JP2014133968A - 未延伸フッ素樹脂繊維及び延伸フッ素樹脂繊維並びに未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法及び延伸フッ素樹脂繊維の製造方法 - Google Patents

未延伸フッ素樹脂繊維及び延伸フッ素樹脂繊維並びに未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法及び延伸フッ素樹脂繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】繊維径が10μm以下の延伸フッ素樹脂繊維の量産化が容易な又はマルチフィラメント品の製造が可能な製造方法を提供すること、及びそれに用いられる未延伸フッ素樹脂繊維を提供すること。また、伸びが大きい延伸フッ素樹脂繊維を提供すること及びそれに用いられる未延伸フッ素樹脂繊維を提供すること。
【解決手段】(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であり、該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維。
【選択図】図1

Description

本発明は、テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体又は造核剤を含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物からなる未延伸のフッ素樹脂、それを延伸して得られる延伸フッ素樹脂に関する。また、本発明は、テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体又は造核剤を含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物からなる未延伸フッ素樹脂繊維及び延伸フッ素樹脂繊維の製造方法に関する。
従来、テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体からなるフッ素樹脂(PFA樹脂)を、ノズル直下にPFA樹脂の融点より高い温度で保たれた雰囲気の恒温槽を設置した特殊な溶融紡糸装置を使い、溶融紡糸法を用いて紡糸することで、未延伸のPFA樹脂繊維を作製し、更に、加熱ヒーターで加熱して延伸することにより、延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)が製造されていた(特許文献1、2)。このような従来のフッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)の製造方法では、溶融紡糸後の未延伸繊維を延伸することにより、繊維径を小さくすることが行われていた。
しかし、未延伸のフッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を延伸するにも、延伸倍率には限界があるため、従来、繊維径が19μm以下の延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を得ることは困難であった。
繊維径が19μm以下の延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を得る方法として、特許文献3には、PFA樹脂を、溶融紡糸法を用いて紡糸し、次いで、炭酸ガスレーザーを用いて延伸することにより、繊維径が19μm以下の延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を得る方法が開示されている。
特開昭63−219616号公報(特許請求の範囲) 特開2002−69746号公報(特許請求の範囲) 特開2006−57228号公報(特許請求の範囲)
特許文献1、2で示されるような延伸繊維の従来方法では、繊維径が太い未延伸PFA樹脂繊維を延伸することにより、繊維径が20μm以下の延伸PFA樹脂繊維を得ているが、繊維径を20μm以下とするためには、極限近くまで延伸しなければならなかった。そのため、伸びが小さい延伸PFA樹脂繊維しか得られないという問題もあった。
また、特許文献3に示されるような溶融紡糸後、炭酸ガスレーザーによる延伸で、延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を得る従来方法では、量産化が困難であるということや、マルチフィラメント品を製造することが困難であるという問題があった。
また、上記従来方法では、繊維径が大きい未延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を延伸することにより、繊維径が20μm以下の延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)を
得ているが、繊維径を20μm以下とするためには、極限近くまで延伸しなければならなかった。そのため、伸びが小さい延伸フッ素樹脂繊維(PFA樹脂繊維)しか得られないという問題もあった。
従って、本発明の課題は、繊維径が10μm以下の延伸フッ素樹脂繊維の量産化が容易な又はマルチフィラメント品の製造が可能な製造方法を提供すること、及びそれに用いられる繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を提供することにある。また、本発明の課題は、伸びが大きい延伸フッ素樹脂繊維を提供すること及びそれに用いられる未延伸フッ素樹脂繊維を提供することにある。また、本発明の課題は、新規な未延伸フッ素樹脂繊維を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、メルトフローレートが特定の範囲にあるフッ素樹脂(以下で述べる(A)共重合体又は(B)共重合体組成物)を溶融紡糸することにより、従来より繊維径が小さい紡糸繊維(未延伸フッ素樹脂繊維)が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であり、
該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(2)は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物のメルトフローレートが60g/10分以上であり、
該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(3)は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(4)は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(5)は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(6)は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物のメルトフローレートが60g/10分以上であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(7)は、本発明(1)〜(6)いずれかのフッ素樹脂繊維を延伸して得られる繊維であり、繊維径が10μm以下であることを特徴とする延伸フッ素樹脂繊維を提供するものである。
また、本発明(8)は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体であり且つメルトフローレートが60g/10分以上である共重合体を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、該(A)共重合体を、紡糸ノズルから吐出させつつ、該紡糸ノズルから吐出された(A)共重合体を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶融紡糸工程を有することを特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法を提供するものである。
また、本発明(9)は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物であり且つメルトフローレートが60g/10分以上である共重合体組成物を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、該(B)共重合体組成物を、紡糸ノズルから吐出させつつ、該紡糸ノズルから吐出された(B)共重合体組成物を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶融紡糸工程を有することを特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法を提供するものである。
また、本発明(10)は、本発明(8)又は(9)の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法を行い得られた未延伸フッ素樹脂繊維を、延伸することにより、延伸フッ素樹脂繊維を得る延伸工程を有することを特徴とする延伸フッ素樹脂繊維の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、繊維径が10μm以下の延伸フッ素樹脂繊維の量産化が容易な又はマルチフィラメント品の製造が可能な製造方法を提供すること、及びそれに用いられる繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を提供することができる。また、本発明によれば、伸びが大きい延伸フッ素樹脂繊維を提供すること及びそれに用いられる未延伸フッ素樹脂繊維を提供することができる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維を製造する装置の形態例を示す模式図である。
本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であり、
該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維である。
また、本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物のメルトフローレートが60g/10分以上であり、
該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維である。
本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、溶融紡糸されるものが、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体(以下、略して(A)共重合体とも記載する。)である。また、本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、溶融紡糸されるものが、(B)造核剤を0.01〜10.0%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物(以下、略して(B)共重合体組成物とも記載する。)である。なお、以下、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維との記載は、本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維と本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維とを総称する記載である。
本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(A)共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維である。
(A)共重合体は、テトラフルオロエチレンとフルオロアルコキシトリフルオロエチレンを共重合させて得られる共重合体である。
(A)共重合体のメルトフローレート(MFR)は、60g/10分以上、好ましくは60〜80g/10分、特に好ましくは65〜75g/10分である。(A)共重合体のメルトフローレートが上記範囲にあることにより、繊維径が小さい未延伸フッ素樹脂繊維となる。なお、本発明において、メルトフローレートは、ASTM D−3307に準拠して測定される。
本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(B)共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維である。
(B)共重合体組成物は、主成分が、テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体であり、そのテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体中に、造核剤が0.01〜10.0質量%含有されている。
(B)共重合体組成物の主成分であるテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体は、前記(A)共重合体と同様である。よって、(B)共重合体組成物は、造核剤を含有する(A)共重合体である。熱可塑性のフッ素樹脂である(A)共重合体に造核剤を含有させることで、(A)共重合体の球晶形成能を制御することができるので、冷却の際に形成される球晶を小さくし、表面を平滑にできる。
(B)共重合体組成物に含有されている造核剤としては、造核剤として機能するものであれば、種類は特に制限されず、例えば、金属塩、有機化合物、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂等が挙げられる。これらのうち、使用時の純粋性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、すなわち、ポリテトラフルオロエチレン又はポリテトラフルオロエチレン誘導体が好ましい。
造核剤の粒径は、目的とする繊維径より小さい粒径でなくてはならず、好ましくは目的とする繊維径の3分の1以下であり、特に好ましくは目的とする繊維径の10分の1以下であり、更に、小さければ小さいほど好ましい。造核剤の粒径が大きいと、溶融紡糸の際の糸切れの原因となり易い。
フッ素樹脂繊維を、炭素繊維やガラス繊維などの強化繊維と複合化して、複合化糸を作製し、次いで、それを織物加工(一方向、平織、多軸織物等)をして、中間材料を得、次いで、得られた中間材料を直接加熱成形加工することにより、フッ素樹脂繊維を強化繊維に含浸させて複合材製品を得る方法(混織法、コミングル法)に、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維又は本発明の延伸フッ素樹脂繊維を適用できる。このとき、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維又は本発明の延伸フッ素樹脂繊維を形成する樹脂が、造核剤を含有することにより(すなわち、繊維が(B)共重合体組成物からなることにより)、加熱成形加工の際に発生する球晶を細かくすることができるので、複合材の強度が向上する。
(B)共重合体組成物に含有されている造核剤であるポリテトラフルオロエチレン系樹脂は、テトラフルオロエチレンのみを重合させた重合体であってよいし、あるいは、テトラフルオロエチレンに加えて、微量のコモノマーも共重合させた共重合体であってもよい。本発明では、テトラフルオロエチレンに加えて、微量のコモノマーも共重合させた共重合体も、(B)共重合体組成物に含有されている造核剤に係るポリテトラフルオロエチレン系樹脂に含まれる。このような微量のコモノマーとしては、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルエチレン、クロロトリフルオロエチレン等の共重合性モノマーが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレン系樹脂中の微量のコモノマーの重合割合は、メルトフローレートが以下で述べる範囲となり且つ本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択される。
(B)共重合体組成物中の造核剤の含有量は、(A)共重合体と造核剤の合計に対して、0.01〜10.0質量%、特に好ましくは0.05〜5.0質量%である。また、(B)共重合体組成物中の(A)共重合体の含有量は、(A)共重合体と造核剤の合計に対して、90.0〜99.99質量%、特に好ましくは95.0〜99.5質量%である。
(B)共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)は、60g/10分以上、好ましくは60〜80g/10分、特に好ましくは65〜75g/10分である。(B)共重合体組成物のメルトフローレートが上記範囲にあることにより、繊維径が小さい未延伸フッ素樹脂繊維となる。
本発明においては、溶融紡糸されるものが、メルトフローレートが上記範囲にある(A)共重合体(造核剤を含有しない(A)共重合体のみの場合)であれば、本発明の効果は得られる。そして、(A)共重合体が造核剤を含有することで、(A)共重合体のみの場合に比べ、再結晶化平均球結晶径が小さくなるので、本発明においては、溶融紡糸されるものが、メルトフローレートが上記範囲にある(B)共重合体組成物であることが、本発明の効果が得易くなる点で好ましい。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維(すなわち、本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維又は本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維、以下同じ。)は、延伸がされていないフッ素樹脂繊維である。本発明の未延伸フッ素樹脂繊維は、例えば、図1に示す本発明の延伸フッ素樹脂繊維を製造する装置の形態例を用いて製造される。図1中、延伸フッ素樹脂繊維の製造装置10は、押出機1と、紡糸ノズル2と、引取ロール3と、延伸用加熱ヒーター4と、延伸用ロール5と、巻き取りロール6とからなる。先ず、押出機1に(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を投入し、押出機1内で溶融温度以上の温度に、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を加熱し、次いで、押出機1の押出部材(図示せず。)にて、溶融温度以上の温度に加熱されている(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を押出し、紡糸ノズル2より、加熱された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を吐出させる。次いで、紡糸ノズル2より吐出された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、引取ロール3にて引きながら紡糸し、紡糸された繊維、すなわち、未延伸フッ素樹脂繊維11を得る。次いで、得られた未延伸フッ素樹脂繊維11を、巻き取りロール6に巻き取る。このとき、溶融紡糸して得られた未延伸フッ素樹脂繊維11を、延伸することなく、巻き取りロール6に巻き取る。具体的には、延伸用加熱ヒーター4を切っておき、すなわち、加熱せずに、且つ、延伸用ロール5の周速度及び巻き取りロール6の周速度を、引取ロール3の周速度と同じにして行う。
つまり、未延伸フッ素樹脂繊維とは、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物の溶融紡糸により紡糸された繊維、すなわち、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を溶融温度以上の温度で溶融して紡糸ノズルより吐出し、吐出した(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を引取手段により引き取ることにより得られる繊維である。
また、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維には、延伸フッ素樹脂繊維の製造過程で生じる未延伸フッ素樹脂繊維も含まれる。図1の延伸フッ素樹脂繊維の製造装置10において、先ず、押出機1に(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を投入し、押出機1内で溶融温度以上の温度に、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を加熱し、次いで、押出機1の押出部材(図示せず。)にて、溶融温度以上の温度に加熱されている(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を押出し、紡糸ノズル2より、加熱された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を吐出させる。次いで、紡糸ノズル2より吐出された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、引取ロール3にて引きながら紡糸し、紡糸された繊維、すなわち、未延伸フッ素樹脂繊維11を得る。次いで、得られた未延伸フッ素樹脂繊維11を、延伸用加熱ヒーター4で加熱しながら、延伸用ロール5で延伸して、延伸フッ素樹脂繊維12を得る。次いで、得られた延伸フッ素樹脂繊維12を、巻き取りロール6に巻き取る。このとき、製造過程で得られる未延伸フッ素樹脂繊維11も、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維に含まれる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維は、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を溶融紡糸することにより得られたものであればよく、紡糸繊維を得るための溶融紡糸装置の構成、溶融紡糸の条件等の溶融紡糸方法は、特に制限されない。例えば、図1に示す製造装置は、一度に複数の紡糸繊維を紡糸してマルチフィラメント品を得る溶融紡糸方法に用いられるものを示しているが、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維は、一度に1本の紡糸繊維を紡糸してシングルフィラメント品を得る溶融紡糸方法で得られたものであってもよい。また、本発明の未延伸のフッ素樹脂繊維は、フッ素樹脂を溶融紡糸した後の繊維であり且つ延伸が行われていない繊維を指すので、本発明の未延伸のフッ素樹脂繊維には、未延伸のフッ素樹脂繊維の製造方法において、フッ素樹脂を溶融紡糸した後、延伸することなく巻き取りローラーに巻き取られた未延伸繊維も、延伸フッ素樹脂繊維の製造工程において、フッ素樹脂を溶融紡糸した後の繊維であり且つ延伸が行われる前の繊維も含まれる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径は、19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmである。未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が上記範囲にあることにより、繊維径が10μm以下、好ましくは2.5〜7μm、特に好ましくは2.5〜4.5μmの延伸フッ素樹脂繊維の製造が容易となり、また、伸びが大きい上記繊維径の延伸フッ素樹脂繊維を得ることができる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の伸びは、好ましくは35%以上、特に好ましくは35〜55%、更に好ましくは40〜50%である。未延伸フッ素樹脂繊維の伸びが上記範囲にあることにより、繊維径が10μm以下、好ましくは2.5〜7μm、特に好ましくは2.5〜4.5μmの延伸フッ素樹脂繊維の製造が容易となり、また、伸びが大きい上記繊維径の延伸フッ素樹脂繊維を得ることができる。
本発明の延伸フッ素樹脂繊維は、前記本発明の未延伸フッ素樹脂繊維を延伸して得られる繊維であり、繊維径が10μm以下であることを特徴とする延伸フッ素樹脂繊維である。
本発明の延伸フッ素樹脂繊維の繊維径は、10μm以下、好ましくは2.5〜7μm、特に好ましくは2.5〜4.5μmである。
本発明の延伸フッ素樹脂繊維は、用途や使用目的等により伸び(%)が適宜選択される。そして、5〜10%と伸び小さい延伸フッ素樹脂繊維から、11〜34%と伸びが大きい延伸フッ素樹脂繊維まで、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維を用いることにより製造可能となる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維は、例えば、以下に示す本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法により製造される。
本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体であり且つメルトフローレートが60g/10分以上である共重合体を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、該(A)共重合体を、紡糸ノズルから吐出させつつ、該紡糸ノズルから吐出された(A)共重合体を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶融紡糸工程を有することを特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法である。
本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物であり且つメルトフローレートが60g/10分以上である共重合体組成物を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、該(B)共重合体組成物を、紡糸ノズルから吐出させつつ、該紡糸ノズルから吐出された(B)共重合体組成物を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶融紡糸工程を有することを特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法である。
本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法に係る溶融紡糸工程は、(A)共重合体を溶融紡糸する工程である。また、本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法に係る溶融紡糸工程は、(B)共重合体組成物を溶融紡糸する工程である。
本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法の溶融紡糸工程に係る(A)共重合体は、本発明の第一の形態の未延伸フッ素樹脂繊維に係る(A)共重合体と同様である。また、本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法の溶融紡糸工程に係る(B)共重合体組成物は、本発明の第二の形態の未延伸フッ素樹脂繊維に係る(B)共重合体組成物と同様である。
(A)共重合体又は(B)共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)は、60g/10分以上、好ましくは60〜80g/10分、特に好ましくは65〜75g/10分である。(A)共重合体又は(B)共重合体組成物のメルトフローレートが上記範囲にあることにより、繊維径が小さい未延伸フッ素樹脂繊維となる。
溶融紡糸工程では、先ず、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を溶融温度以上の温度に加熱する。溶融紡糸工程における(A)共重合体又は(B)共重合体組成物の加熱温度、つまり、紡糸ノズルから溶融した(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を吐出させるときの(A)共重合体又は(B)共重合体組成物の温度は、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物の溶融温度以上の温度であり、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物の種類や溶融温度により適宜選択されるが、通常、370〜420℃、好ましくは400〜420℃である。
溶融紡糸工程では、次いで、加熱して溶融させた(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、紡糸ノズルから吐出させつつ、紡糸ノズルから吐出された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、引取手段で引き取ることにより、紡糸する。
紡糸ノズルから吐出させた溶融(A)共重合体又は(B)共重合体組成物は、引取手段及びその近傍では、室温付近まで冷却されている。繊維の冷却を行うために、引取手段の前で、繊維に冷却風を当てて冷却することも可能であり、また、紡糸繊維を水浴に通すことで冷却することも可能である。
溶融紡糸工程における紡糸では、吐出速度と引取速度により、紡糸により得られる未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が定まるので、吐出速度と引取速度を調節することにより、紡糸により得られる未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径を、19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmに調節する。
紡糸ノズルは、溶融樹脂を繊維状に吐出するための手段であり、特にその形状は限定されない。また、紡糸ノズルにある吐出口の数は、モノフィラメント品を製造する場合は、紡糸ノズルの吐出口の数は1つであり、マルチフィラメント品を製造する場合は、紡糸ノズルの吐出口の数は複数である。モノフィラメント品を作製した後に、モノフィラメント品を束ねて(合糸)、マルチフィラメント品を作製することも可能である。
引取手段は、紡糸ノズルから吐出した繊維状の溶融樹脂を引くことにより、紡糸するための手段である。引取手段で紡糸ノズルから吐出した溶融樹脂を引取る際には、ポリプロピレンやポリエステルなどの汎用熱可塑性樹脂を溶融紡糸する際の手段と同様の手段を適用できる。
溶融紡糸工程では、紡糸ノズルと引取手段との間には、加熱手段を設けない。本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法では、溶融紡糸される(A)共重合体又は(B)共重合体組成物のメルトフローレートを60g/10分以上、好ましくは60〜80g/分、特に好ましくは65〜75g/10分とすることにより、紡糸ノズルと引取手段との間に加熱手段を設けなくとも、繊維径が小さい繊維を紡糸することができる。
そして、溶融紡糸工程を行うことにより、繊維径が19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmの未延伸フッ素樹脂繊維を得る。
また、本発明では、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、紡糸ノズルから吐出させつつ、紡糸ノズルから吐出された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶融紡糸工程に代えて、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、溶融温度以上の温度に加熱して、(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、紡糸ノズルから吐出させつつ、紡糸ノズルから吐出された(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を、連続した長い繊維でフリースを形成させるスパンボンド法や、エアーで樹脂を伸ばすメルトブロー法等、種々の紡糸方法により、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸して、溶融紡糸工程を行うことができる。溶融紡糸工程における紡糸方法は、樹脂を溶融させて溶融紡糸を行う紡糸方法であれば、特に制限されない。
溶融紡糸工程を行った後、得た未延伸フッ素樹脂繊維を、そのまま未延伸繊維製品とてもよいし、あるいは、溶融紡糸工程を行った後、得た未延伸フッ素樹脂繊維を、そのまま続く後段の延伸工程にて延伸して、延伸繊維製品とすることもできる。
本発明の延伸フッ素樹脂繊維の製造方法は、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法を行い得られた未延伸フッ素樹脂繊維を、延伸することにより、延伸フッ素樹脂繊維を得る延伸工程を有することを特徴とする延伸フッ素樹脂繊維の製造方法である。
延伸工程は、未延伸フッ素樹脂繊維を、延伸することにより、延伸フッ素樹脂繊維を得る工程である。
延伸工程では、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法に係る溶融紡糸工程を行い得られた未延伸フッ素樹脂繊維、すなわち、繊維径が19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmの未延伸フッ素樹脂繊維を、樹脂の融点以下の温度、100〜200℃で加熱しながら、延伸する。
延伸工程において未延伸フッ素樹脂繊維を加熱する際の加熱温度は、100〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
延伸工程では、延伸に用いる未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径及び伸び並びに延伸倍率を選択することにより、延伸工程を行い得られる延伸フッ素樹脂繊維の繊維径及び伸びを調節することができる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法では、溶融紡糸の原料に、メルトフローレートが60g/10分以上、好ましくは60〜80g/10分、特に好ましくは65〜75g/10分の(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を用いて、溶融紡糸を行うことにより、19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmと繊維径が小さい未延伸のフッ素樹脂繊維を得ることができる。これは本発明で使用される(A)共重合体又は(B)共重合体組成物のMFRが低いだけではなく、メルトフラクチャーが発生する限界せん断速度も高いため、径が細いノズルから吐出が可能になったことにも起因する。すなわち、径が細いノズルを使うことで、ドラフト比が小さくなるため、結果として細い径の繊維の作製が容易になる。
一方、従来技術では、溶融紡糸の原料として用いるPFA樹脂のメルトフローレートが高いため、繊維径が小さい紡糸繊維を得ることができない。さらにこれは、本発明で使用される(A)共重合体又は(B)共重合体組成物と比べ、メルトフラクチャーが発生する限界せん断速度も低いことも原因として挙げられる。すなわち、径が細いノズルから吐出しようとした場合、高せん断が掛かってしまい、メルトフラクチャーが発生して、糸切れする。従って、従来技術では、細いノズルを使って紡糸することができないため、細い繊維を作製する際に、紡糸が高ドラフト比となってしまい、糸切れが発生しやすくなることが理由として挙げられる。
また、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法では、メルトフローレートが60g/10分以上、好ましくは60〜80g/10分、特に好ましくは65〜75g/10分の(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を用いて、溶融紡糸を行っているので、紡糸ノズルと引取手段との間に加熱手段を設ける必要がない。そのため、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法は、従来技術のように、紡糸ノズルと引取手段との間に加熱手段が設けられている場合に比べ、簡易な装置及び操作にて紡糸ができ且つ製造コストを低くすることができる。
また、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法では、メルトフローレートが60g/10分以上、好ましくは60〜80g/10分、特に好ましくは65〜75g/10分の(A)共重合体又は(B)共重合体組成物を用いることにより、メルトフラクチャーを起こり難くすることができる。そのため、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法は、従来技術に比べ、溶融紡糸工程での溶融樹脂の吐出量を多く、吐出速度を速くすることができるので、生産効率を高くすることができる。
本発明の未延伸フッ素樹脂繊維は、19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmと繊維径が小さいにもかかわらず、延伸されていないので、伸び(%)が大きい。そのため、延伸により、10μm以下、好ましくは4.5〜8.5μm、特に好ましくは4.5〜6.3μmと繊維径が小さい延伸フッ素樹脂繊維を得ることができる。
また、本発明の未延伸フッ素樹脂繊維は、19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmと繊維径が小さいにもかかわらず、延伸されていないので、延伸倍率を調節することにより、繊維径が小さいにもかかわらず伸び(%)が大きい延伸フッ素樹脂繊維を得ることができる。
一方、従来は、本発明のような、繊維径が小さい未延伸のフッ素樹脂繊維が得られなかった。そのため、従来の繊維径が大きい未延伸のフッ素樹脂繊維を、加熱ヒーターで加熱して延伸したのでは、19μm以下の繊維径が小さい延伸フッ素樹脂繊維を得ることはできなかった。
また、従来の繊維径が大きい未延伸のフッ素樹脂繊維を、炭酸ガスレーザーを用いて延伸を行えば、非常に大きな延伸倍率で延伸できるため、19μm以下、好ましくは8.7〜18.8μmと繊維径が小さい延伸フッ素樹脂繊維を得ることができるものの、モノフィラメント品しか製造できず、マルチフィラメント品を製造することは困難であった。それに対して、本発明では、19μm以下、好ましくは6〜16μm、特に好ましくは6〜10μmと繊維径が小さい未延伸フッ素樹脂繊維を用いて、加熱ヒーターによる加熱により延伸が行えるので、10μm以下、好ましくは2.5〜7μm、特に好ましくは2.5〜4.5μmと繊維径が小さい延伸フッ素樹脂繊維のマルチフィラメント品を製造することができる。
また、上記のことから、本発明によれば、以下の未延伸フッ素樹脂繊維を提供することができる。
本発明の第三の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維である。
本発明の第四の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維である。
本発明の第五の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維である。
本発明の第六の形態の未延伸フッ素樹脂繊維は、(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
該(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物のメルトフローレートが60g/10分以上であること、
を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維である。
(実施例1)
(未延伸フッ素樹脂繊維の製造)
図1に示す製造装置を用いて、以下のようにして、未延伸フッ素樹脂繊維Aを製造した。
<原料>
・ポリテトラフルオロエチレンを含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体
・メルトフローレート:70g/10分
<溶融紡糸条件>
・溶融温度:420℃
・紡糸ノズル径:0.4mm
・吐出速度:35mg/分(1ノズルあたり)
・引取ロール速度:500m/分
・延伸用ロール速度:500m/分
・巻き取りロール速度:500m/分
・延伸用加熱ヒーター:OFF
次いで、得られた未延伸フッ素樹脂繊維Aを日本電子株式会社製FE―SEM JSM7600で観察し、繊維径を求めところ、繊維径は6.45μmであった。また、未延伸フッ素樹脂繊維Aの引張試験を行い、強度と伸びを測定した。その結果、伸びは45%、引張強度は131MPaであった。
(延伸フッ素樹脂繊維の製造)
また、図1に示す製造装置において、押出機1を用いずに、引取ロール3の前段に、上記で未延伸フッ素樹脂繊維Aを巻き取った巻き取りロールを設置し、未延伸フッ素樹脂繊維Aを巻き取った巻き取りロールから、未延伸フッ素樹脂繊維Aを引取ロール3に導入し、未延伸フッ素樹脂繊維Aを、160℃に加熱して、延伸倍率5倍で延伸して、延伸フッ素樹脂繊維Bを得た(引取ロール速度:1m/分、延伸用ロール速度:2.5m/分、巻き取りロール速度:5m/分、延伸用加熱ヒーター:160℃)。得られた延伸フッ素樹脂繊維Bを日本電子株式会社製FE―SEM JSM7600で観察し、繊維径を求めところ、繊維径は2.9μmであった。また、延伸フッ素樹脂繊維Bの引張試験を行い、強度と伸びを測定した。その結果、伸びは11%、引張強度は320MPaであった。
(分析)
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D−3307に準拠して行った。
<繊維径>
フィールドエミッション型走査型電子顕微鏡を用いて観察し、得られたSEM写真中の任意の10箇所に存在している繊維の径を測定し、それら測定値を平均して、繊維径を求めた。
<引張試験>
JIS R7601に準拠して行った。
1 押出機
2 紡糸ノズル
3 引取ロール
4 延伸用加熱ヒーター
5 延伸用ロール
6 巻き取りロール
10 延伸フッ素樹脂繊維の製造装置
11 未延伸フッ素樹脂繊維
12 延伸フッ素樹脂繊維

Claims (11)

  1. (A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維。
  2. (A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
    該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であること、
    を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維。
  3. (A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
    該(A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体のメルトフローレートが60g/10分以上であり、
    該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、
    を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維。
  4. (B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維。
  5. (B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
    該(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物のメルトフローレートが60g/10分以上であること、
    を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維。
  6. (B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物を、溶融紡糸することにより得られる未延伸フッ素樹脂繊維であり、
    該(B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物のメルトフローレートが60g/10分以上であり、
    該未延伸フッ素樹脂繊維の繊維径が19μm以下であること、
    を特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維。
  7. 伸びが35%以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の未延伸フッ素樹脂繊維。
  8. 請求項1〜7いずれか1項記載のフッ素樹脂繊維を延伸して得られる繊維であり、繊維径が10μm以下であることを特徴とする延伸フッ素樹脂繊維。
  9. (A)テトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体であり且つメルトフローレートが60g/10分以上である共重合体を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、該(A)共重合体を、紡糸ノズルから吐出させつつ、該紡糸ノズルから吐出された(A)共重合体を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶
    融紡糸工程を有することを特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法。
  10. (B)造核剤を0.01〜10.0質量%含有するテトラフルオロエチレン/フルオロアルコキシトリフルオロエチレン共重合体組成物であり且つメルトフローレートが60g/10分以上である共重合体組成物を、溶融温度以上の温度に加熱して、紡糸ノズルと引取手段との間には加熱手段を設けないで、該(B)共重合体組成物を、紡糸ノズルから吐出させつつ、該紡糸ノズルから吐出された(B)共重合体組成物を、引取手段で引取ることにより、繊維径が19μm以下の未延伸フッ素樹脂繊維を紡糸する溶融紡糸工程を有することを特徴とする未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法。
  11. 請求項9又は10いずれか1項記載の未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法を行い得られた未延伸フッ素樹脂繊維を、延伸することにより、延伸フッ素樹脂繊維を得る延伸工程を有することを特徴とする延伸フッ素樹脂繊維の製造方法。
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