JP2014129511A - 低熱伝導性成形体および遮熱性樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ABSやASA樹脂などの(A)熱可塑性樹脂50〜95質量%、(B)木粉5〜50質量%〔(A)および(B)の合計を100質量%とする〕、並びに(C)化学発泡剤を(A)熱可塑性樹脂および(B)木粉の合計量100質量部に対して1〜5質量部含む発泡性組成物を発泡押出成形してなる発泡樹脂体からなり、当該発泡樹脂体の表層部に、発泡樹脂体基部に連続して形成されたスキン層が存在し、該スキン層の厚み方向の割合が発泡樹脂体の厚みに対して10〜33%であり、発泡樹脂体基部の密度が0.50〜0.90g/cm3であり、スキン層の密度が0.95〜1.20g/cm3であることを特徴とする低熱伝導性成形体。
【選択図】図2
Description
上記床材等は屋外に敷設されて使用されるので、夏場に強い日差しを受けて加熱された場合、合成樹脂の熱伝導性が低いため放熱が速やかに行われずに、その表面温度が50℃を超え60℃付近に達する場合がある。このような蓄熱した状態の床材上を素足で歩行したり素手で触ると、熱くて困難を極めるだけでなく火傷をする恐れがあった。又、ベンチ材等も屋外に設置され使用されるので、同様の問題があった。
これらの方法について、本願発明者らが追試したところ、前者は、蓄熱の低減効果は、温度にして約5℃程度の低下であり未だ不十分であった。後者は、薄い成形体の場合は含有する中空充填材が割れて所定の熱低下効果が得られなかった。更に、液状炭化水素を熱可塑性樹脂の殻で包み込んでマイクロカプセル化した熱膨張性バルーンを用いた方法では所定の効果は認められたが、一方では、材料の硬度が減少して摩耗しやすくなる、即ち耐久性が低下する現象が生じた。
更に、当該発泡樹脂体を樹脂基材上に積層した積層樹脂体は、床材などの剛性且つ低熱電伝導性が必要な建築材料に好適なことを見出した。
当該発泡樹脂体の表層部に発泡樹脂体基部に連続したスキン層が存在し、該スキン層の厚み方向の割合が発泡樹脂体の厚みに対して10〜33%であり、
発泡樹脂体基部の密度が0.50〜0.90g/cm3であり、スキン層の密度が0.95〜1.20g/cm3である
ことを特徴とする低熱伝導性成形体が提供される。
上記低熱伝導性成形体の発明において、
(1)スキン層の平均厚みが、0.3〜1.0mmあること
(2)成形体全体の発泡倍率が、1.1〜2.0倍であること
(3)熱伝導率が、0.3〜0.15W/Mkであること
(4)デュロメーター硬さが、75〜85であること
(5)スキン層の表面に凹凸が設けられていること
が好適である。
上記遮熱性樹脂積層体の発明において、
(1)樹脂基材が、中空樹脂基材であること
(2)低熱伝導性成形体の厚みが、1.0〜5.0mmであること
が好適であり、これらの遮熱性樹脂積層体は、床材、フェンス材、手摺材として好適に使用される。
更にまた、上記遮熱性樹脂積層体の発明において、
(3)樹脂基材が、発泡樹脂基材であること
(4)低熱伝導性成形体の厚みが、0.7〜5.0mmであること
が好適であり、これらの遮熱性樹脂積層体は、ベンチ材、フェンス材として好適に使用される。
当該低熱伝導性成形体は、(A)熱可塑性樹脂、(B)木粉、並びに(C)化学発泡剤を特定量配合した発泡性組成物を発泡押出成形した発泡樹脂体からなるもので、しかも、当該発泡樹脂体の表層部に発泡樹脂体基部に連続して形成されたスキン層が存在するという特徴を有している。
発泡樹脂体基部の密度は、熱伝導性および機械的強度の観点から、0.50〜0.90g/cm3とする必要がある。0.50g/cm3未満では剛性や圧縮強度が劣る。0.90g/cm3を超えると熱伝導性の低下が損なわれる。
スキン層の密度は、熱伝導性及び硬度、摩耗性の観点から、0.95〜1.20g/cm3とする必要がある。同じくスキン層の厚み方向の割合が発泡樹脂体の全厚みに対して10〜33%である必要がある。スキン層の密度が0.95g/cm3未満および/またはスキン層の厚みが10%未満の場合は、硬度、摩耗性が劣る。スキン層の密度が1.20g/cm3を超えるおよび/またはスキン層の厚みが33%を超える場合は、表面への熱伝導性が低下しない。
本発明における熱可塑性樹脂は特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;フッ素樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリルーエチレンースチレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリルースチレンーアクリレート(ASA樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂;ポリフェニレンオキサイド樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の市販の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中で、耐衝撃性や剛性、耐候性の観点から、ABS樹脂、ASA樹脂、或いはこれらの混合樹脂が好適である。
当該熱可塑性樹脂の配合量は、後述する(B)木粉との合計量を100質量%とした場合、50〜95質量%とする。50質量%未満である場合は押出成形性や機械的強度が低下し、95質量%を超えると木粉による木質感が減少する。また、この範囲内にあれば、化学発泡剤を使用した発泡が有効に実施できる。
ASA樹脂は、アクリロニトリル、スチレン、およびアクリル酸メチルの共重合体樹脂である。ABS樹脂のブタジエン成分に代替してアクリルゴム成分を有し耐衝撃性を維持しつつ耐候性に優れる樹脂であり、それ自体公知である。例えば、UMGABS社から「ダイヤラック」シリーズとして市販されている。
木粉としては、針葉樹、広葉樹、ラワン材なの任意の木材の粉砕物が使用される。粒径も特に限定されるものではないが、一般に、20〜250メッシュ程度のものが使用される。木材の粉砕物以外にも、樹皮、穀物殻、廃材などの粉砕物も使用できる。
化学発泡剤としては、従来この種の発泡樹脂成形体の製造に用いられている発泡剤を用いることができる。代表的なものとして、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソ・テレフタルアミド、N,N'−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジアミノベンゼンなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などをあげることができる。なかでもニトロソ化合物、アゾ化合物およびアジド化合物が好ましく使用される。これら化学発泡剤の中から、用いる熱可塑性樹脂の成形温度と適合する分解温度の化学発泡剤が選択される。
当該化学発泡剤の配合量は、(A)熱可塑性樹脂および(B)木粉の合計量100質量部に対して1〜5質量部である。1質量部未満である場合は効果的な発泡を行うことできず、5質量部を超えると、発泡樹脂体の諸物性が低下し、木質感も損なわれる。
本発明で発泡に供される発泡性組成物には、前記発泡助剤の他に、成形体の色目を調節するための着色剤、加工性や成形性向上のための滑剤、加工助剤、その他光安定剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤などの公知の他の添加剤や、また炭酸カルシウムやタルクなどの充填剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
特に、発泡セルの分散と成長に寄与し、しかも優れた表面成形性を付与する高分子アクリル系加工助剤は好的な添加剤である。このような高分子アクリル系加工助剤としては、平均分子量が50万〜500万のアクリル樹脂、例えばポリメチルメタアクリレート(PMMA)、或いはPMMAを構成する構成単位の一部を、アクリル酸メチルなどの他の重合性単量体由来の構成単位で置き換えたアクリル共重合体等が挙げられる。
前記本発明の必須成分並びに必要に応じて配合される他の添加剤は、混合調製して発泡組成物とし、該発泡組成物を発泡押出成形することにより、発泡樹脂体を製造する。
発泡組成物の調製方法は特に限定されず、代表的には、ブレンダーやヘンシルミキサー等を用いてドライブレンドする方法が採用される。配合の順序も特に制限なく、全成分を同時に混合してもよく、多段階的に混合してもよい。例えば、化学発泡剤を除く全成分を先に予備混合し次いで化学発泡剤を混合する方法や、木粉と化学発泡剤、更には任意の添加剤を先に予備混合し次いで熱可塑性樹脂を混合する方法が挙げられる。
調製された発泡性組成物を用いて発泡と溶融押出成形を同時に行って発泡樹脂体を製造する。代表的には押出機を用いて行う方法が採用される。即ち、発泡性組成物は押出機のホッパーに供給され、押出機中で機械的に溶融混練され、ダイを経て空気中へ押し出されることにより、発泡樹脂成形体を形成する。押出機としては、単軸或いは二軸のスクリューを備えたそれ自体公知の押出機が使用され、各成分の混練、押出及び発泡が一台の押出機で行われ、操作が簡単であると共に生産性も高いという利点を有する。
本発明の低熱伝導性成形体は、発泡樹脂体の表層部に前記特定の性状のスキン層を有することに特徴がある。当該スキン層を有する発泡樹脂成形体は、上出の製法で得られた発泡樹脂体の表面を、成形直後に急冷することにより製造される。具体的には、押出機のダイ出口に設置された同形の冷却サイジング、或いは冷却ロールで冷却する方法が挙げられる。前者はセルカプロセスとして知られる公知の方法であり、図1に、本発明で使用されるセルカプロセス成形機を模式的に示す。冷却温度は、使用する熱可塑性樹脂の押出成形温度や設計されるスキン層の前記特性に合わせて、適宜選択されるが、通常、常温乃至冷却媒体である水温(5〜20℃)の温度に設定される。
更に、低熱伝導性成形体は、スキン層の表面(接触側)に凹凸が設けられていることが、手足の接触温感温度がより一層低下するので好ましい態様である。表面の凹凸の形成方法は特に限定されず、具体的には、化学薬品で表面処理する化学的粗面化法、レーザー照射で表面処理する物理的粗面化法、金属ブラシ、サンドペーパーなどで表面処理する機械的粗面化法、およびあらかじめ金型の表皮層面に凹凸を設け押出と同時に形成する方法が挙げられる。
前記本発明の低熱伝導性成形体は、低い熱伝導性を有し、且つ、硬度および耐摩耗性に優れる。当該低熱伝導性成形体を利用して床材などの建築材料とする場合には、強度や剛性が必要であるため、下地として樹脂基材を用い、当該基材上に前記低熱伝導性成形体(表皮層)を積層して遮熱性樹脂積層体とする。
図2に、本発明で得られた遮熱性樹脂積層体の断面SEM写真を示す。
樹脂基材とし使用される樹脂としては、前記(A)熱可塑性樹脂が制限なく使用されるが、これらの熱可塑性樹脂の中で、耐衝撃性や剛性、難燃性、耐候性の観点から、ABS樹脂、ASA樹脂、塩化ビニル樹脂或いはこれらの混合樹脂が好適である。
難燃剤としては、特に限定されず公知の材料が使用できる。具体的には、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;トリフェニルホスフェート、芳香族縮合リン酸エステルなどのリン系難燃剤;テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニールエーテル、臭素化ポリエチレン、臭素化ポリカーボネートなどのハロゲン系有機難燃剤が例示される。ハロゲン系有機難燃剤または無機系難燃剤が好適に使用される。
具体的には、自消性を発現させるためには、ABS樹脂15〜45質量%、塩化ビニル樹脂20〜40質量%、および木粉30〜50質量%〔三成分の合計を100質量%とする〕を配合した成形用組成物の溶融成形体が挙げられる。不燃性を発現させるためには、ABS樹脂15〜30質量%、塩化ビニル樹脂30〜40質量%、および木粉40〜50質量%〔三成分の合計を100質量%とする〕を配合した成形用組成物の溶融成形体が挙げられる。これらの成形体には、先に挙げた(D)他の添加剤を制限なく配合できる。
ベンチ材として使用する場合には、端部の外観並びにビスや釘止めした時の係止力を確保するため、図8に示すように、中空とせずに発泡樹脂基材を用いることが好ましい。発泡樹脂基材の発泡の方法は特に限定されず、前出の方法が制限なく採用される。また、発泡樹脂基材の場合は、共押出機を使用して、表皮層の発泡樹脂体の製造、即ち表皮層の発泡押出と同時に樹脂基材も発泡押出して、発泡樹脂基材上に発泡樹脂体(表皮層)を積層成形する方法が好適に採用される。共押出後のスキン層の形成は、前出のとおりである。
遮熱性樹脂積層体の製法は特に制限されないが、発泡と樹脂基材上への積層成形を同時に行うことができる共押出成形法が、操作が簡便であるため好ましい。具体的には、樹脂基材に対応する第一の押出機と、発泡樹脂体に対応する第二の押出機とを使用し、基材成形用組成物を第一の押出機中で溶融混練し、発泡性組成物を第二の押出機中で溶融混練する。発泡押出積層成形に当たっては、各成分をドライブレンドし、各押出機のホッパーにこれを供給する。押出機としては、単軸或いは二軸のスクリューを備えたそれ自体公知の押出機が使用される。第一の押出機からの樹脂基材の樹脂流及び第二の押出機からの発泡樹脂体の樹脂流は、多層多重ダイ中で合流し、積層状態で空気中に押し出される。その後、発泡樹脂体側の表面を先に述べた方法で冷却してスキン層を形成して、低熱伝導性成形体の層を有する遮熱性樹脂積層体が得られる。
以下の実施例及び比較例で用いた各種成分と略号は、以下の通りである。
(A)熱可塑性樹脂
A−1:ASA樹脂 ダイヤラック E610(UMG ABS社製)
A−2:ABS樹脂 クララスチックSR(日本A&L社製)
A−3:塩化ビニル樹脂 TH1000(大洋塩ビ社製)、平均重合度1000
A−4:ポリプロピレン樹脂 E701G(プライムポリマー社製)、MFR=0.5
(B)木粉
B−1:平均粒径50μmの木粉
(C)化学発泡剤
C−1:アゾジカルボンアミド50質量%と重炭酸水素ナトリウム50重量%の混合物
(D)他の添加剤
D−1:カネエースPA20(アクリル系加工助剤;カネカ社製)
D−2:熱膨張バルーンエクスパンセル930MB(日本フィライト社製)
D−3:中空ガラスビーズグラスバブルズS60HS(住友3M社製)
[密度]:試験方法;JIS K7112、水中置換法
各積層体から、長さ30mm×幅30mm片を切り取り、次いで該積層体片から樹脂基材部を切削して除去し、発泡樹脂体部を取り出して試験片とした。電子比重型ED120−T(ミラージュ貿易株式会社製)を用いて、発泡樹脂基部とスキン層の各密度を測定した。
スキン層の密度は以下の方法で算出した。発泡樹脂体の密度、スキン層を切削で除いた発泡樹脂体基部のみの密度をそれぞれ測定する。一方、発泡樹脂体重量、スキン層を除いた発泡樹脂体基部のみの重量をそれぞれ測定する。これらの値を用いて、スキン層の密度を計算で求めた。
[熱伝導率]:試験方法;JIS A1412−2 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法 第2部:熱流計法(HFM法)に準拠
各実施例、比較例で得られた、長さ300mm×幅250mm×厚さ30mmの積層体を試験片とした。当該試験片の積層(厚さ)方向の熱伝導率を、迅速熱伝導率測定計QTM−D3(京都電子社製)を用いて測定した。
[接触温感温度]
各実施例、比較例で得られた、長さ300mm×幅250mm×厚さ30mmの積層体を試験片とした。
条件を同じにするために、比較例1の試験片と実施例の試験片の発泡樹脂体側を上面にして気温34℃の屋外に2時間放置し、両試験片の表面温度を70℃にした(下出 サーモグラフィー装置で測定)。その後、同時に、左右の手のひらを各試験片上に15秒間載せて接触させた。15秒経過後、直ぐさま各手のひらを返してサーモグラフィー装置サーモショットF30(日本アビオニクス社製)で同時に各手のひら中心部の表面温度を測定した。
[硬度]:試験方法;JIS A7215、1986
各積層体から、長さ50mm×幅50mm×厚さ5mmの試験片を切り出し試験片とした。測定台上に、試験片のスキン層側が上面となるように載せ、デュロメーター硬さ試験器GS719N(テクロック社製)を用いて、デュロメーター硬度を測定した。10箇所の硬度を測定しその平均値で示した。
[耐摩耗性試験]:試験方法;JIS A1453、1973
各積層体から、長さ100mm×幅100mm×厚さ5mmの試験片を切り出し試験片とした。テーバー摩耗性試験機ロータリーアブレージョンテスタ(東洋精機社製)を用いて、500gの荷重をかけて5000回転で表面を摩滅した後の摩耗深さ(μm)を耐摩耗性の目安とした。この数値が小さい程耐摩耗性に優れることを示す。
[平均発泡セル径]
試験片の断面SEM写真(1000倍拡大)から、目視で10個の発泡セルの直径を測定し、その平均値を平均発泡セル径とした。
[発泡状態]
試験片の断面SEM写真(1000倍拡大)から、目視で発泡樹脂体の発泡状態を観察した。
[発泡倍率]
未発泡の樹脂成形体の密度、発泡後の発泡樹脂体の密度を、電子比重型ED120−T(ミラージュ貿易株式会社)を用いて各々測定し、その比(未発泡樹脂成形体密度/発泡樹脂体密度)を発泡倍率とした。
[表面温度低下]
試験体を60℃オーブンで3時間温めた後、23℃の室内で、サーモグラフィー装置サーモショットF30(日本アビオニクス社製)を用いて試験体表面の温度を測定し、時間経過にともなう表面温度の低下を調べた。
表1に示す処方に従って、発泡樹脂体として(A)熱可塑性樹脂、(B)木粉、および(C)化学発泡剤の混合物(発泡性組成物)を第2の押出機に投入し、一方樹脂基材として(A)熱可塑性樹脂および(B)木粉の混合物(基材成形用組成物)を第1の押出機に投入し、150〜230℃の成形温度(ダイ温度)で溶融混練して積層状態で共押出し、次いで押出ダイ後方に設置された水温20℃の冷却サイジングを通過させて長さ300mm×幅250mm×厚さ30mmの木質様の樹脂積層体を作製した。樹脂基材として、図7に示す中空樹脂基材を採用した。当該中空樹脂基材の上下面の厚みは3.2mmであり、リブの厚みは2.3mmであった。発泡樹脂体からなる表皮層の厚みは2.0mmであった。得られた樹脂積層体から前記試験用の試験片を作製し、各物性測定を実施した。その結果を合わせて表1に示す。更に、積層体の表面の温度低下を測定した。結果を表2に示す。
実施例1の発泡樹脂体の断面SEM写真から、全体に多数の気泡が観察され、スキン層の気泡は、10〜30μmで平均セル径は20μmであった。スキン層の平均厚みは0.60mmで発泡樹脂体基部の平均厚みは1.40mmであり、両部位は連続して繋がっていることが観察された。実施例2以下についても同様に断面SEM写真を観察し、その結果を表1に示した。実施例1におけるサーモグラフィー写真(白黒)を図5に示す。このサーモグラフィーにより、手のひら中心部の表面温度は、42℃を示した。実施例2以下についても同様に測定し結果を表1に示した。
尚、実施例6においては、スキン層が当接するダイ面(出口)に凹凸を形成し、溝深さ3mm、幅3.5mm、ピッチ3mmの凹凸をスキン層表面に設けた。実施例7においては、サンドペーパー#500(粗さ)にて表面をサンディング(研磨)し、スキン層表面に微細な凹凸を施した。
実施例1において、ASA樹脂に代えてABS樹脂を使用した以外は、同様に実施して樹脂積層体を作製した。結果を表1に示す。
実施例1において、ASA樹脂に代えてPP樹脂を使用した以外は、同様に実施して樹脂積層体を作製した。結果を表1に示す。
比較例1では化学発泡剤を使用せず無発泡の樹脂体を、比較例2では実施例と比較して過剰の化学発泡剤を使用した発泡樹脂体を、比較例3,4では各々熱膨張バルーン、中空ガラスビーズを用いて発泡樹脂体を、比較例5では木粉を使用しない発泡樹脂体を樹脂基材上に形成し、実施例1に準じて樹脂積層体を作製した。結果を表1に示す。
比較例3の熱膨張バルーンを用いて作製した発泡樹脂体は、発泡樹脂体全体に均一に気泡が存在し明確なスキン層が形成されていない(図3参照)。比較例3におけるサーモグラフィー写真(白黒)を図6に示す。
比較例4の中空ガラスビーズを用いて作製した発泡樹脂体は、発泡樹脂体全体の気泡が少なく、その分布にも偏りがある。しかも、スキン層相当部には多数の割れたガラスビーズが存在していた(図4参照)。
サーモグラフィーにより、各比較例における手のひら中心部の表面温度を測定し、結果を表1に示した。
樹脂基材として、図8に示す木粉を含有する発泡樹脂基材を採用した以外は、実施例1に準じて樹脂積層体を製造した。当該発泡樹脂基材は、A−2(ABS樹脂)45重量部、A−3(塩化ビニル樹脂)35重量部、B−1(木粉)20重量部およびC−1(発泡剤)1.5重量部の混合物からなる基材成形用組成物を発泡押出して成形した。発泡倍率は1.3倍であった。得られた樹脂積層体は、表皮層の厚みが1.0mmであり、表皮層を含む断面の大きさは、30mm×70mmであった。積層体の熱伝導率は、0.065W/mKであった。実施例10と同様にして、表面の温度変化を測定した。結果を表2に示す。
樹脂基材として、中空樹脂基材を使用した場合は、発泡樹脂基材を使用した場合に比べて冷めやすいが、最終的にはほとんど変わることがなかった。初期の接触温感温度は、発泡樹脂基材の方が若干高かった。
Claims (13)
- (A)熱可塑性樹脂50〜95質量%、(B)木粉5〜50質量%〔(A)および(B)の合計を100質量%とする〕、並びに(C)化学発泡剤を、(A)熱可塑性樹脂および(B)木粉の合計量100質量部に対して1〜5質量部含む発泡性組成物を発泡押出成形してなる発泡樹脂体からなり、
当該発泡樹脂体の表層部に、発泡樹脂体基部に連続したスキン層が存在し、該スキン層の厚み方向の割合が発泡樹脂体の厚みに対して10〜33%であり、
発泡樹脂体基部の密度が0.50〜0.90g/cm3であり、スキン層の密度が0.95〜1.20g/cm3である
ことを特徴とする低熱伝導性成形体。 - スキン層の平均厚みが、0.3〜1.0mmあることを特徴とする請求項1に記載の低熱伝導性成形体。
- 成形体全体の発泡倍率が、1.1〜2.0倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の低熱伝導性成形体。
- 熱伝導率が、0.3〜0.15W/Mkであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の低熱伝導性成形体。
- デュロメーター硬さが、75〜85であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の低熱伝導性成形体。
- スキン層の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の低熱伝導性成形体。
- 樹脂基材上に、請求項1〜6に記載の低熱伝導性成形体がシート状に積層されてなることを特徴とする遮熱性樹脂積層体。
- 樹脂基材が、中空樹脂基材であることを特徴とする請求項7に記載の遮熱性樹脂積層体。
- 低熱伝導性成形体の厚みが、0.7〜5.0mmであることを特徴とする請求項7または8に記載の遮熱性樹脂積層体。
- 請求項7〜9の何れか一項に記載の遮熱性樹脂積層体からなる床材、フェンス材または手摺材。
- 樹脂基材が、発泡樹脂基材であることを特徴とする請求項7に記載の遮熱性樹脂積層体。
- 低熱伝導性成形体の厚みが、0.7〜5.0mmであることを特徴とする請求項11に記載の遮熱性樹脂積層体。
- 請求項7、11または12の何れか一項に記載の遮熱性樹脂積層体からなるベンチ材またはフェンス材。
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