JP2014131817A - インダイレクトスポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インダイレクトスポット溶接の際に、溶融した状態で形成されるナゲットを安定して得ることができるインダイレクトスポット溶接方法を提供する。
【解決手段】少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には該溶接電極と離隔した位置に給電端子を取り付け、該溶接電極と該給電端子との間で通電して溶接を行うインダイレクトスポット溶接において、溶接部を除く金属板間の重ね合わせ面を、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質にて電気的に絶縁する。
【選択図】図2

Description

本発明は、少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には離れた位置で給電端子を取り付け、これら溶接電極と給電端子との間で通電して溶接を行うインダイレクトスポット溶接方法に関するものである。
自動車ボディーや自動車部品の溶接に際しては、従来から抵抗スポット溶接、主にダイレクトスポット溶接が使用されてきたが、最近では、シリーズスポット溶接法やインダイレクトスポット溶接法等が使用されるようになった。
上記した3種類のスポット溶接の特徴を、図1を用いて説明する。
いずれのスポット溶接も、重ね合わせた少なくとも2枚の鋼板を溶接により接合する点では変わりはない。
図1(a)は、ダイレクトスポット溶接法を示したものである。この溶接は、同図に示すとおり、重ね合わせた2枚の金属板1,2を挟んでその上下から一対の電極3,4を加圧しつつ電流を流し、金属板の抵抗発熱を利用して、点状の溶接部5を得る方法である。なお、電極3,4はいずれも、加圧制御装置6,7および電流制御装置8をそなえており、これらによって加圧力と通電する電流値が制御できる仕組みになっている。
図1(b)に示すシリーズスポット溶接法は、重ね合わせた2枚の金属板11,12に対し、離れた位置で、同一面側(同一方向)から一対の電極13,14を加圧しつつ電流を流し、点状の溶接部15-1,15-2を得る方法である。
図1(c)に示すインダイレクトスポット溶接法は、重ね合わせた2枚の金属板21,22に対し、一方の金属板21には電極23を加圧しながら押し当て、他方の金属板22には離れた位置で給電端子24を取り付け、これらの間で通電することにより、金属板21,22に点状の溶接部25を形成する方法である。
上記した3種類の溶接法のうち、スペース的に余裕があり、金属板を上下から挟む開口部が得られる場合には、ダイレクトスポット溶接法が用いられる。
しかしながら、実際の溶接に際しては、十分なスペースがなかったり、閉断面構造で金属板を上下から挟むことができない場合も多く、かような場合には、シリーズスポット溶接法やインダイレクトスポット溶接法が用いられる。
しかしながら、シリーズスポット溶接法やインダイレクトスポット溶接法を上記のような用途に使用する際には、重ね合わせた金属板は一方向からのみ電極により加圧され、その反対側は支持の無い中空の状態になっている。従って、両側から電極で挟むダイレクトスポット溶接法のように電極直下に局部的に高い加圧力を与えることができない。また、通電中に電極が金属板に沈み込んでいくため、電極−金属板、金属板−金属板間の接触状態が変化する。このような理由により、重ね合わせた金属板間で電流の通電経路が安定せず、溶融接合部が形成されにくいという問題があった。
上記の問題を解決するものとして、シリーズスポット溶接については、特許文献1に、「金属板を重ねた接触点にナゲットを形成するため、溶接初期に大電流を流して電極ナゲットを形成してから、定常電流を流す」ことが記載されている。また、特許文献2では、「電極を接触させる位置に他の部分よりも一段高い座面を形成し、座面を押しつぶすように加圧接触させて溶接することにより、バック電極なしに十分な溶接強度が得られる」ことが記載されている。
一方、インダイレクトスポット溶接については、シリーズスポット溶接にも適用できる技術として、特許文献3に、「シリーズスポット溶接又はインダイレクトスポット溶接の通電時に、電流値を高く維持する時間帯と電流値を低く維持する時間帯を交互に繰り返す」ことからなる溶接法、さらには「電流値を高く維持する時間帯と電流値を低く維持する時間帯を交互に繰り返すにつれて、電流値を高く維持する時間帯の電流値を徐々に高くする」ことからなる溶接方法が開示されている。
特開平11-333569号公報 特開2002-239742号公報 特開2006-198676号公報
しかしながら、特許文献1は、シリーズスポット溶接については有効であると考えられるが、溶接方法の異なるインダイレクトスポット溶接に対しては有効であるとは限らないという問題があった。
また、特許文献2も、シリーズスポット溶接については有効であると考えられるが、インダイレクトスポット溶接に対しては有効であるとは限らず、しかも電極を接触させる位置に他の部分よりも一段高い座面をプレスなどで形成する工程が必要になるという問題があった。
さらに、特許文献3には、同文献に開示の技術に従う通電パターンによって溶接された「金属板11,12の重合部の金属組織を観察すると、金属板11,12の重合部の金属が、従来の通常のナゲットに比べて細かく部分的に溶融して再結晶したものが多数形成される事象が見られ、所謂、拡散接合の状態で接合している場合であり、従来の通常のナゲットとは異なる事象で接合している場合もある。」(同文献3の段落〔0038〕)とあり、ダイレクトスポット溶接で見られるナゲットのように完全に溶融した状態で形成されているとは限らない。
輸送機器メーカーにおける現状のスポット溶接部の管理基準では、ダイレクトスポット溶接で得られるような完全に溶融した状態を経たナゲットであることを要求されることが多いため、接合強度が得られても完全に溶融した状態で形成されたナゲットが得られなければ管理基準を満足しないという問題がある。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されもので、重ね合わせた金属板を一方向からのみ電極で加圧し、その反対側は支持の無い中空の状態で溶接するインダイレクトスポット溶接に際し、溶融した状態で形成されたナゲットを安定して得ることができるインダイレクトスポット溶接方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
a)重ね合わせた金属板に一方向からのみ電極を接触させて、加圧し、その反対側は支持の無い中空の状態でインダイレクトスポット溶接を行う場合、両側から電極で挟むダイレクトスポット溶接法のように電極直下に局部的に高い加圧力を与えることができないため、電極直下の金属板の密着面に高い電流密度が得られず、その周辺に通電経路が分散する。そのため、インダイレクトスポット溶接では、密着面で溶融に達するに十分な発熱が得難く、溶融ナゲットが形成されにくい。また、溶融ナゲットが形成される場合でも、溶融ナゲットの形成される位置が、金属板の板厚方向に対して、電極に接触する金属板側に偏り、密着面での溶融が十分に得られないことがある。
b)上記a)の問題を解決するには、重ね合わせた金属板において、溶接を実施する領域を除く金属板間の重ね合わせ面(以下、重合面という)を絶縁した状態で溶接を実施し、通電経路を溶接部に限定することが有効であり、これにより、安定して溶融ナゲットを形成することができる。
ここに、上記した溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面を絶縁した状態に保持する絶縁体としては、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質とすることが重要である。
c)一方、上記b)のように溶接を行うと、金属板の種類、厚さによっては、上記a)で述べた傾向とは逆に、溶融ナゲットの形成される位置が、金属板の板厚方向に対して、電極が接触していない側の金属板に偏る傾向を示すことがある。
d)上記c)の傾向を是正し、溶融ナゲットをより好適な位置に形成するためには、上記b)のように溶接部を除く金属板間の重合面を絶縁した上で、さらに溶接部以外の箇所に通電経路を設け、溶接時にその通電経路に流れる電流を調整して、給電される総電流に対する溶接部に流れる電流の比率を制御することが有利であり、これにより、電極直下に形成される溶融ナゲットの板厚方向の位置を調整することができる。すなわち、電流制御装置から給電される総電流に対して溶接部に流れる電流の比率を小さくしていくと、溶接部の密着面での抵抗発熱が抑えられる一方、電極周辺の電極が接触する金属板では、溶接部と溶接部以外の箇所で通電した電流の総計が集中するため、抵抗発熱が顕著となる。よって、電極に接触する金属板側に溶融ナゲットが形成される傾向となる。上記に示す方法により、溶融ナゲットの板厚方向の位置を金属板間を十分に跨ぐ位置に調整することができ、溶接部の密着面で十分な溶融ナゲットの径を得ることができる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に直接、溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には該溶接電極と離隔した位置に給電端子を取り付け、該溶接電極と該給電端子との間で通電して、一方の面側の金属板から他方の面側の金属板に電流を流して溶接を行うインダイレクトスポット溶接において、溶接部を除く金属板間の重ね合わせ面を、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質にて電気的に絶縁した状態で溶接を行うことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
2.少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に直接、溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には該溶接電極と離隔した位置に給電端子を取り付け、該溶接電極と該給電端子との間で通電して、一方の面側の金属板から他方の面側の金属板に電流を流して溶接を行うインダイレクトスポット溶接において、溶接部を除く金属板間の重ね合わせ面を、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質にて電気的に絶縁した状態で溶接を行うものとし、その際、重ね合わせた金属板の溶接部以外の箇所に別途、少なくとも2枚の金属板間を導通する通電経路を設け、該通電経路に流れる電流を調整して、給電される総電流に対する溶接部に流れる電流の比率を制御することにより、該溶接部に形成される溶融ナゲットの板厚方向の位置を調整することを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
3.前記1または2において、前記溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質が、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂およびフッ素樹脂等の有機材料および無機材料またはこれらをベースとする塗料や被覆材、あるいはアラミドや石英ガラス等の有機材料や無機材料またはこれらをベースとする繊維材から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
本発明に従い、溶接部を除く金属板間の重合面を、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質にて電気的に絶縁することにより、溶接時における電流の分散を効果的に抑制して、安定的に溶融ナゲットを形成することができる。
また、本発明に従い、重ね合わせた金属板の溶接部以外の箇所に設けた通電経路に流れる電流を調整して、給電される総電流に対する溶接部に流れる電流の比率を制御することにより、溶接部に形成される溶融ナゲットの板厚方向の位置を調整することができ、その結果、溶接部の金属板同士の密着面で十分な径の溶融ナゲットを得ることができる。
ダイレクトスポット溶接法(a)、シリーズスポット溶接法(b)およびインダイレクトスポット溶接法(c)の溶接要領の説明図である。 重ね合わせた金属板において、溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面を電気的に絶縁して溶接を行う、本発明に従うインダイレクトスポット溶接の溶接要領を示した図である。 重ね合わせた金属板において、溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面を電気的に絶縁した上で、さらに溶接部以外に通電経路を設けて溶接を行う、本発明に従うインダイレクトスポット溶接の溶接要領を示した図である。 重ね合わせた金属板において、溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面を電気的に絶縁した上で、さらに溶接部以外に通電経路を設けて溶接を行う、本発明に従うインダイレクトスポット溶接の溶接要領の別例を示した図である。
以下、本発明を図面に従い具体的に説明する。
図2に、本発明に従い、重ね合わせた金属板において溶接を実施する領域を除き金属板間の重合面を電気的に絶縁して行うインダイレクトスポット溶接の溶接要領を示す。構成の骨子は、前掲図1(c)に示した従来のインダイレクトスポット溶接と共通するので、同一の番号を付して示し、図中番号26が絶縁体である。
本発明では、少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に直接、溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には該溶接電極と離隔した位置に給電端子を取り付け、該溶接電極と該給電端子との間で通電して、一方の面側の金属板から他方の面側の金属板に電流を流して溶接を行うインダイレクトスポット溶接法を実施するに際し、図2に示すように、溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面に電気的な絶縁体26を配置した状態で、溶接を実施する。これにより、金属板間の通電が溶接部に限定され、高い電流密度が得られるため、溶接部において溶融ナゲットの安定した形成が可能になる。
上記した絶縁体は、固有抵抗が十分に大きく、金属板間に配置され、溶接時の金属板間の通電を遮断する物質で構成され、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で加熱、溶融、酸化等による劣化が起こらない材料で構成する必要がある。具体的には、上記の特性を備えたアクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂およびフッ素樹脂等の有機材料および無機材料またはこれらをベースとする塗料や被覆材、あるいはアラミドや石英ガラス等の有機材料や無機材料またはこれらをベースとする繊維材等が有利に適合する。
ここに、かかる絶縁体は、溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面に配置される場合に、絶縁体の厚さにより溶接部の金属板間に隙間を与えて溶接に悪影響を生じることがないように、その厚さは十分に薄いことが望ましく、0.3mm以下であることが好ましい。また、溶接を実施する領域にはかような絶縁体を配置しないが、絶縁体を配置しない領域が広くなると、通電経路を溶接部に限定する効果が小さくなるため、その絶縁体を配置しない領域としては、溶接部の中心から半径25mm以下の範囲内に収めることが望ましい。なお、部材の形状により重ね合わせた金属板間に隙間を生じるような領域には、絶縁体を配置する必要はない。
ところで、上述したように、溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面を絶縁した状態で溶接を行うと、金属板の種類、厚さによっては、溶融ナゲットの形成される位置が、金属板の板厚方向に対して、電極が接触していない側の金属板に偏る傾向を示す。
そこで、かような場合には、重ね合わせた金属板において溶接部以外の箇所に別途、重ね合わせた金属板間を導通する通電経路を設け、その経路の電気抵抗を操作することにより、溶接時にその経路に流れる電流を調整することが有利である。これにより、電流制御装置から給電される総電流に対する溶接部に流れる電流の比率を制御し、電極直下に形成される溶融ナゲットの板厚方向の位置を変化させることができ、溶接部の金属板同士の密着面で十分な溶融ナゲットの径を得ることができる。
具体的には、電流制御装置から給電される総電流に対して溶接部に流れる電流の比率が小さくなるくと、溶接部の密着面での抵抗発熱が抑えられる一方、電極周辺の電極が接触する金属板では、溶接部と溶接部以外の箇所で通電した電流の総計が集中するため、抵抗発熱が顕著となる。よって、電極に接触する金属板側に溶融ナゲットが形成される傾向となり、前記の板厚方向に対して電極が接触していない側の金属板への溶融ナゲットの偏りを調整することができる。溶融ナゲットの板厚方向の位置を金属板間を十分に跨ぐ位置に調整するために好適な、総電流に対する溶接部に流れる電流の比率の範囲は、重ね合わせた金属板の種類、厚さによって相違するので、溶接部以外の箇所に設けられた通電経路の抵抗値は、前記した電流の比率が好適な範囲となるよう制御することが好ましい。また、この溶接部以外の箇所に設けられた通電経路は、複数とすることができる。
図3(a)に、本発明に従い、重ね合わせた金属板において溶接を実施する領域を除く金属板間の重合面を電気的に絶縁した上で、さらに溶接部以外に通電経路を設けてインダイレクトスポット溶接を行う場合の溶接要領を示す。構成の骨子は、前掲図2と共通するので、同一の番号を付して示し、図中番号27が通電端子、28が抵抗である。
図3(a)に示したように、重ね合わせた金属板に通電可能な接触端子27を取り付け、かかる通電端子27を抵抗器など所定の電気抵抗値を有する伝導体を介して結線することによって、重ね合わせた金属板の重合部とは別の箇所に通電経路を設けることができる。
また、図3(b)、(c)に示すように、重ね合わせた金属板間の重合面に、溶接を実施する領域以外に通電箇所を設ける方法が考えられる。図3(b)は、重ね合わせた金属板間の重合面に予め溶接部29を設けて通電経路とする場合であり、図3(c)は、重ね合わせた金属板間の重合面に設けた絶縁体の一部を除去し、その除去箇所30を加圧して金属板を密着させて通電経路とする場合である。
このようにして得られた通電経路に流れる電流を制御するにあたり、電流制御装置に結線された給電端子、電極および上記した通電箇所の位置を調整することにより、通電経路の抵抗値を相対的に調整することができ、これにより、前記したように、電極直下に形成される溶融ナゲットの板厚方向の位置を変化させ、溶融ナゲットの板厚方向の位置を金属板間を十分に跨ぐ位置に調整し、金属板の密着面で十分な溶融ナゲットの径を得ることができる。なお、この溶接部以外の箇所に設ける通電経路は、必ずしも一ヶ所に限られるわけではなく、複数箇所とすることもできる。
また、本発明のインダイレクトスポット溶接の実施に際しては、図3に示した方法の他、図4に示すような方法を用いてもよい。
図4(a)は、溶接部を挟んで、その下部から鋼板の重ね合わせ部を支持する凹形状の金属製治具31を設けたもので、重ね合わせた鋼板において、溶接を実施する領域を除き鋼板間の重合面を電気的に絶縁して、インダイレクトスポット溶接を行う方法である。
また、図4(b)は、重ね合わせた鋼板において、溶接を実施する領域を除き鋼板間の重合面を電気的に絶縁し、さらに溶接部以外に通電経路を、鋼板間の重合面とは別の箇所に設けて、インダイレクトスポット溶接を行う方法である。
さらに、図4(c)、重ね合わせた鋼板において、溶接を実施する領域を除き鋼板間の重合面を電気的に絶縁し、さらに重ね合わせた鋼板間の重合面に予め設けた溶接部を通電経路として、インダイレクトスポット溶接を行う方法である。
本発明に従うインダイレクトスポット溶接法を、重ね合わせた2枚の鋼板に対して実施した。鋼板は、板厚が0.65mmで、表1に示す化学成分になる引張強さ:270 N/mm2以上の冷延鋼板(SPC270)と、板厚が1.2mmで同じく表1に示す化学成分になる引張強さ:270 N/mm2以上のSPC270鋼板を使用した。
Figure 2014131817
図4(a)に示したような凹形状の金属製治具の上に、重ね合わせた2枚の鋼板を配置し、支持間隔を30mmとし、治具下部に給電端子を取付け、上方から電極で加圧し、クロム銅合金製で先端にR40mmの曲面を持つ形状の電極および直流インバータ式の電源を使用して、溶接を行った。2枚の重ね鋼板の重合面には、溶接を実施する領域である一辺が30mmの正方形を除き、厚さ:0.2mmのガラス繊維テープを貼付して、電気的に絶縁した。2枚の重ね鋼板に対する溶接位置は、上記の正方形の対角線2本の交点とした。
また、図4(b)および図4(c)に示した要領での溶接も実施した。なお、図4(c)において、溶接を実施する領域の中心は、2箇所の既存の溶接部の中心を結ぶ線分の中間点とした。また、溶接を実施する領域の中心からいずれかの既存の溶接部の中心までの距離を、40、80、120mmとした。
SPC270鋼板からなる上鋼板および下鋼板の板厚、電極の加圧力、電流値、鋼板重合面における溶接部以外の箇所での絶縁の有無および溶接部以外の箇所の通電経路の有無、また、溶接部以外の箇所の通電経路が有る場合はその具体的手法を表2に示す。通電経路の区別において、図4(a)に示すように溶接部以外の箇所の通電経路のなしの場合は「なし」、図4(b)に示すように溶接部以外の箇所の通電経路があり、それが重ね合わせた鋼板の重合面以外の箇所に設置された導電体である場合は「導電体」、図4(c)に示すように溶接部以外の箇所の通電経路が、重ね合わせた鋼板の重合面に予め設けた溶接部である場合であり、溶接を実施する領域の中心からいずれかの既存の溶接部の中心までの距離が40mmの場合は「既溶接部:40mm」、80mmの場合は「既溶接部:80mm」、120mmの場合は「既溶接部:120mm」、と表記した。なお、全ての条件において、通電開始から終了までの時間は0.30秒とした。
表2中、発明例1、2は、上鋼板、下鋼板を板厚:1.2mmのSPC270鋼板として、重合部の絶縁を施し、溶接を行った。
発明例3〜5は、上鋼板を板厚:0.65mmのSPC270鋼板、下鋼板を板厚:1.2mmのSPC270鋼板として、重合部の絶縁を施し、溶接を行った。
発明例6〜8は、上鋼板を板厚:0.65mmのSPC270鋼板、下鋼板を板厚:1.2mmのSPC270鋼板として、重合部の絶縁を施し、上、下鋼板の重合面以外の箇所に導電体を設置して溶接部以外の通電経路を設け、溶接を行った。
発明例9〜13は、上鋼板を板厚:0.65mmのSPC270鋼板、下鋼板を板厚:1.2mmのSPC270鋼板として、重合部の絶縁を施し、上、下鋼板の重合面の既溶接部を溶接部以外の通電経路として、溶接を行った。
これに対し、比較例1、2は、上鋼板、下鋼板を板厚:1.2mmのSPC270鋼板として、比較例3〜5は上鋼板を板厚:0.65mmのSPC270鋼板、下鋼板を板厚:1.2mmのSPC270鋼板として、重合部の絶縁を施さず、溶接を行った。
表3に、表2に示す条件で溶接したときの溶接部のナゲット径、ナゲット厚さ、ナゲット厚さ/径および外観不具合について調べた結果を示す。
なお、表3においてナゲット径は、溶接部を中心で切断した断面において、上鋼板、下鋼板間の重合面上での長さとした。ナゲット厚さは、溶接部を中心で切断した断面において、上鋼板、下鋼板間に跨って形成される溶融部の最大厚さとした。重合面から上鋼板側の厚さを「上板」、重合面から下鋼板側の厚さを「下板」、上鋼板から下鋼板に跨る総厚さを「合計」として、記載した。ナゲット厚さ/径は、上述したナゲット厚さの「合計」をナゲット径で除したものである。
ここに、ナゲット径が2.5mm以上、ナゲット厚さ/径が0.1以上であり、重合面から上、下鋼板側の厚さがそれぞれ0.2mm以上であれば、溶融した状態で形成された好適な形状のナゲットが上、下鋼板間を十分に跨ぐ位置に形成された、と判断することができる。
Figure 2014131817
Figure 2014131817
表3に示したとおり、本発明に従いインダイレクトスポット溶接を行った発明例1〜13はいずれも、十分なナゲット径と、この径に対して十分な厚さを有する溶融ナゲットを得ることができ、さらに、溶融ナゲットが上、下鋼板間を十分に跨ぐ位置に形成されていた。また、外観不具合は全く観察されなかった。
これに対し、比較例4は、ナゲット径が2.1mmとなったが、十分なナゲット厚さが得られず、ナゲット厚さ/径が0.1より小さくなった。また、その他の比較例1,2,3,5ではいずれも、ナゲットの形成は観察されなかった。
本発明によれば、重ね合わせた金属板を一方向からのみ電極で加圧し、その反対側は支持の無い中空の状態で行うインダイレクトスポット溶接において、十分なナゲット径と、この径に対して十分な厚さを有する溶融ナゲットを安定して形成することができる。
1,2 金属板
3,4 電極
5 点状の溶接部
6,7 加圧制御装置
8 電流制御装置
11,12 金属板
13,14 電極
15-1,15-2 点状の溶接部
21,22 金属板
23 電極
24 給電端子
25 溶接部
26 絶縁体
27 通電端子
28 抵抗
29 溶接部
30 除去箇所
31 凹形状の金属製治具

Claims (3)

  1. 少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に直接、溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には該溶接電極と離隔した位置に給電端子を取り付け、該溶接電極と該給電端子との間で通電して、一方の面側の金属板から他方の面側の金属板に電流を流して溶接を行うインダイレクトスポット溶接において、 溶接部を除く金属板間の重ね合わせ面を、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質にて電気的に絶縁した状態で溶接を行うことを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  2. 少なくとも2枚の金属板を重ね合わせた部材に対し、一方の面側から金属板に直接、溶接電極を加圧しながら押し当て、他方の面側の金属板には該溶接電極と離隔した位置に給電端子を取り付け、該溶接電極と該給電端子との間で通電して、一方の面側の金属板から他方の面側の金属板に電流を流して溶接を行うインダイレクトスポット溶接において、溶接部を除く金属板間の重ね合わせ面を、溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質にて電気的に絶縁した状態で溶接を行うものとし、その際、重ね合わせた金属板の溶接部以外の箇所に別途、少なくとも2枚の金属板間を導通する通電経路を設け、該通電経路に流れる電流を調整して、給電される総電流に対する溶接部に流れる電流の比率を制御することにより、該溶接部に形成される溶融ナゲットの板厚方向の位置を調整することを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
  3. 請求項1または2において、前記溶接時に溶接部の周囲へ伝導する熱で劣化が起こらない物質が、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂およびフッ素樹脂等の有機材料および無機材料またはこれらをベースとする塗料や被覆材、あるいはアラミドや石英ガラス等の有機材料や無機材料またはこれらをベースとする繊維材から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするインダイレクトスポット溶接方法。
JP2014046541A 2014-03-10 2014-03-10 インダイレクトスポット溶接方法 Active JP5928508B2 (ja)

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JPH09216069A (ja) * 1996-02-08 1997-08-19 Nippon Steel Corp プレコート金属板の接合方法

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