JP2014129437A - 水性ボールペン用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール等を添加すること(例えば、特許文献1参照)が知られているが、ベンゾトリアゾールでは筆記時のボールの潤滑が悪くなることで書き味を損ないやすく、金属チップの材質によっては筆記によってホルダーの摩耗を進行させてしまうという課題があった。
しかしながら、上記リン酸エステルでは書き味を向上するものの、ベンゾトリアゾールに比べると防錆効果が十分に得られないという課題がある。
しかしながら、上記特許文献3及び4においても、ボールを含む先端金属チップの耐腐食性、耐摩耗性及び筆記感の全てを充足するものでなく、未だ十分でないのが現状であった。
本発明の水性ボールペン用インク組成物は、水と、着色剤と、下記一般式(I)で表される化合物とを少なくとも含有することを特徴とするものである。
上記一般式(I)中のRは、水素原子、メチル基、フェニル基又はジメチルアミノエチル基であり、これらは入手性、コスト、本発明の効果の点等で限定したものであり、上記一般式(I)のテトラゾール環の5位がメルカプト基以外のもの、例えば、メチル基、フェニル基、アミノ基などの場合は本発明の効果の点で劣るものとなる。
具体的に用いることができる上記一般式(I)で表される化合物としては、5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−ジメチルアミノエチル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが挙げられる。
これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
この含有量が0.1質量%未満では、本願発明の効果が充分に発揮されず、一方、2.0質量%を越えると、インクの物性が経時に不安定になりやすく、好ましくない。
染料としては、例えば、エオシン、フオキシン、ウォーターイエロー#6−C、アシッドレッド、ウォーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料;ダイレクトブラック154,ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットB00B等の直接染料;ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料などが挙げられる。
これらの着色剤は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの着色剤の含有量は、水性ボールペン用インク組成物全量に対して、0.1〜40質量%に範囲で適宜調整することが可能である。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、水性ボールペン用インク組成物全量に対して、好ましくは、5.0〜40.0質量%とすることが望ましい。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、リン酸エステル、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン等のアミン化合物、アンモニア等が挙げられる。
用いることができる水性ボールペンは、上記組成となる水性ボールペン用インク組成物を搭載したものであり、好ましくは、金属ボール等を回転自在に抱持したボールペンチップを直接又は中継部材を介して挿着したパイプ又はパイプ形状の成形物等からなるインク収容管内に上記特性のインク組成物を充填し、かつ、該インク組成物後端面にインク追従体を配設してなる構成となるものが望ましい。インク追従体としては、インク収容管内に収容された水性ボールペン用インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性ボールペン用インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。
なお、ボールペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の水性ボールペン用インク組成物を充填したコレクター構造(インキ保持機構)を備えた直液式のボールペンであってもよいものである。
上記一般式(I)の化合物はチオール基を持つことで、ベンゾトリアゾールやリン酸エステルよりもボールに吸着しやすくなるためと推測される。
本発明で用いる上記一般式(I)で表される化合物による効果は、本発明の効果を発揮せしめる持続効果が極めて優れているために多くの含有量が必要でなく、しかも、その効果の発現期間・持続時間も長く、更に水溶性であるために経時的な安定性にも優れたものとなる。
下記表1に示す配合処方にしたがって、常法により各水性ボールペン用インク組成物を調製した。得られた各水性ボールペン用インク組成物(全量100質量%)について、下記方法により水性ボールペンを作製し、下記各評価方法により、筆記感、耐腐食性、耐摩耗性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
(1)直液直留方式ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:UB−150EYE、オーステナイト系ステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)〕
(2)直液直留方式ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:UB−185、フェライト系ステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.5mm)〕
上記(1)で作製した各水性ボールペンを用いて螺旋状に筆記をしたときの筆記感を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:非常に軽い
△:普通
×:悪い
上記(1)で作製した各水性ボールペンを用いて50℃条件下で3ヶ月保存した後、光学顕微鏡で観察したボール表面の状態と、螺旋状に筆記したときの筆記感から、耐腐食性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:ボール表面は鏡面であり、筆記感は軽い
○:ボール表面に曇りが見られるが、筆記感は軽い
△:ボール表面にざらつきが見られ、筆記感にひっかかりがある
×:ボール表面にざらつきが見られ、筆記感が非常に悪い
上記(2)で作製した各水性ボールペンを用いて筆記角度60度、荷重100g、筆記速度4.5m/分で筆記させたときの受け座の摩耗量から耐摩耗性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:受け座の摩耗量が20μm未満
△:受け座の摩耗量が20μm以上30μm未満
×:受け座の摩耗量が30μm以上
*1:カーボンブラック(三菱化学社製)
*2:スチレンアクリル樹脂(BASF JAPAN社製)
*3:潤滑剤(第一工業製薬社製)
*4:防腐剤(ゼネカ社製)
Claims (3)
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JP2012286912A JP5952730B2 (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 水性ボールペン用インク組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113969079A (zh) * | 2021-11-22 | 2022-01-25 | 上海晨光文具股份有限公司 | 一种颜料型水性墨水及含有该墨水的圆珠笔 |
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JPH07214970A (ja) * | 1994-02-01 | 1995-08-15 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 水性ボールペン用チップ及び水性ボールペン |
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