JP2014125899A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料噴射制御装置は、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、噴射された燃料を点火する点火装置と、を備えた内燃機関に適用される。
【解決手段】機関の始動が開始されたとき、燃料噴射タイミングが機関の吸気行程および圧縮行程のうちの少なくとも圧縮行程中の第1タイミングである始動噴射を行う。さらに、この制御装置は、始動噴射が行われている場合において機関の始動が完了したと判定されないとき、燃料噴射タイミングを第1タイミングよりも遅角した圧縮行程中の第2タイミングに第1タイミングから変更した始動促進噴射を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室内に噴射された燃料を点火する点火装置と、を備えた内燃機関(いわゆる、筒内噴射方式の火花点火式内燃機関)に適用される燃料噴射制御装置に関する。
空気と燃料との混合ガス(混合気)を形成する方法として、周知のように、燃焼室の吸気ポートに向かう空気中に燃料を噴射すること(いわゆる、ポート噴射)によって主に燃焼室の外側にて混合気を形成する方法、および、燃焼室内に導入された空気中に燃料を噴射すること(いわゆる、筒内噴射)によって燃焼室の内側にて混合気を形成する方法が挙げられる。そして、このように形成された混合気が点火装置(例えば、点火プラグ)によって点火されて燃焼し、内燃機関が駆動する。
筒内噴射方式の内燃機関は、ポート噴射方式の内燃機関に比べて圧縮比を高め易いことから、内燃機関の出力を高めながらも燃費を向上することができる等の利点を有する。そのような利点を有する一方、筒内噴射方式の内燃機関は、燃焼室内において混合気の空燃比および燃料の気化の度合い等(以下、「混合気の状態」とも称呼される。)に偏りが生じ易いため、点火装置の周辺における混合気の状態を点火・燃焼に適した状態に制御することが望ましいとされている。
そこで、点火装置の周辺における混合気の状態を制御するべく、従来から、燃焼室の全体に点火・燃焼に適した混合気を一様に形成するための制御(いわゆる均質燃焼のための制御)、および、点火装置の周辺に限って点火・燃焼に適した混合気を限定的に形成するための制御(いわゆる成層燃焼のための制御)などが行われている。
例えば、従来の燃料噴射制御装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、成層燃焼を図る観点から、内燃機関が始動されるとき、機関回転速度が高まるほど燃焼室内に燃焼を噴射させるタイミングを早める(圧縮行程における燃料噴射タイミングを進角する)ようになっている。これにより、従来装置は、機関回転速度が高まった場合であっても燃料が気化する時間長さが過度に短くなることを防ぎ、点火プラグの周辺に点火・燃焼に適した混合気を形成させることを図っている(例えば、特許文献1を参照。)。
以下、便宜上、点火装置の周辺に限って点火・燃焼に適した状態の混合気が存在することは、「混合気の成層度が高い」とも称呼される。すなわち、混合気の成層度が高い場合、混合気が適切に点火・燃焼し得ると言える。また、以下、混合気の点火・燃焼の容易さの程度は、「点火性」とも称呼される。すなわち、混合気の点火性が高い場合、混合気が容易に点火・燃焼し得ると言える。
特開平8−193536号公報
まず、「燃料の気化の度合い」について述べると、燃焼室内に噴射された燃料は、燃焼室内のガス等によって加熱されて気化しながら同ガスと混合され、混合気を形成する。そのため、燃焼室内のガス等の温度(換言すると、内燃機関の温度)が燃料を気化させる観点において十分に高ければ、燃料が燃焼室内に存在する時間長さが長いほど、燃料の気化が促進されることになる。一方、内燃機関の温度が上記観点においてそれ程高くなければ、燃料が燃焼室内に存在する時間長さが長くても、燃料の気化がそれ程促進されない場合があると考えられる。
次いで、「混合気の空燃比」について述べると、燃焼室内に噴射された燃料は、噴射に伴う燃料そのものの流れ及び燃焼室内のガスの流れにより、燃焼室内に拡散する。そのため、一般に、燃料が燃焼室内に存在する時間長さが長いほど、燃料の拡散の度合いが高まると考えられる。別の言い方をすると、成層燃焼を図る観点においては、一般に、燃料が燃焼室内に存在する時間長さが長いほど、点火・燃焼に適した混合気を点火装置の周辺のみに形成することが困難である(例えば、混合気が拡散し、空燃比が目標空燃比から離れる)と考えられる。
上述した従来装置では、燃料が気化する時間を確保するべく、燃料噴射タイミングが進角されるようになっている。ここで、上記説明から理解されるように、内燃機関の温度が燃料を気化させる観点において十分に高い場合、燃料噴射タイミングを進角することによって燃料の気化が促進される。よって、この場合、従来装置は混合気の点火性を高めることができると考えられる。
ところが、内燃機関の温度がそれ程高くない場合、燃料噴射タイミングを進角したとしても、燃料の気化がそれ程促進されないと考えられる。また、この場合、燃料が燃焼室内に存在する時間長さが長くなることから、燃料の拡散の度合いが高まり、混合気の成層度が低くなるとも考えられる。よって、この場合、従来装置は混合気の点火性をそれ程高められない可能性があると考えられる。
このように、始動時における内燃機関の温度によっては、点火・燃焼に適した混合気を形成するべく燃料が気化する時間を長くしても、必ずしも想定した程度に混合気の点火性が高められない可能性があると考えられる。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、内燃機関の温度が低い場合であっても出来る限り確実に内燃機関を始動させることができる燃料噴射制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明による燃料噴射制御装置は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室内に噴射された燃料を点火する点火装置と、を備えた内燃機関に適用される。
本発明による燃料噴射制御装置は、前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるタイミングである燃料噴射タイミング、および、前記燃料噴射弁から噴射させる燃料の量である燃料噴射量、を制御する。
ここで、本発明による燃料噴射制御装置は、
前記内燃機関の始動が開始されたとき、前記燃料噴射タイミングが「前記内燃機関の吸気行程および圧縮行程のうちの少なくとも圧縮行程中の第1タイミング」である始動噴射を行い、
前記始動噴射が行われている場合において前記内燃機関の始動が完了したと判定されないとき、前記燃料噴射タイミングを「前記第1タイミングよりも遅角した前記圧縮行程中の第2タイミング」に前記第1タイミングから変更した始動促進噴射を行う、
ように構成されている。
上記構成により、「始動噴射」によって内燃機関が十分に始動しない場合(例えば、内燃機関の温度が燃料を気化させる観点において低い場合)、「始動促進噴射」が行われ、燃料噴射タイミングが第1タイミングから第2タイミングに「遅角」されることになる。
上述したように、内燃機関の温度が上記観点において低い場合、燃料が気化する時間長さを長くしても(逆に言えば、短くしても)、燃料の気化の度合いはそれ程変化しないと考えられる。一方、始動促進噴射によって燃料噴射タイミングが遅角されれば、燃料が拡散する度合いが小さくなり、混合気の成層度が高められると考えられる。よって、上記始動促進噴射により、燃料の気化の度合いを維持しながら混合気の成層度が高められ、混合気の点火性が向上する。
したがって、本発明の燃料噴射制御装置は、内燃機関の温度が低い場合であっても出来る限り確実に内燃機関を始動させることができる。
ところで、本発明の「燃料噴射制御装置」は、燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量を制御し得る構成を備えていればよく、その具体的な構造などは特に制限されない。例えば、燃料噴射制御装置は、燃料噴射タイミングを決定する手段、燃料噴射量を決定する手段、それら決定に必要な情報(種々の運転パラメータ)を取得する手段、決定した燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量にて燃料を噴射するように燃料噴射弁に指示を与える手段、および、内燃機関の始動が完了したか否かを判定する手段などから構成され得る。なお、燃料噴射制御装置は、燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量に加え、他のパラメータ(例えば、燃料を噴射させるべく燃料に及ぼされる圧力の大きさ)を制御し得るように構成されてもよい。
上記「第1タイミング」は、内燃機関の始動を開始するべく定められるタイミングであればよく、その具体的な決定方法などは特に制限されない。例えば、第1タイミングとして、実験などによって定められたマップに始動時における種々のパラメータ(例えば、内燃機関の冷却水の温度、燃料の種類、点火プラグの種類、および、これまでの始動時の第1タイミングの履歴など)を適用して得られた値が、採用され得る。また、第1タイミングとして、例えば、上記パラメータとは関わりなく設定された(例えば、工場出荷時等に設定された)値が、採用され得る。
上記「内燃機関の始動が完了した」か否かを判定する具体的な基準・方法は、特に制限されない。この判定の具体的な態様については、後述される(態様5)。
上記「第2タイミング」は、第1タイミングよりも遅角された圧縮行程中のタイミング(すなわち、第1タイミングと、圧縮上死点に相当するタイミングと、の間のタイミング)であればよく、第1タイミングと第2タイミングとの間の変更量およびその具体的な決定方法などは特に制限されない。第2タイミングの具体的な態様についても、後述される(態様3,4)。
なお、始動噴射および始動促進噴射の双方において、燃料は「吸気行程中および圧縮行程中の少なくとも圧縮行程中」に燃焼室内に噴射されればよい。すなわち、燃料は、吸気行程中および圧縮行程中の双方において燃焼室内に噴射されてもよく、圧縮行程中のみにおいて燃焼室内に噴射されてもよい。いずれの工程(または、双方の工程)において燃料を噴射すべきかは、内燃機関の構造、要求される点火性、燃費および排ガスの状態などに基づき、決定され得る。
以上、本発明の燃料噴射制御装置の構成・効果について説明した。次いで、以下、本発明の燃料噴射制御装置のいくつかの態様(態様1〜態様7)について述べる。
・態様1,2
上述したように、始動促進噴射が行われると、混合気の点火性が向上する。しかし、始動促進噴射にて燃料噴射タイミングが遅角されると、一般に、噴射された燃料が内燃機関のピストン等に接触(衝突)し、燃料の一部がピストン等に付着する可能性が高まる。ピストン等に付着した燃料は、周知のように、その周囲に燃料が過多な領域を形成することなどよって排ガス中のスモークを増大させる原因になり得る。
一方、本発明による始動促進噴射によって向上した点火性を過度に損なわない範囲内であれば、燃料噴射量を少なくしても本発明による効果(出来る限り確実に内燃機関を始動させる。)は維持される。
そこで、本発明による燃料噴射制御装置(態様1)は、
前記第2タイミングが前記内燃機関の圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど、前記燃料噴射量を少なくする、ように構成され得る。
上記構成により、混合気の点火性を向上させながら、排ガス中のスモークが過度に増大することを防ぐことができる。
ところで、本態様(態様1)において、燃料噴射量は、第2タイミングと「圧縮上死点に相当するタイミング」との間の時間長さ(例えば、クランク回転角度)に基づき、定められることになる。別の言い方をすると、本態様の燃料噴射量は、第1タイミング(または、第1タイミングからの遅角の度合い)には関わりなく定められることになる。しかし、燃料噴射量は必ずしも本態様のように定められる必要はなく、下記態様(態様2)のように、第1タイミングと第2タイミングとの関係を考慮しながら定められてもよい。
すなわち、本発明による燃料噴射制御装置(態様2)は、
前記第1タイミングでの前記燃料噴射量が第1噴射量であり、
前記第2タイミングでの前記燃料噴射量が、前記第2タイミングが前記第1タイミングから離れるほど前記第1噴射量よりも少なくなるように定めた第2噴射量である、ようにも構成され得る。
上記構成により、第2タイミングでの燃料噴射量が、第1タイミングと第2タイミングとの間の時間長さに基づいて定められることになる。これにより、上記態様1と同様、混合気の点火性を向上させながら排ガス中のスモークが過度に増大することを防ぐことができる。
ところで、態様1の燃料噴射制御装置では、燃料噴射量は、例えば、あらかじめ定められたマップ(例えば、第2タイミングと圧縮上死点に相当するタイミングとの間の時間長さと、燃料噴射量と、の関係を表すマップ)に基づき、定められ得る。一方、態様2の燃料噴射制御装置では、燃料噴射量は、第1タイミングでの燃料噴射量さえ定められていれば(態様1のようなマップを用いることなく)第1タイミングでの燃料噴射量から徐々に少なくなるように、定められ得る。すなわち、態様2の燃料噴射制御装置によれば、第2タイミングでの燃料噴射量をより簡便に定めることができる。
なお、燃料噴射量は、態様1および態様2の双方の考え方(圧縮上死点に相当するタイミングと第2タイミングとの間の時間長さ、および、第1タイミングから第2タイミングへの遅角の度合い、の両方)に基づき、定められてもよい。
・態様3,4
本発明の燃料噴射制御装置は、内燃機関の始動が完了するまで、始動促進噴射における「燃料噴射タイミングの変更」を繰り返し行うように構成されてもよい。すなわち、燃料噴射タイミングを第2タイミングとしたものの内燃機関が始動しない場合、燃料噴射タイミングを第2タイミングよりも更に遅角させたタイミングに変更してもよい。さらに、このような燃料噴射タイミングの変更(遅角)を繰り返してもよい。
燃料噴射タイミングの変更(遅角)が繰り返されるとき、変更1回あたりの変更量(遅角の度合い。以下、「単位変更量」とも称呼される。)は、要求される点火性などを考慮して定められばよく、特に制限されない。例えば、単位変更量は、第2タイミングが圧縮上死点に相当するタイミングに連続的に(徐々に)近づくとみなし得る程度に小さい値、に設定され得る。あるいは、単位変更量は、第2タイミングが圧縮上死点に相当するタイミングに離散的に(ステップ状に)近づくとみなし得る程度に大きい値、に設定され得る。
すなわち、本発明による燃料噴射制御装置(態様3)は、
前記内燃機関の始動が完了したと判定されるまで、前記第2タイミングを前記圧縮上死点に相当するタイミングに徐々に近づける、ように構成され得る。
あるいは、本発明による燃料噴射制御装置(態様4)は、
前記燃料噴射タイミングが前記第2タイミングである場合において前記内燃機関の始動が完了したと判定されないとき、前記燃料噴射タイミングを前記第2タイミングよりも遅角した前記圧縮行程中の第3タイミングに前記第2タイミングから変更する、ように構成され得る。
上記構成(態様3,4)により、確実な点火を保証できる燃料噴射タイミングを事前に定められない場合であっても、燃料噴射タイミングの変更(遅角)を繰り返すことにより、比較的簡便に有限の時間内にて内燃機関を始動させることができる。
・態様5
内燃機関は、一般に、始動に伴って機関回転速度を増した後に所定の機関回転速度(アイドリング運転時の機関回転速度)を維持するように設計される。そこで、内燃機関の始動が完了したか否かは、内燃機関の機関回転速度の変化に着目することによって判定され得る。
すなわち、本発明による燃料噴射制御装置(態様5)は、
前記内燃機関の機関回転速度の変化率が所定の閾値よりも大きいこと、
前記内燃機関の機関回転速度が所定の目標値に到達すること、および、
前記内燃機関の機関回転速度が前記目標値の近傍の値である状態が所定の時間長さよりも長く継続すること、
のうちの1つ又は複数が成立するとき、前記内燃機関の始動が完了したと判定する、ように構成され得る。
逆に言えば、本態様の燃料噴射制御装置は、内燃機関の始動が完了したか否かを判定するべく採用された指標の全てが成立しないとき、「内燃機関の始動が完了した」と判定しないこととなる。
上記構成により、内燃機関の始動が完了したか否かを、簡便な方法にて判定することができる。
ところで、機関回転速度の変化率の上記「所定の閾値」は、あらかじめ行われた実験などに基づき、内燃機関が適切に始動したと判断し得る適値として定められ得る。例えば、所定の閾値として「ゼロ」が採用されると、機関回転速度の変化率が負の値となった場合(機関回転速度が減少した場合)、内燃機関の始動が完了していないと判定される。
また、機関回転速度の上記「所定の目標値」は、内燃機関の構造等に基づくアイドリング回転数として定められ得る。さらに、上記「所定の時間長さ」は、あらかじめ行われた実験などに基づき、内燃機関のアイドリング運転が安定していると判断し得る適値に定められ得る。
・態様6
吸気行程中および圧縮行程中の「双方」において燃焼室に燃料を噴射する場合、それぞれの行程中における燃料噴射量および燃料噴射タイミングは、内燃機関を出来る限り確実に始動させる観点から定められればよい。
例えば、本発明による燃料噴射制御装置(態様6)は、
前記内燃機関の吸気行程中および圧縮行程中の双方にて前記燃料噴射弁から燃料を噴射させ、
前記内燃機関の温度が低いほど、前記第1タイミングを前記圧縮上死点に相当するタイミングに近づけ、かつ、前記吸気行程中での燃料噴射量に対する前記圧縮行程中での燃料噴射量の割合を小さくする、ように構成され得る。
上記構成により、内燃機関の温度が低いほど、第1タイミング(始動噴射における圧縮行程中の燃料噴射タイミング)が圧縮上死点に相当するタイミングに近づけられるとともに、その第1タイミングにおける燃料噴射量が低減される。これにより、内燃機関の温度が低くても、混合気の点火性を向上させつつ排ガス中のスモークが過度に増大することを防ぐことができる。
ところで、上記「内燃機関の温度」は、燃焼室内における混合気の点火性に相関する温度であればよく、具体的な対象および測定方法などは特に制限されない。例えば、上記「内燃機関の温度」として、内燃機関の冷却水の温度が採用され得る。
・態様7
さらに、第1タイミング(始動噴射における圧縮行程中の燃料噴射タイミング)が圧縮上死点に相当するタイミングの近くに設定されれば、始動が開始される当初から混合気の点火性が比較的高いと考えられる。そこで、始動噴射の後に始動促進噴射が行われるとき(燃料噴射タイミングを第1タイミングから第2タイミングに変更するとき)、それ程急激に燃料噴射タイミングを変化しなくても、比較的迅速に内燃機関を始動させることができると考えられる。
そこで、本発明による燃料噴射制御装置(態様7)は、
前記燃料噴射タイミングを前記第1タイミングから前記第2タイミングに変更するときの燃料噴射タイミングの変更量、
前記第2タイミングを前記圧縮上死点に相当するタイミングに徐々に近づけるときの前記燃料噴射タイミングの変化率、および、
前記燃料噴射タイミングを前記第3タイミングに前記第2タイミングから変更するときの前記燃料噴射タイミングの変更量、
の少なくとも一つを、前記第1タイミングが前記圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど小さくする、ように構成され得る。
上記構成により、始動促進噴射において、内燃機関の機関回転速度が過度に急激に増大することを防ぐことができる。
以上にいくつかの態様とともに説明したように、本発明の燃料噴射制御装置は、内燃機関の温度が低い場合であっても出来る限り確実に内燃機関を始動させることができるという効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係る燃料噴射制御装置が適用される内燃機関の概略図である。 本発明の第1実施形態に係る燃料噴射制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射制御装置の作動の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射制御装置の作動の他の例を示すタイムチャートである。 本発明の第2実施形態に係る燃料噴射制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである 本発明の第2の実施形態に係る燃料噴射制御装置の作動の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第3実施形態に係る燃料噴射制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである 本発明の第3の実施形態に係る燃料噴射制御装置の作動の一例を示すタイムチャートである。
以下、本発明による内燃機関の燃料噴射制御装置の各実施形態(第1実施形態〜第3実施形態)が、図面を参照しながら説明される。
<第1実施形態>
・装置の概要
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射制御装置(以下、「第1装置」とも称呼される。)が内燃機関10に適用されたシステムの概略構成を示している。
内燃機関10(以下、単に「機関10」とも称呼される。)は、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁(インジェクタ)と、燃焼室内に噴射された燃料を点火する点火装置(点火プラグ)と、を備えた4サイクル・筒内噴射方式・火花点火式・多気筒(4気筒)機関である。図1は、複数の気筒のうちの一の気筒の断面のみを示している。なお、他の気筒も、この一の気筒と同様の構成を備えている。
この機関10は、シリンダブロック部20、シリンダブロック部20の上部に固定されるシリンダヘッド部30、シリンダブロック部20(後述される燃焼室25)に空気と燃料とが混合されたガス(混合気)を提供するための吸気系統40、シリンダブロック部20から排出されるガス(排ガス)を機関10の外部に放出するための排気系統50、アクセルペダル61、各種センサ71〜78、および、電子制御装置80、を備えている。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、および、クランクシャフト24、を有している。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランクシャフト24に伝達され、これにより同クランクシャフト24が回転するように構成されている。シリンダ21の内壁面、ピストン22の上面およびシリンダヘッド部30の下面は、燃焼室25を画成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフト33、燃料を燃焼室25内に噴射するインジェクタ34、燃焼室25に連通した排気ポート35、排気ポート35を開閉する排気弁36、排気弁36を駆動するエキゾーストカムシャフト37、点火プラグ38、および、点火プラグ38に与える高電圧を発生するイグナイタ39を有している。
インジェクタ34は、電子制御装置80からの指示に応じたタイミング(燃料噴射タイミング)にて、同指示に応じた量(燃料噴射量)の燃料を、吸気ポート31を通過して燃焼室25内に導入された空気中に噴射するようになっている。これにより、燃焼室25内にて、空気と燃料との混合ガス(混合気)が形成される。
吸気系統40は、吸気ポート31を介してそれぞれの気筒に連通されたインテークマニホールド41、インテークマニホールド41の上流側の集合部に接続された吸気管42、吸気管42の端部に設けられたエアクリーナ43、吸気管42の開口面積を変更することができるスロットル弁44、および、指示信号に応じてスロットル弁44を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ44a、を有している。吸気ポート31、インテークマニホールド41および吸気管42は、吸気通路を構成している。
排気系統50は、排気ポート35を介してそれぞれの気筒に連通されたエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51の下流側の集合部に接続された排気管52、および、排気管52に設けられた排ガス浄化用触媒53、を有している。排気ポート35、エキゾーストマニホールド51および排気管52は、排気通路を構成している。
機関10の外部には、機関10に加速要求および要求トルクなどを入力するためのアクセルペダル61が設けられている。アクセルペダル61は、機関10の操作者によって操作される。
さらに、各種センサ71〜78として、第1装置は、吸入空気量センサ71、スロットル弁開度センサ72、カムポジションセンサ73、クランクポジションセンサ74、水温センサ75、空燃比センサ76,77、および、アクセル開度センサ78、を備えている。
吸入空気量センサ71は、吸気通路(吸気管42)に設けられ、吸気管42を通じて機関10に吸入される空気の質量に応じた信号を出力するように構成されている。
スロットル弁開度センサ72は、スロットル弁44の近傍に設けられ、スロットル弁44の開度に応じた信号を出力するように構成されている。
カムポジションセンサ73は、インテークカムシャフト33の近傍に設けられ、インテークカムシャフト33の回転位置に応じた信号を出力するように構成されている。
クランクポジションセンサ74は、クランクシャフト24の近傍に設けられ、クランクシャフトの回転に応じた信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、クランクシャフト24の単位時間あたりの回転数(以下、「機関回転速度NE」とも称呼される。)が取得される。
水温センサ75は、シリンダ21内を流れる冷却水の通路に設けられ、冷却水の温度に応じた信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、冷却水の温度THWのが取得される。
空燃比センサ76,77は、触媒53の上流側および下流側の排気通路に設けられ、触媒53に導入される排ガスおよび触媒53排出される排ガスの空燃比に応じた信号を出力するように構成されている。
アクセル開度センサ78は、アクセルペダル61に設けられ、アクセルペダル61の開度に応じた信号を出力するように構成されている。
電子制御装置80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、インターフェース85を有する。CPU81、ROM82、RAM83、RAM84およびインターフェース85は、互いにバスで接続されている。
インターフェース85は、上記各種センサと接続され、CPU81にそれらセンサから出力される信号を伝えるように構成されている。さらに、インターフェース85は、インジェクタ34、イグナイタ39およびスロットル弁アクチュエータ44aなどと接続され、CPU81の指示に応じてそれらに指示信号を送るように構成されている。
例えば、CPU81は、インジェクタ34から燃料を噴射させるタイミングである燃料噴射タイミングに関する信号、および、インジェクタ34から噴射させる燃料の量である燃料噴射量に関する指示信号を、インターフェース85を介してインジェクタ34(または、インジェクタ34の作動を制御する制御装置)に送るように構成されている。
以上が、第1装置が機関10に適用されたシステムの概要である。
・装置の作動
以下、第1装置の作動が、図2および図3を参照しながら説明される。
第1装置において、CPU81は、図2に示した「第1燃料噴射制御ルーチン」を実行し、機関10の始動時における燃料噴射タイミング(クランク角)および燃料噴射量を決定するとともに、決定された燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量にてインジェクタ34から燃料を噴射させる。以下、クランク角が上記決定された燃料噴射タイミングに一致する気筒は「燃料噴射気筒」とも称呼される。
具体的に述べると、まず、CPU81は、所定のタイミングにて図2のステップ200から処理を開始してステップ210に進み、機関10の始動が開始されたか否か(例えば、図示しないイグニッション・キー・スイッチが始動位置へ向かって回転されたか否か)を判定する。
現時点にて機関10の始動が開始された場合、CPU81は、ステップ210にて「Yes」と判定し、ステップ220に進む。CPU81は、ステップ220にて、燃料噴射タイミングθ1および燃料噴射量Fsを決定する。
ここで、燃料噴射タイミングθ1は、機関10の圧縮行程中のタイミング(クランク角)であり、あらかじめ定められたマップに現時点における運転パラメータ(例えば、機関10の冷却水の温度など)を適用することによって決定される。さらに、燃料噴射量Fsは、機関10の始動に適した噴射量であるように、あらかじめ定められたマップに現時点における運転パラメータ(例えば、内燃機関の冷却水の温度など)を適用することによって決定される。
次いで、CPU81は、ステップ230に進む。CPU81は、ステップ230にて、機関10のクランキングに併せ、燃料噴射タイミングθ1にて燃料噴射量Fsの燃料を噴射するよう燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ34に指示を与える。これにより、機関10を始動させるための「始動噴射」が行われる。
次いで、CPU81は、ステップ240にて、機関10の始動が完了されたか否かを判定する。ステップ240において、CPU81は、例えば、機関10の機関回転速度NEが所定のアイドリング回転数NEidに到達した場合に機関10の始動が完了したと判定し、機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidよりも小さい場合に機関10の始動が完了していないと判定する。
現時点にて機関10の始動が完了したと判定された場合、CPU81は、ステップ240にて「Yes」と判定し、ステップ250に進む。CPU81は、ステップ250にて、通常運転時の燃料噴射タイミング・燃料噴射量(例えば、あらかじめ定められたマップに種々の運転パラメータを適用することによって定められ得る。)にて燃料を噴射するよう、燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ34に指示を与える。これにより、上記「始動噴射」が終了するとともに、機関10の通常運転が開始される。
その後、CPU81は、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点にて機関10の始動が完了したと判定されない場合、CPU81は、ステップ240にて「No」と判定し、ステップ260に進む。CPU81は、ステップ260にて、燃料噴射タイミングθ2および燃料噴射量Fsを決定する。
第1装置において、燃料噴射タイミングθ2は、圧縮行程中のタイミング(クランク角)であって、燃料噴射タイミングθ1から所定のクランク角Δθだけ遅角されるように定められる(この遅角の具体的態様については、後述される。)。さらに、第1装置において、燃料噴射量Fsは、上記「始動噴射」と同じ量Fsとして定められる(燃料噴射量が始動噴射時の量とは異なる量として定められる態様についても、後述される)。
次いで、CPU81は、ステップ270に進む。CPU81は、ステップ270にて、機関10のクランキングに併せ、燃料噴射タイミングθ2にて燃料噴射量Fsの燃料を噴射するよう燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ34に指示を与える。すなわち、燃料噴射タイミングが、「始動噴射」時の燃料噴射タイミングθ1よりも遅角した燃料噴射タイミングθ2に変更される。これにより、機関10の始動を促進するための「始動促進噴射」が行われる。
次いで、CPU81は、ステップ280に進む。CPU81は、ステップ280にて、機関10の始動が完了されたか否かを判定する(判定方法は、ステップ240と同様)。
現時点にて機関10の始動が完了したと判定された場合、CPU81は、ステップ280にて「Yes」と判定してステップ250に進み、通常運転時の燃料噴射タイミング・燃料噴射量にて燃料を噴射するよう、燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ34に指示を与える。これにより、上記「始動促進噴射」が終了するとともに、機関10の通常運転が開始される。
その後、CPU81は、ステップ295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点にて機関10の始動が開始されたと判定されない場合、CPU81は、ステップ280にて「No」と判定し、ステップ290に進む。CPU81は、ステップ290にて、燃料噴射タイミングθ2の値を燃料噴射タイミングθ1に格納する。
次いで、CPU81は、接続指標Aを介して再びステップ260に進む。そして、CPU81は、ステップ280にて「Yes」と判定されるまで、ステップ260〜ステップ290の処理を繰り返す。
・第1装置による制御の例
第1装置による燃料噴射制御が行われる際の燃料噴射タイミング等の推移の一例が、図3を参照しながら説明される。図3は、機関10の始動が開始されてから始動が完了するまでの制御の例を示すタイムチャートである。なお、図3においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。
時刻taにおいて、機関10の始動が開始される。よって、時刻taよりも前の時点において(機関10は停止しているので)、機関回転速度はゼロであり、燃料噴射タイミングは特に設定されず、燃料噴射量はゼロである。
時刻taにおいて機関10の始動が開始されると、クランキングが行われ、機関回転速度NEはクランキング機関回転速度NEclに増大する。そして、クランキングが行われながら、燃料噴射タイミングθ1(圧縮行程中)にて、燃料噴射量Fsの燃料が噴射され、「始動噴射」による機関10の始動が試みられる。
本例においては、上記のようにクランキングが行われながらも機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達しない場合、機関10の始動が完了していないと判定される。この場合、時刻tbにおいて、クランキングが継続されつつ、燃料噴射タイミングが、燃料噴射タイミングθ1からΔθだけ遅角された「始動促進噴射」用の燃料噴射タイミングθ2に変更される。
このように燃料噴射タイミングを遅角させることは、機関10の始動が完了したと判定されるまで、各サイクルごと(または、所定のサイクル数ごと)に繰り返される。図3に示される例においては、Δθおよび上記判定が行われるサイクル数が十分に小さい値に設定されているため、時刻tb以降において燃料噴射タイミングが連続的に(徐々に)遅角するように表記されている。なお、本例においては、時刻tb以降においても燃料噴射量はFsに維持される。
ただし、Δθおよび上記判定が行われるサイクル数は、必ずしもそのように小さい値に設定される必要はない。例えば、図4に示されるように、Δθおよび上記判定が行われるサイクル数が比較的大きい値に設定されれば、時刻tb以降において燃料噴射タイミングが離散的に(ステップ状に)遅角するように表記されることとなる。
再び図3を参照すると、時刻tcにおいて燃料が適切に点火して機関回転速度が上昇し、時刻tdにおいて機関回転速度がアイドリング回転数NEidに到達する。本例においては、機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達した場合、機関10の始動が完了したと判定され、燃料噴射タイミングが通常運転時の燃料噴射タイミングに設定され、燃料噴射量も通常運転時の燃料噴射量に設定される。
本例においては、通常運転時には、圧縮行程中においては燃料が噴射されず、吸気行程中のみにおいて燃料が噴射される。そのため、図3に示すように、時刻td以降において、燃料噴射タイミング(圧縮行程中)は設定されず、燃料噴射量(圧縮行程中)はゼロに設定される。
以上、説明したように、第1装置は、機関10の始動時において、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθ1にて燃料が噴射されても機関10の始動が完了しない場合、燃料噴射タイミングθ1からΔθだけ遅角された燃料噴射タイミングθ2にて燃料を噴射する。さらに、第1装置は、機関10の始動が完了したと判定されるまで、燃料噴射タイミングを遅角させることを繰り返す。これにより、第1装置は、機関10の温度が低い場合であっても出来る限り確実に機関10を始動させることができる。
ところで、図3および図4に示した例においては、(A)機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達した場合、機関10の始動が完了したと判定されている。しかし、これに代えて、第1装置は、(B)機関回転速度NEの変化率が所定の閾値よりも大きい場合に機関10の始動が完了したと判定する、ように構成されてもよい。または、第1装置は、(C)機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidの近傍の値である状態が所定の時間長さよりも長く継続した場合に機関10の始動が完了したと判定する、ように構成されてもよい。さらに、第1装置は、(A)〜(C)のうちの複数が成立した場合に機関10の始動が完了したと判定する、ように構成されてもよい。
以上が、本発明の第1の実施形態についての説明である。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料噴射制御装置(以下、「第2装置」とも称呼される。)が説明される。第2装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関10(図1を参照。)に適用される。そこで、第2装置が適用される装置の概要についての説明は省略される。
・装置の作動
第2装置は、「始動促進噴射における燃料噴射タイミングθ2が機関10の圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど、燃料噴射量を少なくする」点において、第1装置と相違する。
第2装置において、CPU81は、図5に示した「第2燃料噴射制御ルーチン」を実行し、機関10の始動時における燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量を決定するとともに、決定された燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量にて燃料を噴射させる。
図5に示したルーチンは、ステップ220およびステップ260がステップ510およびステップ520に各々置換されている点のみにおいて、図2に示したルーチンと相違している。そこで、図5における図2に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図2のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、現時点にて機関10の始動が開始された場合、図5のステップ500から処理を開始すると、ステップ210を経由してステップ510に進む。CPU81は、ステップ510にて、燃料噴射タイミングθ1および燃料噴射量Fs1を決定する。
ここで、燃料噴射タイミングθ1および燃料噴射量Fs1は、あらかじめ定められた各々のマップに現時点における運転パラメータを適用することによって得られる。燃料噴射タイミングθ1を決定するためのマップおよび燃料噴射量Fs1を決定するためのマップは、第1装置でのマップ(ステップ220)と同様である。
次いで、CPU81は、ステップ230にて、クランキングに併せて燃料噴射タイミングθ1にて燃料噴射量Fs1の燃料を噴射させる(始動噴射)。そして、始動噴射によっては機関10の始動が完了したと判定されない場合、CPU81は、ステップ520に進み、燃料噴射タイミングθ2および燃料噴射量Fs2を決定する。
第2装置において、燃料噴射タイミングθ2は、第1装置と同様、燃料噴射タイミングθ1から所定のクランク角Δθだけ遅角されるように定められる。一方、第2装置において、燃料噴射量Fs2は、燃料噴射タイミングθ2が圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど少なくなるように定められる。
次いで、CPU81は、ステップ270にて、クランキングに併せて燃料噴射タイミングθ2にて燃料噴射量Fs2の燃料を噴射させる(始動促進噴射)。そして、始動促進噴射によって機関10の始動が完了したと判定されるまで、ステップ520、ステップ270、ステップ280および290の処理を繰り返す。
・第2装置による制御の例
第2装置による燃料噴射制御が行われる際の燃料噴射タイミング等の推移の一例が、図6を参照しながら説明される。図6は、機関10の始動が開始されてから始動が完了するまでの制御の例を示すタイムチャートである。なお、図6においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。
時刻taにおいて機関10の始動が開始されると、クランキングが行われながら(クランキング機関回転速度NEcl)、燃料噴射タイミングθ1(圧縮行程中)にて、燃料噴射量Fs1の燃料が噴射され、「始動噴射」による機関10の始動が試みられる。
始動噴射によっては機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達しない場合、時刻tbにおいて、燃料噴射タイミングが、燃料噴射タイミングθ1からΔθだけ遅角された燃料噴射タイミングθ2に変更される。さらに、燃料噴射量が、燃料噴射タイミングθ2が圧縮上死点に相当するタイミングに近づくほど少ない燃料噴射量Fs2に変更される。
このように燃料噴射タイミングを遅角させることは、機関10の始動が完了したと判定されるまで、各サイクルごと(または、所定のサイクル数ごと)に繰り返される。図6に示される例においては、図3に示される例と同様、Δθおよび上記判定が行われるサイクル数が十分に小さい値に設定されているため、時刻tb以降において燃料噴射タイミングが連続的に遅角するように表記されている。
次いで、時刻tcにおいて燃料が適切に点火して機関回転速度が上昇し、時刻tdにおいて機関回転速度がアイドリング回転数NEidに到達する。本例においては、図3に示される例と同様、機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達した場合に機関10の始動が完了したと判定され、燃料噴射タイミングが通常運転時の燃料噴射タイミング(吸気行程中のみに噴射)に設定され、燃料噴射量が通常運転時の燃料噴射量(圧縮行程中はゼロ)に設定される。
以上、説明したように、第2装置は、機関10の始動時において、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθ1にて噴射量Fs1の燃料が噴射されても機関10の始動が完了しない場合、燃料噴射タイミングを、燃料噴射タイミングθ1からΔθだけ遅角された燃料噴射タイミングθ2に変更する。さらに、第2装置は、燃料噴射タイミングθ2が機関10の圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど、燃料噴射量Fs2を少なくする。そして、第2装置は、機関10の始動が完了したと判定されるまで、燃料噴射タイミングの遅角および燃料噴射量の低減を繰り返す。これにより、第2装置は、混合気の点火性を向上させながら、排ガス中のスモークが過度に増大することを防ぐことができる。
ところで、第2装置は、始動促進噴射における燃料噴射量Fs2を、「燃料噴射タイミングθ2が圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど少なく」なるように定めている。しかし、これに代えて、第2装置は、始動促進噴射における燃料噴射量Fs2を、「燃料噴射タイミングθ2が燃料噴射タイミングθ1から離れるほど少なくする」ように定めてもよい。
以上が、本発明の第2の実施形態についての説明である。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る制御装置(以下、「第3装置」とも称呼される。)が説明される。第3装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関10(図1を参照。)に適用される。そこで、第3装置が適用される装置の概要についての説明は省略される。
・装置の作動
第3装置は、「吸気行程中および圧縮行程中の双方にて燃料を噴射させる」点、および、「機関10の温度が低いほど、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθc1を圧縮上死点に相当するタイミングに近づけるとともに、吸気行程中での燃料噴射量Fis1に対する圧縮行程中での燃料噴射量Fcs1の割合を小さくする」点において、第1装置と相違する。
第3装置において、CPU81は、図7に示した「第3燃料噴射制御ルーチン」を実行し、機関10の始動時における燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量を決定するとともに、決定された燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量にて燃料を噴射させる。
図7に示したルーチンは、ステップ220、ステップ230、およびステップ260およびステップ270がステップ710〜ステップ740に各々置換されている点のみにおいて、図2に示したルーチンと相違している。そこで、図7における図2に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図2のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、現時点にて機関10の始動が開始された場合、図7のステップ700から処理を開始すると、ステップ210を経由してステップ710に進む。CPU81は、ステップ710にて、吸気行程中の燃料噴射タイミングθi1、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθc1、吸気行程中の燃料噴射量Fis1、および、圧縮行程中の燃料噴射量Fcs1を決定する。
ここで、燃料噴射タイミングθi1は、機関10の吸気行程中のタイミングであって、あらかじめ定められたマップに現時点における運転パラメータを適用することによって決定される。燃料噴射タイミングθc1は、機関10の圧縮行程中のタイミングであって、機関10の冷却水の温度THWが低いほど圧縮上死点に相当するタイミングに近づくように、あらかじめ定められたマップに現時点における運転パラメータ(冷却水の温度など)を適用することによって決定される。
一方、燃料噴射量Fis1,Fcs1は、機関10の冷却水の温度THWが低いほど、燃料噴射量Fis1(吸気行程中)に対する燃料噴射量Fcs1(圧縮行程中)の割合を小さくするように、あらかじめ定められたマップに現時点における運転パラメータ(冷却水の温度など)を適用することによって決定される。
次いで、CPU81は、ステップ720に進む。CPU81は、ステップ720にて、クランキングに併せ、燃料噴射タイミングθi1にて燃料噴射量Fis1の燃料を噴射させるとともに、燃料噴射タイミングθc1にて燃料噴射量Fcs1の燃料を噴射させる(始動噴射)。そして、始動噴射によっては機関10の始動が完了したと判定されない場合、CPU81は、ステップ730に進み、吸気行程中の燃料噴射タイミングθi2、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθc2、吸気行程中の燃料噴射量Fis2、および、圧縮行程中の燃料噴射量Fcs2を決定する。
第3装置において、燃料噴射タイミングθi2(吸気行程中)は、燃料噴射タイミングθi1と同じタイミングに決定される。すなわち、吸気行程中における燃料噴射タイミングθi2は、始動噴射が行われる場合も始動促進噴射が行われる場合も、同様である。
これに対し、燃料噴射タイミングθc2(圧縮行程中)は、燃料噴射タイミングθc1から所定のクランク角Δθだけ遅角されるように定められる。すなわち、圧縮行程中における燃料噴射タイミングθc2は、始動噴射が行われる場合よりも始動促進噴射が行われう場合の方が遅角される(上述した第1装置および第2装置と同様)。
一方、燃料噴射量Fis2,Fcs2は、始動促進噴射が開始されると変更される。すなわち、燃料噴射量Fis2(吸気行程中)は、燃料噴射タイミングθc2が圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど多くなるように定められる。燃料噴射量Fcs2(圧縮行程中)は、燃料噴射タイミングθc2が圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど少なくなるように定められる。
なお、第3装置において、始動噴射が行われるときの燃料噴射量Fis1,Fcs1の合計量と、始動促進噴射が行われるときのFis2,Fcs2の合計量と、は同一であるように保たれる。しかし、これら合計量は、必ずしも同一である必要はなく、要求される混合気の点火性などを考慮して異なるように設定されてもよい。
次いで、CPU81は、ステップ740にて、クランキングに併せ、燃料噴射タイミングθi2にて燃料噴射量Fis2の燃料を噴射させるとともに、燃料噴射タイミングθc2にて燃料噴射量Fcs2の燃料を噴射させる(始動促進噴射)。そして、CPU81は、始動促進噴射によって機関10の始動が完了したと判定されるまで、ステップ730、ステップ740、ステップ280および290の処理を繰り返す。
・第3装置による制御の例
第3装置による燃料噴射制御が行われる際の燃料噴射タイミング等の推移の一例が、図8を参照しながら説明される。図8は、機関10の始動が開始されてから始動が完了するまでの制御の例を示すタイムチャートである。なお、図8においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。
時刻taにおいて機関10の始動が開始されると、クランキングが行われながら(クランキング機関回転速度NEcl)、吸気行程中の燃料噴射タイミングθi1にて燃料噴射量Fis1の燃料が噴射されるとともに、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθc1にて燃料噴射量Fcs1の燃料が噴射され、「始動噴射」による機関10の始動が試みられる。
ここで、図8に示されるように、機関10の冷却水の温度THWが低いほど、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθc1は圧縮上死点に相当するタイミングに近づけられる。また、同温度THWが低いほど、吸気行程中の燃料噴射量Fis1に対する圧縮行程中の燃料噴射量Fcs1の割合が小さくされる。
始動噴射によっては機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達しない場合、時刻tbにおいて、圧縮行程中の燃料噴射タイミングが、燃料噴射タイミングθc1からΔθcだけ遅角された燃料噴射タイミングθc2に変更される。さらに、燃料噴射量(吸気行程中)が燃料噴射タイミングθc2が圧縮上死点に相当するタイミングに近づくほど多い燃料噴射量Fis2に変更され、燃料噴射量(圧縮行程中)が燃料噴射タイミングθc2が圧縮上死点に相当するタイミングに近づくほど少ない燃料噴射量Fcs2に変更される。
このように燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量を変更することは、機関10の始動が完了したと判定されるまで、各サイクルごと(または、所定のサイクル数ごと)に繰り返される。図8に示される例においては、図3に示される例と同様、各変更量が十分に小さい値に設定されているため、時刻tb以降において燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量が連続的に変更するように表記されている。
次いで、時刻tcにおいて燃料が適切に点火して機関回転速度が上昇し、時刻tdにおいて機関回転速度がアイドリング回転数NEidに到達する。本例においては、図3に示される例と同様、機関回転速度NEがアイドリング回転数NEidに到達した場合に機関10の始動が完了したと判定され、燃料噴射タイミングが通常運転時の燃料噴射タイミング(吸気行程中のタイミングθid。圧縮行程中には噴射なし)に設定され、燃料噴射量が通常運転時の燃料噴射量(吸気行程中にて燃料噴射量Fid。圧縮行程中はゼロ)に設定される。
以上、説明したように、第3装置は、機関10の始動時(始動噴射)において、吸気行程中の燃料噴射タイミングθi1にて噴射量Fis1の燃料を噴射させるとともに、圧縮行程中の燃料噴射タイミングθc1にて噴射量Fcs1の燃料を噴射させる。そして、始動噴射によっても機関10の始動が完了しない場合、第3装置は、圧縮行程中の燃料噴射タイミングを燃料噴射タイミングθc1からΔθcだけ遅角された燃料噴射タイミングθc2に変更し、圧縮行程中の燃料噴射量を燃料噴射タイミングθc2が圧縮上死点に相当するタイミングに近づくほど少ない燃料噴射量Fcs2に変更する。そして、第3装置は、機関10の始動が完了したと判定されるまで、燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量を変更することを繰り返す。これにより、第3装置は、混合気の点火性を向上させながら、排ガス中のスモークが過度に増大することを防ぐことができる。
以上が、本発明の第3の実施形態についての説明である。
<実施形態の総括>
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る燃料噴射制御装置(第1装置〜第3装置)は、内燃機関10の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁34と、前記燃焼室内に噴射された燃料を点火する点火装置38と、を備えた内燃機関10に適用される。
第1装置は、
前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるタイミングである燃料噴射タイミング、および、前記燃料噴射弁から噴射させる燃料の量である燃料噴射量、を制御する燃料噴射制御装置であって、
前記内燃機関10の始動が開始されたとき(例えば、図3の時刻ta)、前記燃料噴射タイミングが前記内燃機関10の吸気行程および圧縮行程のうちの少なくとも圧縮行程中の第1タイミングθ1である始動噴射を行い、
前記始動噴射が行われている場合において前記内燃機関10の始動が完了したと判定されないとき(例えば、図3の時刻tbにて)、前記燃料噴射タイミングを前記第1タイミングθ1よりも遅角した前記圧縮行程中の第2タイミングθ2に前記第1タイミングθ1から変更した始動促進噴射を行う、
ように構成されている。
さらに、第2装置または第3装置は、
前記第2タイミングθ2が前記内燃機関10の圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど、前記燃料噴射量Fs2を少なくする、ように構成されている。
第2装置または第3装置は、
前記第1タイミングθ1での前記燃料噴射量が第1噴射量Fs1であり、
前記第2タイミングθ2での前記燃料噴射量Fs2が、前記第2タイミングθ2が前記第1タイミングθ1から離れるほど前記第1噴射量よりも少なくなるように定めた第2噴射量Fs2である、ように構成されてもよい。
第1装置〜第3装置は、
前記内燃機関10の始動が完了したと判定されるまで、前記第2タイミングθ2を前記圧縮上死点に相当するタイミングに徐々に近づける、ように構成されている。
第1装置〜第3装置は、
前記燃料噴射タイミングが前記第2タイミングθ2である場合において前記内燃機関10の始動が完了したと判定されないとき、前記燃料噴射タイミングを前記第2タイミングθ2よりも遅角した前記圧縮行程中の第3タイミングに前記第2タイミングθ2から変更する、ように構成されてもよい。
第1装置〜第3装置は、
前記内燃機関10の機関回転速度の変化率が所定の閾値よりも大きいこと、
前記内燃機関10の機関回転速度が所定の目標値NEidに到達すること、および、
前記内燃機関10の機関回転速度が前記目標値NEidの近傍の値である状態が所定の時間長さよりも長く継続すること、
のうちの1つ又は複数が成立するとき、前記内燃機関10の始動が完了したと判定する、ように構成され得る。
第3装置は、
前記内燃機関10の吸気行程中および圧縮行程中の双方にて前記燃料噴射弁から燃料を噴射させ、
前記内燃機関10の温度が低いほど、前記第1タイミングθc1を前記圧縮上死点に相当するタイミングに近づけ、かつ、前記吸気行程中での燃料噴射量Fis1,Fis2に対する前記圧縮行程中での燃料噴射量Fcs1,Fcs2の割合を小さくする、ように構成されている。
<その他の態様>
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記複数の実施形態(第1実施形態〜第3実施形態)のうちの「一の実施形態」に適用されている燃料噴射制御装置の考え方に、同複数の実施形態のうちの「他の実施形態の一または複数」における燃料噴射制御装置の考え方が、適用され得る。別の言い方をすると、上記複数の実施形態のうちの一の実施形態と、一または複数の他の実施形態と、が組み合わせられ得る。
さらに、第1装置〜第3装置においては、始動促進噴射が行われる際の燃料噴射タイミングおよび燃料噴射量の変更の度合いについて特に言及していない。例えば、第1装置〜第3装置は、これらの変更の度合いの例として、燃料噴射タイミングを第1タイミングθ1から第2タイミングθ2に変更するときの燃料噴射タイミングの変更量、第2タイミングθ2を圧縮上死点に相当するタイミングに徐々に近づけるときの燃料噴射タイミングの変化率、および、燃料噴射タイミングを第3タイミングに第2タイミングθ2から変更するときの燃料噴射タイミングの変更量、の少なくとも一つを、第1タイミングθ1が圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど小さくする、ように構成され得る。
加えて、第1装置〜第3装置は、燃料を噴射させるべく燃料に及ぼされる圧力(燃圧)の大きさが所定の値よりも小さい場合、吸気行程中での燃料噴射量に対する圧縮行程中での燃料噴射量の割合を大きくするように、構成されてもよい。これにより、燃圧が低いために燃料の微粒化の度合いが低い場合であっても、燃料が気化する時間長さが長くなるので、混合気の点火性が過度に低下することを防ぐことができる。また、第1装置〜第3装置は、燃料の微粒化の度合いを高める観点から、燃圧を常に(圧縮行程中の燃料噴射量を減らしている間も)出来る限り高い値に維持するように構成され得る。
本発明は、内燃機関の温度が低い場合であっても出来る限り確実に内燃機関を始動させることができる燃料噴射制御装置として利用することができる。
10…内燃機関、25…燃焼室、34…インジェクタ(筒内噴射)、38…点火プラグ、75…水温センサ、80…電子制御装置

Claims (8)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室内に噴射された燃料を点火する点火装置と、を備えた内燃機関に適用され、
    前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるタイミングである燃料噴射タイミング、および、前記燃料噴射弁から噴射させる燃料の量である燃料噴射量、を制御する燃料噴射制御装置であって、
    前記内燃機関の始動が開始されたとき、前記燃料噴射タイミングが前記内燃機関の吸気行程および圧縮行程のうちの少なくとも圧縮行程中の第1タイミングである始動噴射を行い、
    前記始動噴射が行われている場合において前記内燃機関の始動が完了したと判定されないとき、前記燃料噴射タイミングを前記第1タイミングよりも遅角した前記圧縮行程中の第2タイミングに前記第1タイミングから変更した始動促進噴射を行う、
    ように構成された内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記第2タイミングが前記内燃機関の圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど、前記燃料噴射量を少なくする、ように構成された燃料噴射制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記第1タイミングでの前記燃料噴射量が第1噴射量であり、
    前記第2タイミングでの前記燃料噴射量が、前記第2タイミングが前記第1タイミングから離れるほど前記第1噴射量よりも少なくなるように定めた第2噴射量である、ように構成された燃料噴射制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記内燃機関の始動が完了したと判定されるまで、前記第2タイミングを前記圧縮上死点に相当するタイミングに徐々に近づける、ように構成された燃料噴射制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射タイミングが前記第2タイミングである場合において前記内燃機関の始動が完了したと判定されないとき、前記燃料噴射タイミングを前記第2タイミングよりも遅角した前記圧縮行程中の第3タイミングに前記第2タイミングから変更する、ように構成された燃料噴射制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記内燃機関の機関回転速度の変化率が所定の閾値よりも大きいこと、
    前記内燃機関の機関回転速度が所定の目標値に到達すること、および、
    前記内燃機関の機関回転速度が前記目標値の近傍の値である状態が所定の時間長さよりも長く継続すること、
    のうちの1つ又は複数が成立するとき、前記内燃機関の始動が完了したと判定する、ように構成された燃料噴射制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記内燃機関の吸気行程中および圧縮行程中の双方にて前記燃料噴射弁から燃料を噴射させ、
    前記内燃機関の温度が低いほど、前記第1タイミングを前記圧縮上死点に相当するタイミングに近づけ、かつ、前記吸気行程中での燃料噴射量に対する前記圧縮行程中での燃料噴射量の割合を小さくする、ように構成された燃料噴射制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射タイミングを前記第1タイミングから前記第2タイミングに変更するときの燃料噴射タイミングの変更量、
    前記第2タイミングを前記圧縮上死点に相当するタイミングに徐々に近づけるときの前記燃料噴射タイミングの変化率、および、
    前記燃料噴射タイミングを前記第3タイミングに前記第2タイミングから変更するときの前記燃料噴射タイミングの変更量、
    の少なくとも一つを、前記第1タイミングが前記圧縮上死点に相当するタイミングに近いほど小さくする、ように構成された燃料噴射制御装置。


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WO2021053935A1 (ja) * 2019-09-20 2021-03-25 日立オートモティブシステムズ株式会社 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

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