JP2014127903A - フィルタ装置および同フィルタ装置を備えた部品締結機 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサの検出値の波形処理およびノイズ対策に係るフィルタを検出過程での検出値の状態に応じて選択できるフィルタ装置および同フィルタ装置を備えた部品締結機を提供する。
【解決手段】モータの回転駆動力をセンサにより検出してその検出値の波形処理およびノイズ対策を行うフィルタ部9Lを備え、フィルタ部9Lは少なくとも遮断周波数または伝達関数のうちの何れかの種類に応じた異なる特性を持つ複数のフィルタ19a、19b、29a、29bを有し、検出過程での検出値の状態に応じてこれらフィルタが選択可能に構成されている。この構成により、検出値の処理目的が比較処理、解析処理等複数ある場合には、検出過程での検出値の状態に応じて最適な遮断周波数あるいは最適な特性を持つフィルタまたはこれらを同時に選択して、検出値を複数の処理目的に応じて選択的に波形処理およびノイズ対策して最適な検出値を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】モータの回転駆動力をセンサにより検出してその検出値の波形処理およびノイズ対策を行うフィルタ部9Lを備え、フィルタ部9Lは少なくとも遮断周波数または伝達関数のうちの何れかの種類に応じた異なる特性を持つ複数のフィルタ19a、19b、29a、29bを有し、検出過程での検出値の状態に応じてこれらフィルタが選択可能に構成されている。この構成により、検出値の処理目的が比較処理、解析処理等複数ある場合には、検出過程での検出値の状態に応じて最適な遮断周波数あるいは最適な特性を持つフィルタまたはこれらを同時に選択して、検出値を複数の処理目的に応じて選択的に波形処理およびノイズ対策して最適な検出値を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、モータの回転駆動力または昇降駆動源の押圧力をセンサにより検出してその検出値を比較処理、解析等の処理目的すなわち検出過程での検出値の状態に応じて波形処理およびノイズ対策をすることができるフィルタ装置およびこれを備えた部品締結機に関するものである。
従来、ワーク部材にねじ、ボルト、キャップ等の部品を所望の締付けトルクで正確に締付ける際、あるいはワーク部材に穿設された下穴に所望の押圧力で圧入ピン、Cピン等の部品を圧入する際には、締付けトルクまたは押圧力を検出するセンサ、例えば歪みゲージ、圧電センサが使用されている。これらセンサは、いずれも変位量が小さいことから、締付けトルクあるいは押圧力を各種の外乱を含んだ微小なアナログ信号として検出している。そのため、この検出値は処理目的の比較処理あるいは解析に最も支障となる外乱を除去して有益な周波数成分だけを取込むことができるように遮断周波数が選定されたフィルタおよび増幅部で波形処理およびノイズ対策が行われ、前述した処理目的を達成するに最適な検出値が得られている。
しかしながら、前記検出値の波形処理およびノイズ対策を行うフィルタは通常1個で、その遮断周波数も固定され、その上フィルタの特性も伝達関数の種類で分類されるバターワース特性、ベッセル特性、チェビシェフ特性等のうちの1種類で、その次数も1種類に限定される。そのため、いずれか一つの処理目的に対応できるに過ぎず、締付けトルクまたは押圧力の検出過程で比較処理、解析等複数の処理目的がある場合には、各処理目的に応じてフィルタの周波数、種類および次数を変更してセンサの検出値の波形処理およびノイズ対策を行うようなことができず、複数の処理目的に最適となる検出値を得ることができないという不具合が発生している。また、この不具合を補うために、異なる遮断周波数を持つ2種類のディジタルフィルタによりソフト的に構成したフィルタ装置(特許文献1参照)の利用も考えられる。しかしながら、このフィルタ装置によれば、センサの検出値はA−D変換後にフィルタリング処理されるので、検出値の比較処理、解析等の処理前に一部割愛されることとなって正確な比較処理、詳細な解析等の処理目的を達成できないばかりか、A−D変換後の検出値に対して2回フィルタリング処理を行うこととなり、その制御に時間を要することが懸念され、比較処理や解析を目的として前述のフィルタ装置の利用は進んでいないの現状である。
また、前述の不具合の具体例として、モータの回転駆動力をセンサにより検出する手段を備えた部品締結機について説明する。この種の部品締結機として、特許文献2に示す自動部品締結機がある。この自動部品締結機では、モータの回転駆動力を受けて回転する工具に加わる軸トルクがトルク検出部によりアナログ信号として検出され、この検出値がフィルタ、増幅部により波形処理およびノイズ対策されて締付けトルクとして制御部に出力される。前記フィルタは、トルク検出部の検出値から締付けトルク制御の目的に支障となる急激で短時間に変化する外乱を取除くことができる遮断周波数を持つように構成されている。前記制御部は検出値を所定サンプリング間隔でA−D変換して時間情報とともに取込むサンプリング処理を行うように構成されている。また、この制御部は前記検出値に基づくモータの駆動制御により二段締付け等所望の締付けトルク制御を行うとともに、トルク波形の表示制御を行っている。
前記部品締結機では、締付けトルクの制御を行う際に支障となる急峻な変化をする高周波成分が検出値からフィルタにより取除かれ、正確な締付けトルクの制御が可能となっている。しかしながら、この部品締結機では前述したフィルタが持つ不具合を招くばかりか、モータと工具との間のジョイントの有無、パッキンの有無等ワーク部材の違い、ねじ込み時の異物の噛込み検出といった目的、外乱の度合い、モータの回転速度および要求される精度に応じてフィルタの遮断周波数およびその特性を変更する必要があるが、この変更ができない。そのため、前述の条件に応じた最適な検出値が得られないという不具合が生じている。
また、前記部品締結機はその検出精度がよいことから、ねじ込み試験機として利用されるが、この場合にはワーク部材を変更して種々の条件下でねじ込み試験を行うことになるため、トルク検出部の検出値の解析目的が種々にわたり、これに対応できないという不具合の発生する恐れが生じている。
本発明の目的は、上記不具合を除去することであり、センサの検出値の波形処理およびノイズ対策に係るフィルタの遮断周波数、その特性を検出値の処理目的すなわち検出値の状態に応じて種々選択できるフィルタ装置およびこれを備えた部品締結機を提供することである。
本発明は、上記目的の一つをフィルタ装置として達成するために、モータの回転駆動力または昇降駆動源の押圧力をセンサにより検出してその検出値の波形処理およびノイズ対策を行うフィルタ部を備えたフィルタ装置であって、前記フィルタ部は少なくとも遮断周波数または伝達関数のうちのいずれかの種類に応じた異なる特性を持つ複数のフィルタを有し、検出過程での検出値の状態に応じてこれらフィルタが選択可能に構成されていることを特徴としている。この構成により、締付けトルクまたは押圧力の検出過程で処理目的が複数の比較処理であったり、複数の解析であったり、或いは比較処理と解析であったりする場合には、各処理目的に応じて、すなわち検出過程での検出値の状態に応じて最適な遮断周波数を持つフィルタあるいは最適な特性を持つフィルタまたはこれらの組合わせを選択でき、センサの検出値に対し適切なフィルタリングを通じて波形処理およびノイズ対策することができ、複数の処理目的に最適な検出値を得ることができる。
また、前記フィルタ部は有益な周波数成分のみを忠実に平坦にした検出値や、高速でしかも歪みも少なく波形処理およびノイズ対策が行われる検出値を得て、これら検出値を基に検出値の比較処理を効果的に行うため、バターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタ、及びベッセル特性を備えかつ前記遮断周波数よりも十分高い遮断周波数を持つローパスフィルタを含む構成とすることができる。
本発明は上記目的の一つを部品締結機として達成するために、前述したフィルタ装置に加え、検出過程での検出値の状態に応じてフィルタ選択信号をフィルタ装置に出力するとともに選択されたフィルタでフィルタリングされた後の検出値に基づき締付けトルク制御を行ってモータの回転駆動を制御する制御部を備えていることを特徴としている。この構成により、モータと工具との間のジョイントの有無、パッキンの有無等ワーク部材の違い、ねじ込み時の異物の噛込み検出といった目的、外乱の度合い、モータの回転速度および要求される精度、すなわち検出過程での検出値の状態に応じてフィルタの遮断周波数または伝達関数を変更することができ、前述の条件に応じた最適な検出値を基に締付けトルク制御を行うことができる。例えば、ねじ込み工程ではモータが高速で回転する際に異物の噛込みがあると、ほぼ零であった検出値に急峻に変化が生じるが、この急峻な変化を解析するのが検出値の検出目的である場合には、ねじ込み工程で遮断周波数の高いローパスフィルタを選択することができる。これにより、検出値は前述の異物の噛込みのような締付け過程での特異な状況により発生する高周波成分をそのまま残しながら、締付け過程に関係のない要因から発生する高周波成分の外乱を取除くように波形処理およびノイズ対策を行うことができる。そのため、締付け不良の発生時に行う検出値の解析の際に、この高周波成分により異物の噛込みがあったことを確認することができ、異物の噛込みを考慮した十分な解析結果を得ることができる。
また、締付けトルクを目標とする本締めトルクになるように制御する工程では遮断周波数が低いローパスフィルタを選択することができ、この場合には有益な周波数成分以外が外乱として取除かれ、有益な周波数成分のみが平坦に波形処理されるので、検出値の比較処理を外乱の影響なく正確に行うことができるばかりか、締付け過程の工程毎に比較処理あるいは解析に適したフィルタを選択することができ、検出値に対して1回のフィルタリング処理で、比較処理、解析等複数の処理目的にも最適な検出値を得ることができる。
さらに、急峻な衝撃トルクに対応した急峻な立ち上がり成分とモータの中速駆動による高周波成分とを含んだ検出値が得られる仮締め工程では、感度の良さと歪みの少なさとを備えた特性を持つフィルタにより高速でしかも歪みも少なく波形処理およびノイズ対策が行われる検出値を、また本締め工程では急峻な減衰特性を持つフィルタにより有益な周波数成分のみを忠実に平坦にして得られる検出値を得て、これら検出値を基に検出値の比較処理を行うためには、前記フィルタ部にバターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタ、及びベッセル特性を備えかつ前記遮断周波数よりも十分高い遮断周波数を持つローパスフィルタを含み、前記検出過程での検出値の状態に応じたフィルタ選択信号に、締付け過程中の仮締め工程で出力されるベッセル特性を備えた高い遮断周波数を持つローパスフィルタのフィルタ選択信号と、締付け過程中の本締め工程で出力されるバターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタのフィルタ選択信号を含む構成にすることが効果的である。
しかも、ワーク部材を変更して種々の条件下でねじ込み試験を行う時に前記部品締結機を利用することもでき、この場合検出値の解析目的が種々にわたることがあっても、フィルタの種類を多数配置しておき、これらフィルタをその解析目的、すなわち検出過程での検出値の状態に応じて順次選択してねじ込み試験を行い、その時の検出値を記憶して表示することができ、検出値の記録と画面上の表示とにより多面的に解析を行うことができる。
以上説明した本発明によれば、モータの回転駆動力または昇降駆動源の押圧力をセンサにより検出する場合等に、その検出値の波形処理およびノイズ対策用フィルタを検出値の処理目的、すなわち検出過程での検出値の状態に応じて選択できるように構成することで、制御の精度向上或いは解析の精度向上に資するフィルタ装置およびこれを備えた部品締結機を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るフィルタ装置を説明する。図1および図2において、9はフィルタ装置であり、モータ(図示せず)の回転駆動力または昇降駆動源(図示せず)の押圧力を検出するセンサ(図示せず)の検出値の波形処理(波形整形)およびノイズ対策(ノイズ除去)を行うように構成されている。このフィルタ装置9は、ローパスフィルタ部9Lおよびハイパスフィルタ部9Hと、これらのフィルタ部9L、9Hの構成要素であって後記するフィルタ19a〜19d(B,V,C)、29a〜29d(B,V,C)および後記する信号通過部19a〜19d(N)、29a〜29d(N)にそれぞれ接続されるアナログスイッチ(図示せず)を備えたアナログスイッチ部9Sとからなっている。
以下、本発明の第1の実施形態に係るフィルタ装置を説明する。図1および図2において、9はフィルタ装置であり、モータ(図示せず)の回転駆動力または昇降駆動源(図示せず)の押圧力を検出するセンサ(図示せず)の検出値の波形処理(波形整形)およびノイズ対策(ノイズ除去)を行うように構成されている。このフィルタ装置9は、ローパスフィルタ部9Lおよびハイパスフィルタ部9Hと、これらのフィルタ部9L、9Hの構成要素であって後記するフィルタ19a〜19d(B,V,C)、29a〜29d(B,V,C)および後記する信号通過部19a〜19d(N)、29a〜29d(N)にそれぞれ接続されるアナログスイッチ(図示せず)を備えたアナログスイッチ部9Sとからなっている。
前記ローパスフィルタ部9Lは、数十〜数百Hzレベルの周波数fa以上を減衰する遮断周波数faを持つ1次ローパスフィルタ19aおよび2次ローパスフィルタ29a並びに前記周波数faよりも十分に高い数KHzレベルの周波数fb以上を減衰する遮断周波数fbを持つ1次ローパスフィルタ19bおよび2次ローパスフィルタ29bからなっている。前記1次ローパスフィルタ19a,19b、2次ローパスフィルタ29a,29bはそれぞれ伝達関数から分類されるバターワース特性B、ベッセル特性Vおよびチェビシェフ特性Cを備えたフィルタ並びに波形処理およびノイズ対策なしで入力信号を通過させる信号通過部Nを有している(以下、各ローパスフィルタの符号の末尾にかっこ書きで特性を添付して識別する。記載例:遮断周波数faおよびバターワース特性Bを持つ1次ローパスフィルタの場合、「1次ローパスフィルタ19a(B)」)。これらフィルタ19a〜19b(B,V,C),29a〜29b(B,V,C)および信号通過部19a〜19b(N),29a〜29b(N)は、外部から出力されるローパスフィルタ選択信号(以下、LPF選択信号という。LPF選択信号は、「LPF」の後に遮断周波数とフィルタの特性とをかっこ書きで添付して識別する。記載例:遮断周波数faおよびバターワース特性Bを持つ1次ローパスフィルタのフィルタ選択信号の場合、「1次LPF(fa,B)選択信号」))により選択される。すなわち、このフィルタ選択信号により、いずれかの遮断周波数fa,fbと、いずれかの特性B、V、CまたはNとを持つ1次ローパスフィルタ19a(B,V,CまたはN),19b(B,V,CまたはN)および2次ローパスフィルタ29a(B,V,CまたはN),29b(B,V,CまたはN)もしくは1次ローパスフィルタ19a(B,V,CまたはN),19b(B,V,CまたはN)のいずれか一つが選択されて、これがハイパスフィルタ部9Hに端子Zを介して接続されるように構成されている。なお、バターワース特性Bは、遮断周波数以下の周波数成分を忠実にしかも平坦となるように急峻な減衰特性を備え、ベッセル特性Vは高周波成分を取除く効果は低いが、遮断周波数以下の周波数成分において歪みが少ない特性を有している。また、チェビシェフ特性Cはバターワースに比べてロールオフが急峻な減衰傾斜を持つ特性を備えている。さらに、2次ローパスフィルタ29a,29bまたは後記する2次ハイパスフィルタ29c,29dは、急峻な変化をさらに鋭くする波形処理およびノイズ対策の際に使用される。前記特性と組合わされる遮断周波数fa,fb、fc、fdは、大きいほど時間遅れが小さくなるものである。
前記ハイパスフィルタ部9Hは、所定周波数fc以上を通過させる遮断周波数fcを持つ1次ハイパスフィルタ19cおよび2次ハイパスフィルタ29c並びに前記遮断周波数fcより十分に高い周波数fd以上を通過させる遮断周波数fdを持つ1次ハイパスフィルタ19dおよび2次ハイパスフィルタ29dからなっている。前記1次ハイパスフィルタ19c,19dおよび2次ハイパスフィルタ29c,29dはそれぞれ1次ローパスフィルタ19a,19b、2次ローパスフィルタ29a,29bと同様に構成されている。そのため、ハイパスフィルタ選択信号(以下、HPF選択信号という)により、いずれかの遮断周波数fc,fdと、いずれかの特性B,V,C,Dとを持つ1次ハイパスフィルタ19c(B,V,C,N)、19dおよび2次ハイパスフィルタ29c,29dまたは1次ハイパスフィルタ19c,19dのいずれか一つが選択されて、各種装置(図示せず)の制御部に接続される。なお、1次・2次ハイパスフィルタの識別およびHPF選択信号の表示方法は、ローパスフィルタと同様に行われる(表示例:フィルタ19c〜19d(B,V,C),29c〜29d(B,V,C)、信号通過部19c〜19d(N),29c〜29d(N)。HPF選択信号の記載例:遮断周波数fcおよびバターワース特性Bを持つ1次ハイパスフィルタのフィルタ選択信号の場合、「1次HPF(fc,B)選択信号」)。
前記アナログスイッチ部9Sは、前記検出値の比較処理、解析等の処理目的に応じて、すなわち検出過程での検出値の状態、例えば検出値に特異な高周波成分が含まれる、あるいは外乱の影響を受けている、または比較処理する検出値が急峻な変化をするような各種の状態に応じて出力されるフィルタ選択信号により作動するように構成されている。すなわち、このアナログスイッチ部9Sはフィルタ選択信号を受けると、このフィルタ選択信号に対応するフィルタ19a〜19d(B,V,C),29a〜29d(B,V,C)または信号通過部19a〜19d(N),29a〜29d(N)に接続されるアナログスイッチがオンとなって、選択されたフィルタ19a〜19d(B,V,C),29a〜29d(B,V,C)または信号通過部19a〜19d(N),29a〜29d(N)により検出値の波形処理およびノイズ対策を行ったり、波形処理およびノイズ対策を行わずに出力したりする。例えば、フィルタ選択信号が1次LPF(fa,B)選択信号である時は、遮断周波数faとバターワース特性Bを持つ1次ローパスフィルタ19a(B)が選択される。また、フィルタ選択信号が2次LPF(fa,B)選択信号である時は、前述の1次ローパスフィルタ19a(B)とともに、これと同周波数同特性の2次ローパスフィルタ29a(B)が選択される。また、1次HPF19c(B)・2次HPF29c(B)選択信号の場合も、同様に1次ハイパスフィルタ19c(B)、2次ハイパスフィルタ29c(B)が選択される。さらに、フィルタ選択信号が1次・2次信号通過部(fa〜d,N)選択信号の場合は、検出値を波形処理およびノイズ対策せずに通過させる信号通過部19a〜19d(N),29a〜29d(N)が選択される。さらに、上記においてローパスフィルタ19a,19b,29a,29bまたはハイパスフィルタ19c,19d,29c,29dのうち選択されないフィルタに対しては信号通過部が選択される。
上記フィルタ装置において、モータの回転駆動力、または昇降駆動源の押圧力を検出するセンサの検出値の処理目的が比較処理、解析等複数ある場合には、その処理目的に応じて、すなわち検出過程での検出値の状態に応じて、各種装置(図示せず)の制御部から出力されるフィルタ選択信号をアナログスイッチ部9Sが受ける。例えば、1次LPF(fa,B)選択信号の場合、1次ローパスフィルタ19a(B)に接続されたアナログスイッチがオンとなって、数十〜数百Hzレベルの遮断周波数faおよびバターワース特性Bを持つ1次ローパスフィルタ19a(B)が選択される。そのため、図3に示すようにセンサの検出値(締付け過程で発生する締付けトルクの例)は、特異な状況や外乱により発生する高周波数分の信号を含んでいるが、前述の1次ローパスフィルタ19a(B)を通過することにより低い周波数レベルの遮断周波数fa以上の周波数成分が取除かれる。これにより極力外乱が排除され、有益な周波数成分のみが平坦に波形処理されるので、比較処理のような処理目的に最適な検出値を得ることができる。また、1次LPF(fb,B)選択信号の場合には、数KHzレベルの遮断周波数fbおよびバターワース特性を持つ1次ローパスフィルタ19b(B)が選択されるので、図4に示すようにセンサの検出値(図3と同一)中、数KHzレベルの遮断周波数fb以下の高周波成分は有益な周波数成分とともに減衰されることなくそのまま残り、遮断周波数fb以上の高周波成分の外乱は取除かれる。これにより、遮断周波数fbに達しない高周波成分を特異な状況により発生した高周波成分として持つように検出値が波形処理およびノイズ対策される。前記バターワース特性Bに代え、ベッセル特性V、チェビシェフ特性Cを持つフィルタのフィルタ選択信号の場合も、同様に1次ローパスフィルタ19a(VまたはC),19b(VまたはC)が選択され、各特性に応じて検出値の波形処理およびノイズ対策を行うことができる。
さらに、1次HPF(fc,B)選択信号の場合には、遮断周波数fcとバターワース特性Bとを持つ1次ハイパスフィルタ19c(B)に接続されたアナログスイッチがオンとなって、この1次ハイパスフィルタ19c(B)が選択される。そのため、前述の高周波成分を含んだセンサの検出値は、この1次ハイパスフィルタ19c(B)を通過することにより遮断周波数fc以上の高周波成分を通過させ、遮断周波数fcに達しない信号を減衰させる。これにより、外乱を含む特異な状況により発生する高周波成分のみを持つ検出値が得られるので、検出値の処理目的が解析のときには、高周波数成分を詳細に分析することができる。前記1次・2次ローパスフィルタ19a,29aの場合と同様に1次・2次ハイパスフィルタ19c、19d,29c,29dについても、ベッセル特性V、チェビシェフ特性Cを持つフィルタを選択して、各特性に応じて、すなわち検出値に対する適切なフィルタリングを通じて検出値の波形処理およびノイズ対策を行うことができる。
さらに、1次・2次信号通過部(fa〜d,N)選択信号の場合には、同様に各信号通過部Nが選択され、その入力信号を波形処理およびノイズ対策せずに通過させることができる。これにより、前述した1次ローパスフィルタ19a(B)または19b(B)のみの選択、これらそれぞれに2次ローパスフィルタ29a(B)または29b(B)を加えた選択ができる。同様に、前述した1次ハイパスフィルタ19c(B)または19d(B)のみの選択、これらそれぞれに2次ハイパスフィルタ29c(B)または29d(B)を加えた選択ができる。
しかも、センサの検出過程が複数の工程に分かれているような場合には、その工程毎に検出値の処理目的すなわち検出値の状態に応じて、最適な遮断周波数fa,fbを持つフィルタあるいは最適な特性B,V,Cを持つフィルタまたはこれらを同時に選択でき、センサの検出値を複数の処理目的に応じて選択的に波形処理およびノイズ対策することができ、最適な検出値を得ることができる。この一例として、前記フィルタ部がバターワース特性Bを備えた低い遮断周波数faを持つローパスフィルタ、及びベッセル特性Vを備えかつ前記遮断周波数faよりも十分高い遮断周波数fbを持つローパスフィルタを含む構成とすることができる。この場合、ある工程では有益な周波数成分のみを忠実に平坦にした検出値を、別の工程では高速でしかも歪みも少なく波形処理およびノイズ対策が行われる検出値を得ることができ、これら検出値を基にした検出値の比較処理を効果的に行うことができる。
なお、前記ローパスフィルタ部9Lおよびハイパスフィルタ部9Hは、少なくとも遮断周波数または伝達関数のうちのいずれかの種類に応じた異なる特性を持つ複数のフィルタを有しておればよく、ローパスフィルタ部9L、ハイパスフィルタ部9Hのいずれか一方で構成されてもよい。また、前記アナログスイッチ部9Sを構成するアナログスイッチは制御部から出力されるフィルタ選択信号により選択される構成となっているが、あらかじめ手動により選択される構成であってもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る部品締結機を、図1〜図4を援用しつつ図5を参照して説明する。図5に示すように、本発明に係る部品締結機1は回転駆動するモータの一例であるACサーボモータ(以下、モータという)2およびモータ2の回転駆動力を部品(図示せず)に伝達する工具の一例であるドライバビット3を有するツールユニット4と、ツールユニット4を昇降させる昇降駆動源4aと、前記モータ2を制御する制御ユニット5とを備えている。前記ツールユニット4は、モータ2およびドライバビット3間に配置されたトルク検出部6および差動遊星ギア機構7並びに前記モータ2の回転を検出する回転検出手段8を有し、その回転検出手段8からエンコーダパルスを後記モータ駆動部14に出力するように構成している。前記トルク検出部6は、一端がモータ2側に固定されて他端が差動遊星機構7のアウタリング7aに接続された起歪管6aと、起歪管6aに貼付された歪みゲージ6bと、この歪みゲージ6bの歪み量を検出する一般的なブリッジ回路6cに高精密な電圧を供給する電圧供給部6dとから構成されている。前記起歪管6aはドライバビット3に加わる軸トルクに応じた反力トルクで差動遊星機構7のアウタリング7aが回動することにより歪み、この歪み量が歪みゲージ6bにより検出されるように構成されている。この歪みゲージ6bの検出値はツールユニット4に内蔵された増幅部6eを経由して後記するフィルタ装置9に出力されるように構成されている。前記増幅部6eは校正部6fを備えており、検出値をその処理目的に応じた単位・零点およびゲイン校正を行うように構成されている。
次に、本発明の第2の実施形態に係る部品締結機を、図1〜図4を援用しつつ図5を参照して説明する。図5に示すように、本発明に係る部品締結機1は回転駆動するモータの一例であるACサーボモータ(以下、モータという)2およびモータ2の回転駆動力を部品(図示せず)に伝達する工具の一例であるドライバビット3を有するツールユニット4と、ツールユニット4を昇降させる昇降駆動源4aと、前記モータ2を制御する制御ユニット5とを備えている。前記ツールユニット4は、モータ2およびドライバビット3間に配置されたトルク検出部6および差動遊星ギア機構7並びに前記モータ2の回転を検出する回転検出手段8を有し、その回転検出手段8からエンコーダパルスを後記モータ駆動部14に出力するように構成している。前記トルク検出部6は、一端がモータ2側に固定されて他端が差動遊星機構7のアウタリング7aに接続された起歪管6aと、起歪管6aに貼付された歪みゲージ6bと、この歪みゲージ6bの歪み量を検出する一般的なブリッジ回路6cに高精密な電圧を供給する電圧供給部6dとから構成されている。前記起歪管6aはドライバビット3に加わる軸トルクに応じた反力トルクで差動遊星機構7のアウタリング7aが回動することにより歪み、この歪み量が歪みゲージ6bにより検出されるように構成されている。この歪みゲージ6bの検出値はツールユニット4に内蔵された増幅部6eを経由して後記するフィルタ装置9に出力されるように構成されている。前記増幅部6eは校正部6fを備えており、検出値をその処理目的に応じた単位・零点およびゲイン校正を行うように構成されている。
前記制御ユニット5は、トルク検出部6の検出値の波形処理およびノイズ対策をするフィルタ装置9、このフィルタ装置9を通過した検出値をA−D変換するA−D変換部10およびこのA−D変換部10に所定サンプリング間隔で変換指令信号を出力してA−D変換された検出値を取込む制御部11並びにこの制御部11に接続された作業スタート部12、昇降駆動源駆動部13、モータ駆動部14、表示部15および原位置検出部17並びに設定部18を有している。前記フィルタ装置9は第1の実施形態で説明したものと同一構造であり、その説明を省略する。前記作業スタート部12は、作業開始スイッチを含む各種のスイッチ(図示せず)を有しており、各スイッチが押されるとスタート信号等の各種指令信号が制御部11に出力されるように構成されている。また、前記表示部15は所定サンプリング間隔でA−D変換された検出値の波形表示、ピーク値の表示等各種の表示を行うように構成されている。さらに、前記昇降駆動源駆動部13は前記ツールユニット4の昇降駆動源4aを作動させてドライバビット3を昇降させ、原位置検出部17はツールユニット4の原位置復帰を確認するように構成されている。
前記モータ駆動部14は、速度信号をアナログ信号で受付ける速度制御方式を採用しており、後記する速度指令部11aからの所定の加減速曲線に沿って算出された速度指令値を受けると、その速度指令値に基づいた駆動パルス列をモータ2に出力するように構成されている。また、前記モータ駆動部14にはパルス処理部16が接続されており、前記モータ駆動部14で回転検出手段8から出力されるエンコーダパルスを分周してパルス処理部16に出力し、前記パルス処理部16は前記モータ駆動部14から出力される分周パルスを読取り可能なレベルに変換してこれを制御部11に出力するように構成されている。
前記設定部18は、データ入力部(図示せず)を有し、締付け過程を構成するねじ込み工程、仮締め工程、本締め工程、締付け判定工程および喰付き解除工程から必要な工程を選択しながらその工程に応じた各種情報(仮締めトルク、本締めトルク、速度指令値、正転時・逆転時回転角度、タイマ時間Ta)並びに締付け判定条件等締付け制御に必要な情報を設定できるように構成されている。また、この設定部18は前記検出値を波形処理およびノイズ対策するフィルタに係る特性(例えば、遮断周波数fa〜d,フィルタの種類B,V,C,N、フィルタの次数)等のフィルタ情報をフィルタ選択信号として締付け過程の工程毎に設定できるように構成されている。
前記制御部11は、速度指令部11a、ROM11bおよびRAM11cを内蔵しており、速度指令部11aは速度指令値をモータ駆動部14に出力するように構成されている。前記RAM11cは前記設定部18で設定される締付け過程の各工程の設定情報等締付け制御に必要な情報および締付けトルク制御中に発生した各種情報を記憶するように構成されている。前記ROM11bはモータ2の回転駆動を制御する制御部11を動作させる制御プログラムを記憶している。この制御プログラムは作業スタート部12の作業開始スイッチからスタート信号が出力されると、検出値の比較処理または解析等の処理目的、すなわち検出過程での検出値の状態に応じてフィルタ選択信号を前記フィルタ装置9内のアナログスイッチ部9S(図2参照)に出力するとともに前記検出値に基づいて締付けトルク制御を行って、一連の締付け作業を行うように構成されている。すなわち、この制御プログラムは、図6および図7に示すフローチャートに沿って以下の処理を実行するように構成されている。
S1)各工程の設定情報(速度指令値、回転角度、仮締め・本締めトルク、タイマ時間Ta、締付け判定条件)を読込む。1次LPF(fb,V)選択指令信号をアナログスイッチ部9Sに出力する。
S2)ねじ込み工程の回転情報(高速低トルクに対応した正の速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(高速駆動開始)。
S3)昇降駆動源駆動部13に下降指令信号を出力する。
S4)回転検出手段8からのエンコーダパルスに基づく分周パルスをカウンタでカウント開始する。
S5)分周パルス数を角度に換算し、その角度が予め設定した回転角度に達したかを判断し、これが未達である時、S4)に戻る。
S6)所定の設定回転角度に達すると、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S7)仮締め工程の回転情報(中速中トルクに応じた速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(中速駆動開始)。
S8)A−D変換された検出値を読込む。
S9)検出値が仮締めトルクに達したかを判断し、これが未達である時、S8)に戻る。
S10)検出値が仮締めトルクに達すると、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S11a)タイマの時間計上を開始する。
S11b)タイマ時間Taが経過するのを待つ。
S12)タイマ時間が経過すると、A−D変換された検出値を読込む。
S13)検出値が仮締めトルク未満になったかを判断し、これが未達である時、S12)に戻る。
S14)検出値が仮締めトルク未満になると、1次LPF(fa、B)選択指令信号をアナログスイッチ部9Sに出力する。
S15)本締め工程の回転情報(低速高トルクに応じた速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(低速駆動開始)。
S16)A−D変換された検出値を読込む。
S17)検出値が本締めトルクに達したかを判断し、これが未達である時、S16)に戻る。
S18)検出値が本締めトルクに達すると、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S19)A−D変換された検出値を読込む。
S20)モータが停止したかを判断し(分周パルスの発信間隔に基づき)、これが停止してない時、S19)に戻る。
S21)モータの停止により、検出値のピーク値を検出する。
S22)喰付き解除工程の回転情報(中速以上の速度に対応する負の速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(逆転開始)。
S23)パルス処理部16からの分周パルスをカウントする。
S24)分周パルス数を角度に換算し、その角度が予め設定した回転角度に達したかを判断し、これが未達である時、S23)に戻る。
S25)所定回転角度に達したら、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S26)昇降駆動源駆動部13に上昇指令信号を出力する。
S27)原位置復帰を待つ。
S28)昇降駆動源駆動部13に停止指令信号を出力する。
S29)検出値のピーク値を表示する。
S30)エンド。
S1)各工程の設定情報(速度指令値、回転角度、仮締め・本締めトルク、タイマ時間Ta、締付け判定条件)を読込む。1次LPF(fb,V)選択指令信号をアナログスイッチ部9Sに出力する。
S2)ねじ込み工程の回転情報(高速低トルクに対応した正の速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(高速駆動開始)。
S3)昇降駆動源駆動部13に下降指令信号を出力する。
S4)回転検出手段8からのエンコーダパルスに基づく分周パルスをカウンタでカウント開始する。
S5)分周パルス数を角度に換算し、その角度が予め設定した回転角度に達したかを判断し、これが未達である時、S4)に戻る。
S6)所定の設定回転角度に達すると、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S7)仮締め工程の回転情報(中速中トルクに応じた速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(中速駆動開始)。
S8)A−D変換された検出値を読込む。
S9)検出値が仮締めトルクに達したかを判断し、これが未達である時、S8)に戻る。
S10)検出値が仮締めトルクに達すると、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S11a)タイマの時間計上を開始する。
S11b)タイマ時間Taが経過するのを待つ。
S12)タイマ時間が経過すると、A−D変換された検出値を読込む。
S13)検出値が仮締めトルク未満になったかを判断し、これが未達である時、S12)に戻る。
S14)検出値が仮締めトルク未満になると、1次LPF(fa、B)選択指令信号をアナログスイッチ部9Sに出力する。
S15)本締め工程の回転情報(低速高トルクに応じた速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(低速駆動開始)。
S16)A−D変換された検出値を読込む。
S17)検出値が本締めトルクに達したかを判断し、これが未達である時、S16)に戻る。
S18)検出値が本締めトルクに達すると、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S19)A−D変換された検出値を読込む。
S20)モータが停止したかを判断し(分周パルスの発信間隔に基づき)、これが停止してない時、S19)に戻る。
S21)モータの停止により、検出値のピーク値を検出する。
S22)喰付き解除工程の回転情報(中速以上の速度に対応する負の速度指令値)を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する(逆転開始)。
S23)パルス処理部16からの分周パルスをカウントする。
S24)分周パルス数を角度に換算し、その角度が予め設定した回転角度に達したかを判断し、これが未達である時、S23)に戻る。
S25)所定回転角度に達したら、0Vの速度指令値を速度指令部11aからモータ駆動部14に出力する。
S26)昇降駆動源駆動部13に上昇指令信号を出力する。
S27)原位置復帰を待つ。
S28)昇降駆動源駆動部13に停止指令信号を出力する。
S29)検出値のピーク値を表示する。
S30)エンド。
また、前記制御部11は、前記設定部18で設定されている締付けに必要な各種情報およびフィルタ情報を前述の工程毎にRAM11cに記憶するとともに、これらをRAM11cから取出して設定部18で表示することができるように構成されている
上記部品締結機によれば、作業スタート部12の作業開始スイッチが押されてスタート信号が制御部11に出力されると、各工程の設定情報が読込まれる(S1)。続いて、ねじ込み工程の正の速度指令値(高速低トルク)が速度指令部11aからモータ駆動部14に出力される。これにより、モータ駆動部14からモータ2に駆動パルス列が出力され、モータ2が高速低トルクで回転駆動する(S2)。同時に、昇降駆動源駆動部13に下降指令信号が出力され、昇降駆動源4aが作動してツールユニット4が下降し、ドライバビット3が部品の駆動穴に嵌合して、締付けが開始される(S3)。その後、回転検出手段8からのエンコーダパルスをモータ駆動部14およびパルス処理部16で分周・変換して得られた分周パルスがカウントされてこれが角度情報として記憶される(S4)。このカウント数が予め設定された所定の回転角度になると、0Vの速度指令値がモータ駆動部14に出力され、ねじ込み工程が完了する(S5およびS6)。
この間、前記スタート信号により1次LPF(fb、V)選択信号がアナログスイッチ部9Sに出力されているため、1次ローパスフィルタ19b(V)に接続されたアナログスイッチがオンとなって遮断周波数fbおよびベッセル特性Vを持つ1次ローパスフィルタ19b(V)が選択される。また、2次ローパスフィルタ29bおよびハイパスフィルタ部には2次LPF(fb、N)選択信号および1次・2次HPF(fc、N),(fd、N)選択信号が出力されてこれらに対応する信号通過部Nが選択されており、これらの入力信号には波形処理およびノイズ対策が行われない。そのため、ねじ込み工程ではトルク検出部6で検出される検出値に対しては遮断周波数fbおよびベッセル特性Vを持つ1次ローパスフィルタ19b(V)のみで波形処理およびノイズ対策が行われる。これにより、数KHzレベルの遮断周波数fb以下の高周波成分が締付け過程の特異な状況で発生する高周波数成分として有益な周波数成分とともに減衰されることなくそのまま残る。また、締付け過程に関係のない遮断周波数fb以上の高周波成分の外乱が取除かれ、高速でしかも歪みも少なく波形処理およびノイズ対策が行われた検出値を得ることができる。これにより、この検出値により遮断周波数fb以下の高周波成分としてねじ込み工程で発生する外乱を異物の噛込みのような特異な状況として把握することが可能となる。
ねじ込み工程が完了すると、仮締め工程の速度指令値(中速駆動)が速度指令部11aからモータ駆動部14に出力され、モータ2が中速中トルクで回転駆動し、仮締め工程が開始される(S7)。これにともなって、前記部品がワーク部材(図示せず)側に前進し、その座面がワーク部材に当接する。そのため、ドライバビット3にトルクが加わり、ドライバビット3に生じる軸トルクが反力トルクとしてトルク検出部6で検出される。この時、仮締め工程においても、トルク検出部6で検出される検出値に対して1次ローパスフィルタ19b(V)で波形処理およびノイズ対策が行われるため、ねじ込み工程と同様に高速でしかも歪みも少なく波形処理およびノイズ対策を行った検出値が得られる。これにより、検出値と仮締めトルクとの比較処理を行うに際して最適な検出値を得ることができる(図4参照)。
前記ねじ込み工程および仮締め工程で波形処理およびノイズ対策が行われた検出値はA−D変換部10に出力され、所定サンプリング間隔でA−D変換され、これがRAM11cに記憶される。同時に、このA−D変換後の検出値と仮締めトルクとが比較され、これらが一致するのを待つ(S8およびS9)。これらが一致すると、速度指令部11aからモータ駆動部14に0Vの速度指令値が出力される。その後、タイマの時間計上を開始し所定タイマ時間Taが経過すると、A−D変換された検出値が読込まれ、これが仮締めトルク未満に降下するのを待つ(S10〜S13)。A−D変換された検出値が仮締めトルク未満に降下すると、本締め工程が開始され、1次LPF(fa,B)選択信号がアナログスイッチ部9Sに出力され、1次ローパスフィルタ19a(B)が選択される(S14)。この時、2次ローパスフィルタ29a(B)およびハイパスフィルタ部9Hでは前述した1次ローパスフィルタ19b(V)の場合と同様に、信号通過部Nが選択され、これらの各入力信号は波形処理およびノイズ対策されずにA−D変換部10に達する。そのため、本締め工程では、トルク検出部6で検出される検出値は低い遮断周波数faとバターワース特性とを持つ1次ローパスフィルタ19a(B)のみで波形処理およびノイズ対策が行われることとなる。
続いて、速度指令部11aからモータ駆動部14に本締め工程の速度指令値(低速駆動)が出力され、モータ2が低速高トルクで回転駆動する(S15)。その後、前記A−D変換部10でA−D変換された検出値が読込まれ、これが本締めトルクに達すると速度指令部11aからモータ駆動部14に0Vの速度指令値が出力される(S16〜S18)。この時、検出値は仮締め工程の時の遮断周波数fbよりも十分に低い数百Hzレベルの遮断周波数faを持つフィルタにより波形処理およびノイズ対策されるので、有益な周波数成分を残しながらそれ以外の周波数成分を外乱として極力取除いて有益な周波数成分のみがバターワース特性の持つ急峻な減衰特性により平坦かつ忠実に波形処理される。そのため、検出値の比較処理を行う際に最適な検出値が得られ(図8参照)、この検出値と本締めトルクとの比較処理を正確に行うことができる。
その後、前記A−D変換部10でA−D変換された検出値が読込まれるとともに、分周パルスの発信間隔からモータ2の停止が検出されると、モータが停止するまでの検出値のピーク値が検出される(S19〜S21)。続いて、喰付き解除工程の負の速度指令値(逆転開始)が出力される(S22)。これにより、モータ2が中速中トルクで逆転し、喰付き解除工程が開始される。同時に、パルス処理部16からの分周パルスがカウントされ、これが回転角度に換算されて所定の回転角度に達すると、速度指令部11aからモータ駆動部14に0Vの速度指令値が出力される。これにより、ドライバビット3のねじ頭部の駆動穴への喰付きが解除された後、モータ2が停止する(S23〜S25)。同時に昇降駆動源駆動部13に上昇指令信号が出力され、ツールユニット4の原位置復帰が原位置検出部17により確認されるのを待って、前記ピーク値を表示部15の表示画面上に表示し、一連の締付け作業が終了する(S26〜S29)。
この一連の締付け作業により、モータ2とドライバビット3との間のジョイントの有無、パッキンの有無等ワーク部材の違い、ねじ込み時の異物の噛込み検出といった目的、外乱の度合い、モータ2の回転速度および要求される精度、すなわち締付け過程中の各工程での検出値の状態に応じてフィルタ部9L,9H内のフィルタを選択して、フィルタの遮断周波数fa〜fdまたは伝達関数、すなわち特性B,V,Cを変更することができ、前述の条件に対して選択されたフィルタでフィルタリングした後の最適な検出値を基に締付けトルク制御を行うことができる。例えば、ねじ込み工程でモータ2が高速で回転する際に異物の噛込みがあると、ほぼ零であった検出値に急峻に変化が生じる。この急峻な変化を解析するのが検出値の検出目的である場合には、ねじ込み工程で締付け過程での特異な状況により発生する高周波成分と判断できる数KHzレベルの遮断周波数fbを持つ1次ローパスフィルタ19b(V)を選択することができる。これにより、検出値は前述の急峻な変化を含んだ高周波成分として検出され、締付け不良の発生時に行う検出値の解析の際に、この異物の噛込みがあったことを確認することができ、異物の噛込みを考慮した詳細な解析結果を得ることができる。また、締付けトルクの制御工程では検出値の比較処理を検出目的としていることから、低い遮断周波数faおよびバターワース特性を持つ1次ローパスフィルタ19a(B)を選択することができる。この場合、遮断周波数faが十分低く、有効な周波数成分以外を外乱として極力取除き、しかも有益な周波数成分のみをバターワース特性が持つ急峻な減衰特性により平坦かつ忠実に波形処理した検出値が得られるので、検出値の比較処理を外乱の影響なく正確に行うことができ、高い精度の締付けができる。さらに、締付け過程のねじ込み工程および仮締め工程での検出値の状態に応じて、比較処理および解析に最適な1次ローパスフィルタfb(V)を選択し、本締め工程では正確な比較処理に最適な1次ローパスフィルタfa(B)を選択でき、図8に示すように検出値に対して1回のフィルタリング処理で、比較処理、解析等複数の処理目的に最適な検出値を得ることができる。
また、前記フィルタ部9Lはバターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタ、及びベッセル特性を備えかつ前記遮断周波数よりも十分高い遮断周波数を持つローパスフィルタを少なくとも有し、前記検出過程での検出値の状態に応じたフィルタ選択信号は締付け過程中の仮締め工程で出力されるベッセル特性を備えた高い遮断周波数を持つローパスフィルタのフィルタ選択信号と、締付け過程中の本締め工程で出力されるバターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタのフィルタ選択信号を少なくとも有する構成とすることもできる。この場合、急峻な衝撃トルクに対応した急峻な立ち上がり成分とモータ2の中速駆動による高周波成分とを含んだ検出値が得られる仮締め工程ではベッセル特性が持つ感度の良さと歪みの少なさとを備えたフィルタにより高速でしかも歪みも少なく波形処理およびノイズ対策が行われた検出値を得ることができる。また、本締め工程では、バタワース特性が持つ急峻な減衰特性を備えたフィルタにより有益な周波数成分のみを忠実に平坦にして波形処理およびノイズ対策が行われた検出値を得ることができ、各工程でのこれら検出値を基に検出値の比較処理を行い、精度の高い締付けを行うことができる。
さらに、ワーク部材を変更して種々の条件下でねじ込み試験を行う時に前記部品締結機1を利用することもできる。この場合、検出値の解析目的が種々にわたることがあっても、フィルタの種類を多数配置しておき、これらフィルタをその解析目的すなわち検出過程での検出値の状態に応じて順次選択してねじ込み試験を行い、その時の検出値を記憶して表示することができ、検出値の記録と画面上の表示とにより多面的に解析を行うことができる。
なお、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…部品締結機
2…モータ
9…フィルタ装置
9L…ローパスフィルタ
9H…ハイパスフィルタ
11…制御部
2…モータ
9…フィルタ装置
9L…ローパスフィルタ
9H…ハイパスフィルタ
11…制御部
Claims (4)
- モータの回転駆動力または昇降駆動源の押圧力をセンサにより検出してその検出値の波形処理およびノイズ対策を行うフィルタ部を備えたフィルタ装置であって、
前記フィルタ部は、少なくとも遮断周波数または伝達関数のうちの何れかの種類に応じた異なる特性を持つ複数のフィルタを有し、検出過程での検出値の状態に応じてこれらフィルタが選択可能に構成されていることを特徴とするフィルタ装置。 - 前記フィルタ部は、バターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタ、及びベッセル特性を備えかつ前記遮断周波数よりも十分高い遮断周波数を持つローパスフィルタを含む構成であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
- モータの回転駆動力または昇降駆動源の押圧力をセンサにより検出してその検出値を少なくとも遮断周波数または伝達関数のうちの何れかの種類に応じた異なる特性を持つ複数のフィルタを含むフィルタ部でフィルタリングを行うフィルタ装置と、
前記検出過程での検出値の状態に応じてフィルタ選択信号を前記フィルタ装置に出力するとともに選択されたフィルタでフィルタリングされた後の検出値に基づき締付けトルク制御を行ってモータの回転駆動を制御する制御部とを備えていることを特徴とする部品締結機。 - 前記フィルタ部に、バターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタ、及びベッセル特性を備えかつ前記遮断周波数よりも十分高い遮断周波数を持つローパスフィルタを含み、
前記検出過程での検出値の状態に応じたフィルタ選択信号に、締付け過程中の仮締め工程で出力されるベッセル特性を備えた高い遮断周波数を持つローパスフィルタのフィルタ選択信号と、締付け過程中の本締め工程で出力されるバターワース特性を備えた低い遮断周波数を持つローパスフィルタのフィルタ選択信号を含むことを特徴とする請求項3に記載の部品締結機。
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