以下、本発明の実施例1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、洗濯機1は、内槽8の回転軸10cが略鉛直方向の洗濯機1の外観斜視図である。この洗濯機1の筐体2の上部には上面カバー2aが設けられており、上面カバー2aには外蓋3が設けられている。外蓋3は、山型に折れ曲がりながら奥側に開くことにより、内槽8に衣類(洗濯物)が出し入れ可能になっている。
上面カバー2aの奥側には、外槽9内へ水を給水する給水ユニット12が設けられる。
給水ユニット12には、水道栓からの給水ホース接続口4および風呂の残り湯の吸水ホース接続口5が設けられている。上面カバー2aの手前側には、電源スイッチ6が設けられ、外蓋3の手前側には、操作スイッチ7aおよび表示器7bからなる操作パネル7が設けられている。
図2に示すように、洗濯機1は、筐体2内に、内槽8、外槽9、駆動装置10、給水ユニット12などを備えている。
内槽8は、有底円筒形状を呈し、その開口縁には、中空内部に液体が封入されたリング形状をした合成樹脂製の流体バランサ8a、ステンレス鋼板などで形成された略円筒状の胴板8b、底部には、合成樹脂からなる底板(図示せず)を有しており、底板には、アルミニウム製のフランジがインサート成形により配置されている。胴板8bには、通水および通風のための多数の貫通孔8c(一部のみ図示)が形成されている。なお、内槽8は、上記の他に内槽8の回転バランスを調整するウエイト等を有して構成されても良い。
内槽8には、内側底面に回転翼8dを備えている。胴板8bの内周面側壁には回転翼8dが回転することによるポンプアップ作用により、外槽9に給水された洗濯水やすすぎ水を循環させるための循環シャワーケース(図示せず)、および糸くずを捕集するためのリントフィルターケース(図示せず)が複数個設けられている。
外槽9は、有底円筒形状を呈し、内槽8を同軸上に内包し、その上部に外槽カバー9aを備えて構成されている。外槽9は内周側底面に落込部9mが設けられ、落込部9mの外周側には、排水弁14が接続されている。
排水弁14を閉弁することにより、外槽9内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁14を開弁することにより、外槽9内の水を、洗濯水排水路15を介して、洗濯機1の機外へ排水することができる。また外槽9には、溜められた洗濯水の水位を検出するための水位センサ接続部(図示せず)が備えられている。
駆動装置10は、外槽9の底面の外側中央に配置されている。この駆動装置10は、モータ10aとクラッチ機構10bとを有し、駆動装置10の回転軸10cが外槽9を貫通し、内槽8および回転翼8dと結合するように構成されている。クラッチ機構10bは、モータ10aの回転動力を内槽8および/または回転翼8dに伝達する機能を有する。モータ10aは、その回転を検出するホール素子などで構成される回転検出装置28と、モータ10aに流れる電流を検出するモータ電流検出装置29を備える。
図3は、上面カバー2aを外した筐体2奥側の拡大図である。筐体2上部の奥側には給水ユニット12が設けられている。給水ユニット12は、仕上剤を収容する給水ボックス16と、風呂水を外槽内に供給するための風呂水ポンプ13を備えている。また、給水ボックス16の隣には、洗濯機の制御を行うコントロール基盤11が設けられている。
図4は、給水ボックス16の斜視図である。給水ボックス16には、外槽へ直接給水するメイン給水電磁弁16aと、給水ボックス16内に給水する仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bと、図示していないが風呂水ポンプ13に繋がる流路が取り付けられている。
図5は、給水ボックス16の上面図である。給水ボックス16は、内槽および外槽洗浄用の槽洗浄給水室17と、仕上剤を収容する仕上剤収容室18と、仕上剤収容室18から溢れた水が流入するオーバーフロー室19に分かれている。詳しくは後述するが、給水ボックス16は、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bから給水されて槽洗浄給水室17から溢れた水が仕上剤収容室18に流れ込み、仕上剤収容室18から溢れた水がオーバーフロー室19に流れ込んで外槽に供給される構造となっている。
図6は、図5のA−A断面図である。槽洗浄給水室17には、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開いたときに水が流入する流入口17aが設けられる。この流入口17aから槽洗浄給水室17に水が供給されるが、水流が強い場合には水が槽洗浄給水室17外に跳ねる虞があるため、流入口17aの向きが下向きになるように、例えば水の向きを変える水流規制板等を設ける。また、流入口17aから供給される水の勢いを抑えるために、流入口17aから出る水流が登りとなるような傾斜を槽洗浄給水室17の底面に形成している。さらに、流入口17aからの水流がぶつかる壁面に水の跳ね上がりを抑制するリブ17cを設けている。このリブ17cは様々な形状が考えられるが、本実施例では、底面に対して略並行および壁面に対して略垂直な凸形状を2つ設けている。また、リブ17cは3つ以上でも良く他の壁面に設けても良い。これらの構造によって流入口17aから供給される水は、底面の傾斜により勢いが弱まり、壁面に衝突後にリブ17cで跳ね返され槽洗浄給水室17の外に飛び出さないようになっている。
槽洗浄給水室17の底面は、流入口17aに向かって低くなるように傾斜しているが、最低部は流入口17aの下方に位置するように形成される。そして、最低部に外槽と連通する槽洗浄給水室17の流出口17bが設けられる。これにより、水跳ねを抑制するとともに槽洗浄給水室17に水が残留することを防ぐことができる。
図7は、給水ボックス16内の水の流れを示す斜視図である。仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開いたときに流入口17aから槽洗浄給水室17に流入する流量は、槽洗浄給水室17の流出口17bから出ていく流量より多くなるようにしている。したがって、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開いたままにしておくと、徐々に槽洗浄給水室17に水が溜まり溢れ出す。この槽洗浄給水室17から溢れ出した水は、図7に示す矢印100のように、仕切り板Aを乗り越えて仕上剤収容室18へ流れ込む。仕切り板Aは、槽洗浄給水室17を形成する壁の中で最も低く設けられ、槽洗浄給水室17から溢れた水が他に流れ出ないように全て仕上剤収容室18へ流入するようにしている。また、仕切り板Aは、流入口17aから出た水がぶつかる壁面とは異なる位置に設けることで、水が流れの勢いで仕切り板を乗り越えて仕上剤収容室18に流入してしまうことを防止している。
仕上剤収容室18は、外槽と連通する流出口18aが設けられている。仕上剤収容室18の流出口18aにはサイフォンキャップ(図示せず)が設けられ、一定量の水が溜まるとサイフォン現象により、水とともに収容されている仕上剤が外槽に投入される。また、仕上剤収容室18には、仕切り板Aより低い仕切り板Bを設けている。これにより、仕上剤収容室18から溢れる水が槽洗浄給水室17に逆流しないようにしている。
また、流入口17aから槽洗浄給水室17に流入する流量は、槽洗浄給水室17の流出口17bから流出する流量と仕上剤収容室18の流出口18aから流出する流量の合計より多くなるようにしている。そのため、流入口17aから給水を続けると、仕上剤収容室18からも水が溢れ出し、仕切り板Bを乗り越えて矢印101のようにオーバーフロー室19へ流入する。オーバーフロー室19は外槽に繋がっており、オーバーフロー室19に流入した水は外槽へ供給される。
また、仕上剤収容室18を形成する壁のうち流入口17a側の壁面の一部が、流入口17aからの水流を妨げるように拡張させている。これにより、流入口17aからの水流を弱めることができるとともに、仕上剤収容室18の容積を大きくすることができる。なお、槽洗浄給水室17の容積は約152ml、仕上剤収容室18の容積は約84mlとしている。
図8は、図5のB−B断面図である。仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bから槽洗浄給水室17に供給された水は、矢印103の流路を通って給水口20から外槽(水溜め部)へ供給される。給水ボックス16に取り付けられたメイン給水電磁弁16aから供給される水は、矢印102の流路を通って外槽に供給される。また、仕上剤収容室18の流出口18aおよびオーバーフロー室19は、矢印102の流路と連通しており、仕上剤収容室18の流出口18aおよびオーバーフロー室19から流出する仕上剤を含む水は、矢印104の流路をたどりメイン給水電磁弁16aから供給される水と途中で合流して外槽へ供給される。
図9に示すように、外槽カバー9aは、略円形状の投入口9bを有し、外槽9の上端縁部に取り付けられる。内槽8は、胴板8bの上端縁部に取り付けられる合成樹脂などで形成された流体バランサ8aを有している。
図10に示すように、外槽カバー9aには、後記する槽洗浄用の給水口20が設けられる。給水口20は、給水ボックス16の槽洗浄給水室17の流出口17bと繋がっている。
図11は、外槽カバー9aを裏面から見た図である。図5に示すように、外槽カバー9a裏面には有するシャワーカバー21が備えられている。このシャワーカバー21と外槽カバー9aの間には水封するためのパッキン21bが備えられており、給水口20より給水された水を無駄なくシャワーカバー21に流すことができる。
図12に示すように、シャワーカバー21には流体バランサ8aの径方向に複数の散水口21aが配列されている。流体バランサ8aの内周側に位置する散水口21aからは、後記する水溜め部30に給水され、流体バランサ8aの外周側に位置する散水口21aからは、内槽8外周壁に流れるように給水される。
図13は、流体バランサ8aの全体像を示す斜視図である。図7に示すように、流体バランサ8aは略円環形状をしている。流体バランサ8aは、内部に比重の大きな流体を封入して構成され、内槽8の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、流体バランサ8a内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。流体バランサ8aは、内槽8の回転軸中心と略同心円となるように胴板8b上端部に取り付けられる。
図14は、流体バランサ8aを径方向に切断した断面図である。流体バランサ8aに封入される液体は、収容部8a1に収容されている。収容部8a1内部は、流体バランサ8a中心から径方向に複数の層に分かれている。また各層の内部は、多数の部屋に区切られ、各部屋は封入される液体が移動可能なように連通している。
図15に示すように内槽8(流体バランサ8a)上面には、水を溜めることができる水溜め部30が形成される。水溜め部30は、内槽8の円周上面を一周する凹部で構成される。後記するが、水溜め部から水を溢れさせたり飛散させたりすることにより槽を洗浄するので、水溜め部は高い位置に配置されるのが望ましく、内槽8の上端部に形成するのが良い。水溜め部30は、内槽8の回転軸に対して内周側と外周側にそれぞれ位置する内周側隆起部30aと外周側隆起部30bとで挟まれるように形成される。隆起部の間に形成される水溜め部30は、水が溜められる容積が大きいほど、より多くのまとまった水を外槽9へ飛散させることが可能となるため、外槽9洗浄の効果が向上する。
本実施例では、胴板8b上端部に流体バランサ8aが備えられているため、水溜め部30は流体バランサ8a上面に形成しているが、内槽8の流体バランサ8a以外の部材に水溜め部30を一体形成するか、別部材として設けても良い。
外周側隆起部30bの内周面30b1は略鉛直、または、外槽9方向に傾斜して形成される。外周側隆起部30bの内周面30b1が外槽9方向とは反対に傾斜して形成されると、水溜め部30に溜まった水は飛散できずに残留し、湿気や水垢の原因となる。そのため、外周側隆起部30bの内周面30b1は、水溜め部30に溜められる水の容積を考慮し略鉛直に形成することが望ましい。
外周側隆起部30bの外周面30b2は略鉛直、または、外槽9とは反対方向に傾斜して形成される。外周側隆起部30bの外周面30b2が外槽9方向へ傾斜して形成されると、水溜め部30から水を溢れさせたときに、水が内槽8外周壁を伝って流れずに外槽9と内槽8の間を落下してしまい易くなる。一方で、外槽9方向に傾斜させると、外周側隆起部30bの内周面30b1を外槽9側へ傾斜させて形成できるので、水溜め部30の容積を増やすことができる。その場合、外周面30b2は鉛直軸から外槽9方向へ20°以下の傾斜で形成されるのが良い。また、外槽9方向へ傾斜させる場合は、外周側隆起部30bの外周面30b2が傾斜する分だけ外槽9との間隔が狭まる点を考慮する必要がある。
水溜め部30を流体バランサ8aに形成する場合、流体バランサ8aの性能低下を防ぐため流体バランサ8aに封入される液体を収容する容積をできる限り減少させたくないという制約がある。そのため、水溜め部30の深さは、内周側より外周側が深く形成される。この理由は、内槽8を回転させた場合、水溜め部30に溜まった水の水面は遠心力により外周側が高くなり、内周側が低くなることにある。つまり、内槽8の回転数を上げていくと、水溜め部30の水が外槽9に飛散する回転数に達するまでの間に、水溜め部30の内周側の水が多く流出してしまう。そのため、水溜め部30の外周側を深く形成することで、内槽8回転時に水溜め部30の水が外槽9へ飛散し始めるまでに、水溜め部30により多くの水量を確保しておくことができる。また、流体バランサ8aに収容される液体の収容容積の減少も抑えられる。
また、水溜め部30に残る水量をより多く確保するため、外周側隆起部30bの高さは、内周側隆起部30aより高く形成される。上記と同様の理由により、内槽8回転時は水溜め部30の外周側の水面が高くなるため、外周側隆起部30bを高く形成することで、水溜め部30に水量を確保し易くなり、外槽9へより多くの水を飛散させることができる。
図16は、内槽8に設けられる水溜め部30の種々の形状を示す断面図である。形状Aを基本構造として順に説明していく。形状Aは、図15に示す水溜め部30の簡略図であり、内周側隆起部30aと外周側隆起部30bとで挟まれた水溜め部30の形状である。
外周側隆起部30bの内周面30b1も外周面30b2も略鉛直方向に形成され、水溜め部30の深さは内槽8の回転軸に対して内周側から外周側へ徐々に深くなるように形成される。内周側隆起部30aには、水溜め部30の容積を増加させるために突起30a1が設けられているが、突起30a1の位置は、内槽8の内周端に設けることでより水溜め部30の容積が増加する。
形状Bは、外周側隆起部30bの上端に外槽9方向へ延びる突起30b3を設けることにより、給水口20に対向する面(突起30b3上面)を形成している。そのため、給水口20から給水された水が、この突起30b3の上面に当たって外槽9へはじき飛ばされることで外槽9内周壁を洗浄することができる。この突起30b3は、外槽9方向に長過ぎると、外槽9と内槽8の間の距離が狭まってしまい、内槽8外周壁へも水が流れ落ち難くなってしまうので、これを考慮して適宜長さを調整する。
形状Cは、水溜め部が流体バランサ8a上面に設けられる場合において、外周側隆起部30bの外周面30b2に段差を設けることで、水溜め部30の位置を流体バランサ8aの外周端から距離を遠ざけて形成している。流体バランサ8aに封入される液体は、流体バランサ8aの外周側に位置するものほど偏心を調整する効果が高いが、形状Cのようにすることで、液体の収容部を流体バランサ8aの外周側により広く設けることができる。
そのため、流体バランサ8aの性能低下を抑えて水溜め部30を形成することができる。
また、水溜め部30の位置を外槽9から遠ざけ過ぎると、水溜め部30の水を外槽9へ飛散させる洗浄を行うときに外槽9内周壁に水を当て難くなるため、水溜め部30の位置は外槽9との距離を考慮して調整する。
形状Dは、内周側隆起部30aに突起30a1を設けず滑らかに形成することで、内周側隆起部30aも洗浄し易くしている。内周側隆起部30aに突起30a1を設けると、その高さ分の水溜め部30の容積を増加できるが、突起30a1を超えて内周側へは水が流れ難い。水溜め部30の容積は減少するが、突起30a1を設けず内周側隆起部30aが略平坦に形成されているので、内周側にも水が行き渡り易く水溜め部30上面も満遍なく洗浄し易くなる。
形状Eは、内周側隆起部30aと外周側隆起部30bの間に中間隆起部30cを形成している。水溜め部30を二層に分けることで、外槽9へ水を飛散させたときに外槽9内周壁の水が当たる位置を変化させることができる。また、中間隆起部30cと外周側隆起部30bの内周面30b1の角度を変えることで、各層に溜められた水が外槽9へ飛散する方向を変化させることができる。なお、二層以上に分けても良いが、隆起部を複数形成すると水溜め部30全体の容積は減少するため、何層とするかは適宜調整される。
形状Fは、内槽8とは別体で水溜め部30を取り付けて構成している。別体で取り付けるため、既存の内槽8を構成する部材をそのまま使用することができ、新たな設備投資や特具投資等を抑えることができる。取り付ける水溜め部30の形状は、形状Fに限らず、形状A〜形状Eの特徴を持つ水溜め部30の形状をしたものでも良い。また、取り付ける水溜め部30は、内槽8の外周端から飛び出ない寸法で形成されるのが好ましい。
図17は、外槽カバー9aに設けられる給水口20と、流体バランサ8a上面に形成される水溜め部30の配置関係を示す図である。給水口20は水溜め部30と対抗するように配置され、給水口20から出る水が水溜め部30に給水されるように設けられる。
給水口20には、内槽8の径方向に並んだ複数の散水口20aを有するシャワーカバー21(給水口カバー)が備えられる。シャワーカバー21を備えた状態で給水口20から給水すると、外周側隆起部30bより内側に位置する散水口21aからは水溜め部30に給水され、外周側隆起部30bより外側に位置する散水口21aから出た水は内槽8外周壁に当たって流れ落ちる。すなわち、シャワーカバー21を備えることにより、水溜め部30と内槽8外周壁に給水することができる。
図18は、給水ボックス16から外槽9内への経路を示す概略図である。給水ボックス16は、メイン給水電磁弁16aや仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bが設けられ、風呂水ポンプ13や給水経路16c、16dと連結している。各給水電磁弁は、水道栓からホース等を介して連結され、弁の開閉によって給水量や給水のタイミングを制御する。
メイン給水電磁弁16aを開いて給水した水は、給水経路16cを通ってメイン注水口16eから外槽内へ給水される。詳しい制御については後記するが、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開いて給水し槽洗浄給水室17から流出した水は、給水経路16dを通って給水口20から水溜め部30に給水される。また、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開いて給水し仕上剤収容室18から流出した水は、メイン給水電磁弁16aから給水した水と同様に、給水経路16cを通ってメイン注水口16eから外槽内へ給水される。
なお、風呂水ポンプ13で汲み上げられた吸水ホース接続口5からの風呂水は、給水経路16cに合流してメイン注水口16eから外槽9内に給水する。
図19に示すように、洗濯機1は、コントロール基盤11に制御装置100を備える。
制御装置100は、マイコン110を中心に構成される。マイコン110は、運転パターンデータベース111、工程制御部112、回転速度算出部113、衣類重量算出部114などを備える。
マイコン110は、操作スイッチ7aから入力された運転コースにあった運転パターンを呼び出し、所定の全自動洗濯コースまたは洗濯、すすぎ、脱水を開始する機能を有する。
工程制御部112は、運転パターンデータベース111から呼び出された運転パターンに基づき、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、槽洗浄工程、の各工程を運転制御する機能を有する。各工程において、工程制御部112は、それぞれ駆動回路を介して、給水ユニット12、排水弁14、モータ10a、クラッチ機構10b等を駆動制御する機能を有する。
回転速度算出部113は、モータ10aの回転を検出する回転検出装置28からの検出値に基づき、モータ10aの回転速度を算出する機能を有する。
衣類重量算出部114は、回転速度算出部113で算出された回転速度と、モータ電流検出装置29の検出値に基づいて、内槽8内の衣類の重量を算出する機能を有する。衣類の重量が増加することにより内槽8を回転させるための負荷が大きくなり、モータ10aに流れるモータ電流が多く必要になることから、モータ10aのモータ電流と回転速度により衣類の重量を算出することができる。
次に、本実施例に係る洗濯機1の動作について図20〜図24を参照して説明する。図20は本実施例に係る洗濯機の運転工程を説明する工程表、図21は本実施例に係る洗濯機の槽洗浄運転の詳細な工程図、図22〜図24は本実施例に係る洗濯機の槽洗浄時の水の流れを示す模式図である。
洗剤量センシング工程S1では、回転翼8dを回転させ、そのときの負荷量を測定結果から衣類重量算出部114が給水前の乾いた状態での布量を算出する。
回転給水工程S2では、内槽8および/または回転翼8dを回転させながら工程制御部112がメイン給水電磁弁16aを開弁し、給水経路16cを介して水道水をメイン注水口16eから外槽9内に注水する。また、工程制御部112は、メイン給水電磁弁16aが開弁されてから所定時間経過後に閉弁する。
洗剤溶かし工程S3では、内槽8に備えられた洗剤投入口より、回転翼8d下側へ投入された洗剤を回転翼8dが回転することにより、回転給水工程S2で給水された水に溶かし、高濃度な洗剤液を作る。
給水工程S4では、工程制御部112がメイン給水電磁弁16aを開弁し、水道水が給水経路16cを介してメイン注水口16eから外槽9内に注水される。また、工程制御部112は、メイン給水電磁弁16aが開弁されてから所定時間経過後に閉弁する。
浸透かくはん工程S5では、水位の低い状態で回転翼8dを回転させ、洗剤溶かし工程S3で作られた高濃度な洗剤液を衣類に浸透させる。
布量センシング工程S6では、回転翼8dを回転させ、衣類重量算出部114が、水を含んだ状態の衣類の重量を算出する。
給水工程S7では、工程制御部112が、洗剤量センシング工程S1で算出した衣類の重量と、布質センシング工程S6で判断した衣類の布質に合わせて外槽9の内部に給水する。
前洗い工程S8では、高濃度の洗剤溶液で衣類を洗う。
布質センシング工程S9では、洗剤量センシング工程S1で算出した衣類の重量と布量センシング工程S6で算出した水を含んだ状態の衣類の重量から、衣類の布質(吸水性)を判断する。判断された衣類の布質に従って以下の工程が制御される。
本洗い工程S10では、工程制御部112が、回転翼8dを回転して、衣類を洗う。なお、図示していないが、本洗い工程S10では、回転翼8dを正方向逆方向に交互に回転させ衣類をほぐす運転も行う。また、工程制御部112は、この本洗い工程とほぐし工程を数回繰り返す。本洗いが終了すると、衣類のアンバランス状態を監視し、脱水に移行するか否かを判断する。
排水工程S11では、工程制御部112が、排水弁14を開弁し、外槽9内の洗い水を排水する。
脱水工程S12では、排水終了後、工程制御部112が、内槽8を回転させて衣類に含まれる水(洗い水)を脱水する。
回転シャワー工程S13では、工程制御部112が、排水弁14を閉弁、メイン給水電磁弁16aを開弁して、外槽9にすすぎ水を供給する。そして、内槽8を回転させることにより衣類に満遍なくすすぎ水を散布する。
脱水工程S14では、工程制御部112が、内槽8を回転させ、衣類からすすぎ水を脱水する。
回転シャワー工程S15では、工程制御部112が、再び内槽8を回転させつつ、排水弁14を閉弁、メイン給水電磁弁16aを開弁して、外槽9にすすぎ水を供給し、すすぎ水を内槽8内の衣類に散布する。
排水工程S16では、工程制御部112が、回転翼8dおよび内槽8を停止させて、排水弁14を開弁し、外槽9内のすすぎ水を排水する。
脱水工程S17では、排水工程S16終了後、工程制御部112が、内槽8を回転させて衣類に含まれる水(すすぎ水)を脱水する。
給水工程S18では、工程制御部112が、排水弁14を閉弁、メイン給水電磁弁16aを開弁するとともに、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開弁して給水ボックス16に給水する。工程制御部112が、流入口17aから槽洗浄給水室17へ給水し続けることで、槽洗浄給水室17から溢れさせて仕上剤収容室18へ注水する。そのまま、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開弁して給水を続け、仕上剤収容室18の流出口18aおよびオーバーフロー室19から外槽に仕上剤を含むすすぎ水を供給する。なお、サイフォン発生までの所要時間は、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開いたときの流入量、槽洗浄給水室17の流出口17bの流出量、槽洗浄給水室17の容積、仕上剤収容室18の容積等に依存する。
そして、所定時間経過した後、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを閉じると、サイフォン現象によって仕上剤収容室18のほぼ全ての液体が外槽へ流れ出る。給水工程S18の間は、槽洗浄給水室17にも給水されるので槽洗浄用給水口からも給水が行われるが、すすぎ水として利用できるため無駄にならない。
かくはん工程S19では、工程制御部112が、外槽9にすすぎ水を溜めた状態で内槽8を回転させて衣類を攪拌しつつすすぐ。
次に、図20の工程表に沿って、適宜、図22〜図24を参照しながら、槽洗浄運転について説明する。図21は、槽洗浄工程S20から脱水S25に至るまでの詳細な制御を示す工程図である。
まず、槽洗浄工程S20について説明する。工程制御部112は、すすぎ水が所定の水位s以下かどうかを判断し、所定水位sより水位が高い場合は排水弁14を開弁して、すすぎ水を排水する。この所定水位sは、例えば、内槽8の底面や回転翼8d底面よりも高い水位とする。所定水位s以下になったら、排水弁14を閉弁する。このように、すすぎ工程で利用した水の一部を排水し、残りのすすぎ水を外槽9の底に溜めた状態で内槽8と回転翼8dを一方回転もしくは正逆回転させ、内槽8底面の上面および下面、回転翼8d底面の下面、外槽9底面の上面に付着した汚れを洗浄する残水攪拌が所定時間(例えば70〜120s)行われる。このときの回転数は、洗い工程のときより高くて脱水工程のときより低い、例えば70rpm以上300rpm以下とする。
ここで、内槽8と回転翼8dをともに回転させても良いし、内槽8または回転翼8dのみを回転させても良い。回転翼8dを回転させずに内槽8のみを回転させた場合は、回転翼8dと内槽8の両方を回転させる場合と比べて、回転翼8d底面の下面や内槽8底面の上面は効率良く洗浄できる。また、内槽8を回転させずに回転翼8dのみを回転させた場合も、内槽8と回転翼8dの両方を回転させる場合と比べて、回転翼8d底面の下面や内槽8底面の上面は効率良く洗浄できるが、内槽8底面の下面や外槽9底面の上面は洗浄できないので、別途内槽8を回転させる工程を設けることになる。
そして、この回転翼8dが回転している間に、排水弁14を開弁して排水を開始し、排水工程S21(中間排水)に入る。排水弁14を開弁するタイミングは、外槽9の底に溜まった水量や排水性能などによって変動するが、本実施例では残水撹拌の開始から約50秒後に開弁する。更に、回転翼8dが回転している間に、外槽9内の水を全て排水することによって、回転翼8dの裏側や内槽8の底面の洗浄により一旦落とした汚れが、回転翼8dの裏側に再度付着するのを防止できる。なお、回転翼8dが回転している間に排水が完了せず、排水の途中で回転翼8dを停止させる場合でも、回転の停止時に既に回転翼8dの底部より低い水位まで排水できていれば、回転翼8dの裏側への再付着は抑制できる。また、内槽8の回転中に内槽8の内側底面最下部より低い水位まで排水できれば、内槽8の底部上面に汚れが再付着するのを抑制でき、内槽8の回転中に内槽8の外側底面最下部より低い水位まで排水できていれば、内槽8の底部下面に汚れが再付着するのを抑制できる。
次に、槽洗浄シャワー(1)工程S22に移行する。この槽洗浄シャワー(1)工程S22では、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bの開閉を所定のインターバルで繰り返すことで、槽洗浄給水室17のみに給水して水溜め部30へ水を供給する。槽洗浄給水室17から水を溢れさせて仕上剤収容室18に水を流入させてしまうと、仕上剤収容室18内で残水となってしまい、仮にサイフォンによって仕上剤収容室18の流出口18aから外槽へ排出させたとしても水溜め部に給水されないため無駄となってしまう。
仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bの開閉時間は、水道圧によって変更し、高水圧のときは低水圧のときと比較して仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bの開弁時間を長くする。例えば、水圧が「4L/min≦Q≦6L/min」(高水圧)の場合、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bは、3.5秒ON−6秒OFFを繰り返す。そして、水圧が「3L/min≦Q<4L/min」(低水圧)の場合、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bは、6秒ON−6秒OFFを繰り返す。この仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bの開閉時間は、槽洗浄給水室17から水が溢れ出さないように、かつ、水溜め部に給水し続けるため槽洗浄給水室17の水が空にならないように考慮して決定する。そのため、槽洗浄給水室17の容積は大きいほど、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bの開弁時間を長くすることができ、制御し易くなる。例えば、仕上剤収容室18よりも容積を大きくする。
図22に示すように、水溜め部30の上部に位置するシャワーカバー21の散水口から出た水は、水溜め部30に貯水され、水溜め部30より外周側に位置するシャワーカバー21の散水口21aから出た水は、流体バランサ8aの外周壁や内槽8外周壁を伝って流れ落ちる。
図23に示すように、そのまま給水を続けていると、水溜め部30に給水された水量が水溜め部30の容積を上回って外周側隆起部30bから水が溢れ出る。水溜め部30から溢れ出た水は、流体バランサ8aの外周壁を通って内槽8外周壁に沿って流れ落ちる。このように内槽8外周壁に水が流れることで、内槽8外周壁に付着した汚れを洗い流すことができる。
このとき、内槽8を回転させながら給水しているので、外周側隆起部30bから満遍なく水を溢れさせることができる。また、この内槽8外周壁を流れ落ちる水は、初めに流れた経路をたどるように流れ易く、特に溢れ出る水量が少ない場合には水が流れる経路が固定化されやすい。そうすると、内槽8外周壁に満遍なく水が流れ落ちずに線状の洗いムラが発生してしまう。そのため、内槽8の回転を一方方向とせずに正逆回転させることで水が流れる経路を変化させられ、満遍なく水を行き渡らせることができる。なお、水量を増やすことでも線状の洗いムラを防ぐことができるが、正逆回転を行うと、より少ない水量で内槽8を満遍なく洗浄できる。
正逆回転は、正回転および逆回転を20sずつ6回繰り返し、計120s行われる。この運転時間は、予め設定しておいても良いが、汚れセンサや、臭いセンサ、洗濯濃度センサ等の各種センサの実行結果に基づいて決定するようにしても良い。本実施例では、約5L給水を行うが、正逆回転の時間に応じて給水量は適宜変更される。正逆回転ではなく一方向の回転の場合には給水量を増やすことが望ましい。正逆回転の回転数(回転速度)は、正逆ともに約30rpm(1分間あたりの回転回数)で行われる。この回転数は、水溜め部30から水が溢れ出るように適宜調整されるが、5rpm〜60rpmが良く、より望ましくは20rpm〜40rpmが良い。回転数が低過ぎると、外周側隆起部30bから水が満遍なく溢れ難く、回転数が高過ぎると、水溜め部30の水が内槽8外周壁に接触せずに内槽8と外槽9の間を落下してしまうか、もしくは外槽9側へ飛散してしまい内槽8外周壁の洗浄が行われない。
ここまでに、槽洗浄シャワー(1)工程S22における、主に内槽8外周壁を洗浄する制御について説明したが、次に槽洗浄シャワー(2)工程S24における外槽9内周壁を洗浄する制御について説明する。
槽洗浄シャワー(1)工程S22で正逆回転を終えた後、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを閉弁し、水溜め部30への給水を停止する。そして、排水工程S23に移行し、排水弁14を開弁して正逆回転中に外槽9の底に溜まった水を徐々に排出し、脱水起動用の水位に戻す。外槽9内の水位が脱水起動用の水位となった後、排水弁14を閉弁して排水を停止し、槽洗浄シャワー(2)工程S24へと移行する。
槽洗浄シャワー(2)工程S24に移行して、脱水起動が行われると、排水弁14を開弁する。また、再度、水溜め部30への給水を開始し、水溜め部30に水を溜めた状態で内槽8の回転数を加速させる。そうすると、図24に示すように、水溜め部30に溜まっている水が遠心力により外周側隆起部30bを乗り越えて外槽9へ向かって飛散し、外槽9内周壁に当たって流れ落ちる。これにより、給水されている水量だけでなく水溜め部30に溜められている水量がまとめて外槽9内周壁に勢い良く掛かるため、洗いムラが発生し難く満遍なく外槽9内周壁を洗浄することができる。
このとき、内槽8を回転させる加速度が大きいほど、水溜め部30に溜められた水を一度により多く外槽9へ飛散させることができる。逆に、加速度が小さい場合は、内槽8の回転数が、水溜め部30の水が外槽9へ飛散するようになる回転数に達するまでに、水溜め部30の多くの水が外槽9内周壁に掛からず、外周側隆起部30bを乗り越えて内槽8外周壁や内槽8と外槽9の間を落下してしまう。よって、外槽9内周壁に当たる水量が減少してしまう。
上記の理由から、水溜め部30に溜められた水を一度により多く外槽9内周壁に掛けるためには、内槽8の回転数を急加速させるのが良い。そのため、水溜め部30に水を溜めた状態から内槽8を回転させる加速度は、20rpm/s(1秒間に20rpm上昇する加速度)以上が良く、望ましくは40rpm/s以上である。本実施例では50rpm/s以上としているが、加速度の上限値は、使用するモータの性能や振動を考慮した値となる。なお、水溜め部30に給水し始めるタイミングは、内槽8の回転数を加速させる前とすることで加速時に飛散する水量を増やすことができる。
本実施例では、脱水起動用の水位に戻すのに外槽9内の水位を計測するため、内槽8の回転を止めているが、回転を止めずに加速し回転数を上げていくことで運転時間を短縮することもできる。その場合、内槽8を回転させた状態から加速するので、水溜め部30に溜められた水が既に少し溢れた状態であるため、外槽9内周壁へ飛散する水量は、内槽8を停止した状態から加速させるより減ってしまう。
従って、多くの水量を飛散させるには内槽8を停止させた状態から加速させるのが望ましいが、内槽8を停止させず回転している状態から加速させる場合には、30rpm以下で回転している状態から加速するのが良い。なお、水溜め部30の外周側隆起部30bを内周側隆起部30aより高く形成している場合には、内槽8回転時に水溜め部30から溢れる水量を抑えられるとともに、運転時間を短縮することができる。
内槽8の回転数を約130rpmまで加速させた後、一旦加速を停止する。そして、そのまま内槽8を回転させながら水溜め部30への給水を続ける。加速は停止しているが、内槽8の回転数は、水溜め部30の水が外槽9へ飛散する回転数に達しているため、水溜め部30に給水される水が外周側隆起部30bを乗り越えて外槽9へ飛散し、外槽9内周壁へ当たり続ける。これにより、外槽9内周壁に当たった水が流れ落ち、外槽9内周壁に付着している汚れを洗い流す。この運転は、所定時間(約80s)行われ、その間に合計約3Lが給水される。所定時間経過後、水溜め部30への給水を停止し、槽洗浄シャワー(2)工程S24を終了する。
ここまで、槽洗浄シャワー(2)工程S24について説明したが、水溜め部30から水を溢れさせて行う内槽洗浄運転は実行せずに省略することで、槽洗浄シャワー(2)工程S24による運転時間全体の延長を抑制することができる。すなわち、水溜め部30に水を溜めた後に内槽8の回転数を加速させて水を飛散させる外槽洗浄運転だけを行う場合は、外槽洗浄運転で増加した内槽8の回転数をそのまま利用して脱水工程S25に移行できるため脱水運転時間の延長となり難い。外槽洗浄運転でも衣類の脱水が行われているので、外槽洗浄運転は、脱水工程S25の一部として同時に行うこともできる。
なお、水溜め部30に水を溜めた後に内槽8の回転数を加速させて水を飛散させる外槽洗浄運転は、複数回行っても良い。すなわち、水溜め部30の水を飛散させた後、内槽8の回転数を減速して水溜め部30に水を溜め直し、再度、内槽8の回転数を加速させる運転を行う。この場合、内槽8の回転数を一旦下げるため時間の延長となるが、内槽8を略一定速度で回転させながら水を飛散させ続ける外槽洗浄より、一度に多量の水を飛散させる外槽洗浄の方が効率的に洗浄できるため、給水量を抑えられ節水に繋がる。
また、本実施例では、外槽洗浄運転時に内槽8の回転数が約130rpmとなるまで加速させるが、振動が大きくなる一次共振点が70〜90rpmに存在する。そのため、内槽8の回転数を何度も一次共振点を通過させると、振動発生のリスクを増大させてしまう。したがって、水溜め部30に水を溜めた状態で、内槽8の回転数を加速させる外槽洗浄運転を行うとき、内槽8の回転数を60rpm以下で行うことで振動を抑えて洗浄することができる。
同様に、二次共振点が250rpm付近に存在するため、内槽8を略定速回転させながら水溜め部30から水を飛散させる外槽洗浄運転を行うときは、内槽8の回転数は、一次共振点と二次共振点の間となるように100〜240rpmとするのが良い。二次共振点を通過した後、内槽8の回転数が高くなった状態で水溜め部30に給水すると、外槽9だけでなく外槽カバー9aへ多量の水が飛散してしまうので、給水するタイミングはこれを考慮して設定される。ここで、本実施例のように、乾燥機能がなく内蓋が設置されていない全自動洗濯機の場合は、水跳ね防止のため上述の回転数程度までしか高速にできないが、外槽を密閉するための内蓋が存在する洗濯乾燥機の場合は、更に高速回転させながら外槽洗浄運転を行うことも可能である。
次に、脱水工程S25に移行する。脱水工程S25は、槽洗浄シャワー(2)工程S24で内槽8を回転させているそのままの状態で移行し、内槽8の回転数を約200rpmまで加速させる。内槽8の回転数が上がることで、水溜め部30に残っている水が外槽9内周壁に飛散し、外槽9内周壁を洗浄する。
脱水工程S25では、内槽の回転数を段階的に加速し、約850rpmで回転させることで、衣類に含まれる水分を取り除く。なお、ユーザが設定することにより、約1000rpmで回転させることもある。槽洗浄シャワー(2)工程24の後に、内槽8を高速回転させる脱水工程S25を行うことで、水溜め部30に溜まった水のほぼ全てが飛散するため、水溜め部30に水が残り難く、湿気や水垢の原因とならない。また、衣類に含まれていた水分が貫通孔8cを介して内槽8の外側へ飛び出し、外槽9の内面に当たることになるので、これによっても外槽9の内周壁面を洗い流すことができる。そして、脱水工程S25によって衣類の脱水を終えると、全ての運転工程を終了する。
以上説明したように、本実施例における洗濯機1では、外槽カバー9aに、給水ユニット12から供給された水道水を内槽8の上部に設けた流体バランサ8a上面に形成される水溜め部30に給水する給水口20が設けられている。また、給水口20には、内槽8の径方向に複数の散水口21aを有するシャワーカバー21が設けられる。
水溜め部30は、内周側隆起部30aと外周側隆起部30bとで挟まれるように形成されている。外周側隆起部30bは、内周側隆起部30aより高くなるように形成され、外周側隆起部30bの内周面30b1と外周面30b2は、略鉛直に形成される。水溜め部30の深さは、内槽8回転軸に近い内周側より外周側が深くなるように形成される。
内槽8を正逆回転させながらシャワーカバー21から水を供給することで、一部の水が水溜め部30に貯水され、一部は内槽8外周壁を伝って流れ落ちる。そのまま給水し続けると、水溜め部30から溢れ出した水が内槽8外周壁に流れる。このとき、内槽8を回転させながら水を溢れさせるため、溢れ出す位置が偏り難く満遍なく内槽8外周壁を水が流れる。また、正逆回転させることにより、水が流れる経路が固定化されずに内槽8外周壁全体に水が行き渡り易くなる。これにより、内槽8外周壁に汚れやゴミが付着するのを抑制できるので、カビの繁殖や異臭の発生等が抑制され、内槽8を清潔に保つことができる。さらに、洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
水溜め部30に給水して水を溜めた状態で、内槽8の回転数を加速させることで、水溜め部30の水を一度にまとめて外槽9へ飛散させる。槽に水を流して洗浄する際、水量が少ないと水が流れる経路が固定化されてしまい、線状の洗いムラが発生してしまう虞があるが、水溜め部30に溜まった水がまとめて外槽9内周壁を流れるので、外槽9内周壁を満遍なく洗浄できる。したがって、外槽9内周壁に汚れやゴミが付着するのを抑制できるので、カビの繁殖や異臭の発生等が抑制され、外槽9を清潔に保つことができる。さらに、洗濯物へのゴミの付着も防止または抑制することができる。
また、槽洗浄シャワー(2)運転S24から脱水に移行することで、内槽8を回転させた状態のままで脱水を開始できるので、槽洗浄シャワー運転による運転時間の延長を短縮することができる。また、槽洗浄シャワー運転S22、S24は、各すすぎ工程の間または前後に行っても良いが、外槽9内の水がなるべくきれいな状態である最終脱水前に行うことが望ましい。なお、最終脱水後に槽洗浄シャワー(2)運転S24を行うと水溜め部30に水が残ってしまう虞があり、湿気や水垢の原因となってしまう。
また、本実施例の洗濯機は、給水ボックス16に槽洗浄給水室17と仕上剤収容室18が設けられる。槽洗浄給水室17は、槽洗浄給水室17を構成する壁の中で最も高さの低い仕切り板Aが設けられ、槽洗浄給水室17から溢れた水は仕切り板Aを乗り越えて仕上剤収容室18に流入する。これによって、槽洗浄給水室17に取り付けられた仕上剤/槽洗浄給水電磁弁の制御のみで、槽洗浄給水室17と仕上剤収容室18に給水することができる。制御装置100は、槽洗浄給水室17のみに給水する場合、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁を所定のインターバルで開閉させることで、槽洗浄給水室17から水が溢れないように給水する。また、制御装置100は、仕上剤収容室18に給水する場合、仕上剤/槽洗浄給水電磁弁を開弁し続けると、槽洗浄給水室17および仕上剤収容室18に給水できる。
本実施例では、給水ボックス16の仕上剤収容室18には仕上剤が収容されるが、これに限定するものではなく漂白剤や他の薬剤としても良い。また、水冷式の乾燥機能が付いた洗濯機では、槽洗浄給水室17の代わりに冷却水用の給水室として、流出口17bから冷却水を供給するようにしても良い。その場合、外槽内の蒸気が給水ボックス16を介して機外に排出されてしまう虞があるが、冷却水用の給水経路に逆止弁を設けることで防止できる。
また、本実施例では、電磁弁から給水される第1の給水室を槽洗浄用に、第1の給水室から溢れした水が流入する第2の給水室が仕上剤投入用にした場合を示したが、洗濯機が必要とする機能に合わせて、第1の給水室を冷却水用に、第2の給水室を漂白剤投入用にする等、適宜組合せを変更することができる。
図25および図26は、別の実施例を示すものである。本実施例も、最終すすぎであるすすぎ2までの制御は実施例1と同様であるが、その後の制御が実施例1と異なっているので、この部分について具体的に説明する。
本実施例では、図25に示す通り、かくはん工程S19が終了すると、排水工程S20に移行し、工程制御部112が、回転翼8dおよび内槽8を停止させて、排水弁14を開弁し、すすぎ2で使用したすすぎ水を一度全て排水する。
その後、槽洗浄シャワー(1)工程S21に移行し、排水弁14を閉弁し、内槽8を回転させながら仕上剤/槽洗浄給水電磁弁16bを開弁して水溜め部30に給水する。すると、上述した実施例1における槽洗浄シャワー(1)工程と同様に、水溜め部30から溢れ出した水によって内槽8外周壁に付着した汚れを洗い流す。このとき、内槽8外周壁の洗浄に使用された水は、外槽9の底に蓄えられていく。
所定時間が経過すると、槽洗浄工程S22を行う。ここでは、最終すすぎ後に給水された比較的きれいな水が外槽9の底に溜まった状態で、内槽8と回転翼8dを一体的に70rpm以上300rpm以下の回転速度で回転させるので、回転翼8dの裏側、内槽8の底面および外槽9の底内面に汚れが付着するのを防止できる。
そして、このような残水撹拌中に排水弁14を開弁して排水工程S23に入る。更に、回転翼8dが回転している間に排水をほぼ完了することにより、洗浄により落とした汚れが回転翼8dの裏側等に再度付着するのを防止できる。
次に、槽洗浄シャワー(2)工程S24に移行し、排水弁14を開弁した状態で再度、水溜め部30への給水を開始し、水溜め部30に水を溜めた状態で内槽8の回転数を加速させる。これにより、上述した実施例1における槽洗浄シャワー(2)工程と同様に、給水されている水だけでなく水溜め部30に溜められている水量がまとめて外槽9内周壁に勢い良く掛かるため、洗いムラが発生し難く満遍なく外槽9内周壁を洗浄することができる。
実施例1では、最終すすぎで利用した水を利用して回転翼8dの裏側等の洗浄を行うのに対して、本実施例では、最終すすぎで利用した水ではなく、新たに供給する水道水を利用して回転翼8dの裏側等の洗浄を行うので、回転翼8dの裏側等をより清潔にできる利点がある。