JP2014130908A - 静電チャック - Google Patents

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Abstract

【課題】静電チャックの吸着側(第1主面側)の温度ムラ、従って、静電チャックに吸着された被吸着物に対する温度ムラの発生を低減できる静電チャックを提供する。
【解決手段】静電チャック1は、吸着用基板9とヒータ部材13との間に、方向によって熱伝導率が異なる異方性熱伝導体、即ち、積層方向よりも積層方向に対して垂直方向の熱伝導率が大きくなるような異方性熱伝導体であるグラファイトシート11を備えている。従って、発熱状態にムラがあった場合でも、グラファイトシート11によって、表面の平面方向に熱が伝わり易いので、その平面方向における温度ムラが緩和される。これにより、吸着用基板9の温度ムラを低減できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、半導体ウェハの固定、半導体ウェハの平面度の矯正などに用いられる静電チャックに関するものである。
従来より、半導体製造装置では、半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)に対して、ドライエッチング(例えばプラズマエッチング)等の処理が行われている。このドライエッチングの精度を高めるためには、半導体ウェハを確実に固定しておく必要があるので、半導体ウェハを固定する固定手段として、静電引力によって半導体ウェハを固定する静電チャックが提案されている(例えば特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1に記載の静電チャックでは、セラミック絶縁板の内部に吸着用電極を有しており、その吸着用電極に電圧を印加させた際に生じる静電引力を用いて、半導体ウェハをセラミック絶縁板の上面(吸着面)に吸着させるようになっている。この静電チャックは、セラミック絶縁板の下面(接合面)に金属ベースを接合することによって構成されている。
また、近年では、吸着面に吸着された半導体ウェハの加工を好適に行うために、静電チャックに対して、半導体ウェハの温度を調節(加熱または冷却)する機能を持たせた技術が知られている。
例えば、セラミック絶縁板内に(例えば螺旋状に形成された)ヒータ電極を設け、ヒータ電極でセラミック絶縁板を加熱することにより、吸着面上の半導体ウェハを加熱する技術が知られている。
更に、前記特許文献1には、セラミック絶縁板内に吸着面にて開口する冷却用ガス流路を設け、冷却用ガス流路を流れる冷却用ガス(例えばヘリウムガス)を吸着面上の半導体ウェハに接触させることにより、半導体ウェハを冷却する技術が開示されている。
また、これとは別に、上述した構造の静電チャックにおいては、セラミック絶縁板と金属ベースとは熱膨張率が異なるので、温度が変化すると、セラミック絶縁板と金属ベースとの間に生じる熱応力によって、静電チャックに反りが発生することがある。
この対策として、近年では、セラミック絶縁板と金属ベースとの間に、応力緩和層を設けた技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2005−136104号公報 特開2009−71023号公報
上述したヒータ電極は、例えばW等などのヒータ電極の材料(発熱体ペースト)を用いて、例えばスクリーン印刷によって細い線を螺旋状や蛇行状などに形成することによって作製されるが、製造工程において、ヒータ電極の厚みや幅などにムラなどが生じた場合などには、半導体ウェハと接触するセラミック絶縁体にも温度ムラ(平面方向における温度のばらつき)が生じ、結果として、半導体ウェハにも温度ムラが生じるという問題があった。
そして、このように半導体ウェハに温度ムラがあると、例えばプラズマエッチングによって半導体ウェハにパターンを形成する場合に、処理の度合いがばらつくなどの問題が生じ易いため、歩留まりが低下してしまう。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電チャックの吸着側(第1主面側)の温度ムラ、従って、静電チャックに吸着された被吸着物に対する温度ムラの発生を低減できる静電チャックを提供することにある。
(1)本発明は、第1態様として、第1主面及び第2主面を有するとともに、吸着用電極を有する吸着用基板と、前記第2主面側に配置され、前記吸着用基板を加熱するヒータを有するヒータ部材と、を備え、前記吸着用電極に電圧を印加した際に生じる静電引力を用いて被吸着物を前記第1主面に吸着させる静電チャックにおいて、前記吸着用基板と前記ヒータ部材との間に、方向によって熱伝導率が異なる異方性熱伝導体を備えるとともに、前記異方性熱伝導体を、前記積層方向よりも該積層方向に対して垂直方向の熱伝導率が大きくなるように配置したことを特徴とする。
本第1態様では、吸着用基板とヒータ部材との間に、方向によって熱伝導率が異なる異方性熱伝導体、即ち、積層方向よりも積層方向に対して垂直方向の熱伝導率が大きくなるような異方性熱伝導体を備えている。
従って、ヒータ部材に設けられたヒータの構造や配置等により(ヒータの場所によって)発熱状態にムラがあった場合でも、異方性熱伝導体によって、積層方向より垂直方向に温度が伝わり易いので(即ち基板表面の平面方向に熱が伝わり易いので)、その平面方向における温度ムラが緩和される。これにより、吸着用基板の温度ムラ(吸着用基板の広がる方向(即ち基板表面の平面方向)における温度ムラ)を低減することができる。
従って、吸着用基板に吸着された半導体ウェハ等の吸着物の温度ムラを低減できるので、例えばプラズマエッチングによって半導体ウェハにパターンを形成する場合のように、処理の度合いがばらつくなどの問題の発生を低減することができ、歩留まりを向上することができる。
ここで、異方性熱伝導体によって温度ムラが緩和される理由は、この異方性熱伝導体は、積層方向には温度が伝わりにくいので、ヒータに温度ムラがあった場合でも、ヒータによる温度は、まず、積層方向と垂直の方向(基板表面と同様な平面方向)に温度が伝わって、異方性熱伝導体内部において温度が均一化され、その均一化された温度が吸着用基板側に伝わるからと考えられる。
なお、積層方向と垂直方向との熱伝導率の差としては、本発明者の研究によれば、例えば100倍以上あれば、温度ムラを好適に低減できるので望ましい。
(2)本発明は、第2態様としては、前記静電チャックを前記積層方向から見た場合に、前記静電チャックの中心側の中心部に、第1の異方性熱伝導体を備えるとともに、前記中心部より外周側の外周部に、第2の異方性熱伝導体を備え、更に、前記第1の異方性熱伝導体と前記第2の異方性熱伝導体との間に、前記第1の異方性熱伝導体及び前記第2の異方性熱伝導体よりも熱の伝導性の低い断熱部を備えたことを特徴とする。
本第2態様では、静電チャックの中心部と外周部とに、それぞれ第1の異方性熱伝導体と第2の異方性熱伝導体とを備えるとともに、両異方性熱伝導体の間に断熱部を備えている。
従って、例えば中心部と外周部とをヒータや冷却用ガスによって異なる温度に制御する場合には、中心部と外周部とを異なる温度に容易に調節できるとともに、中心部における温度を均一化でき、且つ、外周部における温度を均一化することができる。
これによって、被吸着材の温度を中心側と外周側とで異なる温度で且つそれぞれ均一な温度に制御できるので、被吸着材に対して一層複雑な処理を行うことができる。
なお、第1の異方性熱伝導体と第2の異方性熱伝導体とは、上述のように、方向によって熱伝導率が異なるものであり、積層方向よりも(積層方向に対して)垂直方向の熱伝導率が大きくなるように配置されているが、第1の異方性熱伝導体と第2の異方性熱伝導体とは、全く同一である必要はなく、異なる材料や異なる特性(熱伝導率等)のものを採用できる。
(3)本発明は、第3態様として、前記静電チャックの中心部に、該中心部の温度を調節する第1のヒータを備えるとともに、前記外周部に、該外周部の温度を調節する第2のヒータを備えたことを特徴とする。
本第3態様では、静電チャックの中心部と外周部とに、異なるヒータを備えているので、各ヒータの温度を制御することにより、被吸着材の温度を所望の温度に容易に調節することができる。
(4)本発明は、第4態様として、前記異方性熱伝導体は、グラファイトから構成されており、前記異方性熱伝導体の前記積層方向における両表面に、それぞれ金属メッキ層を備えるとともに、前記各金属メッキ層の表面に、前記吸着用基板及び前記ヒータ部材のそれぞれとの接合を行う各接着剤層を備えたことを特徴とする。
本第5態様では、グラファイトからなる異方性熱伝導体(例えばグラファイトシート)の両面に、金属メッキ層を備えている。この金属メッキ層は、接着剤層との接合性が高いので、異方性熱伝導体と接着剤層(従って吸着用基板やヒータ部材)との接合性が高いという利点がある。
つまり、グラファイトからなるシート等の部材は、接着剤の濡れ性が低いので、本第4態様では、グラファイトより接合性の高い金属メッキ層を設けることにより、接着剤層との接合性を高めている。
(5)本発明は、第5態様として、前記吸着用基板と前記ヒータ部材とは、主としてセラミックから構成されており、前記接着剤層は、前記セラミックと前記異方性熱伝導体との間の熱膨張率及び柔軟性を有することを特徴とする。
吸着用基板及びヒータ部材と異方性熱伝導体とは、異なる材料から構成されており、よって熱膨張率が異なるので、温度が変化した場合には、隣接する部材間に熱応力が加わる。しかし、本第5態様では、接着剤層(緩衝層)は、セラミック及び異方性熱伝導体に比べて柔軟性を有するので、接着剤層に隣接する部材間に加わる熱応力を緩和できる。よって、静電チャックの熱応力による変形(反り)を抑制することができる。
なお、ここで、柔軟性とは、外力が加わった場合の柔らかさ(曲げや易さ)を示しており、例えばヤング率で示すことができる。つまり、接着剤層は、セラミックや異方性熱伝導体に比べ、ヤング率が低い。
なお、以下に、上述した本発明の各構成について説明する。
・静電チャックとしては、吸着用基板の第2主面側に、板状の異方性熱伝導体、板状のヒータ部材、板状の金属ベースを配置し、それらを、接着剤層によって接合した構成を採用できる。
なお、吸着用基板と異方性熱伝導体との間や、異方性熱伝導体とヒータ部材との間に、その他の各種の部材(異方性熱伝導体ではない部材)を配置することができる。
・吸着用基板を構成する主要な材料(導電部分以外の絶縁材料)としては、セラミックを採用できる。また、セラミックで構成する場合には、複数のセラミック層を積層して形成すると、内部に各種の構造を容易に形成できるので好適である。
このセラミックとしては、アルミナ、イットリア(酸化イットリウム)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素などといった高温焼成セラミックを主成分とする焼結体などが挙げられる。
また、用途に応じて、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミックのような低温焼成セラミックを主成分とする焼結体を選択してもよいし、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの誘電体セラミックを主成分とする焼結体を選択してもよい。
なお、半導体製造におけるドライエッチングなどの各処理においては、プラズマを用いた技術が種々採用され、プラズマを用いた処理においては、ハロゲンガスなどの腐食性ガスが多用されている。このため、腐食性ガスやプラズマに晒される静電チャックには、高い耐食性が要求される。従って、吸着用基板は、腐食性ガスやプラズマに対する耐食性がある材料、例えば、アルミナやイットリアを主成分とする材料からなることが好ましい。
・ヒータ部材の絶縁部分の材料として、前記吸着用基板と同様なセラミック材料やポリイミド樹脂を採用できる。
・吸着用電極、ヒータを構成する導体の材料としては特に限定されないが、同時焼成法によってこれらの導体及びセラミック部分を形成する場合、導体中の金属粉末は、セラミック絶縁板の焼成温度よりも高融点である必要がある。例えば、セラミック部分がいわゆる高温焼成セラミック(例えばアルミナ等)からなる場合には、導体中の金属粉末として、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)等やそれらの合金が選択可能である。
このセラミック部分がいわゆる低温焼成セラミック(例えばガラスセラミック等)からなる場合には、導体中の金属粉末として、銅(Cu)または銀(Ag)等やそれらの合金が選択可能である。
また、セラミック部分が高誘電率セラミック(例えばチタン酸バリウム等)からなる場合には、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等やそれらの合金が選択可能である。
なお、吸着用電極、ヒータは、金属粉末を含む導体ペーストを用い、従来周知の手法、例えば印刷法等により塗布された後、焼成することで形成することができる。
・被吸着物としては、半導体ウェハ、ガラス基板等が挙げられる
・異方性熱伝導体を構成する材料としては、グラファイト、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
・断熱部としては、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、シリコーン樹脂等を充填した構成を挙げられる。また、単に空間や溝等としてもよい。
・金属メッキ層を構成する材料としては、ニッケル(Ni)、金(Au)等の金属の単体や、それらの合金を採用できる。なお、メッキ方法としては、周知の無電解メッキ等を採用できる。
・接着剤層を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂材料や、インジウムなどの金属材料を選択することができる。
特に、例えば100℃以上の耐熱性を有する各種の樹脂製の接着剤が好ましく、また、セラミックよりも低熱伝導性であると、前記温度ムラを抑制する性能が向上するので、一層好ましい。
また、セラミック材料の熱膨張率と金属ベースの熱膨張率との差が大きいため、接着剤層は、緩衝材としての機能を有する弾性変形可能(柔軟な)な樹脂材料からなることが特に好ましい。
・なお、金属ベースの材料としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)等を採用できる。
実施例1の静電チャックを一部破断して示す斜視図である。 実施例1の静電チャックを厚み方向に破断した一部を拡大して示す説明図である。 (a)は実施例1に用いられるグラファイトシートの平面図、(b)はヒータの平面方向における配置状態を示す説明図である。 グラファイトシート等を厚み方向に破断し、その方向における熱伝導率の違いを示す説明図である。 実施例1の静電チャックを厚み方向に破断し、静電チャックを駆動するための電力の供給状態を示す説明図である。 実施例1の静電チャックを厚み方向に破断し、静電チャックの一部の電極やヒータに対する電気的接続部分を示す説明図である。 実施例2の静電チャックを厚み方向に破断した一部を拡大して示す説明図である。 (a)は実施例2に用いられるグラファイトシートや断熱部の平面図、(b)は第1、第2のヒータの平面方向における配置状態を示す説明図である。 実験条件1〜3の実験に用いる静電チャックのモデルを示す説明図であり、(a)はモデルの全体を示す説明図、(b)〜(d)はモデル1〜3の一部を拡大して示す説明図である。 実験条件4の実験に用いる静電チャックのモデルを示す説明図である。
以下に、本発明を実施するための形態(実施例)について説明する。
ここでは、例えば半導体ウェハを吸着保持できる静電チャックを例に挙げる。
a)まず、本実施例の静電チャックの構造について説明する。
図1に示す様に、本実施例の静電チャック1は、図1の上側にて半導体ウェハ3を吸着する装置であり、例えば直径340mm×厚み20mmの円盤状の金属ベース(クーリングプレート)5の厚み方向の一方に側(同図上方)に、半導体ウェハ3を吸着するために、例えば直径300mm×厚み3mmの円盤状の吸着用部材7を接合したものである。
特に、本実施例では、後に詳述するように、吸着用部材7は、円盤状の吸着用基板9、円盤状の異方性熱伝導体であるグラファイトシート11、円盤状のヒータ部材13等などを積層して形成されている。
以下、各構成について説明する。
前記吸着用部材7の内部には、半導体ウェハ3を冷却するヘリウム等の冷却用ガスを供給するトンネルである冷却用ガス供給路15が設けられ、その表面(上面)である吸着面17には、冷却用ガス供給路15が開口する複数の冷却用開口部19や、冷却用開口部19から供給された冷却用ガスが吸着面17全体に広がるように設けられた環状の冷却用溝25が設けられている。
なお、吸着用基板9及びヒータ部材13は、後述する複数のセラミック層が積層されたものであり、(その絶縁部分は)アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体である。
一方、金属ベース5は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属製であり、その内部には、吸着用部材7を冷却する冷却用液体(例えばフッ素化液又は純水)が充填される冷却用空間27が設けられている。
図2に詳細に示すように、吸着用基板9は、5層の第1〜第5セラミック層9a、9b、9c、9d、9eが積層され、ヒータ部材13は、第6〜8セラミック層13a、13b、13cが積層されている。なお、同図において、吸着用基板9の上面が第1主面であり、下面が第2主面である。
吸着用基板9の構成は、基本的に従来とほぼ同様であり、その内部において、吸着面17の(同図)下方には、例えば平面形状が半円状の一対の吸着用電極29、31(図1参照)が形成されている。ここでは、第2、第3セラミック層9b、9cの間に吸着用電極29、31が形成されている。
この吸着用電極29、31とは、静電チャック1を使用する場合には、両吸着用電極29、31の間に、直流高電圧を印加し、これにより、半導体ウェハ3を吸着する静電引力(吸着力)を発生させ、この吸着力を用いて半導体ウェハ3を吸着して固定するものである。
また、ヒータ部材13には、従来と同様に、例えば同一平面にて軸中心を回るように螺旋状に巻き回されたヒータ(発熱体)33が形成されている。ここでは、第6、第7セラミック層13a、13bの間にヒータ33が形成されている。
なお、吸着用電極29、31やヒータ33は、例えばタングステンから構成されている。
特に、本実施例では、吸着用基板9とヒータ部材13との間には、異方性熱伝導体であるグラファイトシート11が配置されており、グラファイトシート11の(積層方向における)両側には、例えばNiからなる金属メッキ層35、37が形成されている。
更に、吸着用基板9と上側の金属メッキ層35との間には、例えばシリコーン樹脂からなる接着剤層39が配置されるとともに、下側の金属メッキ層37とヒータ部材13との間にも、同様な接着剤層41が配置されている。
なお、ヒータ部材13と金属ベース5との間にも、同様な接着剤層43が配置されている。
ここで、接着剤層39〜43を構成するシリコーン樹脂は、アルミナやグラファイトに比較して柔軟性が高く、ヤング率は、アルミナやグラファイトに比較して小さい値である。
図3(a)に示す様に、グラファイトシート11は、例えば直径300mm×厚み1mmの円盤状の部材であり、その中央部分には、複数の冷却用ガス供給路15などに対応して、複数の貫通孔45が形成されている。なお、図3(b)に示す様に、ヒータ33は、グラファイトシート11の全面を加熱するように、グラファイトシート11の(図2における)下方の全面にわたって螺旋状に形成されている。
このグラファイトシート11は、方向によって熱伝導率が異なる異方性熱伝導体であり、本実施例では、図4に示す様に、積層方向(同図上下方向)よりも積層方向に対して垂直方向(同図左右方向:吸着面17が広がる平面方向)の熱伝導率が大きくなるような特性を有している。
具体的には、積層方向(Z方向)における熱伝導率は、7W/mKであり、積層方向に対する垂直方向(水平方向:XY方向)における熱伝導率は、1700W/mKであり、熱伝導率の違いは240倍以上である。
b)次に、本実施例の静電チャック1の電気的な構成について説明する。
図5に示すように、静電チャック1の吸着用電極29、31、ヒータ33には、それぞれを作動させるために電源回路が接続されている。
具体的には、吸着用電極29、31には第1電源回路47が接続され、ヒータ33には第2電源回路49が接続され、それらの動作は、マイコンを含む電子制御装置51によって制御される。
なお、図6に一部を示すように、吸着用電極31、ヒータ33と、電源回路47、49との接続は、内部接続端子53、55を利用して行うことができる。なお、図6では、内部接続端子の一部のみを例示している。
つまり、吸着用電極29、31、ヒータ33は、ビア57、59や内部導電層61などを介して、同図下方に開口する内部孔63、65のメタライズ層67、69に導通しており、このメタライズ層67、69にそれぞれ内部接続端子53、55が形成されている。
従って、内部接続端子53、55に端子ピン(図示せず)を接続することにより、吸着用電極29、31、ヒータ33に電力を供給することができる。
c)次に、本実施例の静電チャック1の製造方法について、簡単に説明する。
(1)図示しないが、原料としては、主成分であるAl23:92重量%、MgO:1重量%、CaO:1重量%、SiO2:6重量%の各粉末を混合して、ボールミルで、50〜80時間湿式粉砕した後、脱水乾燥する。
(2)次に、この粉末に、メタクリル酸イソブチルエステル:3重量%、ブチルエステル:3重量%、ニトロセルロース:1重量%、ジオクチルフタレート:0.5重量%を加え、更に溶剤として、トリクロール−エチレン、n−ブタノールを加え、ボールミルで混合して、流動性のあるスラリーとする。
(3)次に、このスラリーを、減圧脱泡後平板状に流し出して徐冷し、溶剤を発散させて、(第1〜第8セラミック層9a〜9e、13a〜13cに対応する)第1〜第8アルミナグリーンシートを形成する。
そして、この第1〜第8アルミナグリーンシートに対して、冷却用ガス供給路15等の冷却ガスの流路となる空間や貫通孔、内部孔63、65となる空間、更にはビア57、59となるスルーホールを、必要箇所に開ける。
(4)また、前記アルミナグリーンシート用の原料粉末中にタングステン粉末を混ぜて、前記と同様な方法によりスラリー状にして、メタライズインクとする。
(5)そして、吸着用電極29、31、ヒータ33、内部導電層61を形成するために、前記メタライズインクを用いて、それぞれの電極やヒータの形成箇所に対応したアルミナグリーンシート上に、通常のスクリーン印刷法により、各パターンを印刷する。なお、ビア57、59を形成するために、スルーホールに対して、メタライズインクを充填する。
(6)次に、第1〜第5アルミナグリーンシートを、冷却ガスの流路などが形成されるように位置合わせして、熱圧着し、(吸着用基板用の)第1積層シートを形成する。同様に、第6〜第8アルミナグリーンシートを、冷却ガスの流路などが形成されるように位置合わせして、熱圧着し、(ヒータ部材用の)第2積層シートを形成する。
(7)次に、熱圧着した第1、第2積層シートを、所定の円板形状(例えば8インチサイズの円板形状)にカットする。
(8)次に、カットした第1、第2積層シートを、還元雰囲気にて、1400〜1600℃の範囲(例えば1950℃)にて5時間焼成(本焼成)し、第1、第2アルミナ質焼結体を作製する。
(9)次に、第1、第2アルミナ質焼結体の必要な箇所に、メタライズ層67、69や内部接続端子53、55を設ける。
(10)これとは別に、グラファイトシート11の両側(厚み方向の両側)に対して、無電解メッキを行い、例えば厚み3μmのNiからなる金属メッキ層35、37を形成する。
そして、このグラファイトシート11を、所定の円板形状(例えば8インチサイズの円板形状)にカットし、必要な箇所に貫通孔45をあける。
(11)次に、例えばシリコーン樹脂を用いて、吸着用基板9と(金属メッキ層35を介して)グラファイトシート11とを接合し、また、(金属メッキ層37を介して)グラファイトシート11とヒータ部材13とを接合し、更に、ヒータ部材13と金属ベース5とを接合して一体化する。これにより、静電チャック1が完成する。
d)次に、本実施例の効果について説明する。
本実施例では、吸着用基板9とヒータ部材13との間に、方向によって熱伝導率が異なる異方性熱伝導体、即ち、積層方向よりも積層方向に対して垂直方向の熱伝導率が大きくなるような異方性熱伝導体であるグラファイトシート11を備えている。
従って、ヒータ部材13に設けられたヒータ33の構造や配置等により(ヒータ33の場所によって)発熱状態にムラがあった場合でも、グラファイトシート11によって、積層方向より垂直方向に温度が伝わり易いので(即ち基板表面の平面方向に熱が伝わり易いので)、その平面方向における温度ムラが緩和される。これにより、吸着用基板9の温度ムラ(基板表面における温度ムラ)を低減することができる。
よって、吸着用基板9に吸着された半導体ウェハ3の温度ムラを低減できるので、例えばプラズマエッチングによって半導体ウェハ3にパターンを形成する場合のように、処理の度合いがばらつくなどの問題を抑制することができ、歩留まりを向上することができるという顕著な効果を奏する。
また、本実施例では、グラファイトシート11の両面に、Niからなる金属メッキ層35、37を備えており、この金属メッキ層35、37の表面にシリコーン樹脂からなる接着剤層39、41が接合されている。つまり、グラファイトシート11はシリコーン樹脂との濡れ性(従って接合性)が悪いが、本実施例では、グラファイトシート11の表面にシリコーン樹脂との接合性が高い金属メッキ層35、37が設けられているので、吸着用基板9とヒータ部材13との間に配置されたグラファイトシート11を強固に接合することができる。
更に、本実施例では、接着剤層39、41、43は、吸着用基板9やヒータ部材13の主成分であるアルミナとグラファイトシート11を構成するグラファイトとの間の熱膨張率及び柔軟性(ヤング率)を有するので、接着剤層39、41、43に隣接する部材間に加わる熱応力を緩和できる。よって、静電チャック1の熱応力による変形(反り)を抑制することができる。
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
図7に示すように、本実施例の静電チャック71は、前記実施例1と同様に、同図の上方の吸着面73側にて半導体ウェハ3を吸着するものであり、円盤状の吸着用部材75と、円盤状の金属ベース77とを接合したものである。
また、吸着用部材75は、前記実施例1と同様に、吸着用基板79とヒータ部材81との間に、1組の例えば厚み1mmのグラファイトシート83を挟んだものである。
詳しくは、1組のグラファイトシート83は、図8(a)に示す様に、中心側に配置された例えば直径248mmの円盤状の第1のグラファイトシート83aと、その外周側に同芯状に配置された例えば内径252mm×外径300mmの円環状の第2のグラファイトシート83bとから構成されている。
また、両グラファイトシート83の間には、例えばPEEKからなる例えば内径248mm×外径252mmの断熱部が85構成されている。
この断熱部85の熱伝導率は0.26W/mKであり、両グラファイトシート83の平面方向(XY方向)の熱伝導率(1700W/mK)や、周囲のセラミック材料であるアルミナの熱伝導率(19W/mK)よりも小さく設定されている。
図7に戻り、両グラファイトシート83の積層方向における両側には、前記実施例1と同様に、金属メッキ層87、89が形成されている。
また、吸着用基板79と金属メッキ層87との間、金属メッキ層89とヒータ部材81との間、ヒータ部材81と金属ベース77との間には、前記実施例1と同様に、それぞれ接着剤層91、93、95が配置されている。
更に、本実施例では、図8(b)に示す様に、ヒータ部材81には、1組のヒータ97が設けられており、そのうち、ヒータ部材81の中心側には、第1のグラファイトシート83aの位置に対応して(即ち図7の下方への投影領域に)、螺旋状の第1のヒータ97aが設けられ、同様に、ヒータ部材81の外周側には、第2のグラファイトシート83bの位置に対応して、円環状の第2のヒータ97bが設けられている。
また、この第1、第2のヒータ97a、97bは、それぞれ独立して温度制御が可能となっている。
本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏する。また、本実施例では、静電チャック71の中心側には、第1のグラファイトシート83aと第1のヒータ97aとが配置されるとともに、外周側には、第2のグラファイトシート83bと第2のヒータ97bとが配置され、しかも、第1、第2のグラファイトシート83a、83bとは、断熱部85によって熱的に分離されている。
よって、静電チャック71の中心側と外周側とを異なる温度に制御できるとともに、中心側における温度を均一化でき、且つ、外周側における温度も均一化できる。
つまり、静電チャック71の機能としては、前記実施例1のように、半導体ウェハ3の面内温度分布を均一にすることが望まれているが、より高度な機能として、面内温度をあえて異ならせるという技術もある。具体的には、(加工に用いる)プロセスガス濃度やプラズマのムラにより、半導体ウェハ3の面内の加工レートが異なる場合、あえて面内の温度を変化させることで、加工レートを同じにする技術がある。特に外周側は、ムラになりやすく、その部分だけの温度制御ができると、面内の加工レートが揃い易いので好適である。
従って、本実施例のように、中心側と外周側とを独立して(しかも各領域の温度を均一化して)温度調節することによって、上述した面内温度を異ならせる技術に好適に対応できる。
<実験例>
次に、本発明の効果を確認した実験例について説明する。
本実験例は、図9に示す様に、直方体形状の金属ベース101の表面に直方体形状の吸着用部材103を積層した静電チャック105のモデルを用いて、吸着用部材103の表面(上面)104の温度分布のコンピュータシュミレーションを行ったものである。
このモデルにおいては、金属ベース101の材料はアルミニウム、その寸法を縦18mm×横18mm×高さ30mmとし、吸着用部材103の絶縁材料はアルミナ、その寸法を縦18mm×横18mm×高さ5mmとした。
また、吸着用部材103の内部には、平面形状が左右対称のタングステンからなる一対のヒータ(第1ヒータ107、第2ヒータ109)を配置した。なお、両ヒータ107、109の幅は1.4mm、その間隔は6.5mmとし、その中央部分は、半径(内径)5mmで外側に湾曲させた。
詳しくは、本実験例では、図9(b)〜(c)に示す様に、吸着用部材103の内部構成を変更したモデル1〜3を設定し、下記の実験条件1〜4に示す様に、第1、第2ヒータ107、109の温度を変更して、吸着用部材103の表面104の温度(表面温度)の温度ムラ(ばらつき)を調べた。なお、温度ムラとしては、表面104における温度の最大値と最小値との温度差を求めた。
(モデル1)
モデル1では、図9(b)に示す様に、同図上方より、アルミナからなる厚さ2mmの吸着用基板111、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層113、アルミナからなる厚さ3mmのヒータ部材115、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層117、アルミニウムからなる金属ベース101とした。
なお、ヒータ部材115の厚み方向における中央に、第1、第2ヒータ107、109を配置した(以下同様)。
(モデル2)
モデル2では、図9(c)に示す様に、同図上方より、アルミナからなる厚さ2mmの吸着用基板121、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層123、厚さ1mmの異方性熱伝導体であるグラファイトシート(又は異方性ではない熱伝導体であるカーボンシート)125、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層127、アルミナからなる厚さ3mmのヒータ部材129、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層131、アルミニウムからなる金属ベース101とした。
なお、以下では、異方性熱伝導体であるグラファイトシートと異方性ではない熱伝導体であるカーボンシートを、熱拡散層と称する。
(モデル3)
モデル3では、図9(d)に示す様に、同図上方より、アルミナからなる厚さ2mmの吸着用基板141、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層143、アルミナからなる厚さ3mmのヒータ部材145、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層147、厚さ1mmのグラファイトシート(又は異方性ではない熱伝導体であるカーボンシート)149、シリコーン樹脂からなる厚さ0.3mmの接着剤層151、アルミニウムからなる金属ベース101とした。
<実験条件1>
(1)モデル1を用い、環境温度を23℃、金属ベース底面の温度を10℃とし、第1ヒータ107の温度を30℃に設定するとともに、第2ヒータ109の温度を80℃に設定し、定常状態における表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ23.8℃であった。
(2)モデル2を用いるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率1500W/mK)のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ1.7℃であった。
(3)モデル2を用いるとともに、熱伝導性が不均一のグラファイトシート(横:熱伝導率1500W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ0.7℃であった。
(4)モデル3を用いるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率1500W/mK)のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ24.5℃であった。
(5)モデル3を用いるとともに、熱伝導性が不均一のグラファイトシート(横:熱伝導率1500W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ25.1℃であった。
この実験結果から、温度ムラを低減するためには、グラファイトシートは、吸着用基板とヒータ部材との間に配置することが重要であり、また、熱伝導性の均一な材料よりも、異方性を有する材料を用いる方が、効果的であることが分かる。
<実験条件2>
この実験条件2の実験は、前記実験条件1よりも、両ヒータ間の温度差を大きくしたものである。
(1)モデル1を用い、環境温度を23℃、金属ベース底面の温度を10℃とし、第1ヒータ107の温度を10℃に設定するとともに、第2ヒータ109の温度を120℃に設定し、定常状態における表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ54.5℃であった。
(2)モデル2を用いるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率1500W/mK)のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ3.7℃であった。
(3)モデル2を用いるとともに、熱伝導性が不均一のグラファイトシート(横:熱伝導率1500W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ1.6℃であった。
(4)モデル3を用いるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率1500W/mK)のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ54.0℃であった。
(5)モデル3を用いるとともに、熱伝導性が不均一のグラファイトシート(横:熱伝導率1500W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ55.0℃であった。
この実験結果から、ヒータの温度を変えた場合でも、温度ムラを低減するためには、グラファイトシートは、吸着用基板とヒータ部材との間に配置することが重要であり、また、熱伝導性の均一な材料よりも、異方性を有する材料を用いる方が、効果的であることが分かる。
<実験条件3>
この実験条件3の実験は、前記実験条件2で用いた熱拡散層の熱伝導性を低くしたものである。
(1)モデル1を用い、環境温度を23℃、金属ベース底面の温度を10℃とし、第1ヒータ107の温度を10℃に設定するとともに、第2ヒータ109の温度を120℃に設定し、定常状態における表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ54.5℃であった。
(2)モデル2を用いるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率600W/mK)のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ8.2℃であった。
(3)モデル2を用いるとともに、熱伝導性が不均一のグラファイトシート(横:熱伝導率600W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ5.4℃であった。
(4)モデル3を用いるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率600W/mK)のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ55.0℃であった。
(5)モデル3を用いるとともに、熱伝導性が不均一のグラファイトシート(横:熱伝導率600W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ56.1℃であった。
この実験結果から、グラファイトシートの熱伝導率が変化した場合においても、温度ムラを低減するためには、グラファイトシートは、吸着用基板とヒータ部材との間に配置することが重要であり、また、熱伝導性の均一な材料よりも、異方性を有する材料を用いる方が、効果的であることが分かる。
<実験条件4>
この実験条件4の実験は、熱拡散層を、図9(a)の左右方向において対称となるように、第1ヒータ側の熱拡散層と第2ヒータ側の熱拡散層とに分け、その間に、PEEKからなる帯状の断熱部を設けたものである。
例えばモデル2に断熱部を設けた例に挙げると、図10に示す様に、第1ヒータ107側の熱拡散層125aと第2ヒータ109側の熱拡散層125bとが、左右で同じ長方形(平面形状)となるように分離し、その間に、PEEKからなる長尺(幅0.5mm×厚み1mm×長さ18mm)の板状の断熱部161を設けたものである。
なお、図示しないが、本実験条件4の実験では、モデル3の場合も、左右に同様に分離された長方形の熱拡散層の間に、同様な帯状の断熱部を設けた。
(1)モデル1を用い、環境温度を23℃、金属ベース底面の温度を10℃とし、第1ヒータ107の温度を10℃に設定するとともに、第2ヒータ109の温度を120℃に設定し、定常状態における表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ54.5℃であった。
(2)モデル2を用い、上述した断熱部を(図10に示す位置に)設けるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率1500W/mK)の中心側及び外周側のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ34.4℃であった。
(3)モデル2を用いて、上述した断熱部(図10に示す位置に)を設けるとともに、熱伝導性が不均一の左右一対のグラファイトシート(横:熱伝導率1500W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ31.2℃であった。
(4)モデル3を用いて、上述した断熱部を設けるとともに、熱伝導性が均一(熱伝導率1500W/mK)の左右一対のカーボンシートを用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ59.1℃であった。
(5)モデル3を用いて、上述した断熱部を設けるとともに、熱伝導性が不均一の左右一対のグラファイトシート(横:熱伝導率1500W/mK、縦:7W/mK)を用い、温度条件は、前記(1)と同様に設定し、表面の温度ムラを求めた。その結果、温度ムラは、Δ60.3℃であった。
この実験結果から、断熱部によって熱拡散層を熱的に分離することにより、あえて温度差を付けたい箇所に温度差を付けることができることが分かる。
尚、本発明は前記実施形態や実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
1、71…静電チャック
3…半導体ウェハ
5、77、101…金属ベース
7、75、103…吸着用部材
9、79、111、121、141…吸着用基板
11、83、83a、83b、125、149…グラファイトシート
13、81、115、129、145…ヒータ部材
17、104…吸着面
29、31…吸着用電極
33、97、97a、97b、107、109…ヒータ
35、37、87、89…金属メッキ層
39、41、43、91、93、95、113、117、123、127、131、143、147、151…接着剤層
85、161…断熱部

Claims (5)

  1. 第1主面及び第2主面を有するとともに、吸着用電極を有する吸着用基板と、
    前記第2主面側に配置され、前記吸着用基板を加熱するヒータを有するヒータ部材と、
    を備え、
    前記吸着用電極に電圧を印加した際に生じる静電引力を用いて被吸着物を前記第1主面に吸着させる静電チャックにおいて、
    前記吸着用基板と前記ヒータ部材との間に、方向によって熱伝導率が異なる異方性熱伝導体を備えるとともに、
    前記異方性熱伝導体を、前記積層方向よりも該積層方向に対して垂直方向の熱伝導率が大きくなるように配置したことを特徴とする静電チャック。
  2. 前記静電チャックを前記積層方向から見た場合に、
    前記静電チャックの中心側の中心部に、第1の異方性熱伝導体を備えるとともに、前記中心部より外周側の外周部に、第2の異方性熱伝導体を備え、
    更に、前記第1の異方性熱伝導体と前記第2の異方性熱伝導体との間に、前記第1の異方性熱伝導体及び前記第2の異方性熱伝導体よりも熱の伝導性の低い断熱部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 前記静電チャックの中心部に、該中心部の温度を調節する第1のヒータを備えるとともに、前記外周部に、該外周部の温度を調節する第2のヒータを備えたことを特徴とする請求項2に記載の静電チャック。
  4. 前記異方性熱伝導体は、グラファイトから構成されており、
    前記異方性熱伝導体の前記積層方向における両表面に、それぞれ金属メッキ層を備えるとともに、前記各金属メッキ層の表面に、前記吸着用基板及び前記ヒータ部材のそれぞれとの接合を行う各接着剤層を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電チャック。
  5. 前記吸着用基板と前記ヒータ部材とは、主としてセラミックから構成されており、
    前記接着剤層は、前記セラミックと前記異方性熱伝導体との間の熱膨張率及び柔軟性を有することを特徴とする請求項4に記載の静電チャック。
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