JP2014126182A - 歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な機構で、歯車の軸部材に対してネジ部品を締め付け可能とする。
【解決手段】一対の歯車10,20を互いに噛み合わせた状態で、一方の歯車10の軸部材12にネジ部品(ナット40)を締め付けるにあたり、固定用歯車30を一対の歯車10,20の双方と噛み合わせることにより一対の歯車10,20の回転を規制した状態で、軸部材12にナット40を締め付ける。
【選択図】図1
【解決手段】一対の歯車10,20を互いに噛み合わせた状態で、一方の歯車10の軸部材12にネジ部品(ナット40)を締め付けるにあたり、固定用歯車30を一対の歯車10,20の双方と噛み合わせることにより一対の歯車10,20の回転を規制した状態で、軸部材12にナット40を締め付ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、歯車の軸心に設けられた軸部材にネジ部品を締め付けるための方法に関する。
歯車は、回転トルクを伝達する用途として様々な機械製品に用いられる。例えば自動車用トランスミッションには、ハウジングの内部にベアリング等を介して回転支持された複数の歯車が設けられる。通常、歯車の軸心には軸部材がスプライン嵌合され、この軸部材にナット等のネジ部品を締め付けることにより、歯車が軸部材に固定される。
歯車の軸部材にネジ部品を締め付ける際には、ネジ部品の締付トルクにより歯車が共回りすることを防止するために、歯車の回転を規制する必要がある。例えば、下記の特許文献1には、歯車に固定用歯車を噛み合わせることにより歯車部品を回転不可能とし、この回転不可能とされた歯車部品の軸部材にネジ部品を締め付ける方法が示されている。
しかし、上記特許文献1の方法では、ネジ部品の締付トルクにより歯車及び固定用歯車が共回りしないように、固定用歯車を強固に固定する必要がある。このため、固定用歯車は、基盤等に強固に固定し、且つ、この基盤自体も回転しないように別途の手段で固定する必要があるため、装置の大型化を招く。
以上のような事情に鑑み、本発明が解決すべき課題は、簡素な機構で、歯車の軸部材に対してネジ部品を締め付け可能とすることにある。
前記課題を解決するために、本発明は、一対の歯車を互いに噛み合わせた状態で、少なくとも一方の歯車の軸部材にネジ部品を締め付けるための方法であって、前記一対の歯車の双方に共通の固定用歯車を噛み合わせることにより、前記一対の歯車の回転を規制した状態で、前記軸部材にネジ部品を締め付ける歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法を提供する。
このように、一対の歯車の双方に共通の固定用歯車を噛み合わせた状態で、一方の歯車の軸部材にネジ部品を正方向(図1の矢印T参照)に締め付けることにより、一方の歯車は正方向に回転しようとする(図1の矢印R1参照)と共に、他方の歯車は逆方向に回転しようとする(図1の矢印R2参照)。これにより、固定用歯車は、一方の歯車から逆方向の回転トルクを受ける(図1の矢印R3参照)と共に、他方の歯車部品から正方向の回転トルクを受ける(図1の矢印R4参照)。このため、固定用歯車は正逆何れの方向にも回転することができず、その結果、一対の歯車も回転することができない。すなわち、一対の歯車の双方に固定用歯車を噛み合わせることにより、特別な固定手段を要することなく、一対の歯車の回転を規制することができる。
例えば図8に示すように、一対の歯車10,20同士の噛み合わせ部Pよりも回転方向先行側で、固定用歯車30と一対の歯車10,20とを噛み合わせた状態で、一方の歯車10の軸部材12にナット40を締め付けると、一対の歯車10,20がそれぞれ点線矢印方向に回転しようとすることで、固定用歯車30が矢印Q方向にスライドして、一対の歯車10,20から固定用歯車30が外れてしまう恐れがある。従って、固定用歯車30は、一対の歯車10,20の噛み合わせ部Pよりも回転方向後方側で各歯車10,20と噛み合わせることが好ましい(図1参照)。これにより、一対の歯車10,20が回転しようとしたときに、固定用歯車30が一対の歯車10,20の噛み合わせ部Pに引き込まれようとするが、固定用歯車30は既に両歯車10,20と噛み合っているため、それ以上噛み合わせ部P側にスライドすることができない。従って、一対の歯車の双方に固定用歯車を噛み合わせるだけで、一対の歯車の回転だけでなく、固定用歯車のスライドも規制することができる。
上記の方法において、固定用歯車を、各歯車と干渉して回転不能となる形状とすれば、固定用歯車と各歯車とを噛み合わせるだけで、一対の歯車及び固定用歯車の回転が規制される。
一対の歯車がヘリカル歯車である場合、固定用歯車に、一対の歯車の一方と噛み合う歯面と、一対の歯車部品の他方と噛み合う歯面とを形成すれば、一個の固定用歯車に双方の歯車を噛み合わせることができる。
固定用歯車を、一対の歯車とノーバックラッシュ状態で噛み合わせれば、一対の歯車の回転を完全に規制することができるため、一対の歯車の噛み合わせ部で互いの歯面を傷つける事態を防止できる。
以上のように、本発明によれば、一対の歯車の双方に共通の固定用歯車を噛み合わせるだけで、一対の歯車の回転を規制することができるため、簡素な機構で歯車の軸部材に対してネジ部品を締め付けることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す一対の歯車10,20は、例えば自動車のトランスミッションに組み込まれたものであり、外周に歯面11,21を有し、軸心に軸部材12,22がスプライン嵌合している。一対の歯車10,20は、それぞれ軸部材12,22を中心に自由回転可能とされ、噛み合い部Pで互いに噛み合っている。噛み合い部Pでは、図2に示すように、歯面11,21の間にバックラッシュSが形成される。
本発明に係る締付方法で使用される固定用歯車30は、一対の歯車10,20の歯面11,21と噛み合い可能な形状の歯面31を有する。歯車10,20及び固定用歯車30は、金属製あるいは樹脂製とされる。例えば、固定用歯車30は、歯車10,20よりも軟らかい材料で形成される。一対の歯車10,20及び固定用歯車30は、何れも外歯歯車であり、図示例では平歯車である。本実施形態では、互いに噛み合った一対の歯車10,20のうち、一方の歯車10の軸部材12に対してネジ部材としてのナット40を締め付ける手順を説明する。尚、図1では、図の簡略化のため、歯車10,20及び固定用歯車30のピッチ円のみを示している(図4、図5、図7、図8においても同様)。
まず、固定用歯車30を移動させて、一対の歯車10,20の双方と噛み合わせる。本実施形態では、一対の歯車10,20同士の噛み合わせ部Pよりも回転方向後方側(図1の下側)で、固定用歯車30と各歯車10,20とを噛み合わせる。また、本実施形態では、固定用歯車30を歯車10,20側に付勢することで(図1の白抜き矢印参照)、図3に示すように、固定用歯車30の歯面31と各歯車10,20の歯面11,21とをノーバックラッシュ状態(バックラッシュ0の状態)で噛み合わせる。尚、固定用歯車30の歯面31は、固定用歯車30の外周全周に形成してもよいし、各歯車10,20と噛み合う箇所にのみに部分的に形成してもよい。
この状態で、一方の歯車10の軸部材12にナット40を締め付ける(実線矢印T参照)。これにより、一方の歯車10は正方向(図示例では時計回り方向、点線矢印R1参照)に回転しようとし、これと噛み合う他方の歯車20は逆方向(図示例では反時計回り方向、点線矢印R2参照)に回転しようとする。このとき、両歯車10,20が共通の固定用歯車30と噛み合っているため、固定用歯車30は、一方の歯車10からの逆方向のトルクを受ける(点線矢印R3参照)と共に、他方の歯車20から正方向のトルクを受ける(点線矢印R4参照)。このため、固定用歯車30は何れの方向にも回転することができず、その結果、一対の歯車10,20も回転することができない。このように、一対の歯車10,20及び固定用歯車30が互いに回転を規制し合うことにより、大掛かりな固定手段を要することなく、簡素な機構で一対の歯車10,20の回転を規制して、軸部材12にナット40を締め付けることができる。これにより、歯車10,20をトランスミッション等の装置に組み付けた状態でも、他部材と干渉することなく歯車10,20の軸部材12,22にナット40を締め付けることができる。
また、本実施形態では、一対の歯車10,20同士の噛み合わせ部Pよりも回転方向後方側で、固定用歯車30と各歯車10,20とを噛み合わせている。この場合、上記のようにナット40を締め付けるトルクにより一方の歯車10が回転しようとすると、固定用歯車30は、歯車10から受けるトルクにより一対の歯車10,20の噛み合わせ部Pに引き込まれようとするが、既に両歯車10,20と噛み合っているためそれ以上噛み合わせ部P側にスライドすることができない。このように、固定用歯車30を一対の歯車10,20に噛み合わせるだけで、各歯車10,20の回転だけでなく、固定用歯車30の軸直交方向のスライドを規制することができる。尚、他方の歯車20の軸部材22にナット40を締め付ける場合は、図4に示すように、固定用歯車30を図1とは反対側からアクセスして一対の歯車10,20に噛み合わせることで、上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、固定用歯車30の歯面31と各歯車10,20の歯面11,21とをノーバックラッシュ状態で噛み合わせているため、固定用歯車30により歯車10,20の回転を完全に規制することができる。従って、ナット40を締め付けるトルクにより、歯車10,20の歯面11,21同士が圧接して互いに傷つけあう事態を防止できる。
本発明は、上記の実施形態に限られない。例えば、固定用歯車30の歯面31を、各歯車10,20と干渉することで回転不能となる形状とすれば、固定用歯車30と各歯車10,20とを噛み合わせるだけで、ナット40の締付方向に関わらず、歯車10,20の回転を規制することができる。具体的には、例えば図5に示すように、固定用歯車30の外径(ピッチ円)を歯車10,20の外径(ピッチ円)よりも十分に小さくすると、図6に示すように、歯車10,20の歯先が固定用歯車30の歯底と干渉し、それ以上回転することができなくなる。このように、固定用歯車30と歯車10,20とを意図的に干渉させることで、固定用歯車30と各歯車10,20との噛み合わせ部において何れの方向への回転を規制することができる。尚、この場合、上記実施形態のように固定用歯車30を軸直交方向からアクセスして各歯車10,20に噛み合わせることはできないため、固定用歯車30を軸方向からアクセスして各歯車10,20に噛み合わせる。
また、以上の実施形態では、歯車10,20及び固定用歯車30が何れも平歯車である場合を示したが、これに限らず、他の種類の歯車であってもよい。例えば、歯車10,20がヘリカルギアである場合、図7(b)に示すように、各歯車10,20の歯面11,21のねじれ方向(軸方向に対する傾斜方向)は反対向きとなる。この場合、固定用歯車30には、図7(c)に示すように、一方の歯車10の歯面11と噛み合う歯面31aと、他方の歯車20の歯面21と噛み合う歯面31bとを形成すればよい。本実施形態では、図7(a)に示すように、固定用歯車30の外周のうち、1/4の領域に歯面31aを形成し、他の1/4の領域に歯面31bを形成し、その他の1/2の領域には歯面を形成していない。
また、以上の実施形態では、一対の歯車10,20及び固定用歯車30が何れも外歯歯車である場合を示したが、これらのうちの何れかが内歯歯車であってもよい。また、以上の実施形態では、一対の歯車10,20及び固定用歯車30が何れも回転歯車である場合を示したが、これらのうちの何れかが直線歯車(ラック)であってもよい。
また、以上の実施形態では、一対の歯車10,20の噛み合わせ部Pの回転方向後方側で、固定歯車30と各歯車10,20とを噛み合わせた場合を示したが(図1参照)、これに限らず、図8に示すように、噛み合わせ部Pの回転方向先行側で、固定用歯車30と各歯車10,20とを噛み合わせてもよい。ただし、この状態でナット40を締め付けた場合、一対の歯車10,20が回転しようとすることで、固定用歯車30が矢印Q方向にスライドしようとするため、このスライドを規制する手段を設け、それぞれの軸部材32、12、22の位置関係を固定することが好ましい。
また、以上の実施形態では、固定用歯車30と各歯車10,20とをノーバックラッシュ状態で噛み合わせているが、これに限らず、これらの噛み合わせ部にバックラッシュを形成してもよい。
10 歯車
11 歯面
12 軸部材
20 歯車
21 歯面
22 軸部材
30 固定用歯車
31 歯面
32 軸部材
40 ナット(ネジ部品)
P 噛み合わせ部
S バックラッシュ
11 歯面
12 軸部材
20 歯車
21 歯面
22 軸部材
30 固定用歯車
31 歯面
32 軸部材
40 ナット(ネジ部品)
P 噛み合わせ部
S バックラッシュ
Claims (3)
- 一対の歯車を互いに噛み合わせた状態で、少なくとも一方の歯車の軸心に設けられた軸部材にネジ部品を締め付けるための方法であって、
前記一対の歯車に共通の固定用歯車を噛み合わせることにより、前記一対の歯車の回転を規制した状態で、前記軸部材にネジ部品を締め付ける歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法。 - 前記一対の歯車同士の噛み合わせ部よりも回転方向後方側で、前記固定用歯車と前記一対の歯車とを噛み合わせる請求項1記載の歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法。
- 前記固定用歯車が、各歯車と干渉して回転不能となる形状を有する請求項1記載の歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012285295A JP2014126182A (ja) | 2012-12-27 | 2012-12-27 | 歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012285295A JP2014126182A (ja) | 2012-12-27 | 2012-12-27 | 歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法 |
Publications (1)
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JP2014126182A true JP2014126182A (ja) | 2014-07-07 |
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JP2012285295A Pending JP2014126182A (ja) | 2012-12-27 | 2012-12-27 | 歯車の軸部材へのネジ部品の締付方法 |
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JP (1) | JP2014126182A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113814937A (zh) * | 2021-09-29 | 2021-12-21 | 广西玉柴机器股份有限公司 | 顶齿轮的工装工具 |
-
2012
- 2012-12-27 JP JP2012285295A patent/JP2014126182A/ja active Pending
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CN113814937A (zh) * | 2021-09-29 | 2021-12-21 | 广西玉柴机器股份有限公司 | 顶齿轮的工装工具 |
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