A 角部
B,C 辺
C1,C2,C3,C4 円
H1,H2,H4 挿通孔
H3 貫通孔
L1,L2,L5 直線
L3,L4 基準直線
O 基準点
O1,O2,O3 中心点
P1,P2 配置点
S1,S2,S3 主面

Claims (10)

  1. 電線を挿通する挿通孔が設けられた基板と、
    前記挿通孔を囲むように前記基板に配置された複数の磁電変換素子と、
    前記挿通孔に前記電線を固定する固定部材と、を備え、
    前記固定部材は、隣り合う2個の前記磁電変換素子の配置点のそれぞれと前記挿通孔内の基準点とを通る2本の直線のなす角度の4分の1の角度で前記2本の直線の一方が他方に向けて前記基準点を支点として回転されてなる基準直線上に、前記電線の中心点が位置付けられるように前記電線を固定することを特徴とする電流センサ。
  2. 前記基準点は、3個以上の前記磁電変換素子の配置点から距離の等しい点であることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記基準点は、前記挿通孔の中心点であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電流センサ。
  4. 偶数個の前記磁電変換素子を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
  5. 前記複数の磁電変換素子は、等間隔に配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電流センサ。
  6. 4個の前記磁電変換素子を備え、
    前記2本の直線のなす角度の4分の1の角度は、22.5度であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流センサ。
  7. 6個の前記磁電変換素子を備え、
    前記2本の直線のなす角度の4分の1の角度は、15度であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流センサ。
  8. 8個の前記磁電変換素子を備え、
    前記2本の直線のなす角度の4分の1の角度は、11.25度であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電流センサ。
  9. 前記基板を収容する筐体を備え、
    前記固定部材は、前記筐体に固定される結束バンドであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の電流センサ。
  10. 前記挿通孔は、前記基準直線上に角部を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の電流センサ。
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