JP2014128766A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】コバルト含有酸化物を含む新規の排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を触媒担体に担持してなる排ガス浄化用触媒であって、前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物に該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が混合されたことを特徴とする、排ガス浄化用触媒が提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関し、より詳しくはコバルト含有酸化物を含む排ガス浄化用触媒に関する。
従来、自動車の排ガス浄化用触媒としては、排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを同時に行う三元触媒が用いられている。このような触媒としては、アルミナ(Al23)等の多孔質酸化物担体に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素を担持させたものが広く知られている。
しかしながら、これらの白金族元素は、自動車の排ガス規制の強化とともに使用量が増加しており、それゆえ資源の枯渇が懸念されている。このため、白金族元素の使用量を減らすとともに、将来的には、当該白金族元素の役割を他の金属等で代替することが必要とされている。
そこで、白金族元素の使用量を減らすための又はそれに代わる触媒成分について多くの研究が行われている。このような触媒成分の1つにコバルト又はその酸化物等があり、これらを用いた排ガス浄化用触媒について幾つかの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、銅及び/又はコバルトを担持した酸化ジルコニウム又は酸化チタンと、銅置換型ゼオライトとを混合してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒が記載されている。また、特許文献1では、第一成分であるCu及び/又はCo担持ZrO2又はTiO2触媒の酸化作用によって排ガス中のCOの酸化が促進され、それと同時に排ガス中のNOの一部が酸化されてNO2が生成すること、さらには上記の排ガス浄化用触媒によれば、CO酸化反応とNH3によるNOx還元反応を同一の触媒層で行うことができるため、同一の反応器でCO除去と脱硝を同時に行なうことができると記載されている。
特許文献2では、アルミナを含む耐熱セラミックを原料とするモノリス型一体成型体を触媒担体とし、その触媒担体上にペロブスカイト複合酸化物のBサイト組成であるニッケル、コバルトなど遷移金属とアルミナとでスピネル層を形成し、このスピネル層の上にペロブスカイト複合酸化物を担持させた排ガス浄化用触媒が記載されている。より具体的には、特許文献2では、触媒担体上にスピネル層、例えばAl2CoO4を形成し、その上に触媒成分であるペロブスカイト複合酸化物、例えばLaCoO3を担持することで、当該ペロブスカイト複合酸化物中の遷移金属、例えばコバルトと触媒担体中のアルミナとが反応することを抑制できると記載されている。
特許文献3では、一般式ABO3で表されるペロブスカイト構造の複合酸化物とPdとの第1固溶体等を含有した複合酸化物触媒と、前記複合酸化物触媒を担持すると共に一般式EF24で表されるスピネル構造の複合酸化物等を含有した複合酸化物担体とを具備した排ガス浄化用触媒が記載され、上記のABO3で表されるペロブスカイト構造の複合酸化物について、元素Aが希土類元素を示し、元素BがAlやCo等の遷移元素を示すことが記載されている。
特開平2−107315号公報 特開昭63−080851号公報 特開2008−012480号公報
特許文献1では、CO酸化触媒に関して、銅及び/又はコバルトを担持した酸化ジルコニウム又は酸化チタンが記載されているものの、特許文献1では、銅とコバルトの組み合わせ及びその効果については何ら具体的には開示されていない。したがって、当該特許文献1に記載の排ガス浄化用触媒では、特に2種以上の金属を組み合わせた場合のCO酸化活性等の向上に関して依然として改善の余地があった。
特許文献2に記載の排ガス浄化用触媒では、触媒成分としてコバルトを含有するペロブスカイト複合酸化物が用いられている。しかしながら、ペロブスカイト型構造を有するコバルト酸化物は、必ずしも高い排ガス浄化活性、特には酸化活性を示さない場合があり、それゆえ当該特許文献2に記載の排ガス浄化用触媒では、その触媒性能に関して依然として改善の余地があった。
一方、特許文献3に記載の排ガス浄化用触媒では、コバルトを含有しうるペロブスカイト複合酸化物が用いられているものの、特許文献3に記載の排ガス浄化用触媒における触媒成分はあくまで当該ペロブスカイト複合酸化物上に担持され、さらにはそれと固溶体を形成するPd等の白金族元素である。したがって、特許文献3では、白金族元素の使用量を減らすか又はそれを他の金属で代替するという観点からは必ずしも十分な検討がなされていない。
そこで、本発明は、コバルト含有酸化物を含む新規の排ガス浄化用触媒であって、排ガスの浄化活性、特にはCO及びHC等の酸化活性が改善された排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は下記にある。
(1)触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を触媒担体に担持してなる排ガス浄化用触媒であって、前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物に該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が混合されたことを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
(2)前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が四酸化三コバルトであることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(3)前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含む複合酸化物であることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(4)前記添加金属元素が、前記複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、前記添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を伸張させ、及び/又は前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を収縮させるようなものであることを特徴とする、上記(3)に記載の排ガス浄化用触媒。
(5)前記添加金属元素が、銅、銀、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(3)又は(4)に記載の排ガス浄化用触媒。
(6)前記添加金属元素が銅であることを特徴とする、上記(5)に記載の排ガス浄化用触媒。
(7)前記金属酸化物が、ペロブスカイト型構造、ホタル石型構造、コランダム型構造、逆ホタル石型構造、ルチル型構造、塩化ナトリウム型構造、ブラウンミラーライト型構造、アパタイト型構造、A−希土類型構造、B−希土類型構造、C−希土類型構造、アナターゼ型構造、ブルッカイト型構造、シーライト型構造、岩塩型構造、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結晶構造を有する金属酸化物であることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(8)前記金属酸化物が、ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物であることを特徴とする、上記(7)に記載の排ガス浄化用触媒。
(9)前記金属酸化物が、ペロブスカイト型構造を有するコバルト含有酸化物であることを特徴とする、上記(8)に記載の排ガス浄化用触媒。
(10)前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の一次粒子と前記金属酸化物の一次粒子が相互に混合していることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(11)前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が、前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の合計モル数に対して10mol%以上90mol%以下であることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(12)前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が20mol%以上50mol%以下であることを特徴とする、上記(11)に記載の排ガス浄化用触媒。
(13)前記触媒担体がセリア系酸化物であることを特徴とする、上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
本発明によれば、四酸化三コバルト(Co34)等のスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物と組み合わせて使用することにより、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性が向上し、結果として当該排ガス浄化用触媒の酸化活性、特にはCO及びHC酸化活性を顕著に改善することができる。さらに、上記のスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物としてコバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含む複合酸化物を使用することで、このような添加金属元素によってスピネルの結晶構造に生じる歪みの作用と、上記のスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物によって得られる作用との相乗的な効果により、酸化活性及び耐熱性の両方が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
スピネル型構造を有する金属酸化物の模式図である。 本発明の排ガス浄化用触媒におけるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物との混合状態を示す概念図である。 例D〜例Kの各排ガス浄化用触媒におけるCO50%浄化温度(℃)を示すグラフである。 図3中の900℃における各データに関するCO50%浄化温度(℃)を示すグラフである。 図3中の900℃における例D〜F、J及びKに関するCO50%浄化温度(℃)をCo−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量(mol%)の関数として示したグラフである。
<排ガス浄化用触媒>
本発明の排ガス浄化用触媒は、触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を触媒担体に担持してなり、前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物に該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が混合されたことを特徴としている。
先に記載したとおり、白金族元素の使用量を減らすか又はそれを他の金属で代替するという観点から、白金族元素以外の金属元素又はその酸化物等を触媒成分として使用した排ガス浄化用触媒についてこれまで多くの研究が行われており、このような触媒成分の1つにコバルト含有酸化物がある。このコバルト含有酸化物の中でも、例えば、四酸化三コバルト(Co34)は、酸化物イオンの立方最密充填単位格子の八面体間隙にCo3+イオンが配置され、さらに四面体間隙にCo2+イオンが配置されたスピネル型構造を有する金属酸化物であり、そのCo3+イオンの存在のために高い酸化活性を有することが一般的に知られている。
しかしながら、このようなコバルト含有酸化物、例えば四酸化三コバルト(Co34)等は、その耐熱性が必ずしも十分なものではなく、それゆえ高温下に長時間曝されると、シンタリングを生じて粒成長する場合がある。そして、このようなシンタリングによって粒成長したコバルト含有酸化物は、もはや排ガスとの高い接触面積を維持することができなくなり、結果として排ガス浄化用触媒の排ガス浄化性能、特にはCO及びHCの酸化活性が大きく低下してしまう。
本発明者らは、四酸化三コバルト(Co34)等のスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物と組み合わせて使用することにより、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性が向上し、結果として当該排ガス浄化用触媒の酸化活性、特にはCO及びHC酸化活性を顕著に改善することができることを見出した。
[スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物]
本発明によれば、触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物としては、特に限定されないが、例えば四酸化三コバルト(Co34)を使用することができ、好ましくはコバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含む複合酸化物を使用することができる。
本発明者らは、本発明におけるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物として、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含む複合酸化物を使用することで、このような添加金属元素によってスピネルの結晶構造に歪みを生じさせることができ、その結果として、排ガス浄化用触媒のより高い酸化活性、特にはより高いCO及びHC酸化活性を達成できることをさらに見出した。
なお、本発明において「複合酸化物」とは、2種以上の金属酸化物が少なくとも部分的に固溶している材料を意味し、それゆえ、当該「複合酸化物」には、いわゆる個々の金属酸化物の単純な物理混合物は包含されない。
したがって、例えば、本明細書において「コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素との複合酸化物」と記載される場合には、酸化コバルトと添加金属元素の酸化物とが少なくとも部分的に固溶しており、特にはコバルトと添加金属元素とが、少なくとも部分的に、単一結晶構造の酸化物、すなわちスピネル型構造の酸化物を互いに形成していることを意味する。より具体的に言えば、例えば、添加金属元素が銅である場合には、「コバルトと銅の複合酸化物」とは、酸化コバルトと酸化銅とが固溶している部分だけでなく、酸化コバルトと酸化銅とがそれぞれ単独で存在している部分を含んでいてもよい。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、触媒成分としてスピネル型構造を有するコバルト酸化物、すなわち四酸化三コバルトを使用した排ガス浄化用触媒においては、活性種である四酸化三コバルトの結晶格子中に存在する酸素を如何にして反応に寄与させるかということが極めて重要であると考えられる。というのも、反応の際、四酸化三コバルトからその結晶格子中の酸素が放出されると、このような酸素種は不対電子を有するいわゆる酸素ラジカルであると考えられ、気相中の酸素と比較して非常に不安定でありすなわち反応性が高いからである。
一方で、四酸化三コバルトにコバルトとは異なる添加金属元素を導入又はドープした複合酸化物では、イオン半径の相違やヤーンテラー効果等に基づいてスピネルの結晶構造に歪みを生じさせることができ、その結果として、このような添加金属元素を含まないコバルト酸化物と比較して、結晶格子中の酸素がより放出されやすい状態になると考えられる。したがって、本発明におけるコバルト含有酸化物として上記の複合酸化物を使用することで、当該複合酸化物からより多く放出されるこのような反応性の高い酸素種によって排ガス浄化用触媒のCO及びHC酸化活性を顕著に改善することが可能であると考えられる。
図1は、スピネル型構造を有する金属酸化物の模式図である。図1を参照すると、四面体酸素の中心位置に2価金属(MTET)原子が存在し、一方で、八面体酸素の中心位置に3価金属(MOCT)原子が存在していることがわかる。ここで、図中のMTET−Oとは、2価金属(MTET)原子とそれに配位する酸素(O)原子との間の結合を表し、一方で、MOCT−Oとは、3価金属(MOCT)原子とそれに配位する酸素(O)原子との間の結合を表す。本発明について言えば、コバルトと添加金属元素との複合酸化物においてこれらのMTET−O結合及び/又はMOCT−O結合の距離を測定すること、より具体的にはこれらの結合の伸張及び/又は収縮を測定することによって当該複合酸化物における結晶構造の歪みを定量的に評価することが可能である。
そして、本発明者らは、コバルトと添加金属元素とからなるスピネル型構造を有する複合酸化物において、当該複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、MTET−O結合の距離が伸張し及び/又はMOCT−O結合の距離が収縮しているときに、得られる排ガス浄化用触媒のCO酸化活性等が改善されることを見出した。
したがって、本発明において上記の複合酸化物に導入される添加金属元素としては、当該複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を伸張させ、及び/又は当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を収縮させることができる任意の金属元素を使用することが可能である。
一般的には、本発明における添加金属元素としては、上記の複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を0.002Å以上、0.005Å以上、0.01Å以上、0.02Å以上、0.03Å以上、0.04Å以上、0.05Å以上伸張させるようなものであることが好ましい。また、このような伸張は、一般的には、0.15Å以下、0.10Å以下、0.09Å以下、0.08Å以下、0.07Å以下、又は0.06Å以下であることが好ましい。
加えて又はその代わりに、本発明における添加金属元素としては、上記の複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を0.002Å以上、0.005Å以上、0.01Å以上、0.02Å以上、又は0.03Å以上収縮させるようなものであることが好ましい。また、このような収縮は、一般的には、0.10Å以下、0.09Å以下、0.08Å以下、0.07Å以下、0.06Å以下、又は0.05Å以下であることが好ましい。
具体的には、本発明における添加金属元素としては、銅(Cu)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、又はそれらの組み合わせを使用することができ、好ましくは銅(Cu)を使用することができる。これらの添加金属元素を使用することで、本発明における複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、これらの添加金属元素を含まないコバルト含有酸化物と比較して、例えばMTET−O結合の距離を伸張させることができるか、及び/又はMOCT−O結合の距離を収縮させることができるので、最終的に得られる排ガス浄化用触媒の酸化活性、特にはCO及びHC酸化活性を確実に改善することが可能である。
なお、リートベルト解析法においては、測定されたX線回折の強度データ、及びスピネル結晶の構造モデルを入力値として与え、格子定数、原子の分率座標、原子の各サイトでの占有率、原子変位パラメータ等の構造パラメータなどを動かすことで、計算された回折強度と測定された回折強度ができるだけ一致するように精密化される。また、バックグラウンド、ゼロ点シフト、試料変位パラメータ、試料透過パラメータ、表面粗さパラメータ、プロファイルの対称性に関するパラメータ等の測定方法や試料の状態や装置に由来するパラメータについても精密化される。
また、上記複合酸化物中におけるコバルトと添加金属元素の割合は、得られる複合酸化物がスピネル構造を形成することができ、かつ当該スピネルの結晶構造に歪みを生じさせることができる範囲において適宜選択すればよく特に限定されないが、一般的には、コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)が、1:0.1〜1、好ましくは1:0.3〜0.8、より好ましくは1:0.4〜0.7、最も好ましくは1:0.5となるような範囲において適宜選択することができる。
なお、本発明において「コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)」とは、コバルトと添加金属元素との複合酸化物を合成する際に導入されるコバルト及び添加金属元素の各塩中に含まれるコバルトと添加金属元素とのモル比を言うものである。
本発明の排ガス浄化用触媒では、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物は、任意の適切な量において後で説明する触媒担体上に担持することができる。特に限定されないが、例えば、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物は、当該コバルト含有酸化物中に含まれるコバルト及び/又は添加金属元素の量(金属換算担持量)が当該触媒担体に対して、一般的に、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、若しくは4質量%以上、及び/又は20質量%以下、15質量%以下、若しくは10質量%以下となるような範囲において当該触媒担体上に担持することができる。あるいはまた、以下で説明するスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物中にコバルトが含まれる場合には、上記のコバルト含有酸化物中のコバルト及び/又は添加金属元素の量に加えて当該金属酸化物中のコバルトも含めた合計量(金属換算担持量)が触媒担体に対して上記の範囲になるように、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を触媒担体上に担持してもよい。
[スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物]
本発明によれば、上記のスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物に当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が混合される。
図2は、本発明の排ガス浄化用触媒におけるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物との混合状態を示す概念図である。図2に示すように、本発明の排ガス浄化用触媒では、例えば、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物1の一次粒子と、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物2の一次粒子とが相互に混合した状態にあり、すなわちこれらの酸化物がナノレベルで均一に混合した状態にある。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物1と、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物2とが相互に混合した状態、好ましくは図2に示すように、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物1の一次粒子と、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物2の一次粒子とが相互に混合した状態にあることで、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物2が拡散障壁として機能し、例えば600℃、特には800℃を超えるような高温条件下においても触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物1のシンタリングを顕著に抑制することができると考えられる。したがって、本発明によれば、触媒の曝される温度が常温と約1000℃の間で繰り返し変動する自動車排ガス浄化用触媒の用途においても、触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物1のシンタリングによる粒成長を顕著に抑制することができるので、排ガス浄化用触媒のCO及びHC酸化活性を高い状態のまま維持することが可能である。
本発明によれば、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物としては、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する任意の金属酸化物を使用することができる。また、当該金属酸化物を構成する金属元素についても、特には限定されず、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属等、任意の金属元素又はそれらの組み合わせが使用可能である。特に限定されないが、本発明におけるスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物としては、例えば、ペロブスカイト型構造、ホタル石型構造、コランダム型構造、逆ホタル石型構造、ルチル型構造、塩化ナトリウム型構造、ブラウンミラーライト型構造、アパタイト型構造、A−希土類型構造、B−希土類型構造、C−希土類型構造、アナターゼ型構造、ブルッカイト型構造、シーライト型構造、岩塩型構造、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結晶構造を有する金属酸化物を使用することができ、特にはペロブスカイト型構造を有する金属酸化物、好ましくはペロブスカイト型構造を有するコバルト含有酸化物を使用することができる。
例えば、ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物について詳しく説明すると、当該ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物は、一般式ABO3で表される結晶構造を有し、Aサイトの元素としてはアルカリ土類金属や希土類金属等の金属元素を使用することができ、一方で、Bサイトの元素としては遷移金属等の金属元素を使用することができる。ここで、Aサイトの元素として希土類金属を使用しそしてBサイトの元素としてコバルトを使用した金属酸化物、例えばLaCoO3は、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と比較すると劣る場合はあるものの、CO等の酸化について触媒活性を有することが一般に知られている。
したがって、例えば、LaCoO3等の金属酸化物を本発明におけるスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物として使用することで、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物だけでなく、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物についても触媒成分として作用させることができる。しかも、この場合には、触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の両酸化物が相互に拡散障壁として機能することができる。したがって、高温条件下においても触媒成分であるそれぞれの酸化物のシンタリングを抑制することができ、その結果として排ガス浄化用触媒のCO及びHC酸化活性をより高い状態で維持することが可能である。
本発明によれば、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の合計モル数に対して5mol%以上95mol%以下であることが好ましい。
スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が5mol%よりも小さい場合には、触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の活性点数が少なくなるために、得られる排ガス浄化用触媒において十分な酸化活性、特にはCO酸化活性を達成することができない。一方で、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が95mol%よりも大きい場合には、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が拡散障壁として十分な機能を発揮することができないために、得られる排ガス浄化用触媒について十分な耐熱性を達成できない場合がある。したがって、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量には、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の活性点数や、及び得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性等を考慮した最適値が存在するものと考えられる。
本発明によれば、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量を、5mol%以上、特には10mol%以上、15mol%以上、20mol%以上、25mol%以上若しくは30mol%以上とし、かつ95mol%以下、特には90mol%以下、80mol%以下、70mol%以下、60mol%以下若しくは50mol%以下とし、例えば5mol%以上95mol%以下、10mol%以上90mol%以下、20mol%以上80mol%以下、20mol%以上60mol%以下、又は20mol%以上50mol%以下とすることで、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の活性点数を維持しつつ、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物による拡散障壁としての機能を十分に発揮させ、結果として酸化活性及び耐熱性の両方が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
なお、本発明において「スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量」とは、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の合計モル数に対するスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物のモル数の割合を言うものであり、各酸化物のモル数は、それらを調製する際に導入される各金属元素の量に基づいて算出されるものである。
本発明の排ガス浄化用触媒では、上記のとおり、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の一次粒子と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の一次粒子が相互に混合していることが好ましい。本発明によれば、各一次粒子の平均粒径は0nm超100nm以下であることが好ましい。
各一次粒子の平均粒径が100nmよりも大きくなると、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の拡散障壁としての機能が十分に発揮されない場合がある。このような場合には、高温条件下でスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が凝集して粗大な粒子を形成し、結果として排ガス浄化用触媒の排ガス浄化性能、特にはCO及びHCの酸化活性が大きく低下してしまう。したがって、本発明の排ガス浄化用触媒においては、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の各一次粒子は、一般的には0nm超100nm以下の平均粒径を有し、好ましくは0nm超90nm以下、0nm超80nm以下、0nm超70nm以下、0nm超60nm以下、0nm超50nm以下、0nm超40nm以下、0nm超30nm以下、0nm超20nm以下、0nm超15nm以下、又は0nm超10nm以下の平均粒径を有する。スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の各一次粒子が上記のような平均粒径を有しかつそれらが相互に混合されること、すなわちこれらの金属酸化物がナノレベルで均一に混合した状態にあることで、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の拡散障壁としての機能を十分に発揮させることができるので、得られる排ガス浄化用触媒の耐熱性を顕著に改善することが可能である。
なお、本発明において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した100個以上の粒子の定方向径(Feret径)を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値を言うものである。
[触媒担体]
本発明によれば、上記のスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が担持される触媒担体としては、特に限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができる。このような触媒担体としては、例えば、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。また、触媒担体としてアルミナ(Al23)等を使用することも可能であるが、この場合には、アルミナがコバルト含有酸化物と反応してコバルトアルミネートを生成してしまう虞がある。それゆえ、触媒担体としては、アルミナを含まない材料を使用することがより好ましい。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の排ガス浄化用触媒によるCO及びHCの酸化反応では、気相中の酸素以外にも、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の結晶格子から放出された酸素等も、排ガス中のCO及びHCの酸化浄化に対する酸素源として反応に寄与するものと考えられる。しかしながら、一方で、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の結晶格子から次々に酸素が放出されてしまうと、結晶格子中に酸素空孔が生成し、最終的には当該コバルト含有酸化物が還元されてその酸化活性が著しく低下してしまう場合がある。
したがって、本発明における触媒担体としては、少なくともセリアを含有するセリア系酸化物を使用することが特に好ましい。当該セリア系酸化物は、いわゆる酸素吸放出能(OSC能)を有することが一般に知られている。それゆえ、本発明における触媒担体としてセリア系酸化物を使用することにより、当該セリア系酸化物からコバルト含有酸化物に酸素を供給することが可能となる。その結果として、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物における上記の酸素空孔に酸素が補填されて当該コバルト含有酸化物の酸化活性の低下を防ぐことができ、排ガス浄化用触媒のCO及びHC酸化活性を高い状態のまま維持することが可能となる。
本発明の排ガス浄化用触媒によるCO及びHC酸化反応がリーン雰囲気(酸素過剰雰囲気)下で行われる場合には、気相中に過剰に存在する酸素によって上記のようなスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の失活を防ぐことができると考えられる。しかしながら、当該酸化反応がリッチ雰囲気(燃料過剰雰囲気)下で行われる場合には、気相中の酸素によっては十分にスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の失活を防ぐことができない場合がある。したがって、このような場合には、本発明における触媒担体としてセリア系酸化物を使用することは極めて有効である。
本発明によれば、上記のセリア系酸化物としては、セリアを含有する酸化物であればよく、例えばセリアと他の金属元素の酸化物との複合酸化物であってもよい。特に限定されないが、セリア系酸化物は、例えば、セリア(CeO2)、セリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)複合酸化物、セリア−チタニア(CeO2−TiO2)複合酸化物、セリア−シリカ(CeO2−SiO2)複合酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができ、酸素吸放出能(OSC能)の観点から、セリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)複合酸化物を使用することがより好ましい。ただし、触媒担体としてセリア−アルミナ(CeO2−Al23)複合酸化物等を使用した場合には、当該複合酸化物中のアルミナがコバルト含有酸化物と反応してコバルトアルミネートが生成してしまう虞がある。したがって、セリア系酸化物としては、アルミナを含まない材料を使用することがより好ましい。
また、上記のセリア系酸化物は、例えば、セリア又はセリア−ジルコニア複合酸化物のほかに、追加の金属元素をさらに含むこともできる。例えば、セリア系酸化物は、アルカリ土類金属及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素をさらに含むことができる。このような追加の金属元素を含むことで、例えば、セリア又はセリア−ジルコニア複合酸化物の耐熱性を顕著に向上させることが可能である。このような追加の金属元素の具体的な例としては、例えば、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。
<製造方法>
本発明の排ガス浄化用触媒は、共沈法、ゾル−ゲル法等の従来公知の方法を用いて調製することが可能である。しかしながら、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物がナノレベルで均一に混合した状態にあること、さらにはスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が添加金属元素を含む複合酸化物である場合に、コバルトと当該添加金属元素とが少なくとも部分的に固溶することを確実にするためには、以下に説明するようなクエン酸合成法を使用することが特に好ましい。
[クエン酸合成法]
クエン酸合成法では、まず、コバルト塩、必要に応じて添加金属元素の塩、錯化剤(特にはクエン酸)、及び1つ又は複数の溶媒を含む第1の混合溶液が調製され、次いで当該第1の混合溶液が所定の温度で加熱される。一方で、同様に、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を構成する各金属元素の塩、錯化剤(特にはクエン酸)、及び1つ又は複数の溶媒を含む第2の混合溶液が調製され、次いで当該第2の混合溶液が所定の温度で加熱される。次に、第1の混合溶液と第2の混合溶液が混合され、得られた混合溶液に触媒担体が導入される。
このような方法によれば、コバルトイオン、任意選択の添加金属元素のイオンを錯化剤により錯化(キレート化)し、同様にスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を構成する各金属元素のイオンを錯化剤により錯化(キレート化)することで、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物のナノレベルの均一な混合、さらにはコバルトと添加金属元素との部分的又は完全な固溶を促進させることができる。したがって、最終的に得られる排ガス浄化用触媒においてより高い耐熱性、及びより高い酸化活性、特にはより高いCO及びHC酸化活性を達成することができる。
理解を容易にするため、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が添加金属元素を含む場合について以下により詳しく説明する。
1.スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物前駆体の調製
まず、コバルト塩、添加金属元素の塩が1つ又は複数の溶媒、例えばエタノール等のアルコールや水に導入され、そして十分に攪拌及び混合されて金属塩溶液が調製される。
ここで、コバルト塩及び添加金属元素の塩としては、特に限定されないが、例えば、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を使用することができる。なお、コバルト塩及び添加金属元素の塩は、コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)が1:0.1〜1であるような範囲において導入され、金属塩溶液中のコバルトイオン等の各金属イオンの合計濃度は0.01M〜0.2Mの範囲内であることが好ましい。
次に、錯化剤と任意選択でエステル化剤が1つ又は複数の溶媒、例えばエタノール等のアルコールや水に導入され、そして十分に攪拌及び混合されて錯化剤溶液が調製される。
ここで、錯化剤としては、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機酸を使用することができ、クエン酸以外にも、例えば、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸を使用することができる。また、当該錯化剤は、例えば、コバルトイオン等の各金属イオンの合計に対して、モル比で1〜10倍、又は1〜5倍の量で使用することができる。なお、任意選択のエステル化剤としては、多価アルコール、例えばエチレングリコールを使用することができ、当該エステル化剤は、錯化剤の場合と同様に、コバルトイオン等の各金属イオンの合計に対して、モル比で1〜10倍、又は1〜5倍の量で使用することができる。
次に、上記の金属塩溶液と錯化剤溶液を室温下で十分に攪拌及び混合した後、この混合溶液を50℃〜90℃の温度で所定の時間にわたり加熱してキレート化反応を促進させることで、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物前駆体を含む第1の混合溶液が調製される。
2.スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物前駆体の調製
まず、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を構成する各金属元素の塩が1つ又は複数の溶媒、例えばエタノール等のアルコールや水に導入され、そして十分に攪拌及び混合されて金属塩溶液が調製される。
ここで、上記金属元素の塩としては、特に限定されないが、例えば、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を使用することができる。なお、金属塩溶液中の上記金属イオンの合計濃度は0.01M〜0.2Mの範囲内であることが好ましい。
次に、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物前駆体の調製の場合と同様に、錯化剤溶液が調製され、上記の金属塩溶液と当該錯化剤溶液を室温下で十分に混合した後、この混合溶液を50℃〜90℃の温度で所定の時間にわたり加熱してキレート化反応を促進させることで、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物前駆体を含む第2の混合溶液が調製される。
3.溶液の混合及び担持
上記の第1の混合溶液と第2の混合溶液が、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及びスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の合計モル数に対する当該コバルト含有酸化物のモル数の割合が5mol%以上95mol%以下となるような範囲において所定の温度において混合され、次いで、得られた混合溶液に触媒担体が導入された後、当該混合溶液がエステル化剤を含む場合には、さらに100℃〜160℃の温度で所定の時間にわたり加熱してエステル化反応を促進させる。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、多価アルコール等のエステル化剤を使用した場合には、錯化剤によって形成された錯体と当該多価アルコールとが反応し(エステル重合)、それによって形成されたポリマーのネットワーク中に各金属元素を組み込むことができるので、最終的に得られる排ガス浄化用触媒においてスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物のナノレベルの均一な混合、さらにはコバルトと添加金属元素との部分的又は完全な固溶をより促進させることができると考えられる。
4.乾燥及び焼成
最後に、得られた生成物を所定の温度及び時間、特には各金属塩の塩部分や、錯化剤、さらには任意選択のエステル化剤等を分解除去しかつスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物等を形成するのに十分な温度及び時間において乾燥及び/又は焼成することにより、本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。例えば、上記のキレート化及び任意選択のエステル化によって得られた生成物を、最大約500℃の温度で約2時間〜15時間にわたり加熱(か焼)して各金属塩の塩部分等を分解除去した後、酸化性雰囲気中、例えば空気中において最大約800℃、好ましくは約500℃〜約700℃の温度で約1時間〜約10時間にわたり焼成することにより、本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。
[共沈合成法]
共沈合成法を利用した場合には、本発明の排ガス浄化用触媒は、例えば以下のようにして製造することが可能である。
まず、コバルト塩、必要に応じて添加金属元素の塩、スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を構成する金属元素の塩、及び1つ又は複数の溶媒、例えば水を含む金属塩溶液を調製し、次いで当該金属塩溶液に中和剤を添加する。次いで、得られたスラリーを触媒担体に含浸させ、最後にスラリーを含浸させた触媒担体を所定の温度及び時間、特には各金属塩の塩部分等を分解除去しかつスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物等を形成するのに十分な温度及び時間において乾燥及び焼成することにより、本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。
ここで、コバルト塩、添加金属元素の塩、及びスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を構成する金属元素の塩としては、クエン酸合成法の場合と同様に、例えば、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を使用することができる。なお、コバルト塩、添加金属元素の塩、及びスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を構成する金属元素の塩は、コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)が1:0.1〜1であり、かつスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及びスピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の合計モル数に対する当該コバルト含有酸化物のモル数の割合が5mol%以上95mol%以下となるような範囲において導入され、金属塩溶液中のコバルトイオン等の各金属イオンの合計濃度は0.01M〜0.2Mの範囲内であることが好ましい。
中和剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア(NH3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等の無機塩基性化合物を使用することができる。また、中和剤として、例えば、ピリジン、(ポリ)エチレンジアミン化合物等の有機塩基性化合物を使用することもでき、好ましくは(ポリ)エチレンジアミン化合物を使用することができる。
なお、(ポリ)エチレンジアミン化合物としては、エチレン単位を1〜10個有するもの、特にエチレン単位を1〜6個有するものを挙げることができる。具体的には、好ましいポリエチレンジアミン化合物としては、エチレンジアミン(EDA:H2NCH2CH2NH2)、ジエチレントリアミン(DETA:H2NCH2CH2NHCH2CH2NH2)、トリエチレンテトラミン(TETA:H2NCH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2NH2)、テトラエチレンペンタミン[TEPA:H2N(CH2CH2NH)3CH2CH2NH2)]、ペンタエチレンヘキサミン[PEHA:H2N(CH2CH2NH)42CH2NH2]、特にエチレンジアミン(DDA)を挙げることができる。
1つ又は複数の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、又は水を使用することができ、好ましくは水を使用することができる。
中和剤を添加する際、溶液のpHは6〜11の範囲に調整することが好ましい。pHが低すぎると、コバルト等の析出反応が起こらず、一方で、pHが高すぎると、析出した前駆体が溶解することがある。
上記の金属塩溶液は、分散剤、例えばピロリドンンカルボン酸ナトリウム(PAA−Na)やポリビニルピロリドン(PVP)をさらに含んでもよい。
上記の乾燥及び焼成は、各金属塩の塩部分等を分解除去しかつスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物等を形成するのに十分な温度及び時間において実施することができる。例えば、乾燥は、減圧下又は常圧下において約50℃〜約200℃の温度で約1時間〜約10時間にわたって実施することができ、一方で、焼成は、酸化性雰囲気中、例えば空気中において最大約800℃、好ましくは約500℃〜約700℃の温度で約1時間〜約10時間にわたって実施することができる。
なお、共沈合成法を実施するための反応容器は、特に限定されず、例えば、バッチ式の反応装置、連続式の反応装置等、任意の反応装置を使用することができる。
一方、各構成要素の単純な物理混合や従来公知のいわゆる含浸法等では、スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物と当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物のナノレベルの均一な混合、さらにはコバルトと添加金属元素との部分的又は完全な固溶を促進させることが困難であるか、あるいはこれらの金属酸化物のそれぞれが凝集して粗大な二次粒子を形成してしまう場合がある。したがって、これらの方法では、最終的に得られる排ガス浄化用触媒においてより高い耐熱性、及びより高い酸化活性、特にはより高いCO及びHC酸化活性を達成することができない。
上記のようにして得られた本発明の排ガス浄化用触媒は、必要に応じて、例えば、高圧下でプレスしてペレット状に成形するか、又は所定のバインダ等を加えてスラリー化し、これをコージェライト製ハニカム基材等の触媒基材上に塗布することにより使用することができる。
なお、本明細書では、自動車の排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒について詳しく説明したが、本発明の排ガス浄化用触媒は、このような特定の技術分野に何ら限定されるものではなく、工場排ガスの浄化等、特にはCO及び/又はHCの浄化が必要とされる任意の技術分野において幅広く適用することが可能である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<例A〜例C>
例A〜例Cでは、コバルト塩、コバルトとは異なる添加金属元素の塩を用いて排ガス浄化用触媒を調製し、添加金属元素の種類及び排ガス浄化用触媒の製造方法が当該排ガス浄化用触媒の性能に与える影響について検討した。
[例A:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒の製造]
例Aでは、添加金属元素として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のいずれか1種を使用し、具体的には以下のようにしてクエン酸合成法を利用して排ガス浄化用触媒を製造した。また、比較のために、添加金属元素を含まない排ガス浄化用触媒についても同様に製造した。
1.金属塩溶液の調製
硝酸コバルト及び添加金属元素の硝酸塩を、コバルト(Co)と添加金属元素(M)のモル比(Co:M)が1:0.5になるようにして純水に溶解し、十分に撹拌及び混合して金属塩溶液を得た。
2.錯化剤溶液の調製
錯化剤としてのクエン酸(CA)、及びエステル化剤としてのエチレングリコール(EG)を、金属塩溶液のコバルト(Co)及び添加金属元素(M)の合計に対するクエン酸(CA)及びエチレングリコール(EG)のモル比(Co+M:CA:EG)が1:3:3になるようにして純水に加え、十分に撹拌及び混合して錯化剤溶液を得た。
3.担持
金属塩溶液及び錯化剤溶液を室温において十分に撹拌して原料混合溶液を得た。この原料混合溶液に触媒担体としてのセリア−ジルコニア複合酸化物(CZ:CeO2−ZrO2)粉末(株式会社キャタラー製、ACTALYS LISA)を当該セリア−ジルコニア複合酸化物粉末に対するコバルトの金属換算担持量が5質量%になる量において加え、室温で十分に撹拌した後、エバポレーターにて70℃で2時間にわたって減圧下で還流を行い、次いで140℃で4時間にわたって加熱することによりゲル状前駆体生成物を得た。
4.乾燥及び焼成
得られたゲル状前駆体生成物を電気炉において9時間にわたって400℃まで段階的に加熱し、次いで焼成炉において600℃で4時間にわたって焼成して触媒粉末を得た。
5.ペレット化
得られた触媒粉末を1トンの圧力の冷間等方圧プレス(CIP)によりペレット状に成形して例Aの排ガス浄化用触媒を得た。なお、個々のペレットは0.17cm3の体積を有していた。
[例B:共沈合成法を利用した排ガス浄化用触媒の製造]
例Bでは、添加金属元素として、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のいずれか1種を使用し、具体的には以下のようにして共沈合成法を利用して排ガス浄化用触媒を製造した。また、比較のために、添加金属元素を含まない排ガス浄化用触媒についても同様に製造した。
1.スラリーの調製
例Bでは、例Aと同様にして得られた金属塩溶液に、当該金属塩溶液のpHが9になるまでピペットで水酸化ナトリウム溶液を滴下し、得られたスラリーをろ過により水洗した。
2.担持
上記のスラリーを、例Aで使用したのと同じセリア−ジルコニア複合酸化物粉末に含浸させ、120℃で乾燥した後、600℃で焼成して触媒粉末を得た。
3.ペレット化
得られた触媒粉末を、例Aと同様にして、ペレット状に成形して例Bの排ガス浄化用触媒を得た。
[例C:含浸合成法を利用した排ガス浄化用触媒の製造]
例Cでは、添加金属元素として、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のいずれか1種を使用し、具体的には以下のようにして含浸合成法を利用して排ガス浄化用触媒を製造した。また、比較のために、添加金属元素を含まない排ガス浄化用触媒についても同様に製造した。
1.担持
例Cでは、例Aと同様にして得られた金属塩溶液を、例Aで使用したのと同じセリア−ジルコニア複合酸化物粉末に含浸させ、120℃で乾燥した後、600℃で焼成して触媒粉末を得た。
2.ペレット化
得られた触媒粉末を、例Aと同様にして、ペレット状に成形して例Cの排ガス浄化用触媒を得た。
<触媒の評価>
例A〜例Cの各排ガス浄化用触媒について、下記の条件で評価ガス温度を600℃まで昇温し、COの浄化率が50%になる温度(CO50%浄化温度:T50)を調べた。
評価ガス組成:
CO:0.65mol%
36:0.05mol%(1500ppmC)
2:0.58mol%
2:残部
使用触媒量: 約0.75g
ガス流量: 1リットル/分
空燃比(A/F): 15.02
空間速度(SV): 90,000h-1
<評価の整理1:添加金属元素の種類に基づく評価結果の整理>
例A(クエン酸合成法)、例B(共沈合成法)、及び例C(含浸合成法)を利用して製造した各排ガス浄化用触媒に関する評価結果を下表1に示す。
Figure 2014128766
表1から理解されるように、例A(クエン酸合成法)及び例B(共沈合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒では、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、及び亜鉛(Zn)を添加金属元素として使用した場合に、CO浄化性能を改善することができた。
また、例A(クエン酸合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒では、例B(共沈合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒と比較しても優れたCO浄化性能を達成することができた。しかしながら、例A(クエン酸合成法)及び例B(共沈合成法)を利用して排ガス浄化用触媒を製造した場合であっても、鉄及びマンガンを添加金属元素として使用した場合には、添加金属元素を含まない触媒と比較してCO浄化性能は改善されなかった。なお、例C(含浸合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒では、例A(クエン酸合成法)及び例B(共沈合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒とは異なる傾向を示した。これは、含浸合成法では、コバルトと添加金属元素との間で適切な複合酸化物が形成されにくいことによるものと考えられる。一方で、特に図示しないが、添加金属元素として銅を使用し、クエン酸合成法及び共沈合成法を利用して製造した排ガス浄化用触媒について、当該排ガス浄化用触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)によって分析したところ、酸化コバルトと酸化銅とが固溶していることが確認された。
<評価の整理2:結晶構造の歪みの大きさに基づく評価結果の整理>
セリア−ジルコニア複合酸化物粉末を使用しなかったこと以外は例B(共沈合成法)と同様にして得られた酸化物粒子をX線回折によって分析した。そして、X線回折の分析結果に基づいて、リートベルト解析法により、得られた酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離及びMOCT−O結合の距離を求めた。
また、添加金属元素として銅を使用し、セリア−ジルコニア複合酸化物粉末を使用しなかったこと以外は例A(クエン酸合成法)と同様にして得られた酸化物粒子についても同様に評価した。さらに、添加金属元素として銅を使用し、例Cと同様にして得られた触媒粉末についても同様に評価した。それらの結果を下表2に示す。
Figure 2014128766
表2の結果から、コバルト(Co)を含有するスピネル型酸化物のCO浄化性能は、MTET−O結合の距離及びMOCT−O結合の距離に対して相関を有していることがわかる。すなわち、添加金属元素を含有しない酸化コバルト(Co34)と比較して、添加金属元素を含有する酸化コバルトのスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離が伸張している場合、及び/又はMOCT−O結合の距離が収縮している場合には、優れたCO浄化性能を達成することができた。
表2の例Bに関する結果をより詳しく考察すると、添加金属元素としてCuを使用した場合には、MTET−O結合の伸張及びMOCT−O結合の収縮が最も大きく、それに比例して最も低いCO50%浄化温度T50が得られ、したがって最も高いCO浄化性能を達成することができた。
一方で、添加金属元素としてAgを使用した場合には、Agは一般に固溶しない系であるにもかかわらず、共沈合成法を利用することで、添加金属元素を含有しない酸化コバルト(Co34)と比較して、当該酸化コバルトのスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を約0.0165Å伸張させ、及びMOCT−O結合の距離を約0.0168Å収縮させることができた。この結果から、添加金属元素としてAgを使用した場合には、酸化コバルトと酸化銀の少なくとも一部が固溶して、CoとAgが部分的にスピネル型構造の酸化物を互いに形成していると考えられる。
<例D〜例H>
例D〜例Hでは、例A〜Cにおいて最も高いCO酸化活性を示したスピネル型構造を有するCo−Cu複合酸化物に関し、当該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物を混合した場合の効果について詳しく調べた。
[例D:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)の製造]
1.Co−Cuスピネル複合酸化物前駆体の調製
硝酸コバルト及び硝酸銅を、例A〜Cと同様にコバルト(Co)と添加金属元素である銅(Cu)のモル比(Co:Cu)が1:0.5になるようにして純水に溶解し、十分に撹拌及び混合して金属塩溶液を得た。
錯化剤としてのクエン酸(CA)及びエステル化剤としてのエチレングリコール(EG)を、金属塩溶液のコバルト及び銅の合計に対するクエン酸(CA)及びエチレングリコール(EG)のモル比(Co+Cu:CA:EG)が1:3:3になるようにして純水に加え、十分に撹拌及び混合して錯化剤溶液を得た。
次に、上記の金属塩溶液と錯化剤溶液を室温下で十分に攪拌及び混合した後、この混合溶液を還流装置を用いて70℃で2時間にわたり攪拌し、Co−Cuスピネル複合酸化物前駆体を含む第1の混合溶液を調製した。
2.Co−Laペロブスカイト複合酸化物前駆体の調製
硝酸コバルト及び硝酸ランタンを、コバルト(Co)とランタン(La)のモル比(Co:La)が1:1になるようにして純水に溶解し、十分に撹拌及び混合して金属塩溶液を得た。
錯化剤としてのクエン酸(CA)及びエステル化剤としてのエチレングリコール(EG)を、金属塩溶液のコバルト及びランタンの合計に対するクエン酸(CA)及びエチレングリコール(EG)のモル比(Co+La:CA:EG)が1:3:3になるようにして純水に加え、十分に撹拌及び混合して錯化剤溶液を得た。
次に、上記の金属塩溶液と錯化剤溶液を室温下で十分に攪拌及び混合した後、この混合溶液を還流装置を用いて70℃で2時間にわたり攪拌し、Co−Laペロブスカイト複合酸化物前駆体を含む第2の混合溶液を調製した。
3.溶液の混合及び担持
上記の第1の混合溶液と第2の混合溶液を、Co−Cuスピネル複合酸化物及びCo−Laペロブスカイト複合酸化物の合計モル数に対する当該Co−Cuスピネル複合酸化物のモル数の割合が33mol%(Co−Cuスピネル複合酸化物とCo−Laペロブスカイト複合酸化物のモル比が1:2)となるような量において70℃で混合した。次いで、得られた混合溶液に触媒担体としてのセリア−ジルコニア複合酸化物(CZ:CeO2−ZrO2)粉末(株式会社キャタラー製、ACTALYS LISA)を当該セリア−ジルコニア複合酸化物粉末に対するコバルト(Co−Cuスピネル複合酸化物及びCo−Laペロブスカイト複合酸化物中のコバルト)の金属換算担持量が5質量%になるような量において加えた後、140℃で4時間にわたって加熱することによりゲル状前駆体生成物を得た。
4.乾燥及び焼成
得られたゲル状前駆体生成物を電気炉において9時間にわたって400℃まで段階的に加熱し、次いで焼成炉において600℃で4時間にわたって焼成して触媒粉末を得た。
5.ペレット化
得られた触媒粉末を1トンの圧力の冷間等方圧プレス(CIP)によりペレット状に成形して例Dの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)を得た。なお、個々のペレットは0.17cm3の体積を有していた。
[例E:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量50mol%)の製造]
第1の混合溶液と第2の混合溶液を、Co−Cuスピネル複合酸化物及びCo−Laペロブスカイト複合酸化物の合計モル数に対する当該Co−Cuスピネル複合酸化物のモル数の割合が50mol%(Co−Cuスピネル複合酸化物とCo−Laペロブスカイト複合酸化物のモル比が1:1)となるような量において混合したこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Eの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量50mol%)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
[例F:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量25mol%)の製造]
第1の混合溶液と第2の混合溶液を、Co−Cuスピネル複合酸化物及びCo−Laペロブスカイト複合酸化物の合計モル数に対する当該Co−Cuスピネル複合酸化物のモル数の割合が25mol%(Co−Cuスピネル複合酸化物とCo−Laペロブスカイト複合酸化物のモル比が1:3)となるような量において混合したこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Fの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量25mol%)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
[例G:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)の製造]
例DのようにCo−Cuスピネル複合酸化物前駆体とCo−Laペロブスカイト複合酸化物前駆体の調製において金属塩溶液をそれぞれ別々に調製するのではなく、各金属塩を一緒に混合した金属塩溶液を使用し、それと錯化剤溶液を混合したこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Gの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
[例H:共沈合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)の製造]
例Hでは、例Gと同様にして得られた金属塩溶液にピペットで水酸化ナトリウム溶液を滴下して水酸化物前駆体を得た。次いで、得られた水酸化物前駆体を例Dで使用したのと同じセリア−ジルコニア複合酸化物粉末に含浸させ、例Dと同様にして乾燥及び焼成並びにペレット化を実施し、ペレット状に成形された例Hの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
[例I(参考):含浸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)の製造]
例Iでは、例Gと同様にして得られた金属塩溶液をセリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2−ZrO2)粉末(株式会社キャタラー製、ACTALYS LISA)に導入し、120℃で乾燥した後、600℃で焼成して触媒粉末を得た。次いで、例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Iの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物,Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2)(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
[例J(比較):Co−Cuスピネル複合酸化物/CeO2−ZrO2の製造]
Co−Cuスピネル複合酸化物のみをCeO2−ZrO2に担持したこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Jの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物/CeO2−ZrO2)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
[例K(比較):Co−Laペロブスカイト複合酸化物/CeO2−ZrO2の製造]
Co−Laペロブスカイト複合酸化物のみをCeO2−ZrO2に担持したこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Jの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物/CeO2−ZrO2)を得た。なお、金属換算担持量はコバルトが5質量%であった。
<触媒の評価>
例D〜例Kの各排ガス浄化用触媒について熱耐久試験を行い、当該熱耐久試験後における各排ガス浄化用触媒の触媒活性を評価した。具体的には、熱耐久試験は、各排ガス浄化用触媒を700℃から950℃までの各温度で33時間保持することにより行った。
次に、上記の熱耐久試験を行った例D〜例Kの各排ガス浄化用触媒について、例A〜Cの場合と同じ評価条件において、評価ガス温度を600℃まで昇温し、COの浄化率が50%になる温度(CO50%浄化温度)を調べた。その結果を図3に示す。
図3は、例D〜例Kの各排ガス浄化用触媒におけるCO50%浄化温度(℃)を示すグラフである。なお、図3中の600℃における各点は、600℃で4時間焼成することにより触媒を調製した後、すなわち熱耐久試験を行っていない各排ガス浄化用触媒のCO50%浄化温度を示し、他の点は横軸に示す各温度で熱耐久試験を行った後のCO50%浄化温度を示している。
ここで、図3を参照すると、Co−Laペロブスカイト複合酸化物を含む本発明の例Dの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)では、Co−Laペロブスカイト複合酸化物を含まない例Jの排ガス浄化用触媒と比較して、Co−Cuスピネル複合酸化物にCo−Laペロブスカイト複合酸化物を混合することで熱耐久試験後においてもCOの酸化活性が大きく低下することなく、高いCO酸化活性を維持していることがわかる。また、本発明の例Eの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量50mol%)については、700℃及び800℃の熱耐久試験後には例Jの排ガス浄化用触媒と同程度のCO酸化活性であったが、900℃の高温下での熱耐久試験後には、例Jの排ガス浄化用触媒と比較してより高いCO酸化活性を達成することができた。一方で、Co−Laペロブスカイト複合酸化物のみを含む例Kの排ガス浄化用触媒は、試験した触媒の中で最も低いCO酸化活性を示した。
さらに、本発明の例Fの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量25mol%)については、700℃及び800℃の熱耐久試験後には例Jの排ガス浄化用触媒と比較して低いCO酸化活性であったが、900℃の高温下での熱耐久試験後には、それと比較してより高いCO酸化活性を達成することができた。この結果は、例Fの排ガス浄化用触媒では、主たる活性種であるCo−Cuスピネル複合酸化物の量が比較的少ないために、初期活性はCo−Cuスピネル複合酸化物のみを含む例Jの排ガス浄化用触媒に比べて劣るものの、900℃のような高温下では、比較的多い量で存在するCo−Laペロブスカイト複合酸化物が拡散障壁としてうまく機能することでCo−Cuスピネル複合酸化物のシンタリングが抑制されたことに起因するものと考えられる。
なお、特に図示していないが、HCの酸化活性についても同様に評価し、Co−Cuスピネル複合酸化物にCo−Laペロブスカイト複合酸化物を混合することで熱耐久試験後においてもより高いHC酸化活性が維持され、特に例Dの排ガス浄化用触媒(Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量33mol%)において最も高いHC酸化活性が達成されることを確認した。
また、原料の各金属塩を一緒に混合した金属塩溶液を用いてクエン酸合成法により製造した例Gの排ガス浄化用触媒、及び共沈合成法を利用して製造した例Hの排ガス浄化用触媒についても同様に、例Jの排ガス浄化用触媒と比較して熱耐久試験後により高いCO酸化活性を達成することができた。しかしながら、同じCo−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量を有する例Dと比較するとそれらのCO酸化活性は低いものであった。この結果は、例G及びHの排ガス浄化用触媒では、Co−Cuスピネル複合酸化物とCo−Laペロブスカイト複合酸化物との混合が例Dの排ガス浄化用触媒と比較して均一でないか及び/又はこれらの複合酸化物の一部が凝集していることなどに起因するものと考えられる。
一方で、含浸合成法を利用して製造した例Iの排ガス浄化用触媒では、例Jの排ガス浄化用触媒と比較して熱耐久試験後にCO酸化活性が大きく低下した。この結果は、含浸合成法ではCo−Cuスピネル複合酸化物とCo−Laペロブスカイト複合酸化物とがナノレベルで均一に混合されていないことや、これらの複合酸化物のそれぞれが凝集して粗大な二次粒子が形成されていること、あるいはコバルトと添加金属元素である銅との間で適切な複合酸化物が形成されていないこと等に起因するものであると考えられる。
図4は、図3中の900℃における各データに関するCO50%浄化温度(℃)を示すグラフである。図4を参照すると、含浸合成法を利用して製造した例I及びCo−Laペロブスカイト複合酸化物のみを含む例Kの排ガス浄化用触媒を除くすべての排ガス浄化用触媒において、Co−Laペロブスカイト複合酸化物を含まない例Jの排ガス浄化用触媒(図中の点線)と比較して、Co−Cuスピネル複合酸化物にCo−Laペロブスカイト複合酸化物を混合することで熱耐久試験後においてもより高いCO酸化活性を維持していることがわかる。
図5は、図3中の900℃における例D〜F、J及びKに関するCO50%浄化温度(℃)をCo−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量(mol%)の関数として示したグラフである。図5を参照すると、Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量が約10mol%よりも少なくなると、すなわちCo−Laペロブスカイト複合酸化物の平均含有量が約90mol%よりも多くなると、Co−Laペロブスカイト複合酸化物を含まない例Jの排ガス浄化用触媒(図中の点線)と比較してCO酸化活性が低下するものの、Co−Cuスピネル複合酸化物の平均含有量が約10mol%以上の範囲では、CO酸化活性がより高い状態で維持されていることがわかる。
1 スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物
2 スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物

Claims (13)

  1. 触媒成分であるスピネル型構造を有するコバルト含有酸化物を触媒担体に担持してなる排ガス浄化用触媒であって、前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物に該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物が混合されたことを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が四酸化三コバルトであることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物が、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含む複合酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記添加金属元素が、前記複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、前記添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を伸張させ、及び/又は前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を収縮させるようなものであることを特徴とする、請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記添加金属元素が、銅、銀、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記添加金属元素が銅であることを特徴とする、請求項5に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. 前記金属酸化物が、ペロブスカイト型構造、ホタル石型構造、コランダム型構造、逆ホタル石型構造、ルチル型構造、塩化ナトリウム型構造、ブラウンミラーライト型構造、アパタイト型構造、A−希土類型構造、B−希土類型構造、C−希土類型構造、アナターゼ型構造、ブルッカイト型構造、シーライト型構造、岩塩型構造、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される結晶構造を有する金属酸化物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  8. 前記金属酸化物が、ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物であることを特徴とする、請求項7に記載の排ガス浄化用触媒。
  9. 前記金属酸化物が、ペロブスカイト型構造を有するコバルト含有酸化物であることを特徴とする、請求項8に記載の排ガス浄化用触媒。
  10. 前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の一次粒子と前記金属酸化物の一次粒子が相互に混合していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  11. 前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が、前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物及び該スピネル型構造とは異なる結晶構造を有する金属酸化物の合計モル数に対して10mol%以上90mol%以下であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  12. 前記スピネル型構造を有するコバルト含有酸化物の平均含有量が20mol%以上50mol%以下であることを特徴とする、請求項11に記載の排ガス浄化用触媒。
  13. 前記触媒担体がセリア系酸化物であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
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