まず、図1,図2を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用される車両の動力系について説明する。
図1に示すように、車両の動力系は、駆動源としての電動モータ3及びエンジン5と、減速ギヤ組からなる変速機構としての減速機構7と、エンジン5の出力を断続するクラッチ31(図3参照)と、前輪側の左右輪の差動を許容するフロントデフとしての分配機構9とを有する動力伝達装置1と、前車軸503,505と、前輪507,509と、従動系としての後車軸511と、後輪513,515などから構成されている。なお、電動モータ3は、ジェネレータの機能を有するモータ/ジェネレータとなっている。
このように構成された車両の動力系では、駆動源の駆動力が減速機構7を介して分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、前車軸503,505を介して前輪507,509に配分され、この前輪507,509の駆動により後車軸511、後輪513,515が従動され、車両は前輪駆動の二輪駆動となる。
このような車両に適用される動力伝達装置1では、車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまで、エンジン5とエンジン軸13(図3参照)との間の動力伝達を断続するクラッチ31が接続解除状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この駆動源としての電動モータ3からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構9に伝達され、分配機構9に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、電動モータ3は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介してバッテリや蓄電池などの電源(不図示)に充電される。
一方、動力伝達装置1は、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。このエンジン5からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構9に伝達され、分配機構9に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
ここで、図7に示す第4実施形態に係る動力伝達装置301のように、減速機構7と分配機構9との間の動力伝達を断続する断続機構303が設けられている場合には、車両が停止状態であり、電源の残量が所定値以下である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構303が接続解除状態となる。
これにより、エンジン5の回転は、ジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。このとき、断続機構303は、接続解除状態であるので、エンジン5からの駆動力が分配機構9に伝達されることがない。
次に、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用される他の車両の動力系について説明する。
図2に示すように、車両の動力系は、リヤ電動モータ603を駆動源とし、後輪側を駆動する主駆動系605と、電動モータ3とエンジン5とを駆動源とし、前輪側を駆動する副駆動系607とに大別される。
主駆動系605は、駆動源としてのモータ/ジェネレータであるリヤ電動モータ603と、減速ギヤ組などからなるリヤ減速機構609と、後輪側の左右輪の差動を許容するリヤデフ611と、後車軸613,615と、後輪617,619などで構成されている。
この主駆動系605では、車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまで、リヤ電動モータ603からの駆動力がリヤ減速機構609を介してリヤデフ611に伝達され、リヤデフ611に連結された後車軸613,615から後輪617,619に配分される。
これにより、車両は、発進時の場合、後輪駆動の2輪駆動状態となり、発進時から所定速度以上の高速状態までの間に後輪側のスリップや悪路走行などによって前後輪駆動を必要とする場合、前後輪駆動の4輪駆動状態となる。
このとき、リヤ電動モータ603は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーがリヤ電動モータ603を介してバッテリや蓄電池などの電源(不図示)に充電される。
副駆動系607は、駆動源としてのモータ/ジェネレータである電動モータ3及びエンジン5と、減速ギヤ組からなる変速機構としての減速機構7と、エンジン5の出力を断続するクラッチ31(図1参照)と、前輪側の左右輪の差動を許容するフロントデフとしての分配機構9とを有する動力伝達装置1と、前車軸503,505と、前輪507,509などで構成されている。
この副駆動系607では、車両の発進時から所定速度以上の高速状態までの間に後輪側のスリップや悪路走行などによって前後輪駆動を必要とする場合、エンジン5とエンジン軸13(図1参照)との間の動力伝達を断続するクラッチ31が接続解除状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この駆動源としての電動モータ3からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構9に伝達され、分配機構9に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
これにより、車両は、主駆動系605の駆動による後輪駆動と、電動モータ3のモータ機能による前輪駆動のアシストによる4輪駆動状態となる。
このとき、電動モータ3は、リヤ電動モータ603と同様に、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介して電源に充電される。
一方、副駆動系607では、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。
このとき、主駆動系605では、リヤ電動モータ603とリヤデフ611との間の動力伝達を断続するクラッチ(不図示)が設けられている場合、このクラッチが接続解除状態とされ、リヤデフ611とリヤ電動モータ603との間の動力伝達が遮断される。これにより、車両の走行による後輪617,619の回転がリヤ減速機構609やリヤ電動モータ603に伝達されることがなく、無駄な回転系を削減でき、車両の燃費向上を図ることができる。
この駆動源としてのエンジン5からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構9に伝達され、分配機構9に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。これにより、車両は、エンジン5による前輪駆動の2輪駆動状態となる。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
ここで、図7に示す第4実施形態に係る動力伝達装置301のように、減速機構7と分配機構9との間の動力伝達を断続する断続機構303が設けられている場合には、主駆動系605のみによる走行状態で、断続機構303が接続解除状態とされる。
これにより、車両の走行による前輪507,509の回転が減速機構7や電動モータ3及びエンジン5に伝達されることがなく、無駄な回転系を削減でき、車両の燃費向上を図ることができる。
一方、第4実施形態に係る動力伝達装置301が適用された副駆動系607では、車両が停止状態、或いは主駆動系605のみによる走行状態であり、電源の残量が所定値以下である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構303が接続解除状態となる。
これにより、エンジン5の回転は、ジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。このとき、断続機構303は、接続解除状態であるので、エンジン5からの駆動力が分配機構9に伝達されることがない。次に、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置について説明する。
(第1実施形態)
図3を用いて第1実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置1は、電動モータ3と、エンジン5(図1参照)と、電動モータ3とエンジン5との軸方向間に配置され電動モータ3とエンジン5からの駆動力を減速する減速機構7と、この減速機構7で減速された駆動力が伝達される分配機構9とを備えている。
そして、減速機構7は、電動モータ3に接続されるモータ軸11と、このモータ軸11と平行に配置されエンジン5に接続されるエンジン軸13と、このエンジン軸13と平行に配置された入力軸15と、この入力軸15と平行に配置され分配機構9に接続される出力部材17と、モータ軸11とエンジン軸13との間に設けられた第1ギヤ組19と、エンジン軸13と入力軸15との間に設けられた第2ギヤ組21と、入力軸15と出力部材17との間に設けられた第3ギヤ組23とを有する。
また、第1ギヤ組19と第2ギヤ組21とは、エンジン軸13に設けられた同一のギヤ部としての第1大径ギヤ部25に噛み合う。
さらに、エンジン軸13の軸方向端面は、電動モータ3の軸方向側面と対向配置されている。
図3に示すように、動力伝達装置1は、ケーシング27と、電動モータ3と、エンジン5(図1参照)の出力軸に接続される入力部材29と、クラッチ31と、減速機構7と、分配機構9とを備えている。
ケーシング27は、一側ケーシング部33と他側ケーシング部35とがボルトなどの固定手段によって一体的に固定され、内部が主に減速機構7を収容する入力側収容部と、主に分配機構9を収容する出力側収容部となっている。このケーシング27の入力側収容部の一側ケーシング部33の軸方向側面には、電動モータ3が組付けられている。
電動モータ3は、ジェネレータの機能を有するモータ/ジェネレータとなっており、回転軸37の軸方向にロータとステータとが交互に配置されたアキシャルフラックスモータからなる。この電動モータ3は、ラジアル型のモータに比べて径方向が大型であり、軸方向が小型となっている。
ここで、動力伝達装置1は、ケーシング27の他側ケーシング部35側に径方向に大型なエンジン5を有するため、電動モータ3側の径方向の配置スペースに比較的余裕がある。このため、電動モータ3に軸方向に小型なアキシャルフラックスモータを用いることにより、余裕のある径方向の配置スペースに電動モータ3を配置させ、電動モータ3側の軸方向の配置スペースをコンパクト化することができる。
この電動モータ3は、ケーシング27の外部に組付けられ、接続ボックスや接続端子などを介して通電を制御するコントローラ(不図示)に接続されている。また、電動モータ3の回転軸37には、減速機構7のモータ軸11が一体回転可能に連結されている。
このような電動モータ3は、モータとして機能する場合、コントローラの制御によって電源(不図示)から電力が供給され、減速機構7に駆動力を出力する。一方、電動モータ3は、ジェネレータとして機能する場合、コントローラの制御によって車両のブレーキエネルギーやエンジン5の駆動力が入力され、電源に充電する。
入力部材29は、ケーシング27の入力側収容部の他側ケーシング部35内に回転可能に収容され、エンジン5の出力軸に一体回転可能に連結される。この入力部材29と減速機構7のエンジン軸13との間には、エンジン5の出力を断続するクラッチ31が設けられている。
クラッチ31は、入力部材29と、減速機構7のエンジン軸13と一体回転可能に連結された連結部材39の間に設けられた乾式の単板クラッチからなる。このクラッチ31は、コントローラによって制御されるオイル流路がケーシング27に形成され、シリンダ、ピストン、リターンスプリングなどを備えた油圧式アクチュエータ41によって断続操作され、接続されると、エンジン5の駆動力が減速機構7に出力される。
減速機構7は、ケーシング27内の入力側収容部に収容され、モータ軸11と、第1ギヤ組19と、エンジン軸13と、第2ギヤ組21と、入力軸15と、第3ギヤ組23と、出力部材17とを備えている。
モータ軸11は、回転軸心が電動モータ3の回転軸37と平行に配置されている。また、モータ軸11は、軸方向の両側外周でベアリングを介してケーシング27に回転可能に支持され、軸方向の端部側に設けられた連結部を介して電動モータ3の回転軸37が一体回転可能に連結されている。このモータ軸11の外周には、第1小径ギヤ部43が連続する一部材で形成され、第1小径ギヤ部43と第1大径ギヤ部25とで第1ギヤ組19が構成されている。
第1ギヤ組19は、モータ軸11に設けられた第1小径ギヤ部43と、エンジン軸13に設けられた第1大径ギヤ部25とからなる。第1大径ギヤ部25は、エンジン軸13の外周にエンジン軸13と連続する一部材で形成され、第1小径ギヤ部43と噛み合っている。
この第1ギヤ組19は、電動モータ3から出力される駆動力をモータ軸11から減速させてエンジン軸13に出力する。一方、第1ギヤ組19は、電動モータ3がジェネレータとして機能する場合、エンジン5から出力される駆動力をエンジン軸13から増速させて電動モータ3に出力する。
エンジン軸13は、回転軸心がモータ軸11と平行に配置され、軸方向の両側外周でベアリングを介してケーシング27に回転可能に支持されている。また、エンジン軸13は、軸方向の端部側にクラッチ31を構成する連結部材39が一体回転可能に連結されている。さらに、エンジン軸13の電動モータ3側の軸方向端面は、電動モータ3の軸方向側面と対向配置されている。このような配置により、エンジン軸13を軸方向に小型化することができる。このエンジン軸13の外周に設けられた第1大径ギヤ部25は、第2大径ギヤ部45と第2ギヤ組21を構成している。
第2ギヤ組21は、エンジン軸13に設けられた第1大径ギヤ部25と、入力軸15に設けられた第2大径ギヤ部45とからなる。第2大径ギヤ部45は、入力軸15の外周に入力軸15と連続する一部材で形成され、第1大径ギヤ部25と噛み合っている。
このように第1大径ギヤ部25を第1ギヤ組19と第2ギヤ組21とで共用化することにより、構造を簡易化することができると共に、配置スペースを小型化することができる。この第2ギヤ組21は、エンジン軸13から出力される駆動力を等速、或いは僅かに減速させて入力軸15に出力する。
入力軸15は、回転軸心がエンジン軸13と平行に配置され、軸方向の両側外周でベアリングを介してケーシング27に回転可能に支持されている。この入力軸15の第2大径ギヤ部45と軸方向に隣接する部分には、第3小径ギヤ部47が入力軸15と一体回転可能に圧入などの固定手段で固定され、第3小径ギヤ部47と第3大径ギヤ部49とで第3ギヤ組23が構成されている。
第3ギヤ組23は、入力軸15に設けられた第3小径ギヤ部47と、出力部材17に設けられた第3大径ギヤ部49とからなる。第3大径ギヤ部49は、出力部材17の外周に出力部材17と連続する一部材で形成され、第3小径ギヤ部47と噛み合っている。この第3ギヤ組23は、入力軸15から出力される駆動力を減速させて出力部材17に出力する。
出力部材17は、第3大径ギヤ部49が形成されたリングギヤからなり、回転軸心が入力軸15と平行に配置され、ボルトなどの固定手段で分配機構9のデフケース51と一体回転可能に固定されている。この出力部材17は、入力軸15から第3ギヤ組23を介して減速された駆動力が入力され、分配機構9に出力する。
分配機構9は、ケーシング27内の出力側収容部に収容され、デフケース51と、ピニオンシャフト53と、ピニオン55と、一対のサイドギヤ57,59とを有する差動機構からなる。
デフケース51は、回転軸心が減速機構7の入力軸15と平行に配置され、軸方向両側に形成されたボス部でそれぞれベアリングを介してケーシング27に回転可能に支持されている。このデフケース51には、ピニオンシャフト53と、ピニオン55と、一対のサイドギヤ57,59とが収容されている。
ピニオンシャフト53は、端部をデフケース51に係合してピンなどの抜け止め部材で抜け止めされデフケース51と一体に回転駆動される。このピニオンシャフト53には、ピニオン55が支承されている。
ピニオン55は、デフケース51の周方向等間隔に複数配置され、それぞれピニオンシャフト53に支承されてデフケース51の回転によって公転する。また、ピニオン55とデフケース51との径方向間には、ピニオン55の公転時などの径方向への移動を受ける球面ワッシャが配置されている。このピニオン55は、一対のサイドギヤ57,59に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ57,59に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト53に自転可能に支持されている。
一対のサイドギヤ57,59は、それぞれに形成されたボス部でデフケース51に相対回転可能に支持され、ピニオン55と噛み合っている。また、サイドギヤ57,59とデフケース51との軸方向間には、ピニオン55との噛み合い反力によるサイドギヤ57,59の軸方向への移動を受けるスラストワッシャがそれぞれ配置されている。
この一対のサイドギヤ57,59は、内周側にスプライン形状の連結部がそれぞれ設けられ、前車軸503,505(図1参照)に一体回転可能に連結された駆動軸(不図示)がそれぞれサイドギヤ57,59と一体回転可能に連結され、デフケース51に入力された駆動力を前車軸503,505を介して前輪507,509(図1参照)に出力する。
このように構成された動力伝達装置1では、図1に示す車両の動力系に適用される場合には車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまで、或いは図2に示す車両の動力系に適用される場合には車両の発進時から所定速度以上の高速状態までの間に後輪側のスリップや悪路走行などによって前後輪駆動を必要とする場合、クラッチ31が接続解除状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この電動モータ3からの駆動力は、減速機構7の第1ギヤ組19と第2ギヤ組21と第3ギヤ組23とで減速され、分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ57,59に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、電動モータ3は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介して電源に充電される。
一方、動力伝達装置1は、図1,図2に示す車両の動力系のどちらに適用される場合においても、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。
このエンジン5からの駆動力は、減速機構7の第2ギヤ組21と第3ギヤ組23とで減速され、分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ57,59に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
このように減速機構7において、電動モータ3とエンジン5との駆動力をそれぞれ別々に配置されたモータ軸11とエンジン軸13とに入力させることにより、プラネタリギヤ機構などのような複雑な構造を用いることなく、電動モータ3から分配機構9までの減速比と、エンジン5から分配機構9までの減速比とを異ならせることができる。
このような動力伝達装置1では、減速機構7が電動モータ3に接続されるモータ軸11と、エンジン5に接続されるエンジン軸13と、モータ軸11とエンジン軸13との間に設けられた第1ギヤ組19とを有するので、複雑な構造を採用することなく、減速機構7における電動モータ3とエンジン5との減速比を異ならせることができる。
また、モータ軸11とエンジン軸13との間には、第1ギヤ組19が設けられているので、電動モータ3をジェネレータとして機能させる場合、エンジン5の回転を第1ギヤ組19で増速して電動モータ3に伝達させることができ、発電効率を向上させることができる。
従って、このような動力伝達装置1では、簡易な構造で電動モータ3とエンジン5との減速比を異ならせることができる。
また、第1ギヤ組19と第2ギヤ組21とは、エンジン軸13に設けられた同一の第1大径ギヤ部25に噛み合うので、構造を簡易化することができると共に、配置スペースを小型化することができる。
さらに、エンジン軸13の軸方向端面は、電動モータ3の軸方向側面と対向配置されているので、エンジン軸13を軸方向に小型化することができ、減速機構7を小型化することができる。
(第2実施形態)
図4,図5を用いて第2実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置101は、分配機構103は、差動機構105と、この差動機構105の回転軸と直交する方向に配置された出力軸107と、差動機構105と出力軸107との間に設けられ差動機構105からの駆動力を方向変換して出力軸107に伝達する方向変換ギヤ組109とを有する。
なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
まず、図4を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用される車両の動力系について説明する。
図4に示すように、車両の動力系は、駆動源としての電動モータ3及びエンジン5と、減速ギヤ組からなる変速機構としての減速機構7と、エンジン5の出力を断続するクラッチ31(図5参照)と、前輪側の左右輪の差動を許容するフロントデフとしての差動機構105(図5参照)を有する分配機構103とを有する動力伝達装置101と、前車軸503,505と、前輪507,509と、プロペラシャフト703と、後輪側の左右輪の差動を許容するリヤデフ705と、後車軸707,709と、後輪711,713などから構成されている。
このように構成された車両の動力系では、駆動源の駆動力が減速機構7を介して分配機構103に伝達される。この分配機構103に伝達された駆動力は、差動機構105の一対のサイドギヤ57,59(図5参照)に連結された前車軸503,505を介して前輪507,509に配分される。加えて、分配機構103に伝達された駆動力は、差動機構105のデフケース51(図5参照)に設けられた方向変換ギヤ組109(図5参照)で方向変換されて出力軸107(図5参照)に伝達され、出力軸107に連結されたプロペラシャフト703を介してリヤデフ705に伝達される。
このリヤデフ705に伝達された駆動力は、リヤデフ705に連結された後車軸707,709を介して後輪711,713に配分され、車両は前後輪駆動の四輪駆動となる。
このような車両に適用される動力伝達装置101では、車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまで、クラッチ31が接続解除状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この駆動源としての電動モータ3からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構103に伝達され、分配機構103に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分されると共に、方向変換ギヤ組109からプロペラシャフト703を介してリヤデフ705に伝達され、リヤデフ705に連結された後車軸707,709から後輪711,713に配分される。
このとき、電動モータ3は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介してバッテリや蓄電池などの電源(不図示)に充電される。
一方、動力伝達装置101は、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。
このエンジン5からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構103に伝達され、分配機構103に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分されると共に、方向変換ギヤ組109からプロペラシャフト703を介してリヤデフ705に伝達され、リヤデフ705に連結された後車軸707,709から後輪711,713に配分される。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
ここで、図8に示す第5実施形態に係る動力伝達装置401のように、減速機構7と分配機構103との間の動力伝達を断続する断続機構403が設けられている場合には、車両が停止状態であり、電源の残量が所定値以下である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構403が接続解除状態となる。
これにより、エンジン5の回転は、ジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。このとき、断続機構403は、接続解除状態であるので、エンジン5からの駆動力が分配機構103に伝達されることがなく、後輪側に駆動力が伝達されることがない。
なお、例えば、リヤデフ705とプロペラシャフト703との間にカップリングを設ける、或いはリヤデフ705の一方の出力軸上にアクスルディスコネクト機構を設けるなど、前輪側と後輪側との間の動力伝達を断続する2−4切換機構のような断続機構を設けてもよい。次に、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置について説明する。
図5に示すように、分配機構103は、差動機構105と、出力軸107と、方向変換ギヤ組109とを備えている。差動機構105は、上述したように、デフケース51と、ピニオンシャフト53と、ピニオン55と、一対のサイドギヤ57,59などを備えている。この差動機構105に伝達された駆動力は、出力軸107に伝達される。
出力軸107は、差動機構105の回転軸心と直交する方向に配置され、外周側を2つのベアリングを介してケーシング27に回転可能に支持されている。また、出力軸107の軸方向一端側には、プロペラシャフト703(図4参照)側に一体回転可能に連結される連結部材111がスプライン形状の連結部を介して出力軸107と一体回転可能に連結され、ナットなどの固定部材によって軸方向位置が位置決めされている。この出力軸107の軸方向他端側には、方向変換ギヤ組109を構成する出力ギヤ部115が連続する一部材で形成されている。
方向変換ギヤ組109は、大径のリングギヤである入力ギヤ部113と、小径のピニオンである出力ギヤ部115とを有する変速駆動可能なベベルギヤ組からなる。入力ギヤ部113は、差動機構105のデフケース51にボルトなどの固定手段によってデフケース51と一体回転可能に固定され、出力ギヤ部115と噛み合っている。
この方向変換ギヤ組109は、減速機構7を介して差動機構105のデフケース51に伝達された駆動力を変速しつつ方向変換して出力軸107に伝達し、プロペラシャフト703側に出力する。このようにデフケース51に入力ギヤ部113を設け、この入力ギヤ部113を出力軸107の出力ギヤ部115に噛み合わせることにより、デフケース51に中空軸を連結させ、この中空軸に入力ギヤ部113を設けるようなトランスファ装置を分配機構に集約させることができ、装置を大幅に小型化することができる。
このような動力伝達装置101では、分配機構103が差動機構105と、この差動機構105の回転軸と直交する方向に配置された出力軸107と、差動機構105と出力軸107との間に設けられ差動機構105からの駆動力を方向変換して出力軸107に伝達する方向変換ギヤ組109とを有するので、後輪側に駆動力を出力する伝達機構を分配機構103に集約させることができ、装置を大幅に小型化することができる。
(第3実施形態)
図6を用いて第3実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置201は、分配機構203は、差動機構105からなり、差動機構105のデフケース51には、減速機構7の出力部材17とデフケース51とを固定させる固定部材205が設けられている。
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
また、動力伝達装置201は、図1,図2に示すような車両の動力系に適用される。
図6に示すように、分配機構203が差動機構105からなり、差動機構105のデフケース51の外周には、ボルトなどの固定手段を介して減速機構7の出力部材17とデフケース51とを固定させる固定部材205が設けられている。この固定部材205は、図5に示す動力伝達装置101の入力ギヤ部113に変えてデフケース51の外周に組み付けらている。なお、ケーシング27の出力軸107が配置されていた部分には、ボルトなどの固定手段によって閉塞部材207が固定されている。
このため、動力伝達装置201における各部材は、図5に示す動力伝達装置101の各部材と同様である。このように固定部材205と入力ギヤ部113とを変更するだけで、動力伝達装置201と動力伝達装置101との各部材を共用化することができ、図1,図2に示すような車両の動力系や図4に示すような車両の動力系に対応することができ、動力伝達装置201の汎用性を向上することができる。
このような動力伝達装置201では、差動機構105のデフケース51に減速機構7の出力部材17とデフケース51とを固定させる固定部材205が設けられているので、固定部材205と入力ギヤ部113とを変更するだけで、図5に示す動力伝達装置101の各部材を共用化することができ、汎用性を向上することができる。
(第4実施形態)
図7を用いて第4実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置301は、減速機構7と分配機構9との間には、減速機構7と分配機構9との間の動力伝達を断続する断続機構303が設けられている。
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
また、動力伝達装置301は、図1,図2に示すような車両の動力系に適用される。
図7に示すように、減速機構7の入力軸15の軸方向端部側には、減速機構7と分配機構9との間の動力伝達を断続する断続機構303が設けられている。この断続機構303は、断続部305と、油圧式アクチュエータ307とを備えている。なお、入力軸15の外周に配置された第2ギヤ組21を構成する第2大径ギヤ部45は、入力軸15と相対回転可能に配置されている。
断続部305は、入力軸15の外周に入力軸15と一体回転可能に設けられたクラッチドラム部と、第2大径ギヤ部45とボルトなどの固定手段によって第2大径ギヤ部45と一体回転可能に設けられた固定部材との径方向間に設けられ、複数の外側クラッチ板と、複数の内側クラッチ板とを備えている。
複数の外側クラッチ板は、クラッチドラム部の内周に形成されたスプライン形状の係合部に軸方向移動可能で入力軸15と一体回転可能に係合されている。複数の内側クラッチ板は、複数の外側クラッチ板に対して軸方向に交互に配置され、固定部材の外周に形成されたスプライン形状の係合部に軸方向移動可能で第2大径ギヤ部45と一体回転可能に係合されている。
この断続部305は、滑り摩擦を伴い伝達トルクを中間制御可能な制御型の複数のクラッチ板からなる多板クラッチとなっている。このような断続部305は、油圧式アクチュエータ307によって押圧接続され、入力軸15と第2大径ギヤ部45との間の動力伝達を可能とする。
油圧式アクチュエータ307は、入力軸15の軸方向端部に設けられオイルポンプを有する油圧回路と、入力軸15の軸心部に設けられ油圧回路に連通された油路と、クラッチドラム部内に設けられ油路に連通された油圧室と、入力軸15の外周に軸方向移動可能に設けられ油圧室を構成し断続部305に軸方向に隣接配置された押圧部材309とを有する。
この油圧式アクチュエータ307は、油圧回路で油圧が制御されたオイルが油路を介して油圧室に供給され、押圧部材309を断続部305の接続方向に軸方向移動させる。この押圧部材309の軸方向移動により、断続部305が接続され、入力軸15と第2大径ギヤ部45との間の動力伝達が可能となる。この入力軸15と第2大径ギヤ部45との接続により、減速機構7と分配機構9との間の動力伝達が可能となる。
このように構成された動力伝達装置301では、図1に示す車両の動力系に適用される場合、車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまで、クラッチ31が接続解除状態とされ、断続機構303が接続状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この電動モータ3からの駆動力は、減速機構7の第1ギヤ組19と第2ギヤ組21と第3ギヤ組23とで減速され、分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ57,59に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、電動モータ3は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介して電源に充電される。
また、動力伝達装置301は、図1に示す車両の動力系に適用される場合、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構303が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。
このエンジン5からの駆動力は、減速機構7の第2ギヤ組21と第3ギヤ組23とで減速され、分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ57,59に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
さらに、動力伝達装置301は、図1に示す車両の動力系に適用される場合、車両が停止状態であり、電源の残量が所定値以下である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構303が接続解除状態となる。
これにより、エンジン5の回転は、ジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。このとき、断続機構303は、接続解除状態であるので、エンジン5からの駆動力が分配機構9に伝達されることがない。
一方、動力伝達装置301は、図2に示す車両の動力系に適用される場合、車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまでの主駆動系605のみによる走行時の場合、断続機構303が接続解除状態とされる。
これにより、車両の走行による前輪507,509の回転が減速機構7や電動モータ3及びエンジン5に伝達されることがなく、無駄な回転系を削減でき、車両の燃費向上を図ることができる。
また、動力伝達装置301は、図2に示す車両の動力系に適用される場合、車両の発進時から所定速度以上の高速状態までの間に後輪側のスリップや悪路走行などによって前後輪駆動を必要とする場合、クラッチ31が接続解除状態とされ、断続機構303が接続状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この電動モータ3からの駆動力は、減速機構7の第1ギヤ組19と第2ギヤ組21と第3ギヤ組23とで減速され、分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ57,59に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、電動モータ3は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介して電源に充電される。
さらに、動力伝達装置301は、図2に示す車両の動力系に適用される場合、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構303が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。
このエンジン5からの駆動力は、減速機構7の第2ギヤ組21と第3ギヤ組23とで減速され、分配機構9に伝達される。この分配機構9に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ57,59に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分される。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
また、動力伝達装置301は、図2に示す車両の動力系に適用される場合、車両が停止状態、或いは主駆動系605のみによる走行状態であり、電源の残量が所定値以下である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構303が接続解除状態となる。
これにより、エンジン5の回転は、ジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。このとき、断続機構303は、接続解除状態であるので、エンジン5からの駆動力が分配機構9に伝達されることがない。
このような動力伝達装置301では、減速機構7と分配機構9との間に減速機構7と分配機構9との間の動力伝達を断続する断続機構303が設けられているので、車両の停車時におけるエンジン5の回転による回生、或いは車両の走行時における無駄な回転系を削減することができ、車両の燃費向上を図ることができる。
(第5実施形態)
図8を用いて第5実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置401は、分配機構103は、差動機構105と、この差動機構105の回転軸と直交する方向に配置された出力軸107と、差動機構105と出力軸107との間に設けられ差動機構105からの駆動力を方向変換して出力軸107に伝達する方向変換ギヤ組109とを有し、減速機構7と分配機構103との間には、減速機構7と分配機構103との間の動力伝達を断続する断続機構403が設けられている。
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
また、動力伝達装置401は、図4に示すような車両の動力系に適用される。
図8に示すように、分配機構103は、上述した差動機構105と、出力軸107と、方向変換ギヤ組109とを備えている。この分配機構103に駆動力を伝達する減速機構7の入力軸15には、上述した断続部305と油圧式アクチュエータ307とを有する断続機構403が設けられている。
このように構成された動力伝達装置401では、図4に示す車両の動力系に適用される場合、車両の発進時から所定速度以上の高速状態となるまで、クラッチ31が接続解除状態とされ、断続機構403が接続状態とされ、駆動源として電動モータ3が選択される。
この駆動源としての電動モータ3からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構103に伝達され、分配機構103に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分されると共に、方向変換ギヤ組109からプロペラシャフト703を介してリヤデフ705に伝達され、リヤデフ705に連結された後車軸707,709から後輪711,713に配分される。
このとき、電動モータ3は、車両の停車や減速などにおける減速時にジェネレータとして機能し、車両の減速によるブレーキエネルギーが電動モータ3を介して電源に充電される。
また、動力伝達装置401は、図4に示す車両の動力系に適用される場合、車両が所定速度以上の高速状態である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構403が接続状態とされ、駆動源としてエンジン5が選択される。
このエンジン5からの駆動力は、減速機構7を介して分配機構103に伝達され、分配機構103に連結された前車軸503,505から前輪507,509に配分されると共に、方向変換ギヤ組109からプロペラシャフト703を介してリヤデフ705に伝達され、リヤデフ705に連結された後車軸707,709から後輪711,713に配分される。
このとき、エンジン5の回転は、必要に応じてジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。
さらに、動力伝達装置401は、図4に示す車両の動力系に適用される場合、車両が停止状態であり、電源の残量が所定値以下である場合、クラッチ31が接続状態とされ、断続機構403が接続解除状態となる。
これにより、エンジン5の回転は、ジェネレータとして機能する電動モータ3を介して電源に充電される。このとき、断続機構403は、接続解除状態であるので、エンジン5からの駆動力が分配機構103に伝達されることがなく、後輪側に駆動力が伝達されることがない。
このような動力伝達装置401では、分配機構103が差動機構105と出力軸107と方向変換ギヤ組109とを有し、減速機構7と分配機構103との間に減速機構7と分配機構103との間の動力伝達を断続する断続機構403が設けられているので、車両の停車時におけるエンジン5の回転による回生を行うことができ、車両の燃費向上を図ることができる。
なお、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置では、減速機構と分配機構との間の動力伝達を断続する断続機構が減速機構の入力軸に設けられているが、これに限らず、例えば、分配機構にフリーランニングデフなどのような断続機構を設けてもよく、減速機構と分配機構との間の動力伝達を断続する断続機構であれば、どのような断続機構であってもよい。
また、断続機構の断続部は、多板クラッチとなっているが、これに限らず、軸方向或いは径方向に対向する一対の噛み合い歯からなる噛み合いクラッチ、ロータ又はスプラグなどを用いた1ウェイクラッチ、もしくは2ウェイクラッチであってもよい。
さらに、断続部を断続操作するアクチュエータは、油圧式アクチュエータに限らず、電磁式アクチュエータなど断続部を断続できるものであればどのような形態であってもよい。